JP2004325095A - 加速度検出装置及び加速度検出方法並びに路面勾配推定装置及び路面勾配推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加速度センサの中立点のずれの最適な補償を施し、車両走行中に正確な加速度検出を行うことを目的とする。
【解決手段】加算器10(加速度出力手段)により、加速度センサ5の車両走行方向の検出加速に、補償値保持部9(補償値保持手段)の中立点補償値を加算して出力し、車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出し、補正値算出部(補償値補正手段)により、車両の制動毎に、加算器10の出力加速度と車輪速側加速度との差に基づく勾配演算部12(勾配演算手段)の推定勾配と、車両のブレーキ圧を変換したブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差に基づく勾配換算部14(勾配換算手段)の換算勾配との差に基づき、加速度演算部11(加速度演算手段)によって中立点補償値の補正値を算出し、この補正値を保持部9の保持値に加算して中立点補償値を書き換え、センサ5の中立点のずれを補償する。
【選択図】 図1
【解決手段】加算器10(加速度出力手段)により、加速度センサ5の車両走行方向の検出加速に、補償値保持部9(補償値保持手段)の中立点補償値を加算して出力し、車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出し、補正値算出部(補償値補正手段)により、車両の制動毎に、加算器10の出力加速度と車輪速側加速度との差に基づく勾配演算部12(勾配演算手段)の推定勾配と、車両のブレーキ圧を変換したブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差に基づく勾配換算部14(勾配換算手段)の換算勾配との差に基づき、加速度演算部11(加速度演算手段)によって中立点補償値の補正値を算出し、この補正値を保持部9の保持値に加算して中立点補償値を書き換え、センサ5の中立点のずれを補償する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、加速度センサを用いた加速度検出装置及びその方法並びに路面勾配推定装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走行時の安定性向上等を図るため、車両にいわゆる横滑り防止装置を搭載し、車両に設けた縦方向(進行方向)、横方向の加速度センサ(Gセンサ)により、縦方向、横方向の加速度を検出して走行状態を監視し、この監視に基づく各車輪の加減速制御によって横滑りを防止することが行われている。
【0003】
なお、この出願の加速度は、いわゆる加速度と減速度との両方を含むものである。
【0004】
つぎに、車両の追従走行制御においては、加減速制御等に対する路面勾配の影響が重要な問題の1つになっており、この問題を解消するため、車両に加速度センサ(縦方向Gセンサ)を搭載し、このセンサを用いて路面勾配を推定することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この従来の路面勾配推定について、図5の路面勾配推定の説明図を参照して説明する。
【0006】
同図に示すように、例えば勾配θの路面1を走行する車両2に設けられた縦方向の加速度センサ3は、破線矢印イに示す路面1に平行な車両走行方向(前後方向)の検出加速度Gs(m/s2)が、実線矢印ロの重力加速度Gg(=9.8m/s2)の影響を受け、破線矢印ハに示す車両2の実加速度の成分と、実線矢印ニに示す重力加速度Gg(m/s2)の車両走行方向の成分との和になる。
【0007】
なお、車両2が進む方向を正方向とすると、加速度センサ3に作用する前記の実加速度の成分は負方向の加速度成分であり、重力加速度Ggの車両走行方向の成分は下向きであり、上りの走行中は実加速度の成分と同方向(負方向)、下りの走行中は実加速度の成分と逆方向(正方向)であり、図5は車両2の上り走行中の加速度状態を示す。
【0008】
一方、車両2の車輪速センサ(図示せず)の検出車速の時間変化から算出される車輪速側加速度WG(m/s2)は、いわゆる車輪速Gと呼ばれ、車両2の実加速度であり、図5の破線矢印ハの成分に相当する。
【0009】
そして、図5に示すように、重力加速度Ggの成分がGg×sinθになることから、路面1の勾配θは、加速度Gs、WGの差に基づき、つぎの(1)式の演算から算出して推定される。
【0010】
θ=sin−1{(Gs−WG)/Gg} (1)式
【0011】
ところで、加速度センサは、振り子型のセンサ、スプリングマスGセンサ等のいずれタイプのものであっても、中立点のずれの補償(ゼロ点補正)をしなければ、検出加速度に前記ずれの影響が含まれる。
【0012】
そして、従来の加速度検出及び路面勾配推定においては、前記の中立点のずれを予め補償した加速度センサを用いるものとし、中立点のずれの補償前には、加速度センサが使用不能状態であるとして、その出力を用いないようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開平11‐351864号公報 (第2−6頁、図1、図2)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加速度センサを用いた車両のこの種の加速度検出及び路面勾配推定において、前記の中立点のずれを補償する最適な構成は発明されていない。
【0015】
なお、加速度センサの車両搭載時や最初のエンジンスタート前に何らかの手法で加速度センサの中立点のずれを事前検出してその補償値を求めておき、以降は、この補償値を用いて車両走行中の加速度センサの出力を補償し、加速度センサの検出加速度が前記中立点のずれの影響を受けないようにすることが考えられるが、加速度センサは、車両搭載時だけでなく、人が乗り降りしたり、坂道でエンジンを再スタートしたりすると、その都度、中立点が変化してずれる。
【0016】
そのため、前記の事前検出の補償値を用いても加速度センサの検出加速度のずれを精度よく補償することはできず、加速度センサ用いた正確な加速度検出や路面勾配推定が行えない問題がある。
【0017】
本発明は、加速度センサを用いた加速度検出及び路面勾配推定において、加速度センサの中立点のずれを補償する最適な構成を提供し、正確な加速度検出や路面勾配推定が行えるようにすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の加速度検出装置は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された前記加速度センサの中立点補償値を加算して出力する加速度出力手段と、
前記車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出する加速度演算手段と、
前記加速度出力手段の出力加速度と前記車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により路面の推定勾配を算出する勾配演算手段と、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換する加速度換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換する勾配換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換える補償値補正手段とを備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0019】
