JP2004329924A - 複式ガイドワイヤ医療装置及び方法 - Google Patents

Abstract

【課題】血管の狭窄を治療するために、ガイドワイヤ、膨張バルーン、及び／又はステントを抜去し再挿入する必要性を減じる手段及び方法を提供する。
【解決手段】静脈又は動脈等の血管内に医療装置を挿入する方法及び装置を提供する。本装置は第１と第２のガイドワイヤを含み、ガイドワイヤは実質的に相互に一定の関係でガイドワイヤの一部を最初に保持するための複数の破断可能な結合により連結して、医療装置がガイドワイヤに沿って前進すると複数の結合が破断するようにしてある。本方法は血管内に複式ガイドワイヤ・アセンブリを挿入し、複式ガイドワイヤは互いに一定の関係で当初保持してあり複式ガイドワイヤ・アセンブリに沿って医療装置を前進させることによりガイドワイヤを破断し、ガイドワイヤを連結する複数の結合を順次破断する。ワイヤ間の最後の連結が破断すると、ガイドワイヤの先端が開放される。この構成は分岐した血管にステントを備える（又は備えない）膨張バルーンを装置するのに特に有用である。
【選択図】図４

Description

本発明は一般に部分閉塞した静脈及び動脈の治療手段及び治療方法に関係し、更に詳しくは分岐膨張バルーン及び分岐ステントの改良された挿入手段及び挿入方法に関する。

膨張バルーン及びステントは、動脈又は静脈の部分的閉塞が、例えば血管内壁への血小板やその他の堆積物の蓄積により、発生しているような血管病変の治療で広範に使用されている。典型的にはカテーテルを便利な体外導入点から血管の罹患領域まで血管内を移動させる。ガイドワイヤと膨張バルーンをカテーテル内に挿入し治療部位までカテーテルと血管の中を前進させる。所定位置に達したら、可撓性で拡張性の整形済み膨張バルーンは比較的高い圧力（例えば約８気圧ないし約１２気圧）の液体又はガスにより所定の大きさまで膨張させて、動脈壁内部に向かって病変部の粥状硬化物を半径方向に圧縮し、これによって動脈の内腔を拡張させる。次にバルーンを小さい輪郭形状に収縮させて、膨張バルーン、ガイドワイヤ、カテーテルを患者の血管から抜去し、また拡張した動脈を通る血流を再開させるようにする。

再塞栓、すなわち治療した動脈の自然な再狭窄を防止又は低減する目的で、一般にステントと呼ばれる血管内用の補装具（ｐｒｏｓｔｈｅｓｉｓ）を罹患領域に移植することができる。ステントは例えばステンレス鋼又はその他適切な合金で製造された円筒形の形状で半径方向に拡張可能なメッシュの形をしている。ステントは膨張バルーンに被さるように折り畳んだ形で装着して挿入し、バルーンとステントの組合せを治療部位までガイドワイヤに沿って前進させ、次に、バルーンとステントを拡張することによってステントが血管内壁へ押し付けられる。ステントは患者の血管壁が閉じようとする自然の傾向に対抗する。このようにして、血管内を通る通常の血流が維持されるが、これはステントを装着しなかった場合には有り得ない。このような術式及びステントは一般に当該技術分野で公知になっている。

治療しようとする血管領域が分岐部を含む、すなわち１本の血管が２本の分枝に分岐するようなところでは特に難しい問題が発生する。このような状況では膨張バルーンとステントを配置するのが更に困難である。更に、分岐部の両方の分枝に粥状硬化物の堆積があるような場合、可能な限り同時に両方の分枝内の堆積物を圧縮して一方の分枝を治療中に他方の分枝が狭窄又は閉塞するのを防止するように、多大な注意を払う必要がある。

図１は主血管部分１２と分枝１４、１６を有する分岐血管領域１０を示している。バルーン・カテーテル（図示していない）があらかじめ使用されて、分岐領域に存在する粥状硬化物１８が血管１２、１４、１６各々の内壁２０、２２、２４に向かって圧縮されている。ステント２６を分岐領域まで導入し血管１２、１４、１６の内壁の上に圧縮された粥状硬化物１８に向かって拡張させる。ステント２６は分岐されている、すなわち主血管１２に配置される部分２８と、分枝血管１４に配置される部分３０と、分枝血管１６に配置される部分３２がある。このようにするとステント２６は再狭窄を低減又は遅延させることができる。

