JP2004310965A - ディスクドライブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ピックアップで発生する熱を光ピックアップ本体より遙かに大きな熱容量を有する部材に伝導して速やかにしかも大容量の熱の放熱を可能にすることを課題とする。
【解決手段】回転するディスク状記録媒体40の半径方向に移動可能にメカシャーシ50に支持された移動ベース81に光源である半導体レーザー82と対物レンズ83と光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップ80を備え、かつ、上記メカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材60を備え、上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シート、例えば、グラファイトシート110によって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続した。
【選択図】 図3
【解決手段】回転するディスク状記録媒体40の半径方向に移動可能にメカシャーシ50に支持された移動ベース81に光源である半導体レーザー82と対物レンズ83と光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップ80を備え、かつ、上記メカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材60を備え、上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シート、例えば、グラファイトシート110によって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なディスクドライブ装置である。詳しくは、ディスク状記録媒体に対する信号の書き込み及び/又は読取を行う光ピックアップに発生する熱を効果的に放熱する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクドライブ装置、特に、CD−R(Compact Disc Recordable)やCD−RW(Compact Disc Rewritable)をはじめとするデータ記録機能を搭載した光ディスクドライブ装置において、これに搭載される光ピックアップは、近年の記録速度の高速化に伴う半導体レーザーの高出力化によって大きな発熱を伴う。さらに、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc)に使用される青紫レーザダイオードは、赤外レーザーダイオード、赤色レーザーダイオードに比べ大きな発熱を伴う。そして、レーザーダイオードは、その特性上温度が高くなれば、発振波長が安定せず、光ピックアップの記録性能及び再生性能に悪影響を及ぼし、また、寿命も著しく短くなってしまう。
【0003】
また、記録速度の高速化に伴いレーザーダイオード等の半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路の負荷も大きくなり、該レーザー駆動用集積回路の発熱も増加傾向にある。
【0004】
さらに、光ピックアップの小型化の要求により、光ピックアップの放熱対策の採用がさらに困難になっている。
【0005】
光ピックアップにおける従来の放熱対策としては、半導体レーザー及びレーザー駆動用集積回路の熱を、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属製の光ピックアップ本体に逃がして放熱するのが一般的であった。
【0006】
しかしながら、光ピックアップ本体の熱容量には限りがあり、また、半導体レーザーは他の部品や光学系との間の位置決めが必要であるため、位置決め後に接着剤によって光ピックアップ本体に固定される場合がほとんどであり、接着剤の介在によって半導体レーザーと光ピックアップ本体との間の熱結合が十分ではなく、半導体レーザーの熱が十分に放熱されない。
【0007】
また、近年ではコストダウンや軽量化のために、光ピックアップ本体の樹脂化の要求もあり、光ピックアップ本体を樹脂によって形成した場合には、半導体レーザーやレーザー駆動用集積回路の熱を光ピックアップ本体に逃がして放熱することは困難になる。
【0008】
そこで、特許文献1に、光ピックアップ本体を樹脂で形成した場合、光ピックアップ本体(1)である樹脂フレーム(2)の裏面に銅製の放熱板(13)を2本の金属製ビス(41)、(42)によって固定し、半導体レーザー(3)から発生した熱を放熱板(13)の接触部分(14)を介して放熱板(13)に伝導し、放熱板(13)及びビス(41)、(42)を介して外部に放出することが示されている。
【0009】
また、特許文献1には、光ピックアップ(1)の移動方向を案内する主ガイド軸(11)及び副ガイド軸(12)の一方あるいは双方に接触可能なガイド軸接触部分(具体的には図示されていない)を放熱板(13)に形成し、該ガイド軸接触部分を上記ガイド軸(11)及び/又は(12)に接触させて、これらガイド軸(11)及び/又は(12)を放熱部分として利用することができる旨(特許文献第6欄段落(0034)参照)が示されている。
【0010】
さらに、特許文献1には、フレキシブルプリント配線基板(9)におけるCD用半導体レーザー(4)の端子ピン(41)〜(43)に接続されている配線パターンを必要以上の断面積あるいは表面積としてあるので、これらの配線パターンが放熱部分として機能する、と示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−14712号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示されるように、樹脂製フレームに放熱板を固定したものでは、元々光ピックアップ本体の熱容量が小さいのに、光ピックアップ本体のほとんどを樹脂製フレームとし、該樹脂製フレームに放熱板を支持させたのでは、放熱板に熱伝導性の良いものを使用しても、放熱板自体の大きさが限られてしまうので、十分な放熱効果は期待することができない。
【0013】
また、ガイド軸を介して放熱する方法であるが、光ピックアップはガイド軸に案内されて移動するものである。ガイド軸と該ガイド軸に対して移動する光ピックアップとの間で接触により熱結合させる場合、両者は摺動関係にあるため、両者の間の熱抵抗を小さくして結合するにはよほどの工夫が必要であり、構造が複雑になったり、高価な材料の使用が必要になる等の困難が予想される。特許文献1においても、「ガイド軸を介して放熱することが考えられる」と、希望的な案が示されているのみで、両者の間の熱結合のための具体的構成は示されていない。仮に、ガイド軸との間の熱結合を良好に得ることができたとしても、ガイド軸自体の熱容量はさほど大きくはないので、今日の、記録速度が高速化された光ピックアップに発生する熱を効果的に放熱することができるかは疑問の残るところである。
【0014】
さらに、特許文献1には、フレキシブル配線基板を介して放熱する案が示されているが、フレキシブル配線基板は基本的には配線パターン同士あるいは配線パターンと外部のものとの間の短絡を防止するためにベースフィルムとカバーフィルムとの間で配線パターンがサンドイッチされた構造を採るので、外気と配線パターンとの間に熱伝導率の低い絶縁フィルムが介在することになり、大きな放熱効果は得られない。
【0015】
また、配線パターンを必要以上の断面積あるいは表面積とすることで放熱効果は改善されるが、小型化の妨げになりうる。
【0016】
そこで、本発明は、光ピックアップで発生する熱を光ピックアップ本体より遙かに大きな熱容量を有する部材に伝導して速やかにしかも大容量の熱の放熱を可能にすることを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明ディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、光ピックアップを移動自在に支持している金属製のメカシャーシに対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップと金属製メカシャーシとの間を熱的に接続したものである。
【0018】
従って、本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製メカシャーシに速やかに伝導される。
【0019】
別の本発明ディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、光ピックアップを移動自在に支持しているメカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材を備え、上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続したものである。
【0020】
従って、別の本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製のベース部材に速やかに伝導される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明ディスクドライブ装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0022】
