JP2004329989A - フッ素吸着剤の製造方法及び廃液処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素吸着率が改善されたフッ素吸着剤の製造方法を提供する。
【解決手段】ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、得られた沈殿物を乾燥させる工程とを具備することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、得られた沈殿物を乾燥させる工程とを具備することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素吸着剤の製造方法と、ラニーニッケル触媒(スポンジニッケル触媒)のようなラニー触媒(スポンジ触媒)を製造する際に生じるアルミニウム含有のアルカリ性廃液の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム含有アルカリ性廃液を中和剤として再利用することが知られている。しかしながら、廃液を中和剤として使用すると、中和時に多量の水酸化アルミスラッジが生成し、この水酸化アルミスラッジの処理が問題となって実用化が困難になる欠点がある。
【0003】
また、アルミニウム含有アルカリ性廃液の処理方法として、バイヤー法を利用して水酸化アルミニウムとアルカリを回収する方法も知られている。しかしながら、バイヤー法を利用する方法には、1回に除去できるAl量が少ないばかりか、回収アルカリ溶液の量が多いために装置が大型化し、コストが高いという欠点があった。そのうえ、廃液中にグリコン酸ソーダ等の安定化剤が添加されていると、反応自体が起こらないという問題点もある。
【0004】
アルミニウム含有アルカリ性廃液のうち、アルミサッシ工場、アルマイト工場またはアルミニウムの押出し工場のダイスのアルカリ洗浄液より排出されるアルミニウム含有苛性ソーダ廃液の処理方法が、特許第3161491号特許公報に記載されている。この特許公報に記載された処理方法では、アルミニウム含有苛性ソーダ廃液に、MgO及びMg(OH)2の少なくとも一つをアルミニウム1モル当り0.5〜3モル添加して70℃以上で4時間反応させることにより、ハイドロタルサイトを析出させ、このハイドロタルサイトを分離除去している。
【0005】
しかしながら、この方法で得られたハイドロタルサイトは、用途が少なく、PVCの安定剤・難燃剤としての利用が考えられているが、粒度・白色度や加熱熱安定性試験などの条件が厳しいために実用化に至っていない。よって、ハイドロタルサイトとして回収するのは、廃液の有効利用の点で望ましくない。
【0006】
【特許文献1】
特許第3161491号特許公報(特許請求の範囲、段落[0001]、段落[0014])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フッ素吸着率が改善されたフッ素吸着剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、ラニー触媒の製造時に発生するアルミニウム含有アルカリ性廃液の有効利用が可能な廃液処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るフッ素吸着剤の製造方法は、ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、
得られた沈殿物を乾燥させる工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る廃液処理方法は、ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、
得られた反応生成物を沈殿物と回収液とに分離する工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るフッ素吸着剤の製造方法及び廃液処理方法の一実施形態について説明する。
【0012】
(第1工程)
ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる。
【0013】
アルカリ性廃液のアルミニウム濃度は、40g/L以下であることが望ましい。これは、アルミニウム濃度が40g/Lを超えると、生成した沈殿物が反応後温度が低下した際に結晶水に取り込まれやすく、回収液量が減少し、粘度上昇により攪拌が困難になる恐れがあるからである。表1に200Lのスケールで攪拌機(0.4KW 150prm)を使用した場合の結果を示す。
【0014】
【表1】
【0015】
表1から明らかなように、アルカリ性廃液のアルミニウム濃度が20〜40g/Lの範囲内である際に攪拌羽根が回転することが理解できる。なお、アルカリ性廃液のアルミニウム濃度が40g/Lを超えても、フッ素吸着剤の製造に大きな支障がないことを確認した。
【0016】
アルカリ性廃液の遊離ナトリウム濃度は、90〜150g/Lの範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。遊離ナトリウム濃度を90g/L未満にすると、沈殿の生成率が低下する可能性がある。一方、遊離ナトリウム濃度が150g/Lを超えると、反応物から沈殿を濾過により分離回収する際の回収率が低くなる恐れがある。遊離ナトリウム濃度のより好ましい範囲は、90〜120g/Lである。