分岐領域での狭窄治療用に多数のカテーテルアセンブリ、方法、ステントが開示されており、例えばＤｕｆｆｙらへの米国特許第６，０８６，６１１号、Ｌａｓｈｉｎｓｋｉらへの米国特許第６，１２９，７３８号、Ｗｉｌｓｏｎらへの米国特許第６，４２８，５６７号、Ｍａｕｃｈへの米国特許第６，４７５，２０８号がある。図２〜３は、分岐ステントを配置するために従来技術分野で使用されている従来技術の膨張バルーン−ステント・アセンブリを示す。図２及び図３において、バルーン−ステント・アセンブリ４０、８０は主血管部分４４と分枝部分４６、４８のある膨張バルーン４２を備える。膨張バルーン４２は膨張させていない状態で図示してあり、ステント５０が挿入できる状態でその上に装着してある。ステント５０はそれぞれバルーンの部分４４及び４６、４８に被さるように配置してある主血管部分５２と分枝部分５４、５６を含む。膨張バルーン４２の中を通るのがガイドワイヤ５８、６０で、ガイドワイヤ５８は膨張バルーン分枝４６の中を通り、またガイドワイヤ６０は膨張バルーン分枝４８の仮名を通っている。ガイドワイヤ５８、６０の丸めた先端部６２、６４の一方又は両方がガイドワイヤに対してわずかな角度を有するように配置され分岐血管への挿入を容易にするようにしてあることが多い。

図３のアセンブリ８０は図２のアセンブリ４０と異なり、バルーン分枝４８に延長部６６が先端部４９に取り付けてあり、ここにクリップ６８が設けてある。ガイドワイヤ５８の部分５８−１は、血管の病変領域へカテーテル（図示していない）を通してアセンブリ８０を挿入するまでは、最初折り曲げた形でクリップ６８の中に配置されている。これによりバルーン・カテーテル４２の分枝４６、４８を挿入中に束ねておくことができ、血管内壁に先端６２が刺さったり、治療しようとする部位より先方の分枝の中へ進んでしまう可能性を減少させることができる。アセンブリ８０が分岐部の前面に配置されたら、ガイドワイヤ５８が、クリップ６８から外れるまでガイドワイヤ５８をわずかに後退させて、先端６２、６４に関しては、アセンブリ８０が図２のアセンブリ４０と同様な方向を向く。ガイドワイヤ５８、６０はそれぞれ分岐した血管分枝の中へ前進させられる。次にステント部分５４、５６の付いたバルーン・カテーテル部分４６、４８をガイドワイヤ５８、６０に沿って前進させてバルーン及び対応する各々のステント部分を血管分枝の中に配置する。バルーン４２を膨張させてステント５０を開大し、血管内壁に接するように配置する。その後バルーン４２を収縮させて抜去する。ステント５０は所定位置に留置される。

前述した装置及び方法は有用だが、多数の欠点が見られる。例えば、ガイドワイヤが挿入中によじれたり絡み合ったりした場合には、ガイドワイヤに沿って膨張バルーンを前進させるのは極めて難しい場合が多い。このような事態になった場合はガイドワイヤを部分的に又は完全に抜去して再挿入しなければならないことが多い。バルーンの膨張の前又は後に、ガイドワイヤ及び／又はバルーン・アセンブリを挿入してから抜去し、また再挿入するのは血管内壁を傷つける可能性が大きくなる。先端６２、６４の一方又は両方及び／又はステント５０が血管壁に突き刺さる及び／又は切開してしまった場合すなわち膨張過程で発生する血管壁の割け目により損傷が発生することがある。更に、１本又はそれ以上のガイドワイヤを部分的に抜去して前進させ、例えば図３の構成で先端部６２、６４を開放する必要性はこの状況を悪化させることがある。更に、ガイドワイヤの直径Ｄに対する長さＬの比率が非常に大きい（典型的にはＬ／Ｄ＝１０の３乗から１０の４乗）ために、剛性が非常に低下してしまい、挿入し、方向を制御し、絡み合わないようにするのは困難である。可撓性を失わせずに剛性を増大するのが望ましい。

したがって、血管の狭窄を治療する膨張バルーンとステントの改良された手段及び方法に対する必要性が存在している。特に、ガイドワイヤ、膨張バルーン、及び／又はステントを抜去し再挿入する必要性を減じる手段及び方法には現時点で必要性がある。更に、ガイドワイヤ先端の一方又は両方を開放するために部分的に抜去しなくても挿入中に互いに一定の位置関係を維持し続けられるようにするような分岐領域の改良された治療手段及び方法に対する必要性がある。更に、膨張バルーン及びステントの挿入及び操作中にガイドワイヤのよじれ及び／又は絡み合いを減少するような手段及び方法に対して現時点で必要性がある。更に、本発明のその他の望ましい特徴及び特性は添付の図面及び前述の技術分野及び背景と組み合わせて以下の詳細な説明及び添付の請求項から明らかになろう。

