JP2004314086A - 金属帯の冷間圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手投】(1)金属帯を圧延ロールで圧下して冷間圧延するに際し、スタンドの入側より潤滑ミスト又は液滴を供給すると共に、スタンドの出側より冷却ガスを吹き付けて圧延することを特徴とする方法。(2)スタンドの入側のワークロールと金属帯との間または金属帯表面または圧延ロールの表面に潤滑ミスト又は液滴を供給すると共に、スタンドの出側のワークロールと金属帯との間または圧延ロールの表面または金属帯表面に冷却ガスを吹き付けて圧延する方法。なお、金属帯としては、鋼帯、ステンレス帯、アルミニウム帯、銅帯等がある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷間圧延機により金属帯の圧延を行う際に必要な、圧延ロールと金属帯の潤滑および冷却を有利にした冷間圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平9−239429号公報
【特許文献2】特開昭63−241123号公報
【0003】
冷間圧延機は、圧延ロールで金属帯を圧下して所定の板厚に圧延するものである。冷間圧延作業においては、圧延ロールと金属帯の潤滑および冷却の2つの機能が重要である。潤滑は、ワークロールと金属帯との間(ロールバイト)の摩擦係数を下げて、圧延荷重を低減したり圧延ロールの寿命を延ばすためであり、一方冷却は、ロールバイトでの塑性加工熱によって圧延ロールや金属帯の温度が過度に上昇しないようにするために必要である。
【0004】
このような、圧延ロールと金属帯の潤滑および冷却の2つの機能を設けた冷間圧延方法の従来技術としては、直接方式の冷間圧延油供給方法(ダイレクト方式)と循環方式の冷間圧延油供給方法(リサキュレーション方式)とがある。
【0005】
ダイレクト方式の冷間圧延油供給方法は、ロールバイトまたは金属帯表面に各スタンド入側から比較的高濃度(10から25%濃度)の冷間圧延油を供給して潤滑を行い、ロールバイトまたは圧延ロールに各スタンド出側から冷却水をかけて冷却をし、これら冷間圧延油と冷却水を循環使用せず廃棄する方法である。
【0006】
リサキュレーション方式の冷間圧延油供給方法は、各スタンドの入側、出側に比較的低濃度(5%以下)の冷間圧延油(エマルションクーラント液)を供給し、油による潤滑効果と水による冷却効果により圧延ロールと金属帯の潤滑および冷却とを兼用して行う方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ダイレクト方式の課題としては、冷間圧延油の原単位が悪く、また排水処理に多額の費用がかかることである。また、各スタンドの潤滑および冷却状態に応じて冷間圧延油の濃度および冷却水の量を容易に変更することが困難であり、潤滑過多・不足または冷却過多・不足による品質不良を回避するために圧延速度の減速を余儀なくされ、生産性を著しく阻害している。
【0008】
更に、冷間圧延油として水と油を混ぜたエマルションクーラント液、また冷却水には水を使用しているので、水が金属帯に付着したまま残存すると金属帯表面に錆が発生する問題や、エマルションクーラント液が原因の金属帯表面の汚れが発生する問題があり、その汚れが原因で次工程ラインである連続焼鈍ラインまたは連続メッキライン等の入側洗浄セクションでの脱脂不良問題が生じる場合がある。また同時に、エマルションクーラント液の飛散による圧延機まわりの環境劣化の問題も生じている。
【0009】
リサキュレーション方式の課題としては、冷間圧延油を循環して使用するための大掛かりな設備が必要で、経時劣化していく冷間圧延油を維持するための例えば鉄粉除去装置やクーラントフィルターなどの清浄装置や、管理するための例えばクーラント濃度・温度・ケン化価・酸価・PHなどの各種測定器およびそのシステムも必要となり多大な労力と費用がかかることである。
【0010】