【0017】
Mg/Alのモル比を前記範囲に限定するのは、Mg/Alのモル比が3以下になるか、もしくはMg/Alのモル比が9を超えると、高いフッ素吸着能を有するフッ素吸着剤を得られないからである。より好ましい範囲は、3より大きく、8以下で、さらに好ましい範囲は3より大きく、7以下である。
【0018】
マグネシウム化合物としては、MgOか、Mg(OH)2か、MgOとMg(OH)2の混合物を使用することができるが、特に好ましいのは、MgOである。
【0019】
反応温度を80℃以上に限定するのは、反応温度を80℃未満にすると、高いフッ素吸着能を有するフッ素吸着剤が得られないからである。また、反応温度の上限は、105℃にすることが好ましい。これは、反応温度を105℃より高くするには、オートクレーブ等の耐圧容器が必要となるためにコストアップになる可能性があるからである。
【0020】
(第2工程)
得られた反応生成物を濾過により固形分(沈殿物)と液体成分(回収液)に分離する。
【0021】
沈殿物を水洗せずにそのまま乾燥させることにより、フッ素吸着剤を得る。沈殿物を水洗しないのは、沈殿物に水洗処理を施すと、沈殿物からNa成分が溶出し、得られるフッ素吸着剤のフッ素吸着能が低下するからである。同時に、回収アルカリ液の濃度を再利用する時に低下させないためである。
【0022】
一方、回収液は、例えば、廃酸や紙の中和剤として使用される。
【0023】
本発明に係る廃液処理方法及びフッ素吸着剤の製造方法では、ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ廃液を使用する。この廃液には、炭酸根(CO3)はほとんど含まれていないか、もしくは含まれていても極微量であるため、この廃液にMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方をMg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるように添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせ、沈殿物と回収液を分離し、沈殿物を洗浄することなく乾燥させることによって、Al,Na及びMgを含み、かつX線回折においてMg(OH)2に由来するピークが検出される化合物を得ることができる。この化合物は、フッ素吸着能に優れているため、排水からのフッ素成分除去剤として有用である。この化合物のフッ素吸着能が高いのは、Na成分が含まれていることが一つの要因になっている。よって、沈殿物に洗浄処理を施すと、沈殿物中のNa成分が溶出するため、フッ素吸着能が低下する。なお、フッ素吸着剤は、X線回折においてMg(OH)2に由来するピークが検出されることが望ましく、また、ハイドロタルサイトとの複合物が含まれていても良い。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
(実施例1)
ラネー触媒の製造時に排出されたアルミニウム含有苛性ソーダ廃液(Na濃度が82.2g/L、Al濃度が34g/L)1500mLに酸化マグネシウム(純度95%)400.8gを添加し、コンデンサーを備えた3Lのガラス容器において90℃で6時間反応させた。生成した沈殿にろ過乾燥を施した。回収した濾液は、840mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.21g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が48.5g/Lであった。
【0026】
分離した沈殿は790gであった。沈殿の分析値は、Naが9.2%で、Alが5.6%で、Mgが28.5%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを図1に示す。図1から、実施例1の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することを理解できる。なお、X線解析装置としては、理学電機株式会社製の商品名がMini Flexを使用した。
【0027】
(実施例2)
酸化マグネシウムの添加量を280.3gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、850mLであった。濾液を分析したところ、Al濃度が0.31g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が56.3g/Lであった。
【0028】
分離回収した沈殿は、495gであった。沈殿の分析値は、Naが13.5%で、Alが9%で、Mgが27.3%であった。分離回収した沈殿のX線解析パターンには、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0029】
(実施例3)
酸化マグネシウムの添加量を561.3gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、780mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.18g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が46.0g/Lであった。
