JP2004332358A - 道路橋用伸縮継手及び道路橋用伸縮継手の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波形板1,1の遊間2に介装された止水部材3の溝内に注入式発泡シール材4を充填し、該波形板1,1の凹凸に対応して該止水部材3の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形溝6を該注入式発泡シール材4に形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は道路橋用伸縮継手及び道路橋用伸縮継手の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路橋用伸縮継手として、図7に示すように、道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板1,1を備え、該一対の波形板1,1が互いの凹部と凸部とを対向させて配設され、その間に波形の遊間2を形成するように組み合わされたものが知られている。遊間2には、ゴム板を溝形状に成形してなる止水部材3が介装されており、該止水部材3の溝内には防塵性や防音性を確保するために液状ゴム、ウレタンフォーム、鉱滓などのシール材4aが充填されている(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
”橋梁用伸縮装置標準図集 第IV集” 日本道路ジョイント協会 平成12年1月、P.[6−3]
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の道路橋用伸縮継手では、道路橋本体10,10の温度変化による伸縮、すなわち、遊間12の拡大により遊間2が広くなったときに、シール材4aがその伸縮を許容できず、止水部材3から該シール材4aが剥離して防塵性を損なう等の問題があった。また、波形板1,1の遊間2が狭くなったときには、シール材4aがその伸縮を許容できずに、遊間2から該シール材4aが道路橋表面に飛び出し車輪に踏みつけられて損傷するという問題があった。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、防塵性や耐久性を確保した道路橋用伸縮継手及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に対して、上記シール材として注入式発泡シール材を使用し且つ該注入式発泡シール材に道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝又は切れ目を形成して、該波形の溝又は切れ目により波形板の遊間の拡大縮小を許容するようにした。
【0007】
すなわち、請求項1に係る発明は、道路橋継目部の遊間両側の道路橋本体に跨るように、又は遊間両側の道路橋本体と橋台とに跨るように架設される道路橋用伸縮継手であって、
道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板を有し、該一対の波形板は、互いの凹部と凸部とを対向させて配設され、その間に波形の遊間を形成しており、
上記波形の遊間に介装され、溝形状に成形してなる止水部材と、該止水部材の溝内に充填された注入式発泡シール材とを備え、
上記注入式発泡シール材には、上記波形板の凹凸に対応して上記止水部材の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝又は切れ目が形成されていることを特徴とする。
【0008】
従って、本発明によれば、上記注入式発泡シール材には、上記波形板の凹凸に対応して上記止水部材の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝又は切れ目が形成されているから、該波形板の遊間の拡大縮小を許容する上で有利になる。つまり、該遊間の拡大時に該波形の溝又は切れ目が開くことによって、止水部材と注入式発泡シール材との接着面に加わる剥離力が小さくなり、該止水部材から該注入式発泡シール材が剥離して防塵性を損なうことを防止できる。また、該遊間の縮小時に該遊間から該注入式発泡シール材が道路橋表面に飛び出すことがない。これにより、該止水部材の防塵性や耐久性を確保することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、道路橋継目部の遊間両側の道路橋本体に跨るように、又は遊間両側の道路橋本体と橋台とに跨るように架設される道路橋用伸縮継手の製造方法であって、
道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板を、互いの凹部と凸部とを対向させて配設して、その間に波形の遊間を形成し、
上記波形の遊間に、溝形状に成形してなる止水部材を介装し、
注入式発泡シール材を上記止水部材の溝内に充填し、
