JP6901030B1 - スキンパック用台紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温多湿環境下等でもカールの発生が低減され、打ち抜き加工性にも優れる、スキンパック用台紙を提供する。【解決手段】紙基材層の一面に、熱可塑性樹脂層を有し、縦方向のテーバーこわさが50〜150mN・mであり、横方向のテーバーこわさが20〜80mN・mである、スキンパック用台紙。【選択図】なし

Description

本発明は、スキンパック用台紙に関する。
スキンパックは、トレー上に食品を載せ、トレーと食品とをフィルム(スキンパックフィルム)により真空パックすることで、食品の鮮度保持を可能とする包装方法である。とくに精肉などの包装に用いた場合、ドリップ(保存時に食品から出る水分)を抑制できるため、賞味期限を延長でき、食品ロスを低減できる観点からも使用が進んでいる。
こうしたなか、印刷適性による意匠性や環境負荷の低減等を考慮し、ポリスチレンやポリプロピレンなどの樹脂トレーに替えて、紙基材による台紙上に食品を載せ、フィルムによりパックするスキンパックも開発されている。
たとえば、特許文献1には、スキンパックフィルムを良好に吸引してスキンパック包装体を製造することを目的として、特定の坪量を有するノンコート紙と、意匠印刷層と、水性エマルジョン感熱接着剤から形成されている接着剤層とを有し、特定の透気度を有するスキンパック用台紙が開示されている。
また、特許文献2には、被包装物を容易に取り出すことができるスキンパック包装体を提供することを目的として、台紙が基材と剥離層と接着層とを有し、スキンパックフィルムが前記接着層を介して基材に接着されている、スキンパック包装体が開示されている。
特開2014−172659号公報 特開2014−181075号公報
紙基材を用いたスキンパック用台紙は、食品と接触したときの劣化防止やスキンパックフィルムとの接着性の観点から、紙基材上に樹脂層を設けた積層構造を有する。しかしながら、紙と樹脂の性質の違いから、とくに高温多湿や温度変化の激しい環境等の過酷な条件下では、カールが生じることがある。カールが生じるとスキンパックフィルムによる包装が困難になるという問題があり、また、仮に包装できたとしても、スキンパックフィルムとの接着不良や意匠性の悪化という問題がある。さらに、紙基材を用いたスキンパック用台紙は、用途に合わせた形状に打ち抜く必要があるが、その際、切断面付近の台紙の変形やバリの発生、また紙粉が発生するという問題もある。そのため、カールを抑制でき、かつ、打ち抜き加工性にも優れる、スキンパック用台紙が求められていた。
そこで、本発明は、高温多湿環境等過酷な条件下でもカールの発生が低減され、かつ、打ち抜き加工性にも優れる、スキンパック用台紙を提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、紙基材の一面に熱可塑性樹脂層を有するスキンパック用台紙のこわさ、すなわち剛度を特定の範囲とすることで、前記課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<7>に関する。
<1> 紙基材層の一面に、熱可塑性樹脂層を有し、縦方向のテーバーこわさが50〜150mN・mであり、横方向のテーバーこわさが20〜80mN・mである、スキンパック用台紙。
<2> 紙基材層を構成する紙基材の坪量の合計が230〜1200g/m2である、<1>に記載のスキンパック用台紙。
<3> 紙基材層が、熱可塑性樹脂層に接する面から順に、紙基材層A1と、接着剤層と、紙基材層A2とからなる積層体である、<1>または<2>に記載のスキンパック用台紙。
<4> 紙基材層A1を構成する紙基材の坪量が、紙基材層A2を構成する紙基材の坪量より大きい、<3>に記載のスキンパック用台紙。
<5> 紙基材層A1を構成する紙基材の坪量と紙基材層A2を構成する紙基材の坪量との差が40g/m2以上である、<4>に記載のスキンパック用台紙。
<6> 紙基材層を構成する紙基材の原料パルプがクラフトパルプである、<1>〜<5>のいずれかに記載のスキンパック用台紙。
<7> 収容物品と、<1>〜<6>のいずれかに記載のスキンパック用台紙と、樹脂フィルムとを備え、前記収容物品が前記スキンパック用台紙と前記樹脂フィルムとの間に収容される、スキンパック包装体。
本発明によれば、高温多湿環境等過酷な条件下でもカールの発生が低減され、かつ、打ち抜き加工性にも優れる、スキンパック用台紙を提供することができる。
図1は、紙基材層が、2層の紙基材層を含む場合の本発明のスキンパック用台紙の実施形態の一例である。
[スキンパック用台紙]
本発明のスキンパック用台紙は、紙基材層の一面に、熱可塑性樹脂層を有し、縦方向のテーバーこわさが50〜150mN・mであり、横方向のテーバーこわさが20〜80mN・mである。
前記縦方向のテーバーこわさおよび横方向のテーバーこわさは、JIS P 8125:2000に準拠して測定することによって得られる。すなわち、本発明のスキンパック用台紙は、紙基材層の一面に、熱可塑性樹脂層を有し、JIS P 8125:2000に準拠して測定された縦方向のテーバーこわさが50〜150mN・mであり、JIS P 8125:2000に準拠して測定された横方向のテーバーこわさが20〜80mN・mである。
縦方向のテーバーこわさは、所望のカール抑制と打ち抜き加工性が得られる観点から、50〜150mN・mであり、好ましくは60〜140mN・mであり、より好ましくは80〜130mN・mであり、さらに好ましくは90〜120mN・mである。
横方向のテーバーこわさは、所望のカール抑制と打ち抜き加工性が得られる観点から、20〜80mN・mであり、好ましくは30〜75mN・mであり、より好ましくは35〜70mN・mであり、さらに好ましくは40〜60mN・mである。
テーバーこわさが前記範囲内であることによって、高温多湿環境等過酷な条件下でもカールの発生が低減され、かつ、打ち抜き加工性にも優れる理由は次のように考えられる。比較的剛性の高い紙を用いるとカールは生じにくい傾向がある。しかしながら、打ち抜き加工で台紙を製造する場合、剛性が高すぎると切断面付近の変形などの問題や紙粉の発生が顕著になる傾向が高い。台紙のテーバーこわさを調整することで、これらの性能が両立できるものと考えられる。
前記縦方向のテーバーこわさおよび横方向のテーバーこわさは、前記のようにJIS P 8125:2000に準拠して測定することによって得られるが、具体的には、実施例に記載の方法によって得ることができる。
<紙基材層>
本発明のスキンパック用台紙に用いられる紙基材層は、1層の紙基材層のみからなるものでもよく、複数の紙基材層を含むものでもよい。紙基材層は、1層の紙基材層のみからなるもの、または2層の紙基材層を含むものが好ましく、2層の紙基材層を含むものがより好ましい。
