JP2004308821A - ケースの固定構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】カバーをベースに係合固定してなるケースの固定構造において、カバーに設けられた爪とベースに設けられた孔の加工寸法を高精度にすることなく、カバーとベース間の各方向へのガタを無くし、固定強度が強化されたケースの固定構造、及び製造のバラツキを吸収できるケースの固定構造を実現する。
【解決手段】ベース55の側壁には、角孔56が設けられ、カバー51の側壁には、係合爪53,54が設けられてなり、ベース55にカバー51が嵌込まれた状態で、カバー51の1つの係合爪53が角孔56に当接するように押圧されて折曲げられ、ベース55にカバー51が固定されてなることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】ベース55の側壁には、角孔56が設けられ、カバー51の側壁には、係合爪53,54が設けられてなり、ベース55にカバー51が嵌込まれた状態で、カバー51の1つの係合爪53が角孔56に当接するように押圧されて折曲げられ、ベース55にカバー51が固定されてなることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の部品の固定構造に関するもので、例えばベースとカバーから構成されるケースの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベースとカバーから構成されるケースの固定構造には、一般にベースにカバーを嵌込んだ状態で、ネジを用いてカバーをベースに取付け固定するものと、カバーに設けられた爪をベースに係合して固定するもの等がある。この爪を用いた従来のケースの固定構造の一例について、図面を参照して説明する。
【0003】
図8は、従来のケースの固定構造を示す図で、(a)は第1の従来例によるケースの固定構造を示す斜視図、(b)は図8(a)の固定状態を示す断面図、(c)は第2の従来例によるケースの固定構造を示す斜視図、(d)は図8(c)の固定状態を示す断面図である。
【0004】
第1の従来例によるケースの固定構造60は、ベース64とカバー61等により構成されている。
【0005】
カバー61は、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。また、このカバー61には、側壁の下部面に突出した爪62、63がそれぞれ形成されている。
【0006】
ベース64は、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。
【0007】
このケースの固定構造60は、カバー61をベース64に嵌め込んだ状態で、カバー61の爪62、63をベース64の下部外周64aに沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー61をベース64に係合固定するようにしたものである。
【0008】
第2の従来例によるケースの固定構造70は、ベース74とカバー71等により構成されている。
【0009】
カバー71は、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。このカバー71には、側壁の下部近傍にベース74の角孔75に係合する上爪72と下爪73がカバーの嵌め込み方向に対し垂直となる方向にそれぞれ折曲げ可能に、図8(c)に示す上下の位置に凸形状に形成されている。
【0010】
ベース74は、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。このベース74の側壁には、カバー71の爪72、73が係合するカバーの嵌め込み方向に対し垂直となる2辺75a、75bを有する角孔75が爪72、73と対向する位置に形成されている。
【0011】
このケースの固定構造70は、カバー71をベース74に嵌め込んだ状態で、ベース74の角孔75にカバー71の爪72、73の位置を合わせ、爪72、73を角孔75に治具等により押込んで、上爪72を角孔75の上部の辺75aに、また、下爪73を角孔75の下部の辺75bにそれぞれ沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー71をベース74に係合固定するようにしたものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0012】
この出願の発明に関する先行技術文献としては次のものがある。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−242084号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなベースとカバーから構成されるケースの固定構造は、第1の従来例の爪によるケースの固定構造では、爪をベースの底面に密着させて曲げるのが難しく、組立て時にベースとカバーの間の各方向にベースとカバーの加工寸法誤差等に基因したガタが生じ易く、組立て固定後のベースとカバーの押圧固定力が得難いためズレが生じる恐れがある。また、第2の従来例の爪によるケースの固定構造では、カバーに形成された上下の爪を、角孔の上部の辺と下部の辺にそれぞれ沿わせて折り曲げ、係合固定するようにしたものなので、カバーの嵌め込み方向へのベースとカバーの間のガタとズレは防止できるが、嵌め込み方向に対し垂直となる2方向には、ベースとカバーの加工寸法誤差等に基因したガタが生じ易く、組立て固定後のベースとカバーの押圧固定力が得難いためズレが生じる恐れがある。また、このズレ等により異音が発生する恐れがある。
【0015】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたもので、異音の発生を防ぐことができ、また、各方向へのベースとカバーのガタをなくし、固定強度を強化できるケースの固定構造、及び製造バラツキを吸収できるケースの固定構造を実現することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ベースとカバーで構成されるケースの固定構造において、前記ベースの側壁には、角孔が設けられ、前記カバーの側壁には、係合爪が設けられてなり、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記カバーの1つの係合爪が前記角孔に当接するように押圧されて折曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするものである。
【0017】
また、前記カバーの1つの係合爪は、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記角孔の1つの頂点から延びる二辺に当接するように押圧されて折曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするものである。
【0018】
また、前記カバーの側壁には、前記角孔の対向する頂点から延びる二辺にそれぞれ折り曲げられる2つの係合爪が設けられてなることを特徴とするものである。
【0019】
また、前記ベースの側壁には、少なくとも2箇所に角孔が設けられ、前記角孔の一方が、他方に対し傾いて形成されてなることを特徴とするものである。
【0020】
また、前記角孔は正多角形であり、前記角孔の一方が他方に対し、隣接する2つの頂点で構成される中心角の半分の角度だけ傾いて形成されてなることを特徴とするものである。
【0021】
また、前記ベースの側壁には、少なくとも2箇所に形状の異なる孔が設けられてなることを特徴とするものである。
【0022】
また、ベースとカバーで構成されるケースの固定構造において、前記ベースの側壁には、斜辺を有する角孔が設けられ、前記カバーの側壁には、係合爪が設けられてなり、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記カバーの1つの係合爪が前記角孔の斜辺に沿って押圧されて折り曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの固定詳細正面図、(c)はA−A’断面図である。また、図2は本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図で、(a)は側部正面図、(b)はB−B’断面図である。
【0025】
尚、第1の実施の形態に係るものから第5の実施の形態に係るものまでのベースとカバーの固定方法等については、本第1の実施の形態で、図1(a)を参照して説明し、その他の実施の形態では説明を省略する。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造50は、ベース55とカバー51等により構成されている。
【0027】
カバー51は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー51には、図1と図2に示すように、側壁の下部近傍にベース55に設けられた四角形形状の角孔56に係合するテーパ面を有する台形形状の左爪53と右爪54が、角孔56の上部切り口の一端面56a、56bと両側切り口の一端面56c、56dにそれぞれ当接押圧されて折曲げ可能に、左右の位置に形成されている。この左爪53は、テーパ面53aの一端面が角孔56の上部切り口の一端面56aに当接し、下部面53bの一端面が角孔56の左側切り口の一端面56cに当接するように台形形状に形成されている。
【0028】
また、右爪54は、テーパ面54aの一端面が角孔56の上部切り口の一端面56bに当接し、下部面54bの一端面が角孔56の右側切り口の一端面56dに当接するように台形形状に形成されている。
【0029】
尚、本実施例によるカバー51に設けられた左爪53と右爪54は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、テーパ面を有する三角形状等に突出して形成するようにしても良い。また、本第1の実施例では、カバー51の左右に左爪53と右爪54を設けているが、これにこだわることなく、カバー51の上下に爪をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0030】
ベース55は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース55には、側壁にカバー51のテーパ面を有する台形形状の爪53、54を係合する四角形形状の角孔56が形成されている。また、このベース55の側壁の底面部には、突出したリブ55aが形成され、このリブ55aにカバー51の側壁の底面51aが当接押圧され、カバーの嵌め込み方向へのガタが無くなるようにされている。
【0031】
尚、本実施例では、カバー51とベース55を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0032】
このケースの固定構造50は、例えば、カバー51をベース55に、図1(a)に示すF50の方向に嵌め込み、カバー51の側壁の底面51aをベース55のリブ55aに当接した状態で、ベース55の角孔56にカバー51の左爪53と右爪54の位置をそれぞれ合わせ、左爪53と右爪54を角孔56に治具等により押込んで折り曲げ、カバー51をベース55に係合固定するようにしたものである。
【0033】
この左爪53の係合固定は、左爪53のテーパ面53aの一端面を角孔56の上部切り口の一端面56aに、また、下部面53bの一端面を角孔56の左側切り口の一端面56cにそれぞれ当接して押圧し、左爪53を上部切り口の一端面56aと左側切り口の一端面56cとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。そして、右爪54の係合固定は、右爪54のテーパ面54aの一端面を角孔56の上部切り口の一端面56bに、また、下部面54bの一端面を角孔56の右側切り口の一端面56dにそれぞれ当接して押圧し、右爪54を上部切り口の一端面56bと右側切り口の一端面56dとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0034】
この左爪53と右爪54の角孔56への係合は、カバー51の底面51aをベース55のリブ55aに押圧するとともに、左爪53と右爪54を角孔56に押圧して行い、カバー51とベース55間の各方向へのガタを無くするようにしたもので、この係合固定の一例について、図2を参照して説明する。
【0035】
カバー51に設けられた左爪53による角孔56の上部切り口の一端面56aと左側切り口の一端面56cへの押圧においては、左爪53の上部切り口53aの一端面をベース55の角孔56の上部切り口の一端面56aに当接押圧し、左爪53の下部面53bの一端面を角孔56の左側切り口の一端面56cにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面56aと左側切り口の一端面56cには、それぞれ法線方向に押圧合力P70が加わることになる。
【0036】
この押圧合力P70は、カバー51の嵌め込み方向(図2(a)に示す矢印F50方向)に対向した方向(図2(a)に示す上方向)への押圧分力P72と嵌め込み方向(F50)に対し垂直となる方向(図2(a)に示す左方向)への押圧分力P71に分割され、押圧分力P72と押圧分力P71により、カバー51がベース55に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0037】
また、右爪54による角孔56の上部切り口の一端面56bと右側切り口の一端面56dへの押圧においては、右爪54の上部切り口54aの一端面をベース55の角孔56の上部切り口の一端面56bに当接押圧し、右爪54の下部面54bの一端面を角孔56の右側切り口の一端面56dにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面56bと右側切り口の一端面56dには、それぞれ法線方向に押圧合力P73が加わることになる。
【0038】
