JP2004328817A - コイル形成挿入装置及びコイル形成挿入方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイル形成挿入装置5は,複数のコイル巻枠3を備え,連極コイル9を形成する巻き取り治具2と,複数のコイル受け部62を備え,連極コイル9をステータコア81のスロット810に挿入配置するインサータ治具6とを有してなる。コイル形成挿入装置5は,各コイル巻枠3に各コイル受け部62を対向させて,各コイル巻枠3に巻回した各単極コイル90が連なる連極コイル9を,巻き取り治具2からインサータ治具6へと移載するよう構成されている。
【選択図】 図12
Description
【技術分野】
本発明は,モータ(電動機)等に用いられるコイルを形成し,これをステータコアに挿入配置するコイル形成挿入装置及びコイル形成挿入方法に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば,ステータコアのスロットに単極コイルを複数挿入してなるステータを有するモータを製造するに当たっては,上記単極コイルを複数連ねた連極コイルを形成する。
従来のコイル形成方法では,固定した巻枠の周りを回りながら電線(ワイヤー)を導出するワインダーを用いて,上記巻枠の周りに電線を巻回して単極コイルを形成する。そして,例えば,特許文献1においては,電線の巻回を行う巻枠の外径を変更可能にしており,この巻枠の回りを上記ワインダーとしてのフライヤを回転させ,巻回を行った単極コイルを逐次ブレードに巻き落として,上記モータに用いる連極コイルを形成している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−253631号公報
【0004】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記特許文献1においては,上記巻回を行った後の単極コイルを上記ブレードに巻き落とす際には,単極コイルは,上記巻枠から上記ブレードの針同士の間の隙間に落下させている。そのため,場合によっては,単極コイルを上記隙間に落下させることができないおそれがあり,確実に移載を行うには十分ではない。また,場合によっては,単極コイルをブレードに落下させる際に,この単極コイルにおける各電線の巻き順が,上記巻回を行った巻き順とは異なってしまうおそれがある。
【0005】
また,特許文献1においては,1つの巻枠において1つの単極コイルを形成した後,逐次この単極コイルをブレードに巻き落としていくため,各単極コイル同士の間を結ぶ渡り線の長さにばらつきが生じるおそれがある。また,各単極コイルが渡り線によって連なった連極コイルは,ブレード上で形成されることになり,形成される連極コイルの形成状態が安定しなくなるおそれがある。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,各単極コイル同士の間を結ぶ渡り線の長さを安定させることができ,各単極コイルをほぼ同時に確実に各コイル受け部に受け渡すことにより,連極コイルの形成状態をほとんど変えることなく移載が可能であるコイル形成挿入装置及びコイル形成挿入方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,電線をループ状に巻回してなる単極コイルを複数連ねてなる連極コイルを形成する巻き取り治具と,該巻き取り治具に対向して上記連極コイルを受け取り,該連極コイルをステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するインサータ治具とを有してなるコイル形成挿入装置であって,
上記巻き取り治具は,複数のコイル巻枠を有しており,上記インサータ治具は,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルをそれぞれ受け取る複数のコイル受け部を有しており,
上記各コイル巻枠に上記各コイル受け部を対向させて,上記各コイル巻枠に巻回した上記各単極コイルが連なる上記連極コイルを,上記巻き取り治具から上記インサータ治具へと移載するよう構成したことを特徴とするコイル形成挿入装置にある(請求項1)。
【0008】
本発明のコイル形成挿入装置は,上記巻き取り治具において連極コイルを形成し,各単極コイルをほぼ同時に各コイル受け部に受け渡し,連極コイルとしてインサータ治具に移載することができるものである。
すなわち,上記巻き取り治具は,複数のコイル巻枠を配してなるものであり,この巻き取り治具においては,各コイル巻枠に単極コイルを形成して連極コイルを形成することができる。そのため,互いの位置関係が固定された各コイル巻枠に各単極コイルを形成することができ,各コイル巻枠に巻回した単極コイル同士の間に形成される渡り線の長さを安定させることができる。
【0009】
また,上記インサータ治具は,複数のコイル受け部を有しており,単極コイルを保持する各コイル巻枠と各コイル受け部とを対向させた際には,各単極コイルは,ほぼ同時にかつ確実に各コイル受け部に受け渡すことができる。そのため,この受渡しの際に,各単極コイルにおける各電線の巻き順が,上記巻回を行った巻き順と異なってしまうことがほとんどない。
それ故,連極コイルの形成状態をほとんど変えることなく,この連極コイルを巻き取り治具からインサータ治具へと移載することができる。
【0010】
第2の発明は,電線をループ状に巻回してなる単極コイルを複数連ねてなる連極コイルを形成する巻き取り治具と,該巻き取り治具に対向して上記連極コイルを受け取り,該連極コイルをステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するインサータ治具とを有してなるコイル形成挿入装置であって,
上記巻き取り治具は,該巻き取り治具の中心点から略同一の距離に,上記電線を巻回して上記単極コイルを形成するための複数のコイル巻枠を配してなると共に,各コイル巻枠における上記電線の巻回を行う各巻回軸を互いに略平行に配してなり,
一方,上記インサータ治具は,上記連極コイルを上記ステータコアの上記スロットに向けて押し出して挿入するための押出挿入コアと,該押出挿入コアの外周面に配設し,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルをそれぞれ受け取る複数のコイル受け部とを有しており,
上記巻き取り治具から上記インサータ治具へと上記連極コイルを移載する際には,上記各コイル巻枠の上記巻回軸の方向における先端面に上記各コイル受け部を対向させて,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とを連結すると共に,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とのそれぞれが上記各単極コイルを移載するための移載ルートを形成するよう構成したことを特徴とするコイル形成挿入装置にある(請求項2)。
【0011】
本発明のコイル形成挿入装置は,上記巻き取り治具において連極コイルを形成し,各単極コイルをほぼ同時かつ確実に各コイル受け部に受け渡し,連極コイルとしてインサータ治具に移載することができるものである。
すなわち,上記巻き取り治具は,複数のコイル巻枠を互いに略平行に配してなるものであり,この巻き取り治具においては,各コイル巻枠に単極コイルを形成して連極コイルを形成することができる。そのため,互いの位置関係が固定された各コイル巻枠に各単極コイルを形成することができ,各コイル巻枠に巻回した単極コイル同士の間に形成される渡り線の長さを安定させることができる。
【0012】
また,上記インサータ治具は,上記各コイル巻枠の先端面にそれぞれ対向する各コイル受け部を有しており,各コイル巻枠と各コイル受け部とを連結した際には,各コイル巻枠と各コイル受け部とが上記各移載ルートを形成することができる。そのため,各コイル巻枠から各コイル受け部に各単極コイルを受け渡すときには,各単極コイルは,その輪内に各移載ルートを維持したまま,各移載ルートに沿って確実に受け渡すことができる。
