JP2004315410A - 縮毛矯正と染毛の同時施術方法 - Google Patents

縮毛矯正と染毛の同時施術方法 Download PDF

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Abstract

【課題】染毛に使用する染料が縮毛矯正剤による影響を全く受けることなく、堅牢かつ優れた仕上がり感の染毛施術が可能な縮毛矯正と染毛とを連続的に同時に行う方法を提供する。
【解決手段】毛髪還元性第1剤と酸化性第2剤とからなる縮毛矯正剤を用いる縮毛矯正術と染毛施術とを毛髪に対して連続的に1回で行う方法であって、毛髪を前記第1剤で処理して還元状態にする工程、塩基性染料および/またはHC染料を含有するトリートメント剤で染毛処理を行う工程、前記還元状態にあり、着色された毛髪を前記第2剤で処理することにより酸化して元に戻す工程、の一連の連続工程からなる縮毛矯正と染毛の同時施術方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は縮毛矯正施術と染毛(カラリング)施術とを一連の連続工程により同時に行う方法に関する。また本発明は縮毛矯正と染毛との両方の施術を、両施術間に日にちをおかず、同時に行うにも係わらず毛髪へのダメージがなく、しかも堅牢な染色が可能な効果的方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
縮毛矯正と染毛の同時施術方法は、期間をあけて2度行わなければならない既存の方法(2回法)と比べて、被施術者が2度足を運ばなければならない時間的な手間を省き、煩わしさがない便宜さゆえに、その普及が切に要望され、近年種々の方法が試みられており技術的にも改良されつつある。
【0003】
ところで、毛髪を分子構造的にみれば、縦の主鎖であるポリペプタイド主鎖と、側鎖のペプタイド結合、シスチン結合、塩結合、水素結合とからなっている。ペプタイド結合は主にヘアカラー(ヘアダイ)に関係し、シスチン結合はパーマネントウエーブに関係し、塩結合はカラーリンスやヘアマニキュア、酸性染料等のイオン染着に関係し、水素結合はセットやブローに関係している。
本発明の用語“染毛”施術とは、この塩結合に関係するヘアマニキュアないしカラーリンスの範疇に属する染料を用いる方法を意味する。また縮毛矯正施術とは、シスチン結合に関係する施術である。
【0004】
冒頭に述べた同時施術方法において、染毛料として酸化型染料を用いて行うヘアカラーは、永久的染毛であって、染着力が最も強く堅牢であるかわりに毛髪と皮膚を傷める度合いも最も大きく、アレルギー症状を引き起こす恐れがあり、危険性が大きいためその同時使用は薬事法で禁止されている。つまり縮毛矯正と酸化型染料による永久ヘアダイとの同時施術は不可能である。そのため、そのような危険が少ない染毛料として酸性染料を使用する方法が現在では一般的である。
【0005】
酸性染毛料は一般にヘアマニキュアとも称される半永久染毛料に属し、発色団分子内にカルボキシル基またはスルホン酸基を有するアニオン物質であるが、一般に酸性染毛料は毛髪組織中に定着しにくく洗い出され易いという難点がある。酸性染毛料を用いた染毛を縮毛矯正と同時に行おうとするとき、その酸性染料の中には、縮毛矯正剤の還元剤(第1剤)や酸化剤(第2剤)と混ざると分解して色調が変化するものがあり、同時に使用することが困難であるので、酸性染料を使用する染毛は矯正施術の終了した後でのみ可能であった。
また縮毛矯正と染毛とを同時に行う施術方法は公知であるが(例えば特許文献1参照)、染毛料の選択には様々な困難を伴っていた。
【0006】
【特許文献1】特開平5−155743号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来方法の欠点に鑑みて、縮毛、癖毛、パーマヘアなどをストレートヘアに改変する縮毛矯正施術と染毛施術とを連続的に同時に行うための、より効果的な方法を追求する過程において、縮毛矯正剤として使用される第1剤のチオグリコール酸等の還元剤や第2剤の臭素酸ナトリウム、過酸化水素等の酸化剤によって、塩基性染料およびHC染料が作用を受けず、色調の変化もないことを知見し、第1剤による還元工程と第2剤による酸化工程との間に、塩基性染料およびHC染料を含むトリートメント剤を用いた染毛工程を導入する方法を見出し、本発明に至ったものである。
