JP2004330526A - 吸水シートおよびこれを成型してなる紙トレー並びに紙容器 - Google Patents

吸水シートおよびこれを成型してなる紙トレー並びに紙容器 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、ドリップや水分を吸収しても吸水紙層が剥がれたりすることがなく、また吸水した水分が逆流して吸水シートからしみ出ることがなく、かつ内容物が乾燥して品質低下することのない吸水シートに関する。
【解決手段】原紙に、パルプ繊維を主体とした吸水紙層を熱可塑性樹脂層を介してサンドイッチラミネートし、前記吸水紙層の上に合成樹脂からなる非透水層を設け、該非透水層に多数の切目を穿ってなる吸水シートにおいて、前記吸水紙層が、湿潤紙力増強剤を添加して抄造されたものであり、前記切目が、非透水層の表面側から非透水層を貫通し、かつ熱可塑性樹脂に達しない深さに設定された断続的なミシン目状に形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は食料品等を包装する際に容器包装中の中敷や真空包装の台紙に用いられる吸水シートおよび吸水シートを成型してなる紙トレー並びに紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より食肉や魚類、野菜類などの生鮮食品やそれを冷凍したもの、シュウマイや餃子などの惣菜類を冷凍したものなどの食品包装においては包装体中の食品類からドリップや水分のしみ出しがあり、これによる品質低下を抑えるために包装体中にドリップや水分を吸収するシート状の吸水体が中敷や台紙として敷設されていることが多い。この吸水体として用いられている吸水中敷や台紙の構成としては、親水性で保水能力の高い紙パルプや高分子吸水剤を塗工したシートを吸水材とし、水分を透過する孔を設けたフィルムを貼合し、反対面に非透水性のフィルムを貼合するものが提案されている(例えば特開平7−257657号公報など)。
また、上記の構成をさらにベースとなる紙に積層してプレス成型を行いトレー自体が吸水機能を有する構成も提案されている(例えば特開2001−301107号公報)。
しかしながら、高分子吸水剤を吸水材として用いた場合は高分子吸水剤は粉状または小さな顆粒状であり吸水すると膨潤するが基材から脱離してしまい、軟化しているため表面に開けられた孔から外へ湧出してしまうことがあるという問題があった。
一方、吸水紙を吸水材として用いる場合は吸水紙層の湿潤時の強度に問題点があった。すなわち、吸水紙層の湿潤強度が弱いためドリップや水分を吸収した際に吸水紙層が膨潤して強度低下を起こし、吸水層内で剥離が発生する場合があった。大幅な吸水層の強度低下が発生すると、特に冷凍食品包装の場合などに見られるが、解凍して食品を取り出そうとした際に吸水シートと食品が接触した部分で食品に吸水シートの表面が貼りついて剥がれてしまうことがあった。また、全面で吸水層の剥離が発生すると吸水シートとしての役をはたせなくなるという問題があった。
また、上記した両者に共通した問題として、吸水性能が強いため内容物の穿孔部に接した部分で内容物から積極的に水分を奪い、部分的に乾燥状態となり、かえって品質を低下させてしまう場合もあった。さらには吸水材層に吸収された水分量が一定量を越えると穿孔部分から逆流して滲み出てきてしまう場合があるという欠点があった。
【0003】
【特許文献1】
特許第3160188号公報(特許公報2頁右欄12〜27行目)2層からなり、切目が段差状に形成された構造。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、吸水紙として湿潤紙力増強剤を添加して抄造されたものを用い、穿孔は非透水層表面側から非透水層を貫通しかつ熱可塑性樹脂に達しないハーフカットのミシン目状の切目とすることにより前記欠点を解消し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明が解決しようとする課題は、食料品等を包装する際に中敷や台紙、または包装体本体として用いられる吸水シートにおいて、ドリップや水分を吸収しても吸水紙層が剥がれたりすることがなく、また吸水した水分が逆流して吸水シートからしみ出ることが防止され、かつ内容物が切目に接しても乾燥状態となり品質低下することのない吸水シートを提供することにある。
また、本発明では、前記吸水シートを成型してなる紙トレー並びに紙容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の吸水シートの発明では、
原紙に、パルプ繊維を主体とした吸水紙層を熱可塑性樹脂層を介してサンドイッチラミネートし、前記吸水紙層の上に合成樹脂からなる非透水層を設け、該非透水層に多数の切目を穿ってなる吸水シートにおいて、
前記吸水紙層が、湿潤紙力増強剤を添加して抄造されたものであり、
前記切目が、非透水層の表面側から非透水層を貫通し、かつ熱可塑性樹脂に達しない深さに設定された断続的なミシン目状に形成されている、という技術的手段を講じている。
また、請求項2の発明では、前記切目の深さが、吸水紙層の中途位置まで延びている、という技術的手段を講じている。
更に、請求項3の発明では、前記切目がミシン刃を用いて形成されており、該ミシン刃の凸部分の長さAと凹部分の長さBの比A/Bを0.1〜9.0とした、という技術的手段を講じている。
請求項4の発明では、前記吸水シートを成型して紙トレーとする、という技術的手段を講じている。
更に、請求項5の発明では、同様に前記吸水シートを成型して紙容器とする、という技術的手段を講じている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の吸水シート10の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明において原紙1としてはパルプ繊維すなわち天然繊維、合成繊維またはこれらの混合物を抄造して得られるものであればよく、特に制限はない。
