JP2004330990A - 自動二輪車のエンジン冷却水用配管の取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダウンチューブ3にエンジンの前部を支持するブラケット6が取り付けられ、このブラケット6にラジエータ9から冷却水をウォータポンプ12に導出する導出パイプ13に当接して導出パイプ13の移動を拘束する拘束部61が形成されている。ラジエータ9は左右一対に分割されたラジエータ9A,9Bからなり、導出パイプ13は、ラジエータ9A,9Bに接続された分岐パイプ部13A,13Bと、前記分岐パイプ部13A,13Bを集合してウォータパイプ12に接続する集合パイプ部13Cとを有している。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車のラジエータ取付構造に関し、特にモトクロス競技等で使用されるオフロード系自動二輪車に最適なラジエータ取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モトクロス競技等で使用されるオフロード系自動二輪車のラジエータは、走行中に巻き上げた泥や土等が付着しにくく、かつ冷却風を直接受けやすいように、車体フレームのダウンチューブの比較的高い位置に配置されている。このようなオフロード系自動二輪車のうち、排気量が大きい大型タイプでは設置スペース上の制約から、一対の小型のラジエータを左右に配置した構成とし、各ラジエータを、ダウンチューブの左右両側に取り付けている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭61−119891号(第6頁第14行目〜第19行目および第4図)。
【0004】
前記構成のラジエータでは、エンジンのシリンダヘッドを出た冷却水が各ラジエータ上部のアッパータンクに導入され、コアを通って放熱したのち、各ラジエータ下部のロアタンクに入る。各ロアタンクには、それぞれ冷却水導出用ホースが接続され、これらのホースを樹脂製または金属製のY形もしくはT形ジョイントを介して1本の集合ホースに集合し、この集合ホースをエンジンのウォータポンプに接続している。これにより、冷却水がロアタンクからウォータポンプ側に導出され、再び、高温のシリンダやシリンダヘッドを冷却するために循環される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、エンジンのコンパクト化により車体におけるエンジンの高さが低くなったことに伴い、シリンダヘッドが下がり、エキゾーストパイプの位置が下がったので、このエキゾーストパイプと前記冷却水用ホースとがより近接するようになった。この結果、車体が上下にバウンドするときの振動やフロントフォーク内の摺動(ストローク)等によって前記冷却水用ホースが上下に揺動すると、冷却水用ホースがエキゾーストパイプに干渉しやすくなる。このため、現在では、前記冷却水用ホースをクランプなどで動かないように拘束しているが、コストや組立工数がかかるうえに、外観も劣る。また、前記ラジエータの配管構造によれば、途中にY形もしくはT形ジョイントを使用しているので、このジョイントに接続するためにホースにクランプ取付部として直線部分が必要になり、全体としてホースが長くなる。このように、ジョイントを使用するうえ、ホースも長くなると、ある程度余裕のある取付スペースが必要となり、ラジエータ取付構造の軽量・コンパクト化が望まれるオフロード系自動二輪車には特に不利である。また、ジョイント、クランプ等の取付部品や組付工数の増加はコストアップの一因にもなっている。
【0006】
そこで、本発明の第1の目的は、前記課題に鑑みてなされたもので、より簡単な構成でエキゾーストパイプと冷却水用ホースの干渉を防止でき、しかも取付部品および組付工数の削減が図れてコストダウンとなるとともに、外観にも優れた自動二輪車のラジエータ取付構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、冷却水用ホースのジョイントを不要にして、軽量・コンパクト化と、部品点数および組立工数の低減を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するために、本発明に係る自動二輪車のエンジン冷却水用配管の取付構造は、車体フレームにラジエータが支持されるとともに、車体フレームのダウンチューブにエンジンの前部を支持するブラケットが取り付けられ、前記ブラケットにラジエータから冷却水をウォータポンプに導出する導出パイプに当接して導出パイプの移動を拘束する拘束部が形成されている。