上記注入式発泡シール材の発泡硬化後、該注入式発泡シール材の略中央に、道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の切れ目を入れることを特徴とする。
【0010】
従って、本発明によれば、伸縮継手の遊間を塞ぐ注入式発泡シール材の発泡硬化後、該注入式発泡シール材の略中央に、道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の切れ目を入れたから、波形板の遊間の拡大縮小を許容する上で有利になる。つまり、該遊間の拡大時に該波形の切れ目が開くことによって、止水部材と注入式発泡シール材との接着面に加わる剥離力が小さくなり、該止水部材から該注入式発泡シール材が剥離して防塵性を損なうことを防止できる。また、遊間の縮小時に該遊間から該注入式発泡シール材が道路橋表面に飛び出すことがない。これにより、該止水部材の防塵性や耐久性を確保することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、道路橋継目部の遊間両側の道路橋本体に跨るように、又は遊間両側の道路橋本体と橋台とに跨るように架設される道路橋用伸縮継手の製造方法であって、
道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板を、互いの凹部と凸部とを対向させて配設して、その間に波形の遊間を形成し、
上記波形の遊間に、溝形状に成形してなる止水部材を介装し、
上記波形板の凹凸に対応して道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる型枠板と、該型枠板に交差して取り付けられた支持板とを備えた波形型枠を、該支持板が上記波形の遊間に跨るように該遊間の両側に架設して、該波形型枠の該型枠板を上記止水部材の溝の略中央に位置付けて吊下げ、
注入式発泡シール材を上記止水部材の溝内に充填し、
上記注入式発泡シール材の発泡硬化後に上記波形型枠を取り外すことを特徴とする。
【0012】
従って、本発明によれば、止水部材の溝の略中央に波形型枠の型枠板を吊下げて、注入式発泡シール材を該止水部材の溝内に充填し、該注入式発泡シール材の発泡硬化後に該波形型枠を取り外すから、波形板の凹凸に対応して該止水部材の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝が該注入式発泡シール材に形成され、該波形板の遊間の拡大縮小を許容する上で有利になる。つまり、該遊間の拡大時に該波形の溝が開くことによって、止水部材と注入式発泡シール材との接着面に加わる剥離力が小さくなり、該止水部材から該注入式発泡シール材が剥離して防塵性を損なうことを防止できる。また、遊間の縮小時に該遊間から該注入式発泡シール材が道路橋表面に飛び出すことがない。これにより、該止水部材の防塵性や耐久性を確保することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1において、10は道路橋本体(コンクリート床版)、11は道路橋本体10の路面をなす舗装、12は道路橋本体10の遊間、13は遊間12を塞ぐように設けられた伸縮継手、14は道路橋本体10の端部に形成され伸縮継手13を設置するために路面よりも低くなった切欠段部、15は切欠段部14に打設されて路面をなす後打ちコンクリートである。
【0015】
上記伸縮継手13は、後述する一対の波形板1,1と、該波形板1,1の遊間2に設けられた止水部材3及び注入式発泡シール材4と、該波形板1,1の背面に設けられた複数のアンカーボルト5(図2に図示)とを備えている。
【0016】
上記波形板1,1は、道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延び、互いの凹部と凸部とを対向させて配設され、その間に波形の遊間2が形成されている。さらに、遊間2にはゴム板を溝形にしてなる止水部材3が介装されており、該止水部材3の両端部は該一対の波形板1,1の遊間2側の側面に各々固着されている。また、止水部材3には、道路橋本体10,10の温度変化による伸縮、すなわち、遊間12の拡大縮小を許容するとともに防塵性や防音性を確保するために、注入式発泡シール材4が充填されている。そして、該注入式発泡シール材4には、上記波形板1,1の凹凸に対応して上記止水部材3の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形溝6が形成されている。
【0017】
なお、注入式発泡シール材4としては、引張り応力1.0MPa以下で伸び率が50%以上、圧縮応力1.0MPa以下で圧縮率が50%以上の伸縮特性を有する材料を使用することが好ましい。例えば本実施形態では、発泡ゴムフォームを使用している。
【0018】