なお、本発明ディスクドライブ装置は、ディスク状記録媒体にレーザーを使用して情報の書き込み及び/又は読取を行う装置、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、CD−RW(Compact Disc Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)、DVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random Access Memory)、Blu−ray Disc、MO(Magneto Optical Disc)等のディスク状記録媒体にレーザーを使用して情報の書き込み及び/又は読取を行う装置、すなわち、情報の書き込みのみを行う装置、情報の読取のみを行う装置及び情報の書き込みと読取の双方を行う装置を含む。
【0023】
図1及び図2はディスクドライブ装置10の外観を示すものである。ディスクドライブ装置10はほぼ箱形をした外筐20を備え、該外筐20内に所要の各部材及び部品が配置されて成る。
【0024】
外筐20の前面部21に横長の開口22が形成され、また、上記前面部21には各種の操作ボタン23、23、・・・が配置されている。
【0025】
外筐20の上記開口22を介してディスクトレー30が外筐20内に対して出し入れされるようになっている。図1がディスクトレー30が外筐20内に引き込まれた状態を示し、図2がディスクトレー30が外筐20から引き出された状態を示す。ディスクトレー30はほぼ平たい角皿状をしており、中心部に挿脱口31が形成され、該挿脱口31を囲むように円形の浅い載置凹部32が形成されている。また、挿脱口31から一方の端部にかけて切欠33が形成されている。
【0026】
図2に示すように、ディスクトレー30が外筐20外に引き出されている状態で、ディスクトレー30に対するディスク状記録媒体40の供給と取り出しが行われる。ディスク状記録媒体40の供給を為す場合には、ディスク状記録媒体40をディスクトレー30の載置凹部32内に載置する。このようにディスク状記録媒体40をディスクトレー30に供給すると、ディスク状記録媒体40の中心に形成されている中心孔41がディスクトレー30の挿脱口31と上下で対応した関係になる。
【0027】
ディスクトレー30が図2に示す引出位置から外筐20内に引き込まれると、機構の詳細は省略するが、ディスクトレー30は僅かに下方へ沈み込む。このディスクトレー30の沈み込みによって、ディスクトレー30に供給されているディスク状記録媒体40が後述するディスク回転機構に装着され、且つ、光ピックアップの対物レンズがディスクトレー30の切欠33を介してディスク状記録媒体40の記録面に僅かな間隔をおいて対向される。なお、ディスクトレー30の引込み位置での下方への沈み込みを無くし、その替わりに、ディスクトレー30が外筐20内に引き込まれたときに、ディスク回転機構及び光ピックアップの方が僅かに上昇してディスク状記録媒体40を装着するようにしても良い。何れにしても、ディスク回転機構にディスク状記録媒体40が装着されるときには、ディスクトレー30の挿脱口31を介してディスク回転機構がディスクトレー30の載置凹部32内に相対的に突出され、これによって、ディスク回転機構に装着されたディスク状記録媒体40はディスクトレー30の載置凹部32から僅かに浮き上がった状態となる。
【0028】
図3は内部構造の概要を主としてディスクトレー30を除いて示すものである。
【0029】
メカシャーシ50がベース部材60に合成ゴム、天然ゴム等のゴム状弾性を有するゴム弾性体で形成されたインシュレータ61、61、・・・を介して支持されている。上記メカシャーシ50及びベース部材60は熱伝導性の良好な材料、例えば、アルミニウム、マグネシウム合金、ステンレス鋼等で形成されている。なお、ここに上げた材料は、何れも例示であり、これ以外の材料であっても熱伝導性が良好で、且つ、所定の剛性を有するものであれば使用可能である。また、ベース部材60はメカシャーシ50を支持するためのベース部分となるものであり、例えば、上記した外筐20の底板であったり、或いは、外筐20の内側に固定された外筐20とは別の部材である。
【0030】
メカシャーシ50には前後方向に長い矩形をした大きな開口51が形成されており、該開口51の長手方向における一端部に隣接してディスク回転機構70が支持されている。ディスク回転機構70はメカシャーシ50の上面に支持されたスピンドルモータ71と該スピンドルモータ71の回転軸71aの上端に固定されたディスクテーブル72とから成る。
【0031】
メカシャーシ50には、開口51を長手方向に、すなわち、前後方向に横切るように2本のガイド軸52(主ガイド軸)、53(副ガイド軸)が互いに平行を為すように支持されている。
【0032】
上記ガイド軸52、53に案内されてディスク回転機構70に離接する方向に移動するように光ピックアップ80が設けられている。光ピックアップ80はガイド軸52、53に摺動自在に支持された移動ベース81を有し、該移動ベース81に所要の部材及び部品が支持されて光ピックアップ80が形成される。移動ベース81は2つのガイド軸52、53の配列方向における両端部に摺動部81a、81bを有し、一方の摺動部81aが形成された側の端面にはラック81cが形成されている。そして、摺動部81aが主ガイド軸52に摺動自在に支持され、また、摺動部81bが副ガイド軸53に摺動自在に支持される。これによって、移動ベース81がガイド軸52、53に摺動自在に支持される。
【0033】
移動ベース81には光ピックアップ80の構成に不可欠の部材や部品、例えば、光源として、レーザーダイオード等の半導体レーザー82、半導体レーザー82からのレーザーをディスク状記録媒体40の記録面にスポット照射し、且つ、ディスク状記録媒体40の記録面で反射された戻り光を受光する対物レンズ83、上記戻り光を受光する図示しない光検出器、半導体レーザー82からのレーザーを対物レンズ83へ導き、且つ、対物レンズ83が受光した上記戻り光を光検出器まで導く図示しな光学系等を備えている。なお、これらの光ピックアップとして必要な部材や部品及びそれらの具体的配置は、半導体レーザー82を除いては、本発明においての要部ではなく、既知のものを適用して構成できるものであるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0034】
上記移動ベース81上にはプリント配線基板84が配置され、該プリント配線基板84には半導体レーザー82の駆動を行うレーザー駆動用集積回路85の他光ピックアップ80に必要な回路を構成する各種の電子部品が搭載され、また、上記半導体レーザー82がプリント配線基板84に接続されている。
【0035】
上記ベース部材60上には、ディスクドライブ装置10に必要な電子回路部分の主たる部分が構成された主回路基板90が配置されており、該主回路基板90と光ピックアップ80のプリント配線基板84との間がフレキシブルプリント回路基板91によって接続され、該フレキシブルプリント回路基板91を介して主回路基板90からプリント配線基板84へ向けて電力の供給と主回路基板90とプリント配線基板84との間の各種信号の伝達が行われる。
【0036】
上記メカシャーシ50には光ピックアップ80をディスク回転機構70に離接する方向へ移動させるスレッド機構100が配置されている。該スレッド機構100は、光ピックアップ80のラック81cと噛合したピニオン101と、直流モータ、ステッピングモータ等から成るスレッドモータ102と、ピニオン101とスレッドモータ102との間を連携しているギヤ列103とから成り、スレッドモータ102の駆動がギヤ列103を介してピニオン101に伝達され、該ピニオン101の回転によってラック81cが送られることによって、光ピックアップ80が2つのガイド軸52、53に案内されて移動される。
【0037】
上記したように、ディスク状記録媒体40が載置されたディスクトレー30が外筐20内に引込まれてわずかに下降すると、ディスク状記録媒体40がディスク回転機構70のディスクテーブル72上に載置され、これによって、ディスク状記録媒体40はディスクトレー30からわずかに浮き上がった状態となる。また、これと同時に、光ピックアップ80の対物レンズ83がディスク状記録媒体40の記録面に下方からわずかな間隔を置いて対向した状態となる。このような状態を、ディスク状記録媒体がローディングされた状態という。
【0038】
なお、上記したローディングの方法は一例であり、その他にも、例えば、ディスクトレーが引込まれてから、ディスク回転機構及び光ピックアップが上昇してローディングを完了する方法等、幾つかの方法がある。しかしながら、かかるローディングの方法や機構については本発明の主題ではないので、説明を省略する。
【0039】
上記したように、ディスク状記録媒体40のローディングが行われた状態から、スピンドルモータ71の駆動によってディスク状記録媒体40が回転され、且つ、スレッド機構100の駆動によって光ピックアップ80がディスク状記録媒体40の半径方向に、2つのガイド軸52、53に沿って移動しながら、半導体レーザー82が駆動され、ディスク状記録媒体40に対する情報の書き込み及び/又は読取が行われる。
【0040】