また、ダイレクト方式よりも多量のエマルションクーラント液を使用しているため、各スタンドの潤滑および冷却状態に応じて冷間圧延油の濃度および冷却水の量を容易に変更することが更に困難であり、潤滑過多・不足または冷却過多・不足による品質不良を回避するために圧延速度の減速を余儀なくされ、生産性を著しく阻害している。
【0011】
更に、ダイレクト方式同様、冷間圧延油として水と油を混ぜたエマルションクーラント液を使用しているので、水が金属帯に付着したまま残存すると金属帯表面に錆が発生する問題や、エマルションクーラント液が原因の金属帯表面の汚れが発生する問題があり、その汚れが原因で次工程ラインである連続焼鈍ラインまたは連続メッキライン等の入側洗浄セクションでの脱脂不良問題が生じる場合がある。また同時に、エマルションクーラント液の飛散による圧延機まわりの環境劣化の問題も生じている。
【0012】
解決困難な問題として、ダイレクト方式およびリサキュレーション方式ともに冷間圧延に際して、金属帯からの剥離によって圧延ロールに付着した金属異物が、圧延ロール間(ワークロールと接触する中間ロールあるいはバックアップロールとの間)に噛み込まれたりロールバイトへ飛び込んだりする。これによってワークロール表面に疵が形成され、これが発達して金属帯に連続疵が形成される現象がある。これに対し、圧延ロール表面および金属帯表面への異物を除去し連続疵を発生させない対策が望まれているところである。
【0013】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、比較的安価な設備で管理にも多大な労力と費用を必要とせず、潤滑および冷却状態に応じた各スタンド毎の制御が可能で、高生産性と高品質を両立し作業環境にも配慮して冷間圧延することができる金属帯の冷間圧延方法を提供するためになされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の金属帯の冷間圧延方法は、(1)金属帯を圧延ロールで圧下して冷間圧延するに際し、スタンドの入側より潤滑ミスト又は液滴を供給すると共に、スタンドの出側より冷却ガスを吹き付けて圧延することを特徴とするものである。(2)金属帯を圧延ロールで圧下して冷間圧延するに際し、スタンドの入側のワークロールと金属帯との間または金属帯表面または圧延ロールの表面に潤滑ミスト又は液滴を供給すると共に、スタンドの出側のワークロールと金属帯との間または圧延ロールの表面または金属帯表面に冷却ガスを吹き付けて圧延することを特徴とする。なお、(3)スタンドとは、単スタンドまたは複数スタンドのうちの全または任意のスタンドのことであり、(4)圧延ロールとは、ワークロールまたは中間ロールまたはバックアップロールの何れかのロールのことである。また、(5)潤滑ミスト又は液滴の供給と冷却ガスの吹き付けを、金属帯の表面および/または裏面に行うこと、(6)潤滑ミスト又は液滴の供 給と冷却ガスの吹き付けを、上パスおよび/または下パスの圧延ロールに行うこともできる。
金属帯としては、例えば鋼帯、ステンレス帯、アルミニウム帯、銅帯等である。
【0015】
すなわち本発明は、冷間圧延機の潤滑と冷却に注目して、潤滑に潤滑ミスト又は液滴を用いるとともに、冷却として冷却ガスを用いるという画期的な手法で、高生産性と高品質を両立し作業環境にも配慮した冷間圧延方法を提案することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は冷間圧延機の圧延スタンドと潤滑ミスト又は液滴供給ノズルおよび冷却ガス吹き付けノズルの配置を示すもので、この実施形態の冷間圧延機は、第1スタンド1、第2スタンド2、第3スタンド3、第4スタンド4および第5スタンドである最終スタンド5の5段の圧延スタンドを備えている。各スタンドの形式は、第1〜第4スタンドはワークロール8、バックアップロール9を持つ4Hiミルで、第5スタンドはワークロール8、中間ロール10、バックアップロール9を持つ6Hiミルである。
【0017】
この冷間圧延機の各スタンドの入側には、潤滑ミスト又は液滴供給ノズル6が設けてあり、ワークロールと金属帯との間に潤滑ミスト又は液滴を供給する。潤滑ミスト又は液滴供給量は、0.05g/m2未満では潤滑不良となり金属帯と圧延ロール間の油膜が切れ金属接触をおこし疵の原因となる、一方15g/m2 を超えると潤滑過多となり安定した圧延操業が不可能となるため、0.05〜15g/m2 の範囲で供給するのが望ましい。
