JP2004309002A - プレート型ヒートパイプおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた熱輸送特性を有するプレート型ヒートパイプおよびその製造方法の提供。
【解決手段】二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、当該金属板の前記溝が形成された面が他方の金属板と接合されることにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなるプレート型ヒートパイプ。
【選択図】 図１
【解決手段】二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、当該金属板の前記溝が形成された面が他方の金属板と接合されることにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなるプレート型ヒートパイプ。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器の放熱に用いられるプレート型ヒートパイプおよびその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
情報処理の大容量、高速化に伴い、パソコンなどに用いられるＭＰＵの動作周波数は飛躍的に増大し、チップからの発熱量が増大している。デバイスの温度上昇を抑えるために、従来から各種のヒートシンクが用いられると共に、ファンにより強制冷却が行われている。このようなヒートシンクとして、従来、アルミニウムの押出成形品やスカイブフィンが用いられていた。
【０００３】
近年、放熱性を向上させるために、アルミニウムを複数枚積層圧着し、積層境界面に蛇行した中空流路をロールボンド法により形成し、その中空流路内にヒートパイプ作動液を封入したプレート型ヒートパイプが提案されている（例えば、特許文献１）。
【０００４】
また、金属板の接合面に溝を形成すると共に、接合面に表面活性化処理を施した後で圧着することにより中空管部を形成し、その中空管部にヒートパイプ作動液を封入して得られたプレート型ヒートパイプも提案されている（例えば、特許文献２）。
【０００５】
さらに、複数枚の金属板の対向面に極低圧下で活性化処理を施した後、所定のパターンの圧着抑止部に対応した非加圧部を圧接面に設けた圧接装置を用いて冷間圧接してプレート積層体とし、この圧着抑止部を膨らませて中空部を形成すると共に、中空部内にヒートパイプ作動液を封入して得られるプレート型ヒートパイプも提案されている（例えば、特許文献３）。
【０００６】
【特許文献１】
特開平１０−１８５４６５号公報
【特許文献２】
特開２００２−１６８５７８号公報
【特許文献３】
特開２００２−２１９５８２号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のプレート型ヒートパイプは、いずれも二枚の金属板を接合すると共に、接合面に中空管部を形成し、その中空管部にヒートパイプ作動液を封入するものであるが、中空管部内表面が平坦なため、ヒートパイプを垂直配置して使用した場合は、熱輸送特性が優れるものの、水平配置の場合は、熱輸送特性が極端に低下する。ヒートパイプは、発熱側で作動液を蒸発させ、その蒸気を放熱側で凝縮させるとともに凝縮された作動液を蒸発部へ戻して熱輸送を効率良く行うものであるが、中空管部内表面が平坦なヒートパイプを水平に配置した場合は、放熱側で凝縮された作動液が蒸発部へ戻りにくく、熱輸送特性が極端に低下するという問題がある。
【０００８】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するためになされたもので、優れた熱輸送特性を有するプレート型ヒートパイプおよびその製造方法の提供を目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、当該金属板の前記溝が形成された面が他方の金属板と接合されることにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなるプレート型ヒートパイプを提供する。
【００１０】
本発明においては、中空管路内面に形成された突条の毛細管力により、放熱側で凝縮されたヒートパイプ作動流体を蒸発部に戻すため、高い熱輸送性能を持つプレート型ヒートパイプを得ることができる。
【００１１】
