JP2004314206A - 電動スクリュードライバ - Google Patents

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Abstract

【課題】サイレントクラッチを備えた電動スクリュードライバにつき、異なるネジ締付形態に対応することができる技術を提供する。
【解決手段】駆動モータの正転時には、作業者の押圧力を介して駆動側クラッチカム150と被動側クラッチカム140が噛み合い係合し、これによって駆動モータの正転方向への回転力が工具ビット123に伝達されてネジ締付作業が遂行され、駆動モータの逆転時には、作業者の押圧力を介して駆動側クラッチカム150と被動側クラッチカム140が噛み合い係合するとともに、当該押圧力が解除された場合であっても、駆動側クラッチカム150と被動側クラッチカム140の係合が維持され、これによって駆動モータの逆転方向への回転力が工具ビット123に伝達されてネジ締付解除作業が遂行可能に構成された電動スクリュードライバ100。
【選択図】 図21

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正転時のみならず逆転時にも的確に対応することができるクラッチを備えた電動スクリュードライバに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開昭61−219581号に開示されるように、従来の電動スクリュードライバとして、工具ビットと該工具ビットに回転駆動トルク(回転力)を付与するための駆動モータとをクラッチで連結することによって、ネジ締付作業時の騒音や振動を低減する技術が知られている。このクラッチによれば、締付対象であるネジが被加工材に対して一定量の締込み深さに達した場合に、当該締込み深さに基づいてクラッチによる回転トルク伝達が迅速に解除され、クラッチ歯同士の回転接触を回避することにより、騒音を抑制する構成とされている。
【0003】
ところで上記電動スクリュードライバの利用形態の一つとして、工具ビットを逆転駆動して被着物に止着されたネジの締付を解除する場合がある。この場合、上記した従来の電動スクリュードライバでは、作業者が本体部に押圧力を作用させることによりクラッチが接続され、駆動モータの回転力が工具ビットに伝達されるとともに、ネジの締込み深さに基づいて当該クラッチを解除する構成とされている。従って、工具ビットを逆転駆動してネジ締付解除作業を行うに際し、作業者による本体部への押圧力を解除して作業する場合、あるいはネジを被加工材から引抜いて離脱させるような場合に、電動スクリュードライバにおけるクラッチの接続を維持することが困難な場合が生じ得るため、更なる改善の余地がある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−219581号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、駆動モータの回転出力を工具ビットに解除自在に伝達するためのクラッチを備えた電動スクリュードライバにつき、正転時のみならず逆転時にも的確に対応することができる技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、駆動モータ、駆動側スピンドル、駆動側クラッチカム、被動側クラッチカム、被動側スピンドルおよび工具ビットを有する電動スクリュードライバが構成される。このうち駆動モータは、本体部に収容される。本体部としては、典型的には駆動モータハウジングないしギアハウジングが該当する。また駆動モータとしては、交流駆動モータや直流ブラシレス駆動モータ等の様々な駆動モータを採用可能である。駆動側スピンドルは、駆動モータの所定の正転方向への回転力および逆転方向への回転力をいずれも受承可能に配置される。駆動モータの回転力は、周知の減速機構を適宜に用いて受承させるのが好ましい。駆動側クラッチカムは、駆動側スピンドルの回転力を受けて回転する。被動側クラッチカムは、駆動側クラッチカムと解除自在に噛み合い係合することにより駆動側クラッチカムの回転力を受承して回転する。被動側スピンドルは、被動側クラッチカムの回転に伴って回転駆動される。工具ビットは、被動側スピンドルに接続され、当該被動側スピンドルの回転力を介してネジ締付け作業およびネジ締付け解除作業を遂行する。
【0007】
本発明における被動側スピンドルは、その軸方向に関し、被動側クラッチカムとともに本体部に対する相対移動が可能とされる。そして当該被動側スピンドルは、その軸方向に関し、前記被動側クラッチカムとともに前記本体部に対する相対移動が可能とされる。
【0008】
駆動モータが正転駆動される場合、本体部に対する作業者の押圧力を介して駆動側クラッチカムと被動側クラッチカムが噛み合い係合し、これによって駆動モータの正転方向への回転力が工具ビットに伝達されてネジ締付作業が遂行可能とされる。一方、駆動モータが逆転駆動される場合、本体部に対する作業者の押圧力を介して駆動側クラッチカムと前記被動側クラッチカムが噛み合い係合するとともに、当該押圧力が解除された場合であっても、駆動側クラッチカムと被動側クラッチカムの係合が維持されるよう構成される。従って、駆動モータの逆転時においては、作業者の押圧力が介在しない状態であっても、駆動モータの逆転駆動力が駆動側および被動側クラッチカムの係合を介して工具ビットに伝達可能な状態が維持される。これにより、駆動モータの逆転方向への回転力が工具ビットに伝達されてネジ締付解除作業が遂行可能とされる。
【0009】
本発明によれば、駆動モータの回転出力を工具ビットに解除自在に伝達するためのクラッチが設けられた電動スクリュードライバにおいて、駆動モータの正転時のみならず逆転時にも的確に対応することが可能な技術が提供されることとなった。
【0010】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の電動スクリュードライバにおける被動側クラッチカムは、駆動側クラッチカムとの噛み合い係合の際に、さらに被動側スピンドルの軸方向に関し、被動側スピンドルに対する相対移動が許容される。そして駆動モータの逆転時には、本体部に対する作業者の押圧力が解除された場合であっても、被動側スピンドルの軸方向につき、駆動側クラッチカムから離間する側への被動側クラッチカムの移動動作が規制される。これにより、被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムの噛み合い係合状態が維持されるよう構成される。
【0011】
すなわち本発明では、被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムの噛み合い係合状態の維持および解除につき、被動側スピンドルの軸方向への被動側クラッチカムの相対移動の可否を利用する構成が採用されている。従って駆動モータ逆転時における双方のクラッチカムの係合を維持するのに大掛かりな機構を組み込む必要がなく、構成の簡素性を確保することができる。
【0012】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の電動スクリュードライバにつき、被動側スピンドルに対する当該被動側スピンドルの軸方向への被動側クラッチカムの相対移動量は、駆動モータの正転時よりも逆転時のほうが大きくなるように設定されている。上記のように、本発明にかかる電動スクリュードライバでは、駆動モータを正転して工具ビットによるネジ締付作業を遂行する場合には、作業者が本体部に押圧力を作用させて駆動側クラッチカムと被動側クラッチカムを噛み合い係合させている。従って、駆動モータを逆転させてネジ締付解除作業を行なう際には、作業者による本体部への押圧力が作用し難い状態におかれる。このため被動側スピンドルの軸方向への被動側クラッチカムの相対移動量につき、駆動モータの正転時よりも逆転時のほうが大きくなるように設定しておく。
【0013】
すると、本体部への作業者の押圧力の作用が解除された場合に、被動側クラッチカムが、駆動側クラッチカムから離間する側へと、被動側スピンドルに対して相対移動したとしても、被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムとの噛み合い係合が完全には解除され難くなる。換言すれば、作業者の押圧力が解除された場合であっても、両クラッチカムの噛み合い係合が維持され易い構成が得られる。従って、ネジ締付解除作業を行なう際、逆転状態とされた駆動モータの駆動力の伝達を一層確実化することが可能となる。
【0014】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項2または3に記載の電動スクリュードライバにつき、駆動モータの逆転時に、被動側クラッチカムが、被動側スピンドルの軸方向に関して、駆動側クラッチカムと噛み合い係合した位置から離間する側に復帰するのを規制する被動側クラッチカム保持手段が更に配設されている。「被動側クラッチカム保持手段」としては、例えば、被動側クラッチカムと被動側スピンドルの間において被動側スピンドルの長軸方向に移動可能に配置された駆動力伝達ボールと、被動側クラッチカムと被動側スピンドルの少なくとも一方に形成されて動力伝達ボールを遊嵌状に摺動させる溝部とで構成するのが好ましい。この場合、被動側スピンドルの長軸方向への動力伝達ボールの移動動作を規制する領域が当該溝部に形成される。そして被動側クラッチカムが駆動側クラッチカムに噛み合い係合した位置に保持されるように当該溝部によって動力伝達ボールを保持する。
【0015】
本発明によれば、駆動モータを逆転駆動する際に、被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムの噛み合い係合が被動側クラッチカム保持手段によって確保されるため、ネジ締付解除作業時の駆動力伝達が一層確実化されることとなる。