紙基材層が2層の紙基材層を含む場合、紙基材層は、熱可塑性樹脂層に接する面から順に、紙基材層A1と、接着剤層と、紙基材層A2とからなる積層体であることがさらに好ましい。
(紙基材層A1)
前述の通り、紙基材層が2層の紙基材層を含む場合、紙基材層は、熱可塑性樹脂層に接する面から順に、紙基材層A1と、接着剤層と、紙基材層A2とからなる積層体であることが好ましい。
図1に紙基材層が2層の紙基材層を含む場合の本発明のスキンパック用台紙の好適な実施形態の一例を示す。
紙基材層A1は、熱可塑性樹脂層に接する面を有する。
紙基材層A1は、紙である紙基材から構成される。紙基材層A1を構成する紙基材は、一般的に用いられている紙であればとくに限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。
具体的には、クラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等が挙げられ、これらのなかでもクラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、カップ原紙、片艶紙が好ましく、剛性の面から、(白)板紙の中では高級板紙、特殊板紙、カップ原紙、クラフト紙がより好ましい。クラフト紙は、晒クラフト紙、未晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が挙げられ、印刷適性や衛生面から、晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が好ましい。
紙基材層A1を構成する紙基材の坪量は、好ましくは200〜800g/m2であり、より好ましくは200〜700g/m2であり、さらに好ましくは200〜500g/m2であり、よりさらに好ましくは300〜500g/m2である。
紙基材層A1を構成する紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.5〜1.2g/cm3であり、より好ましくは0.6〜1.0g/cm3であり、さらに好ましくは0.7〜0.9g/cm3であり、よりさらに好ましくは0.8〜0.9g/cm3である。
紙基材層A1の厚さは、好ましくは200〜1000μmであり、より好ましくは250〜1000μmであり、さらに好ましくは300〜700μmであり、よりさらに好ましくは300〜500μmである。
紙基材層A1を構成する紙基材は、単層構成でもよく、2以上の層からなる多層構成でもよいが、各層の原料配合や坪量、抄造条件等を任意に調整できる観点から多層構成であることが好ましい。多層構成からなる紙の場合、紙基材層A1を構成する紙基材の層数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜8であり、よりさらに好ましくは4〜6である。
紙基材層A1を構成する紙基材の原料パルプは、前述の通り、木材パルプが好ましく、クラフトパルプが好ましい。
クラフトパルプは、原料の違いから、広葉樹クラフトパルプ(LKP)および針葉樹クラフトパルプ(NKP)が挙げられる。
また、処理状態の違いから、晒クラフトパルプ(BKP)、未晒クラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)が挙げられ、印刷適正の観点から、晒クラフトパルプ(BKP)が好ましい。
これらの中でも、原料パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用することがより好ましい。広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用した場合の質量比(LKP/NKP)は、一般的な紙に用いられる比率であればとくに制限なく、1/99〜99/1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましく、30/70〜99/1がさらに好ましく、70/30〜99/1がよりさらに好ましく、80/20〜95/5がよりさらに好ましい。
また、広葉樹クラフトパルプ(LKP)としては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
紙基材層A1を構成する紙基材の原料パルプのJIS P8121:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、800mL以下とすることが好ましく、600mL以下がより好ましく、500mL以下がさらに好ましい。下限としては100mL以上とすることが好ましく、200mL以上がより好ましい。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P8220−1に準拠して離解したパルプを、JIS P8121:2012に準拠して測定したカナダ標準濾水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調整するためにパルプを叩解する方法は、公知の方法を使用することができる。
紙基材層A1を構成する紙基材のサイズ度は、とくに限定されないが、JIS P8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。紙基材層A1を構成する紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤の含有量は、紙基材層A1を構成する紙基材の原料パルプ100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
紙基材層A1を構成する紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等が挙げられる。
填料としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。
紙基材層A1を構成する紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。
抄紙機としては、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等が挙げられる。
抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、前記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙基材層A1を構成する紙基材は、王研式平滑度が5秒以上であることが好ましく、10〜1000秒がより好ましい。また、印刷適性の観点から、紙基材は、75°光沢度が5%以上であることが好ましく、10〜70%がより好ましい。
