JPH11300860A - 通気性を備えた繊維強化プラスチック製のハニカムコアの製造方法 - Google Patents

通気性を備えた繊維強化プラスチック製のハニカムコアの製造方法

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JPH11300860A
JPH11300860A JP13108398A JP13108398A JPH11300860A JP H11300860 A JPH11300860 A JP H11300860A JP 13108398 A JP13108398 A JP 13108398A JP 13108398 A JP13108398 A JP 13108398A JP H11300860 A JPH11300860 A JP H11300860A
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reinforced plastic
fiber
honeycomb core
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corrugated
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JP13108398A
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Hajime Noguchi
元 野口
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Showa Aircraft Industry Co Ltd
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Showa Aircraft Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1に、ドリル等を用いた穿孔加工は行われ
ず、コスト面に優れると共に安定的かつ容易に、多数の
小孔を形成可能であり、通気性を付与でき、第2に、し
かも小孔は必要十分な大きさで得られ、樹脂で塞がれる
ことはなく、第3に、接着剤が塗布面とは反対面にしみ
出ても、不良の原因とはならず作業も簡単であり、第4
に、スリットも形成されない等、強度が損なわれるおそ
れもない、通気性を備えた繊維強化プラスチック製のハ
ニカムコアの製造方法を提案する。 【解決手段】 この製造方法では、低温溶融タイプのよ
り糸を縦糸や横糸に織り込んだ織物基材を、用いてな
る。そして、織物基材に樹脂を付着,含浸,混入せしめ
た母材シート6にて、波板12を成形して、重積,接着
することにより、セル壁について、加熱,溶融,除去さ
れたより糸の交点であった各箇所に多数の小孔Cが形成
された、繊維強化プラスチック製のハニカムコア15が
製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、通気性を備えた繊維強化プラス
チック製のハニカムコアの製造方法に関する。すなわ
ち、織物基材と樹脂とを組み合わせた繊維強化プラスチ
ック(FRP)製のハニカムコアであって、通気性を備
えたものの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハニカムコアは、セル壁にて区画形成さ
れた中空柱状の多数のセルの平面的集合体よりなり、重
量比強度に優れてなる事を始め種々の特性を備え、各種
の構造材として使用されており、多くの場合、その両開
口端面にそれぞれ表面板を接着した、ハニカムサンドイ
ッチパネルとして用いられる。そして、このようなハニ
カムサンドイッチパネルの芯材として用いられるハニカ
ムコアについては、セル壁の通気性が要求されることが
多い。例えば、表面板を接着してハニカムサンドイッチ
パネルとする際は、加熱,硬化される接着剤から発生し
たガス圧を、内部の密閉,区画された各セル空間から外
部に抜く必要があり(いわゆる脱気の必要性があり)、
芯材たるハニカムコアについて、セル壁の通気性が要求
される。又、ハニカムサンドイッチパネルが例えば人工
衛星等の宇宙機器用に使用された場合は、内部の各セル
空間の内部圧と外部圧(0圧の宇宙空間)とを、一致・
同一化することを要し、芯材たるハニカムコアについ
て、セル壁の通気性が要求される。更に、ハニカムサン
ドイッチパネルが衝撃吸収材として使用された場合に
は、各セル空間内の圧縮された空気圧を、外部に逃がす
ことによって反動を減少させる必要があり、芯材たるハ
ニカムコアについて、セル壁の通気性が要求される。そ
の他、ハニカムサンドイッチパネルの使用状態により、
芯材たるハニカムコアのセル壁について、通気性が要求
されることが多い。
【0003】ところで従来、ハニカムコアの母材シート
つまりセル壁の素材としては、アルミ合金箔が代表的に
用いられており、このようなアルミ製のハニカムコアの
セル壁については、機械的な穿孔加工により、容易に多
数のピンホールつまり小孔を形成することができ、上述
した通気性の要求に対応可能であった。しかしながら最
近は、ハニカムサンドイッチパネルそしてハニカムコア
については、より一層の軽量化が求められることが多く
なり、ハニカムコアの母材シート・素材として、アルミ
合金箔に代え、織物基材に樹脂を組み合わせた繊維強化
プラスチックが用いられることも多い。そして、このよ
うな繊維強化プラスチック製のハニカムコアに関して
は、セル壁に多数のピンホールつまり小孔を形成するこ
とが非常に困難であり、通気性の要求に対応できない、
という問題が指摘されていた。
【0004】すなわち、繊維強化プラスチック製のハニ
