JP2004320566A - 擬似断熱的ダイナミック論理回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】擬似断熱的ダイナミック論理回路100において、各段の反転論理回路101,102,103,104は、充電ダイオードとpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタと放電ダイオードとが直列に接続され、充電ダイオード側の一端と放電ダイオード側の他端に繰り返し波電源回路110が接続される。奇数段の反転論理回路101,103に接続される第1繰り返し波電源回路111の出力電圧と、偶数段の反転論理回路102,104に接続される第2繰り返し波電源回路112の出力電圧とは、逆位相の関係に設定される。この構成により、各段の論理遷移は、繰り返し波電源の半周期を待つことなく行われ、高速応答が可能となる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱的ダイナミック論理回路(ADCL回路、AdiabaticDynamic CMOS Logic circuit)を改良した擬似断熱的ダイナミック論理回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
断熱的ダイナミック論理回路(以下、ADCL回路と称する)は、ディッキンソンとデンカーにより1995年に提案された断熱的ダイナミックロジック(ADL,Adiabatic Dynamic Logic)を発展させた回路である。その特徴は、超低電力動作が可能な論理回路で、LSIとして集積化ができるところにある。ADCL回路は、非特許文献1に記載されるように、図11に示す基本構成を有する。
【0003】
図11に示すように、ADCL回路10は、スイッチング回路12を介して、繰り返し波電源14が電圧保持容量16に直列接続された充放電回路である。スイッチング回路12は、充電電流パス22と放電電流パス24とが並列に接続され、充電電流パス22は、繰り返し波電源14から電圧保持容量16に向かって順方向に接続されたダイオード28と、直列に接続されたpチャネルMOSトランジスタ26とを含み、放電電流パス24は、電圧保持容量16から繰り返し波電源14に向かって順方向に接続されたダイオード32と、直列に接続されたnチャネルMOSトランジスタ30とを含む。そして、pチャネルMOSトランジスタ26とnチャネルMOSトランジスタ30の共通ゲート端子を入力端子42とし、スイッチング回路12と電圧保持容量16との中間端子を出力端子44とし、繰り返し波電源14が接続される端子を電源端子46とする。ここで繰り返し波電源とは、出力電圧波形が三角波、正弦波等の繰り返し波形を有する電源である。
【0004】
図12は、ADCL回路10の動作を説明するタイムチャートで、(a)に繰り返し波電源電圧Vφ、(b)に入力端子42から入力される入力信号電圧Vin、(c)に出力端子44に出力される出力信号電圧Voutを、横軸に時刻、縦軸に電圧を取って示す。ADCL回路10においては、入力信号電圧Vinを「Hレベル」から「Lレベル」に遷移させるタイミングを、繰り返し波電源電圧Vφの谷の近傍のタイミングに同期させる。また、入力信号電圧Vinを「Lレベル」から「Hレベル」に遷移させるタイミングを、繰り返し波電源電圧Vφの山の近傍のタイミングに同期させる。そして繰り返し波電源電圧Vφの周期は、pチャネルMOSトランジスタ26、nチャネルMOSトランジスタ30のON抵抗成分と、電圧保持容量16とで定まる時定数に比して、十分長い周期にとられる。
【0005】
したがって、入力信号電圧Vinが「Hレベル」から「Lレベル」に遷移したときは、pチャネルMOSトランジスタ26がONして充電電流パス22が導通し、繰り返し波電源電圧Vφが谷から山に遷移するにつれて電圧保持容量16に電荷が充電され、出力端子44の電圧が「Lレベル」から「Hレベル」に遷移する。このとき、繰り返し波電源電圧Vφの周期は、pチャネルMOSトランジスタ26のON抵抗と電圧保持容量16とで定まる充電時定数より十分長いので、pチャネルMOSトランジスタ26のドレイン−ソース間の電圧差は殆ど生じない。すなわち充電に伴って消費する電力は極めて少ないものとなる。
【0006】
入力信号電圧Vinが「Lレベル」から「Hレベル」に遷移したときは、nチャネルMOSトランジスタ30がONして放電電流パス24が導通し、繰り返し波電源電圧Vφが山から谷に遷移するにつれて電圧保持容量16の電荷が放電され、出力端子44の電圧が「Hレベル」から「Lレベル」に遷移する。このとき、繰り返し波電源電圧Vφの周期は、nチャネルMOSトランジスタ30のON抵抗と電圧保持容量16とで定まる放電時定数より十分長いので、nチャネルMOSトランジスタ30のドレイン−ソース間の電圧差は殆ど生じない。すなわち放電に伴って消費する電力は極めて少ないものとなる。
【0007】
このように、ADCL回路10は、Vinの「Hレベル」「Lレベル」の電圧変化に応じ、Voutにその反転した「Lレベル」「Hレベル」の電圧変化を出力する反転論理回路(インバータ回路)の働きをする。そして、この反転動作において、pチャネルMOSトランジスタ26のON抵抗及びnチャネルMOSトランジスタ30のON抵抗で消費する電力、すなわち熱となって失われる電力損失はきわめて小さく、いわゆる断熱的な論理遷移が可能となる。
