JP2004314323A - 通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法 - Google Patents

通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】第1に、配設される接着剤の条線幅,条線高さ,接着量等を、一定にコントロールでき、第2に、母材シート裏面へのしみ出しがなく、ブロッキング事故が回避され、第3に、準備や後片付けが容易であり、環境面にも優れており、製造装置が簡単化されメンテナンスも容易化される、通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法を提案する。
【解決手段】この製造方法では、通気性,通液性を備えた母材シート2間の条線接着に、細帯状に加工したフィルム状接着剤3を採用してなる。すなわち、母材シート2間にフィルム状接着剤3を、一定ピッチで条線状に配設すると共に、母材シート2を介して隣接したフィルム状接着剤3同士が、半ピッチずつずれた位置関係で重積した後、母材シート2間を、加熱加圧により溶融硬化したフィルム状接着剤3にて接着してから、展張することによりハニカムコアを得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法に関する。すなわち、母材シートを重積,条線接着,展張して、通気性,通液性を備えたハニカムコアを製造する方法に、関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなハニカムコアは、従来、次のように製造されていた。まず、通気性,通液性を備えた母材シート、例えばガラス繊維製の母材シートの表面に、溶融した液状の接着剤を、一定幅とピッチで条線状に塗布した後、→多数枚の母材を、条線状に塗布された接着剤が半ピッチずつずれた位置関係で、重積する。
→それから、加熱加圧することにより、重積された母材シート間を、接着剤にて条線状に接着した後、→重積方向に引張力を加えて展張することにより、→通気性,通液性を備えたハニカムコアを製造していた。
【0003】
《先行技術文献情報》
このようなハニカムコアの製造方法の先行技術文献情報としては、例えば、次の特許文献1,2に示されたものが、挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭64−31630号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平2−111527号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
《第1の問題点》
ところで、このような従来の通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法にあっては、次の問題が指摘されていた。
第1に、条線状に塗布された接着剤について、条線幅,条線高さ,塗布量,接着量等が一定とならず、不揃いとなり易くムラが発生する、という問題が指摘されていた。
すなわち、従来の製造方法にあっては、母材シートの表面に接着剤を条線状に塗布する際、溶融した液状の接着剤が、一定幅寸法にコントロールされずに、条線幅に不揃い・ムラが発生し易く、又、表面張力の関係で一定高さ寸法(塗布厚)にコントロールされずに、条線高さに不揃い・ムラが発生し易かった。
更に、接着剤の塗布量も、一定量にコントロールされずに、条線毎や母材シート毎に、塗布量そして接着量の不揃い・ムラが発生し易かった。
そして、このような条線幅,条線高さ,塗布量,接着量等の不揃い・ムラは、ハニカムコアの製造不良の原因となっていた。
【0007】
《第2の問題点》
第2に、塗布された接着剤が、母材シートの裏面にしみ出して、ブロッキング事故が発生し易い、という問題が指摘されていた。
すなわち、従来の製造方法によると、通気性,通液性を備えた母材シートの表面に条線状に塗布された溶融した液状の接着剤が、母材シートの裏面側に、しみ出てしまうことが多々あった。そして、母材シートが重積された際、更には加熱加圧された際、このように裏面にしみ出た接着剤により、所定の条線箇所以外の箇所でも母材シート間が接着されてしまう、ブロッキング事故が多々発生していた。
そして、このように工程途中で、重積された母材シートが全体的にブロック状に接着されてしまうと、事後の展張が実施不能となり、ハニカムコアが製造困難となっていた。
