JPWO2005091277A1 - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
半導体レーザのレーザ光をターンテーブル1上に載置される光ディスク2に導光し光ディスク2からの戻り光を受光素子で導光するとともにトラッキング方向Aに移動可能な光ピックアップ10と、ターンテーブル1上に載置される光ディスク2と光ピックアップ10との間に介在され、光ピックアップ10を保護する保護カバー30と、光ピックアップと保護カバー30に接続され、光ピックアップ10からの熱を保護カバー30に伝導する可塑性の伝熱材40とを備え、これにより小型、軽量および低コストであってかつ放熱性能の良い光ピックアップ装置の放熱構造を提供する。
Description
この発明は、ターンテーブル上に載置される光記録媒体にレーザ光を導光しその戻り光を受光する光ピックアップの放熱構造の改良に関するものである。
DVDやCDなどの光ディスクに対し情報を読み書きするDVD/CDレコーダやDVD/CDプレーヤなどにおいて、光ピックアップには、光ディスクに対して光ビームを照射するための光源である半導体レーザ、及びこの半導体レーザなどを駆動する駆動回路ICなどの熱源が搭載されている。このような光ピックアップにおいては、小型、軽量、高密度化への要求を満足するため、その光源にはより短波長の半導体レーザが採用されつつある。このような短波長の半導体レーザは光ディスク面上でのビーム径を小さくすることができる反面、同じ光パワーを出力するために必要な投入電力が大きく、半導体レーザからの発熱量が大きいという不利な面を持っている。このため、光ピックアップにおいて、効率よく放熱を行わせないと、著しい発熱が発生し、半導体レーザの出力を上げられない、寿命が短くなるなどの問題があった。
そこで、非特許文献1においては、半導体レーザの熱を熱伝導シートを介してピックアップ外部にあるペルチェ素子へ放熱することが開示されている。
パイオニア株式会社,技術情報誌,PIONEER R&D,1996 VOl.7 NO1
しかしながら、非特許文献1に示される従来技術においては、放熱用のペルチェ素子を新たに設ける必要があるので、コスト的あるいはスペース的な問題が一例としてある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型、軽量および低コストであってかつ放熱性能の良い光ピックアップ装置の放熱構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、レーザ光源を備え、前記レーザ光源から光ビームを照射して光記録媒体に対して情報の記録又は再生を行う光ピックアップと、前記光記録媒体を載置するターンテーブルと、前記ターンテーブルの上に載置された光記録媒体と前記光ピックアップとの間に介在され、前記光ピックアップを保護する保護カバーと、前記光ピックアップと前記保護カバーとに接続され、前記光ピックアップから発生する熱を前記保護カバーに伝導する伝熱材とを備えることを特徴とする。
本発明では、光ピックアップから発生される熱を、ピックアップ10や駆動機構の保護のために通常は設けられている保護カバーに対し、伝熱材を介して伝えるようにしており、これにより大面積の放熱板を得ることができる。さらに、保護カバーには、ディスクが回転することで、発生する空気流が直接吹き付けられるので、熱の拡散効率も良く、保護カバーに放熱フィンを設けて放熱効率を上げるなどの対策が不要となり、これにより、レーザ光源の温度上昇を効率よく抑えることができる。
1 ターンテーブル
2 光ディスク
10 光ピックアップ
11 ピックアップベース
12 調整用ホルダ
13 対物レンズ
14 バネ
20 半導体レーザ
30 保護カバー
40,41 伝熱材
45 回路基板
46 支持枠体
47 フレキシブルプリント基板
60 DVD用半導体レーザ
61 CD用半導体レーザ
2 光ディスク
10 光ピックアップ
11 ピックアップベース
12 調整用ホルダ
13 対物レンズ
14 バネ
20 半導体レーザ
30 保護カバー
40,41 伝熱材
45 回路基板
46 支持枠体
47 フレキシブルプリント基板
60 DVD用半導体レーザ
61 CD用半導体レーザ