静脈又は動脈等の特に分岐を含む流路内へ医療装置を挿入するための方法及び装置が提供される。好適実施態様においては、医療装置はステントを装着した又はしていない膨張バルーンを含む。本装置は第１と第２のガイドワイヤを含み、これらが実質的に一定の関係となるように、ガイドワイヤの一部を当初保持する複数の破断可能な結合により連結されている。流路の分岐の近くに位置する先端に向かって医療装置がガイドワイヤに沿って前進すると複数の結合が破断する。ガイドワイヤ間の最後の結合が破断すると、ガイドワイヤの先端部が開放され例えば膨張バルーン（ステント付き又はステント無し）を静脈又は動脈の分岐領域へ挿入する際の案内に利用できるようになる。本発明の方法は複式ガイドワイヤを複数の結合により当初相互に一定の関係を維持したまま血管内へ複式ガイドワイヤ・アセンブリを挿入し、複式ガイドワイヤ・アセンブリに沿って医療装置を前進させてガイドワイヤ同士を連結している複数の結合を順次破断することによりガイドワイヤを分離することを含む。好適実施態様においては、各々のガイドワイヤは膨張バルーンの別々の分枝を通り分岐流路内へ当該分枝を案内する。

以下の詳細な説明はその性質において単なる例示であり本発明又は本発明の用途及び用法を制限することを意図していない。更に、前述の技術分野、背景、発明の開示、又は以下の詳細な説明に提示される何らかの明示的又は暗示的な理論に拘束されることを意図するものでもない。

図４は本発明によるバルーン・カテーテル及び／又はステントと使用する複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００の略側面図である。アセンブリ１００は先端１０４と基端１０６とを備える第１のガイドワイヤ１０２と、先端１１０と基端１１２とを備える第２のガイドワイヤ１０８を含む。先端１０４、１１０は丸めるのが望ましいが何らか適切な形状を使用できる。ガイドワイヤ１０２、１０８は便利にもニチノールと呼ばれるニッケルチタン合金にポリマーをコーティングした物である。このポリマー・コーティングは従来技術分野で周知である。例えば、また制限することを意図せず、ポリアミド、ウレタン、ＰＢＡＣ又はエステルが有用なポリマー・コーティングである。ガイドワイヤ１０２、１０８は典型的にはコーティング無しで〜０．２８ミリメートル程度の直径Ｄ、ポリマー・コーティング後に〜０．３６ミリメートル程度の直径Ｄを有するが、もっと太い又は細い直径のワイヤや他の材料から作成したワイヤも使用可能である。典型的なガイドワイヤは１００から５００センチメートルの長さＬを有する。先端１０４、１０６は１０〜１５０ミリメートル程度の距離１１４だけ離して互い違いにし血管分枝への挿入を容易にする。各々のガイドワイヤの軸に対してわずかな角度だけ一方又は両方の先端１０４、１１０をオフセットさせておくことは便利である。図４において、例示の目的で、また制限を意図することなく、先端１０４は角度が付けてあり先端１１０は真直ぐである。

ガイドワイヤ１０２、１０８は複数の位置１１６で両者を破断可能なように連結又は接合してある。接合又は連結位置１１６の間の間隔１１８はおよそ０〜２００ミリメートルの間で便利には１０〜１５０ミリメートルとするが、後述するように他の間隔や実質的に連続したガイドワイヤ１０２、１０８の接合又は連結も使用できる。接合又は連結位置１１６が分離可能又は破断可能なようにしておくことが重要である、すなわちバルーン・カテーテル及び／又はステントが図７〜８の矢印１４０の方向に基端１０６、１１２から先端１０４、１１０に向かって前進するとガイドワイヤ１０２、１０８が弾けて離れるようにすることが重要である。

図５Ａ〜Ｂは図４の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００の部分１２０、１２２の略側面図で、本発明の第１と第２の実施態様による更なる詳細を示す。図６Ａ〜Ｂは各々図５Ａ〜Ｂの複式ガイドワイヤ・アセンブリを通る略断面図である。図５Ａ〜Ｂではガイドワイヤ１０２、１０８の間に、例えば局所的に付けた接着剤か又は接着剤を塗布したコネクタ１２２、１２４により形成された幾つかの間隔を取った連結又は結合領域１１６が図示してある。参照番号１１６−１、１１６−２、１１６−３…等は結合又は連結領域の変形タイプを識別するために本明細書で使用している。図５Ａ〜６Ａにおいて、幅１２３と間隔１１８のプラスチック製接続部材１２２は例えば位置１１６−１、１１６−２でガイドワイヤ１０２、１０８の間に接着剤によって接着されている。接続部材１２２の幾つか又は全部は溝又はスロット１２６で溝が付けてあり図７〜８に図示したような方法で接続部材１２２の破壊が起こり易くしてあるが、これは必須ではない。例示の目的で、図５Ａ〜６Ａでは、接続部材１２２は領域１１６−１に溝又はスロット１２６を付けて図示してあり、領域１１６−２では溝又はスロット１２６がない。

