JP2004322493A - 可逆感熱媒体の情報消去装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】「消色温度領域」に達するまでの時間を短縮して消去時間を短くでき、必要とする電源容量が小さく、感熱媒体の変形や劣化を低減でき、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる可逆感熱媒体の情報消去装置及び方法を提供する。
【解決手段】棒状の連続発光光源12と集光光学系14と走査機構16とを備え、光1を線状光2に集光し、その幅方向に感熱媒体3上を走査する。
【選択図】 図1
【解決手段】棒状の連続発光光源12と集光光学系14と走査機構16とを備え、光1を線状光2に集光し、その幅方向に感熱媒体3上を走査する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆感熱媒体の情報書換装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可逆性感熱記録材料を用いた可逆感熱紙として、例えば、電子供与性染料前駆体を用いたロイコ系リライタブル感熱紙が開発されている。電子供与性染料前駆体は、図6に示すように、酸性雰囲気下で分子内のラクトン環が開環することにより発色し、酸性雰囲気を取り除くとラクトン環が閉環し無色の状態に戻るものである。ロイコ系リライタブル感熱紙はこの電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤を組み合わせたものであり、可逆顕色剤とは電子供与性染料前駆体と反応して発色・消色の可逆性を発現するものである。可逆顕色剤には、例えば長鎖アルキル基をもつフェノール系化合物等が用いられる。
【0003】
図7は発色・消色のモデル図である。この図に示すように、消色状態(左下)の電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤を加熱すると両者は溶融して発色状態(上)となり、これを急冷すると溶融状態に近い状態で固化し固体発色状態(右下)が保持される。逆に溶融状態から徐冷すると電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤が消色状態に戻る。従って、溶融後の急冷又は徐冷により、発色又は消色を可逆的に行うことができる。また、固体発色状態のものを溶融温度よりもやや低い温度領域で一定時間保持することにより、元の消色状態に遷移させることもできる。
【0004】
図8は、可逆感熱紙の特性説明図である。この図において、横軸は温度、縦軸は発色濃度を示している。この図に矢印で示すように、消色状態(A)の可逆感熱記録層(例えば電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤からなる)を加熱すると両者は溶融して発色状態(B)となり、これを急冷すると溶融状態に近い状態で固化し固体発色状態(C)が保持される。逆に溶融状態(B)から徐冷すると電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤が相分離して元の消色状態(A)に戻る。
また、固体発色状態(C)において、溶融状態よりもやや低い温度領域で一定時間保持すると、元の消色状態(A)に遷移する性質がある。この温度領域(溶融温度よりもやや低い温度領域)を「消色温度領域」と呼ぶ。
【0005】
上述した可逆感熱媒体の情報消去手段として、例えば、特許文献1が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−267797号公報
【0007】
[特許文献1]の「レーザ記録方法及びレーザ記録装置」は、図9に示すように、温度に依存し光学濃度が変化し、かつ可逆的に記録及び消去が可能な感熱記録材料と、露光時に熱を発生する光吸収熱変換材料とをそれぞれ単独層を構成、若しくは上記感熱記録材料と上記光吸収熱変換材料とを混合してなる層から構成される書換え可能な感熱記録媒体51に対し、消去時には前記感熱記録材料の消去温度に対応するフラッシュ光52を所定面積内に照射し画像の消去を行い、記録時には記録温度に対応した強度変調してなるレーザ光ビーム53を走査露光により画像の記録を行うものである。
なおこの図において、54はショートアークキセノンランプ、55は記録用レーザ光照射手段、56はフラッシュ光露光手段である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
[特許文献1]に例示されているように、可逆感熱媒体に書込まれた情報を非接触で消去するには、従来、ハロゲンランプ等の連続発光光源やフラッシュランプ等のパルス発光光源で媒体を加熱して消去している。
【0009】
