JP2004312907A - 電力用半導体素子のゲート駆動回路 - Google Patents

電力用半導体素子のゲート駆動回路 Download PDF

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Abstract

【課題】出力短絡時の電力用半導体素子遮断時におけるサージ電圧を低減して信頼性を向上させるとともに、耐圧の低い素子の使用を可能としてコストを低減させる。
【解決手段】IGBTなどの電力用半導体素子5のオン電圧VCEの検出値相当Voを積分する積分回路INを設け、その積分値が過電流設定値∫VCEOC1以上になったら比較回路CP2からハイ(H)信号を出力し、ナンド回路NAを介して半導体素子5を強制的に遮断することで、サージ電圧を低減しつつ半導体素子5を過電流状態から保護できるようにする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの電力用半導体素子のゲート駆動回路、特に素子を過電流状態から保護することが可能なゲート駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、図7にIGBTを用いたインバータのごく一般的な主回路を示す。
同図において、1は直流電源回路(交流入力の場合は、整流器+電解コンデンサの構成となる)、2は直流を交流に変換するIGBT5およびダイオード6からなるインバータ回路、3,4はIGBT5のドライブ回路(各素子対応に設けられる)、7はモータ等の負荷である。また、CTはIGBT5をオン,オフさせるための制御信号で、図示されない制御回路から出力される。
【0003】
素子を過電流状態から保護するに当たり、素子オン時のコレクタ−エミッタ間電圧を検出して行なうドライブ回路が、例えば特許文献1,2により公知である。図8,9にその概略を示す。
図8の符号9は本回路駆動用の電源、10,11はIGBT5をターンオンおよびターンオフさせるためのスイッチ素子、12,13はターンオンおよびターンオフ用のゲート抵抗で、制御信号CTを絶縁器14に入力して得た信号Sによって動作する。また、IGBT5のコレクタに接続されたダイオードD0は、IGBT5の過電流検出を目的とするIGBT5のオン電圧(VCE)検出のために設けられ、IGBT5のオン電圧相当の電位Voと過電流設定値VCEOC0とを比較回路CPにより比較し、電位Voが過電流設定値VCEOC0以上のとき比較回路CPの出力がハイ「H」となる。これによりナンド回路NAの出力S1も「H」となるため、スイッチ素子10はオフで、スイッチ素子11はオンとなり、IGBT5は強制遮断される。
【0004】
図9にドライブ回路の別の例を示す。
これは、比較回路CPの代わりにツェナーダイオードZD、MOSFETやトランジスタなどのスイッチ素子SWおよび抵抗R2,Rnなどから構成したものである。その動作は、電位VoがツェナーダイオードZDのツェナー電圧(過電流設定値相当:Vz=VCEOC0)以上になったときスイッチ素子SWがオンし、電位V1がロー(L)となることで、ナンド回路NAの出力S1が「H」となり、図8と同様にIGBT5は強制遮断されることになる。
【0005】
【特許文献1】
特開平05−161342号公報(第4−5頁、図1)
【特許文献2】
特開平09−331669号公報(第3−4頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図8,9のようにVCEの値を検出し、その値によって過電流検出をしてその保護を実施するものでは、図10に示すような通常のターンオン時においては、ターンオン信号(信号S1参照)からVCEが十分に低電圧になるまで或る時間を要するため、その間は過電流検出を行なわないマスク時間tmask0を設定する必要がある。そのマスク時間設定回路として図8,9では、例えば抵抗RとコンデンサCからなる時定数回路を設けている。
一般に、このマスク時間tmask0と過電流設定値VCEOC0とは、概ね図11のような関係を有しており、過電流設定値VCEOC0を低く設定するほど、過電流の誤検出防止のために長い時間が必要となる。そのため、一般にはIGBTのアーム短絡保証時間が10μs程度であることから、過電流設定値VCEOC0を図10のように、高め(10V程度)に設定するのが普通である。