【0013】
そして,各単極コイルは,ほぼ同時にコイル受け部に受け渡すことができる。そのため,この受渡しの際に,各単極コイルにおける各電線の巻き順が,上記巻回を行った巻き順と異なってしまうことがほとんどない。
それ故,連極コイルの形成状態をほとんど変えることなく,この連極コイルを巻き取り治具からインサータ治具へと移載することができる。
【0014】
第3の発明は,連極コイルを形成するための巻き取り治具と,上記連極コイルをステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するためのインサータ治具とを用いて,
上記巻き取り治具に配設した複数のコイル巻枠にそれぞれ電線を巻回して,複数の単極コイルを形成すると共に該複数の単極コイルが連なる連極コイルを形成し,
上記各コイル巻枠に保持する各単極コイルを,上記インサータ治具に配設した複数のコイル受け部にそれぞれ同時に受け渡して,上記インサータ治具に上記連極コイルを移載することを特徴とするコイル形成挿入方法にある(請求項8)。
【0015】
本発明のコイル形成挿入方法においては,上記巻き取り治具において連極コイルを形成し,各単極コイルをほぼ同時に各コイル受け部に受け渡し,連極コイルとしてインサータ治具に移載することができる。
そのため,上記発明と同様に,各単極コイル同士の間を結ぶ渡り線の長さを安定させることができ,各単極コイルをほぼ同時に確実に各コイル受け部に受け渡すことにより,連極コイルの形成状態をほとんど変えることなく上記移載を行うことができる。
【0016】
第4の発明は,巻き取り治具において電線をループ状に巻回してなる単極コイルを複数連ねてなる連極コイルを形成するコイル形成工程と,上記連極コイルを上記巻き取り治具からインサータ治具へと移載するコイル移載工程と,上記連極コイルを上記インサータ治具からステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するコイル挿入工程とを含むコイル形成挿入方法であって,
上記コイル形成工程においては,上記電線を巻回して上記単極コイルを形成するための複数のコイル巻枠を略円周状に配してなると共に,各コイル巻枠における上記電線の巻回を行う各巻回軸を互いに略平行に配してなる上記巻き取り治具を用いて,上記連極コイルを形成し,
上記コイル移載工程においては,上記連極コイルを上記ステータコアの上記スロットに向けて押し出して挿入するための押出挿入コアと,該押出挿入コアの外周面に配設し,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルをそれぞれ受け取る複数のコイル受け部とを有してなる上記インサータ治具を用いて,上記各コイル巻枠の上記巻回軸の方向における先端面に上記各コイル受け部を対向させて,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とを連結すると共に,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とのそれぞれが上記各単極コイルを移載するための移載ルートを形成して,該各移載ルートを上記各単極コイルの輪内に維持したまま,上記各コイル巻枠から上記各コイル受け部へと上記各単極コイルを受け渡すことを特徴とするコイル形成挿入方法にある(請求項7)。
【0017】
本発明のコイル形成挿入方法においては,上記コイル形成工程において,上記巻き取り治具を用いて連極コイルを形成し,上記コイル移載工程において,各単極コイルを確実に各コイル受け部に受け渡し,連極コイルとしてインサータ治具に移載することができる。
そのため,上記発明と同様に,各単極コイル同士の間を結ぶ渡り線の長さを安定させることができ,各単極コイルをほぼ同時に確実に各コイル受け部に受け渡すことにより,連極コイルの形成状態をほとんど変えることなく上記移載を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1,第2の発明においては,上記各コイル巻枠は,上記先端面に上記各コイル受け部の先端部を嵌入するための嵌入凹部を有しており,上記巻き取り治具から上記インサータ治具への上記連極コイルの移載は,上記各コイル巻枠の上記嵌入凹部内に上記コイル受け部の上記先端部を嵌入した状態で行うよう構成することが好ましい(請求項3)。
この場合には,上記嵌入により,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部との連結を容易かつ確実に行うことができ,上記移載ルートの形成が容易である。
【0019】
また,上記嵌入凹部は,上記コイル受け部を上記コイル巻枠に巻回した単極コイルの輪内の全体に挿入配置することができる深さに形成することが好ましい。
この場合には,上記嵌入を行ったときには,必然的に各コイル受け部の先端部が各コイル巻枠における各単極コイルの輪内に挿入配置される。そのため,一層確実に,各コイル巻枠から各コイル受け部に各単極コイルを受け渡すことができる。
【0020】
また,上記巻き取り治具は,上記連極コイルを上記インサータ治具に払い出すために,上記各コイル巻枠の内周側に進退可能に配設された払出コアを有していることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記払出コアによって,各コイル巻枠から各コイル受け部に受け渡した各単極コイルを押し出して,上記インサータ治具における所定の位置まで移動させることができる。
【0021】
また,上記各コイル巻枠は,上記巻き取り治具の上記中心点側である内周側に配設した内側巻枠部と,該内側巻枠部の外周側に対向配設した外側巻枠部とを有しており,上記外側巻枠部は,上記電線の巻回を行う際の巻回位置と,上記巻回を行った後の上記単極コイルを当該コイル巻枠から離脱させる際の離脱位置との間で,上記内側巻枠部との間の距離を変更するよう移動可能であることが好ましい(請求項5)。
【0022】
この場合には,上記各コイル巻枠は,上記電線の巻回を行う際には,上記外側巻枠部を上記巻回位置にして,外側巻枠部と上記内側巻枠部との間の距離で決定される巻き径の単極コイルを形成することができる。
また,上記各コイル巻枠を上記各コイル受け部に連結したときには,各コイル巻枠は,各外側巻枠部を上記離脱位置にして,各外側巻枠部と各内側巻枠部との間の距離を縮小させて,各単極コイルを離脱することができる。そして,各単極コイルを各コイル巻枠から各コイル受け部に一層容易に受け渡すことができる。
【0023】
また,上記外側巻枠部は,上記インサータ治具に対向する側である前進方向に向けて段階的に拡径していることが好ましい(請求項6)。
この場合には,上記外側巻枠部を上記巻回位置にしたときには,当該コイル巻枠の外径が上記前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成して,上記前進方向に向けて電線の巻き径が大きくなる単極コイルを形成することができる。そのため,この単極コイルからなる連極コイルをステータコア又はロータコアにおけるスロットに挿入配置する際には,この連極コイルは,挿入配置を行うスロットの開口側に上記巻き径が大きい側を位置させて,まとまりよく挿入配置することができる。
【0024】
また,上記外側巻枠部を上記離脱位置にしたときには,当該コイル巻枠の外径が上記前進方向に向けて小さくなる状態を形成して,上記各単極コイルの離脱を容易に行うことができる。
【0025】
