JP2004322783A - 重荷重用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

重荷重用空気入りラジアルタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤの偏平化を進めてもベルト層間のセパレーションを招くことがなく、ベルト層端部のセパレーションを抑制するようにした、特に偏平率が80以下の偏平タイヤに好適な重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部1におけるカーカス層2の外周にタイヤ周方向に対するコード角度が40〜60°のスチールコードからなる第一ベルト層1Bを配置し、該第一ベルト層1Bの外周にタイヤ周方向に対するコード角度が10〜30°のスチールコードからなる少なくとも二層の第二及び第三ベルト層2B、3Bを配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、第一ベルト層1Bと第二ベルト層2Bとの間に、タイヤ周方向に対するコード角度が5°以下のスチールコードからなる補強層5を挿入し、該補強層5を幅方向の中央部において第二ベルト層の幅W0の30〜50%の間隔W1で分断すると共に、幅方向の両端部をそれぞれ第二ベルト層2Bのエッジ部を覆うようにトレッド部1側に折り返す。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重荷重用空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤを偏平化した場合でもベルト層の端部からの剥離を抑制して耐久性を向上させた、特に偏平率が80以下のタイヤに好適な重荷重用空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
重荷重用空気入りラジアルタイヤは乗用車用タイヤに比べて大きな空気圧を充填するためベルト層端部付近でのせり上がりが大きく、これがベルト層端部のセパレーションを起こしやすい原因になっている。近年、重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいても偏平化が進んでおり、この偏平化が進むとベルト層に対する負荷が一層増加するため、上記セパレーションが一層発生しやすくなる。
【0003】
すなわち、一般に重荷重用空気入りラジアルタイヤはスチールコードからなるベルト層が3層以上も配置されて高剛性になっているため、図4に示すように、タイヤ内圧の充填によりベルト中央部を除くサイドウォール部W及びショルダー部Sが平衡プロファイル形状に近づこうと矢印方向に変形するため、トレッド中央部で変形を抑制されたベルトエッジ部Bは径を増大させる方向に動く。この状態でタイヤを走行させるとタイヤの接地形状が、図5に例示するように両ショルダー部Sの接地面積が大きくなりタイヤの進行方向に突出した形状になる。
【0004】
したがって、ベルトエッジ部Bに局部的にせん断応力が発生し、これにタイヤ走行時の遠心力により生ずるせん断応力が累加されてベルトエッジ部Bにセパレーションが発生しやすくなるのである。
【0005】
かかる問題の対策として、ベルト層のスチールコードをタイヤ周方向に波形又はジグザグ状に配置して、コード端部をベルト層端部に配置しないようにした重荷重用空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−81707号公報(第1−6頁、図1、4−8)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案では成形加硫操作でベルト層を半径方向にリフトしてもスチールコードを完全にストレート状に伸ばすことが難しく、加硫後もウェーブ状になって残留するため、タイヤ走行時の遠心力によってベルト層間にタイヤ幅方向のせん断変形が発生し、ベルト層間のセパレーションを招きやすいという欠点がある。
【0008】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、タイヤの偏平化を進めてもベルト層間のセパレーションを招くことがなく、ベルト層端部のセパレーションを抑制するようにした、特に偏平率が80以下の偏平タイヤに好適な重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、トレッド部におけるカーカス層の外周にタイヤ周方向に対するコード角度が40〜60°のスチールコードからなる第一ベルト層を配置し、該第一ベルト層の外周にタイヤ周方向に対するコード角度が10〜30°のスチールコードからなる少なくとも二層の第二及び第三ベルト層を配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記第一ベルト層と第二ベルト層との間に、タイヤ周方向に対するコード角度が5°以下のスチールコードからなる補強層を挿入し、該補強層を幅方向の中央部において前記第二ベルト層の幅の30〜50%の間隔で分断すると共に、幅方向両端部を前記第二ベルト層のエッジ部を覆うようにタイヤトレッド部側に折り返したことを特徴とする。