抄造に用いられる天然繊維としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、グランドパルプ、サーマル−メカニカルパルプなどの木材繊維、綿糸、サトウキビ、竹、麻などをパルプ化した植物繊維、あるいは羊毛や絹糸などの動物性繊維等が上げられる。
【0007】
また、前記合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、または酢酸セルロースなどを繊維化した合成パルプなどがあげられる。
これら繊維から得られた原紙の中では、機械的性質、熱的性質等の点から木材繊維又は植物繊維を30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上含むものが好ましい。
【0008】
また、段ボールや雑誌、新聞、ミルクカートンなどの故紙を使用していても良いが、食品包装に用いる場合はその包装形態にもよるがパルプ繊維のみであることが望ましい。
また、原紙1は、必要に応じてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、染料、填料などが含有されていても良い。さらにはクレーコートや印刷などが施されていてもよい。
【0009】
上記原紙1の坪量は用途や包装形態、容量によって任意に選定すればよいが、60〜600g/mのものが好適に使用できる。例えば吸水シートをそのまま中敷として用いる場合は60〜400g/m、絞り成型などでトレー形態とする場合は100〜500g/m、そのまま真空パックの吸水台紙として用いる場合やカップ型や紙箱などの容器に用いる場合は150〜600g/m程度の坪量のものが好適に使用できる。
【0010】
吸水シートをそのまま吸水中敷として用いる場合は、上記原紙の抄造時においてサイズ剤無添加または低添加として裏回りしたドリップや水分を吸水する吸水紙の吸水補助機能を持たせることもできる。
逆にサイズ剤高添加として耐水性を持たせてもよく、この場合は吸水紙を積層するのとは反対面にポリエチレンなどをラミネートしたり溌水剤を塗工してもよい。カップ型や紙箱などの場合は耐水性を有するものであることが好ましい。
【0011】
次に、吸水紙層3を構成する吸水紙は、パルプ繊維を主体として1層または多層で抄造されたものであり、前述した原紙1と同様のパルプ繊維を単独または混合して用いることができるが、紙層強度や吸水紙としての保水性、内容物が食品である場合の衛生性の点から天然繊維を70重量%以上用いたものであることが望ましい。
さらに、この天然繊維中でも針葉樹パルプや広葉樹パルプを主体にすると、吸水紙の紙層強度をより高めることができる。この場合、針葉樹パルプと広葉樹パルプを混合して用いてもよい。
【0012】
前記吸水紙を抄造するにあたっては、パルプ繊維の濾水度(叩解度)はカナディアンスタンダードフリーネスで400〜550mlとするのが良く、450〜500mlとするとより好適である。カナディアンスタンダードフリーネスが400ml未満では紙層強度は強いが吸水性が不足することがある。550mlを越えると吸水性は良いものの紙層強度が不足することがある。
【0013】
また、この吸水紙を抄造するにあたっては、湿潤紙力増強剤を添加する必要がある。
湿潤紙力増強剤を添加することにより湿潤時でも乾燥時の紙力の15〜40%程度を保持できるようになる。
湿潤紙力増強剤を添加しないと、ドリップや水分を吸収した際に吸水紙層が膨潤して大幅な強度低下を起こし、吸水紙層3で剥離が発生する場合がある。
【0014】
湿潤紙力増強剤としては、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリアクリルアマイド、メチロール化ポリアクリルアマイド、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミンなどがあげられ、これらを単独で用いても、あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、エポキシ化ポリアミド樹脂であるポリアミドアミン・エピクロルヒドリンがより好適に使用できる。
【0015】
湿潤紙力増強剤の添加率は対パルプ固形分で0.05〜2.0%とするのが望ましく、より好ましくは0.1〜1.0%とするのがよい。
添加率が0.05%未満では湿潤紙力強度が不足しドリップや水分を吸収した際に吸水紙層が膨潤して大幅な強度低下をまねく恐れがある。
添加率が2.0%より多いとパルプ繊維と未反応のものが凝集を起こし汚れの原因となる場合があると共に、2.0%以上添加しても湿潤紙力はそれ以上向上しない。
【0016】
また、上記吸水紙の抄造時にはサイズ剤などの防水効果のある薬品は使用しないことが望ましい。
サイズ剤が添加されていると吸水速度が低下するとともに吸水量も低下することになる。
さらに吸水紙にはエンボス加工やクレープ加工を施し吸水量を向上させることもできる。
【0017】
吸水紙の坪量としては20〜300g/mのものが好適に使用できる。より好適には50〜200g/mとするのが好ましい。
坪量が20g/m未満の場合は良好な吸水性能が得られにくい。
300g/mを越えると厚みが厚くなりすぎてしまい取り扱いにくくなる。
【0018】
前記原紙1と吸水紙層3は、熱可塑性樹脂層2を介して押し出しラミネートによるサンドイッチラミネート法により積層され、原紙1、熱可塑性樹脂2、吸水紙層3とが積層される。
【0019】
上記熱可塑性樹脂層2を構成する熱可塑性樹脂としては、押し出しラミネート適性があり原紙と吸水紙双方に接着可能なものであれば特に制限はないが、この熱可塑性樹脂層2は吸水紙層3が吸収した水分が反対側の原紙1に抜けて原紙1の強度低下を起こすのを防止する機能を有したものでもあり、耐水性と非透水性を有するものであるのが望ましい。
【0020】
これらの点から熱可塑性樹脂層2として好ましいものは、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体などがその例として挙げられる。
【0021】
該熱可塑性樹脂層2の厚みは、7〜60μとするのが好ましい。
より好ましくは10〜50μである。
厚みが7μ未満の場合は、押し出しラミネートされる際に膜切れを起こすことがあると共に、穿孔加工がサンドイッチラミネートより後加工となる場合には穿孔工程で孔があき易くなってしまう。
