JP2004311237A - 非水電解液二次電池用負極材料及びこれを用いた非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素粉末上に5〜50℃の水に対する溶解度と−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が共に0.01g以下の有機被覆層が形成されている負極材料であり、有機被覆層が、ポリビニルアルコール或いは澱粉或いは多糖類から成る架橋された有機高分子化号物とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解液二次電池の負極材料に関するものである。また本発明はこの負極材料を用いた負極、及びこの負極を備えた非水電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPF6やLiBF4などのリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が開発され、実用に供されている。この電池の負極材料としては種々のものが提案されているが、高容量であること及び放電電位の平坦性に優れていることなどから、天然黒鉛、コークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素材料が用いられている。また、一部の電解液に対して比較的安定しているなどの理由で非晶質の炭素材料も用いられている。更には、黒鉛質炭素粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させ、黒鉛と非晶質炭素の特性を併せもたせた炭素材料も用いられている。
【0003】
一方、非水系電解液の溶媒としては、高誘電率溶媒であるエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどで代表される環状カーボネート類や、低粘度溶媒であるジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γーブチロラクトンなどの環状エステル類、テトラヒドロフラン1,3−ジオキソランなどの環状エーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル類が、単独又は混合して用いられている。特に高誘電率溶媒と低粘度溶媒とを混合して用いることが多い。電解質として例えば、LiPF6、LiBF6、LiClO4、LiN(SO2CF3)2などが単独で又は2種以上組合せて用いられる。
【0004】
しかしながら、上記の電解液と炭素材料からなる負極を組み合わせて二次電池に用いた場合、充電時に炭素材料と電解液が反応し炭素材料表面にリチウムを含む不動態膜が生成する。その結果、不可逆容量の増大、充電あるいは放電時における炭素材料と電解液の反応による電解液の分解、充放電の繰り返し中に炭素材料と電解液が反応することによる容量維持率(サイクル特性)の悪化などの問題があった。これらの要因としては、炭素材料の比表面積が大きいこと、及び表面官能基が多いことが関与していると考えられる。
【0005】
このため、電解液との反応を抑え、サイクル特性を良好に維持するために、負極炭素材料の表面を樹脂被覆することが提案されている。
例えば、特許文献1では、炭素材料とフッ素系バインダー樹脂とを、バインダー樹脂を溶解する溶媒中で混合してスラリーとし、これをそのまま乾燥するか又は集電体に塗布後乾燥して非水電解液二次電池用負極を得るにあたり、炭素材料として、非水電解液溶媒及びスラリー調製用溶媒に溶解しない樹脂で被覆して保護膜を形成したものを用いることが記載されている。保護膜形成樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられており、フッ素系バインダー樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンが例示されている。具体的には、ピッチコークスを粉砕して得た炭素材料を、分子量10000(重合度230位に相当)のPVAを0.1〜5重量%となるように溶解した水溶液に浸漬し、乾燥して炭素材料の表面に保護膜を形成し、次いでこの炭素材料とポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに混合してスラリーとし、乾燥後ペレット化して非水電解液二次電池用負極を得ている。
【0006】
また、特許文献2には、澱粉の誘導体、粘性多糖類、水溶性セルロース誘導体、ポリウロニド、水溶性合成樹脂からなる群から選ばれる1以上の界面活性効果材料で塊状黒鉛粒子を被覆することが記載されている。具体的には、これらの界面活性効果材料を黒鉛粒子に対する被覆量が0.01〜10重量%となるように溶解した水溶液に黒鉛粒子を浸漬し、乾燥してこれらの材料で被覆された黒鉛とする。次いでこの黒鉛と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチル−2−ピロリドンに混合してスラリーとし、これを集電体に塗布後、乾燥して負極を得ている。
【0007】