また、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方の金属板に複数本の溝を平行に形成すると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条を形成し、前記溝を形成した面を他方の金属板と対向させて二枚の金属板を接合してから所定長さに切断して平行な複数本の中空管路を形成し、前記中空管路内に作動流体を封入するプレート型ヒートパイプの製造方法を提供する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明において、金属板としては、純銅（ＪＩＳ１０２０）またはりん脱酸銅（ＪＩＳ１２２０）からなる銅条を用いることが好ましく、他の元素を含有する銅合金からなるものであっても良い。溝の深さは、０．５ｍｍ以上であることが好ましく、０．５ｍｍを下回ると中空管路の断面寸法が小さいため、作動液の流動抵抗が大きくなり、ヒートパイプとしての熱輸送性能が不十分となる可能性がある。好ましくは、１ｍｍ〜５ｍｍの範囲である。溝底面に形成された突条は、高さが０．０５ｍｍ以上であることが好ましいが、溝の深さ以上にならないようにする必要がある。高さが０．０５ｍｍを下回ると、作動液の流動を促進する毛細管効果が不十分となり、熱輸送性能の向上効果が達成させない可能性がある。好ましくは、０．１ｍｍ〜０．３ｍｍの範囲である。突条の断面形状は特に制限されることなく、三角形、台形、矩形および半円形のいずれでもよい。
【００１３】
本発明においては、複数本の溝および溝の底面に突条を圧延等により連続的に形成した金属板を、対向する他の金属板と接合し、この接合体を所定の長さで切断して中空管路付きプレートを製作し、このプレートの両端に凹部を有するヘッダーを接合して各中空管路を連絡する通路を設けると共に密封処理を行い、中空管路内に作動流体を封入することにより、プレート型ヒートパイプを製造することができる。金属板の接合方法としては、特に制限されることなく、ろう付け、半田付け、真空ロールボンド等のいずれでもよい。
【００１４】
図１は、本発明のプレート型ヒートパイプの一実施の形態の説明図であり、図１（ａ）は、平面図、図１（ｂ）は、図１（ａ）のＡ−Ａ′線断面図である。１および２は金属板、３は中空管路、４は溝、５は突条である。平行に形成された複数本の溝４および溝４の底面に形成された突条５を有する金属板１と、平坦表面の金属板２が接合されることにより複数本の平行な中空管路３が形成されている。この中空管路３が形成された一方の端部には凹部８および作動流体導入口１０を有するヘッダー６が、他方の端部には凹部９を有するヘッダー７がそれぞれ接合されることにより、各中空管路３が連結されている。作動流体は、作動流体導入口１０から中空管路３内に充填され、かしめ１１を形成することにより、中空管路３内に作動流体が密封される。
【００１５】
次に、本発明のプレート型ヒートパイプの製造方法の一実施の形態を説明する。図２（ａ）は、溝が形成された金属板の平面図、図２（ｂ）は、図２（ａ）のＢ−Ｂ′線断面図である。溝４を形成するための突起および突条５を形成するための凹みを有するロールと、平坦表面のロールからなる溝圧延機により金属板を圧延して溝４および突条５を有する金属板１を連続的に製造する。金属板１の溝４を形成した面に平坦な金属板２（図１（ｂ）参照）を重ね合わせて接合し、この接合体を所定長さで切断すると、複数本の中空管路３を有するプレートが製造される。このプレートの一方端に、図３（ａ）の平面図および図３（ｂ）の断面図で示すように、凹部８および作動流体導入口１０を有するヘッダー６を接合し、他方端には、図４（ａ）の平面図および図４（ｂ）の断面図で示すように、凹部９を有するヘッダー７を接合し、作動流体導入口１０から作動流体を充填し、封止することによりプレート型ヒートパイプが製造される。
【００１６】
（実施例１）
図５に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ３ｍｍの銅条５１に圧延により深さ１．６ｍｍ、幅２ｍｍの溝５４を３．５ｍｍピッチで形成し、この溝５４の底面に高さ０．２ｍｍ、断面矩形の突条５５を０．４ｍｍのピッチで形成し、この銅条５１に厚さ０．５ｍｍの銅条５２を接合した。接合は、銀ろうシートを介して銅条５１と銅条５２を重ね合わせ、８５０℃に加熱した（Ｎ２＋１０％Ｈ２）雰囲気炉中に１０分間保持して行った。この接合体を１５０ｍｍの長さで切断し、図３および図４に示すようなヘッダーを両端に半田付けにより接合し、これによって形成された中空管路容積の約２０％に相当する量の水を封入してプレート型ヒートパイプを製造した。
【００１７】
（実施例２）
図６に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ２ｍｍの銅条６１に圧延により深さ１ｍｍ、幅１．５ｍｍの溝６４を２．５ｍｍピッチで形成し、この溝６４の底面に高さ０．１ｍｍ、断面三角形の突条６５を０．３ｍｍのピッチで形成し、この銅条６１に厚さ０．３ｍｍの銅条６２を接合し、実施例１と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００１８】
（実施例３）