【0030】
分離した沈殿は1080gであった。沈殿の分析値は、Naが6.6%で、Alが4.7%で、Mgが30.1%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを図2に示す。図2から、実施例1の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することを理解できる。
【0031】
(実施例4)
酸化マグネシウムの添加量を640.7gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、720mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.14g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が42.3g/Lであった。
【0032】
分離した沈殿は1120gであった。沈殿の分析値は、Naが6.2%で、Alが4.2%で、Mgが31.8%であった。回収した沈殿のX線回折パターンには、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0033】
(実施例5)
実施例1で説明したのと同様な種類のアルミニウム含有苛性ソーダ廃液を1500mLと、酸化マグネシウムを720gと、水を1500mLとを5Lのコンデンサーを備えた反応容器に入れ、実施例1で説明したのと同様な反応条件で反応を行った。
【0034】
回収した濾液は、1520mLであった。また、濾液の分析値は、Na濃度が38.6g/Lで、Al濃度が0.09g/Lで、Mgは検出されなかった。
【0035】
分離した沈殿は1250gであった。沈殿の分析値はNaが5.6%で、Alが3.9%で、Mgが32.2%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを図3に示す。図3から、実施例1の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することが理解できる。
【0036】
(比較例1)
酸化マグネシウムの添加量を152.3gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、900mLであった。濾液を分析したところ、Al濃度が0.65g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が40.6g/Lであった。
【0037】
分離回収した沈殿は、305gであった。また、沈殿の分析値は、Naが24.2%、Alが13.9%で、Mgが26.5%であった。分離回収した沈殿のX線解析パターンには、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0038】
(比較例2)
酸化マグネシウムの添加量を180.4gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、890mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.52g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が57.7g/Lであった。
【0039】
分離した沈殿は362gであった。また、沈殿の分析値はNaが20.2%、Alが11.5%で、Mgが26.4%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンは、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0040】
<フッ素吸着性試験>
実施例1〜5及び比較例1〜2で分離回収された沈殿をフッ素吸着剤として用い、フッ素吸着性試験を行なった。この際、組成がMg4.5Al2(OH)13CO33.5H2Oで表わされる合成ハイドロタルサイト(協和化学工業製の商品名がキョーワード1000)を比較例3のフッ素吸着剤として用意し、水酸化マグネシウムを比較例4のフッ素吸着剤として用意し、これらについてもフッ素吸着性試験を行なった。
【0041】
(フッ化ナトリウム溶液を用いるフッ素吸着性試験)
フッ素濃度が100mg/Lのフッ化ナトリウム溶液100mLに、実施例1〜5及び比較例1〜4のフッ素吸着剤を下記表2に示す4通りの添加量(0.5g、1g、3g、5g)で添加し、30分間攪拌することによりフッ素吸着を行なった。その後、沈殿をろ過し、ろ過した液をPH5〜6に調整した後、イオン計によりフッ素濃度を測定した。フッ素吸着の前後でのフッ素イオン濃度の変化からフッ素イオン吸着率を算出し、その結果を下記表2に示す。
【0042】
(実廃液でのフッ素吸着性試験)