【0010】
このように、第一ベルト層と第二ベルト層との間に、タイヤ周方向に対するコード角度が5°以下のスチールコードからなる補強層を配置するにあたり、その補強層をタイヤ幅方向の中央部で分離して間隔を隔てるように配置し、かつ両端部でそれぞれ第二ベルト層の両端部を覆うようにしたので、ベルト層の中央部では層間のセパレーションを抑制し、かつベルト層端部ではせり上がりを抑制し、ベルト層端部におけるセパレーションを抑制することを可能にする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成につき添付の図面を参照しながら詳細に説明する。各図において共通する構成については同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0012】
図1は本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのトレッド部の一例を示す断面図である。1はトレッド部、2はカーカス層、1Bは第一ベルト層、2Bは第二ベルト層、3Bは第三ベルト層、4Bは第四ベルト層、5は補強層をそれぞれ示している。
【0013】
タイヤトレッド部1におけるカーカス層2の外周には、タイヤ周方向に対するコード角度が40〜60°のスチールコードからなる第一ベルト層1Bを配置し、該第一ベルト層1Bの外周に、テンションメンバーとして、同じスチールコードからなる第二ベルト層2B及び第三ベルト層3Bを配置している。第二ベルト層2B及び第三ベルト層3Bのスチールコードのタイヤ周方向に対するコード角度は10〜30°であり、かつ層間で互いに交差するように配置されている。第三ベルト層3Bの外周には、各ベルト層の外部からの損傷を防護する役割を果たす第四ベルト層4Bを配置している。第四ベルト層4Bもスチールコードから構成され、タイヤ周方向に対するコード角度を10〜30°としている。
【0014】
補強層5は、第一ベルト層1Bと第二ベルト層2Bとの間に配置され、かつタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配列したスチールコードからなる。この補強層5はタイヤ幅方向の中央部において間隔W1を隔てて分断され、かつ両端部がそれぞれ第二ベルト層2Bの幅方向両端部を覆うようにトレッド部1側に折り返されている。このようにトレッド部1側に折り返された補強層5の端部は、図2に示すように、第二ベルト層2Bと第四ベルト層4Bとに挟持され、その端末5aが第三ベルト層3Bの端末3Baとの間に間隔を空けるか又は間隔なしに突き合わせて配置される。このように補強層5をトレッド部1の中央で間隔W1を開けるように分断させることにより、ベルト層の中央部における層間セパレーションを抑制することができる。また、補強層5がトレッド部端部でのせり上がりを抑制すると共に、その両端部が第二ベルト層2Bの端部を覆うことでエッジセパレーションを抑制することができる。
【0015】
トレッド中央部で分断された補強層5の間隔W1は、第二ベルト層2Bの幅W0の30〜50%に設定される。間隔W1が第二ベルト層2Bの幅W0の30%未満ではタイヤセンター部の座屈に伴い耐ベルト剥離性が低下し、50%超ではタイヤ進行方向の接地長不足によりショルダー部領域の面圧集中が発生しショルダー部摩耗が進行する。
【0016】
また、補強層5は、上述のようにスチールコードをタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配列するようにしているので、タイヤ成形加硫時のリフトを許容するため、スチールコードとして相対伸びが7〜8%に調整されたものを使用することが好ましい。しかしながら、相対伸びが2%以下の通常のスチールコードを使用する場合には、図3(a)や図3(b)のように、長手方向に所定間に分離することが好ましい。
【0017】
すなわち、図3(a)又は(b)に例示するように、補強層5をタイヤ周方向に複数に分断して配置する。図3(a)では補強層5を幅方向に連続させて周方向に長さL1に分断した場合を示し、図3(b)では補強層5を幅方向に2列に分けてそれぞれを周方向に長さL1に分断した場合を示している。長さL1は特に限定されないが、好ましくはタイヤ外径L0の1.5〜4.0%の範囲にすることが好ましい。長さL1がタイヤ外径L0の1.5%未満ではタイヤの外径成長を抑えることが難しく、また4.0%より長いとベルト層間のセパレーション抑制作用が低下する。なお、分断した各補強層5の周方向の間隔は、成形作業を阻害しない範囲で小さくすることが好ましい。
【0018】
