JP2005238389A - 回転工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 回転工具における伝達トルク設定用のトルク設定手段につき、径方向の配置スペースの縮小化を図りつつ安定的な支持状態を得る上で有効な技術を提供する。
【解決手段】 同一軸線上に配置された入力軸130および出力軸120と、入力軸側に設けられる第1のクラッチ体150と、第1のクラッチ体に対向して出力軸側に設けられる第2のクラッチ体140と、第1のクラッチ体と第2のクラッチ体が係合するように付勢力を付加し、工具ビットに当該付勢力を超えるトルクが作用したときには、いずれか一方のクラッチ体が他方のクラッチ体から離間する方向に移動することを許容し、これによって第1のクラッチ体と第2のクラッチ体との係合を解除するトルク設定手段171と、トルク設定手段の付勢力を調整する設定トルク調整手段173と、を備えた回転工具において、トルク設定手段は、相互に弾性定数の異なる複数の弾性領域を有し、それら複数の弾性領域がクラッチ体に付勢力を付加する方向に直列状に設けられる構成とした。
【選択図】 図2
【解決手段】 同一軸線上に配置された入力軸130および出力軸120と、入力軸側に設けられる第1のクラッチ体150と、第1のクラッチ体に対向して出力軸側に設けられる第2のクラッチ体140と、第1のクラッチ体と第2のクラッチ体が係合するように付勢力を付加し、工具ビットに当該付勢力を超えるトルクが作用したときには、いずれか一方のクラッチ体が他方のクラッチ体から離間する方向に移動することを許容し、これによって第1のクラッチ体と第2のクラッチ体との係合を解除するトルク設定手段171と、トルク設定手段の付勢力を調整する設定トルク調整手段173と、を備えた回転工具において、トルク設定手段は、相互に弾性定数の異なる複数の弾性領域を有し、それら複数の弾性領域がクラッチ体に付勢力を付加する方向に直列状に設けられる構成とした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、工具ビットに作用するトルクが設定トルクに達したときに、入力側から出力側へのトルク伝達を遮断するトルク感応型クラッチを備えた回転工具に関する。
トルク感応型クラッチを備えた回転工具の1例として、特開平6−71572号公報(特許文献1)には、入力側のトルクを出力側に伝達する機械式クラッチを備えた電動インパクトドライバの構成が開示されている。上記公報では、入力側と出力側との結合状態を得るべくクラッチを係合状態に付勢する付勢手段、換言すれば伝達可能なトルクを設定するトルク設定手段として、バネ定数の異なる2個のコイルスプリングを並列状に配置し、当該コイルスプリングによる付勢力をダイヤルの操作によって調整し、これによってクラッチの係合が解除されるときのトルクを調整する構成を採用している。このようにバネ定数の異なる2個のコイルスプリングを用いる技術によれば、単一のコイルスプリングを用いる場合に比べて、伝達トルクの設定幅を広げることが可能となる。
公報に記載された従来技術の場合、コイルスプリングを並列状に配置する構成のため、バネ定数の小さい(バネ力の弱い)コイルスプリングはバネ定数の大きい(バネ力の強い)スプリングよりも軸方向に長く形成される。このため、軸方向長さが長い方のコイルスプリングについては、両端支持の形態で支持できるものの、軸方向長さの短いコイルスプリングについては、一端が自由状態下に置かれる支持方式とならざるを得ず、安定性に欠けるといった問題がある。また並列配置のため、径方向に関して広い配置スペースが必要になり、結果としてクラッチ全体のコンパクトを妨げる一因ともなる。
特開平6−71572号公報
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、回転工具における伝達トルク設定用のトルク設定手段につき、径方向の配置スペースの縮小化を図りつつ安定的な支持状態を得る上で有効な技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明においては、駆動モータによって回転される入力軸と、入力軸と同一軸線上に配置される出力軸と、出力軸を介して回転駆動される工具ビットと、入力軸側に設けられる第1のクラッチ体と、第1のクラッチ体に対向して出力軸側に設けられる第2のクラッチ体と、第1のクラッチ体と第2のクラッチ体が係合するように付勢力を付加するトルク設定手段と、トルク設定手段の付勢力を調整する設定トルク調整手段と、を備えた回転工具が構成される。
トルク設定手段は、工具ビットに当該付勢力を超えるトルクが作用したときには、いずれか一方のクラッチ体が他方のクラッチ体から離間する方向に移動することを許容し、これによって第1のクラッチ体と第2のクラッチ体との係合を解除する。
請求項1に記載の発明においては、駆動モータによって回転される入力軸と、入力軸と同一軸線上に配置される出力軸と、出力軸を介して回転駆動される工具ビットと、入力軸側に設けられる第1のクラッチ体と、第1のクラッチ体に対向して出力軸側に設けられる第2のクラッチ体と、第1のクラッチ体と第2のクラッチ体が係合するように付勢力を付加するトルク設定手段と、トルク設定手段の付勢力を調整する設定トルク調整手段と、を備えた回転工具が構成される。
トルク設定手段は、工具ビットに当該付勢力を超えるトルクが作用したときには、いずれか一方のクラッチ体が他方のクラッチ体から離間する方向に移動することを許容し、これによって第1のクラッチ体と第2のクラッチ体との係合を解除する。
上記の構成を備えた回転工具によれば、モータによって回転される入力軸のトルクは、互いに係合する第1のクラッチ体および第2のクラッチ体を介して出力軸に伝達され、更には工具ビットに伝達される。このとき入力軸から出力軸に伝達されるトルクは、第1および第2のクラッチ体を係合させるべく付勢するトルク設定手段の付勢力によって設定される。従って、工具ビットに作用するトルクがトルク設定手段にて設定された設定トルクを超えたときには、第1のクラッチ体または第2のクラッチ体のいずれかがトルク設定手段の付勢力に抗して係合を解除する方向へと移動し、これにより入力軸から出力軸へのトルク伝達が遮断される。このような形式のクラッチ、すなわちトルク感応型クラッチを備えた回転工具としては、典型的には工具ビットに作用するトルクがネジの締付作業の終了付近で急激に変動(増大)するネジ締め機、すなわち電動スクリュードライバや電動インパクトレンチがこれに該当するが、工具ビットに作用するトルクが急変する回転工具であれば広く適用することが可能である。