また、本発明の加速度検出方法は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された前記加速度センサの中立点補償値を加算して出力し、
前記車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出し、
前記中立点補償値を加算した前記検出加速度と、前記車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により路面の推定勾配を算出し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換し、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、
該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換えることを特徴としている(請求項3)。
【0020】
これらの構成によれば、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度が、補償値保持手段に保持された中立点補償値を加算して出力される。
【0021】
また、中立点補償値を加算した検出加速度に加速度センサの中立点のずれが含まれると、前記中立点補償値を加算した検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により求められた路面の推定勾配に、前記ずれの成分が出現する。
【0022】
一方、車両走行中に制動が発生すると、その制動のブレーキ圧が車両走行方向のブレーキ側加速度に換算されて変換され、このブレーキ側加速度は、重力の影響を含み、前記の中立点のずれがない状態の加速度センサの車両走行方向の検出加速度に相当する。
【0023】
さらに、車両の制動毎に、ブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差を勾配に換算して路面の換算勾配が求められ、この換算勾配には前記の中立点のずれの成分が含まれない。
【0024】
そして、車両の制動毎に、前記の推定勾配と換算勾配との差に基づく所定の補正値演算によて前記のずれの成分に相当する補正値が求められ、この補正値が補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算されることにより、この中立点補償値が、加速度センサの中立点のずれを補償する最新の値に書き換えられる。
【0025】
そのため、車両走行中に、加速度センサの中立点のずれの変化に応じて、加速度センサの検出加速度に加算される中立点補償値が自動的に書き換えられ、加速度センサの検出加速度に、そのセンサの中立点のずれの最適な補償が施される。
【0026】
この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等が行われる毎に加速度センサの中立点がずれても、そのずれの影響を受けることなく、車両走行方向の加速度が正確に検出される。
【0027】
つぎに、本発明の路面勾配推定装置は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、前記車両の検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を算出して出力する路面勾配推定装置であって、
前記検出加速度に加算される前記加速度センサの中立点補償値を保持する補償値保持手段と、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換する加速度換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換する勾配換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換える補償値補正手段とを備えたことを特徴としている(請求項5)。
【0028】
また、本発明の路面勾配推定方法は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、前記車両の検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を算出して出力する路面勾配推定方法であって、
前記検出加速度に加算される前記加速度センサの中立点補償値を補償値保持手段に保持し、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換し、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、
該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換えることを特徴としている(請求項7)。
【0029】
これらの構成によれば、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された加速度センサの中立点補償値が加算され、この加算後の検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差から、路面の推定勾配が求められて出力される。
【0030】
このとき、中立点補償値を加算した検出加速度に加速度センサの中立点のずれが含まれていると、前記の推定勾配に前記のずれの成分が含まれる。
【0031】
一方、車両走行中に制動が発生すると、その制動のブレーキ圧が車両走行方向のブレーキ側加速度に換算されて変換され、このブレーキ側加速度は、重力加速度の影響を含み、前記の中立点のずれがない状態の加速度センサの車両走行方向の検出加速度に相当する。
【0032】
さらに、車両の制動毎にブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差の勾配換算によって路面の換算勾配が求められ、この換算勾配には前記の中立点のずれの成分が含まれない。
【0033】
さらに、車両の制動毎に、前記の推定勾配と換算勾配との差に基づく所定の補正値演算によって前記のずれの成分に相当する補正値が求められ、この補正値が補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算されることにより、この中立点補償値が、加速度センサの中立点のずれを補償する最新の値に書き換えられる。
【0034】
そのため、車両走行中に、加速度センサの中立点のずれの変化に応じて、加速度センサの検出加速度に加算される中立点補償値が自動的に書き換えられ、加速度センサの検出加速度に、そのセンサの中立点のずれの最適な補償が施される。
【0035】
そして、この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサの中立点のずれが発生しても、そのずれの影響を受けることなく、路面の推定勾配が正確に求められる。
【0036】
そして、上記の各所定の勾配推定演算が、θ=sin−1{(GS−WG)/Gg}、(θ:推定勾配、GS:中立点補償値が加算された検出加速度、WG:車輪速側加速度、Gg:重力加速度)の式の演算からなり、各所定の補正値演算が、δG=Gg×sin(θerr)、(δG:補正値、Gg:重力加速度、θerr:推定勾配と換算勾配との差)の式の演算からなることが、具体的であって実用的である(請求項2、4、6,8)。
【0037】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0038】
<第1の実施形態>
