JP2683684B2 - 杭の埋設方法 - Google Patents

杭の埋設方法

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JP2683684B2
JP2683684B2 JP7124070A JP12407095A JP2683684B2 JP 2683684 B2 JP2683684 B2 JP 2683684B2 JP 7124070 A JP7124070 A JP 7124070A JP 12407095 A JP12407095 A JP 12407095A JP 2683684 B2 JP2683684 B2 JP 2683684B2
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汎 高木
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株式会社国土基礎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建造物の基礎として例
えば軟弱地盤に埋設される杭の埋設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基礎杭には、掘設した縦孔内にコンクリ
ートを打設することにより現場にて施工される場所打ち
タイプの杭と、予め形成された杭を、地盤へ直接打ち込
んだりねじ込むなどして埋設する既製タイプの杭とがあ
るが、既製タイプの杭は、施工の際に騒音や振動を伴な
うため、近年では、杭の中空部を利用して土を排出させ
ながら沈設させる中掘り工法や、掘設した縦孔内にセメ
ントやベントナイト液を注入し、そこに杭を挿入して定
着させるセメントミルク工法等が採用されるようになっ
た。そしてそのセメントミルク工法で使用される杭とし
ては、コンクリート系と鋼管系とが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】縦孔の掘設によりその
縦孔相当分の土砂が除かれると、その縦孔周囲、特に先
端部分の地盤が緩み、地盤支持力の低下を招く。又、土
質が砂層や砂礫層では被圧水が高くなる傾向があると共
に、地形によっては伏流水が存在するため、前記セメン
トミルク工法においては、縦孔内に注入したセメントミ
ルクが流出してしまい、セメントミルク不足によって強
度が低かつたり、杭との結合性が悪かったり、下端部の
形状が不完全になるといった問題がある。従って従来
は、下端部分を拡径し、大量のセメントミルクを注入す
ることによって、下端部を球根状に膨出させて支持力を
高めてはいるが、それとて仕上がりを確認する手段がな
いことから、必ずしも前記問題の解決になるといった保
証がないし、拡径するための基材を縦孔の下端に送り込
む過程で、縦孔の全長に亘って内壁面が削られるから、
挿入した杭の周囲に空間が生じ、前記縦孔周囲における
地盤支持力の低下が影響する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、杭の下端部に
おける支持力確保を目的とした杭の埋設方法であって、
その構成は、支持層に達する深さの縦孔を掘削した後、
その縦孔の先端部にセメントミルクを注入し、そのセメ
ントミルクが固化する前に、先端部の周囲に、略半周分
を一単位とし、回転方向に対して互いに位相をずらせて
多重に形成された螺旋状の張り出し翼を有する杭を回転
させながら挿入せしめ、前記杭を縦孔内に定着させるこ
とにある。そして前記杭としては、鋼管杭が好適に使用
される。
【0005】
【作用】螺旋状の張り出し翼の回転によって、セメント
ミルクが押圧力を受けながら攪拌され、縦孔の下端部に
押し込まれて下端が球根状に膨出形成され、その下端膨
出部との結合性も高い。又張り出し翼で、切削液に土砂
等が混合された固定液を混練しながら掘進するから、全
長に亘って固定液により強固に支持され、定着性に優れ
る。
【0006】
【実施例】本発明に係る杭の埋設方法を、図面に基づい
て説明する。図1は鋼管杭Mの先端部M1 を示したもの
で、金属筒1の先端を蓋体1aで閉塞し、その閉塞先端
にビット2を設けたものとなっている。ビット2は、底
辺が前記金属筒1の外径より僅かに上回るサイズの二等
辺三角形状をした厚肉板2aを十文字に交差させた形状
に構成され、実施例では、鋼で形成された厚肉板2aの
両面に、その厚肉板2aを二分割して肉厚の半分を減じ
た同じく鋼で形成された直角三角形状の厚肉板2b,2
bを溶着することによって形成されている。又、各厚肉
板2a,2b・・の放射方向端部には、筒先と同レベル
で外周方向にはみ出した突出部3,3・・を有してい
る。又、金属筒1の先端部外周には、略半周分を一単位
とした螺旋状の張り出し翼4,4が、回転方向に対して