また,上記巻き取り治具は,旋回装置に接続される旋回中心軸を中心にして旋回可能に配設された旋回アームと,該旋回アームに対して,上記旋回中心軸と略平行にオフセットした位置に形成した回動中心軸を中心に回動可能に配設されたインデックスホルダーとを有しており,上記複数のコイル巻枠は,上記回動中心軸から略同一の距離に円弧状に上記インデックスホルダーに配設してあり,各コイル巻枠における上記電線の巻回を行う各巻回軸は,互いに略平行であると共に上記旋回中心軸に対しても略平行であり,かつ,上記各コイル巻枠は,上記インデックスホルダーに対して上記旋回中心軸の方向に進退可能に配設してあり,上記電線の巻回を行うコイル巻枠を,残りのコイル巻枠に対して上記インサータ治具に対向する側である前進方向に前進させ,該残りのコイル巻枠よりも突出させるよう構成することが好ましい(請求項7)。
【0026】
この場合には,上記連極コイルを形成する際に,上記電線の巻回を行うコイル巻枠を残りのコイル巻枠よりも上記前進方向に向けて突出させた状態で,上記インデックスホルダー及び上記複数のコイル巻枠の全体を上記旋回アームにより回転させて,上記突出したコイル巻枠に対して電線の巻回を行う。そのため,従来のように,固定した巻枠の外周からワインダー等を回転させながら電線を巻回することがなく,電線に捩りをほとんど発生させることなく各コイル巻枠に各単極コイルを形成することができる。
【0027】
また,上記インデックスホルダーの回動により,上記各コイル巻枠は,上記電線の巻回を行うものから順次上記旋回中心軸に接近させることができる。そのため,上記コイル形成装置は,上記連極コイルを形成するために上記コイル巻枠を複数有していながらも,巻回を行うコイル巻枠が上記旋回中心軸からあまり偏心していない状態で,上記電線の巻回を行うことができる。
そして,1つのコイル巻枠に単極コイルを形成した後には,上記インデックスホルダーを移動させて,上記1つのコイル巻枠に隣接する次のコイル巻枠を上記旋回中心軸に接近させ,上記と同様に単極コイルを形成することができる。
【0028】
そのため,各コイル巻枠に電線の巻回を行うために,各コイル巻枠への電線の供給方向があまり変化することがなく,安定して電線の巻回を行うことができる。それ故,上記捩りの発生がほとんどない単極コイルを,いずれのコイル巻枠に対しても安定して形成することができ,捩りの発生がほとんどない連極コイルを安定して形成することができる。
また,巻回を行うコイル巻枠を突出させることにより,この突出させたコイル巻枠に対して,その巻回軸に直交する方向から容易に電線を供給することができる。そのため,電線の供給が容易であると共にコイル巻枠への電線の巻回も容易であり,上記捩りの発生がほとんどない連極コイルを一層容易に形成することができる。
【0029】
また,上記第3,第4の発明において,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の上記先端面に形成した嵌入凹部内に上記コイル受け部の先端部を嵌入した状態で,上記各コイル巻枠から上記各コイル受け部へと上記各単極コイルを受け渡すことが好ましい(請求項10)。
この場合には,上記嵌入により,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部との連結を容易かつ確実に行うことができ,上記移載ルートを容易に形成して,上記受渡しを行うことができる。
【0030】
また,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の内周側に配設した払出コアを,上記インサータ治具に対向する側である前進方向に前進させて,上記各コイル受け部に受け渡した上記各単極コイルを,上記インサータ治具における所定の位置まで押し出すことが好ましい(請求項11)。
この場合には,上記払出コアによって,各コイル巻枠から各コイル受け部に受け渡した各単極コイルを押し出して,上記インサータ治具における所定の位置まで確実に移動させることができる。そして,上記所定の位置を上記インサータ治具から連極コイルを上記ステータコアのスロットに挿入配置する際の規定位置とすることにより,インサータ治具に連極コイルを移載した後には,この移載したままの状態の連極コイルをステータコアのスロットに挿入配置することができる。
【0031】
また,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の外径を縮小させて,該各コイル巻枠から上記各単極コイルを離脱し,上記各コイル巻枠から上記各コイル受け部へと上記各単極コイルを受け渡すことが好ましい(請求項12)。
この場合には,上記コイル形成工程においては,各コイル巻枠の外径を正規の外径にして正規寸法の単極コイルを形成し,上記コイル移載工程においては,各コイル巻枠の外径を縮小させて,各コイル巻枠から容易に上記連極コイルを離脱することができる。そして,各単極コイルを各コイル巻枠から各コイル受け部に一層容易に受け渡すことができる。
【0032】
また,上記コイル形成工程においては,上記電線の巻回を行うコイル巻枠の外径が上記インサータ治具に対向する側である前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成して,上記前進方向に向けて上記電線の巻き径が大きくなる単極コイルを形成し,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の外径が上記前進方向に向けて小さくなる状態を形成して,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルを離脱することが好ましい(請求項13)。
この場合には,一方側から他方側に向けて電線による巻き径が大きくなる単極コイルからなる連極コイルを容易に形成することができ,また,この連極コイルの離脱も容易に行うことができる。
【0033】
【実施例】
以下の実施例1においては,図1〜図11を用いて,連極コイルを形成するためのコイル形成装置につき説明し,電線から連極コイルを形成するコイル形成工程につき説明する。
また,以下の実施例2においては,図12〜図20を用いて,巻き取り治具とインサータ治具とを有してなるコイル形成挿入装置につき説明し,巻き取り治具に保持した連極コイルを一旦インサータ治具に移載するコイル移載工程と,インサータ治具から連極コイルをステータコアの各スロットに挿入配置するコイル挿入工程とにつき説明する。
【0034】
そして,実施例1においては,コイル形成装置及びコイル形成方法につき説明し。実施例2においては,コイル形成挿入装置及びコイル形成挿入方法につき説明する。
また,実施例2において用いる巻き取り治具は,実施例1において用いる巻き取り治具と同じものであり,実施例2においても図1〜図11のいずれかを用いて説明をすることがある。
【0035】
(実施例1)
本例のコイル形成装置1は,図1,図2に示すごとく,電線99をループ状に巻回してなる単極コイル90を複数連ねてなるモータ用のコイルである連極コイル9を形成するものである。コイル形成装置1は,架台(図示略)と,この架台に,旋回装置(図示略)に接続される旋回中心軸C2を中心にして旋回可能に配設された旋回アーム21と,巻き取り治具2とを有してなる。また,巻き取り治具2は,旋回アーム21に対して移動可能に配設されたインデックスホルダー22と,このインデックスホルダー22の外周面に配設した複数のコイル巻枠3とを有している。
【0036】
また,各コイル巻枠3における上記電線99の巻回を行う各巻回軸C1は,互いに略平行であると共に上記旋回中心軸C2に対しても略平行である。そして,コイル形成装置1は,上記インデックスホルダー22を移動させて,上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3を順次上記旋回中心軸C2に接近させることができるよう構成されている。
以下に,これを詳説する。
【0037】