【0016】
(請求項5に記載の発明)
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4までのいずれかに記載の電動スクリュードライバにおける駆動側クラッチカムは、駆動モータの正転方向への回転力を工具ビットに伝達する際に、工具ビットに作用するトルクが所定の範囲にある場合には、被動側クラッチカムに近接したトルク伝達許容位置に置かれる。一方、当該トルクが所定の範囲を超える場合には、被動側クラッチカムから離間したトルク伝達禁止位置へとトルク伝達許容位置から後退するとともに、トルク伝達許容位置へと復帰することが規制される。
【0017】
このように構成することで、典型的には、ネジ締付作業が実質的に完了し、ネジを含む被加工材側から工具ビットが受ける反動トルクが大きくなった場合に、被動側クラッチカムとの係合が解除されてトルク伝達禁止位置に置かれた駆動側クラッチカムがトルク伝達許容位置に復帰することが規制される。これにより、ネジ締付トルクを管理しつつ作業を遂行する際に、クラッチ係合が迅速かつ確実に解除されるとともに、解除されたクラッチが不用意に係合して振動や騒音を生じるのを確実に抑制することができる。
【0018】
(請求項6に記載の発明)
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から4までのいずれかに記載の電動スクリュードライバにおいて、駆動側クラッチカムと被動側クラッチカムとは、相互に噛み合い係合して駆動モータの回転力を工具ビットに伝達するとともに、工具ビットに作用するトルクが所定の範囲を超える場合に相互の噛み合い係合が解除される第1の動力伝達モードと、相互に噛み合い係合して駆動モータの回転力を工具ビットに伝達するとともに、ネジ締付作業の遂行により工具ビットが本体部から所定距離離間する場合に相互の噛み合い係合が解除される第2の動力伝達モードとの間で切り替え可能に構成される。
【0019】
このように本発明では、第1および第2の動力伝達モードを設定することにより、駆動側および被動側の各クラッチカムの噛み合い係合に関して二種類の異なる解除形態が設定されることになる。第1の解除形態として、被加工材からの反動トルクすなわちネジの締付トルクが所定範囲を超える場合、例えば所定の設定トルクを超える場合に、各クラッチカムの係合を解除する。典型的には、被加工材にネジが締め付けられることで回転が規制された工具ビット側の被動側クラッチカムと、駆動モータのトルクをさらに伝達しようとする駆動側クラッチカムとの間で係合が解除されて、両者間の接触を迅速に遮断して騒音や振動を防止するサイレントクラッチがこれに該当する。
【0020】
また第2の解除形態として、ネジ締付作業の遂行により、工具ビットが被加工材に向かって本体部から所定距離離間することで第1および第2のクラッチ手段の係合を解除する。典型的には、工具ビットが被加工材に向かって本体部から所定距離離間すると、被動側スピンドルおよび被動側クラッチカムも、ともに本体部から所定距離離反し、これによって被動側クラッチカムが駆動側クラッチカムから離間し、両者間の係合が解除される構成がこれに該当する。
【0021】
本発明によれば、効果的なネジ締付解除作業を遂行するとともに、ネジ締付トルクを管理してネジを締め付けるという作業形態、およびネジの締付量に応じて作業を完了させるという作業形態のいずれにも対応することが可能な実用性の高い電動スクリュードライバが提供される。
【0022】
(請求項7に記載の発明)
請求項7に記載の発明によれば、上記請求項1または2に記載の電動スクリュードライバにおける被動側クラッチカムは、被動側スピンドルと駆動側クラッチカムの間に配置される中間クラッチとして構成される。この中間クラッチは、駆動側スピンドルの先端領域に配置された駆動側クラッチカムと噛み合い係合することで回転駆動される。さらに当該中間クラッチは、被動側スピンドルの端部領域に配置された被動クラッチと噛み合い係合することで駆動モータの回転力を被動側スピンドルに伝達する。
【0023】
なお、駆動モータを逆転してネジ締付解除作業を行なう場合には、作業者による本体部への押圧力が解除された場合であっても、前記中間クラッチとして構成される被動側クラッチカムと前記駆動側クラッチカムとの噛み合い係合につき、当該中間クラッチが前記被動クラッチによって保持されることで維持されるよう構成するのが好ましい。このように構成すれば、駆動モータの逆転方向への回転力が確実に工具ビットに伝達され、ネジ締付解除作業が効果的に遂行可能とされる。すなわち以下の態様が構成可能である。
【0024】
「請求項7に記載の電動スクリュードライバであって、
前記駆動モータの逆転時には、前記作業者による押圧力が解除された場合であっても、前記中間クラッチとして構成される被動側クラッチカムと前記駆動側クラッチカムとの噛み合い係合は、当該中間クラッチが前記被動クラッチによって保持されることで維持されることを特徴とする電動スクリュードライバ。」
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態である電動スクリュードライバおよびその使用方法につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。本実施の形態に係る電動スクリュードライバ100の要部が図1に示される。なお図1では、電動スクリュードライバ100のうち駆動モータハウジングおよびギアハウジングよりなる本体部110の要部断面を示し、本体部110に連接されるハンドグリップについては便宜上図示を省略する。
【0026】
電動スクリュードライバ100は、概括的に見て、本体部110、被動側スピンドル120、駆動側スピンドル130、被動側クラッチカム140、駆動側クラッチカム150、クラッチ係合規制スプリング160、サイレントクラッチ機構170を主体として構成される。
【0027】
電動スクリュードライバ100の本体部110内には駆動モータ113および減速機構115が収容配置されている。駆動モータ113の出力軸113aは、減速機構115を経由して駆動側スピンドル130に連接されている。なお減速機構115には減速ギアを主体とした周知の機構が採用されている。
【0028】
被動側スピンドル120は、駆動側スピンドル130と同軸上において本体部110の先端側(図1において左端側)に回転可能に設けられる。被動側スピンドル120は、本体部110のスリーブ110aに支持されつつ、駆動側スピンドル130との関係において、当該被動側スピンドル120の長軸方向に相対移動可能に構成されている。被動側スピンドル120の先端側には工具ビット取付用チャック121が設けられ、他端側(図1において右端側)には被動側クラッチカム140が設けられている。工具ビット取付用チャック121には工具ビット123が着脱自在に取り付けられている。
【0029】
またスリーブ110aには、工具ビット123の先端近傍までを覆うようにロケータ191が着脱自在に取り付けられる。ロケータ191は、本体部110が図2(A)に示す被加工材125に対し所定量以上近接するのを規制し、本体部110が被加工材125へ近接するのを規制した状態で工具ビット123が当該被加工材125側へ近接するのを許容する部材である。本実施の形態では、後述するように、電動スクリュードライバ100を設定トルク感応モード(第1の動力伝達モード)とするにはロケータ191をスリーブ110aから取り外し、ネジ締め深さ感応モード(第2の動力伝達モード)とするにはロケータ191をスリーブ110aに取り付ける。
【0030】
被動側クラッチカム140は、被動側スピンドル120の駆動側スピンドル130に向かう側の端部に第1スチールボール143を介在して配置される。また被動側クラッチカム140の駆動側スピンドル130に向かう側の端部(図1において右端側)にはクラッチ歯141が設けられている。
第1スチールボール143は、被動側スピンドル120上に形成されたリード溝120a内において、駆動側スピンドル130へ向かう側の端部と、駆動側スピンドル130から離反する側の端部の間で移動可能に構成されている。
【0031】
リード溝120aの構成が図2(B)に模式的に示される。なお図2(B)では、外周面に当該リード溝120aを有する被動側スピンドル120の長軸方向につき、被動側クラッチカム140(図1参照)が駆動側クラッチカム150へと向かう側を符号Eで示す。なお、この方向Eは、図2(A)では右側方向とされる。また、駆動モータ113(図1参照)の正転方向を符号Fで、逆転方向を符号Rで示す。リード溝120aは、正転方向Fおよび逆転方向Rそれぞれにつき、被動側スピンドル120の長軸方向Eに対し傾斜状に形成されてV字形状をなす。すなわちリード溝120aは、正転方向Fおよび逆転方向Rそれぞれにつき、互いに交差する正転用作動溝部120bおよび逆転用作動溝部120cを有し、各溝部120b、120cの両端部は、被動側スピンドル120の長軸方向Eに所定の距離を有して設定されるとともに、その径方向についても所定の距離を有して設定される。
【0032】
さらに本実施の形態では、逆転用作動溝部120cは、被動側スピンドル120の長軸方向Eにつき、正転用作動溝部120bに対し距離Dだけ長く形成されている。これは、後述するように、ネジ締付解除作業の際に、作業者による電動スクリュードライバ100への押圧力が解除され、被動側クラッチカム140が被動側スピンドル120とともに駆動側クラッチカム150から離間する側へ所定量相対移動した場合であっても、被動側クラッチカム140と駆動側クラッチカム150の噛み合い係合を確実に確保するためである。
【0033】