60μを越える場合は、押し出し装置の負荷の増大や膜厚の均一性の問題から生産速度が遅くなってしまう場合があり、原材料費が高くなるのと合わせて採算性が悪くなる。
【0022】
前記した吸水紙層3の上、すなわち熱可塑性樹脂層2と反対側の面には合成樹脂からなる非透水層4を設けて、吸水シート10となる積層紙が製造される。
非透水層4が無いと、内容物が直接に吸水紙層3に触れるため吸水紙層3と内容物が貼り付いてしまう虞れがある。
また、吸水紙層3が内容物から積極的に水分を奪い内容物の鮮度を低下させてしまうことがある。
【0023】
該非透水層4は、穿孔した部分のみで内容物から滲み出たドリップや水分を透過させその他の部分は透水しないようにしたものであり、耐水性と非透水性を有した合成樹脂からなるものが用いられる。
また、この非透水層4は、内容物と直接的に接するものであり、内容物が食品である場合は衛生性や臭気成分の食品への移行に配慮したものであるのが望ましい。
更には、特に、食品を冷凍する場合などには内容物が貼り付きにくいものであるのが望ましい。
【0024】
これらの点から使用する合成樹脂として好ましいものとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体などがその例としてあげられる。
【0025】
これらの合成樹脂は非透水層4として、押し出しラミネートにより吸水紙層3の上に積層することができるほか、フィルム化したものをドライラミネート、ウエットラミネート、サンドイッチラミネート法などにより接着させることも可能である。
この場合、フィルムは延伸したものであっても未延伸のものであってもよい。
【0026】
ドライラミネートおよびウエットラミネート法の場合は、それぞれに適した接着剤を用いて貼合すればよく、サンドイッチラミネート法を用いる場合は前述した非透水層4となる合成樹脂と同様の樹脂の中から適宜選定して用いればよい。
これらフィルム化した合成樹脂からなる非透水層4を積層する場合、透明なフィルムの裏面すなわち内容物と接触しない面に印刷を施して食品包装用途に適していながら意匠性に優れたものとすることもできる。
【0027】
また、アルミニウム箔やアルミ蒸着フィルム、他の複合フィルムなどを非透水層4となる前述した合成樹脂でサンドイッチラミネートすることもできる。
この非透水層4を構成する合成樹脂およびそれをフィルム化したものを貼合する接着剤、サンドイッチラミネート樹脂には必要に応じて酸化チタンなどの無機フィラーやカーボンブラック、着色剤などを添加して用いることもできる。
これにより、吸水紙層3の上方となる非透水層4が不透明になるため、吸水紙層3に滲み込んだドリップなどが外観上見えにくくなるという効果を持たせることができる。
【0028】
また、非透水層4が、合成樹脂を押し出しラミネート法で積層して形成される場合や、未延伸フィルムとして貼合される場合は、吸水シート10から紙容器として成型される工程においてヒートシールが可能となるため様々な形状の紙容器を作ることができる。
その際には、原紙1の反対面(図1中で下面)にも非透水層4と同様の合成樹脂からなるヒートシール層を設けるとより好ましい。
【0029】
一方、非透水層4の合成樹脂が延伸されたフィルムとして貼合されている場合は、ヒートシールは困難となるが糊貼りにより紙容器を成型することが可能である。
また、非透水層4の合成樹脂の耐熱性が上がるため、絞り成型により製造される紙トレーに適しており、電子レンジ対応も可能となる。
【0030】
この非透水層4の合成樹脂の厚みは7〜60μmとするのが好ましい。
より好ましくは9〜50μmである。
厚みが7μm未満であると、押し出しラミネートで積層される場合には膜切れを起こす虞れがあると共に、フィルム化して貼合しても穿孔加工時に非透水層4の合成樹脂が破れ易くなってしまう。
60μmを越えるときは、押し出しラミネートで積層される際の押し出し装置の負荷の増大や、膜厚の均一性の問題から生産速度が遅くなってしまう場合があり、フィルム化して貼合したとしても原材料費が高くなるのと併せて採算性が悪くなる。
【0031】
このようにして得られた吸水シート10となる積層紙には、非透水層4の表面側から非透水層4を貫通し、かつ熱可塑性樹脂層2に達しない深さの短い切目5が、ミシン目状に断続的に多数形成されて、吸水シート10が完成する。
このミシン目状の切目5は、本実施例では、非透水層4を貫通し、吸水紙層3の中途位置まで延びており、熱可塑性樹脂層2には達しない深さに設定されている。
これにより切目5から吸水紙層3に浸透したドリップや水分は、熱可塑性樹脂層2に阻まれて原紙1に滲み込む虞れはない。
【0032】
本実施例では小さい切目5を断続的に多数形成するために、ミシン刃を用いている。このミシン刃により、吸水シート10をハーフカットに穿孔加工する。
これによりミシン刃の凸部分(刃先部分)に、ハーフカット時の圧力が集中する。
そこで、吸水シート10に切り込まれた前記切目5は、図2で示すように、非透水層4と吸水紙層3とは、前記切目5のカット部分5’の内側を向いて若干潰され、凹んだ形状となる。
【0033】
このため合成樹脂の非透水層4の外側にあったドリップや水分は、カット部分5’に流れ込み、吸水紙層3に浸透していくが、一度吸水したドリップや水分が逆流して吸水シート10からしみ出ることが防止できる。
更には、前記切目5を介して吸水紙層3が直接に内容物と接することは無いので、前記切目5部分の吸水紙層3が内容物から積極的に水分を奪い、内容物の鮮度を低下させてしまう虞れがない。
【0034】
上記したハーフカットの断続的な切目5をミシン目状に形成するにあたっては、切目5のカット部5’の深さや長さ、および間隔、一定面積中における切目5の数は、吸水シート10の使用用途や吸水速度などの要求性能によって適宜設定すればよい。
また、上記切目5の穿孔加工には、罫線加工に用いられるような公知のミシン刃6を用いることができる。
【0035】
ミシン刃6の形状としては、例えば図3に示すような連続する凹凸部6a、6bを有するものであり、凸部(刃先部分)6aで非透水層4を貫通し、吸水紙層3の中途位置まで延びて熱可塑性樹脂層2には達しない深さに穿孔する。