図1,図2に示すごとく,上記インデックスホルダー22は,上記旋回中心軸C2に対して略平行にオフセットした位置に形成した回動中心軸C3を中心にして,上記旋回アーム21に回動移動可能に配設されている。また,上記各コイル巻枠3は,上記回動中心軸C3から略同一の距離に円弧状に上記インデックスホルダー22に配設されている。
また,上記回動中心軸C3から各コイル巻枠3における巻回軸C1までの巻枠距離L1は,上記旋回アーム21の旋回中心軸C2から上記インデックスホルダー22の回動中心軸C3までのオフセット距離L2と略同一になっている。
【0038】
そして,上記インデックスホルダー22を旋回アーム21に対して,所定の角度回動させることによって,上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1を順次上記旋回中心軸C2にほぼ合わせることができ,この状態で電線99の巻回を行うことができる。
また,上記円弧状に配設した各コイル巻枠3により,円弧状に連なる連極コイル9を形成することができる(図11参照)。
【0039】
また,図3に示すごとく,上記各コイル巻枠3は,上記インデックスホルダー22に対して上記旋回中心軸C2の方向に進退可能に配設してある。そして,上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3は,残りのコイル巻枠3に対して上記旋回アーム21から離れる前進方向に前進させることにより,残りのコイル巻枠3よりも突出させることができる。そのため,上記突出させたコイル巻枠3に対して,その巻回軸C1に直交する方向から容易に電線99を供給することができ,電線99の供給が容易であると共にコイル巻枠3への電線99の巻回も容易である。
【0040】
また,図2に示すごとく,上記各コイル巻枠3は,上記インデックスホルダー22の外周面に円周状に配設されている。本例では,各コイル巻枠3は,インデックスホルダー22の外周面に略等間隔に放射状に配設されている。また,本例では,単極コイル90を4つ連ねてなる連極コイル9を形成するため,コイル巻枠3は4つ配設されている。
【0041】
また,図3,図4に示すごとく,各コイル巻枠3は,インデックスホルダー22に取り付けた内側巻枠部31と,この内側巻枠部31に対向配設した外側巻枠部32とを有している。外側巻枠部32は,図3に示すごとく,上記電線99の巻回を行う際の巻回位置301と,図4に示すごとく,上記巻回を行った後の単極コイル90を当該コイル巻枠3から離脱させる際の離脱位置302との間で,内側巻枠部31との間の距離を変更するよう移動可能である。また,外側巻枠部32は,上記旋回アーム21から離れる前進方向に向けて段階的に拡径している。
【0042】
そして,図3に示すごとく,外側巻枠部32を巻回位置301にしたときには,当該コイル巻枠3の外径が上記前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成することができる。そして,前進方向に向けて電線99の巻き径が大きくなる単極コイル90を形成することができ,外側巻枠部32と内側巻枠部31との間の距離で決定される正規寸法の巻き径を有する単極コイル90を形成することができる。
【0043】
また,上記各単極コイル90からなる連極コイル9をステータコア81におけるスロット810に挿入配置する際には,この連極コイル9は,挿入配置を行うスロット810の開口側に上記巻き径が大きい側を位置させて,挿入配置することができる。そして,各単極コイル90がステータコア81の軸方向の両端部から突出して形成されたコイルエンド部は,上記開口側に位置する部分からステータコア81の外方に向けて移動変形させることにより,小さくすることができる。すなわち,一方側から他方側に向けて巻き径が大きくなる各単極コイル90を形成することにより,各単極コイル90の長さを必要最小限の長さに近づけて,コイルエンド部を小さくすることができる。
【0044】
また,図4に示すごとく,外側巻枠部32を離脱位置302にしたときには,当該コイル巻枠3の外径が上記前進方向に向けて小さくなる状態を形成することができる。そして,外側巻枠部32と内側巻枠部31との間の距離を縮小させて,各単極コイル90を容易に離脱することができる。
【0045】
また,図3,図4に示すごとく,本例においては,上記各コイル巻枠3は,これにハンドル35を設けて手動で進退させて,位置決めピン34で進退位置を固定する構成とした。これ以外にも,各コイル巻枠3の進退は,シリンダー又はモータ等を用いて行うこともできる。
また,本例においては,各コイル巻枠3において,各内側巻枠部31に回動可能にカム33を配設しており,図3に示すごとく,上記巻回位置301は,カム33を各外側巻枠部32に向けて起立させたときに形成し,図4に示すごとく,上記離脱位置302は,カム33を各内側巻枠部31に向けて倒したときに形成した。これ以外にも,外側巻枠部32の巻回位置301と離脱位置302との間での移動は,シリンダー又はモータ等を用いて行うこともできる。
【0046】
また,図1,図2に示すごとく,上記インデックスホルダー22において,上記各コイル巻枠3同士の間には,各単極コイル90同士の間を結ぶ渡り線995を巻き付けるための渡線巻枠41が配設されている。本例では,上記4つのコイル巻枠3同士の各間において,3つの渡線巻枠41が配設されている。そして,渡線巻枠41に電線99の巻付けを行うことにより,各コイル巻枠3に形成した単極コイル90同士の間に,規定の長さの渡り線995を形成することができる(図11参照)。
【0047】
また,図1,図2に示すごとく,本例においては,一番目に電線99の巻回を行う第1のコイル巻枠3aと,最後に巻回を行う第4のコイル巻枠3dとの間には,第1のコイル巻枠3aに巻回を行う前に,上記電線99を巻回して予め所定長さのリード線996を確保しておくためのリード巻枠42が配設されている。このリード線996とは,第1のコイル巻枠3aにおいて形成する第1の単極コイル90aの巻き端部に繋がる電線99のことをいう(図11参照)。
また,本例では,リード巻枠42の断面形状は略円形状としており,電線99に折れ曲がり等を発生させることなく,安定して所定長さのリード線996を第1の単極コイル90aの巻き端部に確保することができる。
【0048】
また,上記渡線巻枠41及びリード巻枠42も,上記コイル巻枠3と同様に,上記インデックスホルダー22に対して上記旋回中心軸C2の方向に進退可能であり,残りのコイル巻枠3及び渡線巻枠41に対して上記旋回アーム21から離れる前進方向に前進して,残りのコイル巻枠3及び渡線巻枠41よりも突出させることが可能である。
【0049】
図1,図2に示すごとく,上記旋回アーム21は,上記旋回中心軸C2を中心にして正逆両回転方向に旋回可能である。そして,本例では,同一巻き方向に巻回された4つの単極コイル90が連なった連極コイル9を形成する。そのため,上記コイル巻枠3に巻回するときの旋回アーム21の回転方向と,上記渡線巻枠41に巻回するときの旋回アーム21の回転方向とは逆であり,上記コイル形成装置1は,正逆両回転方向に交互に回動して上記連極コイル9を形成する。
以下に,コイル巻枠3に巻回を行うときの旋回アーム21の旋回方向を正回転方向といい,渡線巻枠41及びリード巻枠42に巻回を行うときの旋回アーム21の旋回方向を逆回転方向という。
【0050】
また,図示は省略するが,上記架台には,上記旋回アーム21をその旋回中心軸C2を中心に旋回させるための旋回装置が配設されている。そして,旋回中心軸C2は旋回装置に接続されている。なお,本例においては,旋回装置としては,旋回アーム21にハンドルを設けて手動で旋回させることができる構成とした。これ以外にも,旋回装置としては,電動,油圧又はエアー等を用いて作動する各種モータ又はインデックスシリンダー等を用いることもできる。
【0051】
以下に,上記コイル形成装置1を用いて連極コイル9を形成するコイル形成工程につき説明する。