【0008】
《第3の問題点》
第3に、準備や後片付けに手間取り、環境面にも難点があり、製造装置も複雑でメンテナンスも面倒である、という問題が指摘されていた。
すなわち、従来の製造方法では、溶融した液状の接着剤を使用するので、余分な接着剤も取扱うことになり、その分、準備に手間取ると共に後片付けにも手間取る、という問題があった
又、溶融した液状の接着剤には、必須的に溶剤が用いられており、環境問題を生じる懸念があった。更に、溶融した液状の接着剤の溶融・吐出装置が必要であり、その分、製造装置が複雑化し、メンテナンスも面倒である、という指摘があった。
【0009】
《本発明について》
本発明の通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の問題点を解決すべくなされたものである。
そして、通気性,通液性を備えた母材シート間の条線接着に、細帯状に加工したフィルム状接着剤を採用したこと、を特徴とする。
もって本発明は、条線状に配設される接着剤について、第1に、条線幅,条線高さ,接着量等を一定にコントロールでき、第2に、母材シート裏面へのしみ出しがなく、ブロッキング事故が回避され、第3に、準備や後片付けが容易であり、環境面にも優れており、製造装置が簡単化されてメンテナンスも容易化される、通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法を提案すること、を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1の通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法では、まず、通気性,通液性を備えた母材シート間に、フィルム状接着剤を、一定ピッチで条線状に配設すると共に、該母材シートを介して隣接する該フィルム状接着剤同士が、半ピッチずつずれた位置関係で重積する。
そして、重積された該母材シート間を、加熱加圧により溶融硬化した該フィルム状接着剤にて接着してから、展張することによりハニカムコアを得ること、を特徴とする。
【0011】
請求項2については次のとおり。請求項2の通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法では、請求項1において、まず、通気性,通液性を備え帯状をなす2枚の該母材シートと、細帯状に加工された該フィルム状接着剤とを、準備する。
それから、両該母材シートの対向する内面間に、該フィルム状接着剤を、一定ピッチで条線状に配設すると共に、一方の該母材シートの外面に、該フィルム状接着剤を、両該母材シートの内面間に配設された該フィルム状接着剤とは半ピッチずつずれた位置関係のもとに、一定ピッチで条線状に配設する。
そして次に、加熱加圧により溶融硬化した該フィルム状接着剤にて、両該母材シート間を仮接着してから、仮接着された両該母材シートを一定長さ毎に切断し、もって多数組・多数枚の該母材シートを、条線状の該フィルム状接着剤が半ピッチずつずれた位置関係で、重積する。
しかる後、加熱加圧により溶融硬化した該フィルム状接着剤にて、多数枚の該母材シート間を接着してから、重積方向に引張り力を加えて展張することにより、通気性,通液性を備えた該ハニカムコアを得る。
【0012】
《作用について》
本発明の製造方法は、このようになっているので、次のようになる。
▲1▼まず、通気性,通液性を備え帯状をなす母材シートと、細帯状に加工されたフィルム状接着剤が、準備される。例えば、母材シートは2枚準備される。
▲2▼次に、フィルム状接着剤が、母材シート間に条線状に配設されると共に、母材シートを介し相互間では半ピッチずれた位置関係として、多数枚の母材シートが重積される。
▲3▼例えば、フィルム状接着剤は、2枚の母材シートの内面間に、条線状に配設されると共に、一方の母材シートの外面に、内面間のものとは半ピッチずれた位置関係で条線状に配設される。そして、加熱加圧により溶融硬化したフィルム状接着剤にて、両母材シート間が仮接着され、一定長さ毎に切断された後、多数組・多数枚の母材シートが、フィルム状接着剤が半ピッチずれた位置関係で、重積される。
【0013】
▲4▼この製造方法では、このように、予め細帯状に加工されたフィルム状接着剤が、母材シートに条線状に配設される。そこで、その条線幅,条線高さ,塗布量,接着量等は、不揃い・ムラなく一定にコントロールされる。
