JP2004322815A - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】左右一対のビード部3,3間に複数本のスチールコードをタイヤ径方向に配列してなるカーカス層4を装架し、該カーカス層4の端部をビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げると共に、該ビードコア5の周囲にカバーゴム層6を被覆した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、カバーゴム層6を、ジエン系ゴム100重量部に対して、5重量部以上の硫黄と、コバルト元素として0.05〜0.5重量部の有機酸コバルト塩を配合したゴム組成物から構成する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーカス層にスチールコードを用いた重荷重用空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、ビードコア近傍でのカーカスコードの接着性を十分に確保し、ビード部の耐久性を向上するようにした重荷重用空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
左右一対のビード部間に複数本のスチールコードをタイヤ径方向に配列してなるカーカス層を装架し、該カーカス層の端部をビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げた重荷重用空気入りラジアルタイヤは、成形工程でのカーカス層の巻き上げや加硫初期のゴム流れにより、ビードコアとカーカス層との間のゴムゲージが大幅に減少する傾向がある。特に、カーカス層のコートゴムのゲージが減少すると、スチールコードとゴムとの初期接着性が低下するばかりでなく、タイヤの使用中及び保管中の水分浸透による接着性の低下を生じ易くなり、ビード廻りに外傷を受けて水分が浸入した場合には接着性の低下が更に顕著になる。最悪の場合には、上記のような接着不良部を起点として、ビード部に埋設された補強層が剥離したり、カーカスコードが破断するなどの致命的な故障に繋がり、ビード部の耐久性が極端に低下するという問題があった。
【0003】
これに対して、ビードコアとカーカス層との間のゴムゲージを未加硫状態で厚く設定することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ビードコアとカーカス層との間のゴムゲージを厚く設定した場合、ゴムゲージの目減りに起因するコード破断等の故障は防止することが可能であるものの、ビードコア近傍でのカーカスコードの接着性を改善する効果は得られないので、ビード部の耐久性が必ずしも十分ではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−193928号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ビードコア近傍でのカーカスコードの接着性を十分に確保し、ビード部の耐久性を向上することを可能にした重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、左右一対のビード部間に複数本のスチールコードをタイヤ径方向に配列してなるカーカス層を装架し、該カーカス層の端部をビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げると共に、該ビードコアの周囲にカバーゴム層を被覆した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カバーゴム層を、ジエン系ゴム100重量部に対して、5重量部以上の硫黄と、コバルト元素として0.05〜0.5重量部の有機酸コバルト塩を配合したゴム組成物から構成したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明者等は、上記問題の対策として、ビードコアの周囲に被覆されるカバーゴム層に着目し、このカバーゴム層に、硫黄の配合量が多くかつ有機酸コバルト塩を配合した接着系コンパウンドを使用するようにしたのである。このようにビードコアのカバーゴム層に接着系コンパウンドを使用した場合、ビードコア廻りでゴム流れを生じても、カーカス層及びカバーゴム層の双方の接着系コンパウンドでカーカスコードを被覆することができる。従って、ビードコア近傍でのカーカスコードの初期接着性及び耐水接着性を十分に確保することができ、その結果として、ビード部に埋設された補強層の剥離やカーカスコードの破断などを防止し、ビード部の耐久性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の実施形態からなる重荷重用空気入りラジアルタイヤを示し、図2はそのカーカス層を拡大して示し、図3はそのビード部を拡大して示すものである。図において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。
【0010】
図1に示すように、左右一対のビード部3,3間には、複数本のカーカスコードをタイヤ径方向に配列してなるカーカス層4が装架され、そのカーカス層4のタイヤ幅方向の端部がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられている。カーカス層4は、図2に示すように、カーカスコード4aとカーカスコートゴム層4bとから構成されている。このカーカスコード4aには、スチールコードが使用されている。また、カーカスコートゴム層4bのゴム組成物としては、接着系コンパウンドが使用されている。
【0011】
図3に示すように、ビードコア5はインシュレーションゴムを被覆した少なくとも1本のビードワイヤ5aを層状に巻回した構造を有し、主としてワイヤ間にはインシュレーションゴム層5bが形成されている。これらビードワイヤ5a及びインシュレーションゴム層5bからなるビードコア5は、カバーゴム層6によって被覆されている。そのため、ビードワイヤ5aとカーカスコード4aとの間には、インシュレーションゴム層5b、カバーゴム層6及びカーカスコートゴム層4bが介在している。
【0012】
ビードコア5の外周上には、硬質ゴムからなるビードフィラー7が配置されている。更に、ビード部3には、複数本の補強コードを引き揃えてなる補強層8がカーカス層4を包み込むように埋設されている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、複数本の補強コードを引き揃えてなる複数のベルト層9が埋設されている。
【0013】
上述したカバーゴム層6は、通常、ビードワイヤ5aの結束性を高めるために被覆するものであるが、ここでは、カバーゴム層6のゴム組成物として、ジエン系ゴム100重量部に対して、5重量部以上の硫黄と、コバルト元素として0.05〜0.5重量部の有機酸コバルト塩を配合したゴム組成物が使用されている。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム又はブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等の合成ゴムを使用することができる。有機酸コバルト塩としては、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレイン酸コバルト等を使用することができる。更に、上記ゴム組成物には、カーボンブラック、無機充填剤、オイル、樹脂、老化防止剤、加硫剤等の配合剤を添加することができ、その配合剤が特に限定されるものではない。
【0014】
上記規定を満足する限りにおいて、カバーゴム層6の配合とカーカスコートゴム層4b又はインシュレーションゴム層5bの配合とが同一であっても構わない。カバーゴム層6の厚さは、接着性の改善効果を十分に得るために、0.3〜2.0mmにすると良い。