カムコアは、他の一般的なハニカムコアと同様、いわゆ
る展張方式やコルゲート方式にて製造されている。展張
方式では、繊維強化プラスチック製の母材シートに条線
状に接着剤を塗布して、多数枚をプリプレグ状で重積す
ると共に加熱して接着した後、展張してから硬化させる
ことにより、繊維強化プラスチック製のハニカムコアを
製造していた。コルゲート方式では、繊維強化プラスチ
ック製の母材シートを、プリプレグ状でコルゲート成形
装置に供給して加熱,加圧することにより、波板に成形
して硬化させた後、多数枚を接着剤を介装しつつ重積す
ると共に、加熱して接着することにより、繊維強化プラ
スチック製のハニカムコアを製造していた。そして、こ
のような展張方式やコルゲート方式で製造された繊維強
化プラスチック製のハニカムコアは、セル壁の母材シー
トが、織物基材に樹脂を付着,含浸,混入等により組み
合わせた繊維強化プラスチックよりなり、織物基材の目
は樹脂にて完全に塞がれており、通気性は無い。
【0005】そこで、このように展張方式やコルゲート
方式で製造される繊維強化プラスチック製のハニカムコ
アについて、通気性を付与すべく、製造前の繊維強化プ
ラスチック製の母材シートの段階で、ドリル等で多数の
小孔を穿孔加工したり、ハニカムコアとした後に後加工
として、セル壁に対し端面より切り欠きを入れる等で多
数の通気孔を加工することが、従来試みられていた。更
に展張方式では、通気性を付与すべく、製造前の繊維強
化プラスチック製の母材シートの段階で、多数のスリッ
トを縦に形成加工することも従来試みられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。まず第
1に、展張方式の場合もコルゲート方式の場合も、上述
したようにドリル等を使用して多数の小孔を穿設加工す
る従来例にあっては、極めて細くて長い特殊な専用のド
リル等が必要となり、設備コスト面に問題が生じてい
た。更に、硬度が異なる織物基材と樹脂が組み合わされ
た繊維強化プラスチック製の母材シート等を対象とし
て、穿孔加工を行うので、穿孔加工自体が極めて不安定
であり、特にハニカムコアとした後に穿孔加工を行う従
来例は、大きな困難を伴う(内部のセル壁についての穿
孔加工は行いにくい)等、加工作業面にも問題が指摘さ
れていた。
【0007】第2に、製造前の母材シートの段階で穿孔
加工を行う従来例にあっては、穿孔加工により形成して
おいた小孔が、その後の製造中に樹脂にて塞がれてしま
う、という問題が指摘されていた。すなわち、展張方式
の場合もコルゲート方式の場合も、接着剤による加熱,
接着時や、プリプレグ状の繊維強化プラスチック製の母
材シートの加熱,硬化時等に、溶融・流動化した樹脂
が、穿孔加工され残さいも存する小孔を塞いでしまい、
結局、製造されたハニカムコアについて、セル壁の通気
性が確保されなくなることが多かった。
【0008】第3に、展張方式の場合において、製造前
の母材シートの段階で穿孔加工を行う従来例にあって
は、繊維強化プラスチック製の母材シートに条線状に塗
布しておいた接着剤が、重積,加熱,接着時において、
穿孔加工により形成されていた小孔を介し、母材シート
の塗布面とは反対面の裏側にしみ出てしまうことが多か
った。そして、このように反対面にしみ出た接着剤によ
り、接着対象箇所以外の母材シート間が接着されてしま
う事態が発生し、ハニカムコアの製造不良の原因とな
る、という問題が指摘されていた。なお、このような接
着剤の裏側へのしみ出しを防ぐためには、重積,加熱,
接着前に一旦、形成しておいた小孔を目止めしておく等
の処理が必要となり、更に加熱,接着後に、目止めを除
去する処理も必要となる等、手間がかかり面倒であり、
工数面に問題が指摘されていた。
【0009】第4に、更に展張方式の場合において、製
造前の母材シートの段階でスリット加工を行う従来例に
あっては、セル壁に切れ目状の多数のスリットが存する
ことになるので、製造されたハニカムコアの強度が損な
われる、という問題が指摘されていた。そして、このよ
うなハニカムコアの強度低下対策としては、形成される
スリットの深さ・長さを制限することが考えられるが、
これでは、肝心の通気性が十分に確保されなくなる、と
いう問題が生じることになる。
【0010】本発明は、このような実情に鑑み、上記従
来例の課題を解決すべくなされたものであって、コルゲ
ート方式において、母材シートの織物基材の縦糸と横糸
について、低温溶融タイプのより糸を、一定間隔で織り
込むようにしたことにより、第1に、ドリル等を用いた
穿孔加工は行われず、コスト面に優れると共に安定的か
つ容易に、多数の小孔を形成可能であり、第2に、しか
も小孔は必要十分な大きさで得られ、樹脂で塞がれるこ
ともなく確実に形成され、第3に、接着剤が塗布面とは
反対面にしみ出ても不良の原因とはならず、目止め処理
等の必要もなく作業が簡単であり、第4に、スリットも
形成されない等、強度が損なわれるおそれがない、通気
性を備えた繊維強化プラスチック製のハニカムコアの製
造方法を、提案することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
る本発明の技術的手段は、次のとおりである。すなわ
ち、この通気性を備えた繊維強化プラスチック製のハニ
カムコアの製造方法では、まず、縦糸と横糸のそれぞれ
について、一定間隔でより糸が織り込まれた織物基材を
準備し、上記より糸は、他の該縦糸,横糸,下記の樹
脂,接着剤等より、低温で溶融可能な材質よりなる。そ
して次に、上記織物基材に樹脂を付着,含浸,混入等に
より組み合わせてなる、繊維強化プラスチック製の母材
シートを準備する。それから、繊維強化プラスチック製
でプリプレグ状の該母材シートをコルゲート成形装置に