【0018】
図示していないが、ロールバイトでの摩擦係数が高い難圧延材を圧延する場合などは、金属帯表裏面または圧延ロールの表面に潤滑ミスト又は液滴を供給しても良い。ただし、潤滑過多となってワークロールと金属帯またはワークロールとバックアップロールが滑ったり、チャタリングが発生する場合があるので供給流量には注意が必要である。
【0019】
チャタリングとは、ミルスタンドの共振現象のことで圧延が不安定となり板厚変動をもたらしたり板破断につながる場合もあり、生産性および品質を大きく阻害するものである。発生メカニズムは、潤滑に関していえばロールバイト中の潤滑状態が潤滑過多および正常状態を小刻みに繰り返すことで不安定となりミル振動へと発展すると考えられている。
【0020】
ここで潤滑ミスト又は液滴とは、動植物油脂と同程度の潤滑性を持ちスタンド清浄性に優れた合成エステルと、たとえば脂肪酸およびリン系極圧剤を焼付き防止の目的で一定量以上添加した潤滑油を一般的なミスト発生器又は液滴発生器によりミスト状又は液滴状、またはオイル&気体(エアー等)発生器により気体(エアー等)噴霧状にしたものであり、これらの潤滑ミスト又は液滴供給器により供給流量を容易に変更できる。潤滑ミスト又は 液滴は平均粒径で8mm以下で、その中で100μm以下を潤滑ミスト、それを超えるものを液滴という。
【0021】
潤滑ミスト又は液滴供給器を各スタンド毎に設置することが可能なので、各スタンドの潤滑状態に応じて、潤滑ミスト又は液滴供給流量を容易に変更し制御することができる。
【0022】
更に、本発明方法では潤滑ミスト又は液滴(ニート油:原液)を用い、水を全く使用しないため、従来の冷間圧延油(水と油を混ぜたエマルションクーラント液)の場合のように、水があることでロールバイトへの油の導入が妨げられたり巾方向での導入が不均一となることがなく、ロールバイトへの油の導入量の増加および巾方向の均一性向上を図ることができる。
【0023】
図4は、冷間圧延油(エマルションクーラント液)のロールバイトへの導入のメカニズムを示すもので、冷間圧延油(エマルションクーラント液)供給ノズル11から冷間圧延油(エマルションクーラント液)12が金属帯15表面に供給され、ロールバイト14入口部のワークロール8と金属帯15で形成されるくさび状部分に、水と油を混ぜたエマルションクーラント液の油溜まり13ができ、水の妨げを受けながらロールバイト14に導入される。したがって、この液溜まりができるために従来の冷間圧延方法では、冷間圧延油のロールバイトへの導入量を容易にコントロールすることができない。
【0024】
冷間圧延油のロールバイトへの導入量を知る方法として、圧延後の金属帯付着量を測定することが一般的に知られている。また、冷間圧延油のロールバイトへの導入量は、同じ冷間圧延油であれば濃度の増減によって多少変化することや、液溜まりが存在するため冷間圧延油の供給量は殆ど効かないことが判っている。
【0025】
図5は、冷間圧延油(エマルションクーラント液)の濃度と金属帯付着量の関係を示すもので、リサキュレーション方式で金属帯付着量は100〜220mg/m2 、ダイレクト方式で150〜280mg/m2 である。濃度の増加による金属帯付着量増加(潤滑向上)は顕著には見られない。
【0026】
図6は、潤滑ミスト又は液滴供給量と金属帯付着量の関係を示すもので、金属帯付着量は250〜450mg/m2 とダイレクト方式よりも多く、潤滑状態が良いことを表している。また、潤滑ミスト又は液滴供給量と金属帯付着量に相関関係があり、潤滑ミスト又は液滴供給量の制御により潤滑状態をコントロール可能であることがわかる。
【0027】
潤滑ミスト又は液滴(ニート油:原液)を用い、水を全く使用しないため、従来の冷間圧延油(水と油を混ぜたエマルションクーラント液)に対してロールバイトへの潤滑油の導入量の増加および巾方向の均一性向上が図れ潤滑が向上する。その効果は、図7の摩擦係数μ、図8の圧延荷重Pにおける本発明と従来との比較を示す図からも明白である。