(紙基材層A2)
紙基材層A2は、本発明のスキンパック用台紙およびスキンパック包装体の裏面を形成する紙基材層である。紙基材層A2は、紙である紙基材から構成される。紙基材層A2を構成する紙基材は、一般的に用いられている紙であればとくに限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。また、機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
具体的には、クラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等が挙げられ、これらのなかでもクラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、カップ原紙、片艶紙が好ましく、剛性の面から、(白)板紙の中では高級板紙、特殊板紙、カップ原紙、クラフト紙がより好ましい。クラフト紙は、晒クラフト紙、未晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が挙げられ、印刷適性や衛生面から、晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が好ましい。
紙基材層A2を構成する紙基材の坪量は、好ましくは30〜400g/m2であり、より好ましくは30〜300g/m2であり、さらに好ましくは40〜200g/m2であり、よりさらに好ましくは70〜200g/m2である。
ここで、紙基材層A1を構成する紙基材の坪量と紙基材層A2を構成する紙基材の坪量の合計は、好ましくは230〜1200g/m2であり、より好ましくは370〜900g/m2であり、さらに好ましくは400〜800g/m2であり、よりさらに好ましくは450〜700g/m2であり、よりさらに好ましくは500〜650g/m2である。
また、紙基材層A1を構成する紙基材の坪量は、紙基材層A2を構成する紙基材の坪量より大きいことが好ましい。紙基材層A1を構成する紙基材の坪量を、紙基材層A2を構成する紙基材の坪量より大きくすることで、カールを効果的に抑制することができ、打ち抜き加工性も良好となるため、好ましい。
紙基材層A1を構成する紙基材の坪量と紙基材層A2を構成する紙基材の坪量の差は、好ましくは40g/m2以上であり、より好ましくは100g/m2以上であり、さらに好ましくは250g/m2以上であり、よりさらに好ましくは350g/m2以上である。上限はとくに制限はないが、好ましくは700g/m2以下であり、より好ましくは600g/m2以下である。
紙基材層A2を構成する紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.5〜1.2g/cm3であり、より好ましくは0.6〜1.0g/cm3であり、さらに好ましくは0.6〜0.9g/cm3であり、よりさらに好ましくは0.7〜0.9g/cm3である。
紙基材層A2の厚さは、好ましくは30〜1000μmであり、より好ましくは50〜400μmであり、さらに好ましくは70〜250μmであり、よりさらに好ましくは100〜250μmである。
紙基材層A2を構成する紙基材は、単層構成でもよく、2以上の層からなる多層構成でもよいが単層構成であることが好ましい。紙基材層A2を構成する紙基材の層数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜9であり、さらに好ましくは1〜5であり、よりさらに好ましくは1〜3である。
紙基材層A2を構成する紙基材の原料パルプは、前述の通り、木材パルプが好ましく、クラフトパルプが好ましい。
クラフトパルプは、原料の違いから、広葉樹クラフトパルプ(LKP)および針葉樹クラフトパルプ(NKP)が挙げられる。
また、処理状態の違いから、晒クラフトパルプ(BKP)、未晒クラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)が挙げられ、印刷適正の観点から、晒クラフトパルプ(BKP)が好ましい。
これらの中でも、原料パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用することがより好ましい。広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用した場合の質量比(LKP/NKP)は、一般的な紙に用いられる比率であればとくに制限なく、1/99〜99/1が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40が更に好ましい。
また、広葉樹クラフトパルプ(LKP)としては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
紙基材層A2を構成する紙基材の原料パルプのJIS P8121:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、800mL以下とすることが好ましく、700mL以下がより好ましく、600mL以下がさらに好ましい。下限としては100mL以上とすることが好ましく、200mL以上がより好ましい。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P8220−1に準拠して離解したパルプを、JIS P8121:2012に準拠して測定したカナダ標準濾水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調整するためにパルプを叩解する方法は、公知の方法を使用することができる。
紙基材層A2を構成する紙基材のサイズ度は、とくに限定されないが、JIS P8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。紙基材層A2を構成する紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤の含有量は、紙基材層A2を構成する紙基材の原料パルプ100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
紙基材層A2を構成する紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等が挙げられる。
填料としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。
紙基材層A2を構成する紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。