【0015】
このようにカバーゴム層6に、硫黄の配合量が多くかつ有機酸コバルト塩を配合した接着系コンパウンドを使用することにより、ビードコア5の廻りでゴム流れを生じても、カーカス層4及びカバーゴム層6の双方の接着系コンパウンドでカーカスコード4aを被覆することができる。つまり、ゴム流れに起因してカーカスコード4aからカーカスコートゴム層4bが離脱しても、そこにはカバーゴム層6が確実に存在するのである。従って、ビードコア5の近傍でのカーカスコード4aの初期接着性及び耐水接着性を十分に確保することができる。その結果、ビード部4に埋設された補強層8の剥離やカーカスコード4aの破断などを防止し、ビード部の耐久性を向上することができる。
【0016】
ここで、カバーゴム層6のゴム組成物において、ジエン系ゴム100重量部に対する硫黄の配合量が5重量部未満であると、カーカスコード4aの初期接着性の改善効果が不十分になる。但し、硫黄の配合量の上限値は35重量部とすることが望ましい。また、カバーゴム層6のゴム組成物において、ジエン系ゴム100重量部に対する有機酸コバルト塩の配合量がコバルト元素として0.05重量部未満であると、初期接着性及び耐水接着性の改善効果が不十分になり、逆に0.5重量部を超えると、むしろ接着性が悪化する。
【0017】
ところで、カーカスコートゴム層4bを厚くすれば、カーカスコード4aの初期接着性及び耐水接着性を改善することが可能である。しかしながら、カーカスコートゴム層4bを部分的に厚くすることは製造上困難であり、またカーカスコートゴム層4bをタイヤ全体にわたって厚くすると重量増加を招くことになる。これに対して、上述のようにカバーゴム層6に接着系コンパウンドを採用すれば、重量増加を招くことなく、カーカスコード4aの初期接着性及び耐水接着性を改善することができる。
【0018】
【実施例】
タイヤサイズ11R22.5のリブパターンを有する重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、ビードコアの周囲に被覆するカバーゴム層の配合を表1のように種々異ならせた従来例、実施例及び比較例1〜3をそれぞれ製作した。
【0019】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、初期接着性、耐水接着性、ビード部の耐久性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0020】
初期接着性:
ASTM D2229に準拠して、温度170℃、加硫時間20分の条件でスチールコードとカバーゴム層のゴム組成物とからなるサンプルを作製し、このサンプルについてコード引き抜き試験を行い、引き抜かれたコードにおけるゴム被覆率(%)を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど初期接着性が優れていることを意味する。
【0021】
耐水接着性:
ASTM D2229に準拠して、温度170℃、加硫時間20分の条件でスチールコードとカバーゴム層のゴム組成物とからなるサンプルを作製し、このサンプルを温度70℃の温水中に4週間浸漬した後、コード引き抜き試験を行い、引き抜かれたコードにおけるゴム被覆率(%)を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐水接着性が優れていることを意味する。
【0022】
ビード部の耐久性:
試験タイヤをリムサイズ22.5×7.50のリムに組み付けて空気圧0.94MPaでインフレートし、ドラム試験機において、荷重51kN、速度45km/hの条件で、ビード部が破壊するまでの走行距離を測定した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどビード部の耐久性が優れていることを意味する。但し、この試験は従来例及び実施例だけに対して行った。
【0023】
【表1】
この表1から判るように、実施例のタイヤは従来例に比べて初期接着性及び耐水接着性が優れ、その結果、ビード部の耐久性が優れていた。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、ビードコアの周囲に被覆されるカバーゴム層を、ジエン系ゴム100重量部に対して、5重量部以上の硫黄と、コバルト元素として0.05〜0.5重量部の有機酸コバルト塩を配合したゴム組成物から構成したから、ビードコア近傍でのカーカスコードの接着性を十分に確保し、ビード部の耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる重荷重用空気入りラジアルタイヤを示す半断面図である。
【図2】本発明の実施形態からなる重荷重用空気入りラジアルタイヤのカーカス層を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態からなる重荷重用空気入りラジアルタイヤのビード部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
4a カーカスコード
4b カーカスコートゴム層
5 ビードコア
5a ビードワイヤ
5b インシュレーションゴム層
6 カバーゴム層
7 ビードフィラー
8 補強層
9 ベルト層
Claims (1)
- 左右一対のビード部間に複数本のスチールコードをタイヤ径方向に配列してなるカーカス層を装架し、該カーカス層の端部をビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げると共に、該ビードコアの周囲にカバーゴム層を被覆した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カバーゴム層を、ジエン系ゴム100重量部に対して、5重量部以上の硫黄と、コバルト元素として0.05〜0.5重量部の有機酸コバルト塩を配合したゴム組成物から構成した重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
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JP2003119657A JP4465978B2 (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 重荷重用空気入りラジアルタイヤ |
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JP2008265563A (ja) * | 2007-04-20 | 2008-11-06 | Bridgestone Corp | 航空機用空気入りタイヤ |
US20140000791A1 (en) * | 2006-10-16 | 2014-01-02 | Pirelli Tyre S.P.A. | Process for manufacturing a type and tyre bead structure |
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- 2003-04-24 JP JP2003119657A patent/JP4465978B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US10766218B2 (en) * | 2006-10-16 | 2020-09-08 | Pirelli Tyre S.P.A. | Process for manufacturing a type and tyre bead structure |
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