また、上記第二ベルト層2Bは、そのコートゴムを100%モジュラスが3.5〜6.5MPaのゴムで構成すると共に、補強層5の折り返し部に覆われる部分の厚さを第二ベルト層2Bを構成するスチールコードの径の1.5倍以上とすることが好ましい。被覆ゴムの100%モジュラスが3.5MPa未満では第二ベルト層2Bの端部の動きを抑えきれずにセパレーションが発生しやすくなり、6.5MPa超では補強層3の折り返し端末3aでの第二ベルト層2Bとの間にセパレーションが発生しやすくなる。また、補強層5の折り返し部で覆われたコートゴムの厚さが第二ベルト層2Bを構成するスチールコードの径の1.5倍未満では第二ベルト層2Bの端部からセパレーションが発生しやすくなる。
【0019】
上述した本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは偏平率の如何に拘らず有効であるが、特にベルト層端部付近でのせり上がりの割合が大きい偏平率80以下のタイヤに好ましく適用される。
【0020】
【実験例】
タイヤサイズを435/45R22.5とし、図1に示す補強層5の有無及び形態を除く全ての仕様を共通として、補強層を挿入しない従来タイヤ(従来例)及び補強層の分断幅を表1のように異ならせた実験タイヤ(実施例1、2及び比較例1,2)を製作した。なお、補強層には相対伸びが2%のスチールコードを使用し、長手方向におけるL1/L0の比率を3.0%として共通にした。
【0021】
上記5種類のタイヤをリム(22.5X14.00)に装着し、空気圧(900KPa)を充填して、ベルトセパ耐久性とエッジセパ性を測定し、それぞれを従来例を100とする指数により表1に記載した。数値が大きいほど優れていることを示している。
【0022】
〔ベルトセパ耐久性及びエッジセパ性の評価方法〕
室内ドラム走行試験(速度:45km/h、負荷荷重:正規荷重の140%)によりタイヤが破壊に至るまでの走行距離を測定すると共に、破壊したタイヤを解体してエッジセパの長さを測定した。
【0023】
【表1】
Figure 2004322783
表1より、実施例1,2は従来例に比してベルトセパ耐久性及びエッジセパ性に優れていることを確認した。
【0024】
【発明の効果】
上述したように、本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤは、第一ベルト層と第二ベルト層との間に、タイヤ周方向に対するコード角度が5°以下のスチールコードからなる補強層を配置するに当り、その補強層をタイヤ幅方向の中央部で分離し間隔を隔てるように配置し、かつ両端部でそれぞれ第二ベルト層の両端部を覆うようにしたので、ベルト層の中央部では層間のセパレーションを抑制し、かつベルト層端部ではせり上がりを抑制してベルト層端部におけるセパレーションを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重荷重用空気入りラジアルタイヤのトレッド部の一例を示す断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】(a)及び(b)は補強層の形態の一例を示す平面図である。
【図4】従来の重荷重用空気入りラジアルタイヤの変形状態を説明するためのタイヤの半断面図である。
【図5】図4のタイヤの接地形状を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 トレッド部
2 カーカス層
5 補強層
1B 第一ベルト層
2B 第二一ベルト層
3B 第三ベルト層
4B 第四ベルト層

Claims (4)

  1. トレッド部におけるカーカス層の外周にタイヤ周方向に対するコード角度が40〜60°のスチールコードからなる第一ベルト層を配置し、該第一ベルト層の外周にタイヤ周方向に対するコード角度が10〜30°のスチールコードからなる少なくとも二層の第二及び第三ベルト層を配置した重荷重用空気入りラジアルタイヤにおいて、
    前記第一ベルト層と第二ベルト層との間に、タイヤ周方向に対するコード角度が5°以下のスチールコードからなる補強層を挿入し、該補強層を幅方向の中央部において前記第二ベルト層の幅の30〜50%の間隔で分断すると共に、幅方向両端部を前記第二ベルト層のエッジ部を覆うようにタイヤトレッド部側に折り返した重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記補強層をタイヤ周方向にタイヤ外径の1.5〜4.0%の長さに分断した請求項1に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記第二ベルト層のカバーゴムを、100%モジュラスを3.5〜6.5MPaにすると共に、前記補強層の折り返し部で覆われた部分の厚みを該第二ベルト層を構成するスチールコードの径の1.5倍以上にした請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記重荷重用空気入りラジアルタイヤの偏平率が80以下である請求項1、2又は3に記載の重荷重用空気入りラジアルタイヤ。
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