【0007】
ところで、過電流設定値VCEOC0を10V程度に設定した場合、図12のような出力短絡(負荷側の絶縁破壊など、何かしらの原因で出力線が短絡してしまう現象)が発生すると、電圧,電流波形は図13のようになる。すなわち、オン電圧VCEは一旦VCEOC0以下となるが、コレクタ電流icの上昇に伴ってVCEOC0を越え、期間T0(回路条件や負荷条件によっては10μsを越える値)後の時刻t0において強制遮断動作が行なわれる。しかし、実際にicが遮断するまでには、それからさらに或る時間(tstg)の経過後となるため、そのときの遮断電流icpeakは非常に大きく(一般に定格電流の10倍程度)、このときIGBTに印加されるサージ電圧VCEsurgeも極めて大きくなる。その結果、IGBTとして高耐圧のものが必要になったり、ソフト遮断回路などの付加回路を必要とするなどの問題が生じる。
したがって、この発明の課題は、出力短絡を迅速に検出できるようにして、強制遮断時のサージ電圧を低下させて耐圧の低い素子の使用を可能とし、信頼性を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、請求項1の発明では、電力変換装置を構成する電力用半導体素子をオン,オフ駆動するゲート駆動回路において、
前記電力用半導体素子のオン期間中のオン電圧を検出する電圧検出回路と、その電圧検出値を積分する積分回路と、その積分値を設定値と比較する比較回路とを設け、積分値が設定値以上になったとき電力用半導体素子を強制遮断することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、電力変換装置を構成する電力用半導体素子をオン,オフ駆動するゲート駆動回路において、
前記電力用半導体素子のオン期間中のオン電圧を検出する電圧検出回路と、その電圧検出値を過電流設定値と比較する第1の比較回路と、この第1の比較回路からの出力に基づき前記電圧検出値をそれが過電流設定値以上のときのみ積分する積分回路と、その積分値を設定値と比較する第2の比較回路とを設け、積分値が設定値以上になったとき電力用半導体素子を強制遮断することを特徴とする。
請求項1または2の発明においては、前記比較回路の代わりにスイッチ回路を用いることができ(請求項3の発明)、これら請求項1〜3のいずれかの発明においては、前記積分回路の代わりにフィルタ回路を用いることができる(請求項4の発明)。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施の形態を示す回路図である。
図示のように、保護回路を比較回路CP1,CP2および積分回路INから構成した点が特徴である。比較回路CP1はオン電圧VCEの検出値相当である電位Voと過電流設定値VCEOC1とを比較する。このとき、過電流設定値VCEOC1としては従来よりも低い値(例えば4V:ちなみに通常オン時のVCEは1V〜2V程度であるため、4Vでも十分過電流検出レベルとなる)を設定する。積分回路INは、VCEの検出値相当である電位Voの値を積分する(積分回路INの出力値を∫VCEとする)。ただし、マスク期間中、またはVCEの検出値(電位Voの値)が過電流設定値VCEOC1以下の場合およびオフ信号入力時は、信号S2により積分回路INはリセットされるものとする。
【0011】
以上のような構成により、通常のターンオン時には図4,図5のように、マスク時間tmask1後一時的にVo>VCEOC1となり、積分回路INによる積分動作が開始されるが、期間T1(3μs程度)後の時刻t1においてVo(=VCE)<VCEOC1となると、積分動作はリセットされ、過電流検出が行なわれることはない。また、比較回路CP2は積分回路INの出力値∫VCEと積分値による過電流設定値∫VCEOC1とを比較し、検出値の積分値∫VCEの方が大きいとき「H」を出力し、ナンド回路NAに入力してIGBT5の強制遮断を行なう。なお、積分回路INの代わりに、これと同じく積分機能を有するフィルタ回路を用いることができる。
【0012】
図6に出力短絡時の電圧,電流波形を示す。