▲5▼更にこの製造方法では、このように、細帯状に加工されたフィルム状接着剤が、母材シートの表面に配設される。
そこで、通気性,通液性を備えた母材シートではあるが、フィルム状接着剤が、その表面から裏面にしみ出ることはなく、もって、しみ出した接着剤にて重積された母材シートが条線箇所以外でも接着されてしまう、ブロッキング事故は回避される。
【0014】
▲6▼さて次に、加熱加圧が行われ、重積された母材シート間が、溶融硬化したフィルム状接着剤にて接着される。
▲7▼しかる後、重積,接着された母材シートは、重積方向に展張され、もって通気性,通液性を備えたハニカムコアが製造される。
▲8▼そして、この製造方法では、前述したように、フィルム状接着剤を細帯状に加工して、母材シートに配設する。もって、余分な接着剤を要せず準備や後片付けが容易であり、又、溶剤も使用しないので環境面の問題もなく、更に、接着剤の溶融・吐出装置も不要である。
【0015】
【発明の実施の形態】
《図面について》
以下本発明を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,図3,図4等は、本発明の実施の形態の説明に供する。
そして図1は、準備工程,接着剤配設工程等を示し、(1)図は正面説明図、(2)図は斜視説明図、(3)図は側面説明図である。図2は、接着剤配設工程,仮接着工程等を示し、(1)図は正面説明図、(2)図は斜視説明図、(3)図は平面説明図である。
図3は、重積工程を示し、(1)図は斜視説明図、(2)図は側面説明図、(3)図は斜視説明図である。図4の(1)図は、接着工程の斜視説明図、(2)図は、展張工程の斜視説明図である。
【0016】
《製造方法の概要について》
この通気性,通液性を備えたハニカムコア1の製造方法は、まず、通気性,通液性を備えた母材シート2間に、フィルム状接着剤3を、一定ピッチで条線状に配設すると共に、母材シート2を介して隣接するフィルム状接着剤3同士が、半ピッチずつずれた位置関係で重積する。そして、重積された母材シート2間を、加熱加圧により溶融硬化したフィルム状接着剤3にて接着してから、展張することによりハニカムコア1を得る。
すなわち図示例では、次の準備工程,接着剤配設工程,仮接着工程,重積工程,展張工程を辿ることにより、通気性,通液性を備えたハニカムコア1を製造する。以下、これらの各工程について、詳述する。
【0017】
《準備工程について》
まず、準備工程について述べる。図1の(1)図,(2)図に示したように、準備工程では、通気性,通液性を備え帯状をなす2枚の母材シート2と、細帯状に加工されたフィルム状接着剤3とが、準備される。
このような準備工程について、更に詳述する。上下2本の供給ロール4には、それぞれ、母材シート2が巻回されており、この母材シート2としては、ガラス繊維,ケブラー繊維,アラミド繊維,セラミック繊維,金属繊維,その他各種の繊維が使用され、織物や不織布として用いられる。
【0018】
又、横に複数本ずつの組が上下に配設された供給ロール5には、それぞれ、フィルム状接着剤3が巻回されており、このフィルム状接着剤3としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が使用され、ホットメルトタイプとして用いられる。そしてフィルム状接着剤3は、細帯状,テープ状に加工されて準備される。
図中6は、離型フィルム7が巻回,準備された供給ロールである。離型フィルム7は、例えば薄いガラスクロスのシートよりなり、母材シート2とほぼ同じかそれ以上の幅寸法と長さ寸法を備えている。
そして上から順に、離型フィルム7の供給ロール6,フィルム状接着剤3の各供給ロール5群、母材シート2の供給ロール4、フィルム状接着剤3の各供給ロール5群、母材シート2の供給ロール4が、縦に配設されている。
準備工程は、このようになっている。
【0019】
《接着剤配設工程について》
次に、接着剤配設工程について述べる。図1および図2に示したように、接着剤配設工程では、準備工程で準備された両母材シート2の対向する内面間に、フィルム状接着剤3を、一定幅とピッチで条線状に配設すると共に、一方の母材シート2の外面に、フィルム状接着剤3を、両母材シート2の内面間に配設されたフィルム状接着剤3とは半ピッチずつずれた位置関係のもとに、一定幅とピッチで条線状に配設する。