この押圧合力P73は、カバー51の嵌め込み方向(F50)に対向した方向(図2(a)に示す上方向)への押圧分力P75と嵌め込み方向(F50)に対し垂直となる方向(図2(a)に示す右方向)への押圧分力P74に分割され、押圧分力P75と押圧分力P74により、カバー51がベース55に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。そして、カバー51をベース55に嵌め込みする方向(F50)のガタは、カバー51の嵌め込み時に、カバー51の底面51aがベース55のリブ55aに押圧P76されて防止されている。
【0039】
尚、本実施例によるカバー51を嵌め込みする方向へのガタは、ベース55にリブ55aを設けて、カバー51の底面51aを当接押圧P76して防止しているが、これにこだわることなく、カバー51とベース55にその他の嵌め込み方向の位置決めを行う機能を持たせるようにしても良い。
【0040】
これにより、角孔56と爪53、54の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合できるため、カバー51とベース55間における各方向のガタが押圧により防止されることになる。
【0041】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係わるケースの固定構造50によれば、カバー51に設けられたテーパ面を有する各爪53、54をベース55に形成された角孔56の上部切り口の一端面56a、56bと左右両側切り口の一端面56c、56dにそれぞれ当接して折り曲げて係合することにより、角孔56を加工し易い四角形形状に形成できる。しかも各爪53、54のテーパ面により、加工寸法誤差に対応できるので、角孔56と爪53、54の加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成により、カバー51とベース55間における各方向のガタを無くすることができ、また異音の発生を防ぐことが可能となる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。
【0042】
更に、本実施例ではカバー51の側壁の底面51aをベース55の側壁のリブ55aに当接させたことで、カバー51のベース55への位置決めを容易にし、カバー51とベース55のズレを防ぎ、固定強度を強化することを可能にしたが、リブ55aは必要に応じて設ければ良い。そして、カバー51の側壁に設けられた爪53、54とベース55の側壁に設けられた角孔56は、少なくとも対向する各側壁の1ヵ所に設置するだけでカバーとベースを係合固定することが可能となる。尚、角孔56に対して、1つのテーパを有する爪と他の係合手段、例えばネジ等を組み合わせてカバーとベースを係合させることも可能である。
【0043】
本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0044】
図3は本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの固定詳細正面図、(c)はC−C’断面図である。
【0045】
本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造40は、第1の実施の形態に係るものに対し、図3に示すように、ベース45の側壁の2ヶ所に設けられた角孔46が、それぞれ左右が対称的に傾斜した4辺の切り口を備えた四角形形状に形成されている。この角孔46の左上部切り口の一端面46aと右上部切り口の一端面46bにはカバー41の上部爪43が係合され、また、角孔46の左下部切り口の一端面46cと右下部切り口の一端面46dにはカバー41の下部爪44が係合されたもので、ベース45にリブを設けることなくカバー41の嵌め込む方向のガタも無くして係止されている。
【0046】
カバー41は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー41には、図3に示すように、側壁の下部近傍の2ヵ所にベース45に設けられた四角形形状の角孔46に係合する上部爪43と下部爪44が、角孔46の切り口の一端面に当接押圧されてそれぞれ折曲げ可能に、上下の位置に抜き孔42を設けて四角形形状に形成されている。
【0047】
尚、本実施例によるカバー41に設けられた上部爪43と下部爪44は、それぞれ四角形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、テーパ面を有する台形形状、又は三角形状等に突出して形成するようにしても良い。また、本実施例では、カバー41の上下に上部爪43と下部爪44を設けているが、これにこだわることなく、カバー41の左右に爪をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0048】
ベース45は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース45には、側壁の2ヶ所にカバー41の爪43、44を係合する角孔46が、爪43、44と対向する位置に、カバー41の嵌め込み方向に対し左右がそれぞれ対称的に傾斜した4辺の切り口を有する四角形形状に形成されている。
【0049】
尚、本実施例では、カバー41とベース45の側壁の2ヵ所にそれぞれ爪43、44と角孔46が設けられているが、これにこだわることなく、カバー41とベース45の少なくとも対向する側壁の1ヵ所にだけ、爪43、44と角孔46をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0050】
また、本実施例では、カバー41とベース45を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0051】
このケースの固定構造40は、カバー41をベース45に嵌め込み、ベース45の角孔46の位置にカバー41の上部爪43と下部爪44をそれぞれ合わせ、上部爪43と下部爪44を角孔46に治具等により押込んで折り曲げ、カバー41をベース45に係合固定するようにしたものである。この上部爪43の係合固定は、上部爪43の左側の一端面を角孔46の左上部切り口の一端面46aに、また、右側の一端面を角孔46の右上部切り口の一端面46bにそれぞれ当接して押圧し、上部爪43を左上部切り口の一端面46aと右上部切り口の一端面46bとを結ぶ線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0052】
また、下部爪44の係合固定は、下部爪44の左側の一端面を角孔46の左下部切り口の一端面46cに、また、右側の一端面を角孔46の右下部切り口の一端面46dにそれぞれ当接して押圧し、左下部切り口の一端面46cと右下部切り口の一端面46dとを結ぶ線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0053】
この上部爪43と下部爪44の角孔46への係合は、上部爪43と下部爪44をそれぞれ角孔46に押圧して行い、カバー41とベース45間の各方向へのガタを無くするようにしたもので、この係合固定の一例について、図3を参照して説明する。
【0054】
上部爪43による角孔46の左上部切り口と右上部切り口への押圧においては、カバー41に設けられた上部爪43の左側の一端面をベース45に設けられた角孔46の左上部切り口の一端面46aに当接押圧し、上部爪43の右側の一端面を角孔46の右上部切り口の一端面46bに当接押圧することにより、左上部切り口の押圧端面46aには法線方向に押圧合力P51が加わり、右上部切り口の押圧端面46bには法線方向に押圧合力P54が加わることになる。この押圧合力P51は、カバー41の嵌め込み方向に対向した方向(図3(b)に示す上方向)への押圧分力P53と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す左方向)への押圧分力P52に分割され、押圧分力P53と押圧分力P52により、カバー51がベース55に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。そして、押圧合力P54は、カバー41の嵌め込み方向に対向した方向(図3(b)に示す上方向)への押圧分力P56と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す右方向)への押圧分力P55に分割され、押圧分力P56と押圧分力P55により、カバー51がベース55に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0055】
また、下部爪44による角孔46の左下部切り口と右下部切り口への押圧においては、カバー41に設けられた下部爪44の左側の一端面をベース45に設けられた角孔46の左下部切り口の一端面46cに当接押圧し、下部爪44の右側の一端面を角孔46の右下部切り口の一端面46dに当接押圧することにより、左下部切り口の押圧端面46cには法線方向に押圧合力P57が加わり、右下部切り口の押圧端面46dには法線方向に押圧合力P60が加わることになる。この押圧合力P57は、カバー41の嵌め込み方向(図3(b)に示す下方向)への押圧分力P59と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す左方向)への押圧分力P58に分割され、押圧分力P59と押圧分力P58により、カバー41がベース45に、下方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。そして、押圧合力P60は、カバー41の嵌め込み方向(図3(b)に示す下方向)への押圧分力P62と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す右方向)への押圧分力P61に分割され、押圧分力P62と押圧分力P61により、カバー41がベース45に、下方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0056】
このように、爪43、44が係合する角孔46の二辺がテーパ状態なので、角孔46と爪43、44の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合できるため、カバー11とベース15間の各方向へのガタが押圧により防止されることになる。
【0057】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造40によれば、カバー41の爪43、44をベース45の角孔46の左上部切り口、右上部切り口と左下部切り口、右下部切り口のそれぞれの一端面46a、46b、46c、46dに当接して折り曲げて係合することにより、角孔46と爪43、44の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくカバー41とベース45間の各方向へのガタを無くして係合固定することができ、また異音の発生を防ぐことができる。
【0058】
また、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いる必要がなく、剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば、更にコストが削減できる。また、カバー41の爪43、44で角孔46の左上部切り口、右上部切り口と左下部切り口、右下部切り口をそれぞれ押圧した状態で、カバー41をベース45に係合できるため、カバー31のベース35への位置決めが容易で、カバー41とベース45間の各方向へのズレを防ぐことができ、固定強度がより強化できる。そして、カバー41の側壁に設けられた爪43、44とベース45の側壁に設けられた角孔46は、少なくとも対向する各側壁の1ヵ所に設置するだけで、各方向へのガタを無くして係合固定することが可能となる。また、爪43、44をカバー41の嵌め込み方向に設けているので、第1の実施の形態に係るリブを設ける必要がない。
【0059】
本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0060】
図4は本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの第1固定孔部詳細正面図、(c)はベースとカバーの第2固定孔部詳細正面図である。
【0061】
本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造30は、第1の実施の形態に係るものに対し、図4に示すように、ベース35の側壁の下部近傍の少なくとも2箇所に四角形形状の第1固定孔36と該第1固定孔36に対し傾いて形成された四角形形状の第2固定孔37が設けられ、この第1固定孔36にはカバー31に設けられた台形形状の爪33、34が係合され、第2固定孔37にはカバー31に設けられた爪33、34と同一形状の爪38、39がそれぞれ係合されるようにしたものである。
【0062】
カバー31は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー31の側壁の下部近傍には、図4に示すように、ベース35に設けられた四角形形状の第1固定孔36に係合する左爪33と右爪34、及び第2固定孔37に係合する左爪38と右爪39とがそれぞれ設けられている。この第1固定孔36に係合する左爪33は角孔36の上部切り口の一端面36aと左側切り口の一端面36cに当接押圧されて折曲げ可能に、また、右爪34は角孔36の上部切り口の一端面36bと右側切り口の一端面36dに当接押圧されて折曲げ可能に、それぞれ左右の位置に抜き孔32を設けて台形形状に形成されている。
【0063】
そして、第2固定孔37に係合する左爪38は傾いて形成された角孔37の左側切り口の一端面37aと下部切り口の一端面37cに当接押圧されて折曲げ可能に、また、右爪39は角孔37の上部切り口の一端面37bと右側切り口の一端面37dに当接押圧されて折曲げ可能に、それぞれ左右の位置に抜き孔32を設けて台形形状に形成されている。尚、本実施例によるカバー31に設けられた左爪33(又は、38)と右爪34(又は、39)は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、テーパを有する三角形状、又は四角形状等に突出して形成するようにしても良い。また、本実施例では、カバー31の左右に左爪33(又は、38)と右爪34(又は、39)を設けているが、これにこだわることなく、カバー31の上下に各爪をそれぞれ設けるようにしても良い。また、一方の爪の組み合わせを左右に設け、他方の爪の組み合わせを上下に設けても良い。