これらの方法では水溶性の樹脂で炭素材料を被覆しているので、バインダー樹脂と混合して負極用スラリーを調製するに際しては、炭素材料上に形成されている被覆が溶出しないように有機溶媒を用いている。しかし有機溶媒の使用は、安全性の確保や環境汚染防止のための設備が必要であり、好ましくない。
【0008】
また、このほかにも、スラリー化溶媒として有機溶媒を用いて得られる負極は、水を溶媒として得られた負極に比べ極板強度が低くなるという問題がある。これは有機溶媒でスラリー化した場合には、バインダー樹脂が有機溶媒に溶解して炭素材料粒子の全体を被覆するので、粒子同士の結着部分以外に存在するバインダー樹脂、即ち粒子間接着に寄与しないバインダー樹脂の比率が高くなるためと考えられる。
【0009】
これに対し、特許文献3には、炭素材料の表面に有機溶媒を用いて固体高分子電解質を被覆し、この固体高分子電解質で被覆された炭素材料とバインダー樹脂とを水でスラリー化して、負極を形成する方法が記載されている。具体的には固体高分子電解質であるイオン交換膜Nafion1重量部を、有機溶媒60重量部に懸濁分散させ、この分散液に炭素材料を添加混合したのち濾過乾燥して、固体高分子電解質で被覆した炭素材料を得ている。そして、この炭素材料とバインダー樹脂とを水でスラリー化し負極を形成している。しかし、この方法では負極の作成段階では有機溶媒を用いないものの、高分子被覆炭素材料を作製する段階で有機溶媒を使用するので、この段階では安全性の確保や環境汚染を避けるための設備等の設置が必要となる。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−219188号公報
【特許文献2】
特開2001−291516号公報
【特許文献3】
特開平7−235328号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、非水電解液との反応性が著しく抑制された炭素粉末からなる負極材料であって、負極材料の作成及びこの負極材料を用いる負極の作製のいずれの段階でも、有機溶媒の使用を必要としないものを提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る負極材料は、炭素粉末上に5〜50℃の水に対する溶解度が0.01g以下、かつ−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下である有機被覆層を有するものである。この負極材料は、50℃の水に対する溶解度が0.01g以下、70℃の水に対する溶解度が0.5g以上、かつ−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下の有機化合物を適宜の濃度の水性溶液とし、これに炭素粉末を浸漬したのち乾燥して、炭素粉末の表面にこの有機化合物の被覆層を形成することにより作成できる。また別法として、官能基を有する水溶性有機高分子化合物を適宜の濃度の水性溶液とし、これを炭素粉末と接触させてその表面に有機高分子化合物の被覆層を形成し、これに架橋剤を反応させて被覆層を架橋させ、その水溶性を低下させることによっても作成することができる。
本発明に係る負極は、上記の負極材料、結着樹脂及び水性媒体からなるスラリーを集電体に塗布したのち乾燥することにより作成されたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
炭素粉末としては、非水電解液二次電池の負極材料用の炭素粉末として知られている任意のものを用いることができる。好ましくは天然黒鉛や種々の人造黒鉛、黒鉛化炭素繊維などの黒鉛質炭素を用いる。例えば石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス、メソフェーズピッチなどを2500℃以上に加熱して製造した人造黒鉛を用いることができる。
【0014】
またピッチ系、ポリアクリロニトリル系、気相成長系などの炭素繊維を2500℃以上に加熱して黒鉛化炭素繊維としたものを用いることもできる。更にはフェノール樹脂、ポリアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フラン樹脂などを2500℃以上に加熱して黒鉛化したものも用いることができる。なお高温で加熱するほど黒鉛化度が高くなるので、加熱は2800℃以上、特に3000℃以上に達するまで行うのが好ましい。また、このようにして得られた黒鉛質炭素を石油ピッチ、石炭ピッチ、樹脂などと混練したのち焼成したものを用いることもできる。この場合の焼成は、黒鉛質炭素の表面に非晶質炭素の被膜が形成されるように800〜2500℃で行うのが好ましく、900〜2000℃、特に1000〜1500℃であれば更に好ましい。
【0015】
炭素粉末としては真密度が2.20g/cc以上のものを用いるのが好ましい。真密度が2.22g/cc以上、特に2.25g/cc以上であれば更に好ましい。また広角X線解析による(002)面の面間隔d002は3.37以下が好ましく、3.36以下であれば更に好ましい。C軸方向の結晶子の大きさを示すLcは500Å以上が好ましく、900Å以上であれば更に好ましい。BET法の比表面積は18m2/g以下が好ましく、15m2/g以下、特に10m2/g以下であれば更に好ましい。またメジアン径は3μm以上であるのが好ましく、5μm以上、特に7μm以上であれば更に好ましい。その上限は50μm以下であるのが好ましく、40μm以下、特に35μm以下であれば更に好ましい。粒径が小さすぎると比表面積が大きくなりすぎて好ましくない。逆に粒径が大きすぎると負極の作成に際し負極表面に凹凸が生じやすい。更に炭素粉末のタップ密度は0.5g/cc以上であるのが好ましく、0.7g/cc以上、特に0.8g/cc以上であれば更に好ましい。タップ密度の小さい炭素粉末を用いて作成した負極材料はタップ密度が低く、このような負極材料は、結着樹脂と一緒にスラリー化したときに、高粘度のスラリーとなり集電体に均一に塗布するのが困難となることがある。