【0028】
この冷間圧延機の各スタンドの出側には、冷却ガス吹き付けノズル7が設けてあり、圧延ロールの表面に冷却ガスを吹き付ける。冷却ガス吹き付けノズルでの冷却ガス吐出流速は、圧延ロール表面の異物や金属帯表面の異物を除去するために、50〜250m/Sの範囲で吹き付けるのが望ましい。50m/S未満では、吐出流速が遅く異物除去できず、一方250m/Sを超えると入側の潤滑ミスト又は液滴の供給を阻害する原因となってしまう。冷却ガスとは、N2ガス・H2ガス・Air・Ar ガス・Heガス等の単体又は混合ガスのことをいう。
【0029】
図示していないが、ロールバイトで発生する塑性加工熱が高い圧延材を圧延する場合などは、ヒートスクラッチ発生を防止するため、ワークロールと金属帯との間または金属帯表裏面に冷却ガスを吹き付けても良い。ただし、冷却過多となってワークロールのサーマルクラウンが局部的に崩れ、金属帯の形状を乱す場合があるので吹き付け流量にはその点の考慮が必要である。
【0030】
ヒートスクラッチとは、金属帯表面およびワークロール表面に発生する焼き付き疵のことであり、ワークロール組替等を余儀なくされ、これも生産性および品質を大きく阻害するものである。発生メカニズムは、ロールバイトで発生する塑性加工熱が高い圧延材を圧延する場合等にロールバイトでの温度上昇により油膜強度が減少し油膜破壊が起こり、その結果、金属帯表面とワークロール表面が金属接触を局部的に生じ凝着するものと考えられている。
【0031】
ここで冷却ガスとは、ガスを冷却媒体として対象物を冷却するためのガスのことで、熱伝導率が高く冷却効率が良いものが望ましい。また、冷却能力を示す平均熱伝達率は、▲1▼ガスの熱伝導率、▲2▼ガスの動粘性係数、▲3▼ガスの吐出流速、▲4▼ノズルと圧延ロールまたは金属帯との距離で決定されるが、冷却能力を考慮すると200〜600Kcal/m2 h℃の範囲、望ましくは400Kcal/m2 h℃以上となる条件で使用する必要がある。
【0032】
本発明方法では、冷却ガスを吹き付ける事により圧延ロール表面の異物や金属帯表面の異物を除去し、圧延ロール間の異物の噛み込みやロールバイトへの異物の飛び込みを回避し、連続疵を発生させない対策を同時に行うことができる。
【0033】
また、各スタンド毎に冷却ガス供給器を設置することが可能なので、各スタンドの冷却状態に応じて、冷却ガス吹き付け流量を容易に変更し制御することができる。
【0034】
図2は実施形態における潤滑ミスト又は液滴供給流量制御のブロック図である。各スタンド毎に潤滑ミスト又は液滴発生器を持ち、各スタンド毎に独立して供給流量を制御する。
【0035】
各スタンドの圧延荷重計の▲1▼圧延荷重値または各スタンドの測定値より計算された▲2▼摩擦係数値が増加し、変動量があらかじめ決められた基準値を超えた場合は、各スタンドの潤滑ミスト又は液滴供給流量を増加し、▲1▼圧延荷重値または▲2▼摩擦係数値を基準値に自動的にもどす。
【0036】
同様に、各スタンドの圧延荷重計の▲1▼圧延荷重値または各スタンドの測定値より計算された▲2▼摩擦係数値が減少し、変動量があらかじめ決められた基準値を超えた場合は、各スタンドの潤滑ミスト又は液滴供給流量を減少し、▲1▼圧延荷重値または▲2▼摩擦係数値を基準値に自動的にもどす。
【0037】
一方、各スタンドの振動を測定しているチャタリング検出器より▲3▼チャタリングが検出された場合、あらかじめ設定された検出基準値により各スタンドの潤滑ミスト又は液滴供給流量を自動的に減少する、または潤滑ミスト又は液滴供給を自動的に切り、チャタリングの発生を防止する。
【0038】
図3は実施形態における冷却ガス吹き付け流量制御のブロック図である。各スタンド毎に冷却ガスの吹き付け流量を独立して制御する。
【0039】
各スタンドの接触式または非接触式ロール温度計の▲1▼ロール温度測定値または各スタンドの非接触式金属帯温度計の▲2▼金属帯温度測定値が増加し、変動量があらかじめ決められた基準値を超えた場合は、各スタンドの冷却ガス吹き付け流量を増加し、▲1▼ロール温度または▲2▼金属帯温度を基準値に自動的にもどす。