しかし、ハロゲンランプ等の連続発光光源を用いて情報を消去する場合、可逆感熱媒体全面に均等に照射される光強度分布は弱く、放熱に打ち勝って「消色温度領域」に達するまでに時間がかかり、消去時間が長い問題点があった。また、これを解決するために、光源出力を大きくし、光強度分布を強くすると、大電流を必要とし電源容量が通常利用できる以上に過大となるばかりでなく、急速加熱により、感熱媒体の変形や劣化を引き起こす問題点があった。
【0010】
一方、フラッシュランプ等のパルス発光光源で消去する場合、電源が非常に大きく重くなり、高価になるばかりでなく、同様に、急速加熱により、感熱媒体の変形や劣化を引き起こす問題点があった。
さらに、連続発光光源とパルス発光光源のいずれの場合も、感熱媒体全面にわたって光強度を一様にすることは極めて難しく、部分的に加熱不足や過剰加熱が生じやすい問題点があった。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、「消色温度領域」に達するまでの時間を短縮して消去時間を短くでき、必要とする電源容量が小さく、感熱媒体の変形や劣化を低減でき、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる可逆感熱媒体の情報消去装置及び方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、棒状の連続発光光源(12)と、該光源から出た光(1)を線状光(2)に集光する集光光学系(14)と、感熱媒体(3)上に前記線状光をその幅方向に走査する走査機構(16)と、を備えたことを特徴とする可逆感熱媒体の情報消去装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、棒状の連続発光光源(12)から出た光(1)を線状光(2)に集光し、該線状光をその幅方向に感熱媒体(3)上を走査する、ことを特徴とする可逆感熱媒体の情報消去方法が提供される。
【0014】
上記本発明の装置及び方法によれば、棒状の連続発光光源(12)から出た光(1)を線状光(2)に集光し、これをその幅方向に感熱媒体上を走査(スキャン)することによって、感熱媒体の一部又は全面をほぼ均一に加熱することができ、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる。
また、光源(12)からの光(1)を線状光(2)に集光して用いるので、感熱媒体に走査される線状部分の光強度は十分に強く、放熱に打ち勝って「消色温度領域」に達するまでに時間を短縮できる。
さらに、一瞬一瞬では線状部分を加熱するだけなので必要とする電源容量が小さくでき、かつ感熱媒体は部分的に短時間加熱されるだけなので、感熱媒体の変形や劣化を低減できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記線状光(2)の長さとその走査距離を制御し、感熱媒体の一部分だけを消去する。
この方法により、消去が必要な感熱媒体の一部分だけを加熱して消去することができ、消去時間を更に短くでき、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0016】
前記棒状の連続発光光源(12)は、直列に配置された複数の部分発光光源(12a)からなり、その一部を点灯して感熱媒体の一部分だけを消去する。
この構成により、線状光(2)の長さを容易に調節でき、かつ電源容量を更に小さくできる。
【0017】
前記棒状の連続発光光源又は線状光を部分的に遮光し、かつその開口長さを調整可能な可変遮光板(18)を備え、該開口からの光により感熱媒体の一部分だけを消去する。
この構成により、線状光(2)の長さを無段階に調節でき、消去時間を更に短くでき、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0018】
前記集光光学系(14)は、感熱媒体上の光強度分布が走査方向に非対称となるように構成された楕円ミラーであり、これにより感熱媒体の消去前部分を予熱する。
この構成により、感熱媒体上での光強度分布を変え、消去前に予熱を行えるような光強度分布を形成して、感熱媒体の急加熱を緩和し、消去時間を短縮すると共に、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0019】
前記前記走査機構(16)は、集光位置に感熱媒体を光源に対して平行に保持し、光源又は前記感熱媒体を走査方向に移動する。
この構成により、最適な移動速度で光源又は感熱媒体を走査方向に移動して、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の情報消去装置の第1実施形態図である。本発明の情報消去装置10は、連続発光光源12、集光光学系14(図示せず)、及び走査機構16を備える。
【0022】
連続発光光源12は、細長い棒状の光源(例えばハロゲンランプ)であり、可逆感熱媒体3の消去に適した波長の光を連続的に発光する。集光光学系14は、光源12から出た光1(消去光)を細長い線状光2に集光する。走査機構16は、感熱媒体3に上(表面)に線状光2をその幅方向に走査する。