また、所望ならば炭素粉末として非晶質炭素を用いることもできる。例えばフェノール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロースなどの焼成物、コールタール、コルタールピッチ、石油ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズ小球などの縮合多環炭化水素化合物の焼成物、ピッチコークス、石炭ニードルコークス、石油ニードルコークス、石炭コークス、石油コークスなどやこれらの焼成物などが用いられる。焼成は800〜2500℃で行えばよいが、900〜2000℃、特に1000〜1500℃で行うのが好ましい。またメタン、エタン、ベンゼンなどの炭化水素を400〜1500℃で気相熱分解して得られる気相熱分解炭素を用いることもできる。非晶質炭素としては、真密度が1.5〜2.2g/cc、d002が3.37〜3.75Å、Lcが10〜500Å、炭素と水素との原子比(H/C)が0.1〜1のものを用いるのが好ましい。
【0016】
本発明に係る負極材料は、この炭素粉末上に5〜50℃の水に対する溶解度が0.01g以下(本明細書において溶解度とは溶媒100gに対する溶質の溶解量である)であり、かつ−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下である有機被覆層を形成したものである。有機被覆層は5〜50℃の水及び−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が共に0.007g以下であるのが好ましく、0.005g以下であれば更に好ましい。
【0017】
この有機被覆層はいくつかの方法により形成することができる。その代表的な方法の一つは、5〜50℃の水及び−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が上記の規定を満足し、かつ70℃の水に対する溶解度が0.5g以上の有機化合物の水性溶液と炭素粉末とを接触させて、炭素粉末上に有機化合物の被覆層を形成する方法である。有機化合物の水性溶液は濃度の高い方が好ましいので、有機化合物としては70℃の水に対する溶解度が0.7g以上、特に1.0g以上であるものを用いるのが好ましい。この方法によれば、有機化合物の水性溶液に炭素粉末を投入して撹拌し、次いで濾過、乾燥するだけで本発明に係る負極材料を製造することができる。このような有機化合物は一般に高分子化合物であり、例えば次のようなものが挙げられる。
【0018】
・ケン化度98%以上で重合度600以上のポリビニルアルコール。
ケン化度の低いポリビニルアルコールは一般に50℃以下の水に対する溶解度が大きく、例えばケン化度88%程度のものは25℃の水に対する溶解度が1g以上となる。またポリビニルアルコールの重合度が600よりも低下すると、一般に水に対する溶解度が大きくなる。また重合度の小さいポリビニルアルコールで形成された被覆は強度が弱く、充放電に際し被覆が破壊されることがある。ポリビニルアルコールの重合度は700以上、更には800以上であるのが好ましい。
【0019】
・アミロペクチンを60〜90重量%含有し、かつ置換度が0.01以下である澱粉。
澱粉は、周知のように、直鎖状分子であるアミロース(重合度300〜2000)と、分岐鎖状分子であるアミロペクチン(重合度数千〜数万)からなっている。澱粉を水に加えて加熱すると先ずアミロースが切断されて溶解し、次いでアミロペクチンの枝部分が切断されて溶解するようになる。そしてアミロペクチンが60〜90重量%、好ましくは70〜80重量%のものは、70℃以上の水に対しては比較的よく溶解するが、50℃以下の水に対しては殆ど溶解しない。なお、澱粉を構成するグルコースの水酸基にエステル結合やエーテル結合で官能基を結合させたものは水溶性が大きいので、澱粉としては無置換のもの、ないしは置換度が0.01以下、すなわちグルコース当たりの付加官能基数が0.01以下のものが好ましい。
【0020】
・分子構造中にアンヒドロガラクトース構造を10重量%以上含有する多糖類。
多糖類のなかでもアンヒドロガラクトース構造を10重量%以上含有しているグアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナンなどは、高温の水には比較的よく溶けるが低温の水には殆ど溶解しないので、炭素粉末の被覆に用いることができる。多糖類でもプルラン、キサンタンガムなどはガラクトース構造を含有しておらず、低温の水にも溶解しやすいので、単独では炭素粉末の被覆に用いるには不適当である。
【0021】