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる光ピックアップ装置の放熱構造の好適な実施の形態および実施例を詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1の光ピックアップ装置の放熱構造の構成例を示すものである。図1において、ターンテーブル1上には、DVD、CDなどの光ディスク(光記録媒体)2が載置されている。光ディスク2に対向するように光ピックアップ10が配設されており、光ピックアップ10は光ディスクの半径方向すなわちトラッキング方向(矢印A方向)に移動可能となっている。光ピックアップ10のピックアップベース11には、調整用ホルダ12を介して半導体レーザ20が取付けられている。調整用ホルダ12は、取付誤差をなくして半導体レーザ20の光軸と光ピックアップ10内の光学系の光軸が一致するように、ピックアップベース11に対する半導体レーザ20の位置および角度を調整する。光ピックアップ10に搭載された対物レンズ13は、ピックアップベース11に対しトラッキング方向Aおよびフォーカシング方向に移動可能となっている。この場合、調整用ホルダ12は、熱伝導率のよい金属材料などで形成されている。
図1はこの発明の実施の形態1の光ピックアップ装置の放熱構造の構成例を示すものである。図1において、ターンテーブル1上には、DVD、CDなどの光ディスク(光記録媒体)2が載置されている。光ディスク2に対向するように光ピックアップ10が配設されており、光ピックアップ10は光ディスクの半径方向すなわちトラッキング方向(矢印A方向)に移動可能となっている。光ピックアップ10のピックアップベース11には、調整用ホルダ12を介して半導体レーザ20が取付けられている。調整用ホルダ12は、取付誤差をなくして半導体レーザ20の光軸と光ピックアップ10内の光学系の光軸が一致するように、ピックアップベース11に対する半導体レーザ20の位置および角度を調整する。光ピックアップ10に搭載された対物レンズ13は、ピックアップベース11に対しトラッキング方向Aおよびフォーカシング方向に移動可能となっている。この場合、調整用ホルダ12は、熱伝導率のよい金属材料などで形成されている。
ターンテーブル1上に載置される光ディスク2と光ピックアップ10との間には、光ピックアップ10やピックアップ搬送機構などの駆動機構をユーザが触るのを防止するための物理的保護として機能する保護カバー30が介在されている。保護カバー30は、光ピックアップ10を移動可能に支持する支持枠体(図示せず)などに固定されている。この場合、保護カバー30の材料としては、アルミニウムや銅などの放熱性に優れた材料を用いている。
本実施の形態1では、この保護カバー30を放熱体(ヒートシンク)として機能させるべく、光ピックアップ10に搭載されている半導体レーザ20(正確には半導体レーザパッケージ)および/または調整用ホルダ12と、保護カバー30とを可塑性のフィルム状の伝熱材40によって熱的に接触させている。伝熱材40はその一端側が保護カバー30の底面に固定され、他端側が半導体レーザ20あるいは調整用ホルダ12に固定されている。伝熱材40における保護カバー30あるいは半導体レーザ20との接触面は、伝熱性を向上させるうえでは、大きいほど好ましい。
可塑性の伝熱材40は、熱伝導率の良い、例えば、カーボンファイバ製のシート、銅、アルミの薄板または箔、フレキシブルプリント基板などで構成される。また、可塑性の伝熱材40の両端側の固定方法としては、例えば熱伝導性接着剤、熱伝導性粘着テープ、接着剤、半田などによる接着、ネジ止め、バネ押さえ、押さえ部品により挟み込みなどが採用される。伝熱材を可塑性としたのは、移動する光ピックアップ10に対し外力が作用しないようにするためである。
このように、実施の形態1では、光ピックアップ10から発生される熱を、ピックアップ10や駆動機構の保護のために通常は設けられている保護カバー30に対し、伝熱材40を介して伝えるようにしており、これにより大面積の放熱板を得ることができる。さらに、保護カバー30には、ディスクが回転することで、矢印Bに示すように、発生する空気流が直接吹き付けられるので、熱の拡散効率も良く、保護カバーに放熱フィンを設けて放熱効率を上げるなどの対策が不要となる。このようにして、半導体レーザ20の温度上昇を効率よく抑えることができる。
さらに、従来技術のように、新たな放熱部材を設けるのではなく、既に光ピックアップには設けられている大面積の保護カバー30を利用して放熱を行うようにしているので、小型、軽量さらには低コストの光ピックアップを取得することができる。
[実施の形態2]
図2はこの発明の実施の形態2の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態2においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間に、可塑性のシート状の伝熱材40を介在させ、伝熱材40の光ピックアップ10との当接部および伝熱材40の保護カバー30との当接部を、弾性部材としてのバネ14によって圧接するようにしている。すなわち、バネ14は、一方端が伝熱材40を介して光ピックアップ10を押圧し、他方端が伝熱材40を介して保護カバー30を押圧する。