抄紙機としては、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等が挙げられる。
抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、前記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙基材層A2を構成する紙基材は、王研式平滑度が5秒以上であることが好ましく、10〜1000秒がより好ましい。また、印刷適性の観点から、紙基材は、75°光沢度が5%以上であることが好ましく、10〜70%がより好ましい。
(接着剤層)
接着剤層は、紙基材層A1と紙基材層A2とを接着するために用いられる。
接着剤層は、接着性を有する材料からなる層であればよいが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂を用いることで、少なくとも一方の紙基材上に加熱溶融した樹脂をコーティングし、もう一方の紙基材を貼合することにより、容易に積層体である紙基材層を得ることができる。
接着剤層は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、スチレン系樹脂、およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を含むことがさらに好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(LDPE、MDPE、HDPE、LLDPE等)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられ、なかでもポリエチレンが好ましく、LDPE(低密度ポリエチレン)およびMDPE(中密度ポリエチレン)がより好ましく、LDPEがさらに好ましい。
接着剤層は、単一の樹脂の単層で形成してもよいし、複数の樹脂を混合して単層で形成してもよいし、同種や異種の樹脂からなる複数の層として形成してもよい。
接着剤層の厚さは、とくに限定されないが、成形加工適性の点から、好ましくは10〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
(紙基材層の特性)
紙基材層は、前述の通り、2層の紙基材層を含むもの(たとえば、紙基材層A1と紙基材層A2)が好ましいが、1層の紙基材層のみからなるものでもよく、3層以上の紙基材層を含むものでもよい。
紙基材層が3層以上の紙基材層を含む場合、それらの各紙基材どうしを接着する接着剤層は、前記接着層と同様のものを用いることが好ましい。
以下に、紙基材層に含まれる紙基材層の層数に関わらず、紙基材層の特性について説明する。なお、下記の特性は、紙基材層が1層の紙基材層のみからなる場合はそのものの特性を指す。紙基材層が2層以上の紙基材層を含む積層体である紙基材層であって、各紙基材層間に接着剤層等を含む場合には、接着剤層等を除いた、各紙基材層の特性である。坪量および層数は紙基材層全体の合計であり、密度、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用した場合の質量比、および離解フリーネス(濾水度)は各紙基材層の平均値である。
紙基材層は、紙である紙基材から構成される。紙基材層を構成する紙基材は、一般的に用いられている紙であればとくに限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。
具体的には、クラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等が挙げられ、これらのなかでもクラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、カップ原紙、片艶紙が好ましく、剛性の面から、(白)板紙の中では高級板紙、特殊板紙、カップ原紙、クラフト紙がより好ましい。クラフト紙は、晒クラフト紙、未晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が挙げられ、印刷適性や衛生面から、晒クラフト紙および片艶晒クラフト紙が好ましい。
紙基材層を構成する紙基材の坪量の合計は、好ましくは230〜1200g/m2であり、より好ましくは370〜900g/m2であり、さらに好ましくは400〜800g/m2であり、よりさらに好ましくは450〜700g/m2であり、よりさらに好ましくは500〜650g/m2である。
紙基材層の坪量は、好ましくは230〜1200g/m2であり、より好ましくは370〜900g/m2であり、さらに好ましくは400〜800g/m2であり、よりさらに好ましくは450〜700g/m2であり、よりさらに好ましくは500〜650g/m2である。ここで、紙基材層の坪量とは、紙基材層間に接着剤層等を含む場合には、接着剤層等を含む紙基材層全体の坪量をいう。
紙基材層を構成する紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.5〜1.2g/cm3であり、より好ましくは0.6〜1.0g/cm3であり、さらに好ましくは0.7〜0.9g/cm3であり、よりさらに好ましくは0.8〜0.9g/cm3である。
紙基材層の厚さは、好ましくは300〜1400μmであり、より好ましくは370〜950μmであり、さらに好ましくは400〜750μmであり、よりさらに好ましくは500〜750μmである。
紙基材層を構成する紙基材は、単層構成でもよく、2以上の層からなる多層構成でもよいが、各層の原料配合や坪量、抄造条件等を任意に調整できる観点から多層構成であることが好ましい。多層構成からなる紙の場合、紙基材層を構成する紙基材の層数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜8であり、よりさらに好ましくは4〜6である。
紙基材層を構成する紙基材の原料パルプは、前述の通り、木材パルプが好ましく、クラフトパルプが好ましい。
クラフトパルプは、原料の違いから、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が挙げられる。
また、処理状態の違いから、晒クラフトパルプ(BKP)および未晒クラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)が挙げられ、印刷適正の観点から、晒クラフトパルプ(BKP)が好ましい。