まず、加速度センサを用いた加速度検出の実施形態について、図1のブロック図及び図2のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
図1は車両に設けられた加速度検出装置4のブロック図であり、図中の加速度センサ5、車輪速センサ6、ブレーキアクチュエータ7を除く各部は、例えば車両の走行制御用のECU8のソフトウエア処理によって形成される。
【0040】
そして、車輪速センサ6、ブレーキアクチュエータ7は、いわゆる電子制御の車両が備える基本的なセンサである。
【0041】
また、加速度センサ5は、例えば横滑り防止装置のセンサとして車両に設けられたものであり、振り子型のセンサ、スプリングマスGセンサ等のいわゆる市販の汎用の加速度センサからなり、中立点のずれの補償(ゼロ点補正)を要する。
【0042】
そして、車両のエンジンスタートにより、そのイグニッションスイッチがオンすると、ECU8が図2のステップA1〜A9の加速度検出の補償・出力処理を実行する。
【0043】
ところで、エンジンスタート後の車両走行中は、その加減速に基づき、加速度センサ5が中立点のずれの誤差を含む車両走行方向(前後方向)の検出加速度Gss(m/s2)を出力する。
【0044】
そして、検出加速度Gssが周期的にECU8に取り込まれ、検出加速度GssがECU8に取り込まれる毎に、図2のステップA1が実行され、補償値保持手段を形成する書き換え自在の不揮発性メモリ構成の補償値保持部9の中立点補償値ΔG(m/s2)が、加速度出力手段誤を形成する加算器10により加算され、補償値ΔGを加算した後の検出加速度GS(m/s2)が装置4から出力される。
【0045】
つぎに、車輪速センサ6は、車輪の回転速度から車両の速度(車速)を検出し、この速度を検出速度V(m/s)として出力する。
【0046】
この検出速度VがECU8に取り込まれ、ECU8の加速度演算手段を形成する加速度演算部11が検出速度Vの時間変化から車輪速側加速度WGを算出する。
【0047】
さらに、加算器10の検出加速度GSと、加速度演算部11の車輪速側加速度WGとが、ECU8の勾配演算手段としての勾配演算部12に入力され、この演算部12は、ステップA2により、図5の推定勾配θを周期的に算出する。
【0048】
すなわち、図5の検出加速度Gsに対応する検出加速度GSは、実加速度である車輪速加速度WGの成分と、重力加速度Ggの成分とを含む車両走行方向(前後方向)の加速度である。
【0049】
また、車輪速加速度WG(車輪速G)は車輪速変化から算出された車両走行方向の加速度であって、重力加速度Ggの成分は含まず、検出加速度GSの重力加速度Ggの成分は図5のGg×sinθであって、GS=WG+Gg×sinθである。
【0050】
そのため、勾配演算部12は、前記(1)式と同様のつぎの(2)式の所定の勾配推定演算から推定勾配θを周期的に演算する。
【0051】
θ=sin−1{(GS−WG)/Gg} (2)式
【0052】
つぎに、人の乗り降りや、エンジンの再スタート等に基づく加速度センサ5の中立点のずれの変化に伴って前記の中立点補償値ΔGを補正するため、制動操作又は加減速制御によって車両の制動が発生すると、図2のステップA3からステップA4に移行し、ブレーキアクチュエータ7のブレーキ圧(ブレーキ液圧)の信号をECU8に取り込み、加速度換算手段を形成するブレーキ液圧/加速度変換部13により、その加速度換算テーブル(図示せず)に保持されたブレーキ液圧/加減速度の換算データに基づき、ブレーキ圧を対応するブレーキ側加速度Gmap(m/s2)に変換し、この加速度Gmapを出力する。
【0053】
なお、前記の加速度換算テーブルの換算データは、例えば種々のブレーキ液圧に対応する加減速度を実測し、この実測結果のブレーキ液圧毎の加減速度を不揮発性のメモリ等に予め書き込んで形成され、車種等毎に異なる。
【0054】
また、加速度センサ5の検出加速度Gssと無関係に得られたブレーキ側加速度Gmapは、検出加速度Gss、GSと同様、車輪速加速度WGの成分と、重力加速度Ggの成分とを含む車両走行方向の加速度であるが、加速度センサ5の中立点のずれの影響は受けない。
【0055】
つぎに、ブレーキ側加速度Gmapが得られると、図2のステップA4からステップA5に移行し、勾配換算部14の減算器15により加速度Gmap、WGの差Gerr(m/s2)を算出した後、ステップA6により、差Gerrを換算器16に取り込み、この換算器16の勾配換算テーブル(図示せず)に保持された加速度差/勾配の変換(換算)データに基づき、差Gerrを対応する路面勾配に変換して換算勾配θmapを生成する。
【0056】
なお、勾配換算部14が勾配換算手段を形成し、前記勾配換算テーブルの換算データは、例えば複数の路面勾配での加速度差Gerrを実測し、この実測結果の加速度差Gerr毎の勾配θを不揮発性のメモリ等に予め書き込んで形成され、車種等毎に異なる。
【0057】
また、加速度Gmap、WGが加速度センサ5の中立点のずれの影響を受けないため、換算勾配θmapは加速度センサ5の中立点のずれの成分(誤差)を含まない。
【0058】
つぎに、図2のステップA6からステップA7に移行し、車両の制動によって換算勾配θmapが生成される毎に、補償値補正部17の減算器18により、勾配演算部12の推定勾配θと勾配換算部14の換算勾配θmapとの差θerrを算出する。
【0059】
このとき、推定勾配θは加速度センサ5の中立点のずれの誤差を含み、換算勾配はそのずれの誤差を含まないため、差θerrは、中立点補償値ΔGの加算ではカバーできなかった誤差、換言すれば、中立点のその後のずれに相当する勾配誤差であり、ステップA8により、補償値補正手段を形成する補正値演算部19がつぎの(3)式の所定の補正値演算を実行し、差θerrを加速度に換算して補償値ΔGの補正値δG(m/s2)を算出する。
【0060】
δG=Gg×sin(θerr) (3)式
【0061】
さらに、ステップA9により、補正値演算部19が算出した補正値δGを補償値保持部9の中立点補償値ΔGに加算し、この補償値ΔGを、補正値δGを加減算した値に書き換える。
【0062】
この書き換えにより、補償値保持部9の中立点補償値ΔGは、走行中の車両の制動毎に、加速度センサ5の中立点のずれの変化に応じて自動的に書き換えられて更新される。
【0063】
そのため、加算器10における補正後の中立点補償値ΔGの加算により、検出加速度Gssに加速度センサ5の中立点のずれの最適な補償が施され、加速度センサ5の中立点のずれの誤差を含まない検出加速度GSが加速度検出装置4から出力され、加速度センサ5の中立点のずれを補償する最適な構成を提供することができる。
【0064】
そして、この最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサ5の中立点がずれても、検出加速度GSはその影響を受けることがなく、走行中の車両の加速度が検出加速度GSによって正確に検出され、この検出加速度GSに基づいて横滑り防止の制御等が精度よく行える。
【0065】
<第2の実施形態>
つぎに、加速度センサを用いた路面勾配推定の実施形態について、図3のブロック図及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
図3は車両に設けられた路面勾配推定装置20のブロック図であり、この装置20が図1の加速度検出装置4と異なる点は、図1のECU8に相当するECU21が、図4のステップB1〜B10の勾配推定の補償・出力処理を実行し、加算器10の補償後の検出加速度GSに代えて、勾配演算部12の推定勾配θを、装置20から出力する点である。
【0067】
