JP2004331013A - 車両の内装部品構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】内装部品本体例えば、ドアトリム本体のアームレスト付近において、貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成せずして側突衝撃を緩和する構造を構成して、通常の使用状態における剛性を高めた。
【解決手段】上下二分割されたアッパートリム12のアッパートリム側フランジ部17とロアトリム13のロアトリム側取付けフランジ部16を重合し、ロアトリム側フランジ部16側の取付けボス18をアッパートリム側取付けフランジ17の取付け孔19に挿入取着して、一体のドアトリム本体11を構成し、取付け孔19をドアトリム本体11の上下方向において長孔にして、取付け用ボス18を取付け孔19の下端側壁面側に寄せて取付け孔19の上部側に空間部19aを形成し、側突時に空間部19a内に取付け用ボス18を移動させることでアッパートリム12に対してロアアーム11を変形させて側突衝撃を吸収構造とした。
【選択図】 図1
【解決手段】上下二分割されたアッパートリム12のアッパートリム側フランジ部17とロアトリム13のロアトリム側取付けフランジ部16を重合し、ロアトリム側フランジ部16側の取付けボス18をアッパートリム側取付けフランジ17の取付け孔19に挿入取着して、一体のドアトリム本体11を構成し、取付け孔19をドアトリム本体11の上下方向において長孔にして、取付け用ボス18を取付け孔19の下端側壁面側に寄せて取付け孔19の上部側に空間部19aを形成し、側突時に空間部19a内に取付け用ボス18を移動させることでアッパートリム12に対してロアアーム11を変形させて側突衝撃を吸収構造とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車体における車室側を内装する車両用内装部品構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両用内装部品構造例えば自動車のドアトリム構造としては、ドアトリム本体が単一構成体のものもあるが、図8及び図9に示すように、ドアトリム本体1をアッパートリム2とロアトリム3とに二分割するとともに、両者を接合して構成し、所定部位にアームレスト4を装着しているものが知られている (特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭58−54917公報(第2図)
【0004】
そして、ロアトリム3の所定部位にアームレスト装着用の略水平上の棚部5を形成し、ロアトリム3における棚部5より先端部側に下向きに延在するロアトリム側取付けフランジ部6を形成するとともに、取付けフランジ部6に対向してアッパートリム2の下端側に下向きに延在するアッパートリム側取付けフランジ部7を形成して、アッパートリム側フランジ部7とロアトリム側取付けフランジ部6とを重合し、ロアトリム側取付けフランジ部6に突設した複数個の取付け用ボス8をアッパートリム側取付けフランジ部7に形成した複数個の取付け孔9にそれぞれ挿入取着して、アッパートリム2及びロアトリム3を一体にして構成している。
【0005】
棚部5には、アームレスト4の背面壁41側をアッパートリム2側に押付けた状態で、その下面壁42が載置され、係着部4aを棚部5に係着することによってアームレスト4が装着されている。
【0006】
このように構成する従来のドアトリムにおいては、図10に示す通常状態で、自動車の側突時等において、白抜き矢印方向から乗員の腹部10等が衝接して衝撃が加えられた場合、図11に示すように、棚部5とロアトリム側取付けフランジ部7とが例えば逆V字状に折曲して、アームレスト4の発泡体からなる芯材4bの弾性変形と共に、乗員の腹部10等を側突衝撃から保護している。
【0007】
このために、棚部5付近の構造は、側突時に折曲できるように、多数の貫通孔を設けたり、一般部位より薄肉状に形成したり或いは剛性部材としてのリブを廃止したりして脆弱に形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このために、ドアトリムの通常の使用状態では、アームレスト4の周囲が強度不足となってしまうことがある。