従って本発明の目的は、還元剤を含む第1剤と酸化剤を含む第2剤とからなる縮毛矯正剤を用いる矯正施術と染毛施術とを連続的に同時に行うにあたり、染毛に使用する染料がそれら矯正剤による影響を全く受けることがなく、堅牢かつ優れた仕上がり感の染毛施術が可能な方法を提供することにある。また矯正剤による影響なく、カラーリンス剤としての100%の効果を発揮できる染毛方法を導入することによって、毛髪への損傷なくトリートメント効果により艶、光沢、手触りに優れた毛髪を得ることのできる同時施術方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は、毛髪還元性第1剤と酸化性第2剤とからなる縮毛矯正剤を用いる縮毛矯正施術と染毛施術とを毛髪に対して連続的に1回で行う方法であって、毛髪を前記第1剤で処理して還元状態にする工程、塩基性染料および/またはHC染料を含有するトリートメント剤で染毛処理を行う工程、前記還元状態にあり、着色された毛髪を前記第2剤で処理することにより酸化して元に戻す工程、の一連の連続工程からなることを特徴とする縮毛矯正と染毛の同時施術方法である。
本発明を通じて使用される用語“HC染料”とは、ニトロ基を有するヘアカラー用ニトロ染料を意味する。
本発明の同時縮毛矯正・染毛方法において、染毛施術を前記第1剤処理と第2剤処理との中間工程で行うことは必要不可欠である。染毛処理を第1剤処理前に行っても或いは第2剤処理後に行っても本発明の目的、効果は達成されないのである。これは後述の比較実施例からも確認されている。
【0009】
先ず、本発明で使用する縮毛矯正剤を構成する第1剤は、主として還元剤とアルカリ剤とを含み、第2剤は主として酸化剤を含むものである。第1剤還元剤、第2剤酸化剤等は市場において広く入手、使用されている薬剤で充分であり、その処方についても一般的に知られているもので充分であり、本発明のために特別な薬品等を追加する必要は全くない。また矯正施術の手順も常法により行うことができる。
即ち、第1剤の還元剤としては例えばチオグリコール酸塩、チオ乳酸、システイン、システアミン、アセチルシステイン、チオグリセリン、亜硫酸塩等が挙げられる。第1剤にはアルカリ剤としてアンモニア水、エタノールアミン、アンモニウム塩などが配合される。還元剤の浸透をよくする浸透剤や乳化剤として主にノニオン界面活性剤が配合される。使用後の感触をよくする目的でカチオン界面活性剤が配合される場合もある。さらに還元剤は酸化されやすいので、金属封鎖剤が配合される。その他頭髪の損傷防止や保護のために、ラノリンなどの油性成分、NMF(天然保湿因子)その他の保湿剤などが配合される。特にダメージヘアなどの積極的な補修を目的として、タンパク質やその加水分解物であるポリペプチド、アミノ酸等を配合する場合もある。
【0010】
第2剤の酸化剤としてはたとえば臭素酸塩または過酸化水素水が使用される。その場合、臭素酸塩は3.2%以上、pHは4.0〜9.0の範囲内であり、過酸化水素は2.5%以下、pHは2.5〜4.5の範囲内で使用することが義務づけられている。
【0011】
前記第1剤処理後であって第2剤処理前、即ち縮毛矯正施術の中間に適用される染毛剤としては、塩基性染料および/またはHC染料を含むトリートメント組成液が使用される。本発明の実施において好適なのは両者の組み合わせを使用することであるが、いずれか一方を使用することもできる。