そして、ECU21の各部9〜19は図1の場合と同様に動作し、補償値保持部9、ブレーキ液圧/加速度変換部13、勾配換算部14、補正値補正部17が、補償値保持手段、加速度換算手段、勾配換算手段、補償値補正手段を形成する。
【0068】
また、図4のフローチャートにおいて、ステップB1〜B9は図2のステップA1〜A9に相当し、図2と異なる点は、ステップA1に対応するステップB1により、加算器10の加算によって中立点の補償が施された検出加速度GSを生成し、この検出加速度GSを装置20から出力しないでステップB2に移行する点と、ステップB2とステップB3との間に設けたステップB10により、ステップB2で算出した推定勾配θを装置20から出力する点である。
【0069】
なお、残りのステップB2〜B9においては、図2のステップA2〜A9と同一の処理が行われる。
【0070】
そして、この勾配推定装置20においても、補償値保持部9の中立点補償値ΔGは、走行中の車両の制動毎に、加速度センサ5の中立点のずれの変化に応じて自動的に書き換えられて更新される。
【0071】
そのため、加速度センサ5の検出加速度Gssに、その中立点のずれの最適な補償が施され、この最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサ5の中立点がずれても、検出加速度GSはその影響を受けることがなく、走行中の車両の加速度が検出加速度GSによって正確に検出され、この検出加速度GSに基づく推定勾配θから、加速度センサ5の中立点のずれの影響を受けることなく、走行中の路面の勾配を正確に推定することができ、この推定に基づいて、追従走行の加減速制御等が精度よく行える。
【0072】
ところで、この路面勾配推定装置20を加速度検出装置としても用いる場合は、図3の破線の矢印線に示すように、加算器10の補償後の検出加速度GSも装置20から出力すればよく、同様にして、図1の加速度検出装置4を路面勾配推定装置として用いることもできる。
【0073】
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、図2、図4の処理手順が前記両実施形態と異なっていてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、請求項1、3に記載の発明によれば、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された加速度センサの中立点補償値を加算して出力することができ、しかも、中立点補償値を加算した検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算によって路面の推定勾配を求め、ブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差を勾配に換算して路面の換算勾配を求め、両勾配の差に基づく所定の補正値演算により、走行中の車両の制動毎に、中立点補償値の補正値を求めて補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算し、車両の走行中に、中立点補償値を、加速度センサの中立点の最新のずれの補償値に自動的に書き換えることができる。
【0075】
したがって、加速度センサを用いて走行中の車両の加速度を検出する場合において、加速度センサの中立点のずれの補償を施す最適な構成を提供することができ、この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサの中立点がずれても、そのずれの影響を受けることなく、車両走行方向の加速度を正確に検出し、この加速度の検出に基づいて横滑り防止の制御等を精度よく行うことができる。
【0076】
つぎに、請求項5、7に記載の発明によれば、中立点補償値を加算した加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を求めて出力することができ、しかも、ブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差を勾配に換算して路面の換算勾を求め、前記の推定勾配と換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により、走行中の車両の制動毎に、中立点補償値の補正値を求めて補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算し、車両の走行中に、中立点補償値を、加速度センサの中立点の最新のずれの補償値に自動的に書き換えることができる。
【0077】
したがって、加速度センサを用いて走行中の路面の勾配を推定する場合において、加速度センサの中立点のずれの補償を施す最適な構成を提供することができ、この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサの中立点がずれても、そのずれの影響を受けることなく、車両走行方向の加速度を正確に検出して路面の勾配を正確に推定することができ、この推定に基づいて追従走行制御の加速度制御等を精度よく行うことができる。
【0078】
つぎに、請求項2、4、6、8に記載の発明によれば、上記の所定の勾配推定演算及び所定の補正値演算の具体的な構成を提供することができ、極めて実用的な構成で加速度検出、路面の勾配推定が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の加速度検出装置のブロック図である。
【図2】図1の動作説明用のフローチャートである。
【図3】この発明の第2の実施形態の路面勾配推定装置のブロック図である。
【図4】図3の動作説明用のフローチャートである。
【図5】加速度センサを用いた路面勾配推定の説明図である。
【符号の説明】
5 加速度センサ
9 補償値保持部
10 加算器
11 加速度演算部
12 勾配演算部
13 ブレーキ液圧/加速度変換部
14 勾配換算部
17 補償値補正部
【発明の属する技術分野】
この発明は、加速度センサを用いた加速度検出装置及びその方法並びに路面勾配推定装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走行時の安定性向上等を図るため、車両にいわゆる横滑り防止装置を搭載し、車両に設けた縦方向(進行方向)、横方向の加速度センサ(Gセンサ)により、縦方向、横方向の加速度を検出して走行状態を監視し、この監視に基づく各車輪の加減速制御によって横滑りを防止することが行われている。
【0003】
なお、この出願の加速度は、いわゆる加速度と減速度との両方を含むものである。
【0004】
つぎに、車両の追従走行制御においては、加減速制御等に対する路面勾配の影響が重要な問題の1つになっており、この問題を解消するため、車両に加速度センサ(縦方向Gセンサ)を搭載し、このセンサを用いて路面勾配を推定することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この従来の路面勾配推定について、図5の路面勾配推定の説明図を参照して説明する。
【0006】
同図に示すように、例えば勾配θの路面1を走行する車両2に設けられた縦方向の加速度センサ3は、破線矢印イに示す路面1に平行な車両走行方向(前後方向)の検出加速度Gs(m/s2)が、実線矢印ロの重力加速度Gg(=9.8m/s2)の影響を受け、破線矢印ハに示す車両2の実加速度の成分と、実線矢印ニに示す重力加速度Gg(m/s2)の車両走行方向の成分との和になる。
【0007】