このミシン刃6の凸部6aの長さAは、0.3mm〜4.0mmとするのが好ましく、0.5mm〜2.0mmとするとより好適である。
これは、凸部6aの長さが0.3mm未満では切目5の開口の長さが短くなりすぎて十分な吸水性能が得られない場合がある。4.0mmよりも長くなると切目5のカット部5’がめくれて出てしまうことがある。
【0036】
一方、ミシン刃6の凹部6bの長さBは、0.3mm〜10.0mmとするのが好ましく、0.5mm〜5.0mmとするとより好適である。
凹部6bの長さが0.3mm未満では切目5と切目5の間隔が小さくなりすぎて間の部分が切れて隣接する切目5、5同士が繋がってしまうことがある。10.0mmよりも長くなると一定面積中の切目5の数を多くすることができず、十分な吸水性能が得られない場合がある。
【0037】
更に、凸部6aの長さAと凹部6bの長さBの比、A/Bは0.1〜9.0の範囲、より好ましくは0.2〜5.0の範囲とすることが望ましい。
A/Bが9.0より大きいと、切目加工の際にミシン刃6の凸部6aにハーフカット時の圧力が集中しにくくなるため、前述したハーフカット部分の形状(図2参照)を形成しにくくなることがある。
【0038】
A/Bが0.1より小さいと、積層紙を製造後に切目を穿つ工程順をとった場合に、穿孔時の圧力が凸部6aの刃先に集中しすぎてしまい、吸水紙層3の下の熱可塑性樹脂層2にまでカット部5’の先端が達してしまう場合がある。
なお、このミシン刃6は、0.5mm〜1mm程度の厚みを有する片刃を用いているが、特に限定されない。ミシン刃6の厚みや刃角は、切目の上端に段差状の開口部を形成せず、図2に示したような左右ほぼ対称に内側を向いて若干潰され、凹んだ形状となるようなものを用いればよい。
上記のようにして切目を穿つミシン目状の切目5を、非透水層4表面側から多数設けて吸水シート10が製造される。
【0039】
ミシン目状の切目5の形態としては特に限定されるものではないが、図4(a)のように紙目に対して平行に入れたり、図4(b)のように紙目に直交して入れたり、図4(c)のように斜めに入れたり、その他任意の形態をとることができる。
吸水シート10の製造後に、さらに絞り成型や製函加工を行い、トレーや紙容器を製造する場合は紙目に平行に設けた方が好ましい。
【0040】
魚類の急速冷凍用などの高吸水速度を要求される用途では、クロスしてミシン目を入れることで単位面積あたりの切目5の数を増やすこともできる(図4(d)(e)参照)。
これらの他にも必要に応じて切目を放射状に入れたり(図4(f)参照)、同心円状に入れたり(図4(g)参照)するなど様々な形態をとることができ、また罫線加工と同時に、吸水シート10の必要部分のみにミシン目状の切目5を設けたりすることもできる。
【0041】
このミシン目状の切目5の間隔Cについては、使用用途や内容物の形状、吸水速度などの要求性能によって適宜設定すればよいが、2mm〜20mmの範囲とするのが好ましい。より好適には3mm〜10mmの範囲である。
間隔Cを2mm未満とすると非透水層4の表面に切目5が密集過多となるため非透水層4が破れてしまうことがある。20mmより長いと内容物からしみ出たドリップや水分が前記切目5に流れ込みにくくなり切目5と切目5の間の表面に留まってしまう場合がある。
【0042】
上記断続的なミシン目状の切目5の加工方法としては種々の方法を用いることができる。
まず第一には前述した切目5が形成される前の吸水シート10である積層紙を作成する。
そして、この積層紙を打ち抜いて所定の大きさ、形状のシート(ブランク)にする際に、前記打ち抜きと同時にミシン目状の切目5を形成する方法である。
【0043】
この場合は前記打ち抜き工程で用いる抜型に、カット刃(図示せず)と共にハーフカット用のミシン刃6を設けて、打ち抜きと同時にミシン目状の切目5を形成することができる。
この際、カット刃とミシン刃6には刃高に差を設けて、その刃高差をミシン刃6が非透水層4を貫通し吸水紙層3の中途位置まで延びて熱可塑性樹脂層2には到達しないように設定すればよい。
この方法によると、吸水シート10の打ち抜き加工と穿孔加工が一工程でできるので効率的な生産が可能となる。
【0044】
第二の方法としては、吸水シート10用の積層紙を作成し、これを所定の大きさ、形状のシート(ブランク)に断裁または打ち抜いた後に、ミシン刃6を使用して前記ミシン目状の切目5を形成する方法がある。
【0045】
第三の方法としては、吸水シート10用の積層紙を作成し、これにミシン刃6を使用して前記ミシン目状の切目5を付設して吸水シート10を形成したのち、所定の大きさ、形状のシート(ブランク)に断裁または打ち抜く方法がある。
この場合はミシン目状の切目5を形成するのに、積層紙を巻き取りのままでスパイクロールのような刃部を用いて連続加工することも可能であり、この場合は高速加工が可能となる。
【0046】
第四の方法としては、吸水紙層3に非透水層4を積層し、これを巻き取り(ロール)のままでスパイクロールのような刃部で連続加工して前述のようなハーフカットのミシン目状の切目5を形成し、その後に熱可塑性樹脂層2を用いて原紙1と積層する方法である。
この方法の場合、ミシン目状の切目5は前述のように吸水紙層3の中途位置まで延びているが、更に、切目5が吸水紙層3を貫通するように形成してもよい。後者の場合は、切目5の深さについての正確な調整が不要となるので、生産効率が高くなる。
【0047】
以上のようにして製造された吸水シート10は、所定の大きさ、形状に断裁又は打ち抜かれて、そのまま吸水用の中敷や真空パックの吸水台紙などとして用いることができる。
また、プレス成型して紙トレーなどとしても使用可能である。
更には、必要に応じて罫線を設けてヒートシールや糊貼り加工を行って製函し、カップ型容器や紙箱、組み立て式の角トレーなどといった紙容器として使用することもできる。
【0048】
紙トレーや紙容器として用いる場合は、ハーフカットのミシン目状の切目5を必要な位置のみに設けることも可能であり、紙容器である場合は、図5に例示したようにそれらの底面21、31のみに設けることもできる。また、カップ型容器の場合には底部材のみに使用することもできる。