このコイル形成工程においては,上記コイル形成装置1を用いて,以下のインデックス工程,突出工程及び巻回工程を上記各コイル巻枠3に順次行って単極コイル90を形成し,この単極コイル90が連なった連極コイル9を形成する。
【0052】
図1に示すごとく,上記コイル形成装置1は,上記インデックスホルダー22の原位置においては,上記リード巻枠42が上記旋回アーム21における旋回中心軸C2に最も近接した位置にある。この原位置においては,リード巻枠42における巻回軸C1が旋回アーム21における旋回中心軸C2とほぼ合っている。
【0053】
そして,前処理工程として,リード巻枠42を前進させて,これを各コイル巻枠3及び各渡線巻枠41よりも突出させる。そして,上記リード巻枠42に電線99を供給すると共に旋回アーム21を逆回転方向に旋回させて,リード巻枠42に電線99を巻回し,所定長さのリード線996を形成する。
上記電線99の供給は,上記コイル形成装置1の横方向,すなわち各コイル巻枠3,各渡線巻枠41及びリード巻枠42の電線99の巻回を行う巻回面に直交する方向から行う。
【0054】
次いで,図5に示すごとく,上記インデックス工程として,インデックスホルダー22を所定角度回動させて,第1のコイル巻枠3aの巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせる。
また,上記突出工程として,第1のコイル巻枠3aを前進させて,この第1のコイル巻枠3aを突出させると共にリード巻枠42を後退させる。
【0055】
そして,図6に示すごとく,上記巻回工程として,第1のコイル巻枠3aに電線99を供給すると共に旋回アーム21を正回転方向に旋回させて,第1のコイル巻枠3aに電線99を複数回巻回して第1の単極コイル90aを形成する。また,第1のコイル巻枠3aにおける外側巻枠部32は上記巻回位置301にあり,この第1のコイル巻枠3aの外径が上記前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成している。そして,前進方向に向けて電線99の巻き径が大きくなる単極コイル90を形成することができる。
【0056】
次いで,図7に示すごとく,上記インデックス工程を再び行って,インデックスホルダー22を所定角度回動させて,第1の渡線巻枠41aの巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせる。また,突出工程として,第1の渡線巻枠41aを前進させて,この第1の渡線巻枠41aを突出させると共に第1のコイル巻枠3aを後退させる。
次いで,渡線形成工程として,第1の渡線巻枠41aに電線99を供給すると共に旋回アーム21を逆回転方向に旋回させて,第1の渡線巻枠41aに電線99を巻き付けて上記渡り線995を形成する。
【0057】
次いで,図8に示すごとく,上記インデックス工程を再び行って,インデックスホルダー22を所定角度回動させて,第2のコイル巻枠3bの巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせる。また,突出工程として,第2のコイル巻枠3bを前進させて,この第2のコイル巻枠3bを突出させると共に第1の渡線巻枠41aを後退させる。
そして,図9に示すごとく,上記巻回工程を再び行って,第2のコイル巻枠3bに電線99を供給すると共に旋回アーム21を正回転方向に旋回させて,第2のコイル巻枠3bに電線99を複数回巻回して第2の単極コイル90bを形成する。
【0058】
以降,図10に示すごとく,上記と同様に,第2の渡線巻枠41b及び第3の渡線巻枠41cに上記インデックス工程,突出工程及び渡線形成工程を行って各渡り線995を形成し,第3のコイル巻枠3c及び第4のコイル巻枠3dに上記インデックス工程,突出工程及び巻回工程を行って第3の単極コイル90c及び第4の単極コイル90dを形成する。
【0059】
そして,図11に示すごとく,第1〜第4の単極コイル90a〜dが上記各渡り線995によって連なる連極コイル9を形成する。同図は,上記第1〜第4のコイル巻枠3a〜dに各単極コイル90a〜dを形成し,各巻枠3a〜d,41a〜d,42の全体に連極コイル9を形成した状態を模式的に示す説明図である。
【0060】
上記コイル形成装置1は,上記旋回アーム21により上記複数のコイル巻枠3の全体を旋回させることにより,上記旋回中心軸C2に最も接近させたコイル巻枠3に対して上記電線99の巻回を行って上記単極コイル90を形成していくものである。
そして,上記旋回アーム21を旋回させることにより,この旋回アーム21に配設したインデックスホルダー22及び複数のコイル巻枠3の全体を回転させて,電線99の巻回を行う。そのため,従来のように,固定した巻枠の外周からワインダー等を回転させながら電線99を巻回することがなく,電線99に捩りをほとんど発生させることなく各コイル巻枠3に各単極コイル90を形成することができる。
【0061】
また,上記インデックスホルダー22を回動させることにより,上記電線99の巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1を,順次上記旋回アーム21の旋回中心軸C2にほぼ合わせることができる。そのため,上記コイル形成装置1は,連極コイル9を形成するためにコイル巻枠3を複数有していながらも,巻回を行うコイル巻枠3が旋回中心軸C2からあまり偏心していない状態で,電線99の巻回を行うことができる。
そして,いずれかのコイル巻枠3に単極コイル90を形成した後には,上記インデックスホルダー22を回動させて,上記いずれかのコイル巻枠3に隣接する次のコイル巻枠3の巻回軸C1を上記旋回中心軸C2にほぼ合わせて,上記と同様に単極コイル90を形成することができる。
【0062】
そのため,上記電線99の供給は,巻回を行うコイル巻枠3の巻回軸C1に直交するほぼ一定の方向から行うことができ,安定して各コイル巻枠3に電線99の巻回を行うことができる。それ故,上記捩りの発生がほとんどない単極コイル90を,いずれのコイル巻枠3に対しても安定して形成することができ,捩りの発生がほとんどない連極コイル9を安定して形成することができる。
【0063】
(実施例2)
本例のコイル形成挿入装置5は,図13に示すごとく,電線99をループ状に巻回してなる単極コイル90を複数連ねてなる連極コイル9を形成する巻き取り治具2と,この巻き取り治具2に対向して上記連極コイル9を受け取り,この連極コイル9をステータコア81の内周面に形成した複数のスロット810に挿入配置するインサータ治具6とを有してなる。
【0064】
上記巻き取り治具2は,図12に示すごとく,複数のコイル巻枠3を有しており,上記インサータ治具6は,上記各コイル巻枠3から上記各単極コイル90をそれぞれ受け取る複数のコイル受け部62を有している。
そして,コイル形成挿入装置5は,図16に示すごとく,各コイル巻枠3に各コイル受け部62を対向させて,各コイル巻枠3に巻回した各単極コイル90が連なる連極コイル9を,巻き取り治具2からインサータ治具6へと移載するよう構成されている。
以下に,これを詳説する。
【0065】
図1,図2に示すごとく,上記巻き取り治具2は,上記電線99を巻回して上記単極コイル90を形成するための複数のコイル巻枠3を,巻き取り治具2の中心点から略同一の距離に配してなる。また,巻き取り治具2においては,各コイル巻枠3における上記電線99の巻回を行う各巻回軸C1は,互いに略平行に配されている。
【0066】
一方,図12,図13に示すごとく,上記インサータ治具6は,上記連極コイル9を上記ステータコア81の上記スロット810に向けて押し出して挿入するための押出挿入コア61を有している。また,上記複数のコイル受け部62は,押出挿入コア61の外周面に配設し,上記各コイル巻枠3から上記各単極コイル90をそれぞれ受け取るものである。
【0067】