一方、第1スチールボール143は、正転用作動溝部120bおよび逆転用作動溝部120cのいずれにも移動可能に配置される。図2(B)において第1スチールボール143が置かれた符号Aで示される位置は本発明における「トルク伝達禁止位置」に対応する。また符号Bで示される位置は、駆動モータ113(図1参照)を正転駆動した際の「トルク伝達許容位置」に対応し、符号Cで示される位置は、駆動モータ113(図1参照)を逆転駆動した際の「トルク伝達許容位置」に対応する。正転側および逆転側双方において、作動溝部120b、120cの両端部間で移動可能とされた第1スチールボール143を介し、被動側クラッチカム140は、駆動モータ113の正転時および逆転時のいずれにおいても、被動側スピンドル120に対し当該被動側スピンドル120の軸方向に相対移動することが許容される。また被動側クラッチカム140は、第1スチールボール143がリード溝120aの作動溝部120b、120cの両端間で移動する範囲においては、被動側スピンドル120に対し相対的に回転することを許容されるが、第1スチールボール143がリード溝120aの駆動側クラッチカム150に近接する側の端部、すなわちトルク伝達許容位置B,Cに置かれると、第1スチールボール143が当該リード溝120a端部に当接規制されることにより、被動側クラッチカム140は被動側スピンドル120と一体に回転するよう規制される。
【0034】
かくして被動側クラッチカム140は、ネジ締付作業時に、工具ビット123の先端にネジ124を取り付けた状態で被加工材125(図2(A)参照)に押し当てながら作業者が電動スクリュードライバ100に押し込み荷重を付加することにより、被動側スピンドル120とともに、当該押し込み荷重に対する被加工材側からの反力によって駆動側スピンドル130方向(図中右方向)に移動することになる。これらの動作の詳細については後述する。
【0035】
駆動側クラッチカム150は、駆動側スピンドル130の被動側スピンドル120に向かう側の端部(図1において左側端部)に第2スチールボール153を介在して配置される。駆動側クラッチカム150の被動側スピンドル120に向かう側の端部にはクラッチ歯151が設けられている。第2スチールボール153は、駆動側スピンドル130上に設けられたカム溝130a内において、被動側スピンドル120方向に向かう端部を限界位置として移動し、これにより駆動側クラッチカム150の位置規定部材としての役割を果たす。駆動側クラッチカム150は、この第2スチールボール153により、駆動側スピンドル130に対し当該駆動側スピンドル130の軸方向に円滑に相対移動することが許容されるとともに、駆動側スピンドル130と一体に回転するように構成されている。なお第2スチールボール153について上記両端部間を軸方向に移動可能とする構成は機能上必ずしも必要ではないものの、駆動側クラッチカム153の駆動側スピンドル130に対する円滑な摺動動作を確保する観点から、本実施の形態では、上記のように両端部間を移動可能に構成している。
【0036】
図1に示すように、被動側クラッチカム140と駆動側クラッチカム150との間には、クラッチ係合規制スプリング160が配置される。クラッチ係合規制スプリング160は、被動側クラッチカム140と駆動側クラッチカム150とが互いに離反する方向に付勢力を生じる。換言すればクラッチ係合規制スプリング160は、その付勢力により、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯141と、駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151が確実に係合解除するとともに、係合解除後に不用意に接触しないように確実に離間させる役割を果たす。
【0037】
サイレントクラッチ機構170は、付勢スプリング171、ストッパー181、ストッパー作動用ピン183、ストッパー係合溝185、リングスプリング187、ストッパー作動用スプリング189を主体として構成される。付勢スプリング171は、駆動側クラッチカム150と付勢スプリング支持ワッシャ179との間に装着されて、駆動側クラッチカム150が被動側クラッチカム140へ向かうように付勢力を付与する。ストッパー181はスチールボールによって構成される。ストッパー作動用ピン183は、リングスプリング187を介在して被動側スピンドル120に設けられるとともに、ストッパー作動用スプリング189によって駆動側スピンドル130に向かう方向に付勢される。ストッパー作動用ピン183の途上にはストッパー係合溝185が形成され、このストッパー係合溝185にストッパー181が嵌着して配置される。ストッパー係合溝185のストッパー181への当接面は曲面ないしテーパ面とされており、ストッパー作動用スプリング189の付勢力によってストッパー作動用ピン183が軸方向に移動することにより、ストッパー181は駆動側スピンドル130の周面から出没可能に突出するように構成されている。しかしながら、図1に示す状態では、ストッパー181の上方に駆動側クラッチカム150の脚部が位置し、ストッパー181はこの駆動側クラッチカム150の脚部に邪魔をされることにより、駆動側スピンドル130の周面から突出することが規制されている。
【0038】
付勢スプリング171の駆動側クラッチカム150に対する付勢力は、設定トルク調整リング173、設定トルク調整用ピン175、設定トルク調整用スリーブ177および付勢スプリング支持ワッシャ179の協働によって適宜変更調整することができる。具体的には、本体部110の長軸回りに設定トルク調整リング173を回転させることにより、当該設定トルク調整リング173に本体部110の長軸方向(図1においては左右方向)に微小距離だけ相対移動させる。設定トルク調整リング173は、設定トルク調整用ピン175を介して設定トルク調整用スリーブ177に連結されており、設定トルク調整用スリーブ177は、設定トルク調整リング173とともに本体部110の長軸方向に相対移動する。
【0039】
設定トルク調整用スリーブ177の端部には付勢スプリング支持ワッシャ179が取り付けられており、結果的に駆動側スピンドル130上における付勢スプリング支持ワッシャ179の配置位置が、駆動側スピンドル130の長軸方向に変化する。これにより付勢スプリング支持ワッシャ179と駆動側クラッチカム150間の付勢スプリング171の長さを適宜変更し、該付勢スプリング171の付勢力を変更する。本実施の形態では、付勢スプリング171の付勢力を調節することにより、後述する設定トルク感応モードにおける設定トルク値の調整が可能となる。さらに本実施の形態では、設定トルク調整用スリーブ177の移動動作を利用して、後述する設定トルク感応モードとネジ締め深さ感応モードとの切り替えが可能となる。
【0040】
次に、本実施の形態に係る電動スクリュードライバ100の作用および使用方法について説明する。電動スクリュードライバ100は、ネジの反動トルク(すなわちネジの締付トルク)が所定のトルクに達することに応じて駆動モータ113から工具ビット123へのトルク伝達を解除する設定トルク感応モードと、被加工材に対するネジの締め込み量に応じて駆動モータ113から工具ビット123へのトルク伝達を解除するネジ締め深さ感応モードとで切り替え可能とされる。設定トルク感応モードは本発明の「第1の動力伝達モード」に対応し、ネジ締め深さ感応モードは本発明の「第2の動力伝達モード」に対応する。
【0041】
(設定トルク感応モード:ネジ締付作業)
まず設定トルク感応モード(第1の動力伝達モード)について説明する。電動スクリュードライバ100のうち、被動側スピンドル120、駆動側スピンドル130、被動側クラッチカム140、駆動側クラッチカム150を主体とした要部の構成が図2(A)から図6(B)までに示される。なお、図1に示すクラッチ係合規制スプリング160については、便宜上図示を省略している。このうち図2(A)は、本実施の形態に係る電動スクリュードライバ100につき、被加工材125に対しネジ124の締付作業を開始しようとする初期状態を示す。設定トルク感応モードでは、図1に示すロケータ191はスリーブ110aから取り外されている。
【0042】
図2(A)に示す状態では、正転方向に駆動された駆動側スピンドル130は、駆動モータ113(図1参照)の回転トルクを被動側クラッチカム140および被動側スピンドル120に伝達することなく、駆動側クラッチカム150とともに遊転する。なお駆動モータ113の正転時には、駆動側スピンドル130は、駆動モータ113側から被動側スピンドル120方向に見た場合、右回りに回転している。図2(A)に示す状態では、クラッチ係合規制スプリング160(図1参照)の付勢力により、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯141と駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151とは相互に離間した状態が維持される。このとき第1スチールボール143は、図2(B)に示すようにトルク伝達禁止位置に置かれている。またこの時、駆動側クラッチカム150は付勢スプリング171によって被動側クラッチカム140側に付勢され、第2スチールボール153がカム溝130aの被動側クラッチカム140に近接する側の端部に置かれ、駆動側スピンドル130上における駆動側クラッチカム150の相対的位置が規定されている。
【0043】
さらに図2(A)に示す状態では、ストッパー181の上部に駆動側クラッチカム150の脚部が位置するため、ストッパー181は当該駆動側クラッチカム150の脚部によって抑えられて駆動側スピンドル130の周面から突出するのを規制されている。
【0044】