【0008】
ADCL回路の有する特質は、低電力動作論理回路の代表とされる相補型CMOS(Complimentary MOS:以下CMOSと示す)回路と比較することでさらによく理解できる。図13と図14は、ADCL回路の他の構成例である。すなわち、図11に示す構成から放電電流パスの中でnチャネルMOSトランジスタと放電用のダイオードとの直列接続の順序を逆にした構成が図13であり、図13の構成を書き換えてCMOSインバータ回路に類似した表現とした構成が図14である。CMOSインバータ回路の構成は図15に示した。
【0009】
ADCL回路の一構成例である図14とCMOSインバータ回路の構成を示す図15とを比較すると、ADCL回路は、CMOSインバータ回路の基本構成に対してさらに、pチャネルMOSトランジスタのソース端子と電源との間に充電用のダイオードを設け、nチャネルMOSトランジスタのソース端子と電源との間に放電用のダイオードを設けたものであることが理解できる。そして、さらに特徴的なことに、pチャネルMOSトランジスタ側の電源とnチャネルMOSトランジスタ側の電源は同一電源である。このような構成により、pチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタとを貫通して流れる電流というのが本質的に生じない。
【0010】
このように、低電力動作論理回路の代表とされるCMOS回路における消費電力成分であるスイッチング素子のON抵抗による消費電力成分の抑制も、相補型スイッチング素子を貫通して流れる貫通電流による消費電力成分の抑制も、ADCL回路においてはともに可能である。
【0011】
【非特許文献1】
池上、高橋、王、水沼,超低消費電力ADCL回路,信学秋総大,C−514,1996
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ADCL回路において、スイッチング素子の両端における電圧差をなくすためには、充放電のタイミングを繰り返し波の山と谷のタイミングに同期させる必要がある。また、ADCL回路を複数段縦続接続すると、各段の論理状態遷移は、繰り返し波の半周期、すなわち山と谷との間の遷移時間分ずつ遅れる性質がある。図1及び図2はその様子を示す図である。
【0013】
図1において、ADCL回路が4段縦続接続されている。各ADCL回路の構成は図14に説明した構成を用いている。図2は、繰り返し波電源電圧Vφと、各段のADCL回路への入力信号電圧V1,V2,V3,V4について、横軸に時刻、縦軸に電圧を取って示したものである。図2(a),(b),(c)に示すように、繰り返し波電源電圧Vφが山から谷へ遷移するのに同期して初段のADCL回路50への入力信号電圧V1が「Lレベル」から「Hレベル」に変化すると、初段のADCL回路50の出力信号電圧すなわち第2段目のADCL回路52への入力信号電圧V2は繰り返し波電源電圧Vφの半周期の時間をかけて「Hレベル」から「Lレベル」へ遷移する。
【0014】
また、図2(c),(d)に示すように、第2段目のADCL回路52への入力信号電圧V2が「Lレベル」へ遷移すると第2段目の充電電流パスが導通するが、その前に第2段目のADCL回路52の電圧保持容量は放電電流パスにより十分に放電しているので、電圧保持容量の充電は繰り返し波電源電圧Vφが再び谷に遷移した後に始まる。すなわち第2段目のADCL回路52における出力信号電圧すなわち第3段目のADCL回路54への入力信号電圧V3の立ち上がりは、第2段目のADCL回路52における入力信号電圧V2の立下りから、繰り返し波電源電圧Vφの半周期分遅れる。
【0015】
同様に、図2(d),(e)に示すように、第3段目のADCL回路54における出力信号電圧すなわち第4段目のADCL回路56への入力信号電圧V4の立下りは、第3段目のADCL回路54における入力信号電圧V3の立ち上がりから、繰り返し波電源電圧Vφの半周期分遅れる。このように、繰り返し波電源電圧Vφの半周期分ずつ遅れて各段の論理遷移が生ずる。
【0016】
また、ADCL回路を複数段縦続接続するときの論理動作を確実にするには、出力端にある程度の大きさの電圧保持容量を設けることが望ましい。すなわち、出力端に何らの電圧保持容量を設けないときは、繰り返し波電源電圧Vφが、充電時においてpチャネルMOSトランジスタの寄生容量を介して出力端に回り込み、あるいは放電時においてnチャネルMOSトランジスタの寄生容量を介して出力端に回り込み、その結果出力端の電圧が不安定になることがある。これを防止するためには、pチャネルMOSトランジスタあるいはnチャネルMOSトランジスタの寄生容量、例えばゲート−ソース間の容量に比べて、十分大きい容量を出力端に設けることがよい。したがって、ADCL回路を複数段縦続接続するときには、各段の出力端に特別の電圧保持容量58,60,62を設けることが望ましい。
【0017】