そして,図12,図14に示すごとく,コイル形成挿入装置5は,上記巻き取り治具2から上記インサータ治具6へと上記連極コイル9を移載する際には,上記各コイル巻枠3の上記巻回軸C1の方向における先端面311に上記各コイル受け部62を対向させて,上記各コイル巻枠3と上記各コイル受け部62とを連結すると共に,上記各コイル巻枠3と上記各コイル受け部62とのそれぞれが上記各単極コイル90を移載するための移載ルート60を形成するよう構成されている。
【0068】
また,図3,図12に示すごとく,上記各コイル巻枠3は,その上記先端面311に上記インサータ治具6における各コイル受け部62の先端部621を嵌入するための嵌入凹部312を有している。本例では,この嵌入凹部312は,各コイル巻枠3の各内側巻枠部31の先端面311に形成してある。
【0069】
また,図14に示すごとく,この嵌入凹部312は,コイル受け部62をコイル巻枠3に巻回した単極コイル90の輪内の全体に挿入配置することができる深さに形成してある。すなわち,嵌入凹部312は,各コイル巻枠3の先端面311から上記電線99の巻回を行う位置までの巻回深さよりも,各コイル巻枠3の先端面311から深く形成してある。
【0070】
そして,図12,図14に示すごとく,各コイル巻枠3と各コイル受け部62との連結は,各コイル巻枠3の嵌入凹部312に各コイル受け部62の先端部621を嵌入することにより行うことができる。また,巻き取り治具2からインサータ治具6への連極コイル9の移載は,この嵌入を行った状態で行うことができる。
また,この嵌入を行ったときには,必然的に各コイル受け部62の先端部621が各コイル巻枠3における各単極コイル90の輪内に挿入配置される。
【0071】
また,図12,図13に示すごとく,上記巻き取り治具2は,上記連極コイル9を上記インサータ治具6に払い出すために,上記各コイル巻枠3の内周側に進退可能に配設された払出コア23を有している。この払出コア23は,上記インサータ治具6に対向する側である前進方向(上記旋回アーム21から離れる前進方向)に前進させることにより,図16に示すごとく,各コイル受け部62に受け渡した各単極コイル90を,インサータ治具6における所定の位置まで押し出すことができる。
【0072】
本例では,図18に示すごとく,上記所定の位置は,インサータ治具6から連極コイル9を上記ステータコア81のスロット810に挿入配置する際の規定位置としている。そのため,インサータ治具6に連極コイル9を移載した後には,この移載したままの状態の連極コイル9をステータコア81のスロット810に挿入配置することができる。
【0073】
また,図12に示すごとく,上記インサータ治具6は,各コイル受け部62同士の間に,コイル受け部62の形成方向と略同一方向に向けて配設された複数のガイド部63を有している。このガイド部63は,図19に示すごとく,上記ステータコア81の各スロット810同士の間に位置するティース811に対面して,上記連極コイル9の各スロット810への挿入配置をガイドするものである。
【0074】
また,図12に示すごとく,各ガイド部63とこの両側に隣接する各コイル受け部62との間には,それぞれ単極コイル90における電線99を挿入可能な挿入間隙64が形成されている。各単極コイル90は,それらにおける電線99を上記挿入間隙64に挿入して,各コイル受け部62に挿入配置したときには,隣接する単極コイル90における電線99と混ざらないようになっている。これにより,各単極コイル90における電線99を確実に各ステータコア81のスロット810に挿入配置することができる。
【0075】
また,図20に示すごとく,上記押出挿入コア61は,上記各コイル受け部62に対して進退可能である。そして,各コイル受け部62と各ガイド部63とを,ステータコア81の内周側に対向させたときには,押出挿入コア61がステータコア81に向けて前進することにより,各コイル受け部62に保持した単極コイル90を各スロット810に挿入配置することができる。
【0076】
以下に,上記実施例1に示したコイル形成工程を行って形成した連極コイル9を一旦インサータ治具6に移載するコイル移載工程と,この連極コイル9をインサータ治具6からステータコア81の各スロット810に挿入配置するコイル挿入工程とを行うコイル形成挿入方法につき説明する。
本例においても,コイル形成工程については上記実施例1と同様である。
次に,コイル形成工程を行って形成した連極コイル9を,上記巻き取り治具2から上記インサータ治具6へと移載するコイル移載工程につき説明する。
【0077】
図12に示すごとく,このコイル移載工程においては,上記巻き取り治具2とインサータ治具6とを有するコイル形成挿入装置5を用いて,上記連極コイル9を巻き取り治具2からインサータ治具6に移載する。
すなわち,図13に示すごとく,コイル移載工程においては,まず,上記連極コイル9の形成を行った巻き取り治具2の全体を,上記インサータ治具6に向けて前進させる。このとき,巻き取り治具2における各コイル巻枠3においては各外側巻枠部32が上記巻回位置301にあり,各単極コイル90にはテンションが加わっている。そして,各単極コイル90は,上記巻回を行った後の状態が崩れないように維持されている。
【0078】
そして,図14に示すごとく,巻き取り治具2の各コイル巻枠3における嵌入凹部312に,インサータ治具6の各コイル受け部62における先端部621を嵌入する。そして,この嵌入により,各コイル巻枠3と各コイル受け部62とが連結され,各コイル巻枠3と各コイル受け部62とにより,各単極コイル90を移載するための各移載ルート60が形成される。
また,上記嵌入のときには,各コイル受け部62の先端部621は,各コイル巻枠3における各単極コイル90の全体の輪内に挿入配置される。
【0079】
次いで,図15に示すごとく,離脱工程として,各コイル巻枠3における各外側巻枠部32を上記離脱位置302に移動させる。このとき,各コイル巻枠3の外径は,上記前進方向に向けて小さくなる状態を形成して縮小する。そのため,各コイル巻枠3から各単極コイル90が離脱される。
【0080】
次いで,図16に示すごとく,巻き取り治具2の払出コア23をインサータ治具6の方向に向けて前進させる。このとき,各コイル巻枠3の外周に巻回された各単極コイル90は,インサータ治具6の押出挿入コア61に当接する上記規定位置まで押し出される。
【0081】
また,このとき,各移載ルート60を各単極コイル90の輪内に維持したまま,各コイル巻枠3から各コイル受け部62へと各単極コイル90を受け渡すことができる。
その後,図17に示すごとく,巻き取り治具2をインサータ治具6から離れる後退方向に後退させて,各単極コイル90が連なった連極コイル9のインサータ治具6への移載が完了する。
【0082】
次に,コイル挿入工程につき説明する。
図18〜図20に示すごとく,このコイル挿入工程においては,上記インサータ治具6に保持した連極コイル9を,ステータコア81の内周面に形成した複数のスロット810に挿入配置する。
すなわち,図18,図19に示すごとく,コイル挿入工程においては,まず,インサータ治具6の各コイル受け部62を,ステータコア81の内周面側に対向配置する。このとき,ステータコア81の内周面における各スロット810同士の間における各ティース811には,上記各ガイド部63が対向配置される。
【0083】
次いで,図20に示すごとく,上記押出挿入コア61を上記ステータコア81に向けて前進させる。このとき,各コイル受け部62に保持された各単極コイル90における電線99は,各スロット810に挿入配置されていく。そして,押出挿入コア61の先端が各コイル受け部62の先端を超えて前進すると,各単極コイル90が各スロット810内に挿入配置されて,連極コイル9をステータコア81に組み付けることができる。
【0084】