請求項1に記載の発明におけるトルク設定手段は、相互に弾性定数の異なる複数の弾性領域を有し、それら複数の弾性領域がクラッチ体に付勢力を付加する方向に直列状に設けられている構成とされる。ここで「弾性定数の異なる複数の弾性領域」を構成する態様としては、荷重に対する弾性変形が直線状を呈する複数の弾性領域を含む態様(例えば、ピッチあるいは線径が異なる複数のバネ部材によって構成される態様)、あるいは荷重に対する弾性変形が曲線状を呈する弾性領域を含む態様(例えば、ピッチが不定の、いわゆる不定ピッチコイルバネの如き単一のバネ部材によって構成される態様)のいずれをも好適に包含する。
請求項1に記載の発明においては、トルク設定手段を、弾性定数の異なる複数の弾性領域を有し、それら複数の弾性領域がクラッチ体に付勢力を付加する方向に直列状に設けられている構成としたものである。かかる構成によれば、トルク設定手段を両端支持の態様で支持することが可能となって安定した支持状態を得ることができるとともに、従来の並列配置に比べて軸方向長さを概ね同一に維持しつつ径方向の配置スペースを減少することが可能となり、クラッチ構成体のコンパクト化を図る上で有効となる。
また本発明では、弾性定数の異なる複数の弾性領域を有する構成のため、設定トルク調整手段によってトルク設定手段の付勢力を調整する際の当該付勢力の調整幅を、トルク設定手段を単一の弾性体によって構成する場合に比べて広げることが可能となる。すなわち、クラッチによる伝達トルクの設定幅を広げることができる。
また本発明では、弾性定数の異なる複数の弾性領域を有する構成のため、設定トルク調整手段によってトルク設定手段の付勢力を調整する際の当該付勢力の調整幅を、トルク設定手段を単一の弾性体によって構成する場合に比べて広げることが可能となる。すなわち、クラッチによる伝達トルクの設定幅を広げることができる。
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の回転工具における弾性定数の異なる複数の弾性領域は、相互にバネ定数の異なる複数のコイルスプリングを直列状に配置することによって構成されている。かかる構成を採用することにより、安定した支持状態と配置スペースの縮小化を合理的に達成し得るトルク設定手段を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の回転工具における弾性定数の異なる複数の弾性領域は、相互にバネ定数の異なる複数のコイルスプリングを直列状に配置することによって構成されている。かかる構成を採用することにより、安定した支持状態と配置スペースの縮小化を合理的に達成し得るトルク設定手段を提供することができる。
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の回転工具において、直列状に配置されたコイルスプリングは、互いに対向する対向端部が共通の支持部材を介して連接され、当該支持部材は、コイルスプリングの付勢方向に移動可能とされた構成とされる。かかる構成によれば、支持部材の共通化による部品点数の低減が可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の回転工具において、直列状に配置されたコイルスプリングは、互いに対向する対向端部が共通の支持部材を介して連接され、当該支持部材は、コイルスプリングの付勢方向に移動可能とされた構成とされる。かかる構成によれば、支持部材の共通化による部品点数の低減が可能となる。
本発明によれば、回転工具における伝達トルク設定用のトルク設定手段につき、径方向の配置スペースの縮小化を図りつつ安定的な支持状態を得る上で有効な技術が提供されることとなった。
以下、本発明の実施の形態に係る回転工具につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。本実施の形態は、トルク感応型クラッチ付き回転工具の1つである電動スクリュードライバの場合を例にして説明する。本実施の形態に係るトルク感応型クラッチ105を備えた電動スクリュードライバ100の全体構成が図1に示される。電動スクリュードライバ100の本体部110は、モータハウジング111、ギアハウジング112、モータハウジング111に一体状に連接するハンドグリップ114等からなり、図1ではギアハウジング112の内部が断面図として示されている。また電動スクリュードライバ100の要部が図2〜図8に作業形態と共に断面図として示される。
図1に示すように、電動スクリュードライバ100は、概括的に見て、本体部110、第1スピンドル130、第2スピンドル120、トルク感応型クラッチ105を主体として構成される。また当該トルク感応型クラッチ105は、第1クラッチカム150、第2クラッチカム140、クラッチ係合規制スプリング160、第1クラッチカム位置規制手段170を主体として構成される。なお第1クラッチカム150は、本発明における「第1のクラッチ体」に対応し、第2クラッチカム140は本発明における「第2のクラッチ体」に対応する。
電動スクリュードライバ100の本体部110内にはモータ113が収容配置されている。モータ113の出力軸113aは、減速機構115を経由して第1スピンドル130に連接されている。なお減速機構115には減速ギアを主体とした周知の機構を採用しているため、その詳細な説明は便宜上省略する。
図2に示すように、第2スピンドル120は、第1スピンドル130と同軸上において本体部110の先端側(図2において左端側)に回転可能に設けられる。第1スピンドル130は、本発明における「入力軸」に対応し、第2スピンドル120は、本発明における「出力軸」に対応する。第2スピンドル120は、本体部110のスリーブ110aに支持されつつ、第1スピンドル130との関係において、第2スピンドル120の長軸方向に相対移動可能に構成されている。第2スピンドル120の先端側には工具ビット取付用チャック121が設けられ、当該工具ビット取付用チャック121には工具ビット123が取り付けられている。