図５Ｂ〜６Ｂは位置１１６−３でガイドワイヤ１０２、１０８を連結する接着剤１２４の使用を示す。接着剤１２４は位置１１６−３でガイドワイヤ１０２、１０８の間に便利に注入又は絞り出す。これは従来技術分野で周知の手段により容易に実現される。接着剤１２４は幅１２５で間隔１１８の特定の場所１１６−３に付けてあるように図示してあるが、本明細書の説明に基づいて、接着剤１２４の間隔１１８と幅１２５を変化させることが可能であり、端部１０４、１１０と１０６、１１２を除いてガイドワイヤ１０２、１０８の間に実質的に連続して接着剤１２４を付けることもできることは当業者には理解されよう。必要なことは、ガイドワイヤ１０２、１０８が図７〜８に図示してあるように分岐した膨張バルーン１３２を通過する際に徐々に破分離されるようにすることである。これは接着剤１２４の量と性質を調節することにより実現されることが当業者には理解されよう。これは選択した接着剤の種類と硬化方法によっては不必要な実験無しに決定できる。好適な接着剤の制限しない例としては、米国０６０６７コネチカット州ロッキーヒルのヘンケル・ロックタイト社から入手可能なロックタイト（登録商標）４６１がある。

図７は、矢印１４０の方向に複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００に沿って前進した本体１３４と分枝１３６、１３８を備える膨張バルーン１３２を含む狭窄治療アセンブリ１３０の略側面図である。アセンブリ１００のガイドワイヤ１０２、１０８は図７〜８の膨張バルーン１３２の右手の部分で、すなわち膨張バルーン１３２と先端１０４、１１０の間で、結合又は連結領域１１６によってまだ相互に結束されている。膨張バルーン１３２の分枝１３６、１３８の端部１３７、１３９がガイドワイヤ端部１０４、１１０に向かって移動すると、遷移領域１４４でガイドワイヤ１０２、１０８は広がってバルーン端部１３７、１３９にある間隔の開いた開口部へ進入しなければならない。この広がりにより端部１３７、１３９付近の結合又は連結領域１１６Ｂが壊される又は分離され、各々のガイドワイヤ１０２、１０８が本体１３４を通って各々膨張バルーン分枝１３６、１３８を通過しアセンブリ１３０の基端１４６で突き出るようになる。複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００を使用するアセンブリ１３０の構成の大きな利点は、ガイドワイヤ１０２、１０８と狭窄治療アセンブリ１３０が静脈又は動脈に挿入され分岐の手前の位置で操作され分岐と整列される際に、ガイドワイヤ１０２、１０８の端部１０４、１１０が実質的に一定の関係で保持されていることである。膨張バルーン１３２が複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００の先端へ前進した時に初めて最後の結合又は連結位置１１６Ｌが破壊されて端部１０４、１１０が開放される。これにより挿入と整列が大幅に容易になる。図７の構成を使用してステント装着の準備として分岐領域での粥状硬化物を平坦にすることができる。

図８は図７と同様に、折り畳まれて矢印１４０の方向に複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００に沿って前進するステント１５０を装着してある図７の膨張バルーン１３２の略側面図である。図８の膨張バルーン１３２の詳細は図７のそれと同一である。ステント１５０は本体部分１５２と分枝部分１５４、１５６を有しそれぞれ膨張バルーンの本体１３４と分枝部１３６、１３８に装着される。図７に関連して前述した説明が図８にも当てはまり、同じ利点が得られる。特に、ステント１５０が分岐部へ供給される直前まで複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００を結合又は連結位置１１６で互いに結束しておけることは大きな利点である。最後の結合又は連結領域１１６Ｌが膨張バルーン１３２の端部１３７、１３９に近い領域１４４に達すると、結合１１６Ｌが破談されるか分離し、これによって端部１０４、１１０を開放するので、ステント１５０を分岐領域に装着できる。

図９は図４の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００の部分１６０の略側面図で、本発明の更なる詳細と更に別の実施態様を示す。図１０は図９のガイドワイヤ・アセンブリ部分を通る略断面図である。図９〜１０ではガイドワイヤ１０２、１０８の詳細が更に示してあり、この場合ガイドワイヤ１０２、１０８は前述したように中心の金属コア１０２Ｍ、１０８Ｍとポリマー・コーティング１０２Ｐ、１０８Ｐを備えている。ポリマー・コーティング１０２Ｐ、１０８Ｐは領域１６２で互いに融着して結合又は連結位置１１６を提供する。これは便利にも、例えば矢印１６８で示したように力をかけつつ、領域１６２に向けて光源１６６からのレーザ又はその他の収束エネルギー・ビーム１６４を用いれば実現できる。ガイドワイヤ１０２、１０８のポリマー・コーティング１０２Ｐ、１０８Ｐは望ましくは「Ｄ字状」断面を備えるようにする。ワイヤ１０２、１０８は図９〜１０にあるように「Ｄ」の平坦な側面同士が隣接する位置関係になるように構成する。便利にもこれにより局部的又は連続的又はその組合せのいずれかで、ガイドワイヤ１０２、１０８相互に結合すべき表面積が増加する。金属コア１０２Ｍ、１０８Ｍは円形で図１０に図示したようにＤ字状の厚みが変化するポリマー・コーティングを用いるか、又は金属コア１０２Ｍ、１０８ＭをＤ字状として実質的に均一な厚みのポリマー・コーティングを用いることができる。いずれの構成も有用である。いずれの構成のＤ字状ガイドワイヤ１０２、１０８も本明細書で、例えば図４〜１６に例示してあるような結合又は連結構造で使用するのに適している。