このように、ADCL回路を複数段縦続接続するときの各段の論理遷移は、繰り返し波電源電圧Vφの半周期ずつ遅れて生ずるため、縦続接続全体の応答速度が遅くなる。また、ADCL回路を複数段縦続接続するときは、その論理動作を安定化するために、各出力端に特別の電圧保持容量を設けるため、集積度が阻害される。
【0018】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、繰り返し波電源を用いる低消費電力論理回路において、より高速な動作を可能にすることである。本発明の他の目的は、繰り返し波電源を用いる低消費電力論理回路において、より集積度をあげることを可能にすることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
1.擬似断熱的ダイナミック論理回路の原理
図3は、本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路の原理説明図である。従来の断熱的ダイナミック論理回路の例である図1と比較しやすいように、スイッチング素子、繰り返し波電源の表現を同様のものにしてある。図3において、擬似断熱的ダイナミック論理回路100は、反転論理回路を4段縦続接続して構成されるものとして示したが、縦続接続段数は何段でもよい。
【0020】
図3に示すように、各段の反転論理回路101,102,103,104は、図1と同様に、ダイオードとpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタとダイオードとが直列に接続され、両端のダイオードに繰り返し波電源回路110が接続される。図1と比べて特徴的なことは、奇数段の反転論理回路101,103と偶数段の反転論理回路102,104とが区別され、それぞれ異なる繰り返し波電源回路に接続されることである。ここで、奇数段の反転論理回路101,103に接続される第1繰り返し波電源回路111の出力電圧と、奇数段の反転論理回路101,103に接続される第2繰り返し波電源回路112の出力電圧とは、相互に位相が逆位相の関係に設定される。
【0021】
図4は、第1繰り返し波電源電圧Vφ1、第2繰り返し波電源電圧Vφ2、各段の反転論理回路への入力信号電圧V1,V2,V3,V4について、横軸に時刻、縦軸に電圧を取って示したものである。
【0022】
初段の反転論理回路101は、第1繰り返し波電源回路111に接続され、図4(a),(c)に示すように、第1繰り返し波電源電圧Vφ1が山の近傍へ遷移するのに同期して入力信号電圧V1が「Lレベル」から「Hレベル」に変化する。これに応じて、図4(a),(d)に示すように、初段の反転論理回路101の出力信号電圧すなわち第2段目の反転論理回路102への入力信号電圧V2は、第1繰り返し波電源電圧Vφ1の半周期の時間をかけて「Hレベル」から「Lレベル」へ遷移する。この状態遷移は、図1で説明したADCL回路、すなわち断熱的ダイナミック論理回路の動作と同様である。
【0023】
第2段目の反転論理回路102は、第2繰り返し波電源回路112に接続される。図4(a),(b)に示すように、第1繰り返し波電源電圧Vφ1と第2繰り返し波電源電圧Vφ2とは相互に逆位相の関係にある。そこで図4(b),(d)に示すように、第2段目の反転論理回路102への入力信号電圧V2が「Hレベル」から「Lレベル」へ遷移するとき、第2繰り返し波電源電圧Vφ2は谷から山へ遷移しつつある。したがって、第2段目の反転論理回路102への入力信号電圧V2が「Hレベル」から「Lレベル」へ遷移することでpチャネルトランジスタがONするとき、充電電流パスには谷から山へ遷移する第2繰り返し波電源電圧Vφ2が供給されていることになる。このことで、図4(b),(e)に示すように、第2段目の反転論理回路102の出力信号電圧すなわち第3段目の反転論理回路103への入力信号電圧V3は、「Lレベル」から「Hレベル」へ遷移する。この遷移は、第2繰り返し波電源電圧Vφ2の谷から山への遷移に伴って行われるのであって、第1繰り返し波電源電圧Vφ1の谷から山への遷移を待つ必要がない。つまり、第2段目の反転論理回路102の論理遷移は、第1繰り返し波電源電圧Vφ1の半周期を待つことなく行われる。
【0024】
第3段目の反転論理回路103は、第1繰り返し波電源回路111に接続される。 図4(a),(e)に示すように、第3段目の反転論理回路103への入力信号電圧V3が「Lレベル」から「Hレベル」へ遷移するとき、第1繰り返し波電源電圧Vφ1はまだ山から谷へ遷移しつつある。したがって、第3段目の反転論理回路103への入力信号電圧V3が「Lレベル」から「Hレベル」へ遷移することでnチャネルトランジスタがONするとき、放電電流パスには山から谷へ遷移する第1繰り返し波電源電圧Vφ1が供給されていることになる。このことで、第3段目の反転論理回路103の出力信号電圧すなわち第4段目の反転論理回路104への入力信号電圧V4は、「Hレベル」から「Lレベル」へ遷移する。この遷移は、第1繰り返し波電源電圧Vφ1の山から谷への遷移に伴って行われるのであって、第2繰り返し波電源電圧Vφ2の山から谷への遷移を待つ必要がない。つまり、第3段目の反転論理回路103の論理遷移は、第2繰り返し波電源電圧Vφ2の半周期を待つことなく行われる。
【0025】