トルク感応型クラッチ105は、第1スピンドル130のトルクを第2スピンドル120に伝達あるいは遮断するために備えられる。以下、トルク感応型クラッチ105につき図2を参照して説明する。
第2クラッチカム140は、第2スピンドル120の第1スピンドル130に向かう側の端部に第2スチールボール143を介在して配置される。第2スチールボール143は、第2スピンドル120上に形成されたリード溝120a内において、第1スピンドル130へ向かう側の端部と、第1スピンドル130から離反する側の端部の間で移動可能に構成されている。なお特に図2では示されないものの、リード溝120aは、第2スピンドル120の長軸方向に対し傾斜状に形成されている。すなわちリード溝120aの両端部は、第2スピンドル120の長軸方向に所定の距離を有して設定されるとともに、その径方向についても所定の距離を有して設定される。そしてこれら両端部間で移動可能とされた第2スチールボール143を介し、第2クラッチカム140は第2スピンドル120に対し当該第2スピンドル120の軸方向に相対移動することが許容される。また第2クラッチカム140は、第2スチールボール143がリード溝120aの両端間で移動する範囲においては第2スピンドル120に対し相対的に回転することを許容されるが、第2スチールボール143がリード溝120aの第1クラッチカム150に近接する側の端部に置かれると、第2スチールボール143が当該リード溝120a端部に当接規制されることにより、第2クラッチカム140は第2スピンドル120と一体に回転するよう規制される。また第2クラッチカム140の第1スピンドル130に向かう側の端部(図2において右端側)にはクラッチ歯141が設けられている。
第2クラッチカム140は、第2スピンドル120の第1スピンドル130に向かう側の端部に第2スチールボール143を介在して配置される。第2スチールボール143は、第2スピンドル120上に形成されたリード溝120a内において、第1スピンドル130へ向かう側の端部と、第1スピンドル130から離反する側の端部の間で移動可能に構成されている。なお特に図2では示されないものの、リード溝120aは、第2スピンドル120の長軸方向に対し傾斜状に形成されている。すなわちリード溝120aの両端部は、第2スピンドル120の長軸方向に所定の距離を有して設定されるとともに、その径方向についても所定の距離を有して設定される。そしてこれら両端部間で移動可能とされた第2スチールボール143を介し、第2クラッチカム140は第2スピンドル120に対し当該第2スピンドル120の軸方向に相対移動することが許容される。また第2クラッチカム140は、第2スチールボール143がリード溝120aの両端間で移動する範囲においては第2スピンドル120に対し相対的に回転することを許容されるが、第2スチールボール143がリード溝120aの第1クラッチカム150に近接する側の端部に置かれると、第2スチールボール143が当該リード溝120a端部に当接規制されることにより、第2クラッチカム140は第2スピンドル120と一体に回転するよう規制される。また第2クラッチカム140の第1スピンドル130に向かう側の端部(図2において右端側)にはクラッチ歯141が設けられている。
第2クラッチカム140は、ネジ締付作業時に、工具ビット123の先端にネジ124を取り付けた状態で被加工材125に押し当てながら作業者が電動スクリュードライバ100に押し込み荷重を付加することにより、第2スピンドル120とともに、当該押し込み荷重に対する被加工材側からの反力によって第1スピンドル130方向(図中右方向)に移動することになる。これらの動作の詳細については後述する。
第1クラッチカム150は、第1スピンドル130の第2スピンドル120に向かう側の端部(図2において左側端部)に第1スチールボール153を介在して配置される。第1クラッチカム150の第2スピンドル120に向かう側の端部にはクラッチ歯151が設けられている。すなわち、第1クラッチカム150と第2クラッチカム140は、同一軸線上において対向状に配置されており、互いのクラッチ歯151,141が噛み合い係合することで第1スピンドル130のトルクを第2スピンドル120に伝達する。第1スチールボール153は、第1スピンドル130上に設けられたカム溝130a内において、第2スピンドル120方向に向かう端部と、第2スピンドル120から離反する方向に向かう端部との間を移動することにより、第1クラッチカム150の位置規定部材としての役割を果たす。第1クラッチカム150は、この第1スチールボール153により、第1スピンドル130に対し当該第1スピンドル130の軸方向に円滑に相対移動することが許容されるとともに、第1スピンドル130と一体に回転するように構成されている。なお第1スチールボール153について上記両端部間を軸方向に移動可能とする構成は機能上必ずしも必要ではないものの、第1クラッチカム153の第1スピンドル130に対する円滑な摺動動作を確保する観点から、本実施の形態では、上記のように両端部間を移動可能に構成している。
第1スピンドル130と第2クラッチカム140との間には、クラッチ係合規制スプリング160が配置される。クラッチ係合規制スプリング160は、第1クラッチカム150から第2クラッチカム140が離反する方向に付勢力を生じる。換言すればクラッチ係合規制スプリング160は、その付勢力により、第1クラッチカム150側のクラッチ歯151と、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141が確実に係合解除するとともに、係合解除後に不用意に接触しないように確実に離間させる役割を果たす。
次に第1クラッチカム位置規制手段170の詳細な構造について説明する。