また、これら吸水シート10および紙トレー並びに紙容器20の用途としては、吸水シート10の形態では、例えば食肉等を収容するトレーなどの中敷、魚の切り身等を真空パックするときの台紙、使い捨てまな板、野菜の水切りなどがあげられる。
【0049】
次に、絞り成型された紙トレー40の形態(図6参照)では、例えば食肉や魚の切り身、野菜、惣菜などといった生鮮食品や冷凍食品を収容する紙トレー、医療用膿盆、魚卵用包装材料などがあげられる。
また、紙容器20、30の形態では、例えば生鮮食品や冷凍食品を収容する角トレーやカップ型容器、ピザやその他のテイクアウト食品用紙箱などがあげられる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、以下に記す実施例、比較例を実施するにあたり、これに使用する吸水紙1〜3を抄造した。吸水紙1および2が本発明の吸水シート10に用いる吸水紙であり、吸水紙3が比較例に用いるものである。
【0051】
<吸水紙1>
針葉樹パルプ:広葉樹パルプの比を50:50とし、カナディアンスタンダードフリーネスを450mlとして、短網2層抄紙機にて坪量100g/mの吸水紙を抄造した。この際、サイズ剤は添加せず、ポリアミドアミン・エピクロルヒドリンからなる湿潤紙力増強剤を対パルプ固形分で0.3%添加した。
<吸水紙2>
吸水紙1と同様にして吸水紙を抄造しながらクレープ加工を施した。
<吸水紙3>
湿潤紙力増強剤を添加しないこと以外は吸水紙2と同様にして吸水紙を抄造した。
【0052】
〔実施例1〕
原紙として白ボール400g/mを用い、その裏面に熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンであるペトロセン204(商品名、東ソー株式会社製、厚さ15μ)を介して吸水紙1をサンドイッチラミネート法で貼合した。更に、この吸水紙面の上に非透水層として乳白ポリエチレンを20μmの膜厚で押し出し、ラミネートして吸水紙用の積層紙を得た。なお、以降の実施例でも同様に乳白ポリエチレンは酸化チタン60%を含有する乳白ポリエチレンマスターバッチをペトロセン204に25%配合したものである。
【0053】
次に、上記の積層紙を20×30cmの角型に打ち抜いた。この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、非透水層である乳白ポリエチレン面から吸水紙層内に達するミシン目状の切目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、紙目に平行になるように積層紙の全面に設けた。
【0054】
以上の様にして得られた実施例1の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度(JIS P 8140)の測定条件に準じて乳白ポリエチレン面側の吸水度を測定した。その結果、225g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
さらに実装試験として牛肉200gの切り身を上記の吸水シートの乳白ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また牛肉に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0055】
〔実施例2〕
吸水紙2の片面に非透水層となる乳白ポリエチレンを20μmの膜厚で押し出しラミネートした。さらにこの乳白ポリエチレンとは反対面を低密度ポリエチレンであるペトロセン204(厚さ15μm)を介して原紙である白ボール400g/mの裏面にサンドイッチラミネートして吸水紙用の積層紙を得た。
【0056】
次に、上記の積層紙を20cm×30cmの角型に打ち抜いた。
この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、非透水層である乳白ポリエチレン面から吸水紙層内に達するミシン目状の切目を設けた。
なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。
また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、紙目に平行になるようにシートの全面に設けた。
以上の様にして得られた実施例2の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、243g/mと実施例1より良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
【0057】
さらに実装試験として、牛肉200gの切り身を上記実施例2の吸水シートの乳白ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙層に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。
また、牛肉を取り出す際に、ドリップの滲み出しや牛肉に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0058】
〔実施例3〕
吸水紙2の片面に非透水層となる乳白ポリエチレンを20μの膜厚で押し出しラミネートした。さらにこの乳白ポリエチレンとは反対面を低密度ポリエチレンであるペトロセン204(厚さ15μm)を介して原紙である白ボール400g/mの裏面にサンドイッチラミネートして吸水紙用の積層紙を得た。
上記の積層紙の乳白ポリエチレン面に断続的なミシン刃を設けたスパイクロールを用いて巻き取りのまま連続的に吸水紙層内に達するハーフカットのミシン目状の切目を設け、実施例3の吸水シートを作成した。なお、ミシン刃の凸部の長さAは0.7mmとし、凹部の長さBは1.3mmとした。また、ミシン目は紙目に平行方向と直交方向の両方に格子状になるようにし、それぞれのミシン目の間隔Cは5mmとし、吸水シートの全面に設けた。
【0059】