又、側突衝撃吸収時に、ロアトリム3がアームレスト4によって車体左右方向に押圧されてせん断方向の力が加わることになるが、このせん断方向の力がロアトリム3に加わった場合割れを生じることになり、この割れがロアトリムのどの部位に働いて割れを生じるかを設計管理するのが非常に難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、ドアトリム等の内装部品において、貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成せずして側突衝撃を緩和する構造を構成して、通常の使用状態における剛性を高めた車両の内装部品構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、上下二分割されたアッパートリムとロアトリムとにより内装部品本体を構成し、ロアトリムの先端部側にロアトリム側取付けフランジ部を形成するとともに、ロアトリム側取付けフランジ部に対向してアッパートリムにおいてアッパートリム側取付けフランジ部を形成して、アッパートリム側取付けフランジ部とロアトリム側取付けフランジ部を重合し、ロアトリム側取付けフランジ部及びアッパートリム側取付けフランジのうち一方側に突設した取付け用ボスを他方側に形成した取付け孔に挿入取着して、アッパートリム及びロアトリムを一体に構成した車両の内装部品構造であって、取付け孔を内装部品本体の上下方向において長孔に形成するとともに、取付け用ボスを取付け孔の一方側に寄せた状態で挿入装着して、取付け孔に空間部を形成し、側突時に空間部内を取付け用ボスが移動することによってアッパートリムに対してロアトリムを変形させて側突衝撃を吸収するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成によって、本発明は、通常時には、取付けボスが取付け孔の一方側に寄せた状態が保持されて、例えばアームレストを介して乗員の腕等の押付け力が加わった場合には、ロアトリム自体の剛性と相俟って取付けボスが取付け孔の上・下端側壁部の一方に当接して、上記押付け力を受けることができる。
【0012】
また、車両の側突時に空間部内を取付け用ボスが摺動することによって、アッパートリムに対してロアトリムを変形させて側突衝撃を吸収することになって、従来のようなアームレストの設置付近を貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成する必要がなく、通常の使用状態において剛性が高い車両の内装部品構造を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、アッパートリム側取付けフランジ部とロアトリム側取付けフランジ部とを内装部品本体に対する側突作用方向に対して傾斜するように重合させて構成することにより、側突時に乗員の腹部等が内装部品本体に衝接した場合に、アッパートリム側取り付けフランジ部に対してロアトリム側取付けフランジ部がずれやすくなって、これにより側突衝撃をより確実に吸収することができる。
【0014】
また、本発明は、ロアトリムにおけるアッパートリムとの接合付近に車室側に膨出するアームレスト取付け用の棚部を形成し、棚部を内装部品本体における車室側から車外側に向って上向きとなる傾斜面となるように形成することによって、側突時にアームレストを介して伝達された乗員等の衝撃に対して、棚部付近が変形してアッパートリム側取付けフランジ部に対するロアトリム側取付けフランジ部がずれやすくなって、衝撃吸収を更に確実なものとできる。
【0015】
また、本発明は、取付け孔を取付け用ボスが挿入装着されている部位よりも空間部側を縮径状に形成することにより、アッパートリム側取付けフランジ部に対するロアトリム側取付けフランジ部がずれた際に、取付け用ボスが縮径状の空間部を潜り抜けることによって空間部壁を擦動させる等することになって衝撃吸収機能を益々確実なものにできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における第1の実施の形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明に係る第1の実施の形態を採用した内装部品例えばドアトリム構造の縦断面図、図2は図1のA矢視方向から描画した拡大図、図3は通常時における図1の円内の拡大図、図4は同じく側突時による変形状態を描画した図1の円内の拡大図である。
【0018】
図において、内装部品本体例えばドアトリム本体11は、上下二分割されたアッパートリム12とロアトリム13とにより構成している。
【0019】
ロアトリム13の所定部位には、車室X側に膨出するように略水平状の棚部15が形成されていて、棚部15には、アームレスト14の背面壁41側をアッパートリム12側に押付けた状態で、アームレスト14が係着部14aを棚部15の係着孔15aに係着することによって装着されている。
【0020】
そして、ロアトリム13の棚部15より上端側先端部には、下向きに延在するロアトリム側取付けフランジ部16が形成されているとともに、アッパートリム12の下端部には、ロアトリム側取付けフランジ部16に対向して下向きに延在するアッパートリム側取付けフランジ部17が形成されている。
【0021】