【0040】
同様に、各スタンドの接触式または非接触式ロール温度計の▲1▼ロール温度測定値または各スタンドの非接触式金属帯温度計の▲2▼金属帯温度測定値が減少し、変動量があらかじめ決められた基準値を超えた場合は、各スタンドの冷却ガス吹き付け流量を減少し、▲1▼ロール温度または▲2▼金属帯温度を基準値に自動的にもどす。
【0041】
一方、▲1▼ロール温度または▲2▼金属帯温度が基準値であっても、出側検査で▲3▼ヒートスクラッチ疵が発見された場合は、スクラッチ疵の圧延方向の連続ピッチ長さにより疵発生スタンドが判るので、ワークロール組替と並行して当該スタンドの冷却ガス吹き付け設定量を増加させヒートスクラッチ疵の原因をなくす。
【0042】
更に、出側形状計または出側巻取り形状の目視判定で、圧延ロールのサーマルクラウンの局部的な崩れによる▲4▼金属帯形状変動が発見された場合、冷却過多となったと推定される冷却ガス吹き付け流量を増加したスタンドについて、その吹き付け流量を前回値までもどし、金属帯形状を正常な状態にする。
【0043】
本発明方法では、従来のダイレクト方式、リサキュレーション方式で解決困難な問題であった金属帯表面の連続疵について、冷却ガスを吹き付ける事により圧延ロール表面の異物や金属帯表面の異物を除去し、圧延ロール間の異物の噛み込みやロールバイトへの異物の飛び込みを回避することが可能なので、連続疵の発生を防止することができる。表1に極低炭素鋼帯を85%のトータル圧下率で冷間圧延した場合の第4スタンドの圧延結果、本発明と従来との比較を示す。従来、全スタンドの中で、第4スタンドの圧延条件が一番過酷なため、このスタンドでヒートスクラッチ又はチャタリングが発生していた。
【0044】
図1には5段の圧延スタンドで第1〜第4スタンドは4Hiミル、第5スタンドは6Hiミルの例を示しているが、単スタンドまたはスタンド数が6以上でも問題なく、ミル形式についても任意のスタンドが6Hiミルまたはクラスターミル等などの形式を持った圧延スタンドでも適用可能である。また、複数スタンドのうちの全または任意のスタンドについて行っても良い。
【0045】
従来設備の能力不足を安価な改造で改善する目的や、難圧延材対策としてスポット的に使用する目的で、従来の冷間圧延方法に本発明の冷間圧延方法を併用して行っても良い。
【0046】
また、スタンドの入側での潤滑ミスト又は液滴の供給とスタンド出側での冷却ガスの吹き付けを同時に行うことが望ましいが、スタンドの入側での潤滑ミスト又は液滴の供給だけ、またはスタンド出側での冷却ガスの吹き付けだけを行っても良い。
【0047】
潤滑ミスト又は液滴の供給および冷却ガスの吹き付けは、金属帯に対しては金属帯の表裏面に行うことが望ましいが、潤滑不良または冷却不良が片面に対し特徴がある冷間圧延機の場合には、表面のみ、または裏面のみの片面だけに行っても良い。
【0048】
同様に、潤滑ミスト又は液滴の供給および冷却ガスの吹き付けを圧延ロールに対しても上下パスに同時に行うことが望ましいが、これについても、同様の理由で上パスのみ、また は下パスのみの任意の圧延ロールに行っても良い。
【0049】
本発明を調質圧延機での金属帯の調質圧延方法にも応用できることはいうまでもない。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の冷間圧延方法によれば、冷間圧延油(エマルションクーラント液)を使用しないのでダイレクト方式のように排水処理に多額の費用を必要とせず、およびリサキュレーション方式のように冷間圧延油を循環するための大掛かりな設備が不要である。
【0052】
更に経時劣化していく冷間圧延油を維持するための例えば鉄粉除去装置やクーラントフィルターなどの清浄装置や、管理するための例えばクーラント濃度・温度・ケン化価・酸価・PHなどの各種測定器およびそのシステムも不要なのでそのための多大な労力と費用がかからない。
【0053】
潤滑としては、潤滑ミスト又は液滴(ニート油:原液)を用い、水を全く使用せず、また冷却としては、冷却ガスを用いるため、従来の冷却水(水)を使用する必要がない。
【0054】