このような接着剤配設工程について、更に詳述する。上下の供給ロール4から巻出された母材シート2は、上下関係を保ちつつ、搬送方向Aに搬送される。又、上下それぞれ複数本の供給ロール5から巻出されたフィルム状接着剤3は、上下のスロット治具8の各ガイド穴を通過する。
上下のスロット治具8には、それぞれ、搬送方向Aと直角の左右方向に、ガイド穴が複数個形成されている。そこで、上下においてそれぞれ、各供給ロール5から供給された細帯状の各フィルム状接着剤3は、搬送方向Aに搬送されつつ、スロット治具8の各ガイド穴を通過することにより、高さ位置を揃えつつ、所定の左右間隔ピッチに位置決めされる。
なお、供給ロール6から巻出された離型フィルム7も、同時に搬送方向Aに搬送される。
【0020】
そして、上から順に、1枚の離型フィルム7,各フィルム状接着剤3群,1枚の母材シート2,各フィルム状接着剤3群,1枚の母材シート2の順に位置決めされつつ、これらが搬送方向Aに搬送されて行く。
そして、上下2枚の母材シート2の内面間に、各フィルム状接着剤3が、左右横に一定の間隔ピッチを置きつつ、搬送方向Aに沿って各々直線的に、条線状に配設される位置関係となっている。これと共に、上側の母材シート2の上面に、各フィルム状接着剤3が、左右横に一定の間隔ピッチを置きつつ、搬送方向Aに沿って各々直線的に、条線状に配設される位置関係となっている。
これと共に、前述した上下のスロット治具8の各ガイド穴間が、左右に半ピッチずつずれた位置関係に設定されている(上下のガイド穴間が、左右に半ピッチずつずれている)。そこで、2枚の母材シート2間の条線状の各フィルム状接着剤3と、上側の母材シート2上の条線状の各フィルム状接着剤3とは、左右に半ピッチずつずれた位置関係となっている。
接着剤配設工程は、このようになっている。
【0021】
《仮接着工程について》
次に、仮接着工程について述べる。図2に示したように、仮接着工程では、加熱加圧により溶融硬化したフィルム状接着剤3にて、両母材シート2間が仮接着される。
このような仮接着工程について、更に詳述する。前述した接着剤配設工程で、所定の位置関係とされた1枚の離型フィルム7、2枚の母材シート2、条線状の各フィルム状接着剤3等は、搬送方向Aに搬送され、もって上下1対の熱ロール9間に供給される。
そして熱ロール9は、フィルム状接着剤3付の母材シート2や離型フィルム7を、通過させる。
【0022】
このような熱ロール9間を通過して、搬送方向Aに搬送されることにより、上下2枚の母材シート2間が、各フィルム状接着剤3にて条線状に仮接着されると共に、上側の母材シート2上に、フィルム状接着剤3が条線状に仮接着される。離型フィルム7は、フィルム状接着剤3による上側の熱ロール9と上側の母材シート2間の接着を防止しつつ、熱ロール9を通過した後、搬送方向Aに搬送されて、巻取ロール10に巻取られる。そして、仮接着されたフィルム状接着剤3付の2枚の母材シート2は、次に搬送方向Aに搬送されつつ、カッター11により、搬送方向Aに一定長さ毎に切断される。
なお、図示例の熱ロール9対を用いる方式について、更に、冷却ロールを組み合わせて用いる方式も考えられる。
仮接着工程は、このようになっている。
【0023】
《重積工程について》
次に、重積工程について述べる。図3に示したように、重積工程では、多数組・多数枚の母材シート2を、条線状のフィルム状接着剤3が半ピッチずつずれた位置関係で、重積する。
このような重積工程について、更に詳述する。仮接着工程で仮接着,切断されたフィルム状接着剤3付の2枚の母材シート2は、次に重積される。すなわち、切断された多数組の母材シート2は上下に重積され、もって例えば30枚程度の多数枚が、ブロック状に重積される。
そして、このような上下を重積方向Bとした母材シート2の重積に際し、条線状に配設されたフィルム状接着剤3が、上下の母材シート2間で、1枚毎に左右に半ピッチずつずれた位置関係とされる。
図示例では、2枚1組で仮接着された母材シート2について、上下(上面と内面間)のフィルム状接着剤3間は、前述したように既に半ピッチずつずれているので、このような各組の母材シート2を重積する際に、相互の上下隣接するフィルム状接着剤3間が、半ピッチずつずれるように位置決めする。
なお、このようにブロック状に重積された母材シート2の下側には、母材シート2より若干広めで例えば厚いガラスクロスのシート製の離型フィルム12が、敷かれる。又、同様の離型フィルム12が、上側に被せられる。
重積工程は、このようになっている。