このように、ADCL回路を縦続接続する際に、奇数段と複数段とに区別し、それぞれを異なる繰り返し波電源回路であって、相互に位相が逆位相の関係の繰り返し波電源回路に接続することで、縦続接続全体の応答速度を著しく向上させることができる。
【0026】
また、各段の論理回路について繰り返し波電源の回り込みをみると、例えば、充電時においてpチャネルMOSトランジスタの寄生容量を介しての出力端への回り込みは、ゲート側からの回り込みとソース側からの回り込みについて互いに位相が逆位相の関係になり、結果として回り込みの影響が減殺される。放電時においても同様である。したがって、繰り返し波電源の回りこみによる出力端電圧の不安定現象は大幅に少なくなる。
【0027】
図3の構成から明らかなように、擬似断熱的ダイナミック論理回路100においても、断熱的ダイナミック論理回路と同様に、pチャネルMOSトランジスタ側の電源とnチャネルMOSトランジスタ側の電源は同一電源である。したがって、擬似断熱的ダイナミック論理回路においては、pチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタとを貫通して流れる電流は本質的に生じない。
【0028】
一方、上記の説明から明らかなように、図3の擬似断熱的ダイナミック論理回路100においては、初段の論理回路の論理遷移を除き、第2段目以降の論理回路の論理遷移は、繰り返し波電源の谷から山あるいは山から谷の遷移に同期していない。すなわち、論理遷移の際に、pチャネルMOSトランジスタのソース−ドレイン間の電圧差あるいはpチャネルMOSトランジスタのソース−ドレイン間の電圧差はゼロにはならない。したがって、断熱的ダイナミック論理回路と異なり、擬似断熱的ダイナミック論理回路においては、pチャネルMOSトランジスタのON抵抗及びnチャネルMOSトランジスタのON抵抗で消費する電力、すなわち熱となって失われる電力損失が発生する。このことが、「擬似」断熱的と呼ぶことにする所以である。
【0029】
図5は、本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路を、従来の断熱的ダイナミック論理回路と、C/MOS論理回路と比較して並べた図である。ここに示されるように、擬似断熱的ダイナミック論理回路は、断熱的ダイナミック論理回路の低消費電力の特質と、C/MOS論理回路の高速性の特質とを折衷した特質を有する。
【0030】
2.課題解決手段
本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路は、繰り返し波電源と、縦続接続された複数段のスイッチング論理回路とを含む縦続接続論理回路であって、各段のスイッチング論理回路は、並列に接続された充電電流パスと放電電流パスを介して、出力端子に繰り返し波電源が接続され、充電電流パスは、繰り返し波電源から出力端子に向かって順方向に接続された充電ダイオードと、直列に接続された第1極性のスイッチ素子とを含み、放電電流パスは、出力端子から繰り返し波電源に向かって順方向に接続された放電ダイオードと、直列に接続された第1極性と逆の極性の第2極性のスイッチ素子とを含み、両スイッチ素子の共通制御端子を入力端子とし、充電電流パスと放電電流パスとの接続点を出力端子とし、繰り返し波電源は、奇数段のスイッチング論理回路に接続される第1繰り返し波電源と、偶数段のスイッチング論理回路に接続され、第1繰り返し波電源と逆位相の関係にある第2繰り返し波電源とを含み、各段のスイッチ論理回路において、第1極性のスイッチ素子がONすることで、繰り返し波電源から充電電流パスを介して充電が行われて出力端子電圧がLレベルからHレベルに変化し、第2極性のスイッチ素子がONすることで繰り返し波電源へ向かって放電電流パスを介して放電が行われて出力端子電圧がHレベルからLレベルに変化し、かつ、縦続接続における先の段の出力電圧の変化とともに後の段の出力電圧が変化することを特徴とする。
【0031】
上記構成により、奇数段のスイッチング論理回路に接続される第1繰り返し波電源の電圧と、偶数段のスイッチング論理回路に接続される第2繰り返し波電源の電圧とは、相互に位相が逆位相の関係にある。したがって、擬似断熱的ダイナミック論理回路の原理で説明したように、繰り返し波電源の半周期の遅れを待たずに各段の論理遷移が可能となり、高速化を図ることができる。また、相互に逆位相の繰り返し波電源が各段に交互に接続されるので、各段の出力電圧における繰り返し波電源の回りこみの影響を減殺できる。したがって、電圧保持容量を特に設けることを要せず、集積化が容易となる。
【0032】
また、本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路において、奇数段の複数のスイッチング論理回路は、共通の第1充電ダイオードと、第1放電ダイオードとを備え、各段の第1極性のスイッチ素子がそれぞれ第1充電ダイオードに接続されて各充電電流パスを構成し、各第2極性のスイッチ素子がそれぞれ第1放電ダイオードに接続されて各放電電流パスを構成し、偶数段の複数のスイッチング論理回路は、共通の第2充電ダイオードと、第2放電ダイオードとを備え、各段の第1極性のスイッチ素子がそれぞれ第2充電ダイオードに接続されて各充電電流パスを構成し、各第2極性のスイッチ素子がそれぞれ第2放電ダイオードに接続され各放電電流パスを構成することを特徴とする。