供給して、波形の凹凸が連続的に折曲形成された、繊維
強化プラスチック製の波板を成形する。そして、硬化し
た該波板の凹凸の頂部表面や底部裏面に接着剤を塗布し
てから、複数枚の該波板を、波の半ピッチ分ずつ順次ず
らし底部と頂部とがそれぞれ対応する位置関係で、重積
して接着する。
【0012】もって、このように重積,接着された各該
波板をセル壁とし、該セル壁にて区画形成された中空柱
状の多数のセルの平面的集合体たる、繊維強化プラスチ
ック製のハニカムコアが得られる。そしてこれと共に、
上記準備工程より後の各工程中又は各工程の前後等のい
ずれかの時点で、上記より糸が溶融する温度で加熱され
ることにより、該母材シート,波板,セル壁について、
上記織物基材の溶融,除去された縦,横の上記より糸の
交点となっていた各箇所に、それぞれ小孔が通気孔とし
て形成されること、を特徴とする。
【0013】本発明に係る繊維強化プラスチック製のハ
ニカムコアの製造方法は、このようになっているので、
次のようになる。この製造方法は、いわゆるコルゲート
方式よりなると共に、低温溶融タイプのより糸が織り込
まれた織物基材を用いてなる。すなわち、他の縦糸や横
糸,組み合わされる樹脂,接着用の接着剤等よりは低温
で溶融するより糸を、縦糸や横糸のそれぞれについて、
一定間隔で織り込んでなる織物基材を用いてなる。そし
て、この織物基材に樹脂を組み合わせた母材シートに
て、繊維強化プラスチック製の波板を成形,硬化させ、
接着剤を塗布してから、波の半ピッチ分ずつ順次ずらせ
つつ重積して、接着する。このような工程を辿り、繊維
強化プラスチック製のハニカムコアが製造される。この
ハニカムコアは、セル壁が繊維強化プラスチック製の波
板よりなると共に、セル壁に多数の小孔が形成され通気
性を備えてなる。すなわち、このハニカムコアのセル壁
には、工程中の加熱により溶融,除去された縦,横の織
物基材中のより糸の交点に相当する箇所に、それぞれ小
孔が通気孔として形成されてなる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明を、図面に示す発明の
実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,
図3,図4,図5,図6等は、本発明の実施の形態の説
明に供する。そして、図1の(1)図は、準備された織
物基材の斜視図、図1の(2)図は、その1例の要部を
拡大した平面図、図1の(3)図は、他の例の要部を拡
大した平面図である。図2は、繊維強化プラスチック製
の母材シートを準備する工程を示す、斜視図である。図
3の(1)図は、波板の成形工程の斜視図、図3の
(2)図は、成形された波板の斜視図である。図4の
(1)図は、得られたハニカムコアの斜視図、図4の
(2)図は、その要部を拡大した斜視図である。図5
は、浴槽に浸漬中のハニカムコアの斜視図である。図6
の(1)図は、標準タイプのハニカムコアの正面説明
図、図6の(2)図は、バイセクトタイプのハニカムコ
アの正面説明図である。
【0015】本発明に係る通気性を備えた繊維強化プラ
スチック製のハニカムコアの製造方法について、その工
程の順に説明する。この製造方法では、まず図1に示し
たように、縦糸1と横糸2のそれぞれについて、一定間
隔でより糸Aが織り込まれた、織物基材3が準備され
る。そして、より糸Aは、他の縦糸1,横糸2,後述す
る樹脂4,接着剤5等より、低温で溶融可能な材質より
なる。
【0016】これらについて、更に詳述する。この製造
方法で用いられる織物基材3としては、ガラス繊維,ケ
ブラー繊維,カーボン繊維,セラミック繊維,金属繊
維,樹脂繊維,その他各種の繊維、つまり縦糸1と横糸
2とが交差すべく織られた各種の繊維、等々が考えら
れ、これらの内から適宜選択使用される。このような織
物基材3の織り方としては、平織,朱子織,綾織,その
他各種の織り方が可能である。又、この織物基材3を構
成すべく織られた縦糸1や横糸2は、それぞれ、微細な
1,000本から3,000本程度の繊維細糸をより集
めて、1本としたものよりなる。そして、この織物基材
3は、縦糸1や横糸2について、それぞれ一定間隔で、
より糸Aが織り込まれている。すなわち、一定複数本数
の縦糸1毎に、1本のより糸Aが織り込まれると共に、
一定複数本数の横糸2毎に、1本のより糸Aが織り込ま
れている。より糸Aは、微細な数100本から数1,0
00本程度の繊維細糸を、より集めて1本とした狭義の
より糸のほか、同様な繊維細糸を、例えば押し潰すこと
により合わせ集めて1本としたものも含まれる。つま
り、ここで言うより糸Aは、極めて広義のものを意味
し、狭義のより集め形態のもののほか、各種の合わせ集
め形態のものも含まれる。そして、このようなより糸A
としては、縦糸1,横糸2,後述する樹脂4,接着剤5
等に比し、より低温度で溶融する材質よりなり、例え
ば、ポリエチレン樹脂,ポリ塩化ビニール,その他の熱
可塑性樹脂製の繊維糸が用いられる。準備される織物基
材3は、このようになっている。
【0017】次に、この製造方法では、図2に示したよ
うに、この織物基材3に樹脂4を付着,含浸,混入等に
より組み合わせることにより、繊維強化プラスチック製
の母材シート6が準備される。すなわち、上述した織物
基材3に、樹脂4が、付着,含浸,混入等のいずれか又
は併用により組み合わされ、もって、シート状の繊維強
化プラスチックとしたものが、母材シート6として準備
される。
【0018】これらについて、更に詳述する。樹脂4と
しては、エポキシ系やポリイミド系のものが代表的であ
るが、その他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂も用いられ