これらの中でも、原料パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用することがより好ましい。広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用した場合の質量比(LKP/NKP)は、一般的な紙に用いられる比率であればとくに制限なく、1/99〜99/1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましく、30/70〜99/1がさらに好ましく、70/30〜99/1がよりさらに好ましく、80/20〜95/5がよりさらに好ましい。
また、広葉樹クラフトパルプ(LKP)としては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
紙基材層を構成する紙基材の原料パルプのJIS P8121:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、800mL以下とすることが好ましく、700mL以下がより好ましく、600mL以下がさらに好ましく、500mL以下がよりさらに好ましい。下限としては100mL以上とすることが好ましく、200mL以上がより好ましい。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P8220−1に準拠して離解したパルプを、JIS P8121:2012に準拠して測定したカナダ標準濾水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調整するためにパルプを叩解する方法は、公知の方法を使用することができる。
紙基材層を構成する紙基材のサイズ度は、とくに限定されないが、JIS P8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。紙基材層を構成する紙基材のサイズ度は、内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。
内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。内添サイズ剤の含有量は、紙基材層を構成する紙基材の原料パルプ100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
紙基材層を構成する紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等が挙げられる。
填料としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。
紙基材層を構成する紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。
抄紙機としては、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等が挙げられる。
抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、前記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙基材層を構成する紙基材は、王研式平滑度が5秒以上であることが好ましく、10〜1000秒がより好ましい。また、印刷適性の観点から、紙基材は、75°光沢度が5%以上であることが好ましく、10〜70%がより好ましい。
紙基材層の表裏両面(最外面)の少なくとも片面、好ましくは両面に直接印刷をすることによって、得られるスキンパック包装体の意匠性を高めることができる。また、紙基材層の表面にさらに印刷層を設けることで、紙基材層を構成する紙基材の質に影響されず、各種印刷方法を選択でき、スキンパック包装体にさらに意匠性を付与することができる。
<熱可塑性樹脂層>
本発明のスキンパック用台紙における熱可塑性樹脂層は、前記紙基材層の表面を食品等の収容物品から保護し、収容物品を酸素などの外部刺激から保護し、また、スキンパック用台紙と樹脂フィルムとの間に収容物品を挟んで収容する際に、該樹脂フィルムと接着する役割を有する。
前記の役割を有する観点から、熱可塑性樹脂層は、バリア層を含む樹脂積層体であることが好ましく、中間層にバリア層を含み、最外層に熱可塑性樹脂からなる層を含む樹脂積層体であることがより好ましい。すなわち、熱可塑性樹脂層は、中間層にバリア層を含み、最外層に熱可塑性樹脂からなる層を含む積層フィルムであることがより好ましい。
前記バリア層は、樹脂に限られず、金属箔等でもよいが、紙基材層の印刷面を視認できるようにし、意匠性を高める観点から、樹脂から構成されることが好ましく、透明の樹脂から構成されることがより好ましい。
バリア層を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
ポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドが好ましく、ポリアミドMXD6がより好ましい。
熱可塑性樹脂層の最外層となる熱可塑性樹脂からなる層を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6等の脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂層の厚さは、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは5〜50μmであり、さらに好ましくは10〜40μmである。
熱可塑性樹脂層に好適に用いられる樹脂積層体(積層フィルム)の市販品としては、フタムラ化学工業株式会社製のPP(ポリプロピレン)/PVOH(ポリビニルアルコール)/PPの3層フィルム(商品名:ECO−B、膜厚20μm)、グンゼ株式会社製のNY6(ナイロン6)/EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)/NY6の3層フィルム(商品名:ヘプタックスHP、膜厚17μm)、ユニチカ株式会社製のNY6/MXD6(ポリアミドMXD6)/NY6の3層フィルム(商品名:エンブロンM、膜厚15μm)などが挙げられる。
<粘着剤層>
熱可塑性樹脂層の表面が接着性を有する場合、熱可塑性樹脂層を紙基材層の表面に直接接着してもよいが、スキンパック包装体の製造時、輸送時および展示時の剥離を抑制するために、紙基材層と熱可塑性樹脂層との間に粘着剤層を有することが好ましい。
粘着剤層を構成する粘着剤には、とくに制限はないが、ドライラミネートとウェットラミネートに適する樹脂系の粘着剤であることが好ましい。
具体的には、粘着剤層を構成する粘着剤は、水系、溶剤系、UV系などの種類を用いることができ、その中でも、水系粘着剤が好ましい。また、水系粘着剤の中でもアクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤およびイソシアネート系粘着剤からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、アクリル系粘着剤がより好ましい。