【0008】
この構成によれば、前記ブラケットに導出パイプの移動を拘束する拘束部を形成するだけで、エンジンの前部の支持と導出パイプの移動拘束を同時に実現することができる。前記導出パイプの移動を拘束できるので、エキゾーストパイプとの干渉を未然に防止できる。また、前記導出パイプの移動を拘束するための専用の取付部品が不要となることから、取付部品と組付工数を削減でき、コストダウンが実現される。さらに、前記専用の取付部品がないので、導出パイプの取付構造がシンプルとなり、外観も向上する。
【0009】
前記第1および第2の目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態では、前記ラジエータは一対が左右に配置されており、前記導出パイプは、前記各ラジエータに接続された分岐パイプ部と、2本の分岐パイプ部を集合してウォータポンプに接続する集合パイプ部とを有し、全体が一体成形物であるハイプ材で形成されている。
【0010】
この構成によれば、大きな冷却能力を有する左右に配置された一対のラジエータにおいて、2本の分岐パイプ部と集合パイプ部とが一体成形された導出パイプを用いるので、2本の分岐パイプ部と集合パイプ部とを接続するジョイント部が不要となり、部品点数の削減および組付工数の削減が図れる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車のラジエータ取付構造を示す正面図、図2は同じくラジエータ取付構造の要部を示す拡大斜視図である。
【0012】
図1において、車体フレームFの一部を構成する二股のメインフレーム1の前端に、前輪用のフロントフォーク(図示せず)を回動自在に支持するヘッドパイプ2が取り付けられ、このヘッドパイプ2の下部には車体フレームFの単一のダウンチューブ3が取り付けられている。ダウンチューブ3の下端部とメインフレーム1の下端部の間は、左右一対のロワチューブ4によって連結されている。前記メインフレーム1の中間部にはシート5が装着されるシートレール20が取り付けられ、前記メインフレーム1の下部には第1および第2のリヤフレーム21,22が取り付けられている。メインフレーム1の中間部とダウンチューブ3との間には補助フレーム24が連結されている。シート5の前方には、ヘッドパイプ2の後方の車体上部を覆うカバー(フェアリング)26が取り付けられ、空気抵抗を小さくするとともに、冷却や吸入空気をコントロールしている。
【0013】
エンジンEは、前記メインフレーム1に対し、後部のエンジンマウント81を利用してスイングアームの前端部と同心状に支持され、前記ダウンチューブ3にボルト(図示せず)で取り付けられた各一対のブラケット6,7を利用して前部および下部のエンジンマウント82,83にてボルト締めすることで車体に支持されている。このエンジンEには、排気を後方(図1の左方)に排出する排気パイプ16が取り付けられている。
【0014】
前記ダウンチューブ3の上部位置の側面には、図2に示すように、ダウンチューブ3を挟んで左右に配置された一対のラジエータ9A、9Bが、ラジエータブラケット95,96を介してボルト100のような取付手段で取り付けられ、これらのラジエータ9A,9Bは、一対で必要な放熱能力を得る放熱装置9を構成している。ラジエータブラケット95,96は、ダウンチューブ3の左側面(図2の右側)にも設けられている。これら一対のラジエータ9A,9Bの上部には、それぞれアッパータンク91A,91Bが形成され、かつ、これらアッパータンク91A,91Bの間は、ダウンチューブ3の後側に位置して左右方向に延びる連通パイプ93で接続され、ラジエータ9A,9Bの下部には、それぞれロワタンク92A,92Bが形成されている。
【0015】