図７に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ２ｍｍの銅条７１に圧延により深さ０．８ｍｍ、幅１ｍｍの溝７４を１．８ｍｍピッチで形成し、この溝７４の底面に高さ０．１５ｍｍ、断面三角形の突条７５を０．３ｍｍのピッチで形成し、この銅条７１に厚さ０．８ｍｍの銅条７２を接合し、実施例１と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００１９】
（実施例４）
図８に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ４ｍｍの銅条８１に圧延により深さ２．５ｍｍ、幅３ｍｍの溝８４を５．５ｍｍピッチで形成し、この溝８４の底面に高さ０．３ｍｍ、断面矩形の突条８５を０．６ｍｍのピッチで形成した。銅条８２に高さ０．３ｍｍ、断面矩形の突条８５′を０．６ｍｍのピッチで形成し、銅条８１の溝８４に銅条８２の突条８５′が対向するように二枚の銅条を接合した。接合は、銀ろうシートを介して銅条８１と銅条８２を重ね合わせ、８６０℃に加熱した（Ｎ２＋１０％Ｈ２）雰囲気炉中に１０分間保持して行った。続いて実施例１と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００２０】
（実施例５）
図９に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ１．５ｍｍの銅条９１に圧延により深さ０．８ｍｍ、幅１ｍｍの溝９４を２ｍｍピッチで形成し、この溝９４の底面に高さ０．１ｍｍ、断面矩形の突条９５を０．３５ｍｍのピッチで形成した。銅条９２にも銅条９１と同様に深さ０．８ｍｍ、幅１ｍｍの溝９４′を２ｍｍピッチで形成し、この溝９４′の底面に高さ０．１ｍｍ、断面矩形の突条９５′を０．３５ｍｍのピッチで形成した。続いて溝９５と溝９５′を対向させ実施例４と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００２１】
実施例１〜５のプレート型ヒートパイプはいずれも垂直、水平、斜め等の配置方向に関係なく優れた熱輸送特性を示した。
【００２２】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、前記溝が形成された面を他方の金属板と接合することにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなるプレート型ヒートパイプを提供するものであり、中空管路内面に形成された突条の毛細管力により、放熱側で凝縮されたヒートパイプ作動流体を蒸発部に戻すため、高い熱輸送性能を持つプレート型ヒートパイプを得ることができる。
【００２３】
また、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方の金属板に複数本の溝を平行に形成すると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条を形成し、前記溝を形成した面を他方の金属板と対向させて二枚の金属板を接合してから所定長さに切断して平行な複数本の中空管路を形成し、前記中空管路内に作動流体を封入するプレート型ヒートパイプの製造方法を提供するものであり、中空管路内に突条を有するプレート型ヒートパイプを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のプレート型ヒートパイプの一実施の形態の説明図。
【図２】本発明のプレート型ヒートパイプにおける金属板の一実施の形態の説明図。
【図３】本発明のプレート型ヒートパイプにおける一方のヘッダーの一実施の形態の説明図。
【図４】本発明のプレート型ヒートパイプにおける他方のヘッダーの一実施の形態の説明図。
【図５】実施例１に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図６】実施例２に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図７】実施例３に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図８】実施例４に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図９】実施例５に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【符号の説明】
１、２：金属板
３：中空管路
４：溝
５：突条
６、７：ヘッダー
８、９：凹部
１０：作動流体導入口
１１：かしめ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器の放熱に用いられるプレート型ヒートパイプおよびその製造方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