したがって、潤滑のために冷間圧延油として水と油を混ぜたエマルションクーラント液、また冷却のための冷却水を全く使用していないので、(1)水が金属帯に付着したまま残存することが原因の金属帯表面に錆が発生する問題、(2)エマルションクーラント液が原因の金属帯表面の汚れが発生する問題、(3)その汚れが原因で次工程ラインである連続焼鈍ラインまたは連続メッキライン等の入側洗浄セクションでの脱脂不良問題、(4)エマルションクーラント液の飛散による圧延機まわりの環境劣化の問題等も回避できる。
【0055】
更に、各スタンド毎に潤滑ミスト又は液滴供給器および冷却ガス供給器を設置することが可能なので、各スタンドの潤滑および冷却状態に応じて、潤滑については潤滑ミスト又は液滴供給流量、冷却については冷却ガス吹き付け流量を容易に変更し制御することができる。
【0056】
したがって、従来問題となっていた潤滑過多・不足または冷却過多・不足による品質不良を回避するための圧延速度の減速を回避することが可能となり高生産性が達成できる。
【0057】
以上より、比較的安価な設備で管理にも多大な労力と費用を必要とせず、潤滑および冷却状態に応じた各スタンド毎の制御が可能で、高生産性と高品質を両立し作業環境にも配慮して冷間圧延することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す冷間圧延機の概念的な平面図である。
【図2】実施形態における潤滑ミスト又は液滴供給流量制御のブロック図である。
【図3】実施形態における冷却ガス吹き付け流量制御のブロック図である。
【図4】冷間圧延油(エマルションクーラント液)のロールバイトへの導入のメカニズムを示す図である。
【図5】冷間圧延油(エマルションクーラント液)の濃度と金属帯付着量の関係を示す図である。
【図6】潤滑ミスト又は液滴供給量と金属帯付着量の関係を示す図である。
【図7】摩擦係数μにおける本発明と従来との比較を示す図である。
【図8】圧延荷重Pにおける本発明と従来との比較を示す図である。
【符号の説明】
1 第1スタンド
2 第2スタンド
3 第3スタンド
4 第4スタンド
5 第5スタンド
6 潤滑ミスト又は液滴供給ノズル
7 冷却ガス吹き付けノズル
8 ワークロール
9 バックアップロール
10 中間ロール
11 冷間圧延油(エマルションクーラント液)供給ノズル
12 冷間圧延油(エマルションクーラント液)
13 油溜まり
14 ロールバイト
15 金属帯
Claims (6)
- 金属帯を圧延ロールで圧下して冷間圧延するに際し、スタンドの入側より潤滑ミスト又は液滴を供給すると共に、スタンドの出側より冷却ガスを吹き付けて圧延することを特徴とする金属帯の冷間圧延方法。
- 金属帯を圧延ロールで圧下して冷間圧延するに際し、スタンドの入側のワークロールと金属帯との間または金属帯表面または圧延ロールの表面に潤滑ミスト又は液滴を供給すると共に、スタンドの出側のワークロールと金属帯との間または圧延ロールの表面または金属帯表面に冷却ガスを吹き付けて圧延することを特徴とする金属帯の冷間圧延方法。
- スタンドが、単スタンドまたは複数スタンドのうちの全または任意のスタンドであることを特徴とする請求項1から2のうちいずれか記載の金属帯の冷間圧延方法。
- 圧延ロールが、ワークロールまたは中間ロールまたはバックアップロールの何れかの圧延ロールであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか記載の金属帯の冷間圧延方法。
- 潤滑ミスト又は液滴の供給と冷却ガスの吹き付けを、金属帯の表面および/または裏面に行うことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか記載の金属帯の冷間圧延方法。
- 潤滑ミスト又は液滴の供給と冷却ガスの吹き付けを、上パスおよび/または下パスの圧延ロールに行うことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか記載の金属帯の冷間圧延方法。
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