これらの有機高分子化合物は、一般に高温で水性溶液としたものを室温に放置しても、溶解状態を維持して相当期間析出しないので、被覆操作上も好ましい。特に好ましいのは、70℃の水100gに0.5g溶解した溶液を5〜50℃に冷却したときの析出量が0.01g以下の有機高分子化合物である。
これらの有機高分子化合物で炭素粉末を被覆するには、これらの有機高分子化合物を高温の水に溶解させた溶液に炭素粉末を投入し、スラリー化して両者をよく接触させたのち水を蒸発除去すればよい。高濃度溶液の場合には濾過して乾燥してもよい。例えば炭素粉末を溶液に投入してスラリー化したものを、噴霧乾燥することにより、炭素粉末を有機高分子化合物で被覆することができる。また直径1〜3mmのセラミック球を熱風により流動させておき、これにスラリーを供給して乾燥するスラリードライヤーを用いて、炭素粉末を有機高分子化合物で被覆することもできる。
【0022】
有機被覆層を形成するもう一つの代表的な方法は、水溶性の有機高分子化合物の水性溶液と炭素粉末とを接触させて炭素粉末上に有機高分子化合物の被覆層を形成し、次いでこれに架橋剤を反応させて被覆層を架橋する方法である。有機高分子化合物としては常温における溶解度が0.5g以上のものを用いるのが好ましく、溶解度が0.7g以上、特に1.0g以上であれば更に好ましい。
【0023】
例えばケン化度88%以上、重合度300以上で、水に対する溶解度が上記の規定を満足するポリビニルアルコールの水溶液に炭素粉末を投入し、撹拌して炭素粉末上にポリビニルアルコールの被覆層を形成し、次いでこれに架橋剤を反応させてポリビニルアルコールを架橋させ、溶媒に対する溶解度を低下させることにより、本発明に係る有機被覆層を有する負極材料、すなわち5〜50℃の水に対する溶解度及び−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する被覆層の溶解度が、いずれも0.01g以下、好ましくは0.007g以下、特に0.005g以下の負極材料とすることができる。架橋剤としては、有機高分子化合物の官能基と反応し得るものであればよく、ポリビニルアルコールであればグリオキザールやグルタルアルデヒドなどのアルデヒド類、N−メチロール尿素、N−メチロールメラミンなどのメチロール化合物、エピクロロヒドリンなどのエポキシ化合物、ジイソシアネート化合物などを用いることができる。架橋度はポリビニルアルコールの種類にもよるが、一般に0.5〜20%で十分である。
【0024】
また、本発明に係る負極材料の有機被覆層には、所望により熱処理を施してもよい。熱処理は、炭素粉末上に有機被覆層を形成したのち、これを不活性ガス雰囲気中で150〜500℃に加熱することにより行われる。これにより充放電時のガス発生や過電位が抑制されるなどの効果が奏される。これは熱処理により有機被覆層に分解が起こり、水素官能基が減少するためと考えられる。熱処理の効果を十分に発揮させるには熱処理は200℃以上、特に250℃以上で行うのが好ましい。しかし高温では細心の注意を払わないと、ややもすると有機被覆層が必要以上に分解して有機被覆層を設けた効果が低下するので、熱処理は450℃以下特に400℃以下で行うのが好ましい。熱処理に要する時間は、温度にもよるが、数分ないし数時間で十分である。なお、本発明に係る負極材料の有機被覆層は、熱分解し易い成分の含有量が少ないものであることが好ましい。具体的には負極材料を0.1mmHg以下の圧力下で100℃に1時間保持して吸着している水分などを十分に除去したのち、10℃/分の昇温速度で100℃から280℃まで加熱したときの重量減少率が0.01重量%以下であることが好ましいが、上記の熱処理を行うと容易にこの条件を満足する有機被覆層とすることができる。
【0025】
本発明に係る負極材料は、炭素粉末に対する有機被覆層の比率が0.1重量%以上であるのが好ましい。この割合が0.2重量%以上、特に0.3重量%以上であれば更に好ましい。有機被覆層の占める割合が小さすぎると、炭素粉末の表面を十分に覆うことができず、この負極材料を用いた二次電池は不可逆容量が大きく、サイクル維持率も悪くなり易い。また、有機被覆層の占める割合が大きくなりすぎると、負極材料の電池容量が低下することに加えて、リチウムイオンの負極材料への出入が妨げられ、サイクル維持率が低下するようになる。従って被覆の占める割合は6重量%以下であるのが好ましく、5重量%以下、特に4重量%以下であれば更に好ましい。なお、本明細書において被覆の占める割合は表面に被覆の形成された炭素粉末をTG/DTAにかけ、被覆を焼成して除去することにより算出される値である。
【0026】
本発明に係る負極材料のメジアン径やタップ密度は、実質的に原料の炭素粉末と同等であればよい。BET法による比表面積は7m2/g以下が好ましく、5m2/g以下、特に4m2/g以下であれば更に好ましい。比表面積の大きい負極材料は電池の不可逆容量を大きくし、かつ電池の安全性を低下させる傾向がある。
【0027】