半導体レーザー82が駆動されることによって、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85が発熱する。そこで、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85が発生する熱を放熱するためにフレキシブルな熱伝導シート110が使用される。熱伝導シート110はフレキシブルなものである必要がある。熱伝導シート110は光ピックアップ80が相対的に移動する関係にあるベース部材60と光ピックアップ80との間を連結するものであるため、光ピックアップ80の移動に対して大きな負荷とならないものである必要がある。すなわち、熱伝導シート110は、ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従して容易に撓むことが出来る可撓性を有するもである必要がある。また、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85の熱を短時間でベース部材60に伝達するために、熱伝導性の優れたものである必要がある。上記した要求から、例えば、グラファイトシートを使用することが好適であるが、勿論、本発明で使用される熱伝導シート110がグラファイトシートに限られることを意味するものではなく、上記した条件を満たすものであれば、他の材料から成るシートを使用することが可能である。
【0041】
具体的には、1枚の熱伝導シート110の一端部である接続端部110aをベース部材60の上面に密着させ、他端部に2つの接触片110b、110cを形成して、一の接触片110bを半導体レーザー82のパッケージ82aに密着させ、さらに、他の接触片110cをレーザー駆動用集積回路85のパッケージ85aに密着させる。これによって、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85の熱は各接触片110b、110cから熱伝導シート110を接続端部110aへ向かって伝導され、最後に、ベース部材60に伝達されて、ベース部材60において放熱される。ベース部材60の熱容量は光ピックアップ80の移動ベース81に比べると(移動ベース81をベース部材60と同様の金属で形成したとして)遙かに大きいので、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85で発生する熱はベース部材60に速やかに伝導され、且つ、ベース部材60の大きな面積を有する表面から速やかに放熱される。特に、熱伝導シート110としてグラファイトシートを使用した場合は、グラファイトシートの熱伝導率が、図7に示すように、純銅の約2倍と極めて高いので、放熱が極めて速やかに為される。
【0042】
なお、上記したグラファイトシートは純銅の約2倍と極めて高い熱伝導率を示すが、その構造上、他部材への熱伝導を良好にするには確実に密着させることが必要である。グラファイトシートは結晶性に優れたポリイミドシートを不活性雰囲気で焼成して成り、6角形の鱗片状を成すグラファイト構造が規則正しく並んでいる材料であり、6角形が並ぶ方向、すなわち、厚み方向に対して垂直な層面に沿う方向では800W/m・Kと非常に高い熱伝導率を示し、厚み方向、すなわち、層間方向では熱伝導率が層面方向の1/10以下になるという特性を有する。そのため、グラファイトシートと他の部材との間で速やかに熱伝達が行われるためには、当該他の部材とグラファイトシートとの間に空気層の介在を避け、両者の密着度を極力高くすることが必要である。
【0043】
そこで、図4乃至図6に各部において熱伝導シート110と他の部材との間の密着を確実にする構造の一例を示す。
【0044】
図4は熱伝導シート110とベース部材60との接続例を示すものである。ここに示した接続例では、まず、ベース部材60の所定の箇所に熱伝導グリース120を塗布し、該熱伝導グリース120の上に熱伝導シート110のベース部材60側接続端部110aを重ね合わせ、該接続端部110aを押さえバネ130によってベース部材60側へ押しつけるように押圧する。
【0045】
熱伝導グリース120は熱伝導率が高い金属の粉末を混入させること等によって熱伝導率を高くしたグリースであり、例えば、シリコンにアルミニウム粉等の金属粉を混入したシリコングリースがある。ベース部分60と熱伝導シート110との間に熱伝導グリース120の層を介在させることにより、ベース部材60と熱伝導シート110との間の空気層を確実に排除して、熱伝導シート110からベース部材60への熱伝導を良好にすることができる。
【0046】
上記押さえバネ130は板バネ形状を成し、取付部131と押圧部132とが中間部133で連結されており、取付部131がネジ止め、溶接等適宜の手段によってベース部材60の上面に固定され、押圧部132が熱伝導シート110の接続端部110aを図4中矢印P方向に押圧し、これによって、熱伝導シート110とベース部材60との間の密着性が高められ、熱伝導シート110からベース部材60への熱伝導をさらに良好にすることができる。この押さえバネ130には、例えば、ステンレス鋼、リン青銅等の金属から成る板バネが使用されるが、所望の押圧力が得られるものであれば、樹脂を使用しても良い。
【0047】
図5は熱伝導シート110の接続片110bと半導体レーザー82のパッケージ82aとの接続例を示すものである。
【0048】
この例において、半導体レーザー82は光ピックアップ80の移動ベース81に形成された切欠部81dに嵌め込まれた状態で移動ベース81に固定され、半導体レーザー82のパッケージ82aの上面と移動ベース81の上面とがほぼ同一の面内に位置している。そこで、半導体レーザー82のパッケージ82aの上面及び移動ベース81の切欠部81dに隣接した上面に熱伝導グリース120を塗布し、該熱伝導グリース120の上に熱伝導シート110の接続片110bを重ね合わせ、さらに、接続片110bの上に押さえ板140を重ね合わせる。そして、ビス141、141を押さえ板140及び熱伝導グリース120を貫通した状態で移動ベース81に螺着し、これによって、押さえ板140によって熱伝導シート110の接続片110bを図5中矢印P方向に押圧し、これによって該接続片110bを熱伝導グリース120を介して半導体レーザー82のパッケージ82aに押しつけた状態とする。従って、半導体レーザー82のパッケージ82aと熱伝導シート110の接続片110bとの間の空気層が排除され、且つ、接続片110bがパッケージ82aに密着されるので、半導体レーザー82で発生した熱が速やかに熱伝導シート110に伝達される。なお、上記押さえ板140には、例えば、ステンレス鋼、リン青銅等の金属が使用されるが、所望の押圧力が得られるものであれば、樹脂を使用しても良い。
【0049】
図6は熱伝導シート110の接続片110cとレーザー駆動用集積回路85のパッケージ85aとの接続例を示すものである。
【0050】
この接続例において、プリント配線基板84上に搭載されたレーザー駆動用集積回路85のパッケージ85aの上面に熱伝導グリース120が塗布され、該熱伝導グリース120の上に熱伝導シート110の接続片110cが重ね合わされ、さらに、該接続片110cの上から押さえバネ150による押圧が為される。押さえバネ150は板バネ形状を成し、取付部151と押圧部152とが中間部153で連結されており、取付部151がネジ止め等適宜の手段によってプリント配線基板84の上面に固定され、押圧部152が熱伝導シート110の接続片110cを図6中矢印P方向に押圧し、これによって、熱伝導シート110の接続片110cとレーザー駆動用集積回路85のパッケージ82aとの間の密着性が高められ、レーザー駆動用集積回路85から熱伝導シート110への熱伝導を良好にすることができる。この押さえバネ150には、例えば、ステンレス鋼、リン青銅等の金属から成る板バネが使用されるが、所望の押圧力が得られるものであれば、樹脂を使用しても良い。
【0051】
なお、上記した実施の形態では、光ピックアップ80とベース部材60との間を熱伝導シート110によって熱的に接続し、光ピックアップ80において発生する熱を極めて熱容量の大きなベース部材60に伝導させる例を示したが、ベース部材60に匹敵するくらい大きな熱容量を有するメカシャーシ50に伝導させるようにしても良い。かかる場合には、図4に示した、ベースシャーシ60と熱伝導シート110との接続構造を、メカシャーシ50と熱伝導部材110との接続構造に適用することができる。
【0052】
また、上記実施の形態の説明では、光ピックアップ80が支持されるメカシャーシ50を金属製であると説明したが、上記実施の形態で示したように、ベース部材60を金属製として、該ベース部材60に熱伝導シート110を介して光ピックアップ80で発生する熱を伝導する場合には、メカシャーシ50が金属製であることは必須ではない。かかる場合には、メカシャーシ50を樹脂で形成することも可能である。さらに、メカシャーシ50に光ピックアップ80で発生した熱を熱伝導シート110を介して伝導する場合には、ベース部材60が金属製であることは必須ではない。要するに、光ピックアップ80で発生する熱を放熱する部材50又は60のどちらかが熱伝導性の良好な金属で形成されていれば足りる。
【0053】
さらに、上記した実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0054】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明ディスクドライ装置は、回転するディスク状記録媒体の半径方向に移動可能に金属製のメカシャーシに支持された移動ベースに光源と対物レンズと光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップを備えたディスクドライブ装置であって、上記金属製メカシャーシに対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップと金属製メカシャーシとの間を熱的に接続したことを特徴とする。
【0055】
従って、本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製メカシャーシに速やかに伝導される。そして、極めて大きな表面積を有する金属製メカシャーシから速やかに放熱される。
【0056】