図2又は図3に示すように、上記波形板1,1の背面には、複数の直棒状及び先端が下方に折れ曲がって略L字状に形成されたアンカーボルト5が溶接されている。該アンカーボルト5は、上記切欠段部14に予め植設されているU字筋16並びに通し筋17と交差するように配設され、その交差部が溶接されて該アンカーボルト5が上記切欠段部14に固定されている。そして、後打ちコンクリート15が波形板1の上面と略面一になるように該切欠段部14に打設されることにより、該波形板1,1が道路橋本体10,10に設置されている。
【0019】
次に、本実施形態1に係る伸縮継手13の製造方法について説明する。
【0020】
背面に複数のアンカーボルト5,5,・・・が溶接された一対の波形板1,1を、互いの凹部と凸部とを対向させて配設し、その間に遊間2を形成する。そして、該遊間2に止水部材3を介装する。
【0021】
次に、注入式発泡シール材4を止水部材3の溝内に充填して発泡硬化させる。ここで、注入式発泡シール材4がその発泡によって該波形板1,1の上面よりも盛り上がるので、該波形板1,1の上面と略面一になるように該注入式発泡シール材4の盛り上がり部分を切断除去する。
【0022】
次に、波形板1,1の凹凸に対応して道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形形状を有する波形治具(不図示)を、注入式発泡シール材4の略中央に位置付け、カッターナイフ等を用いて該波形治具の波形形状に沿って該注入式発泡シール材4に所定深さの切れ目(波形溝6)を入れる。その後、該波形治具を取り除く。
【0023】
以上の製造方法により、上記波形板1,1の凹凸に対応して上記止水部材3の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形溝6が上記注入式発泡シール材4に形成された伸縮継手13が完成する。
【0024】
<実施形態2>
図1に示すような、注入式発泡シール材4の略中央に波形溝6を形成した伸縮継手13を製造するための他の実施形態について以下に説明する。
【0025】
図4に示すように、製造工場にて、背面に複数のアンカーボルト5,5,・・・が溶接された一対の波形板1,1を、互いの凹部と凸部とを対向させて配設し、その間に遊間2を形成する。そして、該遊間2に止水部材3を介装する。
【0026】
次に、波形板1,1の凹凸に対応して道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる型枠板20aと、該型枠板20aに交差して取り付けられた複数の支持板20b,20b,・・・とを備えた波形型枠20を、図5に示すように、該複数の支持板20b,20b,・・・が該遊間2に跨るようにその両側の波形板1,1に架設して、止水部材3の溝の略中央に該型枠板20aを位置付けて吊下げる。
【0027】
次に、上記型枠板20aと上記波形板1,1との隙間から注入式発泡シール材4(図6に図示)を止水部材3の溝内に充填する。そして、上記注入式発泡シール材4の発泡硬化後に上記波形型枠20を取り外す。ここで、注入式発泡シール材4がその発泡によって該波形板1,1の上面よりも盛り上がるので、該波形板1,1の上面と略面一になるように該注入式発泡シール材4の盛り上がり部分を切断除去する。
【0028】
以上の製造方法により、図6に示すように、上記波形板1,1の凹凸に対応して上記止水部材3の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形溝6が上記注入式発泡シール材4に形成された伸縮継手13が完成する。
【0029】
なお、本実施形態では、製造工場にて注入式発泡シール材4の充填作業を行ったが、これに限定されず、施工現場にて波形板1,1の設置作業をした後に波形型枠20を架設して注入式発泡シール材4の充填作業を行うようにしても構わない。
【0030】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、伸縮継手の遊間を塞ぐ注入式発泡シール材には、波形板の凹凸に対応して止水部材の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝又は切れ目が形成されているから、該波形板の遊間の拡大縮小を許容する上で有利になる。つまり、該遊間の拡大時に該波形の溝又は切れ目が開くことによって、止水部材と注入式発泡シール材との接着面に加わる剥離力が小さくなり、該止水部材から該注入式発泡シール材が剥離して防塵性を損なうことを防止できる。また、該遊間の縮小時に該遊間から該注入式発泡シール材が道路橋表面に飛び出すことがない。これにより、該止水部材の防塵性や耐久性を確保することができる。
【0031】
請求項2に係る発明によれば、注入式発泡シール材の発泡硬化後、該注入式発泡シール材の略中央に、道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びるように波形の切れ目を入れたから、波形板の遊間の拡大縮小を許容する上で有利になる。つまり、該遊間の拡大時に該波形の切れ目が開くことによって、止水部材と注入式発泡シール材との接着面に加わる剥離力が小さくなり、該止水部材から該注入式発泡シール材が剥離して防塵性を損なうことを防止できる。また、遊間の縮小時に該遊間から該注入式発泡シール材が道路橋表面に飛び出すことがない。これにより、該止水部材の防塵性や耐久性を確保することができる。