情報処理の大容量、高速化に伴い、パソコンなどに用いられるＭＰＵの動作周波数は飛躍的に増大し、チップからの発熱量が増大している。デバイスの温度上昇を抑えるために、従来から各種のヒートシンクが用いられると共に、ファンにより強制冷却が行われている。このようなヒートシンクとして、従来、アルミニウムの押出成形品やスカイブフィンが用いられていた。
【０００３】
近年、放熱性を向上させるために、アルミニウムを複数枚積層圧着し、積層境界面に蛇行した中空流路をロールボンド法により形成し、その中空流路内にヒートパイプ作動液を封入したプレート型ヒートパイプが提案されている（例えば、特許文献１）。
【０００４】
また、金属板の接合面に溝を形成すると共に、接合面に表面活性化処理を施した後で圧着することにより中空管部を形成し、その中空管部にヒートパイプ作動液を封入して得られたプレート型ヒートパイプも提案されている（例えば、特許文献２）。
【０００５】
さらに、複数枚の金属板の対向面に極低圧下で活性化処理を施した後、所定のパターンの圧着抑止部に対応した非加圧部を圧接面に設けた圧接装置を用いて冷間圧接してプレート積層体とし、この圧着抑止部を膨らませて中空部を形成すると共に、中空部内にヒートパイプ作動液を封入して得られるプレート型ヒートパイプも提案されている（例えば、特許文献３）。
【０００６】
【特許文献１】
特開平１０−１８５４６５号公報
【特許文献２】
特開２００２−１６８５７８号公報
【特許文献３】
特開２００２−２１９５８２号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のプレート型ヒートパイプは、いずれも二枚の金属板を接合すると共に、接合面に中空管部を形成し、その中空管部にヒートパイプ作動液を封入するものであるが、中空管部内表面が平坦なため、ヒートパイプを垂直配置して使用した場合は、熱輸送特性が優れるものの、水平配置の場合は、熱輸送特性が極端に低下する。ヒートパイプは、発熱側で作動液を蒸発させ、その蒸気を放熱側で凝縮させるとともに凝縮された作動液を蒸発部へ戻して熱輸送を効率良く行うものであるが、中空管部内表面が平坦なヒートパイプを水平に配置した場合は、放熱側で凝縮された作動液が蒸発部へ戻りにくく、熱輸送特性が極端に低下するという問題がある。
【０００８】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するためになされたもので、優れた熱輸送特性を有するプレート型ヒートパイプおよびその製造方法の提供を目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、当該金属板の前記溝が形成された面が他方の金属板と接合されることにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなるプレート型ヒートパイプを提供する。
【００１０】
本発明においては、中空管路内面に形成された突条の毛細管力により、放熱側で凝縮されたヒートパイプ作動流体を蒸発部に戻すため、高い熱輸送性能を持つプレート型ヒートパイプを得ることができる。
【００１１】
また、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方の金属板に複数本の溝を平行に形成すると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条を形成し、前記溝を形成した面を他方の金属板と対向させて二枚の金属板を接合してから所定長さに切断して平行な複数本の中空管路を形成し、前記中空管路内に作動流体を封入するプレート型ヒートパイプの製造方法を提供する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
本発明において、金属板としては、純銅（ＪＩＳ１０２０）またはりん脱酸銅（ＪＩＳ１２２０）からなる銅条を用いることが好ましく、他の元素を含有する銅合金からなるものであっても良い。溝の深さは、０．５ｍｍ以上であることが好ましく、０．５ｍｍを下回ると中空管路の断面寸法が小さいため、作動液の流動抵抗が大きくなり、ヒートパイプとしての熱輸送性能が不十分となる可能性がある。好ましくは、１ｍｍ〜５ｍｍの範囲である。溝底面に形成された突条は、高さが０．０５ｍｍ以上であることが好ましいが、溝の深さ以上にならないようにする必要がある。高さが０．０５ｍｍを下回ると、作動液の流動を促進する毛細管効果が不十分となり、熱輸送性能の向上効果が達成させない可能性がある。好ましくは、０．１ｍｍ〜０．３ｍｍの範囲である。突条の断面形状は特に制限されることなく、三角形、台形、矩形および半円形のいずれでもよい。
【００１３】