図2はこの発明の実施の形態2の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態2においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間に、可塑性のシート状の伝熱材40を介在させ、伝熱材40の光ピックアップ10との当接部および伝熱材40の保護カバー30との当接部を、弾性部材としてのバネ14によって圧接するようにしている。すなわち、バネ14は、一方端が伝熱材40を介して光ピックアップ10を押圧し、他方端が伝熱材40を介して保護カバー30を押圧する。
伝熱材40の光ピックアップ10との当接部は接着剤などにより固定され、伝熱材40の保護カバー30との当接部は固定されていない。したがって、光ピックアップ10の移動に伴い伝熱材40およびバネ14も一体となって移動する。すなわち、光ピックアップ10の移動に伴い伝熱材40の保護カバー30との当接部は、保護カバー30の底面に対し摺動される。
この場合、保護カバー30と、伝熱材40の保護カバー30との当接部は、摩擦係数が低くなるように適宜の対策が施されており、光ピックアップ10の移動動作の妨げとなることはない。
[実施の形態3]
図3はこの発明の実施の形態3の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態3においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間を接続する伝熱材41を板バネ状としている。板バネと伝熱材41は、一方端側が光ピックアップ10に固定されており、他方端側は固定されていない。
図3はこの発明の実施の形態3の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態3においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間を接続する伝熱材41を板バネ状としている。板バネと伝熱材41は、一方端側が光ピックアップ10に固定されており、他方端側は固定されていない。
したがって、光ピックアップ10の移動に伴い伝熱材41も一体となって移動する。すなわち、光ピックアップ10の移動に伴い、伝熱材41の保護カバー30との当接部は、保護カバー30の底面に対し摺動される。このため、保護カバー30と、伝熱材41の保護カバー30との当接部は、実施の形態2と同様、摩擦係数が低くなるように適宜の対策が施されており、光ピックアップ10の移動動作の妨げとなることはない。
図4〜図6を用いてこの発明の実施例について説明する。実施例の光ピックアップ10においては、DVD用とCD用の2つの半導体レーザ素子60、61が備えられている。図4は光ピックアップ10を含むピックアップドライブ機構の外観図であり、図5は光ピックアップ10の内部構成を示すものであり、図6は光ピックアップの光学系の構成を示すものである。
図5に示すように、光ピックアップ10はピックアップベース11を備えており。ピックアップベース11に光ピックアップを構成する各構成要素が搭載されている。ピックアップベース11は、図示しない主軸および副軸が挿入される主軸受け51および副軸受け50を有し、これらを含むピックアップ搬送機構(図示せず)によってトラッキング方向に移動可能である。ピックアップ搬送機構は、図4に示す保護カバー30の下側に配設される。
ピックアップベース11には、その上面に開口部を有し、この開口箇所に、対物レンズ13,対物レンズホルダ52、フォーカス駆動コイル(図示せず)およびトラッキング駆動コイル(図示せず)からなるアクチュエータ可動部と、マグネット53およびヨーク54などから成るアクチュエータ固定部とを有するアクチュエータ55が設けられている。このアクチュエータ55によって、ピックアップベース11に対し対物レンズ13をトラッキング方向およびフォーカシング方向に移動させる。
この光ピックアップ10では、2つの半導体レーザ素子60、61が備えられている。一方の半導体レーザ素子60はDVD用の波長を持つレーザビームを発射する。他方の半導体レーザ素子61はCD用の波長を持つレーザビームを発射する。これら半導体レーザ素子は選択的に駆動される。CD用半導体レーザ素子61は、レーザホルダ62によって支持されており、このレーザホルダ62によってピックアップベース11に対する3次元位置を調整することができる。DVD用半導体レーザ素子60は、レーザホルダ63によって支持されており、このレーザホルダ63によってピックアップベース11に対する3次元位置および上下左右の回転角(姿勢角)を調整することができる。