ロアトリム側取付けフランジ部16とアッパートリム側取付けフランジ部17とは、互いに重合した状態で、図3の白抜き矢印Zで示すドアトリム本体11に対する側突作用方向に対して、車室X側に傾斜する傾斜形状を呈している。
【0022】
更に、ロアトリム側取付けフランジ部16とアッパートリム側取付けフランジ部17との重合状態において、アッパートリム12とロアトリム13とを接合装着するために、ロアトリム側取付けフランジ部16には、複数個の取付けボス18が突設され、アッパートリム側取付けフランジ部17には、取付けボス18が挿入する取付け孔19が形成されている。取付けボス18の取付け部19からの挿通部位を熱加締め等することによって加締め装着しており、この結果、アッパートリム12とロアトリム13とは、互いに接合しあって一体構造のドアトリム本体11を構成している。
【0023】
また、取付け孔19は、図2に示すようにドアトリム本体11の上下方向に長孔形状に形成されており、通常時には、その下端部壁側に取付けボス18を寄せた状態で取付けボス18を挿入装着しており、上端部側は空間部19aとなっている。
【0024】
このように構成する第1の実施の形態においては、通常時には、取付けボス18が取付け孔19の下端側壁部側に寄せた状態が保持されて、例えばアームレスト14を介して乗員の腹部20等により下方向の押付け力が加わった場合には、ロアトリム13自体の剛性と相俟って、取付けボス18が取付け孔19の下端側壁部に当接して、上記押付け力を受けることができる。
【0025】
また、車両の側突時において、乗員の腹部20等により図3の白抜き矢印方向に衝撃が加わった場合、図4に示すように、自動車の側突時等において、乗員の腹部20等が衝接した場合、棚部15とロアトリム側取付けフランジ部16とが例えば逆V字状に折曲して、アームレスト4の発泡体からなる芯材4bの弾性変形と共に、乗員の腹部20等を側突衝撃から保護している。
【0026】
この時、取付けボス18が、取付け孔19の下端側壁部から上方に移動することになって、棚部15とロアトリム側取付けフランジ部16との折曲変形をしやすくしており、これにより従来のような貫通孔や薄肉部等を設けたり剛性部材としてのリブを廃止したりすることによる脆弱部を形成する必要がなく、この分通常時のドアトリム本体の剛性を高めることができる。
【0027】
また、アッパートリム側取付けフランジ部17とロアトリム側取付けフランジ部16とをドアトリム本体11に対する側突作用方向(図3の白抜き矢印Z方向)に対して傾斜するように重合させて構成することにより、側突時に乗員の腕等がドアトリム本体11に衝接した場合に、アッパートリム側取り付けフランジ部17に対してロアトリム側取付けフランジ部16がずれやすくなって、これにより側突衝撃をより確実に吸収することができる。
【0028】
図5は本発明に係る第2の実施の形態を示す図3と同様な拡大図であり、これによれば、ロアトリム13におけるアッパートリム12との接合付近に車室X側に膨出するアームレスト14を取付けるための棚部15を形成し、棚部15をトリム本体11における車室X側から車外Y側に向って上向きとなる傾斜面に形成する点が第1の実施の形態と異なっている。
【0029】
そして、この傾斜面に対応して、アームレスト14の下面壁42も傾斜面に形成されているも、アームレスト4の上面壁43は白抜き矢印Zで示す側突作用方向に対して略水平面となっていて、乗員の腹部20等を掛けるのに支承がないようになっている。
【0030】
かかる第2の実施の形態によれば、側突時にアームレスト14を介して伝達された乗員等からの白抜き矢印方向の衝撃に対して、図6に示すように、棚部15とロアトリム側取付けフランジ部16とが略逆V字状に変形する場合、下向きの分力が働いて取付けボス18が取付け孔19内において空間部19a側にずれやすくなり、アッパートリム側取付けフランジ部17に対するロアトリム側取付けフランジ部16をより変形しやすくして、衝撃吸収を更に確実なものとすることができる。
【0031】
また、図7は本発明に係る第3の実施の形態を示す図2と同様の拡大図であり、上記2つの実施の形態に比較した場合、取付け孔19の形状を変更したものである。
【0032】
即ち、取付け孔19は、取付け用ボスが挿入装着されている下端側壁部が取付けボス18の外径とほぼ同じ内径を有するも、上部側に位する空間部19a側が取付けボス19の外径より縮径状に形成されたものであり、アッパートリム側取付けフランジ部17に対するロアトリム側取付けフランジ部16が折曲されるべくずれた際に、取付け用ボス18が縮径状の空間部19aを潜り抜けることによって空間部19aの壁面を擦動したり或いは剥離させる等することによって、この部位における衝撃吸収機能を向上させることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、取付けボス18をロアトリム側取付けフランジ16に設け、取付け孔19をアッパートリム側取付けフランジ部17に設けたが、これに限定されることなく、取付けボス18をアッパートリム側取付けフランジ部17に設け、取付け孔19をロアトリム側取付けフランジ16に設けてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、通常時には、取付けボスが取付け孔の一方側に寄せた状態が保持されて、例えばアームレストを介して乗員の腹部等の押付け力が加わった場合には、ロアトリム自体の剛性と相俟って取付けボスが取付け孔の上・下端側壁部の一方に当接して、上記押付け力を受けることができる。