【0064】
ベース35は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース35には、側壁の下部近傍の2箇所に、カバー31の爪33、34を係合する四角形形状の第1固定孔36と、爪38、39を係合する四角形形状の第2固定孔37が、それぞれの各爪33、34、38、39に対向した位置に形成されている。
【0065】
この第1固定孔36は、図4に示すように、四角形形状に形成されている。そして、第2固定孔37は、図4に示すように、四角形形状の第1固定孔36を傾けた状態に形成されている。尚、第1固定孔36が左側に、第2固定孔37が右側にそれぞれ設けられているが、この配置は左右が逆であっても良い。また、本実施例では、ベース35の側壁の2箇所に固定孔36、37を設けてカバー31の各爪を係合するようにしているが、これにこだわることなく、カバー31とベース35の嵌め込み状況に応じて、固定孔を複数ヵ所に設け、この固定孔に対応したカバーの爪をそれぞれ係合するようにしても良い。
【0066】
尚、本実施例では、カバー31とベース35を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0067】
このケースの固定構造30は、カバー31をベース35に嵌め込み、ベース35の各孔36、37の位置にカバー31の各爪33、34、38、39をそれぞれ合わせ、爪33、34を第1固定孔36に、爪38、39を第2固定孔37に、それぞれ治具等により押込んで折り曲げ、カバー31をベース35に係合固定するようにしたものである。
【0068】
第1固定孔36への爪33、34の係合においては、左爪33のテーパ面の一端面を角孔36の上部切り口の一端面36aに、また、左爪33の下部面の一端面を角孔36の左側切り口の一端面36cにそれぞれ当接して押圧し、左爪33を上部切り口の一端面36aと左側切り口の一端面36cとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。そして、右爪34の係合固定は、右爪34のテーパ面の一端面を角孔36の上部切り口の一端面36bに、また、右爪34の下部面の一端面を角孔36の右側切り口の一端面36dにそれぞれ当接して押圧し、右爪34を上部切り口の一端面36bと右側切り口の一端面36dとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げ、カバー31をベース35に係合固定するようにしている。
【0069】
そして、第2固定孔37への爪38、39の係合においては、左爪38のテーパ面の一端面を角孔37の左側切り口(角孔37の左側の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37aに、また、左爪38の下部面の一端面を角孔37の下部切り口(角孔37の下部の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37cにそれぞれ当接して押圧し、左爪38を左側切り口の一端面37aと下部切り口の一端面37cとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0070】
そして、右爪39の係合固定は、右爪39のテーパ面の一端面を角孔37の上部切り口(角孔37の上部の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37bに、また、右爪39の下部面の一端面を角孔37の右側切り口(角孔37の右側の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37dにそれぞれ当接して押圧し、右爪39を上部切り口の一端面37bと右側切り口の一端面37dとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げ、カバー31をベース35にそれぞれ係合固定するようにしている。
【0071】
この第1固定孔36への爪33、34の押圧による係合と、第2固定孔37への爪38、39の押圧による係合は、カバー31とベース35間の各方向へのガタを無くするようにしたもので、この係合固定の一例について、図4を参照して説明する。
【0072】
第1固定孔36への爪33、34の係合においては、左爪33の上部切り口の一端面をベース35の角孔36の上部切り口の一端面36aに当接押圧し、左爪33の下部面の一端面を角孔36の左側切り口の一端面36cにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面36aと左側切り口の一端面36cには、それぞれ法線方向に押圧合力P30が加わることになる。この押圧合力P30が、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P32と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す左方向)への押圧分力P31に分割され、押圧分力P31と押圧分力P32により、カバー31がベース35に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。また、右爪34の上部切り口の一端面をベース35の角孔36の上部切り口の一端面36bに当接押圧し、右爪34の下部面の一端面を角孔36の右側切り口の一端面36dにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面36bと右側切り口の一端面36dには、それぞれ法線方向に押圧合力P33が加わることになる。この押圧合力P33が、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P35と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す右方向)への押圧分力P34に分割され、押圧分力P34と押圧分力P35により、カバー31がベース35に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0073】
第2固定孔37への爪38、39の係合においては、左爪38の上部切り口の一端面をベース35の角孔37の左側切り口の一端面37aに当接押圧し、左爪38の下部面の一端面を角孔37の下部切り口の一端面37cにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、左側切り口の一端面37aには法線方向に押圧合力P36が加わり、下部切り口の一端面37cには、法線方向に押圧合力P39が加わることになる。この押圧合力P36は、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P38と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す左方向)への押圧分力P37に分割され、押圧分力P37と押圧分力P38により、カバー31がベース35に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。一方、押圧合力P39は、カバー31の嵌め込み方向(図4(b)に示す下方向)への押圧分力P41と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す左方向)への押圧分力P40に分割され、押圧分力P40と押圧分力P41により、カバー31がベース35に、下方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0074】
また、右爪39の上部切り口の一端面をベース35の角孔37の上部切り口の一端面37bに当接押圧し、右爪39の下部面の一端面を角孔37の右側切り口の一端面37dにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面37bには法線方向に押圧合力P42が加わり、右側切り口の一端面37dには、法線方向に押圧合力P45が加わることになる。この押圧合力P42は、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P44と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す右方向)への押圧分力P43に分割され、押圧分力P43と押圧分力P44により、カバー31がベース35に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。一方、押圧合力P45は、カバー31の嵌め込み方向 (図4(b)に示す下方向)への押圧分力P47と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す右方向)への押圧分力P46に分割され、押圧分力P46と押圧分力P47により、カバー31がベース35に、下方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0075】
この第1固定孔36への爪33、34の押圧係合と第2固定孔37への爪38、39の押圧係合により、加工寸法の誤差等によるカバー31とベース35間の各方向へのガタが防止されることになる。
【0076】
尚、その他の実施の形態に係わるケースの固定構造として、図示していないが、ベース35の側壁に設けられた四角形形状に形成された第1固定孔が、六角形形状等の正多角形形状に形成され、第2固定孔が、第1固定孔の隣接する2つの頂点で構成される中心角の半分の角度だけ傾けられた状態にして形成され、それぞれの固定孔にカバーに設けられた固定孔に対応する爪をそれぞれ係合固定するようにしたものもある。この場合、第1固定孔の各頂点と第2固定孔の各頂点の向きが互い違いとなるので、係合される爪による押圧合力が各方向に加わることとなり、効率良くガタの防止ができ、強固に固定することができる。また、、第1固定孔と第2固定孔のいずれか一方に係合する爪を左右に設け、他方を上下に設けても良い。また、六角以上の正多角形形状にする場合には、係合される爪が、テーパを形成する二つの切り口に係合しても良い。
【0077】
また、その他にも、第1固定孔と第2固定孔がそれぞれ異なる形状(例えば、四角形形状と三角形形状等)に形成されたものもある。このその他の実施の形態に係わるケースの固定構造も、本発明の第3の実施の形態に係るものと同様に、カバーとベース間の各方向へのガタを無くした機能を有したものである。
【0078】
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造30によれば、カバー31に設けられた爪33、34は、ベース35に設けられた第1固定孔36の上部切り口の一端面36a、36bと両側切り口の一端面36c、36dにそれぞれ当接押圧して折り曲げて係合し、爪38、39は、第2固定孔37の左側切り口の一端面37a、下部切り口の一端面37cと上部切り口の一端面37b、右側切り口の一端面37dにそれぞれ当接押圧して折り曲げて係合することにより、第1固定孔36と第2固定孔37、及び各爪33、34、38、39の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成によれば、カバー31とベース35間の各方向へのガタを無くすることができ、また、異音の発生を防ぐことができる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質であれは実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。また、カバー31の嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバー31をベース35に係合できるため、カバー31とベース35間のズレを防ぎ、固定強度を強化することができる。
【0079】
本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0080】
図5は本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの固定詳細正面図、(c)はD−D’断面図である。また、図6は本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図で、(a)は側部正面図、(b)はE−E’断面図である。
【0081】
本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造10は、第1の実施の形態に係るものに対し、図5に示すように、ベース15の側壁の下部近傍の2箇所に左右がそれぞれ対称的に傾斜した切り口16a、16bを有する台形形状に形成された角孔16が設けられたものである。この角孔16の切り口16a、16bに沿って、カバー11に設けられた台形形状の爪13、14が当接押圧されて折り曲げられ、カバー11がベース15に係合固定されている。
【0082】
カバー11は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー11には、図5に示すように、側壁の下部近傍にベース15に設けられた台形形状の角孔16に係合する左爪13と右爪14が、角孔16の切り口16a、16bに沿ってそれぞれ折曲げ可能に、左右の位置に、それぞれ抜き孔12を設けて台形形状に形成されている。
【0083】
ベース15は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース15には、側壁にカバー11の爪13、14と係合する角孔16が、爪13、14と対向する位置にカバーの嵌め込み方向(F10)に対し左右がそれぞれ対称的に傾斜した切り口16a、16bを有する台形形状に形成されている。また、このベース15の側壁の底面部には、突出したリブ15aが形成され、このリブ15aにカバー11の側壁の底面11aが当接押圧され、カバーの嵌め込み方向へのガタが無くなるようにされている。
【0084】
尚、本実施例では、カバー11とベース15を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0085】