本発明に係る負極材料を用いて負極を作製するには、負極材料に結着樹脂を配合したものを水性媒体でスラリーとし、好ましくはこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥すればよい。結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ましい。例えばスチレン、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチレン共重合体、スチレン・イソプレン、スチレンブロック共重合体やその水素化物等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリペンタフルオロプロピレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化高分子などを用いることができる。好ましくはこれらの水分散液を用いる。
【0028】
なかでも好ましいのはゴム状高分子や合成樹脂、特にスチレン・ブタジエンゴムやポリエチレンなどである。結着樹脂は負極材料100重量部に対して通常は0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上用いる。結着樹脂の割合が小さすぎると、負極材料相互間や負極材料と集電体との結着力が弱く、負極から負極材料が剥離して電池容量が減少したリサイクル特性が悪化したりする。逆に結着樹脂の割合が大きすぎると負極の容量が減少し、かつリチウムイオンの負極材料への出入が妨げられるなどの問題が生ずる。従って結着樹脂は負極材料100重量部に対して多くても10重量部、通常は7重量部以下となるように用いるのが好ましい。
【0029】
スラリーに添加する増粘材としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース類やポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等を用いればよい。なかでも好ましいのはカルボキシメチルセルロースである。増粘材は負極材料100重量部に対して通常は0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部となるように用いる。
【0030】
負極集電体としては従来からこの用途に用い得ることが知られている銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素などを用いればよい。集電体の形状は通常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたものや、ネット、パンチングメタルなどを用いるものも好ましい。なお、集電体に負極材料と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥したのちは、加圧して集電体上に形成された負極層の密度を大きくし、もって負極層単位体積当たりの電池容量を大きくするのが好ましい。負極層の密度は0.5g/cm3以上であるべきであり、0.7g/cm3以上であるのが好ましい。しかし負極層をあまりに緻密にするとリチウムイオンの負極材料への出入が妨げられるので、その上限は1.9g/cm3以下、特に1.8g/cm3以下であるのが好ましい。
【0031】
なお、本発明に係る負極材料は、常法により結着樹脂を溶解する有機溶媒を用いてスラリー化して集電体に塗布することもできるが、有機溶媒の使用は人体に対する毒性や環境汚染などに対する配慮が必要なので、上記のように水でスラリー化して塗布するのが好ましい。これに加えて結着樹脂を溶解する有機溶媒を用いると、結着樹脂は有機溶媒に溶解して炭素材料の表面全体に行きわたるので、負極材料表面の凹部など負極材料相互の結着に不必要な部分にまで結着樹脂が付着する。しかし水でスラリー化すると、スラリー中で結着樹脂は水に溶解しないで微細な樹脂粒子として存在しているので、その大部分は負極材料相互間に分布し、負極材料相互の結着に寄与する。従って少量の結着樹脂で所望の結着強度を発現させることができ、かつ負極材料表面を覆っている結着樹脂によりリチウムイオンの出入が妨げられることもない。
【0032】
本発明に係る非水電解液二次電池は、上記の負極を用いる以外は、常法に従って作成することができる。正極材料としては基本組成がLiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2やLiMn2O4で表されるリチウムマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等の遷移金属酸化物、さらにはTiS2、FeS2、Nb3S4、Mo3S4、CoS2、V2O5、CrO3、V3O3、FeO2、GeO2などを用いればよい。これらの正極材料に結着樹脂を配合したものを適当な溶媒でスラリー化して集電体に塗布・乾燥することにより正極を作製できる。なおスラリー中にはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の導電材を含有させるのが好ましい。また所望により増粘材を含有させてもよい。増粘材や結着樹脂としてはこの用途に周知のもの、例えば負極の作成に用いるものとして例示したものを用いればよい。正極材料100重量部に対する配合比率は、導電剤は0.5〜20重量部、特に1〜15重量部が好ましく、増粘材は 0.2〜10重量部、特に0.5〜7重量部が好ましく、結着樹脂は水でスラリー化するときは0.2〜10重量部、特に0.5〜7重量部が好ましく、N−メチルピロリドンなどの結着樹脂を溶解する有機溶媒でスラリー化するときには0.5〜20重量部、特に1〜15重量部が好ましい。正極集電体としては、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタルなどやこれらの合金を用いればよい。なかでもアルミニウム、チタン、タンタルやその合金を用いるのが好ましく、アルミニウムないしはその合金を用いるのが最も好ましい。