ピックアップベース11の内部には、図6に示すような光学系が収容されている。この光学系は、2つのグレーティング70,71、光路合流素子としてのダイクロイックプリズム72、ビームスプリッタ73、フロントモニタ用受光素子74、シリンダレンズ75、4分割の受光面を有する受光素子76、液晶収差補正素子77、コリメータレンズ78,1/4波長板79、立ち上げミラー80および対物レンズ13を備えている。
CD用半導体レーザ素子61から発射されたレーザビームは、グレーティング71でトラッキングエラーを検出するための複数の光束(0次光、±1次光)に分離された後、ダイクロイックプリズム73を介してビームスプリッタ73に入射される。ビームスプリッタ73に入射されたレーザビームは、一部が偏向されてフロントモニタ用受光素子74に入射され、ここでレーザパワーなどがモニタされる。残りのレーザビームは、ビームスプリッタ73を透過した後、液晶収差補正素子77で各種の収差補正が行われ、さらにコリメータレンズ78で平行光になり、1/4波長板79を透過後、立ち上げミラー80によって90度偏向されて対物レンズ13に入射し、光ディスク上にスポットを結ぶ。
一方、DVD用半導体レーザ素子60から発射されたレーザビームは、グレーティング70、ダイクロイックプリズム72を介してビームスプリッタ73に入射される。ビームスプリッタ73に入射されたレーザビームは、一部が偏向されてフロントモニタ用受光素子74に入射される。残りのレーザビームは、ビームスプリッタ73を透過した後、液晶収差補正素子77で各種の収差補正が行われ、さらにコリメータレンズ78で平行光になり、1/4波長板79を透過後、立ち上げミラー80を経て、対物レンズ13に入射し、光ディスク上にスポットを結ぶ。
光ディスクで反射された戻り光は、対物レンズ13、立ち上げミラー80、1/4波長板79、コリメータレンズ78、液晶収差補正素子77を透過後、ビームスプリッタ73で偏向され、その後、シリンダレンズ75を経て受光素子76に入射する。この受光素子76による検出信号に基づき、ファーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などが生成されるとともに、光記録媒体の記録情報を復調再生した再生信号が取得される。
このような構成を備える光ピックアップ10は、図5に示した主軸受け51および副軸受け52を介して、図4に示す支持枠体46内部に配置された主軸および副軸に取り付けられている。支持枠体46には、モータなどを含むピックアップ搬送機構(図示せず)、回路基板45などが配置されており、回路基板45にはフレキシブルプリント基板47が接続されている。
図4に示すように、保護カバー30は、ターンテーブル1に対応する箇所および対物レンズが移動する領域に開孔が形成されている。保護カバー30は、支持枠体46上に固定されることで、支持枠体46に配置されている光ピックアップ10、ピックアップ搬送機構、回路基板45、フレキシブルプリント基板47などをユーザが触るのを防止している。
このような大面積の保護カバー30をヒートシンクとして機能させるべく、図4および図5に示すように、可塑性のシート状の伝熱材40を光ピックアップ10と保護カバー30との間に介在させている。伝熱材40の一方端側は、2つの半導体レーザ60,61および各レーザホルダ62,63と固定され、他方端側は保護カバー30の底面に固定されている。
このように、実施例では、光ピックアップ10から発生される熱を、可塑性の伝熱材40を介して保護カバー30に伝えるようにしており、これにより放熱面積が格段に増大する。さらに、保護カバー30には、ディスクが回転することで発生する空気流が直接吹き付けられるので、熱の拡散効率も良い。したがって、半導体レーザ20の温度上昇を効率よく抑えることができる。さらに、従来技術のように、新たな放熱部材を設けるのではなく、既に光ピックアップには設けられている保護カバー30を利用して放熱を行うようにしているので、小型、軽量さらには低コストの光ピックアップを実現することができる。
なお、放熱対象としては、半導体レーザのみでなく、光ピックアップに搭載されている任意の発熱部材を放熱対象とすることができる。例えば、半導体レーザを駆動するレーザドライバ、あるいは高周波重畳ICなどである。
以上のように、本発明は、光ディスク記録再生装置、DVD/CDレコーダ、DVD/CDプレーヤ、PC用DVD/CDドライブ、青紫色レーザ光を利用した次世代DVD等に適用可能である。
この発明は、ターンテーブル上に載置される光記録媒体にレーザ光を導光しその戻り光を受光する光ピックアップの放熱構造の改良に関するものである。