このケースの固定構造10は、例えば、カバー11をベース15に嵌め込み、カバー11の側壁の底面11aをベース15のリブ15aに当接した状態で、ベース15の各角孔16にカバー11の各爪13、14の位置をそれぞれ合わせ、各爪13、14を各角孔16に治具等により押込んで、各側壁の左爪13を各角孔16の左側切り口16aに、また、各側壁の右爪14を各角孔16の右側切り口16bにそれぞれ沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー11をベース15に係合固定するようにしたものである。
【0086】
そして、カバー11の爪13、14とベース15の角孔16は、少なくとも対向する側壁の1ヶ所に設けられ、それぞれが係合されてカバー11とベース15が固定されている。
【0087】
この左爪13と右爪14による角孔16の切り口16a、16bへの押圧(P11、P12、P14、P15)と、カバー11の底面11aによるベース15のリブ15aへの押圧(P16)による各方向へのガタ等が無くされたカバー11とベース15の係合方法について、その一例を図6を参照して説明する。
【0088】
左爪13による角孔16の左側切り口16aへの押圧においては、カバー11に設けられた左爪13の折り曲げられた内側の一辺でベース15に設けられた角孔16の左側切り口16aを押圧することにより、押圧面16aの法線方向には押圧合力P10が加わることになる。この押圧合力P10が、カバー11の嵌め込み方向(図6(a)に示す矢印F10方向)に対向した方向(図6(a)に示す上方向)への押圧分力P12と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図6(a)に示す左方向)への押圧分力P11に分割され、押圧分力P12と押圧分力P11により、カバー11がベース15に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0089】
また、右爪14による角孔16の右側切り口16bへの押圧においては、カバー11に設けられた右爪14の折り曲げられた内側の一辺でベース15に設けられた角孔16の右側切り口16bを押圧することにより、押圧面16bの法線方向には押圧合力P13が加わることになる。この押圧合力P13が、カバー11の嵌め込み方向F10に対向した方向(図6(a)に示す上方向)への押圧分力P15と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図6(a)に示す右方向)への押圧分力P14に分割され、押圧分力P14と押圧分力P15により、カバー11がベース15に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0090】
そして、カバー11をベース15に嵌め込みする方向F10へのガタは、カバー11の嵌め込み時に、カバー1の底面11aがベース15のリブ15aに押圧P16されて防止されている。
【0091】
これにより、角孔16と爪13、14の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合ができるため、カバー11とベース15間の各方向へのガタが押圧により防止されることになる。
【0092】
尚、本実施例によるカバー11を嵌め込みする方向F10へのガタは、ベース15にリブ15aを設けて、カバー11の底面11aを当接押圧P16して防止しているが、これにこだわることなく、リブ15aは必要に応じて設ければ良く、また、カバー11とベース15に、嵌め込みする方向への位置決めを行うための機能を有するその他の方法を持たせるようにしても良い。
【0093】
また、本実施例によるカバー11に設けられた左爪13と右爪14は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、三角形状又は四角形形状等に突出して形成するようにしても良い。
【0094】
また、各爪13、14を各角孔16に押込む治具等は、各角孔16の形状に対応させた形状に形成し、折り曲げが容易に行えるようにすることもできる。
【0095】
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造10によれば、カバー11の側壁の底面11aをベース15の側壁のリブ15aに当接した状態で、カバー11の爪13、14をベース15の角孔16の左右の切り口16a、16bに沿わせて押圧して折り曲げて係合することにより、角孔16と爪13、14の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成によれば、カバー11とベース15間の各方向へのガタを無くすることができ、また、異音の発生を防ぐことができる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。また、カバー11の嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバー11をベース15に係合できるため、カバー11のベース15への位置決めが容易で、カバー11とベース15のズレを防ぎ、固定強度を強化することができる。
【0096】
本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0097】
図7は本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図で、(a)は側部正面図、(b)F−F’断面図、(c)はG−G’断面図である。
【0098】
本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造20は、第4の実施の形態に係るものに対し、図7に示すように、ベース25の側壁に設けられた角孔26が、左右の切り口26a、26bを同一方向に傾斜させた平行四辺形形状に形成され、カバーの嵌め込む方向を係止するために設けられたベースのリブが省かれたものである。
【0099】
カバー21は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー21には、図7に示すように、側壁の下部近傍にベース25に設けられた平行四辺形形状の角孔26に係合する左爪23と右爪24が、カバー21の嵌め込み方向に対し左右がそれぞれ同一方向に傾斜した角孔26の切り口26a、26bに沿ってそれぞれ折曲げ可能に、左右の位置に、抜き孔22a、22bを設けて台形形状に形成されている。
【0100】
ベース25は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース25には、側壁にカバー21の爪23、24と係合する角孔26が、爪23、24と対向する位置に、カバーの嵌め込み方向に対し左右がそれぞれ右上がり方向に傾斜した切り口26a、26bを有する平行四辺形形状に形成されている。尚、本実施例では、切り口26a、26bがそれぞれ右上がり方向に傾斜した平行四辺形形状の角孔26を用いているが、これにこだわることなく、傾斜面をそれぞれ左上がり方向に傾斜させた平行四辺形形状の角孔を用いても良い。
【0101】
尚、本実施例では、カバー21とベース25を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0102】
このケースの固定構造20は、カバー21をベース25に嵌め込み、ベース25の角孔26にカバー21の爪23、24の位置をそれぞれ合わせ、爪23、24を角孔26に治具等により押込んで、左爪23を角孔26の左側切り口26aに、また、右爪24を角孔26の右側切り口26bにそれぞれ沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー21をベース25に係合固定するようにしたものである。
【0103】
そして、カバー21の爪23、24とベース25の角孔26は、少なくとも対向する側壁の1ヶ所に設けられ、それぞれが係合されてカバー21とベース25が固定されている。
【0104】
この左爪23と右爪24による角孔26の傾斜した切り口26a、26bへの押圧(P21、P22、P24、P25)によるガタ等を無くしたカバー21とベース25の係合固定の一例について、図7を参照して説明する。
【0105】
左爪23による角孔26の左側切り口26aへの押圧においては、カバー21に設けられた左爪23の折り曲げられた内側の一辺でベース25に設けられた角孔26の左側切り口26aを押圧することにより、押圧された左側切り口26aの法線方向には押圧合力P20が加わることになる。この押圧合力P20が、カバー21の嵌め込み方向に対向した方向(図7(a)に示す上方向)への押圧分力P22と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図7(a)に示す左方向)への押圧分力P21に分割され、押圧分力P22と押圧分力P21により、カバー21がベース25に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0106】
また、右爪24による角孔26の右側切り口26bへの押圧においては、カバー21に設けられた右爪24の折り曲げられた内側の一辺でベース25に設けられた角孔26の右側切り口26bを押圧することにより、押圧された右側切り口26bの法線方向には押圧合力P23が加わることになる。この押圧合力P23が、カバー21の嵌め込み方向 (図7(a)に示す下方向)への押圧分力P25と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図7(a)に示す右方向)への押圧分力P24に分割され、押圧分力P24と押圧分力P25により、カバー21がベース25に、下方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0107】
これにより、角孔26と爪23、24の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合ができるため、カバー21とベース25間の各方向へのガタが押圧により防止されることになる。
【0108】
尚、本実施例によるカバー21に設けられた左爪23と右爪24は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、三角形状又は四角形状等に突出して形成するようにしても良い。
【0109】
また、その他の実施の形態に係わるケースの固定構造として、図示していないが、ベースの側壁の2ヵ所に設けられた角孔が、それぞれ第4実施例に用いられた台形形状の角孔と、本実施例に用いられた平行四辺形形状の角孔に形成され、それぞれの角孔のテーパ面にカバーに設けられた各爪を沿わせて折り曲げ、カバーをベースに係合固定するようにしたものもある。このその他の実施の形態に係わるケースの固定構造は、本第5の実施の形態に係るものと同様に、ベースにリブを設けることなく、カバーとベース間の各方向へのガタを無くした機能を有したものである。
【0110】
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造20によれば、カバー21の爪23、24をベース25の角孔26の左右の切り口26a、26bに沿わせて押圧して折り曲げて係合することにより、角孔26と爪23、24の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成によれば、カバー21とベース25間の各方向へのガタを無くすることができ、また、異音の発生を防ぐことができる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。また、カバー21の嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバー21をベース25に係合できるため、カバー21とベース25のズレを防ぎ、固定強度を強化することができる。そして、カバー21の側壁に設けられた爪23、24とベース25の側壁に設けられた角孔26は、少なくとも対向する各側壁の1ヵ所に設置するだけで、ベース25にリブを設けることなく、各方向へのガタを無くして係合固定することが可能となる。
【0111】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、カバーにベースを係合固定してなるケースの固定構造において、ベースに設けられたテーパ面を形成する角孔の端面にカバーに設けられた爪の端面を当接押圧するか、又はカバーに設けられたテーパ面を有する爪の端面をベースに設けられた角孔の端面に当接押圧して折り曲げて係合することにより、角孔と爪の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくカバーとベース間の各方向へのガタ及び異音を無くした係合固定ができる。
【0112】
また、本発明のケースの固定構造によれば、カバーの嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバーをベースに係合できるため、カバーとベース間の各方向へのズレを防ぐことができ、固定強度を強化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図である。
【図8】従来のケースの固定構造を示す図である。
【符号の説明】
10、20、30、40、50、60・・・ケースの固定構造
11、21、31、41、51、61・・・カバー
12、22、32、42・・・抜き孔
13、14、23、24、33、34、43、44、53、54、75・・爪
15、25、35、45、55、64・・・ベース
16、26、36、46、56、75・・・角孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の部品の固定構造に関するもので、例えばベースとカバーから構成されるケースの固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベースとカバーから構成されるケースの固定構造には、一般にベースにカバーを嵌込んだ状態で、ネジを用いてカバーをベースに取付け固定するものと、カバーに設けられた爪をベースに係合して固定するもの等がある。この爪を用いた従来のケースの固定構造の一例について、図面を参照して説明する。
【0003】
図8は、従来のケースの固定構造を示す図で、(a)は第1の従来例によるケースの固定構造を示す斜視図、(b)は図8(a)の固定状態を示す断面図、(c)は第2の従来例によるケースの固定構造を示す斜視図、(d)は図8(c)の固定状態を示す断面図である。