第1クラッチカム位置規制手段170は、第1クラッチカム付勢手段171、ストッパー181、ストッパー作動用ピン183、ストッパー係合溝185、リングスプリング187、ストッパー作動用スプリング189を主体として構成される。
第1クラッチカム位置規制手段170は、第1クラッチカム付勢手段171、ストッパー181、ストッパー作動用ピン183、ストッパー係合溝185、リングスプリング187、ストッパー作動用スプリング189を主体として構成される。
このうち第1クラッチカム付勢手段171は、第1クラッチカム150と付勢スプリング支持ワッシャ179との間に装着されて、第1クラッチカム150が第2クラッチカム140へ向かうように、すなわち両クラッチカム140,150のクラッチ歯141,151が係合するように付勢力を付与する。上記の第1クラッチカム付勢手段171は、本発明における「トルク設定手段」に対応する。
第1クラッチカム付勢手段171は、第1コイルスプリング171aおよび第2コイルスプリング171bから構成される。これら2個のコイルスプリング171a,171bは、圧縮バネとして用いられるものであり、本発明における「弾性体」に対応する。第1および第2コイルスプリング171a,171bは、バネ定数が異なっており、バネ定数の小さい(バネ力の弱い)第1コイルスプリング171aが第1クラッチカム150側となるように直列状に配置される。バネ定数の大きい(バネ力の強い)第2コイルスプリング171bの一端は、後述する設定トルク調整リング173によって位置調整される付勢スプリング支持ワッシャ179によって受けられる。
一方、第1コイルスプリング171aの一端は、第1クラッチカム150に形成されたバネ受座部によって受けられる。さらに第1コイルスプリング171aと第2コイルスプリング171bの他端部である対向側端部は、共通のバネ受リング172によって支持される。バネ受リング172は、第1スピンドル130に遊嵌状に取り付けられ、当該第1スピンドル130の長軸方向に相対的に移動可能とされる。このバネ受リング172は、本発明における「支持部材」に対応する。なおバネ受リング172は、第1クラッチカム150の一端部に対して所定の間隙をおいて対向している。この間隙はトルク伝達中において、第1クラッチカム150が第2クラッチカム140から離間する方向へ移動されたときに詰められる。このことについては後述する。
ストッパー181はスチールボールによって構成される。ストッパー作動用ピン183は、リングスプリング187を介在して第2スピンドル120に設けられるとともに、ストッパー作動用スプリング189によって第1スピンドル130に向かう方向に付勢される。ストッパー作動用ピン183の途上にはストッパー係合溝185が形成され、このストッパー係合溝185にストッパー181が嵌着して配置される。
ストッパー係合溝185のストッパー181への当接面は曲面ないしテーパ面とされており、ストッパー作動用スプリング189の付勢力によってストッパー作動用ピン183が軸方向に移動することにより、ストッパー181は第1スピンドル130の周面から出没可能に突出するように構成されている。しかしながら、図2に示す状態では、ストッパー181の上方に第1クラッチカム150の脚部が位置し、ストッパー181はこの第1クラッチカム150の脚部に邪魔をされることにより、第1スピンドル130の周面から突出することが規制されている。
第1および第2コイルスプリング171a,171bの第1クラッチカム150に対する付勢力は、設定トルク調整リング173、設定トルク調整用ピン175、設定トルク調整用スリーブ177および付勢スプリング支持ワッシャ179の協働によって適宜変更調整することが可能とされている。上記の設定トルク調整リング173、設定トルク調整用ピン175、設定トルク調整用スリーブ177および付勢スプリング支持ワッシャ179によって本発明における「設定トルク調整手段」が構成されている。外部からの操作が可能とされる設定トルク調整リング173は、本体部110の外表面に顕在する態様で当該本体部110の長軸回りに回転可能に配置される。また設定トルク調整リング173は、内周面に螺旋状のリード溝173aを有しており、このリード溝173aに嵌め込まれた設定トルク調整用ピン175を介して設定トルク調整用スリーブ177に連結されている。設定トルク調整用ピン175は、一端が設定トルク調整用スリーブ177に固定状に設けられ、他端が設定トルク調整リング173のリード溝173aに相対移動可能に係合されている。このため、設定トルク調整リング173が回転操作されると、設定トルク調整用スリーブ177は、設定トルク調整用ピン175を介して本体部110の長軸方向に相対移動する。
設定トルク調整用スリーブ177の端部には第2コイルスプリング171bを受ける付勢スプリング支持ワッシャ179が取り付けられている。このため、第1スピンドル130上における付勢スプリング支持ワッシャ179の配置位置が、第1スピンドル130の長軸方向に変化する。これにより付勢スプリング支持ワッシャ179と第1クラッチカム150間に配置される第1および第2コイルスプリング171a,17bの軸方向の圧縮長さを適宜変更し、当該第1コイルスプリング171aあるいは第2コイルスプリング171bの付勢力を変更する。本実施の形態では、第1コイルスプリング171aあるいは第2コイルスプリング171bの付勢力を調節することにより、後述する設定トルクの調整が可能となる。
次に、本実施の形態に係るトルク感応型クラッチ105を備えた電動スクリュードライバ100の作用および使用方法について図2から図7を参照して説明する。図2から図7には、ネジ124の締付作業が段階的に示されており、このうちの図2は、本実施の形態に係る電動スクリュードライバ100につき、被加工材125に対しネジ124の締付作業を開始しようとする初期状態を示す。
図2に示す初期状態では、第2クラッチカム140は、第1スピンドル130との間に介在されたクラッチ係合規制スプリング160によって第2スピンドル120と共に先端側へ移動されている。すなわち、第1クラッチカム150と第2クラッチカム140は離間され、クラッチ歯151a,141aの係合が解除されている。このため、モータ113(図1参照)および第1スピンドル150の回転は、第2スピンドル140に伝達されない。なお第1スピンドル130は、モータ113側から第2スピンドル120方向に見た場合、右回りに回転している。