本発明で使用される塩基性染料および/またはHC染料は公知或いは市場で入手可能な染毛剤の中から広く目的、好みに応じて選択、組み合わせ、使用することができる。化学構造的に言えば、HC染料はニトロ基をもつニトロ染料であり、塩基性染料はアミノ基をもつアルカリ染料、カチオン染料である。市場で入手可能なのはHCカラー染料(たとえばHuwell社製)、各種塩基性カラー染料であり、これらをトリートメント組成液染毛料の主剤とすることができる。HCカラー染料としては例えばHC赤3、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC青2等が挙げられる。塩基性カラー染料としては、例えば塩基性赤46、塩基性赤22、塩基性赤76、塩基性橙1、塩基性黄11、塩基性黄57、塩基性緑4、塩基性青3、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性紫2、塩基性紫4、塩基性紫14等が挙げられる。それらをトリートメント組成液として使用する場合の染料濃度範囲は、0.01〜5.0%の範囲、好ましくは0.1%〜2.0%である。HCカラー染料と塩基性染料のいずれか一方を使用する場合或いは両方を併用する場合も濃度範囲は0.1〜2.0%程度とするのが好ましい。
【0012】
HCカラー染料および塩基性染料のトリートメント組成液は、前者の染料の外に、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、セタノール等の高級アルコール、ベンジルアルコール等の染色助剤、オリーブ油、コハク酸ジエトキシエチル等の油性成分、シリコン等の慣用の成分を配合して調製することができる。
【0013】
次に、本発明の縮毛矯正と染毛との同時施術方法について述べると、個々の処理自体は基本的に夫々単独の施術方法の常法の処理と同様である。例えば(1)矯正剤第1剤塗布、(2)ラッピングおよび10〜20分間の自然放置、(3)還元度テスト、(4)第1剤水洗(中間水洗)、(5)ヘアドライアー等による完全乾燥、(6)HC染料と塩基性染料を含有するトリートメント組成液の塗布・ラッピングと自然放置(10〜20分間)、(7)水洗、(8)ヘアドライアー等によるブローおよびヘアアイロンでの完全乾燥、(9)第2剤塗布(15〜20分間)、(10)水洗・仕上げの順に各処理を施す方法がある。すなわち、第1剤処理と染毛施術の後に縮毛の矯正を確実にするテクニックを追加している。
【0014】
或いはまた、(1)第1剤塗布、(2)ラッピングとその後の自然放置、(3)還元度テスト、(4)第1剤水洗、(5)ヘアドライアー等によるブローおよびヘアアイロンでの完全乾燥、(6)HC染料および塩基性染料を含有するトリートメント組成液の塗布・ラッピングと自然放置、(7)水洗、(8)第2剤塗布、(9)水洗・仕上げの順で行い、(7)と(8)の間で乾燥(ヘアドライアーによる)工程を省略して短時間で終了することもできる。すなわち縮毛矯正を確実にするテクニックを、第1剤塗布後であって、染毛施術前に行う方法である。
上記いずれの施術方法によっても、艶、光沢、手触り、持ちのよい髪の効果が達成される。
【0015】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は縮毛矯正施術の第1剤と第2剤の中間に塩基性染料とHC染料とを含む染毛料による染毛施術を行いさえすればよく、他の処理方法たとえば洗浄、乾燥、ブロー法やアイロン法などの矯正技術、あるいは他の薬剤の併用などの、慣用方法を適宜採りいれることができる。
【0016】
【実施例1】
先ず、下記表1に示す処方による3種類の縮毛矯正剤第1剤薬剤組成物と表2に示す処方による2種類の第2剤薬剤組成物を調製し、他方表3に示す処方の3種類のHC染料、塩基性染料を含有するトリートメント組成物を調製した。それらを組み合わせることにより、本発明の施術法の試験のために合計18種類の薬剤組成物の組み合わせを用意した。
施術方法としては、次の2つの方法を採用した。即ち施術法1は、第1剤塗布・ラッピングおよび自然放置・還元度テスト・第1剤水洗・ヘアドライアーで完全乾燥・HC染料/塩基性染料を含有するカラートリートメント組成液塗布・ラッピングおよび自然放置・水洗・ヘアドライアーによるブローおよびヘアアイロンで完全乾燥・第2剤塗布・水洗・仕上げの連続的工程からなる。施術法2は第1剤塗布・ラッピングおよび自然放置・還元度テスト・第1剤水洗・ヘアドライアーによるブローおよびヘアアイロンで完全乾燥・カチオン染料/塩基性染料を含有するカラートリートメント組成液塗布・ラッピングおよび自然放置・水洗・第2剤塗布・水洗・仕上げの連続的工程である。