【0024】
《接着工程について》
次に、接着工程について述べる。図4の(1)図に示したように、接着工程では、加熱加圧により溶融硬化したフィルム状接着剤3にて、多数枚の母材シート2間が接着される。
このような接着工程について、更に詳述する。重積工程で重積されたフィルム状接着剤3付の母材シート2は、上下を離型フィルム12にてカバーされた状態で、上下1対のホットプラテンプレス13間に供給される。
そして、プラテンプレス13にて上下加圧されつつ加熱された後、冷却される。つまり、フィルム状接着剤3の溶融温度で加熱された後、硬化温度まで冷却される。
そして、このような加圧下での加熱冷却の過程で、条線状のフィルム状接着剤3が溶融硬化し、もって、ブロック状に重積された各母材シート2間が、条線状に接着される。なお離型フィルム12は、フィルム状接着剤3による最上位や最下位の母材シート2とプラテンプレス13間の接着を、防止すべく機能する。
接着工程は、このようになっている。
【0025】
《展張工程について》
次に、展張工程について述べる。展張工程では、図4の(2)図に示したように、重積方向Bに引張り力を加えて展張することにより、通気性,通液性を備えたハニカムコア1を得る。
このような展張工程について、更に詳述する。重積工程や接着工程で重積,接着された母材シート2は、展張工程において、重積方向Bに引張力を加えて、展張される。
もって、重積ブロック状の各母材シート2は、条線状をなすフィルム状接着剤3の箇所が、条線接着箇所となり、その縁にて折曲されると共に、非接着箇所が伸長,分離,離隔されて、ハニカムコア1が製造される。
展張工程は、このようになっている。
【0026】
《通気性,通液性を備えたハニカムコア1について》
次に、製造されたハニカムコア1について述べる。上述した各工程を辿ることにより、図4の(2)図に示したように、母材シート2をセル壁14とし、セル壁14にて区画形成された中空柱状の多数のセル15の平面的集合体である、通気性,通液性を備えたハニカムコア1が製造される。
なお、このハニカムコア1のセル壁14そしてセル15の断面形状は、図示のように正六角形のものが代表的であるが、これによらず、縦長や横長の六角形のものや、その他の六角形状,台形状,略四角形状,その他各種形状のものも可能である。
【0027】
そして、このハニカムコア1は、一般のハニカムコアと同様に、開口端面にそれぞれ表面板が接着され、もってハニカムサンドイッチパネルとして、使用に供されることも多い。
又、このハニカムコア1は、一般のハニカムコアと同様に、重量比強度に優れ、軽量であると共に、高い剛性,圧縮強度,剪断強度等を備えている。又、整流効果や単位面積当たりの表面積が大である、等々の特性を備えてなり、更にハニカムサンドイッチパネルとしては、平面精度,保温性,遮音性等にも優れており、広く各種の構造材として使用される。
更に、通気性や通水性等の通液性を備えていることに鑑み、このハニカムコア1は、例えば土壌保持材等としても使用される。又、樹脂を付着,含浸させることにより、繊維強化プラスチック(FRP)製のハニカムコア1として、使用に供することも可能である。
このハニカムコア1は、このようになっている。
【0028】
《作用等》
本発明に係る通気性,通液性を備えたハニカムコア1の製造方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
▲1▼まず、図1に示したように準備工程では、通気性,通液性を備え帯状をなす母材シート2と、細帯状に加工されたフィルム状接着剤3とが、準備される。
例えば、母材シート2は2枚準備される。
▲2▼次に、図1,図2,図3に示したように、接着剤配設工程そして重積工程では、フィルム状接着剤3が、母材シート2間に条線状に配設されると共に、母材シート2を介して上下隣接するもの同士が、半ピッチずつずれた位置関係で配設される。そして、このような位置関係のもと、多数枚の母材シート2が重積される。
▲3▼例えば、図1,図2に図示した接着剤配設工程においては、フィルム状接着剤3は、準備された2枚の母材シート2の内面間に、条線状に配設されると共に、一方の母材シート2の外面に、内面間に配設されたものとは半ピッチずつずれた位置関係のもとに、条線状に配設される。