本発明においては、複数本の溝および溝の底面に突条を圧延等により連続的に形成した金属板を、対向する他の金属板と接合し、この接合体を所定の長さで切断して中空管路付きプレートを製作し、このプレートの両端に凹部を有するヘッダーを接合して各中空管路を連絡する通路を設けると共に密封処理を行い、中空管路内に作動流体を封入することにより、プレート型ヒートパイプを製造することができる。金属板の接合方法としては、特に制限されることなく、ろう付け、半田付け、真空ロールボンド等のいずれでもよい。
【００１４】
図１は、本発明のプレート型ヒートパイプの一実施の形態の説明図であり、図１（ａ）は、平面図、図１（ｂ）は、図１（ａ）のＡ−Ａ′線断面図である。１および２は金属板、３は中空管路、４は溝、５は突条である。平行に形成された複数本の溝４および溝４の底面に形成された突条５を有する金属板１と、平坦表面の金属板２が接合されることにより複数本の平行な中空管路３が形成されている。この中空管路３が形成された一方の端部には凹部８および作動流体導入口１０を有するヘッダー６が、他方の端部には凹部９を有するヘッダー７がそれぞれ接合されることにより、各中空管路３が連結されている。作動流体は、作動流体導入口１０から中空管路３内に充填され、かしめ１１を形成することにより、中空管路３内に作動流体が密封される。
【００１５】
次に、本発明のプレート型ヒートパイプの製造方法の一実施の形態を説明する。図２（ａ）は、溝が形成された金属板の平面図、図２（ｂ）は、図２（ａ）のＢ−Ｂ′線断面図である。溝４を形成するための突起および突条５を形成するための凹みを有するロールと、平坦表面のロールからなる溝圧延機により金属板を圧延して溝４および突条５を有する金属板１を連続的に製造する。金属板１の溝４を形成した面に平坦な金属板２（図１（ｂ）参照）を重ね合わせて接合し、この接合体を所定長さで切断すると、複数本の中空管路３を有するプレートが製造される。このプレートの一方端に、図３（ａ）の平面図および図３（ｂ）の断面図で示すように、凹部８および作動流体導入口１０を有するヘッダー６を接合し、他方端には、図４（ａ）の平面図および図４（ｂ）の断面図で示すように、凹部９を有するヘッダー７を接合し、作動流体導入口１０から作動流体を充填し、封止することによりプレート型ヒートパイプが製造される。
【００１６】
（実施例１）
図５に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ３ｍｍの銅条５１に圧延により深さ１．６ｍｍ、幅２ｍｍの溝５４を３．５ｍｍピッチで形成し、この溝５４の底面に高さ０．２ｍｍ、断面矩形の突条５５を０．４ｍｍのピッチで形成し、この銅条５１に厚さ０．５ｍｍの銅条５２を接合した。接合は、銀ろうシートを介して銅条５１と銅条５２を重ね合わせ、８５０℃に加熱した（Ｎ２＋１０％Ｈ２）雰囲気炉中に１０分間保持して行った。この接合体を１５０ｍｍの長さで切断し、図３および図４に示すようなヘッダーを両端に半田付けにより接合し、これによって形成された中空管路容積の約２０％に相当する量の水を封入してプレート型ヒートパイプを製造した。
【００１７】
（実施例２）
図６に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ２ｍｍの銅条６１に圧延により深さ１ｍｍ、幅１．５ｍｍの溝６４を２．５ｍｍピッチで形成し、この溝６４の底面に高さ０．１ｍｍ、断面三角形の突条６５を０．３ｍｍのピッチで形成し、この銅条６１に厚さ０．３ｍｍの銅条６２を接合し、実施例１と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００１８】
（実施例３）
図７に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ２ｍｍの銅条７１に圧延により深さ０．８ｍｍ、幅１ｍｍの溝７４を１．８ｍｍピッチで形成し、この溝７４の底面に高さ０．１５ｍｍ、断面三角形の突条７５を０．３ｍｍのピッチで形成し、この銅条７１に厚さ０．８ｍｍの銅条７２を接合し、実施例１と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００１９】
（実施例４）
図８に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ４ｍｍの銅条８１に圧延により深さ２．５ｍｍ、幅３ｍｍの溝８４を５．５ｍｍピッチで形成し、この溝８４の底面に高さ０．３ｍｍ、断面矩形の突条８５を０．６ｍｍのピッチで形成した。銅条８２に高さ０．３ｍｍ、断面矩形の突条８５′を０．６ｍｍのピッチで形成し、銅条８１の溝８４に銅条８２の突条８５′が対向するように二枚の銅条を接合した。接合は、銀ろうシートを介して銅条８１と銅条８２を重ね合わせ、８６０℃に加熱した（Ｎ２＋１０％Ｈ２）雰囲気炉中に１０分間保持して行った。続いて実施例１と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００２０】
（実施例５）