図2(A)に示す初期状態からネジ締付作業を開始する場合、ネジ124を被加工材125へ進入させるべく、作業者は電動スクリュードライバ100を被加工材125方向(図中左方向)へ押し込んでいく。これにより被動側スピンドル120および被動側クラッチカム140は、工具ビット123と一体となって、被加工材125側からの押圧に対する反力により、駆動側スピンドル130方向(図中右方向)へ押圧され、電動スクリュードライバ100側(本体部側)へと相対的に移動していく。この状態が図3(A)に示される。また図3(A)に示す状態では、ストッパー181は駆動側クラッチカム150の脚部によって外方に突出するのを規制されているため、被動側スピンドル120が図中右方向に移動した場合、ストッパー作動用ピン183に形成されたストッパー係合溝185がストッパー181に当接し、ストッパー作動用ピン183の駆動側スピンドル130方向(図中右方向)への移動を規制する。従って、押し込み荷重の反力によってストッパー作動用スプリング189は圧縮されていくことになる。
【0045】
作業者による押圧力により、図4(A)に示すように両クラッチ歯141,151が噛み合い係合し、駆動モータ113(図1参照)の回転トルクが、駆動側スピンドル130、第2スチールボール153、駆動側クラッチカム150、駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯141、被動側クラッチカム140、第1スチールボール143、リード溝120a、被動側スピンドル120、工具ビット取付用チャック121、工具ビット123を経由して、ネジ124に伝達される。このとき図4(B)に示すように、第1スチールボール143はリード溝120a内の正転用作動溝部120bを通じてトルク伝達許容位置Bへと移動した状態とされる。
【0046】
図4(A)に示す状態にてネジ124の被加工材125に対する締付作業が進行すると、図5(A)に示すようにネジ124の頭部着座面124aが被加工材125に着座し、ネジ124の締付作業が最終段階に至るとともに、工具ビット123におけるネジ締付トルクが過大となる。このとき第1スチールボール143は、図5(B)に示すようにトルク伝達許容位置に置かれた状態が維持されている。この状態において、駆動モータ113(図1参照)の回転トルクを更に伝達しようとする駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151が、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯141に乗り上げる状態となる。その結果、駆動側クラッチカム150は、トルク伝達許容位置から、付勢スプリング171の付勢力に抗しつつ被動側クラッチカム140から離反し、図中右方向のトルク伝達規制位置へと移動する。
【0047】
なお図5(A)では、第2スチールボール153は、カム溝130a内において、被動側スピンドル120(被動側クラッチカム140)に向かう側の端部から離反移動することにより、駆動側クラッチカム150が円滑に移動するのをアシストする。
【0048】
駆動側クラッチカム150がトルク伝達許容位置から図中右方向に移動すると、ストッパー181の上方に位置していた駆動側クラッチカム150の脚部が図中右方向に退くことになる。一方、ストッパー作動用ピン183は、圧縮されたストッパー作動用スプリング189の付勢力によって図中右方向に押圧された状態とされている。そのためストッパー181は、図6(A)に示すように、ストッパー作動用ピン183が右方向へ移動するのに伴い、ストッパー係合溝185に押し出されて駆動側スピンドル130の周面から外方に突出する。
【0049】
図6(A)では、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯141と、駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151の噛み合い係合が解除された状態が示される。この状態において、第1スチールボール143は、図6(B)に示すようにリード溝120a内の正転用作動溝部120bを移動してトルク伝達許容位置Bからトルク伝達禁止位置Aへと復帰動作する。すると、便宜上特に図示しないクラッチ係合規制スプリング160(図1参照)の付勢力を介し、図6(A)に示す被動側クラッチカム140は、被動側スピンドル120上を当該正転用作動溝部120bの軸方向長さ分だけ駆動側クラッチカム150から離反する方向に移動する。これにより、被動側クラッチカム140と駆動側クラッチカム150の係合が迅速かつ確実に解除され、サイレントクラッチとしての機能が奏される。
【0050】
一方、駆動側クラッチカム150が図中右方向へ移動すると、上述のように、ストッパー181に対する駆動側クラッチカム150脚部による抑えがなくなり、ストッパー181は駆動側スピンドル130外方へ突出する。従ってストッパー作動用ピン183は、ストッパー作動用スプリング189の付勢力により被動側スピンドルと対向する方向(図中右方向)へと移動し、ストッパー181が駆動側クラッチカム150の内側凹部に入り込んだ状態となる。この状態では、駆動側クラッチカム150は、付勢スプリング171の付勢力が付加されるにも拘わらず、駆動側スピンドル130の周面から突出したストッパー181により被動側クラッチカム140方向へ復動するのが規制される。換言すれば、ネジ123の締付トルクが過大となってクラッチ歯141,151の係合が解除され、駆動側クラッチカム150がクラッチ係合規制スプリング160の付勢力によって被動側クラッチカム140から離反する方向へ移動した場合、駆動側クラッチカム150は、ストッパー181によって被動側クラッチカム140から離反したトルク伝達禁止位置に係止維持されることになる。そして不用意な押し込み荷重付加によって、被動側クラッチカム140が被動側スピンドル120とともに駆動側クラッチカム150方向へ近接したとしても、クラッチ歯141,151同士の噛み合い係合が確実に回避される。
【0051】
ネジ124の締付作業が終了すると、作業者は電動スクリュードライバ100に対する押し込み荷重を緩める。すると被動側スピンドル120は、被動側クラッチカム140とともに、駆動側スピンドル130から離反し、図2(A)に示す初期状態へ復帰する。なお本実施の形態では、押し込み荷重がクラッチ係合規制スプリング160の付勢力以下に減少した場合に被動側スピンドル120の復帰が許容されることになる。
【0052】
(設定トルク感応モード:ネジ締付解除作業)
次に、上記設定トルク感応モードにおいて、駆動モータ113(図1参照)を逆転駆動し、被加工材125に締め付けられたネジ124を緩め作業する場合(ネジ締付解除作業という)について、図7(A)から図11(B)までを参照しつつ説明する。なお、図1に示すクラッチ係合規制スプリング160については、便宜上図示を省略している。
図7(A)においては、駆動モータ113を逆転駆動することにより、駆動側スピンドル130が上記ネジ締付作業時とは反対方向に回転している状態が示される。このときクラッチ歯141,151は噛み合い係合しておらず、従って駆動側スピンドル130は、駆動モータ113の回転トルクを被動側スピンドル120に伝達することなく遊転している。このとき便宜上図示を省略したクラッチ係合規制スプリング160(図1参照)は、被動側クラッチカム140および駆動側クラッチカム150が互いに離反するように付勢力を作用させている。この状態で、作業者は電動スクリュードライバ100を保持しつつ、被加工材125に既に締め付けられたネジ124のネジ頭に工具ビット123の先端をあてがう。そして作業者は、被加工材125に向かって電動スクリュードライバ100に押圧力を作用する。この時、リード溝120aにおける第1スチールボール143は、図7(B)に示すトルク伝達禁止位置Aにおかれた状態が維持される。
【0053】
すると図8(A)に示すように、当該押圧力に対する反力として工具ビット123に作用する被加工材125側からの負荷により、工具ビット123、被動側スピンドル120、被動側クラッチカム140が、駆動側スピンドル130側へと相対移動し、クラッチ歯141,151が互いに当接し合う。この時、リード溝120aにおける第1スチールボール143は、図8(B)に示すトルク伝達禁止位置Aにおかれた状態が維持される。
【0054】
この時、静止状態とされたクラッチ歯141が、回転駆動されたクラッチ歯151に巻き込まれるように係合することにより、被動側クラッチカム140が駆動側クラッチカム150へと移動しつつ、リード溝120aにおける第1スチールボール143が、トルク伝達禁止位置Aから、逆転用作動溝部120cを経由してトルク伝達許容位置Cへと移動していく。この状態が図9(A)および図9(B)に示される。図9(A)では、クラッチ歯141,151が互いに噛み合い係合した状態が示される。この時、リード溝120aにおける第1スチールボール143は、図9(B)に示すように、逆転用作動溝部120cの端部側のトルク伝達禁止位置Cに位置している。
【0055】
図9(A)に示す状態では、クラッチ歯141,151は、互いに噛み合い係合しながら周方向に回転駆動され、互いの摩擦力を通じて連結されている。この状態において作業者が電動スクリュードライバ100の被加工材125方向への押圧力を解除した場合、被動側クラッチカム140は、被動側スピンドル120とともに、駆動側クラッチカム150から離反する側へと移動しようとする。このとき上記のようにリード溝120aにおける逆転用作動溝部120cの長軸方向長さは正転用作動溝部120bよりも長く形成されており、被動側クラッチカム140が駆動側クラッチカム150から多少離間したとしても、図10(A)に示すように両クラッチ歯141,151の係合が維持可能とされている。なお図10(A)に示す状態では、被加工材125に締付けられたネジ124からの負荷(回転に対する抵抗力)が作用したクラッチ歯141に対し、駆動モータ113(図1参照)の逆転駆動力を伝達しようとするクラッチ歯151との間に摩擦力が作用している。この摩擦力により、両クラッチ歯141,151は係合が完全に解除されることが効果的に防止されている。この状態で、ネジ締付解除方向へと回転駆動される工具ビット123を介して、被加工材125からネジ124を逆転状に抜き出していく。この場合、第1スチールボール143は、図10(B)に示すように、逆転用作動溝部120cの端部側の逆転時トルク伝達許容位置Cに置かれている。