請求項2に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートがグラファイトシートであるので、光ピックアップで生じた熱の速やかな伝導が為される。
【0057】
請求項3に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートを金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップに押しつける押しつけ部材を有するので、熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間の熱的結合が良好に為される。
【0058】
請求項4に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間に熱伝導性を有するグリースが介在されたので、フレキシブルな熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間に空気層が介在されることが確実に排除される。
【0059】
請求項5に記載した発明にあっては、光源が半導体レーザーであり、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記半導体レーザーに接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源である半導体レーザーに発生する熱の放熱が確実に為される。
【0060】
請求項6に記載した発明にあっては、光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記レーザー駆動用集積回路に接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源であるレーザー駆動用集積回路に発生する熱の放熱が確実に為される。
【0061】
請求項7に記載した発明にあっては、上記光源が半導体レーザーであると共に光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、一のフレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部が上記半導体レーザーとレーザー駆動用集積回路に接触されたので、一の熱伝導シートによって半導体レーザー及びレーザー駆動用集積回路で発生する熱の放熱が確実に為される。
【0062】
別の本発明ディスクドライブ装置は、回転するディスク状記録媒体の半径方向に移動可能にメカシャーシに支持された移動ベースに光源と対物レンズと光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップを備えたディスクドライブ装置であって、上記メカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材を備え、上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続したことを特徴とする。
【0063】
従って、別の本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製ベース部材に速やかに伝導される。そして、ベース部材の大きな面積を有する表面から速やかに放熱される。
【0064】
請求項9に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートがグラファイトシートであるので、光ピックアップで生じた熱の速やかな伝導が為される。
【0065】
請求項10に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートをベース部材及び/又は光ピックアップに押しつける押しつけ部材を有するので、熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間の熱的結合が良好に為される。
【0066】
請求項11に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間に熱伝導性を有するグリースが介在されたので、フレキシブルな熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間に空気層が介在されることが確実に排除される。
【0067】
請求項12に記載した発明にあっては、光源が半導体レーザーであり、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記半導体レーザーに接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源である半導体レーザーに発生する熱の放熱が確実に為される。
【0068】
請求項13に記載した発明にあっては、光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記レーザー駆動用集積回路に接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源であるレーザー駆動用集積回路に発生する熱の放熱が確実に為される。
【0069】
請求項14に記載した発明にあっては、上記光源が半導体レーザーであると共に光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、一のフレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部が上記半導体レーザーとレーザー駆動用集積回路に接触されたので、一の熱伝導シートによって半導体レーザー及びレーザー駆動用集積回路で発生する熱の放熱が確実に為される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図面は本発明ディスクドライブ装置の実施の形態を示すものであり、本図は概略斜視図である。
【図2】トレーが引き出された状態を示す概略斜視図である。
【図3】トレーを除去して示す要部の概略斜視図である。
【図4】ベース部材と熱伝導シートとの接続例を示す拡大断面図である。
【図5】半導体レーザーと熱伝導シートとの接続例を示す拡大断面図である。
【図6】レーザー駆動用集積回路と熱伝導シートとの接続例を示す拡大断面図である。
【図7】複数の材料の熱伝導率を比較するグラフ図である。
【符号の説明】
10…ディスクドライブ装置、40…ディスク状記録媒体、50…メカシャーシ、60…ベース部材、80…光ピックアップ、81…移動ベース、82…半導体レーザー(光源)、83…対物レンズ、110…フレキシブルな熱伝導シート、110b…接触片(光ピックアップ側の端部)、110c…接触片(光ピックアップ側の端部)、120…熱伝導グリース(熱伝導性を有するグリース)、130…押さえバネ(フレキシブルな熱伝導シートをベース部材(又はメカシャーシ)に押しつける押しつけ部材)、140…押さえ板(フレキシブルな熱伝導シートを光ピックアップ(半導体レーザー)に押しつける押しつけ部材)、150…押さえバネ(フレキシブルな熱伝導シートを光ピックアップ(レーザー駆動用集積回路)に押しつける押しつけ部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なディスクドライブ装置である。詳しくは、ディスク状記録媒体に対する信号の書き込み及び/又は読取を行う光ピックアップに発生する熱を効果的に放熱する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクドライブ装置、特に、CD−R(Compact Disc Recordable)やCD−RW(Compact Disc Rewritable)をはじめとするデータ記録機能を搭載した光ディスクドライブ装置において、これに搭載される光ピックアップは、近年の記録速度の高速化に伴う半導体レーザーの高出力化によって大きな発熱を伴う。さらに、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc)に使用される青紫レーザダイオードは、赤外レーザーダイオード、赤色レーザーダイオードに比べ大きな発熱を伴う。そして、レーザーダイオードは、その特性上温度が高くなれば、発振波長が安定せず、光ピックアップの記録性能及び再生性能に悪影響を及ぼし、また、寿命も著しく短くなってしまう。
【0003】
また、記録速度の高速化に伴いレーザーダイオード等の半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路の負荷も大きくなり、該レーザー駆動用集積回路の発熱も増加傾向にある。
【0004】
さらに、光ピックアップの小型化の要求により、光ピックアップの放熱対策の採用がさらに困難になっている。
【0005】
光ピックアップにおける従来の放熱対策としては、半導体レーザー及びレーザー駆動用集積回路の熱を、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属製の光ピックアップ本体に逃がして放熱するのが一般的であった。
【0006】
しかしながら、光ピックアップ本体の熱容量には限りがあり、また、半導体レーザーは他の部品や光学系との間の位置決めが必要であるため、位置決め後に接着剤によって光ピックアップ本体に固定される場合がほとんどであり、接着剤の介在によって半導体レーザーと光ピックアップ本体との間の熱結合が十分ではなく、半導体レーザーの熱が十分に放熱されない。
【0007】
また、近年ではコストダウンや軽量化のために、光ピックアップ本体の樹脂化の要求もあり、光ピックアップ本体を樹脂によって形成した場合には、半導体レーザーやレーザー駆動用集積回路の熱を光ピックアップ本体に逃がして放熱することは困難になる。