【0033】
電解液も従来周知の非水溶媒に種々のリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテルなどを用いればよい。通常はこれらをいくつか併用する。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネート、又はこれに更に他の溶媒を併用するのが好ましい。
【0034】
非水溶媒に溶解させる電解質としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3などを用いればよい。電解液中の電解質の濃度は通常は0.5〜2モル/リットル、好ましくは0.6〜1.5モル/リットルである。
正極と負極との間に介在させるセパレータには、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔性シートや不織布を用いるのが好ましい。
【0035】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書における粒径、タップ密度、BET法比表面積、真密度、X線回折、有機高分子化合物の溶解度、炭素粉末の被覆率、水からの析出量などの測定は下記により行った。
【0036】
粒径;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの2(容量)%水溶液約1mlに、炭素粉末約20mgを加え、これをイオン交換水約200mlに分散させたものを、レーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 LA−920)を用いて体積基準粒度分布を測定し、メジアン径を求めた。測定条件は超音波分散1分間、超音波強度2、循環速度2、相対屈折率1.50である。
【0037】
タップ密度;粉体密度測定器タップデンサーKYT−3000((株)セイシン企業社製)を用いて測定した。目開き300μmの篩から20ccのタップセルに炭素粉末を落下させ、セルに満杯に充填したのち、ストローク長10mmのタップを1000回行って、そのときの密度をタップ密度とした。
BET法比表面積;大倉理研社製 AMS−8000を用いて測定した。250℃で予備乾燥し、更に30分間窒素ガスを流したのち、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定した。
【0038】
真密度;ピクノメーターを用い、媒体として界面活性剤の0.1%水溶液を用いて測定した。
X線回折;炭素粉末に約15%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定し、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求めた。
【0039】
有機化合物の5〜50℃の水への溶解度;室温の純水1000gに有機化合物0.05gを添加し、スリーワンモーターで撹拌しながら5℃まで冷却したのち50℃まで加熱した。5℃から50℃に加熱する過程で連続して有機化合物が目視で確認できていれば溶解度を0.005g以下とした。また同様にして有機化合物0.11gを添加した場合において、5〜50℃の範囲で有機化合物が目視で認められなくなったものを溶解度0.01gを越えるとした。
【0040】
有機化合物の70℃の水への溶解度;室温の純水1000gに有機化合物5gを添加し、スリーワンモーターで撹拌しながら70℃まで加熱し、70℃で15分間保持した。15分後に有機化合物が目視で確認できなくなっているものを溶解度0.5g以上とした。
有機化合物の−10〜60℃のエチルメチルカーボネートへの溶解度;上記の水への溶解度の測定法に準じて測定
5〜50℃での水からの有機化合物の析出量;室温の純水1000gに有機化合物5gを添加し、スリーワンモーターで撹拌しながら70℃以上に加熱して有機化合物が溶解したことを目視で確認した。次いで撹拌しながら5℃まで冷却し、50〜5℃の範囲で有機化合物の析出の有無を目視で確認する。析出が認められたものは5℃で減圧濾過し、濾紙上の有機化合物を110℃で5時間乾燥したのち秤量して析出量を算出する。
【0041】
炭素材料の被覆率;負極材料をTGにかけ、炭素粉末上の被覆を焼失させて測定した。白金製パンに負極材料約3.6mgを入れ、TG/DTAサーモプラス8120(リガク社製品)に装着する、空気を200ml/分で流しながら10℃/分の昇温速度で室温から950℃まで昇温する。1秒毎にデータを取得し、炭素粉末の焼失減量が起こらない450℃までの重量減少を被覆とし、次式で被覆率を算出する。
【0042】
被覆率=(重量減/負極材料の重量)×100(%)
実施例1
表1の炭素粉末及び表2の有機高分子化合物を用いて負極材料を作成した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