【0032】
請求項3に係る発明によれば、止水部材の溝の略中央に波形型枠の型枠板を吊下げて、注入式発泡シール材を該止水部材の溝内に充填し、該注入式発泡シール材の発泡硬化後に該波形型枠を取り外すから、波形板の凹凸に対応して該止水部材の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝が該注入式発泡シール材に形成され、該波形板の遊間の拡大縮小を許容する上で有利になる。つまり、該遊間の拡大時に該波形の溝が開くことによって、止水部材と注入式発泡シール材との接着面に加わる剥離力が小さくなり、該止水部材から該注入式発泡シール材が剥離して防塵性を損なうことを防止できる。また、遊間の縮小時に該遊間から該注入式発泡シール材が道路橋表面に飛び出すことがない。これにより、該止水部材の防塵性や耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1又は2に係る道路橋継目部構造を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態1又は2に係る道路橋継目部構造を示す断面図。
【図3】本発明の実施形態1又は2に係る道路橋継目部構造を示す平面図。
【図4】本発明の実施形態2に係る伸縮継手の製造方法を示す斜視図。
【図5】本発明の実施形態2に係る伸縮継手の遊間に波形型枠を架設した状態を示す斜視図。
【図6】本発明の実施形態2に係る伸縮継手を示す斜視図。
【図7】従来の道路橋継目部構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1 波形板
2 遊間
3 止水部材
4 注入式発泡シール材
4a シール材
5 アンカーボルト
6 波形溝
10 道路橋本体
11 舗装
12 遊間
13 伸縮継手
14 切欠段部
15 後打ちコンクリート
16 U字筋
17 通し筋
20 波形型枠
20a 型枠板
20b 支持板
Claims (3)
- 道路橋継目部の遊間両側の道路橋本体に跨るように、又は遊間両側の道路橋本体と橋台とに跨るように架設される道路橋用伸縮継手であって、
道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板を有し、該一対の波形板は、互いの凹部と凸部とを対向させて配設され、その間に波形の遊間を形成しており、
上記波形の遊間に介装され、溝形状に成形してなる止水部材と、該止水部材の溝内に充填された注入式発泡シール材とを備え、
上記注入式発泡シール材には、上記波形板の凹凸に対応して上記止水部材の溝の略中央を道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の溝又は切れ目が形成されていることを特徴とする道路橋用伸縮継手。 - 道路橋継目部の遊間両側の道路橋本体に跨るように、又は遊間両側の道路橋本体と橋台とに跨るように架設される道路橋用伸縮継手の製造方法であって、
道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板を、互いの凹部と凸部とを対向させて配設して、その間に波形の遊間を形成し、
上記波形の遊間に、溝形状に成形してなる止水部材を介装し、
注入式発泡シール材を上記止水部材の溝内に充填し、
上記注入式発泡シール材の発泡硬化後、該注入式発泡シール材の略中央に、道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる波形の切れ目を入れることを特徴とする道路橋用伸縮継手の製造方法。 - 道路橋継目部の遊間両側の道路橋本体に跨るように、又は遊間両側の道路橋本体と橋台とに跨るように架設される道路橋用伸縮継手の製造方法であって、
道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる一対の波形板を、互いの凹部と凸部とを対向させて配設して、その間に波形の遊間を形成し、
上記波形の遊間に、溝形状に成形してなる止水部材を介装し、
上記波形板の凹凸に対応して道路橋の継目長手方向にジグザグに曲折して延びる型枠板と、該型枠板に交差して取り付けられた支持板とを備えた波形型枠を、該支持板が上記波形の遊間に跨るように該遊間の両側に架設して、該波形型枠の該型枠板を上記止水部材の溝の略中央に位置付けて吊下げ、
注入式発泡シール材を上記止水部材の溝内に充填し、
上記注入式発泡シール材の発泡硬化後に上記波形型枠を取り外すことを特徴とする道路橋用伸縮継手の製造方法。
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