このように,上記実施例1,2を行って,U相,V相及びW相からなる3相モータにおけるステータを製作した。また,本例では,巻き取り治具2は,4つのコイル巻枠3を有すると共に3つの渡線巻枠41を有するものとし,インサータ治具6は,コイル受け部62とガイド部63とをそれぞれ8つ有するものとした。
【0085】
そして,巻き取り治具2において4つの単極コイル90が連なる連極コイル9としての4極コイルを形成し,この4極コイルをインサータ治具6に2回移載した。そして,インサータ治具6から2つの4極コイルをステータコア81に組み付けて,4極コイルを2つ連ねて8極コイルからなるU相を形成した。また,V相及びW相についても同様にして,上記組付を行って4極コイルを2つ連ねて8極コイルからなるものを形成した。
【0086】
上記コイル形成挿入装置5は,上記巻き取り治具2において連極コイル9を形成し,各単極コイル90を確実に各コイル受け部62に受け渡し,連極コイル9としてインサータ治具6に移載することができるものである。
すなわち,上記巻き取り治具2は,複数のコイル巻枠3を配してなるものであり,この巻き取り治具2においては,各コイル巻枠3に単極コイル90を形成して連極コイル9を形成することができる。そのため,互いの位置関係が固定された各コイル巻枠3に各単極コイル90を形成することができ,各コイル巻枠3に巻回した単極コイル90同士の間に形成される渡り線995の長さを安定させることができる。
【0087】
また,上記インサータ治具6は,各コイル巻枠3の嵌入凹部312にそれぞれ先端部621が嵌入される各コイル受け部62を有しており,各コイル巻枠3と各コイル受け部62とを連結した際には,各コイル巻枠3と各コイル受け部62とが上記各移載ルート60を形成することができる。そのため,各コイル巻枠3から各コイル受け部62に各単極コイル90を受け渡すときには,各単極コイル90は,その輪内に各移載ルート60を維持したまま,各移載ルート60に沿って確実に受け渡すことができる。
【0088】
そして,各単極コイル90は,ほぼ同時にコイル受け部62に受け渡すことができる。そのため,この受渡しの際に,各単極コイル90における各電線99の巻き順が,上記巻回を行った巻き順と異なってしまうことがほとんどない。すなわち,上記一方側から他方側に向けて巻き径が大きくなる各単極コイル90は,上記インサータ治具6に移載する際に,その巻き順が変わってしまうことがなく,各電線99が整列された状態で移載することができる。
それ故,連極コイル9の形成状態をほとんど変えることなく,この連極コイル9を巻き取り治具2からインサータ治具6へと移載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,コイル形成装置を示す斜視図。
【図2】実施例1における,各コイル巻枠に各単極コイルを形成して連極コイルを形成した状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図3】実施例1における,外側巻枠部が巻回位置にある状態の各巻枠を示す説明図。
【図4】実施例1における,外側巻枠部が離脱位置にある状態の各巻枠を示す説明図。
【図5】実施例1における,第1のコイル巻枠の巻回軸を旋回アームの旋回中心軸にほぼ合わせ,残りのすべての巻枠よりも突出させた状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図6】実施例1における,第1のコイル巻枠に電線を巻回して単極コイルを形成している状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図7】実施例1における,第1の渡線巻枠の巻回軸を旋回アームの旋回中心軸にほぼ合わせると共に残りのすべての巻枠よりも突出させ,この第1の渡線巻枠に電線を巻回している状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図8】実施例1における,第2のコイル巻枠の巻回軸を旋回アームの旋回中心軸にほぼ合わせ,残りのすべての巻枠よりも突出させた状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図9】実施例1における,第2のコイル巻枠に電線を巻回して単極コイルを形成している状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図10】実施例1における,すべての巻枠に電線を巻回して連極コイルを形成した状態のコイル形成装置を示す斜視図。
【図11】実施例1における,すべての巻枠に電線を巻回して連極コイルを形成した状態を模式的に示す説明図。
【図12】実施例2における,巻き取り治具からインサータ治具へと連極コイルを移載している状態のコイル形成挿入装置を示す平面説明図。
【図13】実施例2における,連極コイルを保持する巻き取り治具をインサータ治具へと前進させている状態のコイル形成挿入装置を示す説明図。
【図14】実施例2における,巻き取り治具のコイル巻枠における嵌入凹部にインサータ治具のコイル受け部における先端部を嵌入している状態のコイル形成挿入装置を示す説明図。
【図15】実施例2における,巻き取り治具の各コイル巻枠における各外側巻枠部を離脱位置に移動させて,各コイル巻枠から各単極コイルを離脱した状態のコイル形成挿入装置を示す説明図。
【図16】実施例2における,巻き取り治具の払出コアを前進させて,連極コイルをインサータ治具における規定位置まで押し出した状態のコイル形成挿入装置を示す説明図。
【図17】実施例2における,巻き取り治具をインサータ治具から後退させた状態のコイル形成挿入装置を示す説明図。
【図18】実施例2における,インサータ治具における各コイル受け部をステータコアの内周面に対向させた状態のコイル形成挿入装置を示す説明図。
【図19】実施例2における,インサータ治具における各コイル受け部及び各ガイド部をステータコアの内周面に対向させた状態のコイル形成挿入装置を示す平面説明図。
【図20】実施例2における,連極コイルをインサータ治具からステータコアの各スロットに挿入配置した状態のコイル形成挿入装置を示す平面説明図。
【符号の説明】
1...コイル形成装置,
2...巻き取り治具,
21...旋回アーム,
C2...旋回中心軸,
22...インデックスホルダー,
C3...回動中心軸,
23...払出コア,
3...コイル巻枠,
C1...巻回軸,
301...巻回位置,
302...離脱位置,
31...内側巻枠部,
311...先端面,
312...嵌入凹部,
32...外側巻枠部,
41...渡線巻枠,
42...リード巻枠,
5...コイル形成挿入装置,
6...インサータ治具,
60...移載ルート,
61...押出挿入コア,
62...コイル受け部,
621...先端部,
81...ステータコア,
810...スロット,
9...連極コイル,
90...単極コイル,
99...電線,
995...渡り線,
996...リード線,
Claims (13)
- 電線をループ状に巻回してなる単極コイルを複数連ねてなる連極コイルを形成する巻き取り治具と,該巻き取り治具に対向して上記連極コイルを受け取り,該連極コイルをステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するインサータ治具とを有してなるコイル形成挿入装置であって,
上記巻き取り治具は,複数のコイル巻枠を有しており,上記インサータ治具は,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルをそれぞれ受け取る複数のコイル受け部を有しており,
上記各コイル巻枠に上記各コイル受け部を対向させて,上記各コイル巻枠に巻回した上記各単極コイルが連なる上記連極コイルを,上記巻き取り治具から上記インサータ治具へと移載するよう構成したことを特徴とするコイル形成挿入装置。 - 電線をループ状に巻回してなる単極コイルを複数連ねてなる連極コイルを形成する巻き取り治具と,該巻き取り治具に対向して上記連極コイルを受け取り,該連極コイルをステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するインサータ治具とを有してなるコイル形成挿入装置であって,