CEOC1=4V程度に設定すると、出力短絡時においては常にVCE>VCEOC1となる。よって、tmask1後から積分回路INの積分動作が始まり、期間T2(5μs程度)の経過後の時刻t2に過電流設定値∫VCEOC1に達する。ここで、∫VCEOC1は、T1<T2となるように設定する。また、図13において、T0が10μs程度になる可能性があるのに対し、図6ではT2=5μs程度となるため、遮断電流icpeakは従来の1/2程度になり、遮断時のサージ電圧VCEsurgeの低減も可能となる。
【0013】
図2はの発明の第2の実施の形態を示す回路図である。
これは、図1の比較回路CP1,CP2の代わりにツェナーダイオードZD1,ZD2とMOSFETやトランジスタなどのスイッチ素子SW1,SW2を用いた点が特徴である。動作は図1の場合と同様で、電位Vo,積分回路INの出力S3がそれぞれツェナー電圧VCEOC1,∫VCEOC1以上になった場合にスイッチ素子SW1,SW2がオンし、積分回路INの動作をはじめるとともに、ナンド回路NAの出力を「H」とするものである。
【0014】
図3は図2の変形例である。
これは、IGBT5のVCE検出用ダイオードD0を省略する代わりに抵抗R3,R4を設け、その抵抗分圧点を電位Voとするものである。この回路も図1,図2と同様Voの値に応じて回路の動作が行なわれる。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、出力短絡時の電流遮断時に発生するサージ電圧が従来よりも低減されるため、信頼性が向上するだけでなく、耐圧の低いIGBTの使用による安価なシステムの構築が可能となる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す回路図
【図2】この発明の第2の実施の形態を示す回路図
【図3】図2の変形例を示す回路図
【図4】図1〜3における通常のターンオン,ターンオフ動作の説明図
【図5】図1〜3における通常のターンオン動作時の各部波形図
【図6】図1〜3における出力短絡時の動作説明図
【図7】インバータ回路のごく一般的な回路図
【図8】図7におけるゲート駆動回路の例を示す回路図
【図9】図7におけるゲート駆動回路の別の例を示す回路図
【図10】図8,9における通常のターンオン,ターンオフ動作の説明図
【図11】図8,9におけるマスク期間と過電流設定値との関係説明図
【図12】図7における出力短絡時の電流経路説明図
【図13】図8または9における出力短絡時の動作波形図
【符号の説明】
CP,CP1,CP2…比較回路、IN…積分回路、SW,SW1,SW2…スイッチ回路、ZD,ZD1,ZD2…ツェナーダイオード、1…直流電源回路、2…インバータ回路、3,4…ドライブ回路、5…IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、D0,6…ダイオード、7…モータ(負荷)、9…駆動回路用電源。

Claims (4)

  1. 電力変換装置を構成する電力用半導体素子をオン,オフ駆動するゲート駆動回路において、
    前記電力用半導体素子のオン期間中のオン電圧を検出する電圧検出回路と、その電圧検出値を積分する積分回路と、その積分値を設定値と比較する比較回路とを設け、積分値が設定値以上になったとき電力用半導体素子を強制遮断することを特徴とする電力用半導体素子のゲート駆動回路。
  2. 電力変換装置を構成する電力用半導体素子をオン,オフ駆動するゲート駆動回路において、
    前記電力用半導体素子のオン期間中のオン電圧を検出する電圧検出回路と、その電圧検出値を過電流設定値と比較する第1の比較回路と、この第1の比較回路からの出力に基づき前記電圧検出値をそれが過電流設定値以上のときのみ積分する積分回路と、その積分値を設定値と比較する第2の比較回路とを設け、積分値が設定値以上になったとき電力用半導体素子を強制遮断することを特徴とする電力用半導体素子のゲート駆動回路。
  3. 前記比較回路の代わりにスイッチ回路を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の電力用半導体素子のゲート駆動回路。
  4. 前記積分回路の代わりにフィルタ回路を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電力用半導体素子のゲート駆動回路。
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