【0033】
縦続接続論理回路において各段の動作に注目すると、ある段が充電状態のときは次の段は放電状態、その次の段は充電状態というように1段おきに充電状態と放電状態になる。したがって、奇数段の各論理回路の動作は、すべて充電状態かあるいは放電状態であり、逆に偶数段の各論理回路の動作は、すべて放電状態かあるいは放電状態である。したがって、充電ダイオード及び放電ダイオードは、奇数段ごと、あるいは偶数段ごとに共通化することができる。上記構成により、奇数段の複数のスイッチング論理回路は、共通の第1充電ダイオードと、第1放電ダイオードとを備え、偶数段の複数のスイッチング論理回路は、共通の第2充電ダイオードと、第2放電ダイオードとを備える。したがって、回路構成が簡単になり、集積化が容易となる。
【0034】
また、第1極性のスイッチ素子は、pチャネルMOSトランジスタであり、第2極性のスイッチ素子は、nチャネルMOSトランジスタであり、ダイオードは、MOSトランジスタのゲートとドレインとを短絡して得られるMOSダイオードであることが好ましい。上記構成により、MOSトランジスタを基本とした簡明な回路構成とでき、集積化も容易となる。
【0035】
また、第1極性のスイッチ素子は、pチャネルMOSトランジスタであり、第2極性のスイッチ素子は、nチャネルMOSトランジスタであり、ダイオードは、ショットキーダイオードであることが好ましい。上記構成により、ダイオードの順方向立ち上がり電圧を小さくでき、またMOSダイオードにおいて生ずる基板効果による立ち上がり電圧の変化がないので、論理振幅をより大きくできる。
【0036】
また、本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路は、シリコン集積回路であることを特徴とする。したがって、小型化を図ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用い、本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下の説明では、4段の反転論理回路を縦続接続した例を示すが、段数は4段以外の複数段であればよい。また、各段の論理回路を構成するスイッチング素子としてpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタを用いたが、pnpバイポーラトランジスタとnpnバイポーラトランジスタを用いてもよく、また、極性の相互に異なるMOS構造以外の電界効果型トランジスタを用いてもよい。また、充電ダイオード及び放電ダイオードとしてnチャネル型のMOSダイオードを用いたが、pチャネル型のMOSダイオードを用いてもよい。また、一般的なpn接合ダイオードや、ショットキーダイオード等の他のタイプの整流素子を用いてもよい。
【0038】
図6は、擬似断熱的ダイナミック論理回路200として、反転論理回路を4段縦続接続した例を示す。擬似断熱的ダイナミック論理回路200は、4つのスイッチング回路201,202,203,204と、2つの繰り返し波電源回路211,212を含む。4つのスイッチング回路201,202,203,204は、先の段の出力端が次の段の入力端となるように、縦続接続される。4つのスイッチング回路201,202,203,204は、奇数段のスイッチング回路201,203のグループと、偶数段のスイッチング回路202,204のグループに区別され、奇数段のグループには第1繰り返し波電源回路211が接 続され、偶数段のグループには第2繰り返し波電源回路212が接続される。
【0039】
各スイッチング回路201,202,203,204は、繰り返し波電源回路への接続を除いて同様の構成を有する。例えば、奇数段の各スイッチング回路201,203は、pチャネルMOSトランジスタ240とnチャネルMOSトランジスタ242と、2つのnチャネル型MOSダイオード244,246とからなる。いま、MOSトランジスタのソースをS、ドレインをD、ゲートをG、基板をBと表すことにすると、pチャネルMOSトランジスタ240のゲートGとnチャネルMOSトランジスタ242のゲートGとは相互に接続され、各段のスイッチング回路における入力端子として用いられる。また、pチャネルMOSトランジスタ240のドレインDとnチャネルMOSトランジスタ242のドレインDとは相互に接続され、各段のスイッチング回路の出力端子として用いられる。
【0040】
また、2つのnチャネル型MOSダイオード244,246は、nチャネルMOSトランジスタのドレインDとゲートGとを短絡して形成される。すなわち、その短絡端子DGを正極側端子端子とし、ソースSを負極側端子として、両端子間の電圧−電流特性がダイオードの整流特性を有する素子として用いられる。一方のnチャネル型MOSダイオード244の負極側端子はpチャネルMOSトランジスタ240のソースSに接続されて充電用のダイオードとして用いられ、他方のnチャネル型MOSダイオード246の正極側端子はnチャネルMOSトランジスタ242のソースSに接続されて放電用のダイオードとして用いられる。
【0041】