【0023】
図1において、連続発光光源12は、感熱媒体3の幅(図で上下方向)に相当する1本の光源であり、集光光学系14は、光源12から出た光1(消去光)を感熱媒体3の幅に相当する1本の細長い線状光2に集光するようになっている。また、走査機構16は、光源走査機構であり、線状光2の集光位置に感熱媒体を光源に対して平行に保持し、光源を走査方向に移動するようになっている。
【0024】
なおこの例において、光源は、連続発光光源12及び集光光学系14であり、これらを一体に移動するようになっているが、連続発光光源12及び集光光学系14の大部分を固定し、ミラー等を用いて線状光2を感熱媒体上に走査してもよい。
【0025】
また、コンベア上を移動するコンテナ等に取付けられた感熱媒体のように、感熱媒体の方が一定速度で移動する場合には、感熱媒体の移動を利用して消去を行うようにして光源は固定しておいてもよい。
【0026】
上述した装置を用い、本発明の第1の方法では、棒状の連続発光光源12から出た光1を線状光2に集光し、この線状光2をその幅方向に感熱媒体3上を走査する。
【0027】
上述した装置及び方法によれば、感熱媒体3の全面をほぼ均一に加熱することができ、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる。
また、光源12からの光1を線状光2に集光して用いるので、感熱媒体に走査される線状部分の光強度は十分に強く、放熱に打ち勝って「消色温度領域」に達するまでに時間を短縮できる。
さらに、一瞬一瞬では線状部分を加熱するだけなので必要とする電源容量が小さくでき、かつ感熱媒体は部分的に短時間加熱されるだけなので、感熱媒体の変形や劣化を低減できる。
【0028】
図2は、本発明の情報消去装置の第2実施形態図である。この例において、棒状の連続発光光源12は、直列に配置された複数の部分発光光源12a(分割した光源)からなる。複数の部分発光光源12aは、感熱媒体の消去部分に応じて、その一部(1つ又は複数)を点灯して感熱媒体の一部分だけを消去するようになっている。
【0029】
またこの例において、本発明の情報消去装置10は、棒状の連続発光光源12を部分的に遮光し、かつその開口長さを無段階に調整可能な可変遮光板18(可動式シャッター)を備える。この可動式シャッターは、感熱媒体の消去部分に応じて、開口長さを制御でき、開口からの光により感熱媒体の一部分だけを消去するようになっている。
【0030】
なお、この例では、複数の部分発光光源12aと可変遮光板18を併用しているが、複数の部分発光光源12aのみを用いても、一体の連続発光光源12と可変遮光板18とを組み合わせてもよい。
【0031】
また、可変遮光板18(可動式シャッター)は、連続発光光源12の代わりに線状光2を部分的に遮光してもよい。さらに、図示しないが、光源の長さを変えるのにレンズ等を使用して実現してもよい。
【0032】
上述した装置を用い、本発明の第2の方法では、図2に示すように、線状光2の長さとその走査距離を制御し、感熱媒体3の一部分だけを消去する。
上述した装置及び方法によれば、消去が必要な感熱媒体の一部分だけを加熱して消去することができ、消去時間を更に短くでき、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0033】
図3は、本発明の装置の集光光学系の第1実施形態図であり、図4と図5は、その第2実施形態図と第3実施形態図である。これらの図は、楕円ミラーで集光した場合の感熱媒体上での光強度分布を計算したものである。
図3〜5において、集光光学系14は楕円ミラーである。 (A)は楕円ミラーの断面形状を示し、黒丸の位置に光源が置かれている。また楕円の第1焦点もこの近辺にある。また(B)はミラーからある距離に置かれた感熱媒体上での光強度分布である。
【0034】
図3は、楕円ミラー14の形状が光源に対して上下対称な場合で、かつ光源は楕円の第1焦点に置かれている場合である。この場合、楕円ミラー14で反射した光1は楕円の第2焦点(図示せず)に集光される。従って、集光部分に位置する感熱媒体上の光強度分布は(B)のように鋭い線状になる。
【0035】
図4は、楕円の形状を上下で少し変えた場合である。楕円の形状は上下で異なるが、第1焦点の位置は共に黒丸の位置にある。この場合、楕円ミラー14で反射した光1はそれぞれの楕円の異なる第2焦点(図示せず)に集光される。感熱媒体上での光強度分布は非対称となり、消去の前に予熱を行うのに利用できる。
【0036】
図5は、図4と同じ楕円形状で、さらに光源位置を、楕円の第1焦点からずらした場合の計算例である。この構成により、光強度分布はさらに非対称となり、消去の前の予熱を行うのにより適している。
【0037】
上述した図4、5のように、集光光学系14は、感熱媒体上の光強度分布が走査方向に非対称となるように構成された楕円ミラーであるのが好ましく、これにより感熱媒体の消去前部分を予熱して、感熱媒体の急加熱を緩和し、消去時間を短縮すると共に、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