【0008】
そこで、特許文献1に、光ピックアップ本体を樹脂で形成した場合、光ピックアップ本体(1)である樹脂フレーム(2)の裏面に銅製の放熱板(13)を2本の金属製ビス(41)、(42)によって固定し、半導体レーザー(3)から発生した熱を放熱板(13)の接触部分(14)を介して放熱板(13)に伝導し、放熱板(13)及びビス(41)、(42)を介して外部に放出することが示されている。
【0009】
また、特許文献1には、光ピックアップ(1)の移動方向を案内する主ガイド軸(11)及び副ガイド軸(12)の一方あるいは双方に接触可能なガイド軸接触部分(具体的には図示されていない)を放熱板(13)に形成し、該ガイド軸接触部分を上記ガイド軸(11)及び/又は(12)に接触させて、これらガイド軸(11)及び/又は(12)を放熱部分として利用することができる旨(特許文献第6欄段落(0034)参照)が示されている。
【0010】
さらに、特許文献1には、フレキシブルプリント配線基板(9)におけるCD用半導体レーザー(4)の端子ピン(41)〜(43)に接続されている配線パターンを必要以上の断面積あるいは表面積としてあるので、これらの配線パターンが放熱部分として機能する、と示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−14712号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示されるように、樹脂製フレームに放熱板を固定したものでは、元々光ピックアップ本体の熱容量が小さいのに、光ピックアップ本体のほとんどを樹脂製フレームとし、該樹脂製フレームに放熱板を支持させたのでは、放熱板に熱伝導性の良いものを使用しても、放熱板自体の大きさが限られてしまうので、十分な放熱効果は期待することができない。
【0013】
また、ガイド軸を介して放熱する方法であるが、光ピックアップはガイド軸に案内されて移動するものである。ガイド軸と該ガイド軸に対して移動する光ピックアップとの間で接触により熱結合させる場合、両者は摺動関係にあるため、両者の間の熱抵抗を小さくして結合するにはよほどの工夫が必要であり、構造が複雑になったり、高価な材料の使用が必要になる等の困難が予想される。特許文献1においても、「ガイド軸を介して放熱することが考えられる」と、希望的な案が示されているのみで、両者の間の熱結合のための具体的構成は示されていない。仮に、ガイド軸との間の熱結合を良好に得ることができたとしても、ガイド軸自体の熱容量はさほど大きくはないので、今日の、記録速度が高速化された光ピックアップに発生する熱を効果的に放熱することができるかは疑問の残るところである。
【0014】
さらに、特許文献1には、フレキシブル配線基板を介して放熱する案が示されているが、フレキシブル配線基板は基本的には配線パターン同士あるいは配線パターンと外部のものとの間の短絡を防止するためにベースフィルムとカバーフィルムとの間で配線パターンがサンドイッチされた構造を採るので、外気と配線パターンとの間に熱伝導率の低い絶縁フィルムが介在することになり、大きな放熱効果は得られない。
【0015】
また、配線パターンを必要以上の断面積あるいは表面積とすることで放熱効果は改善されるが、小型化の妨げになりうる。
【0016】
そこで、本発明は、光ピックアップで発生する熱を光ピックアップ本体より遙かに大きな熱容量を有する部材に伝導して速やかにしかも大容量の熱の放熱を可能にすることを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明ディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、光ピックアップを移動自在に支持している金属製のメカシャーシに対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップと金属製メカシャーシとの間を熱的に接続したものである。
【0018】
従って、本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製メカシャーシに速やかに伝導される。
【0019】
別の本発明ディスクドライブ装置は、上記した課題を解決するために、光ピックアップを移動自在に支持しているメカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材を備え、上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続したものである。
【0020】
従って、別の本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製のベース部材に速やかに伝導される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明ディスクドライブ装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0022】
なお、本発明ディスクドライブ装置は、ディスク状記録媒体にレーザーを使用して情報の書き込み及び/又は読取を行う装置、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、CD−RW(Compact Disc Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)、DVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random Access Memory)、Blu−ray Disc、MO(Magneto Optical Disc)等のディスク状記録媒体にレーザーを使用して情報の書き込み及び/又は読取を行う装置、すなわち、情報の書き込みのみを行う装置、情報の読取のみを行う装置及び情報の書き込みと読取の双方を行う装置を含む。
【0023】
図1及び図2はディスクドライブ装置10の外観を示すものである。ディスクドライブ装置10はほぼ箱形をした外筐20を備え、該外筐20内に所要の各部材及び部品が配置されて成る。
【0024】
外筐20の前面部21に横長の開口22が形成され、また、上記前面部21には各種の操作ボタン23、23、・・・が配置されている。
【0025】
外筐20の上記開口22を介してディスクトレー30が外筐20内に対して出し入れされるようになっている。図1がディスクトレー30が外筐20内に引き込まれた状態を示し、図2がディスクトレー30が外筐20から引き出された状態を示す。ディスクトレー30はほぼ平たい角皿状をしており、中心部に挿脱口31が形成され、該挿脱口31を囲むように円形の浅い載置凹部32が形成されている。また、挿脱口31から一方の端部にかけて切欠33が形成されている。
【0026】
図2に示すように、ディスクトレー30が外筐20外に引き出されている状態で、ディスクトレー30に対するディスク状記録媒体40の供給と取り出しが行われる。ディスク状記録媒体40の供給を為す場合には、ディスク状記録媒体40をディスクトレー30の載置凹部32内に載置する。このようにディスク状記録媒体40をディスクトレー30に供給すると、ディスク状記録媒体40の中心に形成されている中心孔41がディスクトレー30の挿脱口31と上下で対応した関係になる。
【0027】
ディスクトレー30が図2に示す引出位置から外筐20内に引き込まれると、機構の詳細は省略するが、ディスクトレー30は僅かに下方へ沈み込む。このディスクトレー30の沈み込みによって、ディスクトレー30に供給されているディスク状記録媒体40が後述するディスク回転機構に装着され、且つ、光ピックアップの対物レンズがディスクトレー30の切欠33を介してディスク状記録媒体40の記録面に僅かな間隔をおいて対向される。なお、ディスクトレー30の引込み位置での下方への沈み込みを無くし、その替わりに、ディスクトレー30が外筐20内に引き込まれたときに、ディスク回転機構及び光ピックアップの方が僅かに上昇してディスク状記録媒体40を装着するようにしても良い。何れにしても、ディスク回転機構にディスク状記録媒体40が装着されるときには、ディスクトレー30の挿脱口31を介してディスク回転機構がディスクトレー30の載置凹部32内に相対的に突出され、これによって、ディスク回転機構に装着されたディスク状記録媒体40はディスクトレー30の載置凹部32から僅かに浮き上がった状態となる。
【0028】
図3は内部構造の概要を主としてディスクトレー30を除いて示すものである。
【0029】
メカシャーシ50がベース部材60に合成ゴム、天然ゴム等のゴム状弾性を有するゴム弾性体で形成されたインシュレータ61、61、・・・を介して支持されている。上記メカシャーシ50及びベース部材60は熱伝導性の良好な材料、例えば、アルミニウム、マグネシウム合金、ステンレス鋼等で形成されている。なお、ここに上げた材料は、何れも例示であり、これ以外の材料であっても熱伝導性が良好で、且つ、所定の剛性を有するものであれば使用可能である。また、ベース部材60はメカシャーシ50を支持するためのベース部分となるものであり、例えば、上記した外筐20の底板であったり、或いは、外筐20の内側に固定された外筐20とは別の部材である。
【0030】
メカシャーシ50には前後方向に長い矩形をした大きな開口51が形成されており、該開口51の長手方向における一端部に隣接してディスク回転機構70が支持されている。ディスク回転機構70はメカシャーシ50の上面に支持されたスピンドルモータ71と該スピンドルモータ71の回転軸71aの上端に固定されたディスクテーブル72とから成る。
【0031】