DVDやCDなどの光ディスクに対し情報を読み書きするDVD/CDレコーダやDVD/CDプレーヤなどにおいて、光ピックアップには、光ディスクに対して光ビームを照射するための光源である半導体レーザ、及びこの半導体レーザなどを駆動する駆動回路ICなどの熱源が搭載されている。このような光ピックアップにおいては、小型、軽量、高密度化への要求を満足するため、その光源にはより短波長の半導体レーザが採用されつつある。このような短波長の半導体レーザは光ディスク面上でのビーム径を小さくすることができる反面、同じ光パワーを出力するために必要な投入電力が大きく、半導体レーザからの発熱量が大きいという不利な面を持っている。このため、光ピックアップにおいて、効率よく放熱を行わせないと、著しい発熱が発生し、半導体レーザの出力を上げられない、寿命が短くなるなどの問題があった。
そこで、非特許文献1においては、半導体レーザの熱を熱伝導シートを介してピックアップ外部にあるペルチェ素子へ放熱することが開示されている。
パイオニア株式会社,技術情報誌,PIONEER R&D,1997 VOl.7 NO1
しかしながら、非特許文献1に示される従来技術においては、放熱用のペルチェ素子を新たに設ける必要があるので、コスト的あるいはスペース的な問題が一例としてある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型、軽量および低コストであってかつ放熱性能の良い光ピックアップ装置の放熱構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、レーザ光源とフォーカシング方向およびトラッキング方向に移動可能な対物レンズを含みレーザ光源からの光ビームによって光記録媒体に対して情報の記録又は再生を行う光学系とが搭載された光ピックアップベースと、前記光ピックアップベースをトラッキング方向に移動可能に支持する支持枠体とを備える光ピックアップと、前記光記録媒体を載置するターンテーブルと、前記ターンテーブルの上に載置された光記録媒体と前記光ピックアップとの間に介在するように前記支持部材に固定され、前記光ピックアップを保護する保護カバーと、前記光ピックアップベースと前記保護カバーとに接続され、前記光ピックアップベースで発生する熱を前記保護カバーに伝導する伝熱材とを備えることを特徴とする。
本発明では、光ピックアップから発生される熱を、ピックアップや駆動機構の保護のために通常は設けられている保護カバーに対し、伝熱材を介して伝えるようにしており、これにより大面積の放熱板を得ることができる。さらに、保護カバーには、ディスクが回転することで、発生する空気流が直接吹き付けられるので、熱の拡散効率も良く、保護カバーに放熱フィンを設けて放熱効率を上げるなどの対策が不要となり、これにより、レーザ光源の温度上昇を効率よく抑えることができる。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる光ピックアップ装置の放熱構造の好適な実施の形態および実施例を詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1の光ピックアップ装置の放熱構造の構成例を示すものである。図1において、ターンテーブル1上には、DVD、CDなどの光ディスク(光記録媒体)2が載置されている。光ディスク2に対向するように光ピックアップ10が配設されており、光ピックアップ10は光ディスクの半径方向すなわちトラッキング方向(矢印A方向)に移動可能となっている。光ピックアップ10のピックアップベース11には、調整用ホルダ12を介して半導体レーザ20が取付けられている。調整用ホルダ12は、取付誤差をなくして半導体レーザ20の光軸と光ピックアップ10内の光学系の光軸が一致するように、ピックアップベース11に対する半導体レーザ20の位置および角度を調整する。光ピックアップ10に搭載された対物レンズ13は、ピックアップベース11に対しトラッキング方向Aおよびフォーカシング方向に移動可能となっている。この場合、調整用ホルダ12は、熱伝導率のよい金属材料などで形成されている。
図1はこの発明の実施の形態1の光ピックアップ装置の放熱構造の構成例を示すものである。図1において、ターンテーブル1上には、DVD、CDなどの光ディスク(光記録媒体)2が載置されている。光ディスク2に対向するように光ピックアップ10が配設されており、光ピックアップ10は光ディスクの半径方向すなわちトラッキング方向(矢印A方向)に移動可能となっている。光ピックアップ10のピックアップベース11には、調整用ホルダ12を介して半導体レーザ20が取付けられている。調整用ホルダ12は、取付誤差をなくして半導体レーザ20の光軸と光ピックアップ10内の光学系の光軸が一致するように、ピックアップベース11に対する半導体レーザ20の位置および角度を調整する。光ピックアップ10に搭載された対物レンズ13は、ピックアップベース11に対しトラッキング方向Aおよびフォーカシング方向に移動可能となっている。この場合、調整用ホルダ12は、熱伝導率のよい金属材料などで形成されている。