次に、実施例3の吸水シートを20cm×30cmの角型に断裁し、吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、255g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
更に、実装試験として牛肉200gの切り身を上記の吸水シートの乳白ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙層に吸収されていたが、外観上は前記吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また牛肉を取り出すさいにドリップの滲み出しや牛肉に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0060】
〔実施例4〕
吸水紙2の片面に非透水層となる乳白ポリエチレンを20μの膜厚で押し出しラミネートした。次に乳白ポリエチレン面に断続的なミシン刃を設けたスパイクロールを用いて巻き取りのまま連続的に吸水紙層内に達するハーフカットのミシン目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1.0mmとし、凹部の長さBは1.0mmとした。また、ミシン目は紙目に平行となるようにし、それぞれのミシン目の間隔Cは5mmとし、シートの全面に設けた。
さらにこの乳白ポリエチレンとは反対面を低密度ポリエチレンであるペトロセン204(厚さ15μ)を介して原紙である白ボール400g/mの裏面にサンドイッチラミネートして実施例4の吸水シートを作成した。
【0061】
次に、実施例4の吸水シートを20cm×30cmの角型に断裁し、吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、247g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
更に、実装試験として牛肉200gの切り身を上記吸水シートの乳白ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙層に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また牛肉を取り出すさいにドリップの滲み出しや牛肉に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0062】
〔実施例5〕
原紙として白ボール400g/mを用い、その裏面に熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンであるペトロセン204(厚さ15μ)を介して吸水紙2をサンドイッチラミネート法で貼合した。更に、この吸水紙面の上に非透水層として黒色ポリエチレンを20μmの膜厚で押し出しラミネートし、その上にさらにペトロセン204(厚さ15μm)を押し出しラミネートして吸水紙用の積層紙を得た。なお、黒色ポリエチレンはカーボンブラック25%を含有する黒色ポリエチレンマスターバッチをペトロセン204に10%配合したものである。
【0063】
次に、上記積層紙を20cm×30cmの角型に打ち抜いた。この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、非透水層である黒色ポリエチレン面から吸水紙層内に達するミシン目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは2mmとした。また、ミシン目の間隔Cは4mmとし、紙目に平行になるようにシートの全面に設けた。
以上の様にして得られた実施例5の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、225g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
【0064】
更に実装試験として牛肉200gの切り身を上記吸水シートの黒色ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは黒色ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙層に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は全く見えなかった。また牛肉に黒色ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0065】
〔実施例6〕
原紙として白ボール400g/mを用い、その裏面に熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンであるペトロセン204(厚さ15μm)を介して吸水紙2をサンドイッチラミネート法で貼合した。さらにこの吸水紙面の上に非透水層として乳白ポリエチレンを20μmの膜厚で押し出しラミネートしながら青色に着色した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートして吸水紙用の積層紙を得た。
【0066】
次に上記の積層紙を20cm×30cmの角型に打ち抜いた。この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム面から吸水紙層内に達するミシン目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、紙目に平行になるようにシートの全面に設けた。
以上の様にして得られた実施例6の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、245g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
【0067】
更に、実装試験として牛肉200gの切り身を上記吸水シートの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは直鎖状低密度ポリエチレンフィルム面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また牛肉に直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分の変色も見られなかった。