しかし、例えば、また制限しない意図で、少量の溶剤又は接着剤又はその両方を領域１６２に付けて軟化させ矢印１６８で示した圧力に応答してポリマー・コーティング１０２Ｐ、１０８Ｐを局所的に結合させる等、他の連結方法を用いても良い。従来技術分野で周知のこれら又はその他の方法のいずれも結合又は連結部分１１６として用いる領域１６２を作成するのに有用である。図９の左半分に図示してあるように、幅１６３で間隔１１８（図４参照）の領域１６２−１により形成される結合又は連結位置１１６−４が提供される。しかし、領域１６２−１からのこのような結合又は連結位置１１６−４は、必ずしも飛び飛びである必要はなく、図９の右半分で領域１６２−２によって形成された結合又は連結位置１１６−５として図示してあるように実質的に連続していても良い。膨張バルーン１３２が図７〜８の矢印１４０の方向に前進した時に、図９〜１０の部分１６０で図示した実施態様を使用するアセンブリ１００が分離することだけが必要である。本明細書の説明から、これを実現するためには溶融領域１６２の溶融時間、出力、大きさを変化させることにより結合１１６−４、１１６−５の強度を調節できることが当業者には理解されよう。

図１１は図４の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００の部分１７０の略側面図で、本発明の更なる詳細及び更に別の実施態様を示している。図１２は図１１のガイドワイヤ・アセンブリ部分を通る略断面図である。部分１７０ではガイドワイヤ１０２、１０８がプラスチック・チューブ１７２によって囲まれている。プラスチック・チューブ１７２はシュリンク・ラップ用収縮チューブが望ましい。シュリンク・ラップ用収縮チューブは前処理状態では大きな内径を備えているので組合せガイドワイヤ１０２、１０８を取り巻くように簡単に滑り込ませることができる特徴を備えている。しかし加熱又はその他の処理をした場合、ガイドワイヤ１０２、１０８の組合せを取り巻くようにして密着するように収縮するので、これによってガイドワイヤ同士をしっかりと保持することができる。収縮チューブ１７２は幅１７３で間隔１１８の（図４参照）不連続の部分１７２−１に適用して図１１の左手の部分に図示してあるような結合又は連結位置１１６−６を形成するか、実質的に連続した要素１７２−２として適用して、図１１の右手の部分に図示してあるように実質的に連続した結合又は連結位置１１６−７を形成しても良い。

図７〜８の膨張アセンブリ１３０が構造１７０を使用する複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００に沿って前進する際にプラスチック・チューブ１７２が破断し易くするには、切り欠き１７４及び／又は噛り溝１７６を設ける。プラスチック・チューブ１７２の壁厚と、切り欠き１７４の頻度、寸法、深さ及び／又は溝１７６の寸法と深さを調節することで、図７〜８の構成で配置した時に図１１〜１２の構造を使用するガイドワイヤ１０２、１０８を分離するのに必要な力を有利にも調節できるようになる。チューブ部分１７２−１の上半分及び／又は下半分がガイドワイヤ１０２、１０８から離れないようにし、治療中の血管に滞留しないようにするために１１６−６の構造を使用したときには、ガイドワイヤ１０２、１０８とプラスチック・チューブ１７２の間に何らかの接着剤を付けておくのが望ましい。チューブが実質的に連続している構成１１６−７の構造では、チューブ１７２−２の離れた半分はアセンブリ１３０を抜去する時に抜去できる。