→そして、図2の仮接着工程において、熱ロール9による加熱加圧により、溶融硬化したフィルム状接着剤3にて、両母材シート2間が仮接着された後、→一定長さ毎に切断される。→そして、図3の重積工程において、多数組・多数枚の母材シート2が、フィルム状接着剤3が半ピッチずつずれた位置関係で、重積される。
【0029】
▲4▼さて、この製造方法では、このように細帯状に加工されたフィルム状接着剤3が、準備工程で準備され、接着剤配設工程で母材シート2に条線状に配設される。
そこで、このように配設されたフィルム状接着剤3の条線幅Cおよび条線高さDは、当然のことながら一定であり、溶融した液状の接着剤を用いた場合のように、条線毎や母材シート2毎に、条線幅Cや条線高さDに不揃い・ムラが発生することはない。
すなわち、フィルム状接着剤3は、予め細帯状に加工されていたものが、条線状に配設されるので、その条線幅Cを、帯幅として一定幅寸法に簡単容易にコントロール可能であり、その条線高さDを、帯肉厚として一定高さ寸法に簡単容易にコントロール可能である。
又、その塗布量や接着量も、一定であり、条線毎や母材シート2毎に、不揃い・ムラが発生することはない。すなわち、フィルム状接着剤3は、予め細帯状に加工されていたものが、条線状に配設されるので、その接着剤としての塗布量そして事後の接着量も、その帯肉厚等として一定量に簡単容易にコントロール可能である。
【0030】
▲5▼更に、この製造方法では、このように細帯状に加工されたフィルム状接着剤3が、準備工程で準備され、接着剤配設工程で母材シート2の表面に、条線状に配設される。
そして、このようなフィルム状接着剤3が表面に配設されるので、通気性,通液性を備えた母材シート2ではあるが、その裏面にしみ出るようなことはない。すなわち、フィルム状接着剤3は、予め細帯状に加工されたテープ状・固体状のものよりなるので、母材シート2の表面に条線状に配設された際において、溶融した液状の接着剤を用いた場合のように、通気性,通液性を備えた母材シート2の表面から裏面に、しみ出してしまうことはない。
そこで、多数枚の母材シート2が、重積工程で重積されたり、次に述べる接着工程で加熱加圧された際に、裏面にしみ出した接着剤にて、所定の条線接着箇所以外の箇所でも接着されてしまう、ブロッキング事故の発生は回避される。重積された母材シート2が、全体的にブロック状に接着されてしまうブロッキング事故は、確実に防止され、もって次に述べる展張工程も、滞りなくスムースに実施可能となる。
【0031】
▲6▼さて、このような接着剤配設工程そして重積工程の後、図4の(1)図に示したように、その次の工程たる接着工程において、ホットプラテンプレス13による加熱加圧が実施される。もって、重積されていた多数枚の母材シート2間が、溶融硬化したフィルム状接着剤3にて、条線状に接着される。
▲7▼しかる後、図4の(2)図に示した展張工程において、このように重積・接着された多数枚の母材シート2は、重積方向Bに引張り力を加えて展張され、もって、通気性,通液性を備えたハニカムコア1が製造される。
▲8▼そして、この製造方法では、前述したように準備工程で、フィルム状接着剤3を細帯状に加工して準備し、接着剤配設工程で、母材シート2の表面に配設する。
そこで、溶融した液状の接着剤を用いた場合のように、余分な接着剤を必要としないので、その分、準備や後片付けが容易であり、又、溶剤も使用しないので、環境問題を生じることもなく、更に、溶融した液状の接着剤の溶融・吐出装置も不要となる。
【0032】
【発明の効果】
《本発明の特徴》
本発明に係る通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法は、以上説明したように、通気性,通液性を備えた母材シート間の条線接着に、細帯状に加工したフィルム状接着剤を採用したこと、を特徴とする。
そこで、本発明の製造方法は、次の効果を発揮する。
【0033】
《第1の効果》
第1に、接着剤の条線幅,条線高さ,接着量等を、一定にコントロールすることができる。
すなわち、本発明の製造方法では、フィルム状接着剤を条線状に配設するので、まず、条線幅や条線高さを一定にコントロールでき、溶融した液状の接着剤を用いていた前述したこの種従来例の製造方法のように、不揃い・ムラが発生することはない。
又、条線状の接着量(塗布量)も一定にコントロールでき、前述したこの種従来例のように、不揃い・ムラが発生することはない。
このように、条線幅,条線高さ,接着量等が一定にコントロールされるので、ハニカムコアの製造不良が大幅に削減される。
【0034】
《第2の効果》