すなわち図2に示す状態では、第1クラッチカム150は付勢スプリング171の付勢力によって第2クラッチカム140方向へ付勢される一方、未だ作業者は電動スクリュードライバ100にネジ締付のための押し込み荷重を加えておらず、第2スピンドル120および第2クラッチカム140が第1クラッチカム150方向へ移動せず、両クラッチ歯141,151は離間した状態、すなわちクラッチ非係合状態が維持される。またこの時、第1クラッチカム150は第1コイルスプリング171aによって第2クラッチカム140側に付勢され、第1スチールボール153がカム溝130aの第2クラッチカム140に近接する側の端部に置かれ、第1クラッチカム150の位置規制をなす。すなわち、図2に示す状態では、第1スチールボール153が、カム溝130a内において第2スピンドル120(ないし第2クラッチカム140)に向かう側の溝端部に位置し、第1クラッチカム150は第2クラッチカム140側へ臨むよう、第1スピンドル130上における第1クラッチカム150の相対的位置が規定されている。
さらに図2に示す状態では、ストッパー181の上部に第1クラッチカム150の脚部が位置するため、ストッパー181は当該第1クラッチカム150の脚部によって抑えられて第1スピンドル130の周面から突出するのを規制されている。
図2に示す初期状態からネジ締付作業を開始する場合、ネジ124を被加工材125へ進入させるべく、作業者は電動スクリュードライバ100を被加工材125方向(図中左方向)へ押し込んでいく。作業者が電動スクリュードライバ100に押し込み荷重を加えることにより、第2スピンドル120および第2クラッチカム140は、工具ビット123と一体となって、被加工材125側からの押し込み荷重に対する反力により第1スピンドル130方向(図中右方向)へ押圧され本体部100側へと相対的に移動していく。この状態が図3に示される。
図3では、押し込み荷重の反力により工具ビット123、第2スピンドル120および第2クラッチカム140が一体となって図中右方向に移動し、第2クラッチカム140の端部に設けられたクラッチ歯141が、クラッチ係合規制スプリング160の付勢力に抗しつつ第1クラッチカム150側のクラッチ歯151へ接近する。このとき第1クラッチカム150には第1コイルスプリング171aの付勢力が付加されており、第1クラッチカム150は、第1スチールボール153がカム溝130aのうち第2スピンドル120に向かう側の端部に位置し、第2クラッチカム140に近接した位置、すなわちトルク伝達許容位置に置かれている。かくして第2クラッチカム140の図中右方向への移動により、第2クラッチカム140と第1クラッチカム150との相対距離は縮まっていくことになる。
また図3に示す状態では、ストッパー181は第1クラッチカム150の脚部によって外方に突出するのを規制されているため、第2スピンドル120が図中右方向に移動した場合、ストッパー作動用ピン183に形成されたストッパー係合溝185がストッパー181に当接し、ストッパー作動用ピン183の第1スピンドル130方向(図中右方向)への移動を規制する。従って、押し込み荷重の反力によって図中右方向に移動していく第2スピンドル120と、移動が規制されたストッパー作動用ピン183との間に介装されたストッパー作動用スプリング189は圧縮されていくことになる。
さて、図3に示す状態から、更に第2スピンドル120および第2クラッチカム140が、第1クラッチカム150方向(図中右方向)へ移動することにより、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141と第1クラッチカム150側のクラッチ歯151が噛み合い係合することになる。この状態が図4に示される。
なお、第2スチールボール143は、リード溝120a内にて第1スピンドル130へ向かう側の端部と、第1スピンドル130から離反する側の端部との間を移動可能とされているが、図3および図4の対比から理解されるように、両クラッチ歯141,151の噛み合い係合に際し、第1スピンドル130とともに回転する第1クラッチカム150のクラッチ歯151が、第2クラッチカム140のクラッチ歯141に噛み合うことで、第2クラッチカム140にトルクが伝えられる。すると第2クラッチカム140は、第2スチールボール143がリード溝120aの両端部間を移動する範囲において、第2スピンドル120に対し相対的に回転しつつ第1クラッチカム150側へと軸方向に移動していく。そして第2スチールボール143がリード溝120aの第1クラッチ150に近接する側の端部に到達することにより、第2クラッチカム140は第2スピンドル120と一体としてのみ回転が許容されることになる。
図4では、第2クラッチカム140が、リード溝120aの軸方向長さ分だけ第2スピンドル120上の第1クラッチカム150側に移動することにより、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141と第1クラッチカム150側のクラッチ歯151とが完全に噛み合い係合し、ネジ124を被加工材125へ締め込んでいく状態が示されている。
本実施の形態では、両クラッチ歯141,151が噛み合い係合することにより、モータ113のトルクは確実に伝達される。具体的には、両クラッチ歯141,151の噛み合い係合により、モータ113の回転トルクが、第1スピンドル130、第1スチールボール153、第1クラッチカム150、第1クラッチカム150側のクラッチ歯151、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141、第2クラッチカム140、第2スチールボール143、第2スピンドル120、工具ビット取付用チャック121、工具ビット123を経由して、ネジ124に伝達される。