【0004】
第1の従来例によるケースの固定構造60は、ベース64とカバー61等により構成されている。
【0005】
カバー61は、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。また、このカバー61には、側壁の下部面に突出した爪62、63がそれぞれ形成されている。
【0006】
ベース64は、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。
【0007】
このケースの固定構造60は、カバー61をベース64に嵌め込んだ状態で、カバー61の爪62、63をベース64の下部外周64aに沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー61をベース64に係合固定するようにしたものである。
【0008】
第2の従来例によるケースの固定構造70は、ベース74とカバー71等により構成されている。
【0009】
カバー71は、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。このカバー71には、側壁の下部近傍にベース74の角孔75に係合する上爪72と下爪73がカバーの嵌め込み方向に対し垂直となる方向にそれぞれ折曲げ可能に、図8(c)に示す上下の位置に凸形状に形成されている。
【0010】
ベース74は、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。このベース74の側壁には、カバー71の爪72、73が係合するカバーの嵌め込み方向に対し垂直となる2辺75a、75bを有する角孔75が爪72、73と対向する位置に形成されている。
【0011】
このケースの固定構造70は、カバー71をベース74に嵌め込んだ状態で、ベース74の角孔75にカバー71の爪72、73の位置を合わせ、爪72、73を角孔75に治具等により押込んで、上爪72を角孔75の上部の辺75aに、また、下爪73を角孔75の下部の辺75bにそれぞれ沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー71をベース74に係合固定するようにしたものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0012】
この出願の発明に関する先行技術文献としては次のものがある。
【0013】
【特許文献1】
特開平8−242084号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなベースとカバーから構成されるケースの固定構造は、第1の従来例の爪によるケースの固定構造では、爪をベースの底面に密着させて曲げるのが難しく、組立て時にベースとカバーの間の各方向にベースとカバーの加工寸法誤差等に基因したガタが生じ易く、組立て固定後のベースとカバーの押圧固定力が得難いためズレが生じる恐れがある。また、第2の従来例の爪によるケースの固定構造では、カバーに形成された上下の爪を、角孔の上部の辺と下部の辺にそれぞれ沿わせて折り曲げ、係合固定するようにしたものなので、カバーの嵌め込み方向へのベースとカバーの間のガタとズレは防止できるが、嵌め込み方向に対し垂直となる2方向には、ベースとカバーの加工寸法誤差等に基因したガタが生じ易く、組立て固定後のベースとカバーの押圧固定力が得難いためズレが生じる恐れがある。また、このズレ等により異音が発生する恐れがある。
【0015】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたもので、異音の発生を防ぐことができ、また、各方向へのベースとカバーのガタをなくし、固定強度を強化できるケースの固定構造、及び製造バラツキを吸収できるケースの固定構造を実現することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ベースとカバーで構成されるケースの固定構造において、前記ベースの側壁には、角孔が設けられ、前記カバーの側壁には、係合爪が設けられてなり、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記カバーの1つの係合爪が前記角孔に当接するように押圧されて折曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするものである。
【0017】
また、前記カバーの1つの係合爪は、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記角孔の1つの頂点から延びる二辺に当接するように押圧されて折曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするものである。
【0018】
また、前記カバーの側壁には、前記角孔の対向する頂点から延びる二辺にそれぞれ折り曲げられる2つの係合爪が設けられてなることを特徴とするものである。
【0019】
また、前記ベースの側壁には、少なくとも2箇所に角孔が設けられ、前記角孔の一方が、他方に対し傾いて形成されてなることを特徴とするものである。
【0020】
また、前記角孔は正多角形であり、前記角孔の一方が他方に対し、隣接する2つの頂点で構成される中心角の半分の角度だけ傾いて形成されてなることを特徴とするものである。
【0021】
また、前記ベースの側壁には、少なくとも2箇所に形状の異なる孔が設けられてなることを特徴とするものである。
【0022】
また、ベースとカバーで構成されるケースの固定構造において、前記ベースの側壁には、斜辺を有する角孔が設けられ、前記カバーの側壁には、係合爪が設けられてなり、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記カバーの1つの係合爪が前記角孔の斜辺に沿って押圧されて折り曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの固定詳細正面図、(c)はA−A’断面図である。また、図2は本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図で、(a)は側部正面図、(b)はB−B’断面図である。
【0025】
尚、第1の実施の形態に係るものから第5の実施の形態に係るものまでのベースとカバーの固定方法等については、本第1の実施の形態で、図1(a)を参照して説明し、その他の実施の形態では説明を省略する。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造50は、ベース55とカバー51等により構成されている。
【0027】
カバー51は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー51には、図1と図2に示すように、側壁の下部近傍にベース55に設けられた四角形形状の角孔56に係合するテーパ面を有する台形形状の左爪53と右爪54が、角孔56の上部切り口の一端面56a、56bと両側切り口の一端面56c、56dにそれぞれ当接押圧されて折曲げ可能に、左右の位置に形成されている。この左爪53は、テーパ面53aの一端面が角孔56の上部切り口の一端面56aに当接し、下部面53bの一端面が角孔56の左側切り口の一端面56cに当接するように台形形状に形成されている。
【0028】
また、右爪54は、テーパ面54aの一端面が角孔56の上部切り口の一端面56bに当接し、下部面54bの一端面が角孔56の右側切り口の一端面56dに当接するように台形形状に形成されている。
【0029】
尚、本実施例によるカバー51に設けられた左爪53と右爪54は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、テーパ面を有する三角形状等に突出して形成するようにしても良い。また、本第1の実施例では、カバー51の左右に左爪53と右爪54を設けているが、これにこだわることなく、カバー51の上下に爪をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0030】
ベース55は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース55には、側壁にカバー51のテーパ面を有する台形形状の爪53、54を係合する四角形形状の角孔56が形成されている。また、このベース55の側壁の底面部には、突出したリブ55aが形成され、このリブ55aにカバー51の側壁の底面51aが当接押圧され、カバーの嵌め込み方向へのガタが無くなるようにされている。
【0031】
尚、本実施例では、カバー51とベース55を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0032】
このケースの固定構造50は、例えば、カバー51をベース55に、図1(a)に示すF50の方向に嵌め込み、カバー51の側壁の底面51aをベース55のリブ55aに当接した状態で、ベース55の角孔56にカバー51の左爪53と右爪54の位置をそれぞれ合わせ、左爪53と右爪54を角孔56に治具等により押込んで折り曲げ、カバー51をベース55に係合固定するようにしたものである。
【0033】
この左爪53の係合固定は、左爪53のテーパ面53aの一端面を角孔56の上部切り口の一端面56aに、また、下部面53bの一端面を角孔56の左側切り口の一端面56cにそれぞれ当接して押圧し、左爪53を上部切り口の一端面56aと左側切り口の一端面56cとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。そして、右爪54の係合固定は、右爪54のテーパ面54aの一端面を角孔56の上部切り口の一端面56bに、また、下部面54bの一端面を角孔56の右側切り口の一端面56dにそれぞれ当接して押圧し、右爪54を上部切り口の一端面56bと右側切り口の一端面56dとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0034】
この左爪53と右爪54の角孔56への係合は、カバー51の底面51aをベース55のリブ55aに押圧するとともに、左爪53と右爪54を角孔56に押圧して行い、カバー51とベース55間の各方向へのガタを無くするようにしたもので、この係合固定の一例について、図2を参照して説明する。
【0035】
カバー51に設けられた左爪53による角孔56の上部切り口の一端面56aと左側切り口の一端面56cへの押圧においては、左爪53の上部切り口53aの一端面をベース55の角孔56の上部切り口の一端面56aに当接押圧し、左爪53の下部面53bの一端面を角孔56の左側切り口の一端面56cにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面56aと左側切り口の一端面56cには、それぞれ法線方向に押圧合力P70が加わることになる。
【0036】
この押圧合力P70は、カバー51の嵌め込み方向(図2(a)に示す矢印F50方向)に対向した方向(図2(a)に示す上方向)への押圧分力P72と嵌め込み方向(F50)に対し垂直となる方向(図2(a)に示す左方向)への押圧分力P71に分割され、押圧分力P72と押圧分力P71により、カバー51がベース55に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0037】
また、右爪54による角孔56の上部切り口の一端面56bと右側切り口の一端面56dへの押圧においては、右爪54の上部切り口54aの一端面をベース55の角孔56の上部切り口の一端面56bに当接押圧し、右爪54の下部面54bの一端面を角孔56の右側切り口の一端面56dにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面56bと右側切り口の一端面56dには、それぞれ法線方向に押圧合力P73が加わることになる。
【0038】
この押圧合力P73は、カバー51の嵌め込み方向(F50)に対向した方向(図2(a)に示す上方向)への押圧分力P75と嵌め込み方向(F50)に対し垂直となる方向(図2(a)に示す右方向)への押圧分力P74に分割され、押圧分力P75と押圧分力P74により、カバー51がベース55に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。そして、カバー51をベース55に嵌め込みする方向(F50)のガタは、カバー51の嵌め込み時に、カバー51の底面51aがベース55のリブ55aに押圧P76されて防止されている。
【0039】
尚、本実施例によるカバー51を嵌め込みする方向へのガタは、ベース55にリブ55aを設けて、カバー51の底面51aを当接押圧P76して防止しているが、これにこだわることなく、カバー51とベース55にその他の嵌め込み方向の位置決めを行う機能を持たせるようにしても良い。
【0040】
これにより、角孔56と爪53、54の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合できるため、カバー51とベース55間における各方向のガタが押圧により防止されることになる。
【0041】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係わるケースの固定構造50によれば、カバー51に設けられたテーパ面を有する各爪53、54をベース55に形成された角孔56の上部切り口の一端面56a、56bと左右両側切り口の一端面56c、56dにそれぞれ当接して折り曲げて係合することにより、角孔56を加工し易い四角形形状に形成できる。しかも各爪53、54のテーパ面により、加工寸法誤差に対応できるので、角孔56と爪53、54の加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成により、カバー51とベース55間における各方向のガタを無くすることができ、また異音の発生を防ぐことが可能となる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。
【0042】