上述したように、本発明の可逆感熱媒体の情報消去装置及び方は、「消色温度領域」に達するまでの時間を短縮して消去時間を短くでき、必要とする電源容量が小さく、感熱媒体の変形や劣化を低減でき、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報消去装置の第1実施形態図である。
【図2】本発明の情報消去装置の第2実施形態図である。
【図3】本発明の装置の集光光学系の第1実施形態図である。
【図4】本発明の装置の集光光学系の第2実施形態図である。
【図5】本発明の装置の集光光学系の第3実施形態図である。
【図6】可逆性感熱記録材料の発色・消色説明図である。
【図7】可逆性感熱記録材料の発色・消色のモデル図である。
【図8】可逆感熱紙の特性説明図である。
【図9】従来の可逆感熱媒体の情報書換手段の構成図である。
【符号の説明】
1 光(消去光)、2 線状光、3 感熱媒体、10 情報消去装置、12 棒状連続発光光源、12a 部分発光光源(分割光源)、14 集光光学系(楕円ミラー)、16 走査機構(光源走査機構)、18 可変遮光板(可動式シャッター)
【発明の属する技術分野】
本発明は、可逆感熱媒体の情報書換装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
可逆性感熱記録材料を用いた可逆感熱紙として、例えば、電子供与性染料前駆体を用いたロイコ系リライタブル感熱紙が開発されている。電子供与性染料前駆体は、図6に示すように、酸性雰囲気下で分子内のラクトン環が開環することにより発色し、酸性雰囲気を取り除くとラクトン環が閉環し無色の状態に戻るものである。ロイコ系リライタブル感熱紙はこの電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤を組み合わせたものであり、可逆顕色剤とは電子供与性染料前駆体と反応して発色・消色の可逆性を発現するものである。可逆顕色剤には、例えば長鎖アルキル基をもつフェノール系化合物等が用いられる。
【0003】
図7は発色・消色のモデル図である。この図に示すように、消色状態(左下)の電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤を加熱すると両者は溶融して発色状態(上)となり、これを急冷すると溶融状態に近い状態で固化し固体発色状態(右下)が保持される。逆に溶融状態から徐冷すると電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤が消色状態に戻る。従って、溶融後の急冷又は徐冷により、発色又は消色を可逆的に行うことができる。また、固体発色状態のものを溶融温度よりもやや低い温度領域で一定時間保持することにより、元の消色状態に遷移させることもできる。
【0004】
図8は、可逆感熱紙の特性説明図である。この図において、横軸は温度、縦軸は発色濃度を示している。この図に矢印で示すように、消色状態(A)の可逆感熱記録層(例えば電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤からなる)を加熱すると両者は溶融して発色状態(B)となり、これを急冷すると溶融状態に近い状態で固化し固体発色状態(C)が保持される。逆に溶融状態(B)から徐冷すると電子供与性染料前駆体と可逆顕色剤が相分離して元の消色状態(A)に戻る。
また、固体発色状態(C)において、溶融状態よりもやや低い温度領域で一定時間保持すると、元の消色状態(A)に遷移する性質がある。この温度領域(溶融温度よりもやや低い温度領域)を「消色温度領域」と呼ぶ。
【0005】
上述した可逆感熱媒体の情報消去手段として、例えば、特許文献1が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−267797号公報
【0007】
[特許文献1]の「レーザ記録方法及びレーザ記録装置」は、図9に示すように、温度に依存し光学濃度が変化し、かつ可逆的に記録及び消去が可能な感熱記録材料と、露光時に熱を発生する光吸収熱変換材料とをそれぞれ単独層を構成、若しくは上記感熱記録材料と上記光吸収熱変換材料とを混合してなる層から構成される書換え可能な感熱記録媒体51に対し、消去時には前記感熱記録材料の消去温度に対応するフラッシュ光52を所定面積内に照射し画像の消去を行い、記録時には記録温度に対応した強度変調してなるレーザ光ビーム53を走査露光により画像の記録を行うものである。
なおこの図において、54はショートアークキセノンランプ、55は記録用レーザ光照射手段、56はフラッシュ光露光手段である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
[特許文献1]に例示されているように、可逆感熱媒体に書込まれた情報を非接触で消去するには、従来、ハロゲンランプ等の連続発光光源やフラッシュランプ等のパルス発光光源で媒体を加熱して消去している。