【0035】
また、車両の側突時に空間部内を取付け用ボスが摺動することによって、アッパートリムに対してロアアームが変形して側突衝撃を吸収することになって、従来のようなアームレストの設置付近を貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成する必要がなく、通常の使用状態において剛性が高い車両の内装部品構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態を採用したドアトリム構造の縦断面図である。
【図2】図1のA矢視方向から描画した拡大図である。
【図3】通常時における図1のB円内の拡大図である。
【図4】同じく側突時による変形状態を描画した図1のB円内の拡大図である。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態における図3と同様な拡大図である。
【図6】同じく図4と同様な拡大図である。
【図7】本発明に係る第3の実施の形態における図2と同様な拡大図である。
【図8】従来のドアトリム構造の縦断面図である。
【図9】図8におけるC矢視図である。
【図10】通常時における図8のD円内の拡大図である
【図11】側突時における図8のD円内の拡大図である。
【符号の説明】
11 ドアトリム本体(内装部品本体)
12 アッパートリム
13 ロアトリム
14 アームレスト
15 棚部
16 ロアトリム側取付けフランジ部
17 アッパートリム側取付けフランジ部
18 取付けボス
19 取付け孔
19a 空間部
Z 白抜き矢印(側突作用方向)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の車体における車室側を内装する車両用内装部品構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両用内装部品構造例えば自動車のドアトリム構造としては、ドアトリム本体が単一構成体のものもあるが、図8及び図9に示すように、ドアトリム本体1をアッパートリム2とロアトリム3とに二分割するとともに、両者を接合して構成し、所定部位にアームレスト4を装着しているものが知られている (特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭58−54917公報(第2図)
【0004】
そして、ロアトリム3の所定部位にアームレスト装着用の略水平上の棚部5を形成し、ロアトリム3における棚部5より先端部側に下向きに延在するロアトリム側取付けフランジ部6を形成するとともに、取付けフランジ部6に対向してアッパートリム2の下端側に下向きに延在するアッパートリム側取付けフランジ部7を形成して、アッパートリム側フランジ部7とロアトリム側取付けフランジ部6とを重合し、ロアトリム側取付けフランジ部6に突設した複数個の取付け用ボス8をアッパートリム側取付けフランジ部7に形成した複数個の取付け孔9にそれぞれ挿入取着して、アッパートリム2及びロアトリム3を一体にして構成している。
【0005】
棚部5には、アームレスト4の背面壁41側をアッパートリム2側に押付けた状態で、その下面壁42が載置され、係着部4aを棚部5に係着することによってアームレスト4が装着されている。
【0006】
このように構成する従来のドアトリムにおいては、図10に示す通常状態で、自動車の側突時等において、白抜き矢印方向から乗員の腹部10等が衝接して衝撃が加えられた場合、図11に示すように、棚部5とロアトリム側取付けフランジ部7とが例えば逆V字状に折曲して、アームレスト4の発泡体からなる芯材4bの弾性変形と共に、乗員の腹部10等を側突衝撃から保護している。
【0007】