各スイッチング回路201,203を構成するpチャネルMOSトランジスタ240の基板Bは、正バイアスの基板電源回路230に接続され、nチャネルMOSトランジスタ242の各基板Bと、nチャネル型MOSダイオード244,246の各基板Bは、接地電位に接続される。
【0042】
偶数段の各スイッチング回路202,204も、pチャネルMOSトランジスタ250とnチャネルMOSトランジスタ252と、2つのnチャネル型MOSダイオード254,256とからなり、各構成要素における接続関係は、上に述べた奇数段の各スイッチング回路201,203における各構成要素の接続関係と同じである。
【0043】
奇数段の各スイッチング回路201,203と偶数段の各スイッチング回路202,204とで異なるのは、繰り返し波電源回路との接続である。すなわち、奇数段の各スイッチング回路201,203においては、一方のnチャネル型MOSダイオード244、すなわち充電用のダイオードの正極側端子と、他方のnチャネル型MOSダイオード246、すなわち放電用のダイオードの負極側端子とが第1繰り返し波電源回路211に接続される。これに対し、偶数段の各スイッチング回路202,204においては、充電用ダイオードである一方のnチャネル型MOSダイオード254の正極側端子と、放電用ダイオードである他方のnチャネル型MOSダイオード256の負極側端子とが第2繰り返し波電源回路212に接続される。
【0044】
第1繰り返し波電源回路211の出力電圧と第2繰り返し波電源回路212の出力電圧とは、相互の位相が逆位相の関係に設定される。第1繰り返し波電源回路211と第2繰り返し波電源回路212とはそれぞれ独立に設けることもでき、あるいは第1繰り返し波電源回路211に反転回路を接続し、その反転回路の出力電圧を第2繰り返し波電源回路212の出力電圧に相当するものとして用いることもできる。
【0045】
図6の構成の擬似断熱的ダイナミック論理回路について動作確認した結果、繰り返し波電源を振幅5Vの5MHz正弦波とし、初段入力信号を振幅5Vの1MHz矩形波として、動作時の消費電力として370nWを得ることができた。ここで用いたnチャネルMOSトランジスタ及びpチャネルMOSトランジスタは、ゲート酸化膜厚25nm、チャネル長1.2μm、チャネル幅10μm、nチャネルMOSトランジスタのしきい値0.8V、pチャネルMOSトランジスタのしきい値−0.8Vである。nチャネル型MOSダイオードは、スイッチング素子として用いたnチャネルMOSトランジスタと同じものをそのゲートGとドレインDとを短絡して用いている。pチャネルMOSトランジスタの基板バイアス電源は、接地電位に対し+5Vに設定してある。
【0046】
この動作時の性能は、同じnチャネルMOSトランジスタ及びpチャネルMOSトランジスタを用いて4段縦続接続の断熱的ダイナミック論理回路の性能と比較して、同じ消費電力において動作速度が断熱的ダイナミック論理回路よりもおよそ5倍速い。また、同じnチャネルMOSトランジスタ及びpチャネルMOSトランジスタを用いた4段縦続接続のCMOS論理回路の性能と比較して、同じ動作速度において消費電力はCMOS論理回路のおよそ1/2ですむ。
【0047】
図7に、他の擬似断熱的ダイナミック論理回路300を示す。この例では、充電用のダイオードと放電用のダイオードを各段ごとに設けるのでなく、奇数段の各論理回路に共通の1つの充電ダイオードと共通の1つの放電ダイオードを設け、これと別に偶数段の各論理回路に共通の1つの充電ダイオードと共通の1つの放電ダイオードを設ける。このようにできる理由は以下のとおりである。縦続接続において、例えば初段が放電動作を行っていれば、次段は充電動作を行い、その次の段は放電動作、さらにその次の段は充電動作を行う。つまり、奇数段はすべて放電動作、偶数段はすべて充電動作を行うことになる。逆に、初段が充電動作を行うときは、奇数段はすべて充電動作、偶数段はすべて放電動作を行うことになる。したがって、縦続接続の各段を奇数段のグループと偶数段のグループに分けることで、それぞれ充電ダイオード及び放電ダイオードの共通化を図ることができる。
【0048】
図7に示すように、初段のpチャネルMOSトランジスタ240のソースSと、3段目のpチャネルMOSトランジスタ240のソースSとは、共通のnチャネル型MOSダイオード304の負極側端子であるソースSと接続される。ここでnチャネル型MOSダイオード304は、奇数段に共通の充電ダイオードの機能を有する。また、初段のnチャネルMOSトランジスタ242のソースSと、3段目のnチャネルMOSトランジスタ242のソースSとは、共通のnチャネル型MOSダイオード306の正極側端子であるゲートGとドレインDとの短絡端子と接続される。ここでnチャネル型MOSダイオード306は、奇数段に共通の放電ダイオードの機能を有する。同様に、偶数段に共通の充電ダイオードとしてnチャネル型MOSダイオード314が設けられ、偶数段に共通の放電ダイオードとしてnチャネル型MOSダイオード316が設けられる。
【0049】
このように、充電ダイオードと放電ダイオードについて共通化を行うことで、回路構成がより簡明になり、回路の小型化を図ることができる。
【0050】