【0068】
〔実施例7〕
原紙として白ボール400g/mを用い、その裏面に熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンであるペトロセン204(厚さ15μm)を介して吸水紙をサンドイッチラミネート法で貼合した。さらにこの吸水紙層の上に、非透水層となる片面コロナ処理した2軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ20μm)の処理面に全面グラビア印刷を施したフィルムの印刷面に接着剤を塗布してドライラミネート法で貼合して吸水紙用の積層紙を得た。
【0069】
次に、上記の積層紙を20cm×30cmの角型に打ち抜いた。この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、ポリプロピレンフィルム面から吸水紙層内に達するミシン目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、紙目に平行になるようにシートの全面に設けた。
以上の様にして得られた実施例7の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、250g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
【0070】
更に、実装試験として牛肉200gの切り身を上記吸水シートのポリプロピレンフィルム面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップはポリプロピレンフィルム面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。
また牛肉にポリプロピレンフィルムが貼り付いて取られることもなく、牛肉の切目にあたる部分の変色も見られなかった。
【0071】
〔実施例8〕
原紙として白ボール270g/mを使用する以外は実施例2と同様にして吸水紙用の積層紙を作成した。さらにφ20cmの円形に打ち抜き、この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、非透水層である乳白ポリエチレン面から吸水紙層内に達するミシン目を設けて、実施例8の吸水シートを作成した。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、円の中心から同心円状になるように設けた。
【0072】
以上のようにして作成した実施例8の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、237g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
さらに、上記吸水シートを用いて乳白ポリエチレン面を内面として絞り成型を行い、丸型の紙トレーを作成した。
【0073】
実装試験としてマグロ100gの切り身をこの吸水シートの内面にのせてラッピングし、3日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また切り身に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、切り身の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0074】
〔実施例9〕
原紙としてコップ原紙300g/mを用い、原紙の表面すなわち熱可塑性樹脂とは反対面にヒートシール層としてペトロセン204(厚さ15μm)を押し出しラミネートする以外は実施例3と同様にして実施例9の吸水シートを作成した。
次に、上記吸水シートをφ15cmの円形に打ち抜き、これを底紙として用いて乳白ポリエチレン面が内面になるようにヒートシールしてカップ型容器を作成した。なお、胴紙としてはコップ原紙300g/mに両面ペトロセン204(厚さ20μm)を押し出しラミネートしたものを用いた。
【0075】
実装試験としてマグロ100gの切り身をこのカップ型容器の内面にのせてラッピングし、3日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また切り身に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、切り身の切目にあたる部分の変色は見られなかった。
【0076】
〔実施例10〕
原紙としてコップ原紙300g/mを用い、原紙の表面すなわち熱可塑性樹脂とは反対面にヒートシール層としてペトロセン204(厚さ15μm)を押し出しラミネートする以外は実施例2と同様にして吸水紙用の積層紙を作成した。
次に上記の積層紙を罫線を敷設した抜型で角トレー用のブランクシートの形状に打ち抜いた。この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、乳白ポリエチレン面から吸水紙層内に達するミシン目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、紙目に平行になるようにして、角トレーの底面になる部分のみに設けた。
【0077】
次に、上記実施例10の吸水シートであるブランクシートを用いて乳白ポリエチレン面を内面としてヒートシールにより図5に示す角トレーを作成した。
実装試験としてマグロ100gの切り身をこの角トレー容器の内面にのせてラッピングし、3日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙層に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また切り身に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、切り身の切目にあたる部分に変色は見られなかった。
【0078】
〔実施例11〕