メカシャーシ50には、開口51を長手方向に、すなわち、前後方向に横切るように2本のガイド軸52(主ガイド軸)、53(副ガイド軸)が互いに平行を為すように支持されている。
【0032】
上記ガイド軸52、53に案内されてディスク回転機構70に離接する方向に移動するように光ピックアップ80が設けられている。光ピックアップ80はガイド軸52、53に摺動自在に支持された移動ベース81を有し、該移動ベース81に所要の部材及び部品が支持されて光ピックアップ80が形成される。移動ベース81は2つのガイド軸52、53の配列方向における両端部に摺動部81a、81bを有し、一方の摺動部81aが形成された側の端面にはラック81cが形成されている。そして、摺動部81aが主ガイド軸52に摺動自在に支持され、また、摺動部81bが副ガイド軸53に摺動自在に支持される。これによって、移動ベース81がガイド軸52、53に摺動自在に支持される。
【0033】
移動ベース81には光ピックアップ80の構成に不可欠の部材や部品、例えば、光源として、レーザーダイオード等の半導体レーザー82、半導体レーザー82からのレーザーをディスク状記録媒体40の記録面にスポット照射し、且つ、ディスク状記録媒体40の記録面で反射された戻り光を受光する対物レンズ83、上記戻り光を受光する図示しない光検出器、半導体レーザー82からのレーザーを対物レンズ83へ導き、且つ、対物レンズ83が受光した上記戻り光を光検出器まで導く図示しな光学系等を備えている。なお、これらの光ピックアップとして必要な部材や部品及びそれらの具体的配置は、半導体レーザー82を除いては、本発明においての要部ではなく、既知のものを適用して構成できるものであるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0034】
上記移動ベース81上にはプリント配線基板84が配置され、該プリント配線基板84には半導体レーザー82の駆動を行うレーザー駆動用集積回路85の他光ピックアップ80に必要な回路を構成する各種の電子部品が搭載され、また、上記半導体レーザー82がプリント配線基板84に接続されている。
【0035】
上記ベース部材60上には、ディスクドライブ装置10に必要な電子回路部分の主たる部分が構成された主回路基板90が配置されており、該主回路基板90と光ピックアップ80のプリント配線基板84との間がフレキシブルプリント回路基板91によって接続され、該フレキシブルプリント回路基板91を介して主回路基板90からプリント配線基板84へ向けて電力の供給と主回路基板90とプリント配線基板84との間の各種信号の伝達が行われる。
【0036】
上記メカシャーシ50には光ピックアップ80をディスク回転機構70に離接する方向へ移動させるスレッド機構100が配置されている。該スレッド機構100は、光ピックアップ80のラック81cと噛合したピニオン101と、直流モータ、ステッピングモータ等から成るスレッドモータ102と、ピニオン101とスレッドモータ102との間を連携しているギヤ列103とから成り、スレッドモータ102の駆動がギヤ列103を介してピニオン101に伝達され、該ピニオン101の回転によってラック81cが送られることによって、光ピックアップ80が2つのガイド軸52、53に案内されて移動される。
【0037】
上記したように、ディスク状記録媒体40が載置されたディスクトレー30が外筐20内に引込まれてわずかに下降すると、ディスク状記録媒体40がディスク回転機構70のディスクテーブル72上に載置され、これによって、ディスク状記録媒体40はディスクトレー30からわずかに浮き上がった状態となる。また、これと同時に、光ピックアップ80の対物レンズ83がディスク状記録媒体40の記録面に下方からわずかな間隔を置いて対向した状態となる。このような状態を、ディスク状記録媒体がローディングされた状態という。
【0038】
なお、上記したローディングの方法は一例であり、その他にも、例えば、ディスクトレーが引込まれてから、ディスク回転機構及び光ピックアップが上昇してローディングを完了する方法等、幾つかの方法がある。しかしながら、かかるローディングの方法や機構については本発明の主題ではないので、説明を省略する。
【0039】
上記したように、ディスク状記録媒体40のローディングが行われた状態から、スピンドルモータ71の駆動によってディスク状記録媒体40が回転され、且つ、スレッド機構100の駆動によって光ピックアップ80がディスク状記録媒体40の半径方向に、2つのガイド軸52、53に沿って移動しながら、半導体レーザー82が駆動され、ディスク状記録媒体40に対する情報の書き込み及び/又は読取が行われる。
【0040】
半導体レーザー82が駆動されることによって、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85が発熱する。そこで、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85が発生する熱を放熱するためにフレキシブルな熱伝導シート110が使用される。熱伝導シート110はフレキシブルなものである必要がある。熱伝導シート110は光ピックアップ80が相対的に移動する関係にあるベース部材60と光ピックアップ80との間を連結するものであるため、光ピックアップ80の移動に対して大きな負荷とならないものである必要がある。すなわち、熱伝導シート110は、ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従して容易に撓むことが出来る可撓性を有するもである必要がある。また、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85の熱を短時間でベース部材60に伝達するために、熱伝導性の優れたものである必要がある。上記した要求から、例えば、グラファイトシートを使用することが好適であるが、勿論、本発明で使用される熱伝導シート110がグラファイトシートに限られることを意味するものではなく、上記した条件を満たすものであれば、他の材料から成るシートを使用することが可能である。
【0041】
具体的には、1枚の熱伝導シート110の一端部である接続端部110aをベース部材60の上面に密着させ、他端部に2つの接触片110b、110cを形成して、一の接触片110bを半導体レーザー82のパッケージ82aに密着させ、さらに、他の接触片110cをレーザー駆動用集積回路85のパッケージ85aに密着させる。これによって、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85の熱は各接触片110b、110cから熱伝導シート110を接続端部110aへ向かって伝導され、最後に、ベース部材60に伝達されて、ベース部材60において放熱される。ベース部材60の熱容量は光ピックアップ80の移動ベース81に比べると(移動ベース81をベース部材60と同様の金属で形成したとして)遙かに大きいので、半導体レーザー82及びレーザー駆動用集積回路85で発生する熱はベース部材60に速やかに伝導され、且つ、ベース部材60の大きな面積を有する表面から速やかに放熱される。特に、熱伝導シート110としてグラファイトシートを使用した場合は、グラファイトシートの熱伝導率が、図7に示すように、純銅の約2倍と極めて高いので、放熱が極めて速やかに為される。
【0042】
なお、上記したグラファイトシートは純銅の約2倍と極めて高い熱伝導率を示すが、その構造上、他部材への熱伝導を良好にするには確実に密着させることが必要である。グラファイトシートは結晶性に優れたポリイミドシートを不活性雰囲気で焼成して成り、6角形の鱗片状を成すグラファイト構造が規則正しく並んでいる材料であり、6角形が並ぶ方向、すなわち、厚み方向に対して垂直な層面に沿う方向では800W/m・Kと非常に高い熱伝導率を示し、厚み方向、すなわち、層間方向では熱伝導率が層面方向の1/10以下になるという特性を有する。そのため、グラファイトシートと他の部材との間で速やかに熱伝達が行われるためには、当該他の部材とグラファイトシートとの間に空気層の介在を避け、両者の密着度を極力高くすることが必要である。
【0043】
そこで、図4乃至図6に各部において熱伝導シート110と他の部材との間の密着を確実にする構造の一例を示す。
【0044】
図4は熱伝導シート110とベース部材60との接続例を示すものである。ここに示した接続例では、まず、ベース部材60の所定の箇所に熱伝導グリース120を塗布し、該熱伝導グリース120の上に熱伝導シート110のベース部材60側接続端部110aを重ね合わせ、該接続端部110aを押さえバネ130によってベース部材60側へ押しつけるように押圧する。
【0045】
熱伝導グリース120は熱伝導率が高い金属の粉末を混入させること等によって熱伝導率を高くしたグリースであり、例えば、シリコンにアルミニウム粉等の金属粉を混入したシリコングリースがある。ベース部分60と熱伝導シート110との間に熱伝導グリース120の層を介在させることにより、ベース部材60と熱伝導シート110との間の空気層を確実に排除して、熱伝導シート110からベース部材60への熱伝導を良好にすることができる。
【0046】
上記押さえバネ130は板バネ形状を成し、取付部131と押圧部132とが中間部133で連結されており、取付部131がネジ止め、溶接等適宜の手段によってベース部材60の上面に固定され、押圧部132が熱伝導シート110の接続端部110aを図4中矢印P方向に押圧し、これによって、熱伝導シート110とベース部材60との間の密着性が高められ、熱伝導シート110からベース部材60への熱伝導をさらに良好にすることができる。この押さえバネ130には、例えば、ステンレス鋼、リン青銅等の金属から成る板バネが使用されるが、所望の押圧力が得られるものであれば、樹脂を使用しても良い。
【0047】