【0056】
工具ビット123の逆転動作を介し、図11(A)に示すように、ネジ124が被加工材125から完全に抜き出されようとする場合、被加工材125側からの抵抗力がネジ124に作用しなくなるため、クラッチ歯141,151間での摩擦力が減少し、両クラッチ歯141,151の噛み合い係合が解除される。このとき被動側クラッチ140は、便宜上図示を省略したクラッチ係合規制スプリング160の付勢力により、駆動側クラッチ150から離反動作する。同時に、第1スチールボール143は、図10(B)に示す逆転時トルク伝達許容位置Cから、図11(B)に示すトルク伝達許容位置Aへと逆転用作動溝部120cを移動する。これによりクラッチ歯141,151の迅速かつ確実な係合解除がなされ、クラッチ解除に伴う異音や振動を発生することなくネジ締付解除作業を円滑に完了することが可能とされる。
【0057】
なお、図11(A)の説明から理解されるように、ネジ124が被加工材125から完全に抜き出されるに至るまでは、当該ネジ124の回転に対する抵抗力が工具ビット123および被動側スピンドル120を介して被動側クラッチカム140のクラッチ歯141に作用している。このため、例えば被加工材125が金属板等で構成され、ネジ124を引抜き側へと引っ張らないと被加工材125から抜き出せないような作業形態においても、当該ネジ124の締付解除が完全に遂行されるまで、上記クラッチ歯141,151の噛み合い係合を確実に維持することが可能とされる。
【0058】
(ネジ締め深さ感応モード:ネジ締付作業)
次に本実施の形態に係る電動スクリュードライバ100のネジ締め深さ感応モード(第2の動力伝達モード)について、図12(A)から図16(B)を参照しつつ説明する。なおネジ締め深さ感応モードでは、上記した設定トルク感応モードにおいて用いたリード溝120a(図2(B)参照)に関し、その変更形態を用いつつ説明する。具体的には、図12(B)に示すように、変更形態に係るリード溝220aは、駆動モータ113(図1参照)の正転方向Fおよび逆転方向Rに対し、それぞれ第1スチールボール143の移動を許容する正転用作動溝部220bおよび逆転用作動溝部220cを有するとともに、さらに保持溝部220dが逆転用作動溝部220cに付設されて構成される。保持溝部220dは、本発明における「被動側クラッチカム保持手段」に対応する要素であり、被動側スピンドル120の長軸方向Eと概ね直交方向に延在することにより、当該保持溝部220d内に位置する第1スチールボール143が被動側スピンドル120の長軸方向Eへ移動するのを規制する。図12(B)において第1スチールボール143が置かれた符号Aで示される位置は本発明における「トルク伝達禁止位置」に対応する。また符号Bで示される位置は、駆動モータ113(図1参照)を正転駆動した際の「トルク伝達禁止位置」に対応し、符号Dで示される位置は、駆動モータ113(図1参照)を逆転駆動した際の「トルク伝達禁止位置」に対応する。
【0059】
設定トルク感応モードに置かれた電動スクリュードライバ100をネジ締め深さ感応モードに切り替えるには、まず図12(A)に示すようにスリーブ110aにロケータ191を取り付ける。スリーブ110aに取り付けられたロケータ191は、当該スリーブ110aの先端部からロケータ191の先端部192に至るまで、符号Lで示される有効長を有する。この状態で、工具ビット123の先端領域は、ロケータ191の先端から符号CL1で示す量だけ被加工材125側へと突出する。
【0060】
さらに設定トルク調整用リング173を適宜操作することにより、設定トルク調整用ピン175を介して、トルク伝達許容位置に置かれた駆動側クラッチカム150に対し、設定トルク調整用スリーブ177を移動して当接させる。これにより駆動側クラッチカム150は、上記したトルク伝達許容位置からトルク伝達禁止位置へと後退(図中右方向)するのが規制されることになる。換言すればトルク伝達許容位置に置かれた駆動側クラッチカム150は、設定トルク調整用スリーブ177により、被動側スピンドル120および被動側クラッチカム140から離反する方向へと駆動側スピンドル130上を移動するのを規制されることになる。すなわち設定トルク調整用スリーブ177は、上記した設定トルク感応モードでは付勢スプリング171の付勢力を変化させてクラッチ解除のための設定トルク値を調整するのに用いられたが、ネジ締め深さ感応モードでは駆動側クラッチカム150の後退を規制するのに用いられる。すなわち設定トルク調整用スリーブ177は、設定トルク感応モードにおいては、付勢スプリング171を介して駆動側クラッチカム150を噛み合い側へと付勢する力を適宜に調整可能とする一方、ネジ締め深さ感応モードにおいては駆動側クラッチカム150に対する後退動作規制手段に対応する。なおネジ締め深さ感応モードにおいては付勢スプリング171の付勢力はクラッチ係合ないし係合解除に影響を与えないことになる。
【0061】
上記のようにロケータ191をスリーブ110aに取り付け、設定トルク調整用スリーブ177を駆動側クラッチカム150に当接することでネジ締め深さ感応モードへの切り替えが完了する。この時、第1スチールボール143は、図12(B)に示すようにリード溝220aにおけるトルク伝達禁止位置Aに置かれている。図12(A)および図12(B)に示すネジ締め深さ感応モードの初期状態からネジ締付作業を開始する場合、図13(A)に示すように、ネジ124を被加工材125へ進入させるべく、作業者は電動スクリュードライバ100を被加工材125方向(図中左方向)へ押し込んでいく。作業者が電動スクリュードライバ100に押し込み荷重を加えることにより、被動側スピンドル120および被動側クラッチカム140は、工具ビット123とともに、被加工材125側からの押し込み荷重に対する反力により駆動側スピンドル130方向(図中右方向)へ押圧され本体部100側へと相対的に移動していく。図13(A)では、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯140と、駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151とが噛み合い係合する寸前の状態が示される。この時、第1スチールボール143は、図13(B)に示すようにトルク伝達禁止位置Aに置かれている。
【0062】
図13(A)に示す状態において更に電動スクリュードライバ100を被加工材125側に押し込むことで、図14(A)に示すように、工具ビット123が更にセットバックCL2だけ押し込まれ、被動側クラッチカム140側のクラッチ歯141と駆動側クラッチカム150側のクラッチ歯151とが噛み合い係合する。この噛み合い係合に伴い、図14(B)に示すように、第1スチールボール143がリード溝220aの正転用作動溝部220b端部の正転時トルク伝達許容位置Bへと移動する。そして被動側クラッチカム140は、この正転用作動溝部220bにおける被動側スピンドル長軸方向長さ分だけ駆動側クラッチカム150側へと移動し、これによってクラッチ歯141,151が互いに完全に噛み合い係合する。かくして図1に示す駆動モータ113の駆動トルクが駆動側スピンドル130、駆動側クラッチカム150、第2クラッチ歯151、第1クラッチ歯141、被動側クラッチカム140、被動側スピンドル120および工具ビット123を介してネジ124に伝達され、当該ネジ124が被加工材125に締め込まれていく。なお、この時点ではロケータ191の先端部192は被加工材125に当接していない。また電動スクリュードライバ100への上記押し込み荷重により、工具ビット123がロケータ先端部192より幾らか本体部110側に後退して入り込むことにより、ロケータ先端部192とネジ124頭部における被加工材125への着座面124aとの間にはセットバックCL2が形成される。
【0063】
ネジ124が被加工材125に締め込まれていくと、図15(A)に示すように、ロケータ191の先端部192が被加工材125に当接し、電動スクリュードライバ100の更なる被加工材125側への近接を規制する。図15(A)に示す状態では、ロケータ191によって本体部110が被加工材125へ近接規制された状態で、更にネジ124の締め込みが行われた状態を示す。具体的には、工具ビット123、被動側スピンドル120および被動側クラッチカム140は、ロケータ191が被加工材125に当接した後においても、ネジ124のリードにより、駆動側クラッチカム150および駆動側スピンドル130に対し、図12(A)および図14(A)に示す工具ビット123の突出量CL1およびセットバックCL2だけ相対的に被加工材125側に移動していく。このとき第1スチールボール143は、図15(B)に示すようにトルク伝達許容位置に置かれた状態が維持される。
【0064】
かくして被加工材125に対するネジ124の締め深さが所定量に達した段階で、クラッチ歯141,151の噛み合い係合が解除される。このとき図16(A)(B)に示すように、第1スチールボール143がリード溝220aの正転用作動溝部220bを移動してトルク伝達禁止位置Aに至り、これとともに、被動側クラッチカム140が正転用作動溝部200bの軸方向距離だけ駆動側クラッチカム150から離間する。両クラッチカム140,150の離間動作は、便宜上図示を省略したクラッチ係合規制スプリング160の付勢力により迅速かつ確実に行われ、噛み合い解除時のクラッチ歯141,151同士の接触による異音や振動の発生が効果的に防止され、サイレントクラッチとしての実効性が確保される。