ガラス工場の廃液(フッ素濃度が8190mg/L)を用いてフッ素吸着試験を行なった。前処理として排水原液1Lに塩化カルシウム40.5gを添加し、25%苛性ソーダで液のpHを9付近に調整し、80分間攪拌を行ない、その後40分静置し、濾過を行ない、試験原体とした。この時のフッ素濃度は、133.28mg/Lであった。続いて、前処理を行なった排水100mLにフッ素吸着剤を0.5g、1g添加し、攪拌しながらpHを5付近に調整し、30分間攪拌を行ない、フッ素を吸着させた。ひきつづき、濾過を行ない、pHを5〜6に調整し、イオンメータで測定を行なった。フッ素吸着の前後でのフッ素イオン濃度の変化からフッ素イオン吸着率を算出し、その結果を下記表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表2から明らかなように、(Mg/Al)が3より大きく、9以下である実施例1〜5では、0.5〜5gのいずれの添加量においても、高いフッ素吸着率を得られることが理解できる。また、(Mg/Al)のモル比を5〜8(実施例1,3,4)にすると、実施例2,5に比較して高いフッ素吸着率が得られた。
【0046】
これに対し、(Mg/Al)が3未満である比較例1,2と、合成ハイドロタルサイトを用いる比較例3と、水酸化マグネシウムを用いる比較例4は、0.5〜5gのいずれの添加量においても、実施例1〜5に比べてフッ素吸着率が低かった。
【0047】
表3に示すように、実廃液を用いたフッ素吸着性試験においても、実施例1〜5によると、0.5〜1gのいずれの添加量でも、比較例1〜4に比較して高いフッ素吸着率を得られることが理解できる。また、(Mg/Al)のモル比を5〜8(実施例1,3,4)にすると、実施例2,5に比較して高いフッ素吸着率が得られた。
【0048】
実施例1で説明したのと同様にして沈殿を生成させ、ガラス容器内の反応生成物に濾過乾燥を施すことなく、懸濁液の状態のものに炭酸ガスを導入しながら空気中で攪拌した。得られた反応物に濾過乾燥を施すことにより、ハイドロタルサイトを得た。得られたハイドロタルサイトのX線回折パターンを図4に、比較例4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンを図5に、比較例3の水酸化マグネシウムのX線回折パターンを図6に示す。
【0049】
前述した図1に示す実施例1のフッ素吸着剤のX線回折パターンと図4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンとの比較から、実施例1のフッ素吸着剤を炭酸ガスと反応させると、ハイドロタルサイトに変化することが理解できる。また、図4、図5の比較から、上記反応により得られたハイドロタルサイトのX線回折パターンが、比較例4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンとほぼ一致することがわかる。さらに、図1と図6の比較から、実施例1のフッ素吸着剤のX線回折パターンが、比較例3のマグネシウムのX線回折パターンとは異なるものであることが理解できる。
【0050】
これらの結果から、実施例1のフッ素吸着剤は、ハイドロタルサイトでも水酸化マグネシウムでもないことが理解できる。
【0051】
(実施例6)
実施例1で説明したのと同様な種類のアルミニウム含有苛性ソーダ廃液1500mLに水酸化マグネシウム(純度97%)576.6gを添加し(Mg/Alは5)、コンデンサーを備えた3Lのガラス容器において90℃で6時間反応させた。生成した沈殿にろ過乾燥を施した。回収した濾液は、921mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.18g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が49.1g/Lであった。
【0052】
分離した沈殿は785gであった。沈殿の分析値は、Naが8.9%で、Alが5.5%で、Mgが27.6%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを測定したところ、実施例6の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することを確認できた。
【0053】
得られた実施例6のフッ素吸着剤を用いて前述したのと同様な条件でフッ素吸着性試験を行なったところ、実施例1と同様な結果を得ることができた。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、高いフッ素吸着能を有するフッ素吸着剤の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、ラニー触媒製造時に発生するアルミニウム含有アルカリ性廃液の有効利用が可能な廃液処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフッ素吸着剤のX線回折パターンを示す特性図。
【図2】実施例3のフッ素吸着剤のX線回折パターンを示す特性図。
【図3】実施例5のフッ素吸着剤のX線回折パターンを示す特性図。
【図4】実施例1のフッ素吸着剤に炭酸ガスを反応させることにより得られたハイドロタルサイトのX線回折パターンを示す特性図。
【図5】比較例4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンを示す特性図。