施術方法試験の評価は、20人の被検者について染毛処理後の染料の染色性、色調を5人の美容師の判定によって行った。試験結果は表4〜6にまとめて記載する通りである。以上より明らかなように、第1剤のチオグリコール酸アンモニウム、システイン、システアミン塩酸塩、第2剤の臭素酸ナトリウム、過酸化水素などの使用はHC染料/塩基性染染料を含有するカラートリートメント組成液塗布・ラッピングおよび自然放置・水洗・第2剤塗布・水洗・仕上げの連続的工程である。
施術方法試験の評価は、20人の被検者について染毛処理後の染料の染色性、色調を5人の美容師の判定によって行った。試験結果は表4〜6にまとめて記載する通りである。以上より明らかなように、第1剤のチオグリコール酸アンモニウム、システイン、システアミン塩酸塩、第2剤の臭素酸ナトリウム、過酸化水素などの使用はHC染料/塩基性染料カラートリートメント剤による染色毛髪の色合いを変化させることはなかった。
【0017】
【表1】
Figure 2004315410
【0018】
【表2】
Figure 2004315410
【0019】
【表3】
Figure 2004315410
【0020】
【表4】
Figure 2004315410
【0021】
【表5】
Figure 2004315410
【0022】
【表6】
Figure 2004315410
【0023】
実施例2
縮毛矯正剤として、上記表1に示した処方例1−1の第1剤と、表2に示した処方例2−1の第2剤との組み合わせを用い、HC染料/塩基性染料カラートリートメント剤としては処方例3−3を用いて、後者を第1剤の処理前に(下記実験2)、本発明方法による第1剤と第2剤との中間に(実験1)、あるいは第2剤の処理後に(実験3)夫々使用して、比較実験を行った。コントロールとして、縮毛矯正剤を施されていない髪を染色した(実験4)。いずれの場合も、人毛をブリーチした髪を用いて各薬剤を施した。
その結果を表7に示す。これより、縮毛矯正剤で施術する前に染毛施術をした場合(実験2)、色落ちが多く見られたのに対し、本発明のように縮毛矯正施術の中間に(第1剤と第2剤との中間に)染毛施術をした場合は染色もよく、毛髪の手触り、感触もよいことが分かる。縮毛矯正後に染毛施術を行った場合、目視では本発明結果と変わりがないが、手触り、感触の点で明らかに劣ることが分かる。
【0024】
【表7】
Figure 2004315410
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明方法は、染料としてHC染料および/または塩基性染料含有カラートリートメント剤を使用するので、その薬剤を用いて染毛と同時に縮毛矯正剤処理を行っても、従来のように染料が第1剤還元剤や第2剤酸化剤の影響を何ら受けることがなくその効果を十全に発揮することができるので、同時矯正・染毛施術が可能となったものである。このようにトリートメント成分と薬事法上化粧品である塩基性染料とを使用するので、頭皮が染まりにくく、人体に対する害もない。また2回に亘って被施術者が足を運び、非施術者に施術する必要がないので、時間の著しい短縮と便宜が達成されるのみならず、見た目、風合い、感触も良い毛髪の効果が得られる。また高い染色堅牢性が達成される。

Claims (3)

  1. 毛髪還元性第1剤と酸化性第2剤とからなる縮毛矯正剤を用いる縮毛矯正施術と染毛施術とを毛髪に対して連続的に1回で行う方法であって、
    毛髪を前記第1剤で処理して還元状態にする工程、次いで塩基性染料および/またはHC染料を含有するトリートメント剤で染毛処理を行う工程、前記還元状態の、染毛された毛髪を前記第2剤で処理することにより酸化する工程、の一連の連続工程からなることを特徴とする縮毛矯正と染毛の同時施術方法。
  2. 染毛処理工程と第2剤処理工程との間に、ヘアドライアーによるブローならびにヘアアイロンによるプレス工程を介在させることからなる請求項1に記載の縮毛矯正と染毛の同時施術方法。
  3. 第1剤処理工程と染毛処理工程との間に、ヘアドライアーによるブローならびにヘアイロンによるプレス工程を介在させることからなる請求項1に記載の縮毛矯正と染毛の同時施術方法。
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