図１３は図４の位置１３−１３でのガイドワイヤ・アセンブリ１００の略断面図、また図１４Ａ〜Ｂは図１３の位置１４−１４での図１３の図面に直角に見た略断面図で、どちらも本発明の更に別の実施態様を示すワイヤガイド・アセンブリ部分１８０の更なる詳細を示している。アセンブリ１０４の部分１８０の連結位置１１６は参照番号１１６−８で示し連結位置１１６の他の実装と区別している。連結部分１１６−８はジッパー状構造１８１で形成され、ガイドワイヤ１０２からガイドワイヤ１０８に向かって歯１８２が延出し、ガイドワイヤ１０８からガイドワイヤ１０２に向かって歯１０４が延出する。歯１８２、１８４は、図１４Ａ〜Ｂに図示してあるように、ジッパーの歯と同様に噛み合う。図１４Ａは係合状態又は閉じた状態での連結位置１１６−８のジッパー状構造１８１を示しており、これによりガイドワイヤ１０２、１０８は一時的に互いに固定されている。図１４Ｂは図１４Ａと同じ領域を示しているが、図７〜８の領域１４４に近付くにつれてジッパー状構造１８１が開く。つまり、ジッパー状構造１８１を使用する連結位置又は手段１１６−８は局部的にガイドワイヤ１０２、１０８を連結状態で保持することができ、膨張バルーン（ステント１５０あり又は無し）が先端１０４、１１０に近付くにつれて徐々にジッパーが開き、先端に達すると連結位置１１６−８を形成するジッパー状構造１８１は完全に開き、これによって所望する通りにガイドワイヤ１０２、１０８を開放し端部１０４、１１０を分離する。連結位置１１６−８のジッパー状構造１８１は断続的ではなく実質的に連続しているのが望ましいが、これは必須ではない。ジッパーの歯１８２、１８４は金属又はプラスチックから便利に形成され衣服又はその他の柔軟な材料を連結する従来のジッパーと同じように噛み合う。歯１８２、１８４は何らかの便利な手段、例えば制限しないが、溶接、接着、ガイドワイヤ１０２、１０８の長手方向の隆起の周囲へ圧着、隆起又はガイドワイヤ１０２、１０８のスロットへ係合、これらの組合せ、又はその他従来技術で周知の適当な手段によってガイドワイヤ１０２、１０８へ取り付けることができる。

図１５は図４と同様だが本発明の更に別の実施態様による２重複式ガイドワイヤ（ＤＤＧＷ）アセンブリ２００の略側面図である。ＤＤＧＷアセンブリ２００は本明細書で教示する原理にしたがって作製した２本の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１と１００−２から便利に形成される。個々の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１、１００−２はガイドワイヤ１０２−１、１０８−１と１０２−２、１０８−２、結合又は連結位置１１６Ａ、１１６Ｃ、端部１０４−１、１１０−１と１０４−２、１１０−２を各々備える。各々の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１、１００−２はステント１５０あり又は無しで膨張バルーン１３２と共に使用するのに適している。複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１、１００−２は、本明細書で説明した結合又は連結位置１１６（例えば１１６−１、１１６−２、…１１６−８又はその組合せ）と類似し一般に同じ方法で作製された幅２０３で間隔２０５の結合又は連結位置２０２により便利に連結される。

図１６Ａ〜Ｃは図１５のＤＤＧＷアセンブリ２００を通る略断面図で、ガイドワイヤの別の構造を示す。図示を簡略にするため、斜線は省略した。図１６Ａでは、図１５のＤＤＧＷアセンブリ２００は実質的に平坦な状態で図示してあり、ガイドワイヤ１０２−１、１０８−１、１０２−２、１０８−２が結合１１６、２０２によって連結され実質的に共通の平面内に存在する。これは図１５に図示した構造に相当する。しかし、本明細書の説明から、ＤＤＧＷアセンブリ２００を折り畳んで複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１と１００−２が横並びではなく重なり合うようにできることは当業者には理解されよう。このような別の構造が図１６Ｂ〜Ｃに図示してある。図１６Ｂでは、複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１、１００−２は互いに重なり合い、結合２０２がガイドワイヤ１０２−１と１０２−２へ（又は１０８−１と１０８−２又は両者へ）連結位置１１６と直角に取り付けてある。結合２０２はワイヤ１０２−１と１０２−２の間にあるように図示してあるが、結合２０２はガイドワイヤ１０８−１と１０８−２の間の位置２０３又は両方の位置へ配置することもできる。図１６Ｃでは、複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−１、１００−２は互いに重なり合っているが横方向にずれて配置され、互いに一層コンパクトに納まっており、カテーテル及び血管への挿入を行い易くしてある。図１６Ｃで、複結合２０２の使用が図示してあるがこれは必須ではない。図１６Ａ、１６Ｂ、１６Ｃの構成は結合の位置又は連結位置２０２をガイドワイヤの円周に沿って変化させることによって得られる。