ターンテーブル1上に載置される光ディスク2と光ピックアップ10との間には、光ピックアップ10やピックアップ搬送機構などの駆動機構をユーザが触るのを防止するための物理的保護として機能する保護カバー30が介在されている。保護カバー30は、光ピックアップ10を移動可能に支持する支持枠体(図示せず)などに固定されている。この場合、保護カバー30の材料としては、アルミニウムや銅などの放熱性に優れた材料を用いている。
本実施の形態1では、この保護カバー30を放熱体(ヒートシンク)として機能させるべく、光ピックアップ10に搭載されている半導体レーザ20(正確には半導体レーザパッケージ)および/または調整用ホルダ12と、保護カバー30とを可塑性のフィルム状の伝熱材40によって熱的に接触させている。伝熱材40はその一端側が保護カバー30の底面に固定され、他端側が半導体レーザ20あるいは調整用ホルダ12に固定されている。伝熱材40における保護カバー30あるいは半導体レーザ20との接触面は、伝熱性を向上させるうえでは、大きいほど好ましい。
可塑性の伝熱材40は、熱伝導率の良い、例えば、カーボンファイバ製のシート、銅、アルミの薄板または箔、フレキシブルプリント基板などで構成される。また、可塑性の伝熱材40の両端側の固定方法としては、例えば熱伝導性接着剤、熱伝導性粘着テープ、接着剤、半田などによる接着、ネジ止め、バネ押さえ、押さえ部品により挟み込みなどが採用される。伝熱材を可塑性としたのは、移動する光ピックアップ10に対し外力が作用しないようにするためである。
このように、実施の形態1では、光ピックアップ10から発生される熱を、ピックアップ10や駆動機構の保護のために通常は設けられている保護カバー30に対し、伝熱材40を介して伝えるようにしており、これにより大面積の放熱板を得ることができる。さらに、保護カバー30には、ディスクが回転することで、矢印Bに示すように、発生する空気流が直接吹き付けられるので、熱の拡散効率も良く、保護カバーに放熱フィンを設けて放熱効率を上げるなどの対策が不要となる。このようにして、半導体レーザ20の温度上昇を効率よく抑えることができる。
さらに、従来技術のように、新たな放熱部材を設けるのではなく、既に光ピックアップには設けられている大面積の保護カバー30を利用して放熱を行うようにしているので、小型、軽量さらには低コストの光ピックアップを取得することができる。
[実施の形態2]
図2はこの発明の実施の形態2の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態2においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間に、可塑性のシート状の伝熱材40を介在させ、伝熱材40の光ピックアップ10との当接部および伝熱材40の保護カバー30との当接部を、弾性部材としてのバネ14によって圧接するようにしている。すなわち、バネ14は、一方端が伝熱材40を介して光ピックアップ10を押圧し、他方端が伝熱材40を介して保護カバー30を押圧する。
図2はこの発明の実施の形態2の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態2においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間に、可塑性のシート状の伝熱材40を介在させ、伝熱材40の光ピックアップ10との当接部および伝熱材40の保護カバー30との当接部を、弾性部材としてのバネ14によって圧接するようにしている。すなわち、バネ14は、一方端が伝熱材40を介して光ピックアップ10を押圧し、他方端が伝熱材40を介して保護カバー30を押圧する。
伝熱材40の光ピックアップ10との当接部は接着剤などにより固定され、伝熱材40の保護カバー30との当接部は固定されていない。したがって、光ピックアップ10の移動に伴い伝熱材40およびバネ14も一体となって移動する。すなわち、光ピックアップ10の移動に伴い伝熱材40の保護カバー30との当接部は、保護カバー30の底面に対し摺動される。
この場合、保護カバー30と、伝熱材40の保護カバー30との当接部は、摩擦係数が低くなるように適宜の対策が施されており、光ピックアップ10の移動動作の妨げとなることはない。
[実施の形態3]
図3はこの発明の実施の形態3の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態3においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間を接続する伝熱材41を板バネ状としている。板バネと伝熱材41は、一方端側が光ピックアップ10に固定されており、他方端側は固定されていない。