なお、車両2が進む方向を正方向とすると、加速度センサ3に作用する前記の実加速度の成分は負方向の加速度成分であり、重力加速度Ggの車両走行方向の成分は下向きであり、上りの走行中は実加速度の成分と同方向(負方向)、下りの走行中は実加速度の成分と逆方向(正方向)であり、図5は車両2の上り走行中の加速度状態を示す。
【0008】
一方、車両2の車輪速センサ(図示せず)の検出車速の時間変化から算出される車輪速側加速度WG(m/s2)は、いわゆる車輪速Gと呼ばれ、車両2の実加速度であり、図5の破線矢印ハの成分に相当する。
【0009】
そして、図5に示すように、重力加速度Ggの成分がGg×sinθになることから、路面1の勾配θは、加速度Gs、WGの差に基づき、つぎの(1)式の演算から算出して推定される。
【0010】
θ=sin−1{(Gs−WG)/Gg} (1)式
【0011】
ところで、加速度センサは、振り子型のセンサ、スプリングマスGセンサ等のいずれタイプのものであっても、中立点のずれの補償(ゼロ点補正)をしなければ、検出加速度に前記ずれの影響が含まれる。
【0012】
そして、従来の加速度検出及び路面勾配推定においては、前記の中立点のずれを予め補償した加速度センサを用いるものとし、中立点のずれの補償前には、加速度センサが使用不能状態であるとして、その出力を用いないようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開平11‐351864号公報 (第2−6頁、図1、図2)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加速度センサを用いた車両のこの種の加速度検出及び路面勾配推定において、前記の中立点のずれを補償する最適な構成は発明されていない。
【0015】
なお、加速度センサの車両搭載時や最初のエンジンスタート前に何らかの手法で加速度センサの中立点のずれを事前検出してその補償値を求めておき、以降は、この補償値を用いて車両走行中の加速度センサの出力を補償し、加速度センサの検出加速度が前記中立点のずれの影響を受けないようにすることが考えられるが、加速度センサは、車両搭載時だけでなく、人が乗り降りしたり、坂道でエンジンを再スタートしたりすると、その都度、中立点が変化してずれる。
【0016】
そのため、前記の事前検出の補償値を用いても加速度センサの検出加速度のずれを精度よく補償することはできず、加速度センサ用いた正確な加速度検出や路面勾配推定が行えない問題がある。
【0017】
本発明は、加速度センサを用いた加速度検出及び路面勾配推定において、加速度センサの中立点のずれを補償する最適な構成を提供し、正確な加速度検出や路面勾配推定が行えるようにすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明の加速度検出装置は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された前記加速度センサの中立点補償値を加算して出力する加速度出力手段と、
前記車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出する加速度演算手段と、
前記加速度出力手段の出力加速度と前記車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により路面の推定勾配を算出する勾配演算手段と、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換する加速度換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換する勾配換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換える補償値補正手段とを備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0019】
また、本発明の加速度検出方法は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された前記加速度センサの中立点補償値を加算して出力し、
前記車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出し、
前記中立点補償値を加算した前記検出加速度と、前記車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により路面の推定勾配を算出し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換し、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、
該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換えることを特徴としている(請求項3)。
【0020】
これらの構成によれば、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度が、補償値保持手段に保持された中立点補償値を加算して出力される。
【0021】
また、中立点補償値を加算した検出加速度に加速度センサの中立点のずれが含まれると、前記中立点補償値を加算した検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により求められた路面の推定勾配に、前記ずれの成分が出現する。
【0022】
一方、車両走行中に制動が発生すると、その制動のブレーキ圧が車両走行方向のブレーキ側加速度に換算されて変換され、このブレーキ側加速度は、重力の影響を含み、前記の中立点のずれがない状態の加速度センサの車両走行方向の検出加速度に相当する。
【0023】
さらに、車両の制動毎に、ブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差を勾配に換算して路面の換算勾配が求められ、この換算勾配には前記の中立点のずれの成分が含まれない。
【0024】
そして、車両の制動毎に、前記の推定勾配と換算勾配との差に基づく所定の補正値演算によて前記のずれの成分に相当する補正値が求められ、この補正値が補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算されることにより、この中立点補償値が、加速度センサの中立点のずれを補償する最新の値に書き換えられる。
【0025】
そのため、車両走行中に、加速度センサの中立点のずれの変化に応じて、加速度センサの検出加速度に加算される中立点補償値が自動的に書き換えられ、加速度センサの検出加速度に、そのセンサの中立点のずれの最適な補償が施される。
【0026】
この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等が行われる毎に加速度センサの中立点がずれても、そのずれの影響を受けることなく、車両走行方向の加速度が正確に検出される。
【0027】
つぎに、本発明の路面勾配推定装置は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、前記車両の検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を算出して出力する路面勾配推定装置であって、
前記検出加速度に加算される前記加速度センサの中立点補償値を保持する補償値保持手段と、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換する加速度換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換する勾配換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換える補償値補正手段とを備えたことを特徴としている(請求項5)。