【0009】
しかし、ハロゲンランプ等の連続発光光源を用いて情報を消去する場合、可逆感熱媒体全面に均等に照射される光強度分布は弱く、放熱に打ち勝って「消色温度領域」に達するまでに時間がかかり、消去時間が長い問題点があった。また、これを解決するために、光源出力を大きくし、光強度分布を強くすると、大電流を必要とし電源容量が通常利用できる以上に過大となるばかりでなく、急速加熱により、感熱媒体の変形や劣化を引き起こす問題点があった。
【0010】
一方、フラッシュランプ等のパルス発光光源で消去する場合、電源が非常に大きく重くなり、高価になるばかりでなく、同様に、急速加熱により、感熱媒体の変形や劣化を引き起こす問題点があった。
さらに、連続発光光源とパルス発光光源のいずれの場合も、感熱媒体全面にわたって光強度を一様にすることは極めて難しく、部分的に加熱不足や過剰加熱が生じやすい問題点があった。
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、「消色温度領域」に達するまでの時間を短縮して消去時間を短くでき、必要とする電源容量が小さく、感熱媒体の変形や劣化を低減でき、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる可逆感熱媒体の情報消去装置及び方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、棒状の連続発光光源(12)と、該光源から出た光(1)を線状光(2)に集光する集光光学系(14)と、感熱媒体(3)上に前記線状光をその幅方向に走査する走査機構(16)と、を備えたことを特徴とする可逆感熱媒体の情報消去装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、棒状の連続発光光源(12)から出た光(1)を線状光(2)に集光し、該線状光をその幅方向に感熱媒体(3)上を走査する、ことを特徴とする可逆感熱媒体の情報消去方法が提供される。
【0014】
上記本発明の装置及び方法によれば、棒状の連続発光光源(12)から出た光(1)を線状光(2)に集光し、これをその幅方向に感熱媒体上を走査(スキャン)することによって、感熱媒体の一部又は全面をほぼ均一に加熱することができ、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる。
また、光源(12)からの光(1)を線状光(2)に集光して用いるので、感熱媒体に走査される線状部分の光強度は十分に強く、放熱に打ち勝って「消色温度領域」に達するまでに時間を短縮できる。
さらに、一瞬一瞬では線状部分を加熱するだけなので必要とする電源容量が小さくでき、かつ感熱媒体は部分的に短時間加熱されるだけなので、感熱媒体の変形や劣化を低減できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記線状光(2)の長さとその走査距離を制御し、感熱媒体の一部分だけを消去する。
この方法により、消去が必要な感熱媒体の一部分だけを加熱して消去することができ、消去時間を更に短くでき、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0016】
前記棒状の連続発光光源(12)は、直列に配置された複数の部分発光光源(12a)からなり、その一部を点灯して感熱媒体の一部分だけを消去する。
この構成により、線状光(2)の長さを容易に調節でき、かつ電源容量を更に小さくできる。
【0017】
前記棒状の連続発光光源又は線状光を部分的に遮光し、かつその開口長さを調整可能な可変遮光板(18)を備え、該開口からの光により感熱媒体の一部分だけを消去する。
この構成により、線状光(2)の長さを無段階に調節でき、消去時間を更に短くでき、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0018】
前記集光光学系(14)は、感熱媒体上の光強度分布が走査方向に非対称となるように構成された楕円ミラーであり、これにより感熱媒体の消去前部分を予熱する。
この構成により、感熱媒体上での光強度分布を変え、消去前に予熱を行えるような光強度分布を形成して、感熱媒体の急加熱を緩和し、消去時間を短縮すると共に、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0019】
前記前記走査機構(16)は、集光位置に感熱媒体を光源に対して平行に保持し、光源又は前記感熱媒体を走査方向に移動する。
この構成により、最適な移動速度で光源又は感熱媒体を走査方向に移動して、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の情報消去装置の第1実施形態図である。本発明の情報消去装置10は、連続発光光源12、集光光学系14(図示せず)、及び走査機構16を備える。