る。そして、図2に示した例では、まず、図中左側に示
した織物基材3が、ロール状に巻かれた状態から帯状に
引き出された後、樹脂4が貯留されたタンク7に浸漬さ
れる。それから、乾燥炉8へと運ばれて乾燥されること
により、織物基材3に樹脂4が付着,含浸,混入等によ
り組み合わされた、繊維強化プラスチック製の母材シー
ト6が得られる。図中9は、ガイドローラーを示す。そ
れから、この繊維強化プラスチック製の母材シート6
は、その上下両面が、ポリエチレンフィルムラミネート
紙等によるセパレータたる離型紙10にて覆われた後、
図中右側に示したようにロール状に巻き取られる。図中
11はニップロールであり、このニップロール11によ
り、母材シート6の上下両面に離型紙10が、押圧され
て張り付けられる。なお図2において、より糸Aの図示
は省略。
【0019】しかる後、このようにして得られた、織物
基材3に樹脂4を組み合わせた極薄の繊維強化プラスチ
ック製の母材シート6は、図2中右側に示したロール状
に巻かれた状態から、再び帯状に引き出される。それか
ら、所定長さ毎に切断され、一定幅と長さの平坦なシー
ト状とされたものが、多数枚準備される。又、この繊維
強化プラスチック製の母材シート6は、まだ完全硬化し
ない半硬化状態、つまり柔軟性・粘性を備えたプリプレ
グ状にて準備される。繊維強化プラスチック製の母材シ
ート6は、このように準備される。
【0020】次に、この製造方法では、図3に示したよ
うに、繊維強化プラスチック製でプリプレグ状の母材シ
ート6を、コルゲート成形装置に供給して加熱,加圧す
ることにより、波板の凹凸が連続的に折曲形成された、
繊維強化プラスチック製の波板12を成形する。
【0021】これらについて、更に詳述する。前述によ
り準備されたプリプレグ状で繊維強化プラスチック製の
母材シート6は、例えば図3の(1)図に示したコルゲ
ート成形装置に供給される。この図示したコルゲート成
形装置は、上治具たるギヤ13と下治具たるラック14
とからなり、母材シート6は、上下両面を覆っていた離
型紙10が取り除かれると共に、このようなコルゲート
成形装置のギヤ13とラック14間に供給されて、加
熱,加圧される。なおコルゲート成形装置は、ギヤ13
とラック14を用いた図示例のほか、公知の各種のもの
も使用可能であり、例えば、上下1対のラック14を用
いたもの、真空バキューム方式を利用したもの等々を、
図示のものに代え使用可能である。又、図3の(1)図
において、より糸Aの図示は省略。
【0022】さて、このようなコルゲート成形装置によ
る加熱,加圧により、図3の(2)図に示したように、
波形の凹凸が連続的に折曲形成された、繊維強化プラス
チック製の波板12が、成形される。すなわち波板12
は、波形の凹凸が、短手方向に直線的に平行、かつ長手
方向に繰り返し連続的に、所定ピッチと高さで折曲形成
されてなる。波板12の波形の凹凸、つまり頂部と底部
の断面形状は、図示の台形状(半六角形状)のものが代
表的であるが、略三角形状,略四角形状,その他各種形
状のものも可能である。波板12は、このように成形さ
れる。なお、図3の(2)図において、より糸Aや後述
する小孔Cの図示は省略。
【0023】次に、この製造方法では、図3の(2)図
に示したように、硬化した波板12の凹凸の頂部表面や
底部裏面に、接着剤5が塗布される。これについて詳述
すると、前述により成形された繊維強化プラスチック製
の波板12は、まず、加熱されることにより、その樹脂
4が硬化される。そして、このように硬化せしめられた
波板12について、図示例では、波形の凹凸の頂部表面
(上面)および底部裏面(下面)に、それぞれ接着剤5
が、条線状に塗布される。なお、このような図示例によ
らず、波板12の凹凸の頂部表面と底部裏面のいずれか
一方のみに、接着剤5を塗布するようにしてもよい。そ
れから波板12は、塗布された接着剤5を乾燥させた
後、所定長さ毎に切断されるが、接着剤5が未乾燥のま
ま次の工程へと進んでもよい。このように、接着剤5が
塗布される。
【0024】次に、この製造方法では、図4に示したよ
うに、このように接着剤5が塗布された複数枚の波板1
2を、波の半ピッチ分ずつ順次ずらし、底部と頂部とが
それぞれ対応する位置関係で、重積して接着する。これ
について詳述すると、繊維強化プラスチック製の波板1
2は、前述により接着剤5が塗布された後、複数枚例え
ば多数枚が、全体的に空間が存した積層ブロック状に重
積される。つまり、上下で波の半ピッチ分ずつ左右に順
次ずらされることにより、上下相互間で、接着剤5が塗
布された頂部表面と底部裏面とを合わせる位置関係で、
重積される。それから、上下から加熱,加圧することに
より、塗布されていた接着剤5が溶融硬化し、もって、
重積された各波板12間が接着される。なお、使用され
る接着剤5によっては、室温つまり常温で硬化させるこ
とも可能である。波板12は、このように重積,接合さ
れる。
【0025】この製造方法では、このような各工程を辿
ることにより、図4更には図6の(1)図に示した繊維
強化プラスチック製のハニカムコア15が製造される。
すなわち、このように重積,接着された各波板12をセ
ル壁16とし、このセル壁16にて区画形成された中空
柱状の多数のセル17の平面的集合体たる、繊維強化プ
ラスチック製のハニカムコア15が得られる。又、この
ようにして得られたハニカムコア15は、必要に応じ、
開口端面に沿って切断され、所定の厚さにスライス加工
される。
【0026】この繊維強化プラスチック製のハニカムコ
ア15について、更に詳述する。この繊維強化プラスチ
ック製のハニカムコア15は、一般のものと同様に、条
線状に接着されたセル壁16にて各々独立空間に区画形