【図6】比較例3の水酸化マグネシウムのX線回折パターンを示す特性図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素吸着剤の製造方法と、ラニーニッケル触媒(スポンジニッケル触媒)のようなラニー触媒(スポンジ触媒)を製造する際に生じるアルミニウム含有のアルカリ性廃液の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム含有アルカリ性廃液を中和剤として再利用することが知られている。しかしながら、廃液を中和剤として使用すると、中和時に多量の水酸化アルミスラッジが生成し、この水酸化アルミスラッジの処理が問題となって実用化が困難になる欠点がある。
【0003】
また、アルミニウム含有アルカリ性廃液の処理方法として、バイヤー法を利用して水酸化アルミニウムとアルカリを回収する方法も知られている。しかしながら、バイヤー法を利用する方法には、1回に除去できるAl量が少ないばかりか、回収アルカリ溶液の量が多いために装置が大型化し、コストが高いという欠点があった。そのうえ、廃液中にグリコン酸ソーダ等の安定化剤が添加されていると、反応自体が起こらないという問題点もある。
【0004】
アルミニウム含有アルカリ性廃液のうち、アルミサッシ工場、アルマイト工場またはアルミニウムの押出し工場のダイスのアルカリ洗浄液より排出されるアルミニウム含有苛性ソーダ廃液の処理方法が、特許第3161491号特許公報に記載されている。この特許公報に記載された処理方法では、アルミニウム含有苛性ソーダ廃液に、MgO及びMg(OH)2の少なくとも一つをアルミニウム1モル当り0.5〜3モル添加して70℃以上で4時間反応させることにより、ハイドロタルサイトを析出させ、このハイドロタルサイトを分離除去している。
【0005】
しかしながら、この方法で得られたハイドロタルサイトは、用途が少なく、PVCの安定剤・難燃剤としての利用が考えられているが、粒度・白色度や加熱熱安定性試験などの条件が厳しいために実用化に至っていない。よって、ハイドロタルサイトとして回収するのは、廃液の有効利用の点で望ましくない。
【0006】
【特許文献1】
特許第3161491号特許公報(特許請求の範囲、段落[0001]、段落[0014])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フッ素吸着率が改善されたフッ素吸着剤の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、ラニー触媒の製造時に発生するアルミニウム含有アルカリ性廃液の有効利用が可能な廃液処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るフッ素吸着剤の製造方法は、ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、
得られた沈殿物を乾燥させる工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る廃液処理方法は、ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、
得られた反応生成物を沈殿物と回収液とに分離する工程と
を具備することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るフッ素吸着剤の製造方法及び廃液処理方法の一実施形態について説明する。
【0012】
(第1工程)
ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる。
【0013】
アルカリ性廃液のアルミニウム濃度は、40g/L以下であることが望ましい。これは、アルミニウム濃度が40g/Lを超えると、生成した沈殿物が反応後温度が低下した際に結晶水に取り込まれやすく、回収液量が減少し、粘度上昇により攪拌が困難になる恐れがあるからである。表1に200Lのスケールで攪拌機(0.4KW 150prm)を使用した場合の結果を示す。
【0014】
【表1】
【0015】
表1から明らかなように、アルカリ性廃液のアルミニウム濃度が20〜40g/Lの範囲内である際に攪拌羽根が回転することが理解できる。なお、アルカリ性廃液のアルミニウム濃度が40g/Lを超えても、フッ素吸着剤の製造に大きな支障がないことを確認した。
【0016】
アルカリ性廃液の遊離ナトリウム濃度は、90〜150g/Lの範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。遊離ナトリウム濃度を90g/L未満にすると、沈殿の生成率が低下する可能性がある。一方、遊離ナトリウム濃度が150g/Lを超えると、反応物から沈殿を濾過により分離回収する際の回収率が低くなる恐れがある。遊離ナトリウム濃度のより好ましい範囲は、90〜120g/Lである。
【0017】
Mg/Alのモル比を前記範囲に限定するのは、Mg/Alのモル比が3以下になるか、もしくはMg/Alのモル比が9を超えると、高いフッ素吸着能を有するフッ素吸着剤を得られないからである。より好ましい範囲は、3より大きく、8以下で、さらに好ましい範囲は3より大きく、7以下である。
【0018】
マグネシウム化合物としては、MgOか、Mg(OH)2か、MgOとMg(OH)2の混合物を使用することができるが、特に好ましいのは、MgOである。