このために、棚部5付近の構造は、側突時に折曲できるように、多数の貫通孔を設けたり、一般部位より薄肉状に形成したり或いは剛性部材としてのリブを廃止したりして脆弱に形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このために、ドアトリムの通常の使用状態では、アームレスト4の周囲が強度不足となってしまうことがある。又、側突衝撃吸収時に、ロアトリム3がアームレスト4によって車体左右方向に押圧されてせん断方向の力が加わることになるが、このせん断方向の力がロアトリム3に加わった場合割れを生じることになり、この割れがロアトリムのどの部位に働いて割れを生じるかを設計管理するのが非常に難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、かかる点に鑑み、ドアトリム等の内装部品において、貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成せずして側突衝撃を緩和する構造を構成して、通常の使用状態における剛性を高めた車両の内装部品構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、上下二分割されたアッパートリムとロアトリムとにより内装部品本体を構成し、ロアトリムの先端部側にロアトリム側取付けフランジ部を形成するとともに、ロアトリム側取付けフランジ部に対向してアッパートリムにおいてアッパートリム側取付けフランジ部を形成して、アッパートリム側取付けフランジ部とロアトリム側取付けフランジ部を重合し、ロアトリム側取付けフランジ部及びアッパートリム側取付けフランジのうち一方側に突設した取付け用ボスを他方側に形成した取付け孔に挿入取着して、アッパートリム及びロアトリムを一体に構成した車両の内装部品構造であって、取付け孔を内装部品本体の上下方向において長孔に形成するとともに、取付け用ボスを取付け孔の一方側に寄せた状態で挿入装着して、取付け孔に空間部を形成し、側突時に空間部内を取付け用ボスが移動することによってアッパートリムに対してロアトリムを変形させて側突衝撃を吸収するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成によって、本発明は、通常時には、取付けボスが取付け孔の一方側に寄せた状態が保持されて、例えばアームレストを介して乗員の腕等の押付け力が加わった場合には、ロアトリム自体の剛性と相俟って取付けボスが取付け孔の上・下端側壁部の一方に当接して、上記押付け力を受けることができる。
【0012】
また、車両の側突時に空間部内を取付け用ボスが摺動することによって、アッパートリムに対してロアトリムを変形させて側突衝撃を吸収することになって、従来のようなアームレストの設置付近を貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成する必要がなく、通常の使用状態において剛性が高い車両の内装部品構造を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、アッパートリム側取付けフランジ部とロアトリム側取付けフランジ部とを内装部品本体に対する側突作用方向に対して傾斜するように重合させて構成することにより、側突時に乗員の腹部等が内装部品本体に衝接した場合に、アッパートリム側取り付けフランジ部に対してロアトリム側取付けフランジ部がずれやすくなって、これにより側突衝撃をより確実に吸収することができる。
【0014】
また、本発明は、ロアトリムにおけるアッパートリムとの接合付近に車室側に膨出するアームレスト取付け用の棚部を形成し、棚部を内装部品本体における車室側から車外側に向って上向きとなる傾斜面となるように形成することによって、側突時にアームレストを介して伝達された乗員等の衝撃に対して、棚部付近が変形してアッパートリム側取付けフランジ部に対するロアトリム側取付けフランジ部がずれやすくなって、衝撃吸収を更に確実なものとできる。
【0015】
また、本発明は、取付け孔を取付け用ボスが挿入装着されている部位よりも空間部側を縮径状に形成することにより、アッパートリム側取付けフランジ部に対するロアトリム側取付けフランジ部がずれた際に、取付け用ボスが縮径状の空間部を潜り抜けることによって空間部壁を擦動させる等することになって衝撃吸収機能を益々確実なものにできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における第1の実施の形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明に係る第1の実施の形態を採用した内装部品例えばドアトリム構造の縦断面図、図2は図1のA矢視方向から描画した拡大図、図3は通常時における図1の円内の拡大図、図4は同じく側突時による変形状態を描画した図1の円内の拡大図である。
【0018】
図において、内装部品本体例えばドアトリム本体11は、上下二分割されたアッパートリム12とロアトリム13とにより構成している。
【0019】
ロアトリム13の所定部位には、車室X側に膨出するように略水平状の棚部15が形成されていて、棚部15には、アームレスト14の背面壁41側をアッパートリム12側に押付けた状態で、アームレスト14が係着部14aを棚部15の係着孔15aに係着することによって装着されている。