更に、本実施例ではカバー51の側壁の底面51aをベース55の側壁のリブ55aに当接させたことで、カバー51のベース55への位置決めを容易にし、カバー51とベース55のズレを防ぎ、固定強度を強化することを可能にしたが、リブ55aは必要に応じて設ければ良い。そして、カバー51の側壁に設けられた爪53、54とベース55の側壁に設けられた角孔56は、少なくとも対向する各側壁の1ヵ所に設置するだけでカバーとベースを係合固定することが可能となる。尚、角孔56に対して、1つのテーパを有する爪と他の係合手段、例えばネジ等を組み合わせてカバーとベースを係合させることも可能である。
【0043】
本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0044】
図3は本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの固定詳細正面図、(c)はC−C’断面図である。
【0045】
本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造40は、第1の実施の形態に係るものに対し、図3に示すように、ベース45の側壁の2ヶ所に設けられた角孔46が、それぞれ左右が対称的に傾斜した4辺の切り口を備えた四角形形状に形成されている。この角孔46の左上部切り口の一端面46aと右上部切り口の一端面46bにはカバー41の上部爪43が係合され、また、角孔46の左下部切り口の一端面46cと右下部切り口の一端面46dにはカバー41の下部爪44が係合されたもので、ベース45にリブを設けることなくカバー41の嵌め込む方向のガタも無くして係止されている。
【0046】
カバー41は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー41には、図3に示すように、側壁の下部近傍の2ヵ所にベース45に設けられた四角形形状の角孔46に係合する上部爪43と下部爪44が、角孔46の切り口の一端面に当接押圧されてそれぞれ折曲げ可能に、上下の位置に抜き孔42を設けて四角形形状に形成されている。
【0047】
尚、本実施例によるカバー41に設けられた上部爪43と下部爪44は、それぞれ四角形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、テーパ面を有する台形形状、又は三角形状等に突出して形成するようにしても良い。また、本実施例では、カバー41の上下に上部爪43と下部爪44を設けているが、これにこだわることなく、カバー41の左右に爪をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0048】
ベース45は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース45には、側壁の2ヶ所にカバー41の爪43、44を係合する角孔46が、爪43、44と対向する位置に、カバー41の嵌め込み方向に対し左右がそれぞれ対称的に傾斜した4辺の切り口を有する四角形形状に形成されている。
【0049】
尚、本実施例では、カバー41とベース45の側壁の2ヵ所にそれぞれ爪43、44と角孔46が設けられているが、これにこだわることなく、カバー41とベース45の少なくとも対向する側壁の1ヵ所にだけ、爪43、44と角孔46をそれぞれ設けるようにしても良い。
【0050】
また、本実施例では、カバー41とベース45を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0051】
このケースの固定構造40は、カバー41をベース45に嵌め込み、ベース45の角孔46の位置にカバー41の上部爪43と下部爪44をそれぞれ合わせ、上部爪43と下部爪44を角孔46に治具等により押込んで折り曲げ、カバー41をベース45に係合固定するようにしたものである。この上部爪43の係合固定は、上部爪43の左側の一端面を角孔46の左上部切り口の一端面46aに、また、右側の一端面を角孔46の右上部切り口の一端面46bにそれぞれ当接して押圧し、上部爪43を左上部切り口の一端面46aと右上部切り口の一端面46bとを結ぶ線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0052】
また、下部爪44の係合固定は、下部爪44の左側の一端面を角孔46の左下部切り口の一端面46cに、また、右側の一端面を角孔46の右下部切り口の一端面46dにそれぞれ当接して押圧し、左下部切り口の一端面46cと右下部切り口の一端面46dとを結ぶ線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0053】
この上部爪43と下部爪44の角孔46への係合は、上部爪43と下部爪44をそれぞれ角孔46に押圧して行い、カバー41とベース45間の各方向へのガタを無くするようにしたもので、この係合固定の一例について、図3を参照して説明する。
【0054】
上部爪43による角孔46の左上部切り口と右上部切り口への押圧においては、カバー41に設けられた上部爪43の左側の一端面をベース45に設けられた角孔46の左上部切り口の一端面46aに当接押圧し、上部爪43の右側の一端面を角孔46の右上部切り口の一端面46bに当接押圧することにより、左上部切り口の押圧端面46aには法線方向に押圧合力P51が加わり、右上部切り口の押圧端面46bには法線方向に押圧合力P54が加わることになる。この押圧合力P51は、カバー41の嵌め込み方向に対向した方向(図3(b)に示す上方向)への押圧分力P53と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す左方向)への押圧分力P52に分割され、押圧分力P53と押圧分力P52により、カバー51がベース55に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。そして、押圧合力P54は、カバー41の嵌め込み方向に対向した方向(図3(b)に示す上方向)への押圧分力P56と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す右方向)への押圧分力P55に分割され、押圧分力P56と押圧分力P55により、カバー51がベース55に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0055】
また、下部爪44による角孔46の左下部切り口と右下部切り口への押圧においては、カバー41に設けられた下部爪44の左側の一端面をベース45に設けられた角孔46の左下部切り口の一端面46cに当接押圧し、下部爪44の右側の一端面を角孔46の右下部切り口の一端面46dに当接押圧することにより、左下部切り口の押圧端面46cには法線方向に押圧合力P57が加わり、右下部切り口の押圧端面46dには法線方向に押圧合力P60が加わることになる。この押圧合力P57は、カバー41の嵌め込み方向(図3(b)に示す下方向)への押圧分力P59と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す左方向)への押圧分力P58に分割され、押圧分力P59と押圧分力P58により、カバー41がベース45に、下方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。そして、押圧合力P60は、カバー41の嵌め込み方向(図3(b)に示す下方向)への押圧分力P62と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図3(b)に示す右方向)への押圧分力P61に分割され、押圧分力P62と押圧分力P61により、カバー41がベース45に、下方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0056】
このように、爪43、44が係合する角孔46の二辺がテーパ状態なので、角孔46と爪43、44の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合できるため、カバー11とベース15間の各方向へのガタが押圧により防止されることになる。
【0057】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造40によれば、カバー41の爪43、44をベース45の角孔46の左上部切り口、右上部切り口と左下部切り口、右下部切り口のそれぞれの一端面46a、46b、46c、46dに当接して折り曲げて係合することにより、角孔46と爪43、44の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくカバー41とベース45間の各方向へのガタを無くして係合固定することができ、また異音の発生を防ぐことができる。
【0058】
また、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いる必要がなく、剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば、更にコストが削減できる。また、カバー41の爪43、44で角孔46の左上部切り口、右上部切り口と左下部切り口、右下部切り口をそれぞれ押圧した状態で、カバー41をベース45に係合できるため、カバー31のベース35への位置決めが容易で、カバー41とベース45間の各方向へのズレを防ぐことができ、固定強度がより強化できる。そして、カバー41の側壁に設けられた爪43、44とベース45の側壁に設けられた角孔46は、少なくとも対向する各側壁の1ヵ所に設置するだけで、各方向へのガタを無くして係合固定することが可能となる。また、爪43、44をカバー41の嵌め込み方向に設けているので、第1の実施の形態に係るリブを設ける必要がない。
【0059】
本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0060】
図4は本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの第1固定孔部詳細正面図、(c)はベースとカバーの第2固定孔部詳細正面図である。
【0061】
本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造30は、第1の実施の形態に係るものに対し、図4に示すように、ベース35の側壁の下部近傍の少なくとも2箇所に四角形形状の第1固定孔36と該第1固定孔36に対し傾いて形成された四角形形状の第2固定孔37が設けられ、この第1固定孔36にはカバー31に設けられた台形形状の爪33、34が係合され、第2固定孔37にはカバー31に設けられた爪33、34と同一形状の爪38、39がそれぞれ係合されるようにしたものである。
【0062】
カバー31は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー31の側壁の下部近傍には、図4に示すように、ベース35に設けられた四角形形状の第1固定孔36に係合する左爪33と右爪34、及び第2固定孔37に係合する左爪38と右爪39とがそれぞれ設けられている。この第1固定孔36に係合する左爪33は角孔36の上部切り口の一端面36aと左側切り口の一端面36cに当接押圧されて折曲げ可能に、また、右爪34は角孔36の上部切り口の一端面36bと右側切り口の一端面36dに当接押圧されて折曲げ可能に、それぞれ左右の位置に抜き孔32を設けて台形形状に形成されている。
【0063】
そして、第2固定孔37に係合する左爪38は傾いて形成された角孔37の左側切り口の一端面37aと下部切り口の一端面37cに当接押圧されて折曲げ可能に、また、右爪39は角孔37の上部切り口の一端面37bと右側切り口の一端面37dに当接押圧されて折曲げ可能に、それぞれ左右の位置に抜き孔32を設けて台形形状に形成されている。尚、本実施例によるカバー31に設けられた左爪33(又は、38)と右爪34(又は、39)は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、テーパを有する三角形状、又は四角形状等に突出して形成するようにしても良い。また、本実施例では、カバー31の左右に左爪33(又は、38)と右爪34(又は、39)を設けているが、これにこだわることなく、カバー31の上下に各爪をそれぞれ設けるようにしても良い。また、一方の爪の組み合わせを左右に設け、他方の爪の組み合わせを上下に設けても良い。
【0064】
ベース35は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース35には、側壁の下部近傍の2箇所に、カバー31の爪33、34を係合する四角形形状の第1固定孔36と、爪38、39を係合する四角形形状の第2固定孔37が、それぞれの各爪33、34、38、39に対向した位置に形成されている。
【0065】
この第1固定孔36は、図4に示すように、四角形形状に形成されている。そして、第2固定孔37は、図4に示すように、四角形形状の第1固定孔36を傾けた状態に形成されている。尚、第1固定孔36が左側に、第2固定孔37が右側にそれぞれ設けられているが、この配置は左右が逆であっても良い。また、本実施例では、ベース35の側壁の2箇所に固定孔36、37を設けてカバー31の各爪を係合するようにしているが、これにこだわることなく、カバー31とベース35の嵌め込み状況に応じて、固定孔を複数ヵ所に設け、この固定孔に対応したカバーの爪をそれぞれ係合するようにしても良い。
【0066】
尚、本実施例では、カバー31とベース35を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0067】
このケースの固定構造30は、カバー31をベース35に嵌め込み、ベース35の各孔36、37の位置にカバー31の各爪33、34、38、39をそれぞれ合わせ、爪33、34を第1固定孔36に、爪38、39を第2固定孔37に、それぞれ治具等により押込んで折り曲げ、カバー31をベース35に係合固定するようにしたものである。
【0068】
第1固定孔36への爪33、34の係合においては、左爪33のテーパ面の一端面を角孔36の上部切り口の一端面36aに、また、左爪33の下部面の一端面を角孔36の左側切り口の一端面36cにそれぞれ当接して押圧し、左爪33を上部切り口の一端面36aと左側切り口の一端面36cとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。そして、右爪34の係合固定は、右爪34のテーパ面の一端面を角孔36の上部切り口の一端面36bに、また、右爪34の下部面の一端面を角孔36の右側切り口の一端面36dにそれぞれ当接して押圧し、右爪34を上部切り口の一端面36bと右側切り口の一端面36dとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げ、カバー31をベース35に係合固定するようにしている。
