JP2004308291A - 拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中心軸20の周囲に螺旋状のスパイラル翼24を備え、下端に掘削用ビット26を有するとともに、周囲に逆回転時に突出する拡大ビット31を備え、拡大ビット31は基端側がスパイラル翼に対してその表面に沿った傾斜面上を回動自在に支持され、スパイラル翼24の表面に拡大ビット31が掘削ヘッド回転半径方向に立ち上がった状態でその背面を支持するストッパー34bを突設させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主とし鋼製又はコンクリート製の円筒形又は円柱形の既製杭を地中に設置する際に使用する拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、既製杭埋め込み方法として、先端に掘削用ビットを固定したスクリューオーガを使用して地中を掘削して既製杭挿入孔を地中に形成し、その既製杭挿入孔内に既製杭を挿入する所謂プレボーリング工法がある。
【0003】
この工法では、図3(d)に示すように、埋め込まれる既製杭1の先端部分に杭径より大きい径の拡大球根2を杭下処理によって形成する。
【0004】
この拡大球根2を形成する方法として拡大ビットを取り付けた掘削ヘッドを使用する方法があり、図3(a)〜(d)に示すように、スクリューオーガ等を使用した掘削ヘッド3に、これを逆転させることによって土砂の抵抗により半径方向に起立する拡大ビット4を取り付けておき、図3(a)に示すように掘削ヘッド3を正転させて所定深さまで削孔した後、図3(b)に示すように掘削ヘッド3を逆転させて拡大ビット4を突出させて周囲の地盤を切り崩して拡大球根用拡径孔5を形成し、この拡径孔5内にセメントミルク等の固化材を注入して攪拌させ、然る後図3(c)に示すように掘削ヘッド3を正転させて拡大ビット4収納させ、固化材を所定高さまで注入しながら掘削ヘッド3を引き抜いて所謂ソイルセメントによる拡大球根2を造成する。この拡大球根2の固化前に図3(d)に示すように既製杭1を挿入するようにしている。
【0005】
このように拡大球根形成に使用する従来の拡大ビットつきの掘削ヘッドは、例えば、図4、図5に示す如き構造のものが使用されている(例えば特許文献1)。この掘削ヘッドは、中心に液剤注入筒11が挿通された中空の中心軸10周囲に螺旋状配置のスパイラル翼12を固定し、そのスパイラル翼12の一部を切り欠いてに拡大ビット支持部13を形成し、該拡大ビット支持部13に縦向きの枢支軸14をもって拡大ビット15を枢支させている。枢支軸14は中心軸10と平行な縦向きとなっており、拡大ビット15は、中心軸10と直交する平面上を回動するようになっており、常にスパイラル翼12の螺旋方向に対して傾斜した角度となっている。
【0006】
この他、スパイラル翼とは別の位置にあって中心軸に対して固定した拡大ビット支持部を設け、これに拡大ビットを回動自在に支持させた構造のものも知られている(例えば特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−350473号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平11−62452号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッドは、拡大ビットがヘッド回転中心軸に対して直交する配置に突出されるようになっているため、掘進時の抵抗が大きく、スパイラル翼による土砂の排出を阻害するという問題があった。
【0010】
本発明は上述の如き従来の問題に鑑みて、正回転時による掘進の際に、スパイラル翼による土砂排出抵抗のより少ない拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッドを提供することを目的としてなされたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、中心軸の周囲に螺旋状のスパイラル翼が備えられ、下端に掘削用ビットを有するとともに、逆回転時に前記スパイラル翼の外周より突出する拡大ビットが備えられ、回転支軸の下端に着脱自在に固定される拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッドにおいて、