粘着剤層の単位面積当たりの量としては、1〜50g/m2であることが好ましく、より好ましくは1〜20g/m2であり、固形分がこの量となるように紙基材層表面上、あるいは熱可塑性樹脂層表面上に塗工することが好ましい。
塗工には、前記粘着剤を含有する塗工液を用いることが好ましく、前記粘着剤を含有する塗工液に硬化剤を混合した混合塗工液を用いることがより好ましい。
<スキンパック用台紙の製造方法>
本発明のスキンパック用台紙を製造する方法に制限はないが、以下に好適な製造方法について説明する。
紙基材層が複数の紙基材層を含む場合、まず各紙基材層の貼合工程を行うことが好ましい。 たとえば、紙基材層が紙基材層A1と紙基材層A2との2層の紙基材層を含む場合、いずれかの紙基材上に加熱溶融した上述の接着剤層に含まれる樹脂をコーティングし、そのコーティング面にもう一方の紙基材層を貼合することにより、積層体である紙基材層を得ることができる。
また、紙基材層が紙基材層A1と紙基材層A2との2層の紙基材層を含む場合、いずれかの紙基材上に、上述の接着剤層に含まれる樹脂が水に溶解または分散された水溶液またはエマルジョンを含む接着剤塗布液を塗布し、必要に応じて、一部または全ての水分を除去し、その塗布面にもう一方の紙基材を貼合することにより、積層体である紙基材層を得ることもできる。この場合、接着剤塗布液の塗布方法としては、たとえば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーターまたはカーテンコーター等を用いることができる。水分の除去は、熱風による乾燥、赤外線照射による乾燥などを用いることが好ましい。
なお、必要に応じて、各紙基材の貼合工程の前後のいずれかで、紙基材層表面に印刷を行う印刷工程を行うか、印刷層を設ける印刷層貼合工程を行う。
次に、紙基材層と熱可塑性樹脂層に用いられる積層フィルムとを貼合する貼合工程を行うことが好ましい。
貼合工程においては、紙基材層を構成する紙基材の片面に、好ましくは上述の粘着剤および任意の硬化剤等の添加剤を含む塗工液を塗工し、積層フィルムをドライラミネートまたはウェットラミネートすることで、片面が紙基材層であり、もう一方の面が積層フィルムである台紙が得られる。
また、積層フィルムに上述の粘着剤および任意の硬化剤等の添加剤を含む塗工液を塗工し、紙基材層をドライラミネートまたはウェットラミネートしても良い。
さらに、ここで得られた台紙を、収容物品の大きさや形状、輸送、展示への適合性を考慮し、適当な寸法に裁断する裁断工程を行う。裁断は、同一形状のスキンパック包装体を多量に効率的に得る観点から、打ち抜き加工によることが好ましい。
打ち抜き加工は、高速自動打抜機、平盤打抜機、輪転打抜機を用いて行うことが好ましく、高速自動打抜機によることがより好ましい。高速自動打抜機、平盤打抜機によれば、スキンパック包装体に適した四角形、角丸四角形、楕円形等の形状のスキンパック用台紙を容易に効率的に得ることができる。
[スキンパック包装体]
本発明のスキンパック包装体は、収容物品と、スキンパック用台紙と、樹脂フィルムとを備え、前記収容物品が前記スキンパック用台紙と前記樹脂フィルムとの間に収容されるものであり、好ましくは、前記収容物品が密封収納されるものである。すなわち、本発明のスキンパック包装体は、収容物品と、紙基材層の一面に熱可塑性樹脂層を有し、JIS P 8125:2000に準拠して測定された 縦方向のテーバーこわさが50〜150mN・mであり、JIS P 8125:2000に準拠して測定された横方向のテーバーこわさが20〜80mN・mであるスキンパック用台紙と、樹脂フィルムとを備え、収容物品が、スキンパック用台紙と樹脂フィルムとの間に収容されるものである。
収容物品を収容するために用いられる樹脂フィルムは、収容物品の表面および前記台紙の一方の面、すなわち熱可塑性樹脂層に密着して物品を収容するものである。
樹脂フィルムとしては、収容物品の種類や形状等によって、適宜選択することができるが、好ましくは、本発明のスキンパック用台紙の熱可塑性樹脂層と接着して、収容物品を収容する必要があるため、その接着性に優れ、また、収容物品を取り出す際には剥離性を有するものである。したがって、樹脂フィルムは、上述の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂から構成されるものであることが好ましく、内容物が食品等である場合、バリア層を有するものであることがより好ましい。バリア層としては、上述の熱可塑性樹脂層に用いられるバリア層が好適に用いられる。
収容物品には制限はなく、食品、日用品等が挙げられるが、本発明のスキンパック包装体は、好ましくは、収容物品を密封して収容することができるため、野菜、精肉、鮮魚等の生鮮食品、およびそれらの加工食品等の食品を収容することに適している。
さらに本発明のスキンパック包装体は、カールが少なく、かつ、打ち抜き加工性にも優れる台紙を用いて製造されるため、密封性や、包装体自体の形状の同一性、美感にも優れ、これら食品を長期間保存し、輸送し、展示することにも適する。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[紙基材の製造(紙基材全体、または樹脂層側に使用。紙基材層または紙基材層A1)]
製造例1−1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)90質量部および針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)10質量部を混合叩解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー100質量部に対して、硫酸バンド0.38質量部(固形分換算)を添加し、表層用、表下層用、中層用、裏下層用、裏層用の5層分の紙料を調製した。この紙料のカナダ標準濾水度(CSF)は460mLであった。この紙料を用いて、5層全ての設定坪量を等量として、五層抄きのツインワイヤー抄紙機を用いて抄紙した。坪量は400g/m2とした。その後、カレンダーで平滑化処理を施して、紙基材1−1を得た。
製造例1−2
坪量を520g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−2を得た。
製造例1−3
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)90質量部および針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)10質量部を、古紙パルプ100質量部に変更した以外は、製造例1−2と同様にして紙基材1−3を得た。