原紙としてコップ原紙300g/mを用い、原紙の表面すなわち熱可塑性樹脂とは反対面にヒートシール層としてペトロセン204(厚さ15μm)を押し出しラミネートする以外は実施例2と同様にして吸水紙用の積層紙を作成した。
次に上記の積層紙を罫線を敷設した抜型で紙箱用のブランクシートの形状に打ち抜いた。この際、抜型にはハーフカット用の断続的なミシン刃を設け、乳白ポリエチレン面から吸水紙層内に達するミシン目を設けた。なお、ミシン刃の凸部の長さAは1mmとし、凹部の長さBは1mmとした。また、ミシン目の間隔Cは5mmとし、紙目に平行になるようにして、紙箱の底面になる部分のみに設けた。
【0079】
次に上記実施例11の吸水シートであるブランクシートを用いて乳白ポリエチレン面を内面としてヒートシールにより図5に示す紙箱を作成した。
実装試験としてマグロ100gの切り身をこの紙箱容器の内面にのせて蓋を閉じてラッピングし、3日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また切り身に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることもなく、切り身の切目にあたる部分の変色も見られなかった。
以上のように本発明の吸水シートおよびこれを成型してなる紙トレー並びに紙容器では、優れた吸水、保水性能を有し、ドリップのしみ出しや吸水紙層の剥がれがなく、食品の品質低下を防止することができる。
【0080】
〔比較例1〕
吸水紙3を用いる以外は実施例2と同様にして比較例1の吸水シートを得た。
得られた吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、240g/mと良好な吸水度であったが、吸水部分の吸水紙層が剥がれて浮きが見られた。
さらに実装試験として牛肉200gの切り身を上記の吸水シートの乳白ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また牛肉の切目にあたる部分の変色も見られなかったが、牛肉を取り出すさいに部分的に乳白ポリエチレンが貼り付いたようになり浮き上がって破れてしまった。
【0081】
〔比較例2〕
実施例2と同様にして吸水紙用の積層紙を得た。得られた積層紙を20cm×30cmの角型に断裁し、非透水層である乳白ポリエチレン面にレーザーでφ0.5mmの丸型の孔を穿孔した。この際に孔の間隔は紙目方向に2mm間隔、巾方向に5mm間隔とし一定面積中の孔の数は実施例2と同じになるようにした。
このようにして得られた比較例2の吸水シートの吸水性能評価として、コッブ法吸水度を測定した。その結果、247g/mと良好な吸水度であり、吸水部分の吸水紙層の剥がれも見られなかった。
【0082】
さらに実装試験として牛肉200gの切り身を上記の吸水シートの乳白ポリエチレン面側にのせて真空包装し、7日間冷凍保存したのちに解凍して状態を確認した。ドリップは乳白ポリエチレン面には残っておらず、吸水紙に吸収されていたが、外観上は吸水シートにドリップの吸収跡は目立たなかった。また牛肉に乳白ポリエチレンが貼り付いて取られることはなかったが、牛肉を取り出すさいに穿孔部分から若干のドリップの滲み出しがあり、牛肉の切目にあたる部分には部分的に変色しているところが見られた。
【0083】
【発明の効果】
本発明により、食料品等を包装する際に中敷や台紙、または包装体本体として用いられる吸水シートにおいて、ドリップや水分を吸収しても吸水紙が剥がれたりすることがなく、また吸水した水分が逆流して吸水シートからしみ出ることが防止され、かつ内容物の穿孔部に接した部分が乾燥状態となり品質低下することのない吸水シートを提供できるようになる。また、同様の性能を具備した紙トレーや紙容器も提供できるようになる。
また、切目の深さを吸水紙層の中途位置に設定した場合には、各層間に水分が侵入せず、吸水シートの信頼性を高めることができる。
またミシン刃を用いれば、切目を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸水シートの構成の実施例を示す断面図である
【図2】図1の吸水シートのハーフカット部分の拡大断面図である
【図3】吸水シートのミシン目状の切目を形成するミシン刃の実施例である。
【図4】切目の形態の模式的な例を示すもので、(a)は紙目に平行なミシン目、(b)は紙目に直交するミシン目の例c)は紙目にバイアスのミシン目、(d)は縦横に交差する格子状のミシン目、(e)は斜めに交差する格子状のミシン目、(f)は放射状のミシン目、(g)は同心円状のミシン目の例である。
【図5】吸水シートを成型してなる紙容器の例であり、(a)は角トレー、(b)は紙箱の例である。
【図6】吸水シートを成型してなる紙トレーの一例である。
【符号の説明】
1 原紙
2 熱可塑性樹脂層
3 吸水紙層
4 非透水層
5 切目
5’ カット部
6 ミシン刃
6a 凸部
6b 凹部
10 吸水シート
20 角トレー
30 紙箱
40 紙トレー

Claims (5)

  1. 原紙に、パルプ繊維を主体とした吸水紙層を熱可塑性樹脂層を介してサンドイッチラミネートし、前記吸水紙層の上に合成樹脂からなる非透水層を設け、該非透水層に多数の切目を穿ってなる吸水シートにおいて、
    前記吸水紙層が、湿潤紙力増強剤を添加して抄造されたものであり、
    前記切目が、非透水層の表面側から非透水層を貫通し、かつ熱可塑性樹脂に達しない深さに設定された断続的なミシン目状に形成されていることを特徴とする吸水シート。
  2. 切目の深さが、吸水紙層の中途位置まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の吸水シート。
  3. 切目がミシン刃を用いて形成されており、該ミシン刃の凸部分の長さAと凹部分の長さBの比A/Bを0.1〜9.0としたことを特徴とする請求項1に記載の吸水シート。
  4. 請求項1または2に記載の吸水シートを成型してなる紙トレー。
  5. 請求項1または2に記載の吸水シートを成型してなる紙容器。
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