前記拡大ビットは、基端側が前記スパイラル翼に対してその表面に沿った傾斜面上を回動自在に支持され、且つ前記スパイラル翼表面に、拡大ビットが掘削ヘッド回転半径方向に立ち上がった状態でその背面を支持するストッパーを突設させていることにある。
【0012】
このように構成することにより、拡大ビットは、スパイラル翼の表面に沿った位置に収納されることとなるため、スパイラル翼による排土の際の抵抗が少なくなり、スムーズな排土がなされる。
【0013】
請求項2に係る発明の特徴は前記請求項1の構成に加え、拡大ビットは、スパイラル翼の上下両面に対称配置に備えたことにある。このように構成することにより、排土抵抗がより少ない状態で、拡大ビットの断面積を大きくでき、拡大ビットによる地盤撹乱効果が大きくなる。
【0014】
請求項3に係る発明の特徴は前記請求項1又は2の構成に加え、ストッパーは、拡大ビットの厚さと略同じ高さで、ヘッド回転半径方向の長さが前記拡大ビットの幅と略同じ長さに形成され、該ストッパーのヘッド正回転時の回転前方側をスパイラル翼表面に達する傾斜面としたことにある。
【0015】
このように構成することにより、正回転時のスパイラル翼による排土時に、拡大ビットは傾斜面の背部に位置することなり、排土抵抗をより小さいものとすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図1、図2について説明する。
【0017】
図1は本発明に係る掘削ヘッドの概略を示しており、図中符号20は掘削ヘッドAの中心軸である。この中心軸20は前述した従来例と同様に中心に液剤注入筒21を挿通した中空筒状をなしており、上端に回転支軸22に連結させるための雄型連結部23が備えられている。
【0018】
中心軸の周囲には帯状の鋼板を螺旋状に成形した2枚のスパイラル翼24が一体に固着されている。この両スパイラル翼24は螺旋ピッチを180度ずらせて互いに対象に設置されており、下端が中心軸20の下端より下方に突出され、その両下端縁25が回転軸心を通る1直線上にあり、且つ該回転軸心を中心にして互いに対称配置に設置されている。
【0019】
各スパイラル翼24は、その螺旋直径と螺旋ピッチの3/4に相当する高さとが等しくなるように螺旋傾斜角度が設定されている。尚、この螺旋傾斜角度は、全体を上記傾斜角度以下としても良く、また、上端部を上記傾斜角度と同じか又はこれ以下とし、下端に至るにしたがって徐々に緩傾斜としても良い。
【0020】
各スパイラル翼24の下縁にはそれぞれの螺旋延長方向に向けて各々掘削用ビット26,26……が突設されている。中心軸20の下端には液剤吐出口27が開口されており、その吐出口27の両側部に一対の中心部掘削用ビット28が突設されている。この各中心部掘削用ビット28は各スパイラル翼24に近い側のものがそのスパイラル翼24の下端の掘削用ビット26と同方向に向けられている。
【0021】
掘削ヘッドAの中腹部高さより梢下側にあって、両スパイラル翼24の外周縁部にそれぞれ拡大ビット31が備えられている。この各拡大ビット31は図2に示すように、スパイラル翼24の円周方向に向けられてその周縁より内側に倒れた位置から、該スパイラル翼24の回転半径方向に起立されて先端がスパイラル翼24の外周より突出した位置との間を回動できるように取り付けられている。
【0022】
この各拡大ビット31は、スパイラル翼24毎にこれを挟む配置に2枚ずつ上下両面側に同じ向きで使用され、それぞれ基端部32が略半円形に形成され、その半円の円形中心部に枢支孔33が開口されている。
【0023】
各スパイラル翼24の拡大ビット取り付け位置には、それぞれ拡大ビット支持金具34が固着されている。該金具34は、スパイラル翼24の一部を切り欠いた空間を埋めるようにして固着されて上下両面がスパイラル翼24の上下両面と略同一面を構成する平板部34aと、該平板部34の縁部からスパイラル翼上下側に突出したストッパー部34bとから構成され、平板部34aがスパイラル翼24螺旋傾斜角度と略同じ傾斜角度にて固着されている。
【0024】
このストッパー部34bは、掘削ヘッドAの正回転時、即ち掘削ヘッドAを回転させることによりスパイラル翼24によって掘削土砂が上方に搬送される側の回転時(本明細書ではこの方向の正回転とし、これと逆方向の回転を逆回転とする)における回転方向前方側に突設されており、拡大ビット31の幅aと略同じ寸法で、突出高さが拡大ビット31の厚さbと略同じ寸法に形成されている。このストッパー部34bの正回転方向前方側は、スパイラル翼24の上面又は下面に至る緩傾斜の傾斜面34cとなっている。