【0028】
また、本発明の路面勾配推定方法は、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、前記車両の検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を算出して出力する路面勾配推定方法であって、
前記検出加速度に加算される前記加速度センサの中立点補償値を補償値保持手段に保持し、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換し、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、
該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換えることを特徴としている(請求項7)。
【0029】
これらの構成によれば、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された加速度センサの中立点補償値が加算され、この加算後の検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差から、路面の推定勾配が求められて出力される。
【0030】
このとき、中立点補償値を加算した検出加速度に加速度センサの中立点のずれが含まれていると、前記の推定勾配に前記のずれの成分が含まれる。
【0031】
一方、車両走行中に制動が発生すると、その制動のブレーキ圧が車両走行方向のブレーキ側加速度に換算されて変換され、このブレーキ側加速度は、重力加速度の影響を含み、前記の中立点のずれがない状態の加速度センサの車両走行方向の検出加速度に相当する。
【0032】
さらに、車両の制動毎にブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差の勾配換算によって路面の換算勾配が求められ、この換算勾配には前記の中立点のずれの成分が含まれない。
【0033】
さらに、車両の制動毎に、前記の推定勾配と換算勾配との差に基づく所定の補正値演算によって前記のずれの成分に相当する補正値が求められ、この補正値が補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算されることにより、この中立点補償値が、加速度センサの中立点のずれを補償する最新の値に書き換えられる。
【0034】
そのため、車両走行中に、加速度センサの中立点のずれの変化に応じて、加速度センサの検出加速度に加算される中立点補償値が自動的に書き換えられ、加速度センサの検出加速度に、そのセンサの中立点のずれの最適な補償が施される。
【0035】
そして、この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサの中立点のずれが発生しても、そのずれの影響を受けることなく、路面の推定勾配が正確に求められる。
【0036】
そして、上記の各所定の勾配推定演算が、θ=sin−1{(GS−WG)/Gg}、(θ:推定勾配、GS:中立点補償値が加算された検出加速度、WG:車輪速側加速度、Gg:重力加速度)の式の演算からなり、各所定の補正値演算が、δG=Gg×sin(θerr)、(δG:補正値、Gg:重力加速度、θerr:推定勾配と換算勾配との差)の式の演算からなることが、具体的であって実用的である(請求項2、4、6,8)。
【0037】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0038】
<第1の実施形態>
まず、加速度センサを用いた加速度検出の実施形態について、図1のブロック図及び図2のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
図1は車両に設けられた加速度検出装置4のブロック図であり、図中の加速度センサ5、車輪速センサ6、ブレーキアクチュエータ7を除く各部は、例えば車両の走行制御用のECU8のソフトウエア処理によって形成される。
【0040】
そして、車輪速センサ6、ブレーキアクチュエータ7は、いわゆる電子制御の車両が備える基本的なセンサである。
【0041】
また、加速度センサ5は、例えば横滑り防止装置のセンサとして車両に設けられたものであり、振り子型のセンサ、スプリングマスGセンサ等のいわゆる市販の汎用の加速度センサからなり、中立点のずれの補償(ゼロ点補正)を要する。
【0042】
そして、車両のエンジンスタートにより、そのイグニッションスイッチがオンすると、ECU8が図2のステップA1〜A9の加速度検出の補償・出力処理を実行する。
【0043】
ところで、エンジンスタート後の車両走行中は、その加減速に基づき、加速度センサ5が中立点のずれの誤差を含む車両走行方向(前後方向)の検出加速度Gss(m/s2)を出力する。
【0044】
そして、検出加速度Gssが周期的にECU8に取り込まれ、検出加速度GssがECU8に取り込まれる毎に、図2のステップA1が実行され、補償値保持手段を形成する書き換え自在の不揮発性メモリ構成の補償値保持部9の中立点補償値ΔG(m/s2)が、加速度出力手段誤を形成する加算器10により加算され、補償値ΔGを加算した後の検出加速度GS(m/s2)が装置4から出力される。
【0045】
つぎに、車輪速センサ6は、車輪の回転速度から車両の速度(車速)を検出し、この速度を検出速度V(m/s)として出力する。
【0046】
この検出速度VがECU8に取り込まれ、ECU8の加速度演算手段を形成する加速度演算部11が検出速度Vの時間変化から車輪速側加速度WGを算出する。
【0047】
さらに、加算器10の検出加速度GSと、加速度演算部11の車輪速側加速度WGとが、ECU8の勾配演算手段としての勾配演算部12に入力され、この演算部12は、ステップA2により、図5の推定勾配θを周期的に算出する。
【0048】
すなわち、図5の検出加速度Gsに対応する検出加速度GSは、実加速度である車輪速加速度WGの成分と、重力加速度Ggの成分とを含む車両走行方向(前後方向)の加速度である。
【0049】
また、車輪速加速度WG(車輪速G)は車輪速変化から算出された車両走行方向の加速度であって、重力加速度Ggの成分は含まず、検出加速度GSの重力加速度Ggの成分は図5のGg×sinθであって、GS=WG+Gg×sinθである。
【0050】
そのため、勾配演算部12は、前記(1)式と同様のつぎの(2)式の所定の勾配推定演算から推定勾配θを周期的に演算する。
【0051】
θ=sin−1{(GS−WG)/Gg} (2)式
【0052】
つぎに、人の乗り降りや、エンジンの再スタート等に基づく加速度センサ5の中立点のずれの変化に伴って前記の中立点補償値ΔGを補正するため、制動操作又は加減速制御によって車両の制動が発生すると、図2のステップA3からステップA4に移行し、ブレーキアクチュエータ7のブレーキ圧(ブレーキ液圧)の信号をECU8に取り込み、加速度換算手段を形成するブレーキ液圧/加速度変換部13により、その加速度換算テーブル(図示せず)に保持されたブレーキ液圧/加減速度の換算データに基づき、ブレーキ圧を対応するブレーキ側加速度Gmap(m/s2)に変換し、この加速度Gmapを出力する。
【0053】
なお、前記の加速度換算テーブルの換算データは、例えば種々のブレーキ液圧に対応する加減速度を実測し、この実測結果のブレーキ液圧毎の加減速度を不揮発性のメモリ等に予め書き込んで形成され、車種等毎に異なる。
【0054】