図1において、車体右側のアッパータンク91BとエンジンEのシリンダヘッド10との間は、シリンダおよびシリンダヘッド10を冷却した冷却水をラジエータ9Bのアッパータンク91Bに導入する耐熱ゴム製の導入パイプ11が接続され、この導入パイプ11から導入された冷却水が、アッパタンク91Bと、図2に示す連通パイプ93を介してアッパータンク91Aとに入る。アッパータンク91A,91Bに一旦入った冷却水はそれぞれ、ラジエータ9A,9Bのコア93A,93B内を通過する過程で十分冷却された後、ロワタンク92A,92Bに入る。なお、図1に示す導入パイプ11とアッパタンク91Bに固定された金属製の入口パイプ18との間は、クランプ15によって固定されている。
【0016】
一方、図2のラジエータ9A,9Bのロワタンク92A,92Bと、ウォータポンプ12との間は、ロワタンク92A,92Bに溜められた冷却水をウォータポンプ12に導出する導出パイプ13により接続されている。
【0017】
前記導出パイプ13は、正面図である図3、平面図である図4および側面図である図5に示すように、2本の分岐パイプ部13A,13Bと、これら分岐パイプ部13A,13Bを集合した集合パイプ部13Cとを有し、この導出パイプ13の全体が一体成形物のパイプ材で形成されている。この一体成形物としては、例えばカーボンファイバー入りの加硫成形されたゴムホースを用いる。車体左側の分岐パイプ部13Aは、その水平部分の車体中央部位に、ゴムまたはビニール等で形成されたプロテクタチューブ14が被覆されている。車体左側の第1分岐パイプ部13Aは、上流端から下流側へ向かって下降しながら後退するように曲がったのち、ほぼ水平に車体右側へ延びている。他方、車体右側の第2分岐パイプ部13Bは、下降しながら後退するように曲がり、下流端部で第1分岐パイプ部13Aの下流端部に接続されて、集合パイプ部13Cに連続する。
【0018】
前記第1及び第2分岐パイプ部13A,13Bの上流端部は、図2に示すラジエータ9A,9Bのロワタンク92A,92Bの出口部に固定された金属製の出口パイプ19,19(例えばアルミパイプ)に接続され、前記集合パイプ部13Cの下流端部は、エンジンEの一側部(この例では右側部)に位置するウォータポンプ12の入口部に固定された金属製の入口パイプ11(例えばアルミパイプ)に接続され、それぞれ、クランプ15によって固定されている。分岐パイプ部13Aの水平部分はダウンチューブ3の後側を左右方向に通過している。
【0019】
前記導出パイプ13は、その分岐パイプ部13Aの途中部分に被覆したプロテクタチューブ14を、ダウンチューブ3の左右両側面に取り付けた1対のブラケット6,6に一体形成した拘束部61に当接させることにより、導出パイプ13の移動を拘束している。
【0020】
前記ブラケット6は、具体的には、図6に示すように、分岐パイプ部13Aの周囲を左側半分程度を拘束できるように、半円状の拘束部61を有しており、この拘束部61の、例えば上半分に、プロテクタチューブ14を介して前記分岐パイプ部13Aを当接させることで、これを上方および前方に移動しないように拘束している。このように、分岐パイプ部13Aを移動しないように拘束すると、モトクロス競技などで車体に上下方向の大きな振動や摺動力が加わっても、前記分岐パイプ部13Aが移動せず、排気パイプとの干渉が防止される。なお、ブラケット6の取付孔6a,6bには、ダウンチューブ3への取付用ボルト101(図2)が挿通され、取付孔6cもエンジンマウント82の取付孔に重合して、取付用ボルト102(図2)が挿通される。このブラケット6は、例えばアルミニウム合金のような板金製であり、プレス成形される。なお、拘束部61は、一方のブラケット6のみに設けてもよい。
【0021】
上記構成のラジエータ取付構造を採用した自動二輪車において、図2に示す導出パイプ13を構成する分岐パイプ部13A,13Bのうちの一方を、ダウンチューブ3とエンジンEとを固定する1対のブラケット6,6に設けた拘束部61に拘束させているので、車体が上下に大きくバウンドしても前記分岐パイプ部13Aは上下に動くことがない。この結果、前記分岐パイプ部13Aを含めた導出パイプ13が排気パイプ16と干渉することが防止される。また、このブラケット6は、エンジンEの前部を車体フレームのダウンチューブ3に支持するのに加え、前記分岐パイプ部13Aを動かないように拘束できるので、別体の拘束部材で導出パイプ13を拘束する場合に比べて、部品点数の削減とコストダウンを実現できるとともに、構造がシンプルとなって外観も向上する。
【0022】