【0019】
反応温度を80℃以上に限定するのは、反応温度を80℃未満にすると、高いフッ素吸着能を有するフッ素吸着剤が得られないからである。また、反応温度の上限は、105℃にすることが好ましい。これは、反応温度を105℃より高くするには、オートクレーブ等の耐圧容器が必要となるためにコストアップになる可能性があるからである。
【0020】
(第2工程)
得られた反応生成物を濾過により固形分(沈殿物)と液体成分(回収液)に分離する。
【0021】
沈殿物を水洗せずにそのまま乾燥させることにより、フッ素吸着剤を得る。沈殿物を水洗しないのは、沈殿物に水洗処理を施すと、沈殿物からNa成分が溶出し、得られるフッ素吸着剤のフッ素吸着能が低下するからである。同時に、回収アルカリ液の濃度を再利用する時に低下させないためである。
【0022】
一方、回収液は、例えば、廃酸や紙の中和剤として使用される。
【0023】
本発明に係る廃液処理方法及びフッ素吸着剤の製造方法では、ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ廃液を使用する。この廃液には、炭酸根(CO3)はほとんど含まれていないか、もしくは含まれていても極微量であるため、この廃液にMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方をMg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるように添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせ、沈殿物と回収液を分離し、沈殿物を洗浄することなく乾燥させることによって、Al,Na及びMgを含み、かつX線回折においてMg(OH)2に由来するピークが検出される化合物を得ることができる。この化合物は、フッ素吸着能に優れているため、排水からのフッ素成分除去剤として有用である。この化合物のフッ素吸着能が高いのは、Na成分が含まれていることが一つの要因になっている。よって、沈殿物に洗浄処理を施すと、沈殿物中のNa成分が溶出するため、フッ素吸着能が低下する。なお、フッ素吸着剤は、X線回折においてMg(OH)2に由来するピークが検出されることが望ましく、また、ハイドロタルサイトとの複合物が含まれていても良い。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
(実施例1)
ラネー触媒の製造時に排出されたアルミニウム含有苛性ソーダ廃液(Na濃度が82.2g/L、Al濃度が34g/L)1500mLに酸化マグネシウム(純度95%)400.8gを添加し、コンデンサーを備えた3Lのガラス容器において90℃で6時間反応させた。生成した沈殿にろ過乾燥を施した。回収した濾液は、840mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.21g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が48.5g/Lであった。
【0026】
分離した沈殿は790gであった。沈殿の分析値は、Naが9.2%で、Alが5.6%で、Mgが28.5%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを図1に示す。図1から、実施例1の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することを理解できる。なお、X線解析装置としては、理学電機株式会社製の商品名がMini Flexを使用した。
【0027】
(実施例2)
酸化マグネシウムの添加量を280.3gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、850mLであった。濾液を分析したところ、Al濃度が0.31g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が56.3g/Lであった。
【0028】
分離回収した沈殿は、495gであった。沈殿の分析値は、Naが13.5%で、Alが9%で、Mgが27.3%であった。分離回収した沈殿のX線解析パターンには、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0029】
(実施例3)
酸化マグネシウムの添加量を561.3gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、780mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.18g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が46.0g/Lであった。
【0030】
分離した沈殿は1080gであった。沈殿の分析値は、Naが6.6%で、Alが4.7%で、Mgが30.1%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを図2に示す。図2から、実施例1の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することを理解できる。
【0031】