ネジ124の被加工材125に対する締付作業が進行し、図5に示すように、ネジ124の頭部着座面124aが被加工材125に着座してネジ124の締付作業が最終段階に至った場合、第2スピンドル120が作業者の押し込み荷重反力により第1スピンドル方向に押し込まれた状態において、ネジ締付トルク(本発明における「負荷」に対応する)が過大となる。この状態において、モータ113の回転トルクを更に伝達しようとする第1クラッチカム150側のクラッチ歯151が、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141に乗り上げる状態となる。その結果、図5に示すように、第1クラッチカム150は、上記トルク伝達許容位置から、第1コイルスプリング171aの付勢力に抗しつつ第2クラッチカム140から離反する方向(図中右方向)に移動し始める。図5には第1クラッチカム150が第1コイルスプリング171aの付勢力に抗して第2クラッチカム140から離反する方向へ移動を開始した、いわゆるクラッチの切れ初め状態が示され、この状態では第1コイルスプリング171aが圧縮されるととともに、第1クラッチカム150が両コイルスプリング171a,171b間のバネ受リング172との間隙を詰めて当該ばね受けリング172に当接した状態が示されている。なお図5に示す状態では、第1スチールボール153は、カム溝130a内において、第2スピンドル120(第2クラッチカム140)に向かう側の端部から離反移動することにより、第1クラッチカム150が円滑に移動するのをアシストする。
図6には第1クラッチカム150が更に移動されて第2クラッチカム140から完全に離反した状態、すなわち第1クラッチカム150と第2クラッチカム140との噛み合い係合が解除された状態が示されている。なお図6に示す状態では、バネ受リング172に当接した第1クラッチカム150が更に移動されて第2コイルスプリング171bを圧縮した状態が示されており、この状態では、第1スピンドル130から第2スピンドル140へのトルク伝達が遮断される。
第1クラッチカム150がトルク伝達許容位置から図中右方向に移動し始めると、ストッパー181の上方に位置していた第1クラッチカム150の脚部が図中右方向に退くことになる。一方、ストッパー作動用ピン183は、圧縮されたストッパー作動用スプリング189の付勢力によって図中右方向に押圧された状態とされている。そのためストッパー181は、図7に示すように、ストッパー作動用ピン183が右方向へ移動しようとする場合に、曲面状(テーパ状)の当接面を有するストッパー係合溝185に押し出される形で、第1スピンドル130の周面から外方に突出することになる。
図7では、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141と、第1クラッチカム150側のクラッチ歯151の噛み合い係合が解除された状態が示されており、作業者による押し込み荷重の反力が第2スピンドル120に付加され、第2スピンドル120は第1スピンドル130側へ最も近接した状態とされている。図6に示すように、第1スピンドル130から第2スピンドル120へのトルク伝達が遮断されると、第2クラッチカム150に作用していたトルクが消去し、それに伴いクラッチ係合規制スプリング160の付勢力により第2スチールボール143がリード溝120a内を第1クラッチカム150から離反する側の端部へ移動される。これにより、第2クラッチカム140は、第2スピンドル120上を当該リード溝120aの軸方向長さ分だけ第1クラッチカム150から離反する方向に移動し、その結果、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141と第1クラッチカム150側のクラッチ歯151との間にクリアランスが発生する。
なお第2スチールボール143は、第2スピンドル120上のリード溝120a内を、第1スピンドル130に向かう側の端部と、離間した側の端部との間で移動可能とされるが、このリード溝120aの両端部間の軸方向距離は、クラッチ歯141,151の噛み合い解除の際の第2クラッチカム140の軸方向移動量を規定するとともに、第2クラッチカム140と第1クラッチカム150との間の係合解除時のクリアランス量を規定することになる。第2スチールボール143がリード溝120a内を移動し、第1クラッチカム150から離反する側へ移動した第2クラッチカム140は、第2スチールボール143がリード溝120aの第1クラッチカム150から離反する側の端部に当接することで、それ以上の移動を規制される。
一方、第1クラッチカム150が図中右方向へ移動するとき、上述のように、ストッパー181に対する第1クラッチカム150脚部による抑えがなくなり、ストッパー181は第1スピンドル130外方へ突出する。従ってストッパー作動用ピン183は、ストッパー作動用スプリング189の付勢力により第1スピンドル130と対向する方向(図中右方向)へと移動し、ストッパー181が第1クラッチカム150の内側凹部に入り込んだ状態となる。
この状態では、第1クラッチカム150は、第1および第2コイルスプリング171a,171bの付勢力が付加されるにも拘わらず、第1スピンドル130の周面から突出したストッパー181により第2クラッチカム140方向へ移動するのを規制される。換言すれば、ネジ123の締付トルクが過大となって第2クラッチカム140から離反する方向へ移動した場合、第1クラッチカム150は、ストッパー181によって第2クラッチカム140から離反したトルク伝達禁止位置に係止維持されることになる。かくしてクラッチ歯同士の接触による騒音を回避することが可能となる。なおストッパー181は、第1クラッチカム150の第2クラッチカム140から離反する方向(図中右方向)への移動は許容する構成とされている。
なお本実施の形態では、「締付トルクが所定の範囲を超えて過大となった場合」の具体的構成として、ネジ124が被加工材125に締め込まれることによって締付トルクが所定の設定トルクに到達することで、第2クラッチカム140側のクラッチ歯141と第1クラッチカム150側のクラッチ歯151の噛み合い係合が直ちに解除されるよう設定されている。