上記において、擬似断熱ダイナミック論理回路の例として、反転論理回路の縦続接続について説明したが、擬似断熱ダイナミック論理回路としては、他の論理回路の縦続接続であってもよい。例えば、OR,NOR,AND,NOR等の論理回路を含む縦続接続であってもよい。
【0051】
図8は、NOR論理回路を含む擬似断熱ダイナミック論理回路の例として、NOR論理回路とそれに縦続接続される反転論理回路の部分を抜き出して示した図である。この例において、2入力NOR論理回路350と反転論理回路352とが縦続接続され、2入力NOR論理回路350には第1繰り返し波電源回路360が接続され、反転論理回路352には第2繰り返し波電源回路362が接続される。第1繰り返し波電源回路360の出力電圧と第2繰り返し波電源回路362の出力電圧とは、相互に位相が逆位相の関係に設定される。充電ダイオードがpチャネルMOSトランジスタ側に接続され、放電ダイオードがnチャネルMOSトランジスタ側に接続されることは図6等と同様である。
【0052】
図9は、2入力NOR論理回路350における2つの入力信号電圧Vin1,Vin2と、出力信号電圧Voutとのタイミング関係を示す図で、横軸に時刻、縦軸に電圧を取ってある。このように、2入力NOR論理回路350において放電動作は、2つの入力信号電圧Vin1,Vin2のうち「Lレベル」から「Hレベル」への立ち上がりが早い方の入力信号に支配されて行われ、充電動作は、2つの入力信号電圧Vin1,Vin2のうち「Hレベル」から「Lレベル」への立下りが遅い方の入力信号に支配されて行われる。したがって、2つの入力信号電圧Vin1,Vin2に支配されて論理遷移が起こることを除けば、充電動作と放電動作が交代に起こることは1入力支配の反転論理回路と同じである。つまり、2入力NOR論理回路350の前の段で充電動作が行われれば、2入力NOR論理回路350では放電動作が行われ、2入力NOR論理回路350の次の段である反転論理回路362では充電動作が行われる。そこで、縦続接続において例えば2入力NOR論理回路350が奇数段に相当すれば、他の奇数段と同じ第1繰り返し波電源回路360を2入力NOR論理回路350に接続し、2入力NOR論理回路350の前後の段等の偶数段に対しては、第1繰り返し波電源回路360の出力電圧と逆位相の関係にある出力電圧を供給する第2繰り返し波電源回路360を接続することで、擬似断熱的ダイナミック論理回路を構成することができる。
【0053】
図10は、シリコン集積回路化した擬似断熱的ダイナミック論理回路400の模式断面図である。図10においては、擬似断熱的ダイナミック論理回路の一部として縦続接続された反転論理回路の2段分が示される。この例では、n型シリコン基板にpウエルが作りこまれ、n型基板部分にpチャネルMOSトランジスタ442,452が形成され、pウエル部分にnチャネルMOSトランジスタ440,450及びnチャネル型MOSダイオード444,446,454,456が形成される。なお、図示されていないが、各pウエルには最低電位が、n型基板には最高電位が与えられて、各デバイスの分離が行われる。
【0054】
縦続接続の前段の反転論理回路401は、nチャネル型MOSダイオード444とpチャネルMOSトランジスタ442とnチャネルMOSトランジスタ440とnチャネル型MOSダイオード446とが直列に接続され、nチャネル型MOSダイオード444,446には第1繰り返し波電源回路411が接続される。pチャネルMOSトランジスタ442のゲートGとnチャネルMOSトランジスタ440のゲートGとは相互に接続されて入力端子となり、その前の段から入力信号電圧Vinが加えられる。pチャネルMOSトランジスタ442のドレインDとnチャネルMOSトランジスタ440のドレインDとは相互に接続されて出力端子となり、その出力信号電圧Voutは、後段の反転論理回路402の入力端子に入力される。後段の反転論理回路402の構成も同様で、異なるのは、充電ダイオードであるnチャネル型MOSダイオード454と放電ダイオードであるnチャネル型MOSダイオード446に第2繰り返し波電源回路412が接続されることである。既に述べているように、第2繰り返し波電源回路412の出力電圧は、第1繰り返し波電源回路411の出力電圧と相互に逆位相の関係に設定される。
【0055】
【発明の効果】
本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路においては、繰り返し波電源を用いつつ、より高速な動作が可能になる。本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路においては、繰り返し波電源を用いつつ、より集積度をあげることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】断熱的ダイナミック論理回路(4段縦続接続ADCL回路)を示す図である。
【図2】図1における、繰り返し波電源電圧Vφ及び各段の入力信号電圧V1,V2,V3,V4のタイムチャートである。
【図3】本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路の原理説明図である。
【図4】図3における、第1繰り返し波電源電圧Vφ1と第2繰り返し波電源電圧Vφ2と各段の入力信号電圧V1,V2,V3,V4のタイムチャートである。