【0020】
そして、ロアトリム13の棚部15より上端側先端部には、下向きに延在するロアトリム側取付けフランジ部16が形成されているとともに、アッパートリム12の下端部には、ロアトリム側取付けフランジ部16に対向して下向きに延在するアッパートリム側取付けフランジ部17が形成されている。
【0021】
ロアトリム側取付けフランジ部16とアッパートリム側取付けフランジ部17とは、互いに重合した状態で、図3の白抜き矢印Zで示すドアトリム本体11に対する側突作用方向に対して、車室X側に傾斜する傾斜形状を呈している。
【0022】
更に、ロアトリム側取付けフランジ部16とアッパートリム側取付けフランジ部17との重合状態において、アッパートリム12とロアトリム13とを接合装着するために、ロアトリム側取付けフランジ部16には、複数個の取付けボス18が突設され、アッパートリム側取付けフランジ部17には、取付けボス18が挿入する取付け孔19が形成されている。取付けボス18の取付け部19からの挿通部位を熱加締め等することによって加締め装着しており、この結果、アッパートリム12とロアトリム13とは、互いに接合しあって一体構造のドアトリム本体11を構成している。
【0023】
また、取付け孔19は、図2に示すようにドアトリム本体11の上下方向に長孔形状に形成されており、通常時には、その下端部壁側に取付けボス18を寄せた状態で取付けボス18を挿入装着しており、上端部側は空間部19aとなっている。
【0024】
このように構成する第1の実施の形態においては、通常時には、取付けボス18が取付け孔19の下端側壁部側に寄せた状態が保持されて、例えばアームレスト14を介して乗員の腹部20等により下方向の押付け力が加わった場合には、ロアトリム13自体の剛性と相俟って、取付けボス18が取付け孔19の下端側壁部に当接して、上記押付け力を受けることができる。
【0025】
また、車両の側突時において、乗員の腹部20等により図3の白抜き矢印方向に衝撃が加わった場合、図4に示すように、自動車の側突時等において、乗員の腹部20等が衝接した場合、棚部15とロアトリム側取付けフランジ部16とが例えば逆V字状に折曲して、アームレスト4の発泡体からなる芯材4bの弾性変形と共に、乗員の腹部20等を側突衝撃から保護している。
【0026】
この時、取付けボス18が、取付け孔19の下端側壁部から上方に移動することになって、棚部15とロアトリム側取付けフランジ部16との折曲変形をしやすくしており、これにより従来のような貫通孔や薄肉部等を設けたり剛性部材としてのリブを廃止したりすることによる脆弱部を形成する必要がなく、この分通常時のドアトリム本体の剛性を高めることができる。
【0027】
また、アッパートリム側取付けフランジ部17とロアトリム側取付けフランジ部16とをドアトリム本体11に対する側突作用方向(図3の白抜き矢印Z方向)に対して傾斜するように重合させて構成することにより、側突時に乗員の腕等がドアトリム本体11に衝接した場合に、アッパートリム側取り付けフランジ部17に対してロアトリム側取付けフランジ部16がずれやすくなって、これにより側突衝撃をより確実に吸収することができる。
【0028】
図5は本発明に係る第2の実施の形態を示す図3と同様な拡大図であり、これによれば、ロアトリム13におけるアッパートリム12との接合付近に車室X側に膨出するアームレスト14を取付けるための棚部15を形成し、棚部15をトリム本体11における車室X側から車外Y側に向って上向きとなる傾斜面に形成する点が第1の実施の形態と異なっている。
【0029】
そして、この傾斜面に対応して、アームレスト14の下面壁42も傾斜面に形成されているも、アームレスト4の上面壁43は白抜き矢印Zで示す側突作用方向に対して略水平面となっていて、乗員の腹部20等を掛けるのに支承がないようになっている。
【0030】
かかる第2の実施の形態によれば、側突時にアームレスト14を介して伝達された乗員等からの白抜き矢印方向の衝撃に対して、図6に示すように、棚部15とロアトリム側取付けフランジ部16とが略逆V字状に変形する場合、下向きの分力が働いて取付けボス18が取付け孔19内において空間部19a側にずれやすくなり、アッパートリム側取付けフランジ部17に対するロアトリム側取付けフランジ部16をより変形しやすくして、衝撃吸収を更に確実なものとすることができる。
【0031】
また、図7は本発明に係る第3の実施の形態を示す図2と同様の拡大図であり、上記2つの実施の形態に比較した場合、取付け孔19の形状を変更したものである。
【0032】
即ち、取付け孔19は、取付け用ボスが挿入装着されている下端側壁部が取付けボス18の外径とほぼ同じ内径を有するも、上部側に位する空間部19a側が取付けボス19の外径より縮径状に形成されたものであり、アッパートリム側取付けフランジ部17に対するロアトリム側取付けフランジ部16が折曲されるべくずれた際に、取付け用ボス18が縮径状の空間部19aを潜り抜けることによって空間部19aの壁面を擦動したり或いは剥離させる等することによって、この部位における衝撃吸収機能を向上させることができる。