製造例1−4
紙層を9層に変更し、坪量を750g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−4を得た。
製造例1−5
坪量を280g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−5を得た。
製造例1−6
坪量を460g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−6を得た。
製造例1−7
坪量を350g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−7を得た。
製造例1−8
坪量を300g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−8を得た。
製造例1−9
紙層を9層に変更し、坪量を850g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−9を得た。
製造例1−10
紙層を9層に変更し、坪量を900g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−10を得た。
製造例1−11
紙層を3層に変更し、坪量を190g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−11を得た。
製造例1−12
紙層を9層に変更し、坪量を800g/m2に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材1−12を得た。
製造例2−1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)95質量部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)5質量に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材2−1を得た。
製造例3−1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量部に変更した以外は、製造例1−1と同様にして紙基材3−1を得た。
[紙基材の製造(主として裏面側に使用。紙基材層A2)]
製造例4−1
CSF520mLに叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50質量部およびCSF570mLに叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)50質量部を混合叩解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー100質量部に対して、カチオン化デンプン(P−3T、PIRAAB STARCH社製)0.75質量部(固形分換算)、ロジンエマルジョン(SPN、荒川化学工業株式会社製)1.0質量部、アニオン変性ポリアクリルアマイド(ポリストロン、荒川化学工業株式会社製)0.33部を添加し、ヤンキードライヤーを備えた長網抄紙機を用いて抄紙し、坪量を120g/m2として、紙基材4−1を得た。
製造例4−2
紙層を5層に変更し、坪量を240g/m2に変更した以外は、製造例4−1と同様にして紙基材4−2を得た。
製造例4−3
坪量を60g/m2に変更した以外は、製造例4−1と同様にして紙基材4−3を得た。
製造例5−1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)45質量部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)55質量部に変更した以外は、製造例4−1と同様にして紙基材5−1を得た。
製造例6−1
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)55質量部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)45質量部に変更した以外は、製造例4−1と同様にして紙基材6−1を得た。
[その他原料]
<フィルム(熱可塑性樹脂層用)>
・フィルム7−1:ECO−B(PP(ポリプロピレン)/PVOH(ポリビニルアルコール)/PPの3層構成、膜厚20μm、フタムラ化学工業株式会社製)
・フィルム8−1:ヘプタックスHP(NY6(ナイロン6)/EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)/NY6の3層構成、膜厚17μm、グンゼ株式会社製)
・フィルム9−1:エンブロンM(NY6/MXD6(ポリアミドMXD6)/NY6の3層構成、膜厚15μm、ユニチカ株式会社製)
<ポリオレフィン樹脂(接着剤層用)>
・LDPE:低密度ポリエチレン(LC−522、日本ポリエチレン株式会社製)
・MDPE:中密度ポリエチレン(NUC−8010、NUC株式会社製)
[スキンパック用台紙の製造]
実施例1
(貼合工程)
紙基材1−1に、熱乾燥後の塗工量が10g/m2となるように、水性アクリル粘着剤(EA−G34、東洋モートン株式会社製)100質量部に対して、硬化剤(CAT−EP8、東洋モートン株式会社製)3質量部を混合した塗工液を、リバースロールコーターを用いて塗工した。次に粘着剤を塗工した面に、フィルム7−1をウェットラミネートした。ここで得られた台紙を後述の打ち抜き加工性評価に供した。評価結果を表1に示す。
(打ち抜き加工工程)
前記の台紙を、自動平盤打抜機(カートンマスター AP−1300−TSG−8、旭マシナリー株式会社製)を用いて、6000枚/時の条件で打ち抜き加工を行い、縦200mm×横100mmの長方形のスキンパック用台紙を得た。ここで得られたスキンパック用台紙を後述のカール評価に供した。評価結果を表1に示す。
実施例2〜4および比較例1〜4
紙基材1−1に替えて、表1に記載の紙基材に変更した以外は実施例1と同様にしてスキンパック用台紙を得た。評価も実施例1と同様に行い、評価結果は表1に示す。
実施例5
(紙基材貼合工程)
紙基材1−1の片面にLDPEを溶融押出コーティングし、そのコーティング面に紙基材4−1を貼合させて、2層の紙基材を得た。
(貼合工程)
前記のようにして得られた2層の紙基材の紙基材1−1側に、熱乾燥後の塗工量が10g/m2となるように、水性アクリル粘着剤(EA−G34、東洋モートン株式会社製)100質量部に対して、硬化剤(CAT−EP8、東洋モートン株式会社製)3質量部を混合した塗工液を、リバースロールコーターを用いて塗工した。次に粘着剤を塗工した面に、フィルム7−1をウェットラミネートした。ここで得られた台紙を後述の打ち抜き加工性評価に供した。評価結果を表2に示す。