第2に、接着剤の母材シート裏面へのしみ出しがなく、ブロッキング事故が回避される。
すなわち、本発明の製造方法では、通気性,通液性を備えた母材シートの表面には、フィルム状接着剤が配設されるので、裏面へのしみ出しは回避される。溶融した液状の接着剤を塗布していた前述したこの種従来例のように、表面に塗布された接着剤が、通気性,通液性を備えた母材シートを介し、裏面へしみ出してしまうようなことはない。
そこで、重積された母材シートが、裏面にしみ出た接着剤により所定箇所以外でも接着されてしまう、ブロッキング事故は回避され、ハニカムコアの製造工程が大幅に安定化される。
【0035】
《第3の効果》
第3に、準備や後片付けが容易であり、環境面にも優れており、製造装置が簡単化されてメンテナンスも容易化される。
すなわち、本発明の製造方法では、フィルム状接着剤を用いるので、溶融した液状の接着剤を用いる前述したこの種従来例に比し、余分な接着剤を必要とせず、準備に手間取らず後片付けも容易である。
又、溶剤レスとなるので、環境面にも優れている。更に、接着剤の溶融・吐出装置が不要となり、製造装置の構成が簡単化され、メンテナンス性も向上する。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法について、発明の実施の形態の説明に供し、準備工程,接着剤配設工程等を示し、(1)図は、正面説明図、(2)図は、斜視説明図、(3)図は、側面説明図である。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供し、接着剤配設工程,仮接着工程等を示し、(1)図は、正面説明図、(2)図は、斜視説明図、(3)図は、平面説明図である。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供し、重積工程を示し、(1)図は、斜視説明図、(2)図は、側面説明図、(3)図は、斜視説明図である。
【図4】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、接着工程の斜視説明図、(2)図は、展張工程の斜視説明図である。
【符号の説明】
1 ハニカムコア
2 母材シート
3 フィルム状接着剤
4 供給ロール
5 供給ロール
6 供給ロール
7 離型フィルム
8 スロット治具
9 熱ロール
10 巻取ロール
11 カッター
12 離型フィルム
13 ホットプラテンプレス
14 セル壁
15 セル
A 搬送方向
B 重積方向
C 条線幅
D 条線高さ

Claims (2)

  1. 通気性,通液性を備えた母材シート間に、フィルム状接着剤を、一定ピッチで条線状に配設すると共に、該母材シートを介して隣接する該フィルム状接着剤同士が、半ピッチずつずれた位置関係で重積した後、
    重積された該母材シート間を、加熱加圧により溶融硬化した該フィルム状接着剤にて接着してから、展張することによりハニカムコアを得ること、を特徴とする、通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法。
  2. 請求項1に記載した通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法であって、
    まず、通気性,通液性を備え帯状をなす2枚の該母材シートと、細帯状に加工された該フィルム状接着剤とを、準備した後、
    両該母材シートの対向する内面間に、該フィルム状接着剤を、一定ピッチで条線状に配設すると共に、一方の該母材シートの外面に、該フィルム状接着剤を、両該母材シートの内面間に配設された該フィルム状接着剤とは半ピッチずつずれた位置関係のもとに、一定ピッチで条線状に配設し、
    次に、加熱加圧により溶融硬化した該フィルム状接着剤にて、両該母材シート間を仮接着してから、仮接着された両該母材シートを一定長さ毎に切断し、もって多数組・多数枚の該母材シートを、条線状の該フィルム状接着剤が半ピッチずつずれた位置関係で、重積した後、
    加熱加圧により溶融硬化した該フィルム状接着剤にて、多数枚の該母材シート間を接着してから、重積方向に引張り力を加えて展張することにより、通気性,通液性を備えた該ハニカムコアを得ること、を特徴とする、通気性,通液性を備えたハニカムコアの製造方法。
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