上記巻き取り治具は,該巻き取り治具の中心点から略同一の距離に,上記電線を巻回して上記単極コイルを形成するための複数のコイル巻枠を配してなると共に,各コイル巻枠における上記電線の巻回を行う各巻回軸を互いに略平行に配してなり,
一方,上記インサータ治具は,上記連極コイルを上記ステータコアの上記スロットに向けて押し出して挿入するための押出挿入コアと,該押出挿入コアの外周面に配設し,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルをそれぞれ受け取る複数のコイル受け部とを有しており,
上記巻き取り治具から上記インサータ治具へと上記連極コイルを移載する際には,上記各コイル巻枠の上記巻回軸の方向における先端面に上記各コイル受け部を対向させて,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とを連結すると共に,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とのそれぞれが上記各単極コイルを移載するための移載ルートを形成するよう構成したことを特徴とするコイル形成挿入装置。 - 請求項1又は2において,上記各コイル巻枠は,上記先端面に上記各コイル受け部の先端部を嵌入するための嵌入凹部を有しており,
上記巻き取り治具から上記インサータ治具への上記連極コイルの移載は,上記各コイル巻枠の上記嵌入凹部内に上記コイル受け部の上記先端部を嵌入した状態で行うよう構成したことを特徴とするコイル形成挿入装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項において,上記巻き取り治具は,上記連極コイルを上記インサータ治具に払い出すために,上記各コイル巻枠の内周側に進退可能に配設された払出コアを有していることを特徴とするコイル形成挿入装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記各コイル巻枠は,上記巻き取り治具の上記中心点側である内周側に配設した内側巻枠部と,該内側巻枠部の外周側に対向配設した外側巻枠部とを有しており,
上記外側巻枠部は,上記電線の巻回を行う際の巻回位置と,上記巻回を行った後の上記単極コイルを当該コイル巻枠から離脱させる際の離脱位置との間で,上記内側巻枠部との間の距離を変更するよう移動可能であることを特徴とするコイル形成挿入装置。 - 請求項5において,上記外側巻枠部は,上記インサータ治具に対向する側である前進方向に向けて段階的に拡径していることを特徴とするコイル形成挿入装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項において,上記巻き取り治具は,旋回装置に接続される旋回中心軸を中心にして旋回可能に配設された旋回アームと,該旋回アームに対して,上記旋回中心軸と略平行にオフセットした位置に形成した回動中心軸を中心に回動可能に配設されたインデックスホルダーとを有しており,
上記複数のコイル巻枠は,上記回動中心軸から略同一の距離に円弧状に上記インデックスホルダーに配設してあり,各コイル巻枠における上記電線の巻回を行う各巻回軸は,互いに略平行であると共に上記旋回中心軸に対しても略平行であり,
かつ,上記各コイル巻枠は,上記インデックスホルダーに対して上記旋回中心軸の方向に進退可能に配設してあり,上記電線の巻回を行うコイル巻枠を,残りのコイル巻枠に対して上記インサータ治具に対向する側である前進方向に前進させ,該残りのコイル巻枠よりも突出させるよう構成したことを特徴とするコイル形成挿入装置。 - 連極コイルを形成するための巻き取り治具と,上記連極コイルをステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するためのインサータ治具とを用いて,
上記巻き取り治具に配設した複数のコイル巻枠にそれぞれ電線を巻回して,複数の単極コイルを形成すると共に該複数の単極コイルが連なる連極コイルを形成し,
上記各コイル巻枠に保持する各単極コイルを,上記インサータ治具に配設した複数のコイル受け部にそれぞれ同時に受け渡して,上記インサータ治具に上記連極コイルを移載することを特徴とするコイル形成挿入方法。 - 巻き取り治具において電線をループ状に巻回してなる単極コイルを複数連ねてなる連極コイルを形成するコイル形成工程と,上記連極コイルを上記巻き取り治具からインサータ治具へと移載するコイル移載工程と,上記連極コイルを上記インサータ治具からステータコアの内周面に形成したスロットに挿入配置するコイル挿入工程とを含むコイル形成挿入方法であって,
上記コイル形成工程においては,上記電線を巻回して上記単極コイルを形成するための複数のコイル巻枠を略円周状に配してなると共に,各コイル巻枠における上記電線の巻回を行う各巻回軸を互いに略平行に配してなる上記巻き取り治具を用いて,上記連極コイルを形成し,
上記コイル移載工程においては,上記連極コイルを上記ステータコアの上記スロットに向けて押し出して挿入するための押出挿入コアと,該押出挿入コアの外周面に配設し,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルをそれぞれ受け取る複数のコイル受け部とを有してなる上記インサータ治具を用いて,上記各コイル巻枠の上記巻回軸の方向における先端面に上記各コイル受け部を対向させて,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とを連結すると共に,上記各コイル巻枠と上記各コイル受け部とのそれぞれが上記各単極コイルを移載するための移載ルートを形成して,該各移載ルートを上記各単極コイルの輪内に維持したまま,上記各コイル巻枠から上記各コイル受け部へと上記各単極コイルを受け渡すことを特徴とするコイル形成挿入方法。 - 請求項8又は9において,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の上記先端面に形成した嵌入凹部内に上記コイル受け部の先端部を嵌入した状態で,上記各コイル巻枠から上記各コイル受け部へと上記各単極コイルを受け渡すことを特徴とするコイル形成挿入方法。
- 請求項8〜10のいずれか一項において,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の内周側に配設した払出コアを,上記インサータ治具に対向する側である前進方向に前進させて,上記各コイル受け部に受け渡した上記各単極コイルを,上記インサータ治具における所定の位置まで押し出すことを特徴とするコイル形成挿入方法。
- 請求項8〜11のいずれか一項において,上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の外径を縮小させて,該各コイル巻枠から上記各単極コイルを離脱し,上記各コイル巻枠から上記各コイル受け部へと上記各単極コイルを受け渡すことを特徴とするコイル形成挿入方法。
- 請求項12において,上記コイル形成工程においては,上記電線の巻回を行うコイル巻枠の外径が上記インサータ治具に対向する側である前進方向に向けて段階的に大きい状態を形成して,上記前進方向に向けて上記電線の巻き径が大きくなる単極コイルを形成し,
上記コイル移載工程においては,上記各コイル巻枠の外径が上記前進方向に向けて小さくなる状態を形成して,上記各コイル巻枠から上記各単極コイルを離脱することを特徴とするコイル形成挿入方法。
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