ネジ124の締付作業が終了すると、作業者は電動スクリュードライバ100に対する押し込み荷重を緩める。すると第2スピンドル120は、第2クラッチカム140とともに、第1スピンドル130から離反し、図2に示す初期状態へ復帰する。なお本実施の形態では、押し込み荷重がクラッチ係合規制スプリング160の付勢力以下に減少した場合に第2スピンドル120の復帰が許容されることになる。さらにリングスプリング187を介して第2スピンドル120に取り付けられたストッパー作動用ピン183についても、第2スピンドル120とともに初期状態に復帰することになる。ストッパー作動用ピン183が第2スピンドル120とともに先端方向(被加工材125方向)へ移動して初期状態に復帰すると、ストッパー係合溝185がストッパー181の下部に位置することとなる。これによりストッパー181は、第1クラッチカム150の脚部に押されつつ、第1スピンドル130の周面からストッパー係合溝185へ収容され、同様に図2に示す初期状態に復帰する。
ストッパー181が初期状態に復帰することにより、第1クラッチカム150は、当該ストッパー181に係止されることなく第1スピンドル130の周面を移動可能とされる。そのため、第1クラッチカム150は、第1および第2コイルスプリング171a,171bにより第2クラッチカム140方向へ移動していくことになる。このとき第1スチールボール153は、カム溝130a内において、第2スピンドル120(第2クラッチカム140)に向かう側の端部へ移動することにより第1クラッチカム150の移動動作を許容し、さらに当該端部に当接することにより、第1クラッチカム150の第1スピンドル130上での位置を規定する。かくして電動スクリュードライバ100は、第2クラッチカム140と第1クラッチカム150とが離間した初期状態(図2参照)に復帰することになる。
以上より、設定トルク感応モードで使用される電動スクリュードライバ100では、ネジ124が被加工材125に締付けられて締付トルクが過大となり、被加工材125側から工具ビット123が受ける締付トルクが大きくなって所定の設定トルクに達した場合に、第1および第2コイルスプリング171a,171bの付勢力に抗して第2クラッチカム140側のクラッチ歯141と、第1クラッチカム150側のクラッチ歯151との係合が解除されるとともに迅速に離間される。このとき、第1クラッチカム150は、ストッパー181によりトルク伝達禁止位置に係止維持され、第2クラッチカム140側のトルク伝達許容位置へ移動するのを阻止される。
従って本実施の形態である電動スクリュードライバ100は、とりわけネジ締付トルクを管理しつつ作業を遂行するというトルク管理型のネジ締付作業において、クラッチ歯141,151の噛み合い係合を迅速かつ確実に解除するするとともに、第1クラッチカム150をトルク伝達禁止位置に係止して、クラッチが不用意に係合して振動や騒音を生じるのを確実に抑制することが可能である。
なお、本実施の形態におけるストッパー係合溝185の溝形状は、ストッパー181を第1スピンドル130の周面から出没させることができる範囲内にて、テーパ面、曲面など様々な形状から採用可能である。またクラッチ係合規制スプリング160は、第2クラッチカム140と第1クラッチカム150との間に介装する以外に、それぞれのクラッチカム140,150ごとに別個に設定し、独立して付勢力を付与してもよい。
図8は第1スピンドル130から第2スピンドル120に伝達するトルクの調整、すなわち設定トルクを調整する状態を示している。設定トルクの調整は、設定トルク調整リング173を回転操作することで行なわれる。前述した図2に示す状態では、設定トルク調整用スリーブ177が第1クラッチカム150から最も離間した位置にある。この状態では、第1および第2コイルスプリング173a,173bの軸方向長さが最長状態にあり、従って、設定トルクが最も小さい状態となっている。
かかる状態において、設定トルク調整リング173が回転操作されると、設定トルク調整用ピン175が設定トルク調整リング173のリード溝173aを介して第1クラッチカム150に向う側(図8の左側)へ移動される。この設定トルク調整用ピン175の移動に伴い設定トルク調整用スリーブ177および付勢スプリング支持ワッシャ179が同様に移動され、そして付勢スプリング支持ワッシャ179の移動により、まずバネ定数の小さい方の第1コイルスプリング171aが圧縮される。すなわち両コイルスプリング171a,171b間のバネ受リング172が、バネ定数の大きい第2コイルスプリング171bの非圧縮状態を介して押動され、第1コイルスプリング171aを圧縮する。図8では、バネ受リング172は第1クラッチカム150の端面との間に設定された間隙が詰められ、当該第1クラッチカム150の端面に当接された状態が示されている。従って、この状態では、バネ定数の大きい第2コイルスプリング171bに対応する大きさの設定トルクに調整される。更にバネ受リング172の回転操作を継続すれば、その後、第2コイルスプリング171bが圧縮され、設定トルクが更に大きく設定される。
このように、本実施の形態によれば、設定トルク調整リング173を適宜回転操作することで第1および第2コイルスプリング171a,171bの付勢力を変化させてクラッチ解除の設定トルクを簡単に行うことができるとともに、バネ定数の異なる2個の第1および第2コイルスプリング171a,171bを設けたことで、単一のコイルスプリングを設けるものに比べて設定トルクの調整幅(伝達し得る最小トルクから最大トルクまでの幅)を広げることが可能となった。
また本実施の形態では、第1および第2コイルスプリング171a,171を直列に配置する構成としている。このため、2個の第1および第2コイルスプリング171a,171bを、両コイルスプリング171a,171bの対向端部にバネ受リング172を介在することで両コイルスプリング171a,171bをそれぞれ両端支持の形態で支持することが可能となり、結果として両コイルスプリング171a,171bを安定状態で支持することができる。また第1および第2コイルスプリング171a,171bを直列状に配置することで、従来の並列配置に比べて軸方向長さを概ね同一に維持しつつ径方向の配置スペースを減少することが可能となる。その結果、クラッチ構成体のコンパクト化を図り、ひいては電動スクリュードライバ100のコンパクト化が達成される。