成された、中空柱状の多数のセル17の平面的集合体よ
りなる。セル壁16そしてセル17の断面形状は、図示
の正六角形状のものが代表的であるが、これによらず、
縦長や横長の六角形状,台形状,略四角形状,その他各
種形状のものも可能である。又、この繊維強化プラスチ
ック製のハニカムコア15は、多くの場合、その両開口
端面にそれぞれ表面板が接着された、ハニカムサンドイ
ッチパネルとして用いられる。そして、一般のものと同
様に、重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性・
強度を備えてなり、更にハニカムコア15は、整流効果
に優れると共に単位容積当りの表面積が大であり、ハニ
カムサンドイッチパネルは平面精度に優れる、等々の特
性が知られ、広く各種の構造材として使用される。
【0027】そして、この繊維強化プラスチック製のハ
ニカムコア15は、図4の(2)図の要部拡大図に示し
たように、セル壁16に、多数の小孔Cを備えてなる。
なお、図4の(1)図において、小孔Cの図示は省略。
すなわち、この繊維強化プラスチック製のハニカムコア
15は、前述した準備工程より後の各工程中又は各工程
の前後等のいずれかの時点で、より糸Aが溶融する温度
で加熱されることにより、母材シート6,波板12,セ
ル壁16について、織物基材3の溶融,除去された縦,
横のより糸Aの交点Bとなっていた各箇所に、それぞれ
小孔Cが通気孔として形成されてなる。
【0028】このような小孔Cの形成について、更に詳
述する。この製造方法では、前述したように、繊維強化
プラスチック製の母材シート6について、その織物基材
3の縦糸1と横糸2に、それぞれ、低温溶融タイプのよ
り糸Aが織り込まれている(図1を参照)。そこで例え
ば、このような母材シート6をコルゲート成形装置に供
給して、加熱,加圧することにより波板12を成形する
際(図3を参照)、その際の加熱を利用して、母材シー
ト6の織物基材3のより糸Aが、すべて溶融,除去され
る。もって、成形された波板12、そしてこの波板12
にて構成されたセル壁16について、このように溶融,
除去された縦のより糸Aと横のより糸Aの交点Bとなっ
ていた各箇所に(図1を参照)、それぞれ小孔Cが形成
されるようになる(図4の(2)図を参照)。つまり、
より糸A,縦糸1,横糸2,樹脂4等が一切存在しない
小空間たる小孔Cが、多数形成される。
【0029】なお第1に、このように小孔Cを形成する
ための加熱については、上述した例のように波板12成
形時の加熱を利用するのではなく、その他の各工程中の
加熱を利用したり、各工程の前後において専用の加熱を
実施するようにしてもよい。例えば、波板12成形前の
段階で、母材シート6をより糸Aの溶融温度で加熱する
ことにより、小孔Cを形成してもよい。又、塗布された
接着剤5により波板12間を接着する際の加熱を利用し
て、より糸Aを溶融,除去せしめて、小孔Cを形成する
ようにしてもよい。なお第2に、このように縦,横のよ
り糸Aが溶融,除去されても、その交点Bであった箇所
以外について、間隙等が形成されるようなことはない。
すなわち、交点B以外の縦,横のより糸Aが溶融,除去
された後は、前述した樹脂4や次に述べる樹脂18によ
り塞がれてしまうようになる。この繊維強化プラスチッ
ク製のハニカムコア15は、このようになっている。
【0030】なお、繊維強化プラスチック製のハニカム
コアは、図5に示したように事後処理として、補強用の
樹脂18が、セル壁16に追加的に付着,含浸せしめら
れることが多い。すなわち、前述により製造され多数の
小孔Cを備えた繊維強化プラスチック製のハニカムコア
15は、必要に応じ事後処理として、エポキシ系やポリ
イミド系の樹脂18、その他の熱硬化性樹脂や熱可塑性
樹脂等の樹脂18が、貯溜された浴槽19中に浸漬され
た後(いわゆるドフ漬けされた後)、取り出されて乾
燥,加熱硬化される。これにより、この繊維強化プラス
チック製のハニカムコア15のセル壁16の外表面に
は、この補強用の樹脂18が、追加的に付着,含浸せし
められる。もってハニカムコア15は、セル17密度が
高められ、強度が向上せしめられる。このように、樹脂
18が追加的に付着,含浸されることが多い。
【0031】次に、バイセクトタイプの繊維強化プラス
チック製のハニカムコア15について、述べておく。図
4,図5,図6の(1)図等に示した例では、繊維強化
プラスチック製の波板12のみが、複数枚重積,接着さ
れ、もって、セル17の断面形状が六角形をなす、標準
タイプのハニカムコア15が得られていた。しかしなが
ら、このような例によらず、図6の(2)図に示したよ
うに、繊維強化プラスチック製の波板12と、平坦なシ
ート状のままの繊維強化プラスチック製の平板20と
が、交互にそれぞれ複数枚、重積,接着され、もってセ
ル17の断面形状が台形状をなす、バイセクトタイプと
称されるハニカムコア15とすることも可能である。つ
まり本発明は、標準タイプの繊維強化プラスチック製の
ハニカムコア15の製造方法のみならず、このようなバ
イセクトタイプの繊維強化プラスチック製のハニカムコ
ア15の製造方法についても、適用される。
【0032】このような、バイセクトタイプのハニカム
コア15の製造方法については、前述した標準タイプの
ものの製造方法に関して述べたところが、原則的に適用
されるが、次の点では相違している。まず、このバイセ
クトタイプの製造方法では、成形,硬化された繊維強化
プラスチック製の波板12について、前述したように凹
凸の頂部表面や底部裏面に接着剤5を塗布する工程の
後、このような複数枚の波板12と、平坦なシート状の
まま硬化された繊維強化プラスチック製の複数枚の平板
20とが、順次交互に重積された後、加熱することによ