【0025】
このストッパー部34bはその平板部34a側の立ち上がり面に、拡大ビット31が掘削ヘッドA回転半径方向に立ち上がった際に、その背面が当接されて立ち上がり状態が維持させるようにしているものであり、拡大ビット31は、掘削ヘッドA正回転掘進時には、周囲の地盤の抵抗によってスパイラル翼円周方向側に倒された状態となり、掘削ヘッドAを逆回転させると、周囲の土砂の抵抗によって回転半径方向に立ち上げられ、背面がストッパー部34bに当接されて回動が阻止され立ち上がり状態が維持されるようになっている。
【0026】
このように構成される掘削ヘッドAは、前述した従来のプレボーリング工法に使用する掘削ヘッドに代えて使用し、これを正転させることによって掘削用ビット26,28によって地盤を掘削し、スパイラル翼24によって揚土させつつ杭挿入孔を形成する。この掘進時には拡大ビット31は、図2中実線で示すように、ストッパー部34bの移動後方側に倒され、スパイラル翼24の上下面に沿った位置に収納された状態にある。そして、所定の深さまで掘進の後、前述した従来工法における拡大球根を形成するために、逆回転させつつ引き上げる。これによって拡大ビット31が図2中仮線で示すように起立し、スパイラル翼24の外周より突出し先導孔の周囲を撹乱する。これと同時にセメントミルク等の固化剤を注入することによって拡大球根が形成される。
【0027】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッドは、正回転による掘進の際に、拡大ビットがスパイラル翼の表面に沿った位置に収納されることとなるため、スパイラル翼による土砂排出抵抗がより少なくなり、揚土しながらの杭挿入孔形成がより少ないエネルギーでスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る掘削ヘッドの一例を示す側面図である。
【図2】図1に示す掘削ヘッドの底面図である。
【図3】従来のプレボーリング工法の工程の概略を示す断面図である。
【図4】従来の拡大ビット付き掘削ヘッドを示す側面図である。
【図5】図4中のA−A線断面図である。
【符号の説明】
A 掘削ヘッド
20 中心軸
21 液剤注入路
22 回転支軸
23 雄型連結部
24 スパイラル翼
25 下端縁
26 掘削用ビット
27 液剤吐出口
28 中心部掘削用ビット
31 拡大ビット
32 基端部
33 枢支孔
34 拡大翼支持金具
34a 平板部
34b ストッパー部
34c 傾斜面
Claims (3)
- 中心軸の周囲に螺旋状のスパイラル翼が備えられ、下端に掘削用ビットを有するとともに、逆回転時に前記スパイラル翼の外周より突出する拡大ビットが備えられ、回転支軸の下端に着脱自在に固定される拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッドにおいて、
前記拡大ビットは、基端側が前記スパイラル翼に対してその表面に沿った傾斜面上を回動自在に支持され、且つ前記スパイラル翼表面に、拡大ビットが掘削ヘッド回転半径方向に立ち上がった状態でその背面を支持するストッパーを突設させていることを特徴としてなる拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッド。 - 拡大ビットは、スパイラル翼の上下両面に対称配置に備えてなる請求項1に記載の拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッド。
- ストッパーは、拡大ビットの厚さと略同じ高さで、ヘッド回転半径方向の長さが前記拡大ビットの幅と略同じ長さに形成され、該ストッパーのヘッド正回転時の回転前方側をスパイラル翼表面に達する傾斜面としてなる請求項1又は2に記載の拡大ビット付き既製杭埋め込み用掘削ヘッド。
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- 2003-04-09 JP JP2003104735A patent/JP4051676B2/ja not_active Expired - Lifetime
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