互いに180度位相をずらせて上下二段重ねに設けられ
ている。それら各張り出し翼4,4は、張り出し翼幅が
金属筒1の半径に等しく、下端縁を、金属筒の筒先際で
軸方向に対して直交する方向に向け、その下端縁に鋤刃
4aを固着させたものとなっており、端縁部同士は軸方
向に対して互いに約25度程度オーバーラップされ、軸
方向に対する投影が切れ目のない円となっている。前記
各鋤刃4aは、張り出し翼4と金属筒1とに跨がって溶
着され、張り出し翼4の補強も兼ねている。又金属筒1
の上端部には、溶接開先1bが形成されており、鋼管杭
Mの本体である金属筒1´の先端に、例えばアーク溶接
によって一体に接合される。
【0007】次に埋設工程を図3のa〜dに従って順に
説明すると、先ず杭の埋設が予定された地盤5に、アー
スオーガ6で、先端からセメントとベントナイトを混合
させた掘削液を吐出させながら支持層7に達する深さの
縦孔8を掘削する。次に、その縦孔8の先端部に根固め
用のセメントミルク9を注入し、そのセメントミルク9
が固化する前に、前記鋼管杭Mを回転させながら挿入す
る。鋼管杭Mは、張り出し翼4,4で、前記掘削時に吐
出された切削液と土砂等とが混ざった杭周固定用の固定
液9´を混練しながら掘進し、先端部が縦孔の下端に到
達すると、張り出し翼4,4でセメントミルク9を下方
へ押し付けながら攪拌し、そのセメントミルク9への没
入に伴って、セメントミルク9は縦孔8の下部内壁面に
押し着けられて球根状に膨出すると共に、オーバーフロ
ー分が縦孔8の内壁と鋼管杭Mとの隙間に充填されてい
る固定液9´を押し上げながら侵入し、その隙間内にも
セメントミルク9が充填される。時間経過とともにセメ
ントミルク9が固化すると、鋼管杭Mと一体となり、又
鋼管杭Mの周囲が固められることによって、鋼管杭Mは
縦孔8内へ確実に定着される。
【0008】前記鋼管杭Mは、先端部に前記下構造の張
り出し翼4,4を備えているので、恰も下端膨出部9a
内に張り出し翼4,4が根を張ったよう固化し、下端膨
出部9aは支持層7内に広がる(図4)。このように縦
孔内に充填されたセメントミルクは、下端部分が張り出
し翼によって球根状に膨出されるし、その膨出圧によっ
て縦孔の内周面が緻密となり、セメントミルクの流出が
抑えられるから、成形不良の可能性が極めて低く、固化
後は、張り出し翼がコンクリートで一体的に固められ、
確実に根固めされるので、高い支持強度が得られる。
【0009】実施例ではビットを有した鋼管杭を説明し
たが、ビットを省略したり、張り出し翼を三段以上設け
たり、コンクリート杭を使用してもかまわないのであっ
て、杭の材質や張り出し翼の段数は実施例に限定される
ものではない。又、注入されるセメントミルクには、狭
く深い縦孔と杭との間に流入しやすくするため、流動化
促進剤を混合したり、縦孔の先端に到達するまで流動性
を確保するため、固化遅延剤を混合することができる。
【0010】
【発明の効果】本発明によれば、張り出し翼によってセ
メントミルクが先端部に圧入され、先端部は、縦穴を押
し広げたような膨出形状となり、而もその中に張り出し
翼が根を張ったように固定されるし、張り出し翼で、切
削液に土砂等が混合された固定液を混練しながら掘進す
ることによって、全長に亘って固定液により強固に支持
されるから、下端部の形状は100%保証され、全体と
しての支持剛性が高く、球根状膨出部の仕上がりを確認
しなくても不安感はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される鋼管杭の先端部を示す説明
図である。
【図2】本発明で使用される鋼管杭の説明図である。
【図3】a〜dは埋設工程の説明図である。
【図4】埋設を完了した鋼管杭の先端部分を示す説明図
である。
【符号の説明】
M・・鋼管杭、M1 ・・先端部、1,1´・・金属筒、
1a・・蓋体、1b・・溶接開先、2・・ビット、2
a,2b・・厚肉板、3・・突出部、4・・張り出し
翼、4a・・鋤刃、5・・地盤、6・・アースオーガ、
7・・支持層、8・・縦孔、9・・セメントミルク、9
a・・下端膨出部。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持層に達する深さの縦孔を掘削した
    後、その縦孔の先端部にセメントミルクを注入し、その
    セメントミルクが固化する前に、先端部の周囲に、略半
    周分を一単位とし、回転方向に対して互いに位相をずら
    せて多重に形成された螺旋状の張り出し翼を有する杭を
    回転させながら挿入せしめ、前記杭を縦孔内に定着させ
    ることを特徴とした杭の埋設方法。
  2. 【請求項2】 前記杭が鋼管杭である請求項1に記載し
    た杭の埋設方法。
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