り接着される。勿論その際、各波板12に関しては、波
の半ピッチ分ずつ順次ずらされ、底部と頂部とが、平板
20を介してそれぞれ対応する位置関係に配される。
【0033】ところで、このように波板12間に介装,
接着される平板20としては、例えば、前述した図2の
工程で得られた繊維強化プラスチック製の母材シート
6、つまり波板12に成形する前の繊維強化プラスチッ
ク製の母材シート6を、そのまま加熱,硬化させたもの
が用いられる。すなわち、シート状でプリプレグ状の繊
維強化プラスチック製の母材シート6を、加熱,硬化さ
せることにより、平坦なシート状とした平板20が用い
られる。そして平板20として、このような繊維強化プ
ラスチック製の母材シート6を用いた場合、つまり前述
したように織物基材3により糸Aが織り込まれた母材シ
ート6を用いた場合には、前述した波板12の場合に準
じ、事後に実施される加熱により、この平板20にも、
多数の小孔Cが通気孔として形成されるようになる。な
お、このように平板20に小孔Cを形成するための加熱
は、波板12に小孔Cを形成するための加熱と、共通化
してもよいが、共通化せず別々に実施することも可能で
ある。
【0034】これに対し、このような上述した例によら
ないことも、可能である。すなわち、波板12間に介
装,接着される平板20として、このような母材シート
6を用いず、通常の一般的な繊維強化プラスチック製の
母材シートを用いる例も可能である。この場合の母材シ
ートは、より糸Aが織り込まれていない従来より公知の
一般的な織物基材に、樹脂4が付着,含浸,混入等によ
り組み合わされたものよりなり、このような母材シート
が加熱,硬化された後、平板20として波板12間に介
装,接着される。もって、この場合の平板20には、小
孔Cが形成されることはない。
【0035】いずれにしても、図6の(2)図に示した
ように、各波板12および各平板20をセル壁16と
し、このようなセル壁16にて区画形成された中空柱状
の多数のセル17の平面的集合体たる、繊維強化プラス
チック製でバイセクトタイプのハニカムコア15が得ら
れる。そして、このハニカムコア15のセル壁16につ
いては、少なくとも各波板12にて構成された部分に
は、多数の小孔Cが形成されている。その他、このバイ
セクトタイプの繊維強化プラスチック製のハニカムコア
15の製造方法等に関しては、事後処理を含め、前述し
た標準タイプの繊維強化プラスチック製のハニカムコア
15に関して述べたところと共通するので、その説明は
省略する。バイセクトタイプのものは、このようになっ
ている。
【0036】本発明に係る通気性を備えた繊維強化プラ
スチック製のハニカムコア15の製造方法は、以上説明
したように構成されている。そこで以下のようになる。
この製造方法は、いわゆるコルゲート方式よりなると共
に、低温溶融タイプのより糸Aが織り込まれた織物基材
3を用いてなる。すなわち、他の縦糸1や横糸2,組み
合わされる樹脂4,接着用の接着剤5等よりは低温で溶
融するより糸Aを、縦糸1や横糸2のそれぞれについ
て、一定間隔で織り込んでなる織物基材3を用いてなる
(図1を参照)。そして、この織物基材3に樹脂4を組
み合わせた母材シート6にて(図2を参照)、繊維強化
プラスチック製の波板12を成形,硬化させた後、接着
剤5を塗布してから(図3を参照)、波の半ピッチ分ず
つ順次ずらせつつ重積して、接着する。
【0037】このような工程を辿り、この繊維強化プラ
スチック製のハニカムコア15は製造される。そして、
このハニカムコア15は、セル壁16が繊維強化プラス
チック製の波板12よりなると共に、セル壁に多数の小
孔Cが形成され、通気性を備えてなる(図4を参照)。
すなわち、このハニカムコア15のセル壁16には、工
程中の加熱により、織物基材3の溶融,除去された縦,
横のより糸Aの交点に相当する箇所に、それぞれ小孔C
が、通気孔として多数形成されてなる。なお、前述した
バイセクトタイプのハニカムコア15の場合にも、少な
くとも波板12にて構成されたセル壁16については、
多数の小孔Cが形成されてなる(図6の(2)図等を参
照)。さてそこで、本発明に係る通気性を備えた繊維強
化プラスチック製のハニカムコア15の製造方法にあっ
ては、次の第1,第2,第3,第4のようになる。
【0038】第1に、本発明の製造方法では、低温溶融
タイプのより糸Aを縦糸1と横糸2にそれぞれ織り込ん
だ、織物基材3そして繊維強化プラスチック製の母材シ
ート6を用いたことにより、加熱,溶融,除去されたよ
り糸Aの交点Bにより、多数の小孔Cが波板12等に形
成される。このようにして、通気性が付与されたセル壁
16よりなる、繊維強化プラスチック製のハニカムコア
15が得られる。
【0039】そこでドリル等を用いて、硬度が異なる織
物基材3と樹脂4とが組み合わされた繊維強化プラスチ
ック製の母材シート6や波板12を対象として、穿孔加
工を行う場合に比し、設備コスト面に優れると共に、よ
り安定的に多数の小孔Cを形成でき、作業が困難化する
こともない。又、より糸Aを織物基材3の縦糸1と横糸
2間にそれぞれ織り込む間隔を、適宜調整することによ
り、つまり縦糸1や横糸2に対し何本置きにより糸Aを
織り込むかを、適宜選択することにより(図1を参
照)、小孔Cの形成ピッチを必要に応じコントロールす
ることができる。つまり、小孔Cの形成態様を、疎密に
容易にコントロール可能であり、小孔Cにて付与される
ハニカムコア15の通気性の大小を、容易に調節可能で
ある。
【0040】第2に、本発明の製造方法では、低温溶融
タイプのより糸Aを縦糸1と横糸2にそれぞれ織り込ん
だ、織物基材3を用いてなる。そして、織物基材3のこ
のようなより糸Aの径・太さは、予め自在に設定,選択