図5は熱伝導シート110の接続片110bと半導体レーザー82のパッケージ82aとの接続例を示すものである。
【0048】
この例において、半導体レーザー82は光ピックアップ80の移動ベース81に形成された切欠部81dに嵌め込まれた状態で移動ベース81に固定され、半導体レーザー82のパッケージ82aの上面と移動ベース81の上面とがほぼ同一の面内に位置している。そこで、半導体レーザー82のパッケージ82aの上面及び移動ベース81の切欠部81dに隣接した上面に熱伝導グリース120を塗布し、該熱伝導グリース120の上に熱伝導シート110の接続片110bを重ね合わせ、さらに、接続片110bの上に押さえ板140を重ね合わせる。そして、ビス141、141を押さえ板140及び熱伝導グリース120を貫通した状態で移動ベース81に螺着し、これによって、押さえ板140によって熱伝導シート110の接続片110bを図5中矢印P方向に押圧し、これによって該接続片110bを熱伝導グリース120を介して半導体レーザー82のパッケージ82aに押しつけた状態とする。従って、半導体レーザー82のパッケージ82aと熱伝導シート110の接続片110bとの間の空気層が排除され、且つ、接続片110bがパッケージ82aに密着されるので、半導体レーザー82で発生した熱が速やかに熱伝導シート110に伝達される。なお、上記押さえ板140には、例えば、ステンレス鋼、リン青銅等の金属が使用されるが、所望の押圧力が得られるものであれば、樹脂を使用しても良い。
【0049】
図6は熱伝導シート110の接続片110cとレーザー駆動用集積回路85のパッケージ85aとの接続例を示すものである。
【0050】
この接続例において、プリント配線基板84上に搭載されたレーザー駆動用集積回路85のパッケージ85aの上面に熱伝導グリース120が塗布され、該熱伝導グリース120の上に熱伝導シート110の接続片110cが重ね合わされ、さらに、該接続片110cの上から押さえバネ150による押圧が為される。押さえバネ150は板バネ形状を成し、取付部151と押圧部152とが中間部153で連結されており、取付部151がネジ止め等適宜の手段によってプリント配線基板84の上面に固定され、押圧部152が熱伝導シート110の接続片110cを図6中矢印P方向に押圧し、これによって、熱伝導シート110の接続片110cとレーザー駆動用集積回路85のパッケージ82aとの間の密着性が高められ、レーザー駆動用集積回路85から熱伝導シート110への熱伝導を良好にすることができる。この押さえバネ150には、例えば、ステンレス鋼、リン青銅等の金属から成る板バネが使用されるが、所望の押圧力が得られるものであれば、樹脂を使用しても良い。
【0051】
なお、上記した実施の形態では、光ピックアップ80とベース部材60との間を熱伝導シート110によって熱的に接続し、光ピックアップ80において発生する熱を極めて熱容量の大きなベース部材60に伝導させる例を示したが、ベース部材60に匹敵するくらい大きな熱容量を有するメカシャーシ50に伝導させるようにしても良い。かかる場合には、図4に示した、ベースシャーシ60と熱伝導シート110との接続構造を、メカシャーシ50と熱伝導部材110との接続構造に適用することができる。
【0052】
また、上記実施の形態の説明では、光ピックアップ80が支持されるメカシャーシ50を金属製であると説明したが、上記実施の形態で示したように、ベース部材60を金属製として、該ベース部材60に熱伝導シート110を介して光ピックアップ80で発生する熱を伝導する場合には、メカシャーシ50が金属製であることは必須ではない。かかる場合には、メカシャーシ50を樹脂で形成することも可能である。さらに、メカシャーシ50に光ピックアップ80で発生した熱を熱伝導シート110を介して伝導する場合には、ベース部材60が金属製であることは必須ではない。要するに、光ピックアップ80で発生する熱を放熱する部材50又は60のどちらかが熱伝導性の良好な金属で形成されていれば足りる。
【0053】
さらに、上記した実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【0054】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明ディスクドライ装置は、回転するディスク状記録媒体の半径方向に移動可能に金属製のメカシャーシに支持された移動ベースに光源と対物レンズと光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップを備えたディスクドライブ装置であって、上記金属製メカシャーシに対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップと金属製メカシャーシとの間を熱的に接続したことを特徴とする。
【0055】
従って、本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製メカシャーシに速やかに伝導される。そして、極めて大きな表面積を有する金属製メカシャーシから速やかに放熱される。
【0056】
請求項2に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートがグラファイトシートであるので、光ピックアップで生じた熱の速やかな伝導が為される。
【0057】
請求項3に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートを金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップに押しつける押しつけ部材を有するので、熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間の熱的結合が良好に為される。
【0058】
請求項4に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間に熱伝導性を有するグリースが介在されたので、フレキシブルな熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間に空気層が介在されることが確実に排除される。
【0059】
請求項5に記載した発明にあっては、光源が半導体レーザーであり、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記半導体レーザーに接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源である半導体レーザーに発生する熱の放熱が確実に為される。
【0060】
請求項6に記載した発明にあっては、光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記レーザー駆動用集積回路に接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源であるレーザー駆動用集積回路に発生する熱の放熱が確実に為される。
【0061】
請求項7に記載した発明にあっては、上記光源が半導体レーザーであると共に光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、一のフレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部が上記半導体レーザーとレーザー駆動用集積回路に接触されたので、一の熱伝導シートによって半導体レーザー及びレーザー駆動用集積回路で発生する熱の放熱が確実に為される。
【0062】
別の本発明ディスクドライブ装置は、回転するディスク状記録媒体の半径方向に移動可能にメカシャーシに支持された移動ベースに光源と対物レンズと光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップを備えたディスクドライブ装置であって、上記メカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材を備え、上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続したことを特徴とする。
【0063】
従って、別の本発明ディスクドライブ装置にあっては、光ピックアップに発生した熱は、熱伝導シートを介して熱容量が極めて大きい金属製ベース部材に速やかに伝導される。そして、ベース部材の大きな面積を有する表面から速やかに放熱される。
【0064】
請求項9に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートがグラファイトシートであるので、光ピックアップで生じた熱の速やかな伝導が為される。
【0065】
請求項10に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートをベース部材及び/又は光ピックアップに押しつける押しつけ部材を有するので、熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間の熱的結合が良好に為される。
【0066】
請求項11に記載した発明にあっては、上記フレキシブルな熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間に熱伝導性を有するグリースが介在されたので、フレキシブルな熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間に空気層が介在されることが確実に排除される。
【0067】