【0065】
(ネジ締め深さ感応モード:ネジ締付解除作業)
次に、上記ネジ締め深さ感応モードにおいて、駆動モータ113を逆転駆動し、被加工材125に締め付けられたネジ124を緩め作業する場合(ネジ締付解除作業という)について、図17(A)から図22(B)までを参照しつつ説明する。なお、図1に示すクラッチ係合規制スプリング160については、便宜上図示を省略している。ネジ締め深さ感応モードにある電動スクリュードライバ100においてネジ締付解除作業を行なう場合、ロケータ191を用いて工具ビット123を被加工材125側へと所定距離だけ相対移動させてネジ締付作業を行なうこととの関係上、ネジ締め解除の過程で電動スクリュードライバ200に押圧力を作用させた状態を維持することが困難である。従って本実施の形態では、ネジ締付解除作業を行なう場合、被動側クラッチカム140と駆動側クラッチカム150の常時係合のための準備作業を行なう。具体的には、作業者は図17(A)に示すように、電動スクリュードライバ100を保持しつつ、その工具ビット123を壁や床等の作業場設置物126に適宜押し当てる。作業場設置物126は、ネジが締付けられた被加工材自体であってもよい。
【0066】
図17(A)においては、駆動モータ113(図1参照)を逆転駆動することにより、駆動側スピンドル130が上記ネジ締付作業時とは反対方向に回転している状態が示される。このときクラッチ歯141,151は噛み合い係合しておらず、従って駆動側スピンドル130は、駆動モータの回転トルクを被動側スピンドル120に伝達することなく逆転状に遊転している。このとき便宜上図示を省略したクラッチ係合規制スプリング160(図1参照)は、被動側クラッチカム140および駆動側クラッチカム150が互いに離反するように付勢力を作用させている。その状態を保ったまま電動スクリュードライバ100に押圧力を作用させることで、図18(A)に示すように、工具ビット123、被動側スピンドル120および被動側クラッチカム140が、駆動側クラッチカム150に向かって相対的に近接動作する。このとき図18(B)に示すように、第1スチールボール143はリード溝220a内のトルク伝達禁止位置Aに置かれている。
【0067】
クラッチ歯141,151が互いに当接すると、図19(A)に示すように、被動側クラッチカム140は、被動側スピンドル120の長軸方向につき、駆動側クラッチカム150側へと相対的に移動動作し、クラッチ歯141,151は完全に噛み合い係合することとなる。このとき図19(B)に示すように、第1スチールボール143はリード溝220a内の逆転用作動溝部220cを移動するとともに、更に保持溝部120dの端部側に設定されたトルク伝達許容位置Dへと進む。保持溝部220dは被動側スピンドル120の長軸方向と概ね直交する方向へと延在状に形成されているため、逆転時トルク伝達許容位置Dに置かれた第1スチールボール143は、トルク伝達禁止位置A側へと復帰動作することが規制される。従って、逆転時トルク伝達許容位置Dに置かれた被動側クラッチカム140は、駆動側クラッチカム150から離間することが規制されることとなる。これによって被動側クラッチカム140と駆動側クラッチカム150の常時係合状態が得られ、ネジ締付解除作業を行なう準備が完了する。
【0068】
次に図20(A)に示すように、被加工材125に締付けられたネジ124のヘッド部に工具ビット123の先端部をあてがいつつ、ロケータ191の先端を被加工材125の表面に当接させる。このとき電動スクリュードライバ100への作業者による押圧力が作用しないことから、特に図示しないクラッチ係合規制スプリング160(図1参照)の付勢力を介して、被動側クラッチカム140が駆動側クラッチカム150から離間するように移動し得るが、図20(B)に示すように、トルク伝達許容位置Dに置かれた第1スチールボール143は、保持溝部220dによりトルク伝達禁止位置Aへと復帰することが規制されており、従って、クラッチ歯141,151の総合の噛み合い係合が維持される。
【0069】
この状態で、駆動モータの逆転駆動力が、駆動側スピンドル130、駆動側クラッチカム150、被動側クラッチカム140および被動側スピンドル120を通じて工具ビット123に伝達され、図21(A)に示すように、ネジ124が被加工材125から抜き出されていく。この時、第1スチールボール143は図21(B)に示すようにトルク伝達許容位置Dに置かれた状態が維持される。
【0070】
そして図22(A)に示すように、ネジ124が被加工材125から完全に離脱した状態に至ることによりネジ締付解除作業が完了する。このとき第1スチールボール143は、図22(B)に示すようにトルク伝達許容位置Dに置かれた状態が維持される。なお被加工材125からネジ124を引き抜き状に離脱させた場合であっても、保持溝部220dによりクラッチ歯141,151の噛み合い係合が良好に維持可能である。その後、駆動モータの逆転駆動が停止された場合であっても、被動側スピンドル120の長軸方向へと第1スチールボール143が移動するのを保持溝部220dが規制するため、当該第1スチールボール143は保持溝部220d内に保持され、被動側クラッチカム140および駆動側クラッチカム150の係合が維持されることとなる。このため、ネジ124の締付解除作業を終了して、作業者が電動スクリュードライバ100を被加工材125から離脱させた場合もクラッチ係合状態が維持されており、ネジ締め解除作業を連続的に行なうような場合であっても、その都度、各クラッチカム140,150の常時係合のための準備作業を行なう必要がなく、ネジ締付解除作業の能率を大幅に向上することが可能とされる。一方、駆動モータ113(図1参照)を正転側に駆動すれば、第1スチールボール143は保持溝部220dから容易に離脱可能であり、ネジ締付解除作業を遂行した後でネジ締付作業を行なう場合にも容易に対応可能である。
【0071】
(変更例)
上記実施の形態における電動スクリュードライバ100では、被動側スピンドル120と被動側クラッチカム140との間において、被動側スピンドル120の外周面に形成されたリード溝120a内に第1スチールボール143を転動可能に配置する構成を採用した。この点については、図23(A)から図23(D)に示すように、被動側スピンドル120の外周面に形成された第1のリード溝120gと、被動側クラッチカム140の内周面に形成された第2のリード溝140gの間にて、第1スチールボール143を転動可能に挟着する構成を採用することができる。このうち、図23(A)はクラッチ歯141,151の間に間隙aが形成されて未だ噛み合い係合していない状態、図23(B)は噛み合い係合が開始される直前の状態、図23(C)は噛み合い係合し、被動側クラッチカム140が被動側スピンドル120とともに回転駆動されている状態、図23(D)はネジ締付解除作業を遂行する際に、クラッチ歯141がクラッチ歯151から所定量離間するように移動した上で噛み合い係合を維持し、その状態で被動側クラッチカム140が被動側スピンドル120とともに回転駆動されている状態をそれぞれ模式的に示す。
【0072】
この変更例では、双方のリード溝120g,140gの組合せによって、上記実施の形態において用いられたリード溝120aにおける正転用作動溝部120b(220b)、逆転用作動溝部120c(220c)、更には保持溝部220dと同等の機構を形成し、第1スチールボール143をトルク伝達禁止位置およびトルク伝達許容位置との間で移動させることが可能とされる。二つの溝120g、140gを組合せることにより、被動側スピンドル120の長軸方向に関し、リード溝形成に必要な設計寸法を比較的コンパクトに抑えることが可能とされ、被動側クラッチカム140のコンパクト化に資することになる。
【0073】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る電動スクリュードライバ200につき、図24から図27を参照しつつ説明する。この実施形態は、上記第1の実施形態における駆動側スピンドル130から被動側スピンドル120へと駆動モータ113の駆動力を伝達するクラッチ機構部の変更形態に関し、他の構成については第1の実施形態と実質的に同等の構成とされている。このクラッチ機構部は、特に図示しない駆動モータに接続されて回転駆動される駆動側スピンドル230と、当該駆動側スピンドル230の先端領域に設定された駆動側ギア250と、ネジ224を被加工材225に締付け、あるいは締付解除するための工具ビット223を一端側に有する被動側スピンドル220と、この被動側スピンドル220の他端側に設定された被動側クラッチ240と、当該被動側クラッチ240と駆動側ギア250の間に配置される中間クラッチ260を主体として構成される。
【0074】
駆動側ギア250の先端部にはクラッチ歯251が設けられている。被動側クラッチ240の先端部には、正転時係合部240aおよび逆転時係合部240b(図24,26参照)が形成されている。中間クラッチ260の回転面のうち、駆動側ギア250側には、上記クラッチ歯251と噛み合い係合可能な係合歯261が形成され、被動側クラッチ240側には、当該被動側クラッチ240の正転時係合部240aと係合可能な正転時係合部262a、および当該被動側クラッチ240の逆転時係合部240bと係合可能な逆転時係合部262b(図24,26参照)が形成されている。
【0075】
中間クラッチ260の正転時係合部262aと被動側クラッチ240の正転時係合部240aが係合する場合、図24,25に示すように、被動側クラッチ240と中間クラッチ260の間にはクリアランスaが形成される。一方、図26に示すように、中間クラッチ260の逆転時係合部262bと被動側クラッチ240の逆転時係合部240bとが係合する場合、両クラッチ240,260の間にはクリアランスbが形成される。本実施の形態では、クリアランスaよりもクリアランスbの方が大きくなるように構成されている。