可能であり、もって、その交点Bたる小孔Cについて
も、必要な径・大きさのものが容易に得られる(図1を
参照)。
【0041】そこで、必要十分な径・大きさの小孔Cを
得べく、予め調整,設定,確保しておくことにより、接
着剤5の加熱による接着時や、プリプレグ状の繊維強化
プラスチック製の母材シート6の加熱,硬化時等におい
て、溶融・流動化した樹脂4にて、形成された小孔Cが
塞がれてしまうことは、確実に防止可能である。もっ
て、この繊維強化プラスチック製のハニカムコア15で
は、セル壁16に多数の小孔Cを、確実に形成可能であ
る。そして、この間の事情は、追加的に付着,含浸され
る樹脂18についても、同様である。つまり、前述した
ように製造されたハニカムコア15については、事後処
理として補強用の樹脂18が、付着,含浸されることが
多いが、この樹脂18も上述した樹脂4と同様、小孔C
を塞いでしまうことはない。
【0042】なお、上述した所に関連して、樹脂4や樹
脂18特に樹脂18については、その粘性も一応考慮に
値する。すなわち、例えば樹脂18の持っている表面張
力により、例え小孔Cが造幕され,塞がれるようなこと
あっても、この幕は事後の乾燥中に切れて、狙い通りの
小孔Cが得られる。しかしながら、樹脂18等の粘性次
第では、このように切れない事態も考えられるので、こ
のような場合には、低粘性・低粘度の樹脂18等を選択
使用するとよい。
【0043】第3に、本発明の製造方法は、波板12を
重積,接着するいわゆるコルゲート方式について、適用
される。そこで、重積された波板12間を加熱,接着す
る際(前述したバイセクトタイプの場合は、平板20を
介装しつつ重積された波板12間を加熱,接着する
際)、塗布されていた接着剤5が、既に波板12成形時
の加熱により形成されていた波板12の各小孔Cを介
し、その塗布面とは反対面にしみ出るようなことがあっ
ても、大事には至らない。すなわち、重積された波板1
2にとって、接着剤5の塗布面の反対面は、常に空間で
あり(事後にハニカムコア15のセル17となる空間で
ある。図3の(2)図を参照)、そこに加熱,溶融され
た接着剤5が、例えしみ出るようなことがあっても、重
積された他の波板12(バイセクトタイプの場合は更に
平板20)を接着してしまうおそれは、全くない(図4
を参照)。このように、接着剤5が既に形成されていた
小孔Cを介し、反対面にしみ出るようなことがあって
も、製造不良を引き起こす事態にはならない(なお図3
の(2)図において、既に形成されている小孔Cの図示
は省略されている)。
【0044】第4に、本発明の製造方法では、低温溶融
タイプのより糸Aを織り込んだ、織物基材3、そして繊
維強化プラスチック製の母材シート6を採用したことに
より、ハニカムコア15のセル壁16に多数の小孔Cを
形成し、通気性を付与する。すなわち、より糸Aを織り
込まない一般的な織物基材そして一般的な繊維強化プラ
スチックを用いると共に、これに切れ目状の多数のスリ
ットを形成しておくことにより、セル壁16への通気性
を付与せんとした訳ではない。もって、スリットに起因
してハニカムコア15の強度が損なわれてしまう、おそ
れもない。
【0045】
【発明の効果】本発明に係る通気性を備えた繊維強化プ
ラスチック製のハニカムコアの製造方法は、以上説明し
たように、コルゲート方式において、母材シートの織物
基材の縦糸と横糸について、低温溶融タイプのより糸
を、一定間隔で織り込むようにしたことにより、次の効
果を発揮する。
【0046】第1に、ドリル等を用いた穿孔加工は行わ
れず、コスト面に優れると共に安定的かつ容易に、多数
の小孔を形成可能である。すなわち、この製造方法で
は、前述したこの種従来例のように、硬度が異なる織物
基材と樹脂が組み合わされた繊維強化プラスチック製の
母材シート等を対象とすると共に、極めて細くて長い特
殊な専用のドリル等を用いて穿孔加工を行うようなこと
なく、多数の小孔を、繊維強化プラスチック製のハニカ
ムコアのセル壁に形成できる。つまり、低温溶融タイプ
のより糸を縦糸と横糸にそれぞれ織り込んだ織物基材を
用いたことにより、セル壁に多数の小孔を形成し通気性
を付与するので、設備コスト面に優れると共に、安定的
に小孔を形成でき、作業も困難を伴うことなく容易であ
る。又、より糸を織り込む間隔を調整することにより、
小孔の形成ピッチを、安易に各種の疎密態様にコントロ
ール可能である。
【0047】第2に、しかも小孔は、必要十分な大きさ
で得られ、樹脂で塞がれることもない。すなわち、この
製造方法では、織物基材に織り込まれるより糸の径の大
小に配慮しておくことにより、必要な大きさ・径の小孔
が容易に得られる。そこで、前述したこの種従来例の穿
孔加工され残さいも存する小孔のように、接着剤の加
熱,接着時や、プリプレグ状の繊維強化プラスチック製
の母材シート等の加熱,硬化時等に、溶融・流動化した
樹脂にて塞がれてしまうようなことはない。つまり、繊
維強化プラスチック製のハニカムコアについて、セル壁
に、確実に多数の小孔を形成できる。
【0048】第3に、接着剤が塗布面とは反対面にしみ
出ても、不良の原因とはならず、目止め処理等の必要も
なく、作業が簡単である。すなわち、この製造方法で
は、重積された繊維強化プラスチック製の波板間を加
熱,接着する際、塗布されていた接着剤が、波板に形成
されていた各小孔を介し、塗布面とは反対面にしみ出て
も大事には至らず、製造不良を引き起こすこともない。
つまり、この製造方法は、波板を重積,接着するコルゲ
ート方式よりなるので、前述したこの種従来例の展張方
式のように、しみ出た接着剤が接着対象箇所以外を接着
してしまうような事態は発生せず、ハニカムコアの製造
不良を引き起こすことはない。そこで、この製造方法で