請求項12に記載した発明にあっては、光源が半導体レーザーであり、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記半導体レーザーに接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源である半導体レーザーに発生する熱の放熱が確実に為される。
【0068】
請求項13に記載した発明にあっては、光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記レーザー駆動用集積回路に接触されたので、光ピックアップの中で比較的大きな熱源であるレーザー駆動用集積回路に発生する熱の放熱が確実に為される。
【0069】
請求項14に記載した発明にあっては、上記光源が半導体レーザーであると共に光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、一のフレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部が上記半導体レーザーとレーザー駆動用集積回路に接触されたので、一の熱伝導シートによって半導体レーザー及びレーザー駆動用集積回路で発生する熱の放熱が確実に為される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図面は本発明ディスクドライブ装置の実施の形態を示すものであり、本図は概略斜視図である。
【図2】トレーが引き出された状態を示す概略斜視図である。
【図3】トレーを除去して示す要部の概略斜視図である。
【図4】ベース部材と熱伝導シートとの接続例を示す拡大断面図である。
【図5】半導体レーザーと熱伝導シートとの接続例を示す拡大断面図である。
【図6】レーザー駆動用集積回路と熱伝導シートとの接続例を示す拡大断面図である。
【図7】複数の材料の熱伝導率を比較するグラフ図である。
【符号の説明】
10…ディスクドライブ装置、40…ディスク状記録媒体、50…メカシャーシ、60…ベース部材、80…光ピックアップ、81…移動ベース、82…半導体レーザー(光源)、83…対物レンズ、110…フレキシブルな熱伝導シート、110b…接触片(光ピックアップ側の端部)、110c…接触片(光ピックアップ側の端部)、120…熱伝導グリース(熱伝導性を有するグリース)、130…押さえバネ(フレキシブルな熱伝導シートをベース部材(又はメカシャーシ)に押しつける押しつけ部材)、140…押さえ板(フレキシブルな熱伝導シートを光ピックアップ(半導体レーザー)に押しつける押しつけ部材)、150…押さえバネ(フレキシブルな熱伝導シートを光ピックアップ(レーザー駆動用集積回路)に押しつける押しつけ部材)
Claims (14)
- 回転するディスク状記録媒体の半径方向に移動可能に金属製のメカシャーシに支持された移動ベースに光源と対物レンズと光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップを備えたディスクドライブ装置であって、
上記金属製メカシャーシに対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップと金属製メカシャーシとの間を熱的に接続した
ことを特徴とするディスクドライブ装置。 - 上記フレキシブルな熱伝導シートがグラファイトシートである
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。 - 上記フレキシブルな熱伝導シートを金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップに押しつける押しつけ部材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。 - 上記フレキシブルな熱伝導シートと金属製メカシャーシ及び/又は光ピックアップとの間に熱伝導性を有するグリースが介在された
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。 - 光源が半導体レーザーであり、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記半導体レーザーに接触された
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。 - 光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、
フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記レーザー駆動用集積回路に接触された
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。 - 上記光源が半導体レーザーであると共に光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、
一のフレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部が上記半導体レーザーとレーザー駆動用集積回路に接触された
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブ装置。 - 回転するディスク状記録媒体の半径方向に移動可能にメカシャーシに支持された移動ベースに光源と対物レンズと光検出器と所定の光路を形成する光学系を備え、対物レンズによって光源からの光をディスク状記録媒体に照射すると共にディスク状記録媒体の記録面で反射された戻り光を光検出器に受光させるように構成された光ピックアップを備えたディスクドライブ装置であって、
上記メカシャーシが直接的に又は間接的に支持される金属製のベース部材を備え、
上記ベース部材に対する光ピックアップの移動に追従し得る可撓性を備えると共に熱伝導性を有するフレキシブルな熱伝導シートによって光ピックアップとベース部材との間を熱的に接続した
ことを特徴とするディスクドライブ装置。 - 上記フレキシブルな熱伝導シートがグラファイトシートである
ことを特徴とする請求項8に記載のディスクドライブ装置。 - 上記フレキシブルな熱伝導シートをベース部材及び/又は光ピックアップに押しつける押しつけ部材を有する
ことを特徴とする請求項8に記載のディスクドライブ装置。 - 上記フレキシブルな熱伝導シートとベース部材及び/又は光ピックアップとの間に熱伝導性を有するグリースが介在された
ことを特徴とする請求項8に記載のディスクドライブ装置。 - 光源が半導体レーザーであり、フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記半導体レーザーに接触された
ことを特徴とする請求項8に記載のディスクドライブ装置。 - 光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、
フレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部は上記レーザー駆動用集積回路に接触された
ことを特徴とする請求項8に記載のディスクドライブ装置。 - 上記光源が半導体レーザーであると共に光ピックアップが半導体レーザーを駆動するためのレーザー駆動用集積回路を備え、
一のフレキシブルな熱伝導シートの光ピックアップ側の端部が上記半導体レーザーとレーザー駆動用集積回路に接触された
ことを特徴とする請求項8に記載のディスクドライブ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003106628A JP2004310965A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | ディスクドライブ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003106628A JP2004310965A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | ディスクドライブ装置 |
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Family Applications (1)
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JP2003106628A Pending JP2004310965A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | ディスクドライブ装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005091277A1 (ja) * | 2004-03-19 | 2005-09-29 | Pioneer Corporation | 光ピックアップ装置 |
CN100354955C (zh) * | 2004-11-30 | 2007-12-12 | 株式会社日立媒介电子 | 光拾取器 |
JPWO2007074512A1 (ja) * | 2005-12-27 | 2009-06-04 | パナソニック株式会社 | 押圧式スイッチ及び電子機器 |
-
2003
- 2003-04-10 JP JP2003106628A patent/JP2004310965A/ja active Pending
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CN100354955C (zh) * | 2004-11-30 | 2007-12-12 | 株式会社日立媒介电子 | 光拾取器 |
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