さらに、ラジエータ9とウォータポンプ12とを接続する導出パイプ13の全体、つまり、分岐パイプ部13A,13Bと集合パイプ部13Cとが、一体形成されているから、これら各部を別体で形成した場合と異なり、導出パイプ13の途中にジョイントが不要になるので、部品点数および組立工数が削減される。
【0023】
ブラケット6としては、図6に示した構造のほか、図7に示す変形例1のように、完全円形の拘束部62を有するものであってもよい。これにより、分岐パイプ部13Aは、上下、前後のすべての方向への移動を拘束できる。
【0024】
また、図8に示す変形例2のように、車体左側のブラケット6Aには分岐パイプ13Aの上面に当接する半円状の拘束部63Aを設け、他方のブラケット6Bには前記拘束部63Aとは逆向きに、分岐パイプ部13Aの下面に当接する半円状の拘束部63Bを設けたものであってもよい。この場合、分岐パイプ部13Aは、ダウンチューブ3の左右両側のブラケット6A,6Bの拘束部63A,63Bの上下2点で支持されるので、分岐パイプ部13Aをより安定して拘束することができる。前記ブラケット6A,6Bとして、拘束部63A,63Bの上下両側にエンジンマウント用の取付孔6cを有するものを使用すれば、両ブラケット6A,6Bを共通化できる。その場合、左右のブラケット6A,6Bは外に上下反転させて配置し、下側の取付孔6cをエンジンマウント82(図2)の取付けに使用する。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られることなく、本発明の主旨を損なわない限り、種々変更して実施可能である。例えば、前記導出パイプ13は、前記各ラジエータ9A,9Bに接続された分岐パイプ部13A,13Bと、これら2本の分岐パイプ部13A,13Bを集合してウォータポンプ12に接続する集合パイプ部13Cとが別体で形成されてY形またはT形ジョイントで接続された場合であっても、本発明を適用でき、導出パイプ13を拘束できる効果を得ることができることは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る自動二輪車のエンジン冷却水用配管の取付構造によれば、車体フレームのダウンチューブに取り付けられ、エンジンの前部を支持するブラケットに拘束部を形成し、拘束部に導出パイプを当接するという簡単な構成で導出パイプの移動を拘束でき、導出パイプと排気パイプの干渉をなくすることができる。また、前記導出パイプの移動を拘束するための専用の取付部品が不要となって、取付部品および組付工数の削減が図れ、コストダウンとなる。さらに、取付部品を削減できることで、前記導出パイプの構造がシンプルになって外観も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車のエンジン冷却水用配管の取付構造を示す側面図である。
【図2】同自動二輪車のラジエータ取付構造の要部を示す拡大前方斜視図である。
【図3】導出パイプの正面図である。
【図4】同じく導出パイプの平面図である。
【図5】同じく導出パイプの側面図である。
【図6】ブラケットの側面図である。
【図7】ブラケットの変形例1を示す側面図である。
【図8】ブラケットの変形例2を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…メインフレーム
2…ヘッドパイプ
3…ダウンチューブ
6…ブラケット
9…放熱装置
9A,9B…ラジエータ
12…ウォータポンプ
13…導出パイプ
13A,13B…分岐パイプ部
13C…集合パイプ部
61,62,63A,63B…拘束部
F…車体フレーム
Claims (2)
- 車体フレームにラジエータが支持されるとともに、車体フレームのダウンチューブにエンジンの前部を支持するブラケットが取り付けられ、前記ブラケットに、ラジエータから冷却水をウォータポンプに導出する導出パイプに当接して導出パイプの移動を拘束する拘束部が形成されている自動二輪車のエンジン冷却水用配管の取付構造。
- 請求項1において、前記ラジエータは一対が左右に配置されており、前記導出パイプは、前記各ラジエータに接続された分岐パイプ部と、2本の分岐パイプ部を集合してウォータポンプに接続する集合パイプ部とを有し、全体が一体成形物であるハイプ材で形成されている自動二輪車のエンジン冷却水用配管の取付構造。
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