(実施例4)
酸化マグネシウムの添加量を640.7gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、720mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.14g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が42.3g/Lであった。
【0032】
分離した沈殿は1120gであった。沈殿の分析値は、Naが6.2%で、Alが4.2%で、Mgが31.8%であった。回収した沈殿のX線回折パターンには、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0033】
(実施例5)
実施例1で説明したのと同様な種類のアルミニウム含有苛性ソーダ廃液を1500mLと、酸化マグネシウムを720gと、水を1500mLとを5Lのコンデンサーを備えた反応容器に入れ、実施例1で説明したのと同様な反応条件で反応を行った。
【0034】
回収した濾液は、1520mLであった。また、濾液の分析値は、Na濃度が38.6g/Lで、Al濃度が0.09g/Lで、Mgは検出されなかった。
【0035】
分離した沈殿は1250gであった。沈殿の分析値はNaが5.6%で、Alが3.9%で、Mgが32.2%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを図3に示す。図3から、実施例1の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することが理解できる。
【0036】
(比較例1)
酸化マグネシウムの添加量を152.3gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、900mLであった。濾液を分析したところ、Al濃度が0.65g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が40.6g/Lであった。
【0037】
分離回収した沈殿は、305gであった。また、沈殿の分析値は、Naが24.2%、Alが13.9%で、Mgが26.5%であった。分離回収した沈殿のX線解析パターンには、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0038】
(比較例2)
酸化マグネシウムの添加量を180.4gに変更すること以外は、実施例1で説明したのと同様な条件で沈殿を得た。回収した濾液は、890mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.52g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が57.7g/Lであった。
【0039】
分離した沈殿は362gであった。また、沈殿の分析値はNaが20.2%、Alが11.5%で、Mgが26.4%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンは、Mg(OH)2に由来する回折ピークが現れていた。
【0040】
<フッ素吸着性試験>
実施例1〜5及び比較例1〜2で分離回収された沈殿をフッ素吸着剤として用い、フッ素吸着性試験を行なった。この際、組成がMg4.5Al2(OH)13CO33.5H2Oで表わされる合成ハイドロタルサイト(協和化学工業製の商品名がキョーワード1000)を比較例3のフッ素吸着剤として用意し、水酸化マグネシウムを比較例4のフッ素吸着剤として用意し、これらについてもフッ素吸着性試験を行なった。
【0041】
(フッ化ナトリウム溶液を用いるフッ素吸着性試験)
フッ素濃度が100mg/Lのフッ化ナトリウム溶液100mLに、実施例1〜5及び比較例1〜4のフッ素吸着剤を下記表2に示す4通りの添加量(0.5g、1g、3g、5g)で添加し、30分間攪拌することによりフッ素吸着を行なった。その後、沈殿をろ過し、ろ過した液をPH5〜6に調整した後、イオン計によりフッ素濃度を測定した。フッ素吸着の前後でのフッ素イオン濃度の変化からフッ素イオン吸着率を算出し、その結果を下記表2に示す。
【0042】
(実廃液でのフッ素吸着性試験)
ガラス工場の廃液(フッ素濃度が8190mg/L)を用いてフッ素吸着試験を行なった。前処理として排水原液1Lに塩化カルシウム40.5gを添加し、25%苛性ソーダで液のpHを9付近に調整し、80分間攪拌を行ない、その後40分静置し、濾過を行ない、試験原体とした。この時のフッ素濃度は、133.28mg/Lであった。続いて、前処理を行なった排水100mLにフッ素吸着剤を0.5g、1g添加し、攪拌しながらpHを5付近に調整し、30分間攪拌を行ない、フッ素を吸着させた。ひきつづき、濾過を行ない、pHを5〜6に調整し、イオンメータで測定を行なった。フッ素吸着の前後でのフッ素イオン濃度の変化からフッ素イオン吸着率を算出し、その結果を下記表3に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表2から明らかなように、(Mg/Al)が3より大きく、9以下である実施例1〜5では、0.5〜5gのいずれの添加量においても、高いフッ素吸着率を得られることが理解できる。また、(Mg/Al)のモル比を5〜8(実施例1,3,4)にすると、実施例2,5に比較して高いフッ素吸着率が得られた。