(打ち抜き加工工程)
前記の台紙を、自動平盤打抜機(カートンマスター AP−1300−TSG−8、旭マシナリー株式会社製)を用いて、6000枚/時の条件で打ち抜き加工を行い、縦200mm×横100mmの長方形のスキンパック用台紙を得た。ここで得られたスキンパック用台紙を後述のカール評価に供した。評価結果を表2に示す。
実施例6〜14および比較例5〜6
紙基材1−1、紙基材4−1、LDPEおよびフィルム7−1に替えて、表2に記載の紙基材、フィルムに変更した以外は実施例5と同様にしてスキンパック用台紙を得た。評価も実施例5と同様に行い、評価結果は表2に示す。
実施例15
打ち抜き加工時の寸法を縦100mm×横50mmの長方形に変更した以外は実施例5と同様にしてスキンパック用台紙を得た。評価も実施例5と同様に行い、評価結果は表2に示す。
実施例16
打ち抜き加工時の寸法を縦500mm×横250mmの長方形に変更した以外は実施例5と同様にしてスキンパック用台紙を得た。評価も実施例5と同様に行い、評価結果は表2に示す。
[物性測定・評価]
[テーバーこわさ]
テーバーこわさ計(東洋精機製作所社製デジタルテーバー剛性度試験機)にて、JIS P 8125:2000(紙および板紙こわさ試験方法 テーバーこわさ試験機法)に準じて、実施例および比較例で製造したスキンパック用台紙の縦方向、横方向それぞれのこわさを測定した。
[カール]
下記(1)〜(3)で示した条件に調整した容器に、それぞれ実施例および比較例で製造したスキンパック用台紙(縦200mm×横100mmの長方形。実施例15は縦100mm×横50mmの長方形、実施例16は縦500mm×横250mmの長方形の台紙を使用。)を入れ、条件(1)および(2)では24時間、条件(3)では240時間保存した。保存後、各容器から取り出し、5分以内に台紙のカール状態を確認した。台紙を水平な硬質面に平置きにした際、台紙の4ヵ所の頂点の1つ以上が硬質面から30mm以上浮いている場合を不合格、台紙の4ヵ所の頂点全ての浮きが30mm未満の場合を合格とし、下記の基準でカールを評価した。
<保存条件および使用した保存容器>
(1)−40℃(低温条件、恒温機(CLN−21DPN、株式会社カトー製))
(2)40℃、90%RH(高温多湿条件、恒温恒湿試験器(PR−3KP、エスペック株式会社製))
(3)−20℃の条件で12時間、その後40℃の条件で12時間を10サイクル(ヒートショック条件、熱衝撃試験機(ES−57L、株式会社日立空調SE製))
<評価基準>
◎:保存条件(1)〜(3)で保存した台紙全てが合格。
〇:保存条件(1)および(2)で保存した台紙が合格。(3)で保存した台紙のみ不合格。
△:保存条件(1)で保存した台紙のみ合格。保存条件(2)および(3)で保存した台紙が不合格。
×:保存条件(1)〜(3)で保存した台紙全てが不合格。
[打ち抜き加工性]
実施例および比較例の貼合工程後に得られた台紙を、自動平盤打抜機(カートンマスター AP−1300−TSG−8、旭マシナリー株式会社製)を用い、100mm×200mmの長方形となるように打ち抜き加工を行った。加工後の台紙の打ち抜き面による押し跡、台紙切断面のバリ、および紙粉の発生を観察し、下記の基準で評価した。なお、押し跡とは、加工時に刃に接触する部分の変形をいい、バリとは、JIS B 0051:2004に記載された、「部品のかどのエッジにおける幾何学形状の残留物で、機械加工または成型工程における部品上の残留物」をいい、紙粉とは、バリから発生した長繊維状の紙屑をいう。
<評価基準>
◎:評価前後で押し跡が見られず、バリと紙粉は生じない。
〇:評価前後で押し跡は見られるが、バリと紙粉は生じない。
△:評価前後で押し跡は見られ、バリは生じるが、紙粉は生じない。
×:評価前後で押し跡は見られ、バリが生じ、紙粉も生じる。
Figure 0006901030
Figure 0006901030
表1および表2の結果から、実施例のスキンパック用台紙は、高温多湿環境等の過酷な条件下でもカールの発生が低減され、打ち抜き加工性にも優れることがわかる。

Claims (5)

  1. 紙基材層の一面に、熱可塑性樹脂層を有するスキンパック用台紙であり、
    前記紙基材層が、熱可塑性樹脂層に接する面から順に、紙基材層A1と、接着剤層と、紙基材層A2とからなる積層体であり、
    紙基材層A1を構成する紙基材において、原料パルプが広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とを併用しており、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)との質量比(LBKP/NBKP)が80/20〜95/5であり、かつ、密度が0.8〜1.2g/cm であり、
    紙基材層A2を構成する紙基材において、原料パルプが広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とを併用しており、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)との質量比(LBKP/NBKP)が45/55〜55/45であり、かつ、密度が0.80〜1.2g/cm であり、
    前記接着剤層がポリオレフィン系樹脂を含み、
    スキンパック用台紙の縦方向のテーバーこわさが50〜150mN・mであり、横方向のテーバーこわさが20〜80mN・mである、スキンパック用台紙。
  2. 紙基材層を構成する紙基材の坪量の合計が230〜1200g/mである、請求項1に記載のスキンパック用台紙。
  3. 紙基材層A1を構成する紙基材の坪量が、紙基材層A2を構成する紙基材の坪量より大きい、請求項1又は2に記載のスキンパック用台紙。
  4. 紙基材層A1を構成する紙基材の坪量と紙基材層A2を構成する紙基材の坪量との差が40g/m以上であり、紙基材層A1を構成する紙基材の坪量が280〜460g/m であり、紙基材層A2を構成する紙基材の坪量が60〜240g/m である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスキンパック用台紙。
  5. 収容物品と、請求項1〜のいずれか1項に記載のスキンパック用台紙と、樹脂フィルムとを備え、前記収容物品が前記スキンパック用台紙と前記樹脂フィルムとの間に収容される、スキンパック包装体。
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