図９に示すような断面形状のプレート型ヒートパイプを製造した。すなわち、厚さ１．５ｍｍの銅条９１に圧延により深さ０．８ｍｍ、幅１ｍｍの溝９４を２ｍｍピッチで形成し、この溝９４の底面に高さ０．１ｍｍ、断面矩形の突条９５を０．３５ｍｍのピッチで形成した。銅条９２にも銅条９１と同様に深さ０．８ｍｍ、幅１ｍｍの溝９４′を２ｍｍピッチで形成し、この溝９４′の底面に高さ０．１ｍｍ、断面矩形の突条９５′を０．３５ｍｍのピッチで形成した。続いて溝９５と溝９５′を対向させ実施例４と同様にしてプレート型ヒートパイプを製造した。
【００２１】
実施例１〜５のプレート型ヒートパイプはいずれも垂直、水平、斜め等の配置方向に関係なく優れた熱輸送特性を示した。
【００２２】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、前記溝が形成された面を他方の金属板と接合することにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなるプレート型ヒートパイプを提供するものであり、中空管路内面に形成された突条の毛細管力により、放熱側で凝縮されたヒートパイプ作動流体を蒸発部に戻すため、高い熱輸送性能を持つプレート型ヒートパイプを得ることができる。
【００２３】
また、本発明は、二枚の金属板のうち少なくとも一方の金属板に複数本の溝を平行に形成すると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条を形成し、前記溝を形成した面を他方の金属板と対向させて二枚の金属板を接合してから所定長さに切断して平行な複数本の中空管路を形成し、前記中空管路内に作動流体を封入するプレート型ヒートパイプの製造方法を提供するものであり、中空管路内に突条を有するプレート型ヒートパイプを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のプレート型ヒートパイプの一実施の形態の説明図。
【図２】本発明のプレート型ヒートパイプにおける金属板の一実施の形態の説明図。
【図３】本発明のプレート型ヒートパイプにおける一方のヘッダーの一実施の形態の説明図。
【図４】本発明のプレート型ヒートパイプにおける他方のヘッダーの一実施の形態の説明図。
【図５】実施例１に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図６】実施例２に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図７】実施例３に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図８】実施例４に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【図９】実施例５に基づくプレート型ヒートパイプの断面説明図。
【符号の説明】
１、２：金属板
３：中空管路
４：溝
５：突条
６、７：ヘッダー
８、９：凹部
１０：作動流体導入口
１１：かしめ部
Claims (10)
- 二枚の金属板のうち少なくとも一方が、複数本の溝が平行に形成されると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条が形成された金属板であり、当該金属板の前記溝が形成された面が他方の金属板と接合されることにより、平行な複数本の中空管路が形成され、前記中空管路内に作動流体が封入されてなることを特徴とするプレート型ヒートパイプ。
- 前記二枚の金属板のうち一方の金属板にのみ前記溝が形成されている請求項１記載のプレート型ヒートパイプ。
- 前記溝が形成されない前記金属板における前記溝との対向面には前記溝の深さ以下の高さの突条が形成されている請求項２記載のプレート型ヒートパイプ。
- 前記二枚の金属板の双方ともに前記溝が形成され、前記溝を対向させて前記二枚の金属板が接合されている請求項１記載のプレート型ヒートパイプ。
- 前記複数本の中空管路の各々は、通路を介して連絡されている請求項１記載のプレート型ヒートパイプ。
- 前記溝の深さは、０．５ｍｍ以上である請求項１記載のプレート型ヒートパイプ。
- 前記突条の高さは、０．０５ｍｍ以上である請求項１記載のプレート型ヒートパイプ。
- 二枚の金属板のうち少なくとも一方の金属板に複数本の溝を平行に形成すると共に前記溝の底面に前記溝の深さ以下の高さの突条を形成し、前記溝を形成した面を他方の金属板と対向させて二枚の金属板を接合してから所定長さに切断して平行な複数本の中空管路を形成し、前記中空管路内に作動流体を封入することを特徴とするプレート型ヒートパイプの製造方法。
- 前記溝の深さは、０．５ｍｍ以上である請求項８記載のプレート型ヒートパイプの製造方法。
- 前記突条の高さは、０．０５ｍｍ以上である請求項８記載のプレート型ヒートパイプの製造方法。
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