また、加速度センサ5の検出加速度Gssと無関係に得られたブレーキ側加速度Gmapは、検出加速度Gss、GSと同様、車輪速加速度WGの成分と、重力加速度Ggの成分とを含む車両走行方向の加速度であるが、加速度センサ5の中立点のずれの影響は受けない。
【0055】
つぎに、ブレーキ側加速度Gmapが得られると、図2のステップA4からステップA5に移行し、勾配換算部14の減算器15により加速度Gmap、WGの差Gerr(m/s2)を算出した後、ステップA6により、差Gerrを換算器16に取り込み、この換算器16の勾配換算テーブル(図示せず)に保持された加速度差/勾配の変換(換算)データに基づき、差Gerrを対応する路面勾配に変換して換算勾配θmapを生成する。
【0056】
なお、勾配換算部14が勾配換算手段を形成し、前記勾配換算テーブルの換算データは、例えば複数の路面勾配での加速度差Gerrを実測し、この実測結果の加速度差Gerr毎の勾配θを不揮発性のメモリ等に予め書き込んで形成され、車種等毎に異なる。
【0057】
また、加速度Gmap、WGが加速度センサ5の中立点のずれの影響を受けないため、換算勾配θmapは加速度センサ5の中立点のずれの成分(誤差)を含まない。
【0058】
つぎに、図2のステップA6からステップA7に移行し、車両の制動によって換算勾配θmapが生成される毎に、補償値補正部17の減算器18により、勾配演算部12の推定勾配θと勾配換算部14の換算勾配θmapとの差θerrを算出する。
【0059】
このとき、推定勾配θは加速度センサ5の中立点のずれの誤差を含み、換算勾配はそのずれの誤差を含まないため、差θerrは、中立点補償値ΔGの加算ではカバーできなかった誤差、換言すれば、中立点のその後のずれに相当する勾配誤差であり、ステップA8により、補償値補正手段を形成する補正値演算部19がつぎの(3)式の所定の補正値演算を実行し、差θerrを加速度に換算して補償値ΔGの補正値δG(m/s2)を算出する。
【0060】
δG=Gg×sin(θerr) (3)式
【0061】
さらに、ステップA9により、補正値演算部19が算出した補正値δGを補償値保持部9の中立点補償値ΔGに加算し、この補償値ΔGを、補正値δGを加減算した値に書き換える。
【0062】
この書き換えにより、補償値保持部9の中立点補償値ΔGは、走行中の車両の制動毎に、加速度センサ5の中立点のずれの変化に応じて自動的に書き換えられて更新される。
【0063】
そのため、加算器10における補正後の中立点補償値ΔGの加算により、検出加速度Gssに加速度センサ5の中立点のずれの最適な補償が施され、加速度センサ5の中立点のずれの誤差を含まない検出加速度GSが加速度検出装置4から出力され、加速度センサ5の中立点のずれを補償する最適な構成を提供することができる。
【0064】
そして、この最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサ5の中立点がずれても、検出加速度GSはその影響を受けることがなく、走行中の車両の加速度が検出加速度GSによって正確に検出され、この検出加速度GSに基づいて横滑り防止の制御等が精度よく行える。
【0065】
<第2の実施形態>
つぎに、加速度センサを用いた路面勾配推定の実施形態について、図3のブロック図及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
図3は車両に設けられた路面勾配推定装置20のブロック図であり、この装置20が図1の加速度検出装置4と異なる点は、図1のECU8に相当するECU21が、図4のステップB1〜B10の勾配推定の補償・出力処理を実行し、加算器10の補償後の検出加速度GSに代えて、勾配演算部12の推定勾配θを、装置20から出力する点である。
【0067】
そして、ECU21の各部9〜19は図1の場合と同様に動作し、補償値保持部9、ブレーキ液圧/加速度変換部13、勾配換算部14、補正値補正部17が、補償値保持手段、加速度換算手段、勾配換算手段、補償値補正手段を形成する。
【0068】
また、図4のフローチャートにおいて、ステップB1〜B9は図2のステップA1〜A9に相当し、図2と異なる点は、ステップA1に対応するステップB1により、加算器10の加算によって中立点の補償が施された検出加速度GSを生成し、この検出加速度GSを装置20から出力しないでステップB2に移行する点と、ステップB2とステップB3との間に設けたステップB10により、ステップB2で算出した推定勾配θを装置20から出力する点である。
【0069】
なお、残りのステップB2〜B9においては、図2のステップA2〜A9と同一の処理が行われる。
【0070】
そして、この勾配推定装置20においても、補償値保持部9の中立点補償値ΔGは、走行中の車両の制動毎に、加速度センサ5の中立点のずれの変化に応じて自動的に書き換えられて更新される。
【0071】
そのため、加速度センサ5の検出加速度Gssに、その中立点のずれの最適な補償が施され、この最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサ5の中立点がずれても、検出加速度GSはその影響を受けることがなく、走行中の車両の加速度が検出加速度GSによって正確に検出され、この検出加速度GSに基づく推定勾配θから、加速度センサ5の中立点のずれの影響を受けることなく、走行中の路面の勾配を正確に推定することができ、この推定に基づいて、追従走行の加減速制御等が精度よく行える。
【0072】
ところで、この路面勾配推定装置20を加速度検出装置としても用いる場合は、図3の破線の矢印線に示すように、加算器10の補償後の検出加速度GSも装置20から出力すればよく、同様にして、図1の加速度検出装置4を路面勾配推定装置として用いることもできる。
【0073】
そして、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、図2、図4の処理手順が前記両実施形態と異なっていてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、請求項1、3に記載の発明によれば、車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された加速度センサの中立点補償値を加算して出力することができ、しかも、中立点補償値を加算した検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算によって路面の推定勾配を求め、ブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差を勾配に換算して路面の換算勾配を求め、両勾配の差に基づく所定の補正値演算により、走行中の車両の制動毎に、中立点補償値の補正値を求めて補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算し、車両の走行中に、中立点補償値を、加速度センサの中立点の最新のずれの補償値に自動的に書き換えることができる。
【0075】
したがって、加速度センサを用いて走行中の車両の加速度を検出する場合において、加速度センサの中立点のずれの補償を施す最適な構成を提供することができ、この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサの中立点がずれても、そのずれの影響を受けることなく、車両走行方向の加速度を正確に検出し、この加速度の検出に基づいて横滑り防止の制御等を精度よく行うことができる。
【0076】