【0069】
そして、第2固定孔37への爪38、39の係合においては、左爪38のテーパ面の一端面を角孔37の左側切り口(角孔37の左側の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37aに、また、左爪38の下部面の一端面を角孔37の下部切り口(角孔37の下部の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37cにそれぞれ当接して押圧し、左爪38を左側切り口の一端面37aと下部切り口の一端面37cとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げて行われる。
【0070】
そして、右爪39の係合固定は、右爪39のテーパ面の一端面を角孔37の上部切り口(角孔37の上部の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37bに、また、右爪39の下部面の一端面を角孔37の右側切り口(角孔37の右側の傾斜したテーパ面を示す)の一端面37dにそれぞれ当接して押圧し、右爪39を上部切り口の一端面37bと右側切り口の一端面37dとを結ぶ傾斜した線上を折り曲げ中心線として、内方向に折り曲げ、カバー31をベース35にそれぞれ係合固定するようにしている。
【0071】
この第1固定孔36への爪33、34の押圧による係合と、第2固定孔37への爪38、39の押圧による係合は、カバー31とベース35間の各方向へのガタを無くするようにしたもので、この係合固定の一例について、図4を参照して説明する。
【0072】
第1固定孔36への爪33、34の係合においては、左爪33の上部切り口の一端面をベース35の角孔36の上部切り口の一端面36aに当接押圧し、左爪33の下部面の一端面を角孔36の左側切り口の一端面36cにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面36aと左側切り口の一端面36cには、それぞれ法線方向に押圧合力P30が加わることになる。この押圧合力P30が、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P32と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す左方向)への押圧分力P31に分割され、押圧分力P31と押圧分力P32により、カバー31がベース35に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。また、右爪34の上部切り口の一端面をベース35の角孔36の上部切り口の一端面36bに当接押圧し、右爪34の下部面の一端面を角孔36の右側切り口の一端面36dにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面36bと右側切り口の一端面36dには、それぞれ法線方向に押圧合力P33が加わることになる。この押圧合力P33が、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P35と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す右方向)への押圧分力P34に分割され、押圧分力P34と押圧分力P35により、カバー31がベース35に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0073】
第2固定孔37への爪38、39の係合においては、左爪38の上部切り口の一端面をベース35の角孔37の左側切り口の一端面37aに当接押圧し、左爪38の下部面の一端面を角孔37の下部切り口の一端面37cにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、左側切り口の一端面37aには法線方向に押圧合力P36が加わり、下部切り口の一端面37cには、法線方向に押圧合力P39が加わることになる。この押圧合力P36は、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P38と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す左方向)への押圧分力P37に分割され、押圧分力P37と押圧分力P38により、カバー31がベース35に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。一方、押圧合力P39は、カバー31の嵌め込み方向(図4(b)に示す下方向)への押圧分力P41と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す左方向)への押圧分力P40に分割され、押圧分力P40と押圧分力P41により、カバー31がベース35に、下方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0074】
また、右爪39の上部切り口の一端面をベース35の角孔37の上部切り口の一端面37bに当接押圧し、右爪39の下部面の一端面を角孔37の右側切り口の一端面37dにそれぞれ当接して押圧し、内方向に折り曲げることにより、上部切り口の一端面37bには法線方向に押圧合力P42が加わり、右側切り口の一端面37dには、法線方向に押圧合力P45が加わることになる。この押圧合力P42は、カバー31の嵌め込み方向に対向した方向(図4(b)に示す上方向)への押圧分力P44と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す右方向)への押圧分力P43に分割され、押圧分力P43と押圧分力P44により、カバー31がベース35に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。一方、押圧合力P45は、カバー31の嵌め込み方向 (図4(b)に示す下方向)への押圧分力P47と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図4(b)に示す右方向)への押圧分力P46に分割され、押圧分力P46と押圧分力P47により、カバー31がベース35に、下方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0075】
この第1固定孔36への爪33、34の押圧係合と第2固定孔37への爪38、39の押圧係合により、加工寸法の誤差等によるカバー31とベース35間の各方向へのガタが防止されることになる。
【0076】
尚、その他の実施の形態に係わるケースの固定構造として、図示していないが、ベース35の側壁に設けられた四角形形状に形成された第1固定孔が、六角形形状等の正多角形形状に形成され、第2固定孔が、第1固定孔の隣接する2つの頂点で構成される中心角の半分の角度だけ傾けられた状態にして形成され、それぞれの固定孔にカバーに設けられた固定孔に対応する爪をそれぞれ係合固定するようにしたものもある。この場合、第1固定孔の各頂点と第2固定孔の各頂点の向きが互い違いとなるので、係合される爪による押圧合力が各方向に加わることとなり、効率良くガタの防止ができ、強固に固定することができる。また、、第1固定孔と第2固定孔のいずれか一方に係合する爪を左右に設け、他方を上下に設けても良い。また、六角以上の正多角形形状にする場合には、係合される爪が、テーパを形成する二つの切り口に係合しても良い。
【0077】
また、その他にも、第1固定孔と第2固定孔がそれぞれ異なる形状(例えば、四角形形状と三角形形状等)に形成されたものもある。このその他の実施の形態に係わるケースの固定構造も、本発明の第3の実施の形態に係るものと同様に、カバーとベース間の各方向へのガタを無くした機能を有したものである。
【0078】
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造30によれば、カバー31に設けられた爪33、34は、ベース35に設けられた第1固定孔36の上部切り口の一端面36a、36bと両側切り口の一端面36c、36dにそれぞれ当接押圧して折り曲げて係合し、爪38、39は、第2固定孔37の左側切り口の一端面37a、下部切り口の一端面37cと上部切り口の一端面37b、右側切り口の一端面37dにそれぞれ当接押圧して折り曲げて係合することにより、第1固定孔36と第2固定孔37、及び各爪33、34、38、39の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成によれば、カバー31とベース35間の各方向へのガタを無くすることができ、また、異音の発生を防ぐことができる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質であれは実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。また、カバー31の嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバー31をベース35に係合できるため、カバー31とベース35間のズレを防ぎ、固定強度を強化することができる。
【0079】
本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0080】
図5は本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図で、(a)はベースとカバーの固定前斜視図、(b)はベースとカバーの固定詳細正面図、(c)はD−D’断面図である。また、図6は本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図で、(a)は側部正面図、(b)はE−E’断面図である。
【0081】
本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造10は、第1の実施の形態に係るものに対し、図5に示すように、ベース15の側壁の下部近傍の2箇所に左右がそれぞれ対称的に傾斜した切り口16a、16bを有する台形形状に形成された角孔16が設けられたものである。この角孔16の切り口16a、16bに沿って、カバー11に設けられた台形形状の爪13、14が当接押圧されて折り曲げられ、カバー11がベース15に係合固定されている。
【0082】
カバー11は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー11には、図5に示すように、側壁の下部近傍にベース15に設けられた台形形状の角孔16に係合する左爪13と右爪14が、角孔16の切り口16a、16bに沿ってそれぞれ折曲げ可能に、左右の位置に、それぞれ抜き孔12を設けて台形形状に形成されている。
【0083】
ベース15は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース15には、側壁にカバー11の爪13、14と係合する角孔16が、爪13、14と対向する位置にカバーの嵌め込み方向(F10)に対し左右がそれぞれ対称的に傾斜した切り口16a、16bを有する台形形状に形成されている。また、このベース15の側壁の底面部には、突出したリブ15aが形成され、このリブ15aにカバー11の側壁の底面11aが当接押圧され、カバーの嵌め込み方向へのガタが無くなるようにされている。
【0084】
尚、本実施例では、カバー11とベース15を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0085】
このケースの固定構造10は、例えば、カバー11をベース15に嵌め込み、カバー11の側壁の底面11aをベース15のリブ15aに当接した状態で、ベース15の各角孔16にカバー11の各爪13、14の位置をそれぞれ合わせ、各爪13、14を各角孔16に治具等により押込んで、各側壁の左爪13を各角孔16の左側切り口16aに、また、各側壁の右爪14を各角孔16の右側切り口16bにそれぞれ沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー11をベース15に係合固定するようにしたものである。
【0086】
そして、カバー11の爪13、14とベース15の角孔16は、少なくとも対向する側壁の1ヶ所に設けられ、それぞれが係合されてカバー11とベース15が固定されている。
【0087】
この左爪13と右爪14による角孔16の切り口16a、16bへの押圧(P11、P12、P14、P15)と、カバー11の底面11aによるベース15のリブ15aへの押圧(P16)による各方向へのガタ等が無くされたカバー11とベース15の係合方法について、その一例を図6を参照して説明する。
【0088】
左爪13による角孔16の左側切り口16aへの押圧においては、カバー11に設けられた左爪13の折り曲げられた内側の一辺でベース15に設けられた角孔16の左側切り口16aを押圧することにより、押圧面16aの法線方向には押圧合力P10が加わることになる。この押圧合力P10が、カバー11の嵌め込み方向(図6(a)に示す矢印F10方向)に対向した方向(図6(a)に示す上方向)への押圧分力P12と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図6(a)に示す左方向)への押圧分力P11に分割され、押圧分力P12と押圧分力P11により、カバー11がベース15に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0089】
また、右爪14による角孔16の右側切り口16bへの押圧においては、カバー11に設けられた右爪14の折り曲げられた内側の一辺でベース15に設けられた角孔16の右側切り口16bを押圧することにより、押圧面16bの法線方向には押圧合力P13が加わることになる。この押圧合力P13が、カバー11の嵌め込み方向F10に対向した方向(図6(a)に示す上方向)への押圧分力P15と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図6(a)に示す右方向)への押圧分力P14に分割され、押圧分力P14と押圧分力P15により、カバー11がベース15に、上方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0090】