【図5】本発明に係る擬似断熱的ダイナミック論理回路と、従来の断熱的ダイナミック論理回路及びC/MOS論理回路と比較して並べた図である。
【図6】本発明に係る実施の形態における擬似断熱的ダイナミック論理回路として、反転論理回路を4段縦続接続した例を示す図である。
【図7】他の擬似断熱的ダイナミック論理回路を示す図である。
【図8】NOR論理回路を含む擬似断熱ダイナミック論理回路の例を示す図である。
【図9】図8における2つの入力信号電圧Vin1,Vin2と出力信号電圧Voutのタイミングチャートである。
【図10】本発明に係る実施の形態におけるシリコン集積回路化した擬似断熱的ダイナミック論理回路の模式断面図である。
【図11】ADCL回路の基本構成を示す図である。
【図12】ADCL回路の動作を説明するタイムチャートである。
【図13】ADCL回路の他の構成例を示す図である。
【図14】ADCL回路のさらに他の構成例を示す図である。
【図15】CMOSインバータ回路の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10,50,52,54 ADCL回路、12,201,202,203,204 スイッチング回路、14 繰り返し波電源、22 充電電流パス、24 放電電流パス、26,240,250,442,452 pチャネルMOSトランジスタ、28,32 ダイオード、30,242,252,440,450 nチャネルMOSトランジスタ、42 入力端子、44 出力端子、100,200,300,400 擬似断熱的ダイナミック論理回路、101,102,103,104,352,362,401,402 反転論理回路、111,112,211,212,360,362,411,412 繰り返し波電源回路、244,246,254,256,304,306,314,316,444,446,454,456 nチャネル型MOSダイオード。
Claims (5)
- 繰り返し波電源と、縦続接続された複数段のスイッチング論理回路とを含む縦続接続論理回路であって、
各段のスイッチング論理回路は、
並列に接続された充電電流パスと放電電流パスを介して、出力端子に繰り返し波電源が接続され、
充電電流パスは、繰り返し波電源から出力端子に向かって順方向に接続された充電ダイオードと、直列に接続された第1極性のスイッチ素子とを含み、
放電電流パスは、出力端子から繰り返し波電源に向かって順方向に接続された放電ダイオードと、直列に接続された第1極性と逆の極性の第2極性のスイッチ素子とを含み、
両スイッチ素子の共通制御端子を入力端子とし、
充電電流パスと放電電流パスとの接続点を出力端子とし、
繰り返し波電源は、
奇数段のスイッチング論理回路に接続される第1繰り返し波電源と、
偶数段のスイッチング論理回路に接続され、第1繰り返し波電源と逆位相の関係にある第2繰り返し波電源とを含み、
各段のスイッチ論理回路において、第1極性のスイッチ素子がONすることで、繰り返し波電源から充電電流パスを介して充電が行われて出力端子電圧がLレベルからHレベルに変化し、第2極性のスイッチ素子がONすることで繰り返し波電源へ向かって放電電流パスを介して放電が行われて出力端子電圧がHレベルからLレベルに変化し、かつ、縦続接続における先の段の出力電圧の変化とともに後の段の出力電圧が変化することを特徴とする擬似断熱的ダイナミック論理回路。 - 請求項1に記載の擬似断熱的ダイナミック論理回路において、
奇数段の複数のスイッチング論理回路は、
共通の第1充電ダイオードと、第1放電ダイオードとを備え、各段の第1極性のスイッチ素子がそれぞれ第1充電ダイオードに接続されて各充電電流パスを構成し、各第2極性のスイッチ素子がそれぞれ第1放電ダイオードに接続されて各放電電流パスを構成し、
偶数段の複数のスイッチング論理回路は、
共通の第2充電ダイオードと、第2放電ダイオードとを備え、各段の第1極性のスイッチ素子がそれぞれ第2充電ダイオードに接続されて各充電電流パスを構成し、各第2極性のスイッチ素子がそれぞれ第2放電ダイオードに接続され各放電電流パスを構成することを特徴とする擬似断熱的ダイナミック論理回路。 - 請求項1または請求項2に記載の擬似断熱的ダイナミック論理回路において、
第1極性のスイッチ素子は、pチャネルMOSトランジスタであり、第2極性のスイッチ素子は、nチャネルMOSトランジスタであり、ダイオードは、MOSトランジスタのゲートとドレインとを短絡して得られるMOSダイオードであることを特徴とする擬似断熱的ダイナミック論理回路。 - 請求項1または請求項2に記載の擬似断熱的ダイナミック論理回路において、
第1極性のスイッチ素子は、pチャネルMOSトランジスタであり、第2極性のスイッチ素子は、nチャネルMOSトランジスタであり、ダイオードは、ショットキーダイオードであることを特徴とする擬似断熱的ダイナミック論理回路。 - 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の擬似断熱的ダイナミック論理回路は、シリコン集積回路であることを特徴とする擬似断熱的ダイナミック論理回路。
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