また第1コイルスプリング171aと第2コイルスプリング171bとの間に共通のバネ受リング172を設けたことにより、共通化による部品点数の低減が可能となるとともに、第1クラッチカム150と第2クラッチカム140との噛み合い係合およびその解除時において、バネ定数の小さい第1コイルスプリング171aとバネ定数の大きい第2コイルスプリング171bとの弾性変形あるいは復帰動作が円滑に連係される。
また第1コイルスプリング171aと第2コイルスプリング171bとの間に共通のバネ受リング172を設けたことにより、共通化による部品点数の低減が可能となるとともに、第1クラッチカム150と第2クラッチカム140との噛み合い係合およびその解除時において、バネ定数の小さい第1コイルスプリング171aとバネ定数の大きい第2コイルスプリング171bとの弾性変形あるいは復帰動作が円滑に連係される。
なお本実施の形態は、トルク感応型クラッチ105付き電動スクリュードライバ100の場合で説明したが、工具ビットに作用するトルクが作業の進行に伴って変動(増加)する態様の回転工具であれば適用可能である。また本実施の形態では、バネ定数の異なる2個のコイルスプリング171a,171bを直列状に配置する構成としたが、2個に限らない。また弾性体はコイルスプリングに限らない。また複数のコイルスプリング171a,171bを用いる構成に変え、軸方向においてピッチが変化する単一の不等ピッチコイルスプリングを用いてもよい。
100 電動スクリュードライバ
105 トルク感応型クラッチ
110 本体部
110a スリーブ
111 モータハウジング
112 ギアハウジング
113 モータ
114 ハンドグリップ
115 減速機構
120 第2スピンドル(出力軸)
120a リード溝
121 工具ビット取付用チャック
123 工具ビット
124 ネジ
125 被加工材
130 第1スピンドル(入力軸)
130a カム溝
140 第2クラッチカム(第2のクラッチ体)
141 クラッチ歯
143 第2スチールボール
150 第1クラッチカム(第1のクラッチ体)
151 クラッチ歯
153 第1スチールボール
160 クラッチ係合規制スプリング
170 第1クラッチカム位置規制手段
171 第1クラッチカム付勢手段(トルク設定手段)
171a 第1コイルスプリング(弾性体)
171b 第2コイルスプリング(弾性体)
172 バネ受リング(支持部材)
173 設定トルク調整リング(設定トルク調整手段)
173a リード溝
175 設定トルク調整用ピン(設定トルク調整手段)
177 設定トルク調整用スリーブ(設定トルク調整手段)
179 付勢スプリング支持ワッシャ
181 ストッパー
183 ストッパー作動用ピン
185 ストッパー係合溝
187 リングスプリング
189 ストッパー作動用スプリング
105 トルク感応型クラッチ
110 本体部
110a スリーブ
111 モータハウジング
112 ギアハウジング
113 モータ
114 ハンドグリップ
115 減速機構
120 第2スピンドル(出力軸)
120a リード溝
121 工具ビット取付用チャック
123 工具ビット
124 ネジ
125 被加工材
130 第1スピンドル(入力軸)
130a カム溝
140 第2クラッチカム(第2のクラッチ体)
141 クラッチ歯
143 第2スチールボール
150 第1クラッチカム(第1のクラッチ体)
151 クラッチ歯
153 第1スチールボール
160 クラッチ係合規制スプリング
170 第1クラッチカム位置規制手段
171 第1クラッチカム付勢手段(トルク設定手段)
171a 第1コイルスプリング(弾性体)
171b 第2コイルスプリング(弾性体)
172 バネ受リング(支持部材)
173 設定トルク調整リング(設定トルク調整手段)
173a リード溝
175 設定トルク調整用ピン(設定トルク調整手段)
177 設定トルク調整用スリーブ(設定トルク調整手段)
179 付勢スプリング支持ワッシャ
181 ストッパー
183 ストッパー作動用ピン
185 ストッパー係合溝
187 リングスプリング
189 ストッパー作動用スプリング
Claims (3)
- 駆動モータによって回転される入力軸と、
前記入力軸と同一軸線上に配置される出力軸と、
前記出力軸を介して回転駆動される工具ビットと、
前記入力軸側に設けられる第1のクラッチ体と、
前記第1のクラッチ体に対向して前記出力軸側に設けられる第2のクラッチ体と、
前記第1のクラッチ体と前記第2のクラッチ体が係合するように付勢力を付加し、前記工具ビットに当該付勢力を超えるトルクが作用したときには、いずれか一方のクラッチ体が他方のクラッチ体から離間する方向に移動することを許容し、これによって前記第1のクラッチ体と第2のクラッチ体との係合を解除するトルク設定手段と、
前記トルク設定手段の付勢力を調整する設定トルク調整手段と、を備えた回転工具であって、
前記トルク設定手段は、相互に弾性定数の異なる複数の弾性領域を有し、それら複数の弾性領域が前記クラッチ体に付勢力を付加する方向に直列状に設けられていることを特徴とする回転工具。 - 請求項1に記載の回転工具であって、
前記弾性定数の異なる複数の弾性領域は、相互にバネ定数の異なる複数のコイルスプリングを直列状に配置することによって構成されていることを特徴とする回転工具。 - 請求項2に記載の回転工具であって、
前記直列状に配置されたコイルスプリングは、互いに対向する対向端部が共通の支持部材を介して連接され、当該支持部材は、前記コイルスプリングの付勢方向に移動可能とされていることを特徴とする回転工具。
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-
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- 2004-02-26 JP JP2004051759A patent/JP2005238389A/ja active Pending
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