ＤＤＧＷアセンブリ２００の利点は、一体として血管内へ挿入できることである。ＤＤＧＷアセンブリ２００の個々のガイドワイヤは、個別にガイドワイヤを挿入した時に見られるように、よじれたり絡み合ったりし易いものである。ＤＤＧＷアセンブリ２００では、一方の複式ガイドワイヤ・アセンブリ例えば１００−１を第１の膨張バルーン１３２−１（例えば図７参照）と共に使用して血管内壁に対して粥状硬化物を圧縮することができる。第１の膨張バルーン・アセンブリ１３２−１をガイドワイヤ１００−１に沿って前進させると結合又は連結位置１１６Ａ及び結合又は連結位置２０２が破断し、第２の複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−２には影響しない。粥状硬化物を血管内壁に圧縮した後、第１の膨張バルーン１３２−１を抜去できる。第１のガイドワイヤ・アセンブリ１００−１はこれもまた便利に抜去されるが、使用者の意図によって、手術が完了するまでそのまま留置しておくこともできる。ステント１５０を備えた第２の膨張バルーン１３２−２を複式ガイドワイヤ・アセンブリ１００−２に沿って前進させ血管の所望の場所にステントを装着することができる。二組目のガイドワイヤが既に所定位置にあるのでガイドワイヤを抜去し再挿入する必要はない。複数組のガイドワイヤを血管内へ一回の挿入で配置することができることは利点であり、複数回の挿入で発生することがある血管壁損傷の危険を減少することができる。前述したような方法で互いに連結してある２組又はそれ以上のガイドワイヤを使用することにより、可撓性を大きく失うことなく剛性を増加させられる。これは本発明の一つの利点である。

前述の詳細な説明では少なくとも一つの例示的実施態様を提示したが、多数の変形タイプが存在することは理解されるべきである。例えば、結合又は連結位置１１６、２０２（例えば１１６−１、１１６−２、…など）を形成するための各種の異なる構造を図示したが、本明細書の教示に基づいて例示した構造のいずれかを用いてアセンブリ１００、２００を作製し得ること、また更には使用者の必要性と選択によって同一のアセンブリ１００、２００で別の構造を別の位置に使用できることは当業者には理解されよう。不連続及び実質的に連続の結合又は連結構造の両方がアセンブリ１００、２００に例示してあり両者とも有用であるが、的確な選択は使用者の必要性に依存する。不連続式及び連続式結合又は連結位置の組合せも同一のガイドワイヤ・アセンブリで使用し得る。更に、ガイドワイヤは円形断面を有するものとして本明細書では主に例示してあるが、これは単に説明の利便のためであって他の断面形状のガイドワイヤも使用可能であり本発明に含まれることを意図していることは当業者には理解されよう。

例示的実施態様又は複数の例示的実施態様は単なる例示であって本発明の範囲、応用性又は構成を何らかの意味で制限することを意図しないことは理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な説明は例示的実施態様又は複数の例示的実施態様を実施する便利なロード・マップ（ｒｏａｄ ｍａｐ）を当業者に提供するであろう。添付の請求項及びその法的等価物に記載された本発明の範囲から逸脱することなく要素の機能及び構成に各種変化を成し得ることは理解されるべきである。

図１は、ステントを分岐部に挿入してある狭窄分岐血管の略断面図である。 図２は、従来技術による分岐ステント供給アセンブリの略側面図である。 図３は、図２と同様に従来技術による別の分岐ステント供給システムの略側面図である。 図４は、本発明によるバルーン・カテーテル及び／又はステントを挿入するための複式ガイドワイヤ・アセンブリの略側面図である。 図５Ａ〜Ｂは、図４の複式ガイドワイヤ・アセンブリの一部の略側面図で、本発明の更なる詳細及び第１と第２の実施態様を示す。 図６Ａ〜Ｂは、各々図５Ａ〜Ｂのガイドワイヤ・アセンブリ部分を通る略断面図である。 図７は、本発明の複式ガイドワイヤ・アセンブリに沿って前進させた膨張バルーンの略側面図である。 図８は、図７と同様に、ステントを搬送し、本発明の複式ガイドワイヤ・アセンブリに沿って前進させた膨張バルーンの略側面図である。 図９は、図４の複式ガイドワイヤ・アセンブリ部分の一部の略側面図で、本発明の更なる詳細及び更なる実施態様を示す。 図１０は、図９のガイドワイヤ・アセンブリを通る略断面図である。 図１１は、図４の複式ガイドワイヤ・アセンブリ部分の一部の略側面図で本発明の更なる詳細及び更に別の実施態様を示す。 図１２は、図１１のガイドワイヤ・アセンブリを通る略断面図である。 図１３は、本発明の別の実施態様による図４のガイドワイヤ・アセンブリを通る略断面図である。 図１４Ａ〜Ｂは、図１３の複式ガイドワイヤ・アセンブリ部分の略断面図で更なる詳細を示す。 図１５は、図４と同様に、本発明の更に別の実施態様による２重複式ガイドワイヤ・アセンブリの略側面図である。 図１６Ａ〜Ｃは、本発明の２重複式ガイドワイヤ・アセンブリの別のガイドワイヤ構成の略図である。

Claims (20)