【0033】
なお、上記実施の形態においては、取付けボス18をロアトリム側取付けフランジ16に設け、取付け孔19をアッパートリム側取付けフランジ部17に設けたが、これに限定されることなく、取付けボス18をアッパートリム側取付けフランジ部17に設け、取付け孔19をロアトリム側取付けフランジ16に設けてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、通常時には、取付けボスが取付け孔の一方側に寄せた状態が保持されて、例えばアームレストを介して乗員の腹部等の押付け力が加わった場合には、ロアトリム自体の剛性と相俟って取付けボスが取付け孔の上・下端側壁部の一方に当接して、上記押付け力を受けることができる。
【0035】
また、車両の側突時に空間部内を取付け用ボスが摺動することによって、アッパートリムに対してロアアームが変形して側突衝撃を吸収することになって、従来のようなアームレストの設置付近を貫通孔や薄肉等による脆弱部を形成する必要がなく、通常の使用状態において剛性が高い車両の内装部品構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態を採用したドアトリム構造の縦断面図である。
【図2】図1のA矢視方向から描画した拡大図である。
【図3】通常時における図1のB円内の拡大図である。
【図4】同じく側突時による変形状態を描画した図1のB円内の拡大図である。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態における図3と同様な拡大図である。
【図6】同じく図4と同様な拡大図である。
【図7】本発明に係る第3の実施の形態における図2と同様な拡大図である。
【図8】従来のドアトリム構造の縦断面図である。
【図9】図8におけるC矢視図である。
【図10】通常時における図8のD円内の拡大図である
【図11】側突時における図8のD円内の拡大図である。
【符号の説明】
11 ドアトリム本体(内装部品本体)
12 アッパートリム
13 ロアトリム
14 アームレスト
15 棚部
16 ロアトリム側取付けフランジ部
17 アッパートリム側取付けフランジ部
18 取付けボス
19 取付け孔
19a 空間部
Z 白抜き矢印(側突作用方向)
Claims (4)
- 上下二分割されたアッパートリムとロアトリムとにより内装部品本体を構成し、前記ロアトリムの先端部側にロアトリム側取付けフランジ部を形成するとともに、このロアトリム側取付けフランジ部に対向して前記アッパートリムにおいてアッパートリム側取付けフランジ部を形成して、このアッパートリム側取付けフランジ部と前記ロアトリム側取付けフランジ部を重合し、ロアトリム側取付けフランジ部及びアッパートリム側取付けフランジのうち一方側に突設した取付け用ボスを他方側に形成した取付け孔に挿入取着して、前記アッパートリム及びロアトリムを一体に構成した車両の内装部品構造であって、
前記取付け孔を前記内装部品本体の上下方向において長孔に形成するとともに、前記取付け用ボスを前記取付け孔の一方側に寄せた状態で挿入装着して、前記取付け孔に空間部を形成し、側突時に前記空間部内を前記取付け用ボスが移動することによって前記アッパートリムに対して前記ロアトリムを変形させて側突衝撃を吸収するように構成したことを特徴とする車両の内装部品構造。 - 前記アッパートリム側取付けフランジ部と前記ロアトリム側取付けフランジ部を前記内装部品本体に対する側突作用方向に対して傾斜するように重合させたことを特徴とする請求項1記載の車両の内装部品構造。
- 前記ロアトリムにおける前記アッパートリムとの接合付近に車室側に膨出するアームレスト取付け用の棚部を形成し、この棚部が、前記内装部品本体における車室側から車外側に向って上向きとなる傾斜面となるように形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の内装部品構造。
- 前記取付け孔は、前記取付け用ボスが挿入装着される部位よりも空間部側を縮径状に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の車両の内装部品構造。
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-
2003
- 2003-05-12 JP JP2003133530A patent/JP2004331013A/ja active Pending
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