図3はこの発明の実施の形態3の光ピックアップ装置の放熱構造を示すものである。実施の形態3においては、光ピックアップ10と保護カバー30との間を接続する伝熱材41を板バネ状としている。板バネと伝熱材41は、一方端側が光ピックアップ10に固定されており、他方端側は固定されていない。
したがって、光ピックアップ10の移動に伴い伝熱材41も一体となって移動する。すなわち、光ピックアップ10の移動に伴い、伝熱材41の保護カバー30との当接部は、保護カバー30の底面に対し摺動される。このため、保護カバー30と、伝熱材41の保護カバー30との当接部は、実施の形態2と同様、摩擦係数が低くなるように適宜の対策が施されており、光ピックアップ10の移動動作の妨げとなることはない。
図4〜図6を用いてこの発明の実施例について説明する。実施例の光ピックアップ10においては、DVD用とCD用の2つの半導体レーザ素子60、61が備えられている。図4は光ピックアップ10を含むピックアップドライブ機構の外観図であり、図5は光ピックアップ10の内部構成を示すものであり、図6は光ピックアップの光学系の構成を示すものである。
図5に示すように、光ピックアップ10はピックアップベース11を備えており。ピックアップベース11に光ピックアップを構成する各構成要素が搭載されている。ピックアップベース11は、図示しない主軸および副軸が挿入される主軸受け51および副軸受け50を有し、これらを含むピックアップ搬送機構(図示せず)によってトラッキング方向に移動可能である。ピックアップ搬送機構は、図4に示す保護カバー30の下側に配設される。
ピックアップベース11には、その上面に開口部を有し、この開口箇所に、対物レンズ13,対物レンズホルダ52、フォーカス駆動コイル(図示せず)およびトラッキング駆動コイル(図示せず)からなるアクチュエータ可動部と、マグネット53およびヨーク54などから成るアクチュエータ固定部とを有するアクチュエータ55が設けられている。このアクチュエータ55によって、ピックアップベース11に対し対物レンズ13をトラッキング方向およびフォーカシング方向に移動させる。
この光ピックアップ10では、2つの半導体レーザ素子60、61が備えられている。一方の半導体レーザ素子60はDVD用の波長を持つレーザビームを発射する。他方の半導体レーザ素子61はCD用の波長を持つレーザビームを発射する。これら半導体レーザ素子は選択的に駆動される。CD用半導体レーザ素子61は、レーザホルダ62によって支持されており、このレーザホルダ62によってピックアップベース11に対する3次元位置を調整することができる。DVD用半導体レーザ素子60は、レーザホルダ63によって支持されており、このレーザホルダ63によってピックアップベース11に対する3次元位置および上下左右の回転角(姿勢角)を調整することができる。
ピックアップベース11の内部には、図6に示すような光学系が収容されている。この光学系は、2つのグレーティング70,71、光路合流素子としてのダイクロイックプリズム72、ビームスプリッタ73、フロントモニタ用受光素子74、シリンダレンズ75、4分割の受光面を有する受光素子76、液晶収差補正素子77、コリメータレンズ78,1/4波長板79、立ち上げミラー80および対物レンズ13を備えている。
CD用半導体レーザ素子61から発射されたレーザビームは、グレーティング71でトラッキングエラーを検出するための複数の光束(0次光、±1次光)に分離された後、ダイクロイックプリズム73を介してビームスプリッタ73に入射される。ビームスプリッタ73に入射されたレーザビームは、一部が偏向されてフロントモニタ用受光素子74に入射され、ここでレーザパワーなどがモニタされる。残りのレーザビームは、ビームスプリッタ73を透過した後、液晶収差補正素子77で各種の収差補正が行われ、さらにコリメータレンズ78で平行光になり、1/4波長板79を透過後、立ち上げミラー80によって90度偏向されて対物レンズ13に入射し、光ディスク上にスポットを結ぶ。
一方、DVD用半導体レーザ素子60から発射されたレーザビームは、グレーティング70、ダイクロイックプリズム72を介してビームスプリッタ73に入射される。ビームスプリッタ73に入射されたレーザビームは、一部が偏向されてフロントモニタ用受光素子74に入射される。残りのレーザビームは、ビームスプリッタ73を透過した後、液晶収差補正素子77で各種の収差補正が行われ、さらにコリメータレンズ78で平行光になり、1/4波長板79を透過後、立ち上げミラー80を経て、対物レンズ13に入射し、光ディスク上にスポットを結ぶ。