【0076】
(ネジ締付作業)
上記電動スクリュードライバ200を用いてネジ224を被加工材225に締付作業する場合の作用について説明する。ネジ締付作業を行なう場合、作業者が電動スクリュードライバ200に押圧力を作用させる。これにより、特に図示しない駆動モータの正転方向への駆動力を受けて回転駆動される駆動側スピンドル230および駆動側ギア250に対し、被動側スピンドル220および被動側クラッチ240が相対的に近接することで、中間クラッチ260の係合歯261と、駆動側ギア250の係合歯251とが互いに係合し、これによって駆動モータの駆動力が工具ビット223に伝達され、ネジ締付作業が遂行される。被加工材225に対するネジ224の締付作業が最終段階に至ると、図24に示すように、中間クラッチ260、被動側クラッチ240、被動側スピンドル220および工具ビット223が、ロケータ291を介して駆動側ギア250から離間するように移動していく。これにより図25に示すように、両係合歯251,261の噛み合い係合が解除されるのと同時に、正転時係合部240a,262a間の係合が解除され、中間クラッチ260がクリアランスaの分だけ被動側クラッチ240側へと移動し、これによってサイレントクラッチとしての機能が奏される。
【0077】
(ネジ締付解除作業)
一方、上記電動スクリュードライバ200を用いて被加工材225に締付けられたネジ224の締付解除作業する場合の作用について図26および図27に基づいて説明する。ネジ締付解除作業を行なう場合、その準備として、工具ビット223の先端を被加工材225(あるいは作業現場における壁や床等)に当接させながら、作業者が電動スクリュードライバ200に押圧力を作用させる。これにより、特に図示しない駆動モータの逆転方向への駆動力を受けて回転駆動される駆動側スピンドル230および駆動側ギア250に対し、中間クラッチ260、被動側スピンドル220および被動側クラッチ240が近接することで、駆動側ギア250の係合歯251と中間クラッチ260の係合歯261とが係合し、同時に被動側クラッチ240の逆転時係合部240bと中間クラッチ260の逆転時係合部262bとが係合する。このとき、両係合部240b、262bとは、両者が面状の接触状態に置かれ、作業者が電動スクリュードライバ200への押圧を解除しても、被動側クラッチ240と中間クラッチ260の係合状態が良好に維持される。
【0078】
この状態で、図27に示すように、被加工材225に締付けられたネジ224に工具ビット223をあてがう。このとき作業者による押圧が解除されていることに起因して、中間クラッチ260が、被動側スピンドル220および被動側クラッチ240とともに駆動側ギア250から離間する側へと移動しようとするが、
両係合部240b、262bの面接触により、中間クラッチ260の離間動作が規制されて係合状態が維持される。そして駆動モータの逆転駆動力が、駆動側スピンドル230、駆動側ギア250、中間クラッチ260、被動側クラッチ240、被動側スピンドル220および工具ビット223を通じてネジ224に伝達され、当該ネジ224の締付解除作業を遂行する。
【0079】
本実施の形態によれば、駆動側スピンドル230と被動側スピンドル220との間に中間クラッチを介在させて駆動モータのトルクを工具ビット220に伝達するタイプのクラッチ機構を有する電動スクリュードライバ200においても、ネジ締付解除作業を容易かつ確実に遂行することが可能とされることとなった。
【0080】
本発明の趣旨に鑑み、下記のような態様を構成することも可能である。
(態様1)
「請求項2に記載の電動スクリュードライバであって、
前記被動側クラッチカムと前記被動側スピンドルとの間には、リード溝に配置されるとともに、当該リード溝の端部を介して可動範囲が規定されたボール部材が配置されており、
当該ボール部材が前記リード溝内を相対的に転動することにより、前記被動側クラッチカムが前記被動側スピンドルの軸方向に相対移動するよう構成されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。」
このように構成すれば、被動側スピンドルに対する被動側クラッチカムの相対的な移動動作の確実性を容易に担保することが可能とされる。
【0081】
(態様2)
「態様1に記載の電動スクリュードライバであって、
前記駆動モータの逆転時において、前記被動側クラッチカムが前記駆動側クラッチカムに噛み合い係合した場合に、前記ボール部材が前記被動側スピンドルの軸方向に関し前記リード溝内を移動することが規制され、これによって前記被動側クラッチカムが、前記被動側スピンドルの軸方向に関して、前記駆動側クラッチカムと噛み合い係合した位置から離間する側に復帰するのが規制されることを特徴とする電動スクリュードライバ。」
このように構成すれば、ボール部材がリード溝内を移動することを規制することで、被動側クラッチカムの復帰動作を確実に規制することが可能となる。
【0082】
(態様3)
「態様2に記載の電動スクリュードライバであって、
前記リード溝は概ね前記被動側クラッチカムの概ね周方向に延在する部分を有するとともに、前記ボール部材が当該部分に位置することにより、前記駆動モータの逆転時において、前記被動側クラッチカムが前記駆動側クラッチカムに噛み合い係合した場合に、前記ボール部材が前記被動側スピンドルの軸方向に関し前記リード溝内を移動することが規制されることを特徴とする電動スクリュードライバ。」
このように構成すれば、リード溝のうち被動側クラッチカムの概ね周方向に延在する箇所にボール部材が位置した場合に、当該ボール部材の移動を容易かつ確実に規制することができるので、駆動モータ逆転時に、作業者の押圧力が作用しない場合であっても、被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムとの噛み合い係合を効果的に維持することが可能とされる。
【0083】
(態様4)
「請求項6に記載の電動スクリュードライバであって、
前記第2の動力伝達モードに置かれた前記駆動側クラッチカムにつき、前記駆動側スピンドルの軸方向に関し前記被動側クラッチカムから離反する側へ後退するのが規制されるよう構成されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。」
このように構成すれば、駆動側クラッチカムに対する被動側クラッチカムの位置を不変とし、駆動側および被動側クラッチカムの係合および係合解除につき、工具ビット、被動側スピンドルおよび被動側クラッチカムの被加工材側への相対的な移動量に係らしめることができるため、第2の動力伝達モードを容易に実現することが可能となる。
【0084】
(態様5)
「請求項6に記載の電動スクリュードライバであって、
前記第2の動力伝達モードにおいて、前記本体部が被加工材に対して所定量以上に近接するのを規制する本体部近接規制手段をさらに有し、当該本体部近接規制手段により前記本体部の前記被加工材への所定量以上の近接が規制された状態でネジの締付作業が遂行され、前記被動側スピンドルが前記被動側クラッチカムとともに、前記本体部に対し相対的に前記被加工材側へ近接することにより、前記駆動側クラッチカムと前記被動側クラッチカムの係合が解除されることを特徴とする電動スクリュードライバ。」
このように構成すれば、本体部の被加工材に対する所定量以上の近接を規制した状態でネジの締付作業を遂行することにより、被動側スピンドルは、被動側クラッチカムとともに、本体部に対し相対的に被加工材側へ近接し、これによって被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムとの係合が解除されることになる。従ってネジの締付量に応じて作業を完了させる作業形態に好適な構成を容易に得ることが可能となる。なお本体部近接規制手段として、例えば電動スクリュードライバの被動側スピンドルにロケータを被着し、ネジ締付に際して本体部を被加工材側に押し込んだ場合に、ロケータが被加工材と本体部との間に介在することにより、本体部の被加工材に対する所定量以上の近接を規制するといった構成が可能である。
【0085】
(態様6)
「請求項1から7までのいずれかに記載の電動スクリュードライバであって、
前記被動側クラッチカムおよび駆動側クラッチカムは、それぞれ対向する箇所に互いに噛み合い係合するクラッチ歯を有することを特徴とする電動スクリュードライバ。」
【0086】
このように構成すれば、クラッチ歯同士の噛み合い係合を介した確実な駆動モータのトルク伝達が可能となる。またトルク伝達を解除するに際しても、被動側クラッチカムおよび駆動側クラッチカムの各クラッチ歯の一方が、相対的に他方に対し滑って乗り上げていくので、確実なトルク伝達の解除が可能であり、サイレントクラッチとしての実用性を確保することが可能な構成とされる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動モータの回転出力を工具ビットに解除自在に伝達するためのクラッチを備えた電動スクリュードライバにつき、正転時のみならず逆転時にも的確に対応することができる技術が提供されることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態である電動スクリュードライバの要部の構成を示す断面図である。
【図2】本実施の形態である電動スクリュードライバを設定トルク感応モードで用いる場合の初期状態を示す。
【図3】作業者がネジ締付のための押し込み荷重を付加したことにより、被動側クラッチカムのクラッチ歯と、駆動側クラッチカム側のクラッチ歯とが噛み合い係合しようとする状態を示す。
【図4】両クラッチ歯が噛み合い係合し、駆動モータのトルクが工具ビット側に伝達されてネジ締付作業を遂行している状態を示す。