なお、いずれの有機高分子化合物も70℃の水への溶解度は1g以上であり、−10〜60℃のエチルメチルカーボネートへの溶解度は0.005g以下であった。また70℃で水100gに1g溶解した溶液を5〜50℃に冷却しても析出は起こらなかった。
【0045】
例1〜15
純水に有機高分子化合物を加え、加熱して溶解させたのち室温に放冷した。有機高分子化合物の析出は認められなかった。この水溶液にwet366(界面活性剤、サンノプコ社製品)を溶解したのち、炭素粉末100重量部を投入して15分間撹拌してスラリーとしたのち、下記のA又はBの方法により乾燥した。乾燥品はコロプレックスを用いて粉砕し、負極材料No.1〜No.15とした。
【0046】
乾燥方法A:スラリーをステンレス製パッドに移し、空気循環式乾燥機で70℃で10時間、更に110℃で5時間乾燥させた。このとき乾燥品の上部にフィルム状に析出した有機高分子化合物は除去した。
乾燥方法B:スラリーをディスク型スプレードライヤー(大川原化工機社製品)を用いて、ディスク回転数24000rpm、入口空気温度200℃で乾燥した。操作条件を表3に、結果を表4に示す。
【0047】
【表3】
例16
水200重量部にポリビニルアルコールB2.5重量部を加え、50℃に加熱して溶解させたのち室温まで放冷した。これに界面活性剤wet366 0.3重量部を溶解したのち、炭素粉末A100重量部を加え15分間撹拌してスラリーとした。これに架橋剤としてグリオキザール0.1重量部を加え、10分間撹拌したのち前記の乾燥方式Aにより乾燥したのちコロプレックスを用いて回転数4000rpmで粉砕し、負極材料No.16とした。結果を表4に示す。
【0048】
なお、形成された架橋被覆の5〜50℃の水への溶解度が0.005g以下であることはモデル実験により確認した。すなわち水200重量部にこのポリビニルアルコール2.5重量部を加え、50℃に加熱したのち室温まで冷却した。これにグリオキザール0.1重量部を加えて10分間撹拌したのち前記の乾燥方式Aにより乾燥した。得られた架橋ポリビニルアルコールを粉砕し、その0.05gを室温の純水1000gに加え、スリーワンモーターで撹拌しながら5℃まで冷却したのち50℃まで加熱した。この間、目視により架橋ポリビニルアルコールの溶解は認められなかった。
【0049】
例17及び18
例1及び例7で得られた負極材料を、それぞれ窒素雰囲気下、350℃で2時間熱処理してNo.17及びNo.18の負極材料を得た。結果を表4に示す。なお、No.17及びNo.18の負極材料は、0.1mmHgの圧力下、100℃で1時間保持したのち、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で100℃から280℃まで加熱したときの重量減少率は、いずれも0.01重量%以下であった。
【0050】
【表4】
負極材料の性能評価
初期電池特性の評価;
負極材料100重量部に、スチレンブタジエンゴムの50%水分散液2重量部、及びカルボキシメチルセルロースの1%水溶液100重量部を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で塗布した。110℃で乾燥したのちロールプレスにより、負極層の厚さが65μm、密度が1.63g/ccとなるように圧密化した。これを直径12.5mmの円盤状に打抜き、190℃で減圧乾燥して負極とした。
【0051】
この負極とリチウム金属とを電解液を含浸させたセパレーターを介して重ねて、充放電試験用の半電池を作製した。電解液としてはエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの3:7(重量比)混合液に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶解させたものを用いた。
この半電池に0.2mAの電流で0.01V(Li/Li+)まで充電(=負極へのリチウムイオンのインターカレーション)を行い、さらにこの電圧で負極層1g当りの電流量が350mAhrとなるまで充電した。次いで0.4mAの電流で1.5Vまで放電し、充電量と放電量の差を不可逆容量とした。引続いて0.2mAの電流で0.005Vまで充電し、更に0.005Vで電流が0.02mAとなるまで充電したのち、0.4mAの電流で1.5Vまで放電することを2回行った。この2回目の放電量を放電容量とした。結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】
サイクル特性の評価;
負極材料100重量部に、ポリエチレンの50%水分散液2重量部、及びカルボキシメチルセルロースの1%水溶液140重量部を加えて混練し、スラリーとした。銅箔上にこのスラリーをドクターブレード法で塗布した。110℃で乾燥したのちロールプレスにより負極層の密度が1.63g/ccとなるように圧密化した。これから長さ42mm、幅32mの試験片を切り出し、140℃で乾燥して負極とした。
【0054】
LiCoO2100重量部にポリ四フッ化エチレンの50%水分散液10重量部、カルボキシメチルセルロースの1%水分散液40重量部、及びカーボンブラック3重量部を加えて混練し、スラリーとした。アルミニウム箔の両面にこのスラリーをドクターブレード法で塗布した。110℃で乾燥し、更に正極層の密度が3.5g/ccとなるようにロールプレスで圧密化した。これから長さ40mm、幅30mmの試験片を切り出し、140℃で乾燥して正極とした。