つぎに、請求項5、7に記載の発明によれば、中立点補償値を加算した加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、車輪速センサの検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を求めて出力することができ、しかも、ブレーキ側加速度と車輪速側加速度との差を勾配に換算して路面の換算勾を求め、前記の推定勾配と換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により、走行中の車両の制動毎に、中立点補償値の補正値を求めて補償値保持手段に保持された中立点補償値に加算し、車両の走行中に、中立点補償値を、加速度センサの中立点の最新のずれの補償値に自動的に書き換えることができる。
【0077】
したがって、加速度センサを用いて走行中の路面の勾配を推定する場合において、加速度センサの中立点のずれの補償を施す最適な構成を提供することができ、この中立点のずれの最適な補償に基づき、人の乗り降りやエンジンの再スタート等によって加速度センサの中立点がずれても、そのずれの影響を受けることなく、車両走行方向の加速度を正確に検出して路面の勾配を正確に推定することができ、この推定に基づいて追従走行制御の加速度制御等を精度よく行うことができる。
【0078】
つぎに、請求項2、4、6、8に記載の発明によれば、上記の所定の勾配推定演算及び所定の補正値演算の具体的な構成を提供することができ、極めて実用的な構成で加速度検出、路面の勾配推定が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態の加速度検出装置のブロック図である。
【図2】図1の動作説明用のフローチャートである。
【図3】この発明の第2の実施形態の路面勾配推定装置のブロック図である。
【図4】図3の動作説明用のフローチャートである。
【図5】加速度センサを用いた路面勾配推定の説明図である。
【符号の説明】
5 加速度センサ
9 補償値保持部
10 加算器
11 加速度演算部
12 勾配演算部
13 ブレーキ液圧/加速度変換部
14 勾配換算部
17 補償値補正部
Claims (8)
- 車両に設けられた加速度センサにより車両走行方向の加速度を検出する加速度検出装置であって、
前記加速度センサの前記車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された前記加速度センサの中立点補償値を加算して出力する加速度出力手段と、
前記車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出する加速度演算手段と、
前記加速度出力手段の出力加速度と前記車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により路面の推定勾配を算出する勾配演算手段と、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換する加速度換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換する勾配換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換える補償値補正手段とを備えたことを特徴とする加速度検出装置。 - 所定の勾配推定演算が、θ=sin−1{(GS−WG)/Gg}、(θ:推定勾配、GS:中立点補償値が加算された検出加速度、WG:車輪速側加速度、Gg:重力加速度)の式の演算からなり、所定の補正値演算が、δG=Gg×sin(θerr)、(δG:補正値、Gg:重力加速度、θerr:推定勾配と換算勾配との差)の式の演算からなることを特徴とする請求項1に記載の加速度検出装置。
- 車両に設けられた加速度センサにより車両走行方向の加速度を検出する加速度検出方法であって、
前記加速度センサの前記車両走行方向の検出加速度に、補償値保持手段に保持された前記加速度センサの中立点補償値を加算して出力し、
前記車両の検出車速の変化から車輪速側加速度を算出し、
前記中立点補償値を加算した前記検出加速度と、前記車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により路面の推定勾配を算出し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換し、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、
該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換えることを特徴とする加速度検出方法。 - 所定の勾配推定演算が、θ=sin−1{(GS−WG)/Gg}、(θ:推定勾配、GS:中立点補償値が加算された検出加速度、WG:車輪速側加速度、Gg:重力加速度)の式の演算からなり、所定の補正値演算が、δG=Gg×sin(θerr)、(δG:補正値、Gg:重力加速度、θerr:推定勾配と換算勾配との差)の式の演算からなることを特徴とする請求項3に記載の加速度検出方法。
- 車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、前記車両の検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を算出して出力する路面勾配推定装置であって、
前記検出加速度に加算される前記加速度センサの中立点補償値を保持する補償値保持手段と、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換する加速度換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換する勾配換算手段と、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換える補償値補正手段とを備えたことを特徴とする路面勾配推定装置。 - 所定の勾配推定演算が、θ=sin−1{(GS−WG)/Gg}、(θ:推定勾配、GS:中立点補償値が加算された検出加速度、WG:車輪速側加速度、Gg:重力加速度)の式の演算からなり、所定の補正値演算が、δG=Gg×sin(θerr)、(δG:補正値、Gg:重力加速度、θerr:推定勾配と換算勾配との差)の式の演算からなることを特徴とする請求項5に記載の路面勾配推定装置。
- 車両に設けられた加速度センサの車両走行方向の検出加速度と、前記車両の検出車速の変化から算出された車輪速側加速度との差に基づく所定の勾配推定演算により、路面の推定勾配を算出して出力する路面勾配推定方法であって、
前記検出加速度に加算される前記加速度センサの中立点補償値を補償値保持手段に保持し、
前記車両の制動毎に、前記車両のブレーキ圧を前記車両走行方向のブレーキ側加速度に変換し、
前記車両の制動毎に、前記ブレーキ側加速度と前記車輪速側加速度との差を路面の換算勾配に変換し、
前記車両の制動毎に、前記推定勾配と前記換算勾配との差に基づく所定の補正値演算により前記中立点補償値の補正値を算出し、
該補正値を前記補償値保持手段の保持値に加算して前記中立点補償値を書き換えることを特徴とする路面勾配推定方法。 - 所定の勾配推定演算が、θ=sin−1{(GS−WG)/Gg}、(θ:推定勾配、GS:中立点補償値が加算された検出加速度、WG:車輪速側加速度、Gg:重力加速度)の式の演算からなり、所定の補正値演算が、δG=Gg×sin(θerr)、(δG:補正値、Gg:重力加速度、θerr:推定勾配と換算勾配との差)の式の演算からなることを特徴とする請求項7に記載の路面勾配推定方法。
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