【0046】
これに対し、(Mg/Al)が3未満である比較例1,2と、合成ハイドロタルサイトを用いる比較例3と、水酸化マグネシウムを用いる比較例4は、0.5〜5gのいずれの添加量においても、実施例1〜5に比べてフッ素吸着率が低かった。
【0047】
表3に示すように、実廃液を用いたフッ素吸着性試験においても、実施例1〜5によると、0.5〜1gのいずれの添加量でも、比較例1〜4に比較して高いフッ素吸着率を得られることが理解できる。また、(Mg/Al)のモル比を5〜8(実施例1,3,4)にすると、実施例2,5に比較して高いフッ素吸着率が得られた。
【0048】
実施例1で説明したのと同様にして沈殿を生成させ、ガラス容器内の反応生成物に濾過乾燥を施すことなく、懸濁液の状態のものに炭酸ガスを導入しながら空気中で攪拌した。得られた反応物に濾過乾燥を施すことにより、ハイドロタルサイトを得た。得られたハイドロタルサイトのX線回折パターンを図4に、比較例4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンを図5に、比較例3の水酸化マグネシウムのX線回折パターンを図6に示す。
【0049】
前述した図1に示す実施例1のフッ素吸着剤のX線回折パターンと図4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンとの比較から、実施例1のフッ素吸着剤を炭酸ガスと反応させると、ハイドロタルサイトに変化することが理解できる。また、図4、図5の比較から、上記反応により得られたハイドロタルサイトのX線回折パターンが、比較例4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンとほぼ一致することがわかる。さらに、図1と図6の比較から、実施例1のフッ素吸着剤のX線回折パターンが、比較例3のマグネシウムのX線回折パターンとは異なるものであることが理解できる。
【0050】
これらの結果から、実施例1のフッ素吸着剤は、ハイドロタルサイトでも水酸化マグネシウムでもないことが理解できる。
【0051】
(実施例6)
実施例1で説明したのと同様な種類のアルミニウム含有苛性ソーダ廃液1500mLに水酸化マグネシウム(純度97%)576.6gを添加し(Mg/Alは5)、コンデンサーを備えた3Lのガラス容器において90℃で6時間反応させた。生成した沈殿にろ過乾燥を施した。回収した濾液は、921mLであった。濾液の分析値は、Al濃度が0.18g/Lで、Mgは検出されず、Na濃度が49.1g/Lであった。
【0052】
分離した沈殿は785gであった。沈殿の分析値は、Naが8.9%で、Alが5.5%で、Mgが27.6%であった。分離回収した沈殿のX線回折パターンを測定したところ、実施例6の沈殿がMg(OH)2に由来する回折ピークを有することを確認できた。
【0053】
得られた実施例6のフッ素吸着剤を用いて前述したのと同様な条件でフッ素吸着性試験を行なったところ、実施例1と同様な結果を得ることができた。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、高いフッ素吸着能を有するフッ素吸着剤の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、ラニー触媒製造時に発生するアルミニウム含有アルカリ性廃液の有効利用が可能な廃液処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフッ素吸着剤のX線回折パターンを示す特性図。
【図2】実施例3のフッ素吸着剤のX線回折パターンを示す特性図。
【図3】実施例5のフッ素吸着剤のX線回折パターンを示す特性図。
【図4】実施例1のフッ素吸着剤に炭酸ガスを反応させることにより得られたハイドロタルサイトのX線回折パターンを示す特性図。
【図5】比較例4の合成ハイドロタルサイトのX線回折パターンを示す特性図。
【図6】比較例3の水酸化マグネシウムのX線回折パターンを示す特性図。
Claims (2)
- ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、
得られた沈殿物を乾燥させる工程と
を具備することを特徴とするフッ素吸着剤の製造方法。 - ラニー触媒の製造により発生したAl及びNaを含むアルカリ性廃液に、Mg/Alのモル比が3より大きく、かつ9以下になるようにMgO及びMg(OH)2のうち少なくとも一方のマグネシウム化合物を添加し、80℃以上で攪拌することにより沈殿を生じさせる工程と、
得られた反応生成物を沈殿物と回収液とに分離する工程と
を具備することを特徴とする廃液処理方法。
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JP2003125510A JP2004329989A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | フッ素吸着剤の製造方法及び廃液処理方法 |
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