【0022】
連続発光光源12は、細長い棒状の光源(例えばハロゲンランプ)であり、可逆感熱媒体3の消去に適した波長の光を連続的に発光する。集光光学系14は、光源12から出た光1(消去光)を細長い線状光2に集光する。走査機構16は、感熱媒体3に上(表面)に線状光2をその幅方向に走査する。
【0023】
図1において、連続発光光源12は、感熱媒体3の幅(図で上下方向)に相当する1本の光源であり、集光光学系14は、光源12から出た光1(消去光)を感熱媒体3の幅に相当する1本の細長い線状光2に集光するようになっている。また、走査機構16は、光源走査機構であり、線状光2の集光位置に感熱媒体を光源に対して平行に保持し、光源を走査方向に移動するようになっている。
【0024】
なおこの例において、光源は、連続発光光源12及び集光光学系14であり、これらを一体に移動するようになっているが、連続発光光源12及び集光光学系14の大部分を固定し、ミラー等を用いて線状光2を感熱媒体上に走査してもよい。
【0025】
また、コンベア上を移動するコンテナ等に取付けられた感熱媒体のように、感熱媒体の方が一定速度で移動する場合には、感熱媒体の移動を利用して消去を行うようにして光源は固定しておいてもよい。
【0026】
上述した装置を用い、本発明の第1の方法では、棒状の連続発光光源12から出た光1を線状光2に集光し、この線状光2をその幅方向に感熱媒体3上を走査する。
【0027】
上述した装置及び方法によれば、感熱媒体3の全面をほぼ均一に加熱することができ、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる。
また、光源12からの光1を線状光2に集光して用いるので、感熱媒体に走査される線状部分の光強度は十分に強く、放熱に打ち勝って「消色温度領域」に達するまでに時間を短縮できる。
さらに、一瞬一瞬では線状部分を加熱するだけなので必要とする電源容量が小さくでき、かつ感熱媒体は部分的に短時間加熱されるだけなので、感熱媒体の変形や劣化を低減できる。
【0028】
図2は、本発明の情報消去装置の第2実施形態図である。この例において、棒状の連続発光光源12は、直列に配置された複数の部分発光光源12a(分割した光源)からなる。複数の部分発光光源12aは、感熱媒体の消去部分に応じて、その一部(1つ又は複数)を点灯して感熱媒体の一部分だけを消去するようになっている。
【0029】
またこの例において、本発明の情報消去装置10は、棒状の連続発光光源12を部分的に遮光し、かつその開口長さを無段階に調整可能な可変遮光板18(可動式シャッター)を備える。この可動式シャッターは、感熱媒体の消去部分に応じて、開口長さを制御でき、開口からの光により感熱媒体の一部分だけを消去するようになっている。
【0030】
なお、この例では、複数の部分発光光源12aと可変遮光板18を併用しているが、複数の部分発光光源12aのみを用いても、一体の連続発光光源12と可変遮光板18とを組み合わせてもよい。
【0031】
また、可変遮光板18(可動式シャッター)は、連続発光光源12の代わりに線状光2を部分的に遮光してもよい。さらに、図示しないが、光源の長さを変えるのにレンズ等を使用して実現してもよい。
【0032】
上述した装置を用い、本発明の第2の方法では、図2に示すように、線状光2の長さとその走査距離を制御し、感熱媒体3の一部分だけを消去する。
上述した装置及び方法によれば、消去が必要な感熱媒体の一部分だけを加熱して消去することができ、消去時間を更に短くでき、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0033】
図3は、本発明の装置の集光光学系の第1実施形態図であり、図4と図5は、その第2実施形態図と第3実施形態図である。これらの図は、楕円ミラーで集光した場合の感熱媒体上での光強度分布を計算したものである。
図3〜5において、集光光学系14は楕円ミラーである。 (A)は楕円ミラーの断面形状を示し、黒丸の位置に光源が置かれている。また楕円の第1焦点もこの近辺にある。また(B)はミラーからある距離に置かれた感熱媒体上での光強度分布である。
【0034】
図3は、楕円ミラー14の形状が光源に対して上下対称な場合で、かつ光源は楕円の第1焦点に置かれている場合である。この場合、楕円ミラー14で反射した光1は楕円の第2焦点(図示せず)に集光される。従って、集光部分に位置する感熱媒体上の光強度分布は(B)のように鋭い線状になる。
【0035】
図4は、楕円の形状を上下で少し変えた場合である。楕円の形状は上下で異なるが、第1焦点の位置は共に黒丸の位置にある。この場合、楕円ミラー14で反射した光1はそれぞれの楕円の異なる第2焦点(図示せず)に集光される。感熱媒体上での光強度分布は非対称となり、消去の前に予熱を行うのに利用できる。
【0036】
図5は、図4と同じ楕円形状で、さらに光源位置を、楕円の第1焦点からずらした場合の計算例である。この構成により、光強度分布はさらに非対称となり、消去の前の予熱を行うのにより適している。