【図5】ネジ締付作業が最終段階に至り、締付トルクが過大となったことにより、駆動側クラッチカムが後方に移動した状態を示す。
【図6】被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムとが係合解除され、クラッチ係合規制スプリングにより駆動側クラッチカムが被動側クラッチカムから離反する方向に移動し、ストッパーが突出した状態を示す。
【図7】設定トルク感応モードにおいて、ネジ締付解除作業を行なうための初期状態を示す。
【図8】作業者がネジ締付のための押し込み荷重を付加したことにより、被動側クラッチカムのクラッチ歯と、駆動側クラッチカム側のクラッチ歯とが噛み合い係合しようとする状態を示す。
【図9】被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムとが互いに係合し、ネジ締付解除作業のための準備が完了した状態を示す。
【図10】実際にネジ締付解除作業を遂行している最中の状態を示す。
【図11】ネジ締付解除作業が完了した際の状態を示す。
【図12】ネジ締め深さ感応モードの初期状態を示す。
【図13】作業者がネジ締付のための押し込み荷重を付加したことにより、被動側スピンドルが駆動側スピンドル方向に移動した状態を示す。
【図14】両クラッチ歯が噛み合い係合し、駆動モータのトルクが工具ビット側に伝達されてネジ締付作業を遂行している状態を示す。
【図15】ロケータ着座後、さらにネジが被加工材に締めこまれていく状態を示す。
【図16】ネジ締付作業が完了し、被動側クラッチカムと駆動側クラッチカムの係合が解除された状態を示す。
【図17】ネジ締め深さ感応モードにおけるネジ締付解除作業の準備開始状態を示す。
【図18】工具ビットを押し込むことで、駆動側クラッチカムと被動側クラッチカムを噛み合わせようとする状態を示す。
【図19】両クラッチカムが噛み合い係合し、ネジ締付解除作業の準備が整った状態を示す。
【図20】実際にネジ締付解除作業を開始した状態を示す。
【図21】ネジ締付解除作業が進行していく状態を示す。
【図22】ネジ締付解除作業が終了段階に至った状態を示す。
【図23】本実施の形態の変更例の構成を示す。このうち(A)はクラッチ歯141,151が未だ噛み合い係合していない状態、(B)は噛み合い係合が開始される直前の状態、(C)は噛み合い係合し、被動側クラッチカム140が被動側スピンドル120とともに回転駆動されている状態、(D)はネジ締付解除作業を遂行する際に、クラッチ歯141がクラッチ歯151から所定量離間するように移動した上で噛み合い係合を維持している態様をそれぞれ模式的に示す。
【図24】本発明の第2の実施形態に係る電動スクリュードライバの主要部の構成を模式的に示す。図24では、正転時において、駆動側ギア250と中間クラッチ260の噛み合い係合が解除される直前の状態を示す。
【図25】図24に示す正転駆動状態において、被動側クラッチ240の正転時係合歯241aに対する中間クラッチ260の正転時係合歯262aの係合が解除され、中間クラッチ260が駆動側ギア250から離間してクラッチ解除された状態が示される。
【図26】第2の実施形態に係る電動スクリュードライバにつき、ネジ締付解除作業を行なう際の準備段階の構成を示す。
【図27】第2の実施形態に係る電動スクリュードライバにつき、ネジ締付解除作業が遂行される状態を示す。
【符号の説明】
100 電動スクリュードライバ
110 駆動モータハウジング(本体部)
110a スリーブ
113 駆動モータ
115 減速機構
120 被動側スピンドル
120a リード溝
120b 正転用作動溝部
120c 逆転用作動溝部
120d 保持溝部
121 工具ビット取付用チャック
123 工具ビット
124 ネジ
124a ネジ頭部着座面
125 被加工材
130 駆動側スピンドル
130a カム溝
140 被動側クラッチカム
141 クラッチ歯
143 第1スチールボール
150 駆動側クラッチカム
151 クラッチ歯
153 第2スチールボール
160 クラッチ係合規制スプリング
170 サイレントクラッチ機構
171 付勢スプリング
173 設定トルク調整リング
175 設定トルク調整用ピン
177 設定トルク調整用スリーブ
179 付勢スプリング支持ワッシャ
181 ストッパー
183 ストッパー作動用ピン
185 ストッパー係合溝
187 リングスプリング
189 ストッパー作動用スプリング
191 ロケータ
192 ロケータ先端部
220 被動側スピンドル
230 駆動側スピンドル
240 被動側ギア
241a 正転時係合歯
241b 逆転時係合歯
250 駆動側ギア
251 係合歯
260 中間クラッチ
261 駆動側ギア係合歯
262a 正転時係合部
262b 逆転時係合部

Claims (7)

  1. 本体部に収容された駆動モータと、前記駆動モータの所定の正転方向への回転力および逆転方向への回転力をいずれも受承可能に配置された駆動側スピンドルと、前記駆動側スピンドルの回転力を受けて回転する駆動側クラッチカムと、前記駆動側クラッチカムと解除自在に噛み合い係合することにより前記駆動側クラッチカムの回転力を受承して回転する被動側クラッチカムと、前記被動側クラッチカムの回転に伴って回転駆動される被動側スピンドルと、前記被動側スピンドルに接続され、当該被動側スピンドルの回転力を介してネジ締付け作業およびネジ締付け解除作業を遂行可能な工具ビットを有し、
    前記被動側スピンドルは、その軸方向に関し、前記被動側クラッチカムとともに前記本体部に対する相対移動が可能とされ、
    前記駆動モータの正転時には、前記本体部に対する作業者の押圧力を介して前記駆動側クラッチカムと前記被動側クラッチカムが噛み合い係合し、これによって前記駆動モータの正転方向への回転力が前記工具ビットに伝達されてネジ締付作業が遂行可能とされ、
    前記駆動モータの逆転時には、前記本体部に対する作業者の押圧力を介して前記駆動側クラッチカムと前記被動側クラッチカムが噛み合い係合するとともに、当該押圧力が解除された場合であっても、前記駆動側クラッチカムと前記被動側クラッチカムの係合が維持され、これによって駆動モータの逆転方向への回転力が前記工具ビットに伝達されてネジ締付解除作業が遂行可能に構成されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。
  2. 請求項1に記載の電動スクリュードライバであって、
    前記被動側クラッチカムは、前記駆動側クラッチカムとの噛み合い係合の際に、さらに前記被動側スピンドルの軸方向に関し、当該被動側スピンドルに対する相対移動が許容されるとともに、
    前記駆動モータの逆転時には、前記本体部に対する作業者の押圧力が解除された場合であっても、前記被動側スピンドルの軸方向に関し、前記被動側クラッチカムの前記駆動側クラッチカムから離間する方向への移動動作が規制されることで、前記被動側クラッチカムと前記駆動側クラッチカムの噛み合い係合状態が維持されるよう構成されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。
  3. 請求項2に記載の電動スクリュードライバであって、
    前記被動側スピンドルに対する当該被動側スピンドルの軸方向への前記被動側クラッチカムの相対移動量は、前記駆動モータの正転時よりも逆転時のほうが大きくなるように設定されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。
  4. 請求項2または3に記載の電動スクリュードライバであって、
    前記駆動モータの逆転時に、前記被動側クラッチカムが、前記被動側スピンドルの軸方向に関して、前記駆動側クラッチカムと噛み合い係合した位置から離間する側に復帰するのを規制する被動側クラッチカム保持手段が更に配設されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の電動スクリュードライバであって、
    前記駆動側クラッチカムは、前記駆動モータの正転方向への回転力を前記工具ビットに伝達する際に、前記工具ビットに作用するトルクが所定の範囲にある場合には、前記被動側クラッチカムに近接したトルク伝達許容位置に置かれ、前記トルクが所定の範囲を超える場合には、前記被動側クラッチカムから離間したトルク伝達禁止位置へと前記トルク伝達許容位置から後退するとともに、前記トルク伝達許容位置へと復帰することが規制されることを特徴とする電動スクリュードライバ。
  6. 請求項1から4までのいずれかに記載の電動スクリュードライバであって、
    前記駆動側クラッチカムと前記被動側クラッチカムとは、
    相互に噛み合い係合して前記駆動モータの回転力を前記工具ビットに伝達するとともに、前記工具ビットに作用するトルクが所定の範囲を超える場合に相互の噛み合い係合が解除される第1の動力伝達モードと、
    相互に噛み合い係合して前記駆動モータの回転力を前記工具ビットに伝達するとともに、ネジ締付作業の遂行により前記工具ビットが前記本体部から所定距離離間する場合に相互の噛み合い係合が解除される第2の動力伝達モードとの間で切り替え可能に構成されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。
  7. 請求項1または2に記載の電動スクリュードライバであって、
    前記被動側クラッチカムは、駆動側スピンドルの先端領域に配置された駆動側クラッチカムと噛み合い係合することで回転駆動されるとともに、前記被動側スピンドルの端部領域に配置された被動クラッチと噛み合い係合することで前記駆動モータの回転力を前記被動側スピンドルに伝達する中間クラッチとして構成されていることを特徴とする電動スクリュードライバ。
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