1. 分岐流路内へ医療装置を挿入するためのアセンブリであって、
   複数の破断可能な結合によって連結された第１と第２のガイドワイヤであって、前記ガイドワイヤの一部を実質的に一定の相互関係で当初保持し、前記医療装置が前記ガイドワイヤに沿って前進するにつれて前記結合が破断するように構成されている第１と第２のガイドワイヤ
   を含むことを特徴とするアセンブリ。
2. 前記第１と第２のガイドワイヤの一部は破断していない結合によって実質的に平行な構造に保持されることを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
3. 前記複数の破断可能な結合の一部が実質的に連続していることを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
4. 前記複数の破断可能な結合が前記ガイドワイヤの長さの実質的部分に沿って分散していることを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
5. 前記複数の破断可能な結合が収縮チューブにより形成されることを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
6. 前記収縮チューブは１つ又はそれ以上の位置で切れ目を付けてこれの破断を容易にして前記医療装置が前進すると前記ガイドワイヤが分離できるように構成されていることを特徴とする請求項５に記載のアセンブリ。
7. 前記複数の破断可能な結合の一部は前記ガイドワイヤの１つ又はそれ以上の実質的に対面する位置の間に配置された接着剤を含むことを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
8. 前記複数の破断可能な結合の一部は前記ガイドワイヤを一時的に連結するジッパー状構造を含むことを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
9. 第３と第４のガイドワイヤの一部を実質的に一定の相互関係で当初保持するための複数の破断可能な結合によって連結された第３と第４のガイドワイヤを更に含み、前記第１と第２のガイドワイヤ及び前記第３と第４のガイドワイヤは更に別の破断可能な結合により連結され、前記別の結合は前記第１と第２又は第３と第４のガイドワイヤのいずれかに沿って前記医療装置が前進すると破断するようにしてあることを特徴とする請求項１に記載のアセンブリ。
10. 医療装置を流路内に挿入する方法であって、複式ガイドワイヤの長さ方向に沿って複数の位置で互いに破断可能なように結合してあることを特徴とする複式ガイドワイヤ・アセンブリを前記流路内に提供することと、前記複式ガイドワイヤ・アセンブリに沿って前記医療装置を前進させつつ前記複数の結合を破断することを含むことを特徴とする方法。
11. 前記医療装置でもって前記複数の結合の最後の一つを破断することにより前記ガイドワイヤの先端を開放することを更に含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
12. 前記提供ステップは、複式ガイドワイヤの長さの一部にわたって互いに実質的に連続的に結合されていることを特徴とする複式ガイドワイヤ・アセンブリを提供することを含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
13. 前記提供ステップは、複式ガイドワイヤが収縮チューブによりその長さの一部にわたって互いに結合されていることを特徴とする複式ガイドワイヤ・アセンブリを提供することを含むことを特徴とする請求項１２に記載の方法。
14. 前記提供ステップは、前記複式ガイドワイヤが少なくとも部分的に接着剤で結合されていることを特徴とする複式ガイドワイヤ・アセンブリを提供することを含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
15. 前記提供ステップは、ジッパー状構造により部分的に互いに保持された複式ガイドワイヤ・アセンブリを提供することを含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
16. 前記複式ガイドワイヤ・アセンブリは破断可能に結合された第１と第２のガイドワイヤを含み、前記医療装置は分岐流路内への挿入に適した第１と第２の分枝を有する膨張バルーンを含み、前記方法は更に、前記第１の分枝へ前記第１のガイドワイヤを挿入し前記第２の分枝へ前記第２のガイドワイヤを挿入することを含み、前記破断ステップは前記ガイドワイヤに沿って前記第１と第２の分枝を前進させる際に前記複数の結合を破断することを含むことを特徴とする請求項１０に記載の方法。
17. 静脈内又は動脈内へ挿入する医療装置であって、複数の箇所における破断可能な取付け手段により相互に一定の関係に当初保持された第１と第２のガイドワイヤを有する複式ガイドワイヤ・アセンブリと、前記複式ガイドワイヤ・アセンブリに摺動自在に配置され、前記複式ガイドワイヤ・アセンブリの先端に向かって前進した時に前記破断可能な取付け手段を順次破断する膨張バルーンとを含むことを特徴とする医療装置。
18. 前記膨張バルーンに被せるように取り付けたステントを更に含むことを特徴とする請求項１７に記載の医療装置。
19. 前記膨張バルーンは本体と、前記静脈又は動脈の分枝内へ挿入するように構成された第１と第２の分枝とを含み、前記第１のガイドワイヤは前記膨張バルーンの前記第１の分枝を通り前記第２のガイドワイヤは前記膨張バルーンの前記第２の分枝を通ることを特徴とする請求項１７に記載の医療装置。
20. 前記第１と第２のガイドワイヤはＤ字状の断面を有して平坦な部分が互いに近接して対向することを特徴とする請求項１７に記載の医療装置。

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