【0037】
上述した図4、5のように、集光光学系14は、感熱媒体上の光強度分布が走査方向に非対称となるように構成された楕円ミラーであるのが好ましく、これにより感熱媒体の消去前部分を予熱して、感熱媒体の急加熱を緩和し、消去時間を短縮すると共に、感熱媒体の変形や劣化を更に低減できる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0039】
【発明の効果】
上述したように、本発明の可逆感熱媒体の情報消去装置及び方は、「消色温度領域」に達するまでの時間を短縮して消去時間を短くでき、必要とする電源容量が小さく、感熱媒体の変形や劣化を低減でき、感熱媒体の一部又は全面を適切に加熱でき、部分的な加熱不足や過剰加熱を防止できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報消去装置の第1実施形態図である。
【図2】本発明の情報消去装置の第2実施形態図である。
【図3】本発明の装置の集光光学系の第1実施形態図である。
【図4】本発明の装置の集光光学系の第2実施形態図である。
【図5】本発明の装置の集光光学系の第3実施形態図である。
【図6】可逆性感熱記録材料の発色・消色説明図である。
【図7】可逆性感熱記録材料の発色・消色のモデル図である。
【図8】可逆感熱紙の特性説明図である。
【図9】従来の可逆感熱媒体の情報書換手段の構成図である。
【符号の説明】
1 光(消去光)、2 線状光、3 感熱媒体、10 情報消去装置、12 棒状連続発光光源、12a 部分発光光源(分割光源)、14 集光光学系(楕円ミラー)、16 走査機構(光源走査機構)、18 可変遮光板(可動式シャッター)
Claims (7)
- 棒状の連続発光光源(12)と、該光源から出た光(1)を線状光(2)に集光する集光光学系(14)と、感熱媒体(3)上に前記線状光をその幅方向に走査する走査機構(16)と、を備えたことを特徴とする可逆感熱媒体の情報消去装置。
- 前記棒状の連続発光光源(12)は、直列に配置された複数の部分発光光源(12a)からなり、その一部を点灯して感熱媒体の一部分だけを消去する、ことを特徴とする請求項1に記載の可逆感熱媒体の情報消去装置。
- 前記棒状の連続発光光源又は線状光を部分的に遮光し、かつその開口長さを調整可能な可変遮光板(18)を備え、該開口からの光により感熱媒体の一部分だけを消去する、ことを特徴とする請求項1に記載の可逆感熱媒体の情報消去装置。
- 前記集光光学系(14)は、感熱媒体上の光強度分布が走査方向に非対称となるように構成された楕円ミラーであり、これにより感熱媒体の消去前部分を予熱する、ことを特徴とする請求項1に記載の可逆感熱媒体の情報消去装置。
- 前記走査機構(16)は、集光位置に感熱媒体を光源に対して平行に保持し、光源又は前記感熱媒体を走査方向に移動する、ことを特徴とする請求項1に記載の可逆感熱媒体の情報消去装置。
- 棒状の連続発光光源(12)から出た光(1)を線状光(2)に集光し、該線状光をその幅方向に感熱媒体(3)上を走査する、ことを特徴とする可逆感熱媒体の情報消去方法。
- 前記線状光(2)の長さとその走査距離を制御し、感熱媒体の一部分だけを消去する、ことを特徴とする請求項6に記載の可逆感熱媒体の情報消去方法。
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JP2003121040A JP2004322493A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 可逆感熱媒体の情報消去装置及び方法 |
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EP1939001A1 (en) | 2006-12-26 | 2008-07-02 | Ricoh Company, Ltd. | Image processing method and image processor |
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-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003121040A patent/JP2004322493A/ja active Pending
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EP2468517A1 (en) | 2010-12-24 | 2012-06-27 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
CN102555512A (zh) * | 2010-12-24 | 2012-07-11 | 株式会社理光 | 图像形成设备 |
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