そして、カバー11をベース15に嵌め込みする方向F10へのガタは、カバー11の嵌め込み時に、カバー1の底面11aがベース15のリブ15aに押圧P16されて防止されている。
【0091】
これにより、角孔16と爪13、14の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合ができるため、カバー11とベース15間の各方向へのガタが押圧により防止されることになる。
【0092】
尚、本実施例によるカバー11を嵌め込みする方向F10へのガタは、ベース15にリブ15aを設けて、カバー11の底面11aを当接押圧P16して防止しているが、これにこだわることなく、リブ15aは必要に応じて設ければ良く、また、カバー11とベース15に、嵌め込みする方向への位置決めを行うための機能を有するその他の方法を持たせるようにしても良い。
【0093】
また、本実施例によるカバー11に設けられた左爪13と右爪14は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、三角形状又は四角形形状等に突出して形成するようにしても良い。
【0094】
また、各爪13、14を各角孔16に押込む治具等は、各角孔16の形状に対応させた形状に形成し、折り曲げが容易に行えるようにすることもできる。
【0095】
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造10によれば、カバー11の側壁の底面11aをベース15の側壁のリブ15aに当接した状態で、カバー11の爪13、14をベース15の角孔16の左右の切り口16a、16bに沿わせて押圧して折り曲げて係合することにより、角孔16と爪13、14の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成によれば、カバー11とベース15間の各方向へのガタを無くすることができ、また、異音の発生を防ぐことができる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。また、カバー11の嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバー11をベース15に係合できるため、カバー11のベース15への位置決めが容易で、カバー11とベース15のズレを防ぎ、固定強度を強化することができる。
【0096】
本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造について、図面を参照して説明する。
【0097】
図7は本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図で、(a)は側部正面図、(b)F−F’断面図、(c)はG−G’断面図である。
【0098】
本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造20は、第4の実施の形態に係るものに対し、図7に示すように、ベース25の側壁に設けられた角孔26が、左右の切り口26a、26bを同一方向に傾斜させた平行四辺形形状に形成され、カバーの嵌め込む方向を係止するために設けられたベースのリブが省かれたものである。
【0099】
カバー21は、例えば、下部面が開口した箱型形状にアルミダイカストや鋼板等でプレス加工により形成されている。そして、カバー21には、図7に示すように、側壁の下部近傍にベース25に設けられた平行四辺形形状の角孔26に係合する左爪23と右爪24が、カバー21の嵌め込み方向に対し左右がそれぞれ同一方向に傾斜した角孔26の切り口26a、26bに沿ってそれぞれ折曲げ可能に、左右の位置に、抜き孔22a、22bを設けて台形形状に形成されている。
【0100】
ベース25は、例えば、皿状の箱型形状にアルミダイカストや鋼板、又は樹脂材等でプレス加工、又は樹脂成型加工により形成されている。そして、ベース25には、側壁にカバー21の爪23、24と係合する角孔26が、爪23、24と対向する位置に、カバーの嵌め込み方向に対し左右がそれぞれ右上がり方向に傾斜した切り口26a、26bを有する平行四辺形形状に形成されている。尚、本実施例では、切り口26a、26bがそれぞれ右上がり方向に傾斜した平行四辺形形状の角孔26を用いているが、これにこだわることなく、傾斜面をそれぞれ左上がり方向に傾斜させた平行四辺形形状の角孔を用いても良い。
【0101】
尚、本実施例では、カバー21とベース25を四角型の箱型形状にしているが、これにこだわることなく、六角型又は円形型の箱型形状にしても良い。
【0102】
このケースの固定構造20は、カバー21をベース25に嵌め込み、ベース25の角孔26にカバー21の爪23、24の位置をそれぞれ合わせ、爪23、24を角孔26に治具等により押込んで、左爪23を角孔26の左側切り口26aに、また、右爪24を角孔26の右側切り口26bにそれぞれ沿わせて内方向に押圧して折り曲げ、カバー21をベース25に係合固定するようにしたものである。
【0103】
そして、カバー21の爪23、24とベース25の角孔26は、少なくとも対向する側壁の1ヶ所に設けられ、それぞれが係合されてカバー21とベース25が固定されている。
【0104】
この左爪23と右爪24による角孔26の傾斜した切り口26a、26bへの押圧(P21、P22、P24、P25)によるガタ等を無くしたカバー21とベース25の係合固定の一例について、図7を参照して説明する。
【0105】
左爪23による角孔26の左側切り口26aへの押圧においては、カバー21に設けられた左爪23の折り曲げられた内側の一辺でベース25に設けられた角孔26の左側切り口26aを押圧することにより、押圧された左側切り口26aの法線方向には押圧合力P20が加わることになる。この押圧合力P20が、カバー21の嵌め込み方向に対向した方向(図7(a)に示す上方向)への押圧分力P22と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図7(a)に示す左方向)への押圧分力P21に分割され、押圧分力P22と押圧分力P21により、カバー21がベース25に、上方向と左方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0106】
また、右爪24による角孔26の右側切り口26bへの押圧においては、カバー21に設けられた右爪24の折り曲げられた内側の一辺でベース25に設けられた角孔26の右側切り口26bを押圧することにより、押圧された右側切り口26bの法線方向には押圧合力P23が加わることになる。この押圧合力P23が、カバー21の嵌め込み方向 (図7(a)に示す下方向)への押圧分力P25と嵌め込み方向に対し垂直となる方向(図7(a)に示す右方向)への押圧分力P24に分割され、押圧分力P24と押圧分力P25により、カバー21がベース25に、下方向と右方向の間のガタを無くした状態で係合固定される。
【0107】
これにより、角孔26と爪23、24の加工寸法に誤差が生じても容易に押圧係合ができるため、カバー21とベース25間の各方向へのガタが押圧により防止されることになる。
【0108】
尚、本実施例によるカバー21に設けられた左爪23と右爪24は、それぞれ台形形状に突出して形成されているが、これにこだわることなく、三角形状又は四角形状等に突出して形成するようにしても良い。
【0109】
また、その他の実施の形態に係わるケースの固定構造として、図示していないが、ベースの側壁の2ヵ所に設けられた角孔が、それぞれ第4実施例に用いられた台形形状の角孔と、本実施例に用いられた平行四辺形形状の角孔に形成され、それぞれの角孔のテーパ面にカバーに設けられた各爪を沿わせて折り曲げ、カバーをベースに係合固定するようにしたものもある。このその他の実施の形態に係わるケースの固定構造は、本第5の実施の形態に係るものと同様に、ベースにリブを設けることなく、カバーとベース間の各方向へのガタを無くした機能を有したものである。
【0110】
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造20によれば、カバー21の爪23、24をベース25の角孔26の左右の切り口26a、26bに沿わせて押圧して折り曲げて係合することにより、角孔26と爪23、24の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくケースの固定ができる。また、本構成によれば、カバー21とベース25間の各方向へのガタを無くすることができ、また、異音の発生を防ぐことができる。そして、このような固定構造にすることで、ケースの材質にアルミダイカストのような高コストの材質を用いなくても剛体の材質で実現できるので、樹脂材等の低コストの材質を用いれば更にコストが削減できる。また、カバー21の嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバー21をベース25に係合できるため、カバー21とベース25のズレを防ぎ、固定強度を強化することができる。そして、カバー21の側壁に設けられた爪23、24とベース25の側壁に設けられた角孔26は、少なくとも対向する各側壁の1ヵ所に設置するだけで、ベース25にリブを設けることなく、各方向へのガタを無くして係合固定することが可能となる。
【0111】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、カバーにベースを係合固定してなるケースの固定構造において、ベースに設けられたテーパ面を形成する角孔の端面にカバーに設けられた爪の端面を当接押圧するか、又はカバーに設けられたテーパ面を有する爪の端面をベースに設けられた角孔の端面に当接押圧して折り曲げて係合することにより、角孔と爪の加工寸法誤差に対応できるので、加工寸法を高精度にすることなくカバーとベース間の各方向へのガタ及び異音を無くした係合固定ができる。
【0112】
また、本発明のケースの固定構造によれば、カバーの嵌め込み方向と嵌め込み方向に対し垂直となる方向とを押圧した状態で、カバーをベースに係合できるため、カバーとベース間の各方向へのズレを防ぐことができ、固定強度を強化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係るケースの固定構造の説明図である。
【図8】従来のケースの固定構造を示す図である。
【符号の説明】
10、20、30、40、50、60・・・ケースの固定構造
11、21、31、41、51、61・・・カバー
12、22、32、42・・・抜き孔
13、14、23、24、33、34、43、44、53、54、75・・爪
15、25、35、45、55、64・・・ベース
16、26、36、46、56、75・・・角孔
Claims (7)
- ベースとカバーで構成されるケースの固定構造において、
前記ベースの側壁には、角孔が設けられ、
前記カバーの側壁には、係合爪が設けられてなり、
前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記カバーの1つの係合爪が前記角孔に当接するように押圧されて折曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするケースの固定構造。 - 前記カバーの1つの係合爪は、前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記角孔の1つの頂点から延びる二辺に当接するように押圧されて折曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とする請求項1記載のケースの固定構造。
- 前記カバーの側壁には、前記角孔の対向する頂点から延びる二辺にそれぞれ折り曲げられる2つの係合爪が設けられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のケースの固定構造。
- 前記ベースの側壁には、少なくとも2箇所に角孔が設けられ、前記角孔の一方が、他方に対し傾いて形成されてなることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載のケースの固定構造。
- 前記角孔は正多角形であり、前記角孔の一方が他方に対し、隣接する2つの頂点で構成される中心角の半分の角度だけ傾いて形成されてなることを特徴とする請求項4記載のケースの固定構造。
- 前記ベースの側壁には、少なくとも2箇所に形状の異なる孔が設けられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のケースの固定構造。
- ベースとカバーで構成されるケースの固定構造において、
前記ベースの側壁には、斜辺を有する角孔が設けられ、
前記カバーの側壁には、係合爪が設けられてなり、
前記ベースに前記カバーが嵌込まれた状態で、前記カバーの1つの係合爪が前記角孔の斜辺に沿って押圧されて折り曲げられ、前記ベースに前記カバーが固定されてなることを特徴とするケースの固定構造。
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---|---|---|---|
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JP2008232554A (ja) * | 2007-03-22 | 2008-10-02 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 空気調和機 |
KR20110006633A (ko) * | 2009-07-14 | 2011-01-20 | 씨케이디 가부시키 가이샤 | 열식유량계 |
JP2012017982A (ja) * | 2011-10-26 | 2012-01-26 | Panasonic Corp | 空気調和機 |
-
2003
- 2003-04-09 JP JP2003104699A patent/JP2004308821A/ja not_active Withdrawn
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