光ディスクで反射された戻り光は、対物レンズ13、立ち上げミラー80、1/4波長板79、コリメータレンズ78、液晶収差補正素子77を透過後、ビームスプリッタ73で偏向され、その後、シリンダレンズ75を経て受光素子76に入射する。この受光素子76による検出信号に基づき、ファーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などが生成されるとともに、光記録媒体の記録情報を復調再生した再生信号が取得される。
このような構成を備える光ピックアップ10は、図5に示した主軸受け51および副軸受け52を介して、図4に示す支持枠体46内部に配置された主軸および副軸に取り付けられている。支持枠体46には、モータなどを含むピックアップ搬送機構(図示せず)、回路基板45などが配置されており、回路基板45にはフレキシブルプリント基板47が接続されている。
図4に示すように、保護カバー30は、ターンテーブル1に対応する箇所および対物レンズが移動する領域に開孔が形成されている。保護カバー30は、支持枠体46上に固定されることで、支持枠体46に配置されている光ピックアップ10、ピックアップ搬送機構、回路基板45、フレキシブルプリント基板47などをユーザが触るのを防止している。
このような大面積の保護カバー30をヒートシンクとして機能させるべく、図4および図5に示すように、可塑性のシート状の伝熱材40を光ピックアップ10と保護カバー30との間に介在させている。伝熱材40の一方端側は、2つの半導体レーザ60,61および各レーザホルダ62,63と固定され、他方端側は保護カバー30の底面に固定されている。
このように、実施例では、光ピックアップ10から発生される熱を、可塑性の伝熱材40を介して保護カバー30に伝えるようにしており、これにより放熱面積が格段に増大する。さらに、保護カバー30には、ディスクが回転することで発生する空気流が直接吹き付けられるので、熱の拡散効率も良い。したがって、半導体レーザ20の温度上昇を効率よく抑えることができる。さらに、従来技術のように、新たな放熱部材を設けるのではなく、既に光ピックアップには設けられている保護カバー30を利用して放熱を行うようにしているので、小型、軽量さらには低コストの光ピックアップを実現することができる。
なお、放熱対象としては、半導体レーザのみでなく、光ピックアップに搭載されている任意の発熱部材を放熱対象とすることができる。例えば、半導体レーザを駆動するレーザドライバ、あるいは高周波重畳ICなどである。
以上のように、本発明は、光ディスク記録再生装置、DVD/CDレコーダ、DVD/CDプレーヤ、PC用DVD/CDドライブ、青紫色レーザ光を利用した次世代DVD等に適用可能である。
1 ターンテーブル
2 光ディスク
10 光ピックアップ
11 ピックアップベース
12 調整用ホルダ
13 対物レンズ
14 バネ
20 半導体レーザ
30 保護カバー
40,41 伝熱材
45 回路基板
46 支持枠体
47 フレキシブルプリント基板
60 DVD用半導体レーザ
61 CD用半導体レーザ
2 光ディスク
10 光ピックアップ
11 ピックアップベース
12 調整用ホルダ
13 対物レンズ
14 バネ
20 半導体レーザ
30 保護カバー
40,41 伝熱材
45 回路基板
46 支持枠体
47 フレキシブルプリント基板
60 DVD用半導体レーザ
61 CD用半導体レーザ
Claims (4)
- レーザ光源を備え、前記レーザ光源から光ビームを照射して光記録媒体に対して情報の記録又は再生を行う光ピックアップと、
前記光記録媒体を載置するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの上に載置された光記録媒体と前記光ピックアップとの間に介在され、前記光ピックアップを保護する保護カバーと、
前記光ピックアップと前記保護カバーとに接続され、前記光ピックアップから発生する熱を前記保護カバーに伝導する伝熱材と
を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 前記伝熱材の一方側は、前記レーザ光源を収容するパッケージあるいは前記パッケージを保持するホルダに接続されることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記伝熱材を押圧する弾性部材をさらに備え、
前記伝熱材の一端は前記弾性部材により押圧されて前記光ピックアップに固定され、
前記伝熱材の他端は前記弾性部材により押圧されて前記保護カバーに接触されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。 - 前記伝熱材を前記光ピックアップと保護カバー間に介在する板ばねとして形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。
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