正極の両面に電解液を含浸させたセパレーターを介して負極を重ねて、サイクル試験用の電池とした、電解液としてはエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの3:7(重量比)の混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解させたものを用いた。
【0055】
この電池に、先ず0.2Cで4.2Vまで充電し、さらに4.2Vで4mAとなるまで充電したのち、0.2Cで3.0Vまで放電する予備充放電を行った。次いで0.7Cで4.2Vまで充電し、さらに4.2Vで4mAとなるまで充電したのち、1Cで3.0Vまで放電するサイクル充放電を201回行った。1回目の放電容量に対する201回目の放電容量の比をサイクル維持率とした。結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
Claims (15)
- 炭素粉末上に下記の(イ)及び(ロ)の規定を満足する有機被覆層を有することを特徴とする、非水電解液二次電池用負極材料。
(イ)5〜50℃の水に対する溶解度が0.01g以下
(ロ)−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下 - 有機被覆層が下記(ハ)の規定をも満足するものであることを特徴とする、請求項1記載の非水電解液二次電池用負極材料。
(ハ)70℃の水に対する溶解度が0.5g以上 - 有機被覆層が架橋された有機高分子化合物からなることを特徴とする、請求項1記載の非水電解液二次電池用負極材料。
- 有機被覆層が下記の群より選ばれたいずれかの高分子化合物で構成されていることを特徴とする、請求項1記載の非水電解液二次電池用負極材料。
・ケン化度98%以上で、重合度が600以上のポリビニルアルコール。
・アミロペクチンを60〜90重量%含有し、かつ置換度が0.01以下の澱粉。
・アンヒドロガラクトース構造を10重量%以上含有する多糖類。 - 有機被覆層がケン化度88%以上で重合度が300以上のポリビニルアルコールを架橋剤で架橋したものであることを特徴とする、請求項1記載の非水電解液二次電池用負極材料。
- 有機被覆層が被覆層形成後に加熱処理により熱変成されたものであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極材料。
- 炭素粉末に対する有機被覆層の比率が0.1〜6重量%であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極材料。
- 0.1mmHg以下の圧力下で100℃に1時間保持したのち、窒素雰囲気中で10℃/分の昇温速度で100℃から280℃まで加熱したときの重量減少率が0.01重量%以下であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極材料。
- 5〜50℃の水に対する溶解度が0.01g以下、70℃の水に対する溶解度が0.5g以上、かつ−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下の有機化合物の水性溶液と炭素粉末とを接触させて、炭素粉末上に有機化合物よりなる被覆層を形成することを特徴とする、5〜50℃の水に対する溶解度が0.01g以下であり、かつ−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下の有機被覆層を有する非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
- 官能基を有する有機高分子化合物の水性溶液と炭素粉末とを接触させて炭素粉末上に有機高分子化合物よりなる被覆層を形成し、これに架橋剤を反応させて被覆層を架橋させることを特徴とする、5〜50℃の水に対する溶解度が0.01g以下であり、かつ−10〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下の有機被覆層を有する非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
- 被覆層の形成後に150〜500℃で熱処理を施すことを特徴とする請求項9又は10記載の非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極材料、結着樹脂及び水性媒体からなるスラリーを集電体に塗布したのち乾燥することを特徴とする非水電解液二次電池用負極材料の製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極材料と結着樹脂とが水性媒体に懸濁しているスラリーを集電体に塗布したのち乾燥することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極材料及び結着樹脂を含有する負極層を集電体上に有する非水電解液二次電池用負極。
- 請求項14の負極、リチウムイオンを吸蔵放出できる正極及び非水電解液からなる非水電解液二次電池。
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