は、このような接着剤のしみ出しを回避すべく、前述し
たこの種従来例のように、目止め処理等を要することも
なく、手間が省け作業が容易化される等、工数面に優れ
ている。
【0049】第4に、スリットも形成されない等、強度
が損なわれるおそれはない。すなわち、この製造方法で
は、低温溶融タイプのより糸を織り込んだ織物基材を用
いたことにより、繊維強化プラスチック製のハニカムコ
アのセル壁に多数の小孔を形成する。そこで、例えばス
リットを形成することにより切れ目状の小孔を形成して
いた前述したこの種従来例のように、製造されたハニカ
ムコアの強度が低下するデメリットが発生することもな
く、通気性と共に所期の強度を備えた、繊維強化プラス
チック製のハニカムコアが得られる。このように、この
種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の
発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る通気性を備えた繊維強化プラスチ
ック製のハニカムコアの製造方法について、発明の実施
の形態の説明に供し、(1)図は、準備された織物基材
の斜視図、(2)図は、その1例の要部を拡大した平面
図、(3)図は、他の例の要部を拡大した平面図であ
る。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供する斜視図であ
り、繊維強化プラスチック製の母材シートを準備する工
程を示す。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供する斜視図であ
り、(1)図は、波板の成形工程を示し、(2)図は、
成形された波板を示す。
【図4】同発明の実施の形態の説明に供する斜視図であ
り、(1)図は、得られたハニカムコアを示し、(2)
図は、その要部を拡大したものである。
【図5】同発明の実施の形態の説明に供する斜視図であ
り、浴槽に浸漬中のハニカムコアを示す。
【図6】同発明の実施の形態の説明に供する正面説明図
であり、(1)図は、標準タイプのハニカムコアを、
(2)図は、バイセクトタイプのハニカムコアを示す。
【符号の説明】
1 縦糸 2 横糸 3 織物基材 4 樹脂 5 接着剤 6 母材シート 7 タンク 8 乾燥炉 9 ガイドローラー 10 離型紙 11 ニップロール 12 波板 13 ギヤ 14 ラック 15 ハニカムコア 16 セル壁 17 セル 18 樹脂 19 浴槽 20 平板 A より糸 B 交点 C 小孔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 まず、縦糸と横糸のそれぞれについて、
    一定間隔でより糸が織り込まれた織物基材を準備し、上
    記より糸は、他の該縦糸,横糸,下記の樹脂,接着剤等
    より、低温で溶融可能な材質よりなり、 次に、上記織物基材に樹脂を付着,含浸,混入等により
    組み合わせてなる、繊維強化プラスチック製の母材シー
    トを準備してから、 繊維強化プラスチック製でプリプレグ状の該母材シート
    をコルゲート成形装置に供給して、波形の凹凸が連続的
    に折曲形成された繊維強化プラスチック製の波板を成形
    した後、 硬化した該波板の凹凸の頂部表面や底部裏面に接着剤を
    塗布してから、複数枚の該波板を、波の半ピッチ分ずつ
    順次ずらし底部と頂部とがそれぞれ対応する位置関係
    で、重積して接着することにより、 このように重積,接着された各該波板をセル壁とし、該
    セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面
    的集合体たる、繊維強化プラスチック製のハニカムコア
    を得ると共に、 上記準備工程より後の各工程中又は各工程の前後等のい
    ずれかの時点で、上記より糸が溶融する温度で加熱され
    ることにより、該母材シート,波板,セル壁について、
    上記織物基材の溶融,除去された縦,横の上記より糸の
    交点となっていた各箇所に、それぞれ小孔が通気孔とし
    て形成されること、 を特徴とする、通気性を備えた繊維強化プラスチック製
    のハニカムコアの製造方法。
JP13108398A 1998-04-23 1998-04-23 通気性を備えた繊維強化プラスチック製のハニカムコアの製造方法 Pending JPH11300860A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013132781A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Mitsubishi Electric Corp サンドイッチパネルおよびハニカムコア
JP2014043080A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Mitsubishi Electric Corp 構造材及びその製造方法
CN105011433A (zh) * 2014-04-25 2015-11-04 绍兴市恒睿无纺布科技有限公司 立体芳纶毡
JP2016047650A (ja) * 2015-11-05 2016-04-07 三菱電機株式会社 サンドイッチパネルおよびサンドイッチパネルの製造方法
CN107244087A (zh) * 2017-07-14 2017-10-13 苏州云逸航空复合材料结构有限公司 复合材料蜂窝结构的制造方法及用于制造复合材料蜂窝结构的设备

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