JP2004307246A - 多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】上筒内面へのガラス微粒子の付着を抑制して、上筒内面に堆積するガラス微粒子に起因する多孔質ガラス母材への不具合を防止して、高品質な多孔質ガラス母材を製造する。
【解決手段】本発明の多孔質ガラス母材の製造装置は、ガラス微粒子を生成するバーナ11が設けられた反応容器1の上に、内壁5と外壁6とからなる二重管の構造の上筒2が立設されている。上筒2の下半分における内壁5には、内壁5と外壁6との隙間である流路7に供給された気体を吹き出す複数の吹き出し口8が形成されている。
本発明の多孔質ガラス母材の製造方法は、反応容器1内で出発棒3にガラス微粒子を堆積する際に、流路7に不活性ガスの気体を供給し、吹き出し口8から上筒2内へ気体を吹き出すことにより、余剰のガラス微粒子が上筒2の内面へ付着することを抑える。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の多孔質ガラス母材の製造装置は、ガラス微粒子を生成するバーナ11が設けられた反応容器1の上に、内壁5と外壁6とからなる二重管の構造の上筒2が立設されている。上筒2の下半分における内壁5には、内壁5と外壁6との隙間である流路7に供給された気体を吹き出す複数の吹き出し口8が形成されている。
本発明の多孔質ガラス母材の製造方法は、反応容器1内で出発棒3にガラス微粒子を堆積する際に、流路7に不活性ガスの気体を供給し、吹き出し口8から上筒2内へ気体を吹き出すことにより、余剰のガラス微粒子が上筒2の内面へ付着することを抑える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス微粒子を出発材に堆積させて多孔質ガラス母材を製造する多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コアとクラッドを有する光ファイバは、光ファイバ用の多孔質ガラス母材を加熱して透明化させた後、線引きして製造される。光ファイバ用の多孔質ガラス母材を製造する方法としては、例えばVAD法が挙げられる。このVAD法は、バーナにより生成したガラス微粒子を、反応容器内で出発棒に堆積させながら、反応容器の上に設けられた上筒内へ向けて出発棒を引き上げていき、徐々に多孔質ガラス母材を形成していくものである。
【0003】
また、上記VAD法による多孔質ガラス母材の製造方法としては、多孔質ガラス母材を製造する際に、上筒内の上方から下方に向かって気体を流すことにより、バーナの火炎を長時間にわたって安定化させ、多孔質ガラス母材の長さ方向の屈折率の変動を抑えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、この製造方法では、生成直後に堆積されずに反応容器内に浮遊している余剰のガラス微粒子が円滑に排気される。そして、余剰のガラス微粒子が多孔質ガラス母材へ付着することを防止して、多孔質ガラス母材における気泡の発生を抑制している。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−221677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の多孔質ガラス母材の製造方法のように、上筒内にて上方から下方へ気流を生じさせた場合においても、余剰のガラス微粒子は、完全には排気されない。そして、余剰のガラス微粒子は、多孔質ガラス母材に対して付着しなくても、反応容器内で浮遊したり、バーナの火炎熱による上昇気流で上筒内へ流れ込み、熱泳動効果により上筒及び反応容器の内面に付着し、徐々に堆積する。
【0006】
上筒や反応容器の内面に堆積した余剰のガラス微粒子の堆積物は、温度変化や風圧等によってクラックが発生して剥離することがある。そして、上筒の内面から剥離したガラス微粒子の堆積物が、多孔質ガラス母材に接触したり付着したりすると、この多孔質ガラス母材に割れが生じたり、多孔質ガラス母材の透明化後に、内部に気泡が発生してしまい、ガラス母材の品質の低下を招いてしまう。
【0007】
また、上筒の内面へのガラス微粒子の付着を抑えるために、上筒内に流す気体の流速を高速化させると、製造中の多孔質ガラス母材が気流により冷却されてしまい、多孔質ガラス母材に割れが発生してしまうことがあるため、好ましくない。
【0008】
本発明は、上筒内面へのガラス微粒子の付着を抑制して、上筒内面に堆積するガラス微粒子に起因する多孔質ガラス母材への不具合を防止して、高品質な多孔質ガラス母材を製造することが可能な多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法は、反応容器内で、ガラス微粒子を出発棒に堆積させつつ、反応容器の上に設けた上筒内へ出発棒を引き上げていく際に、上筒を二重管構造とし、二重管の間に気体を供給し、二重管の内側の管の吹き出し口から上筒内へ気体を供給することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法において、気体は、不活性ガスまたは清浄空気であることが望ましい。そして、気体を10m/分以上かつ90m/分以下の流速にて、上筒の径方向に吹き出すことが好ましい。また、気体を10m/分以上かつ200m/分以下の流速にて吹き出して、上筒の内面に沿って流すことが好ましい。
なお、清浄空気とは、塵埃が除去されたクリーンエアのことを指す。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置は、多孔質ガラス母材を製造する反応容器と、反応容器の上に設けられ、多孔質ガラス母材の引き上げられた部分を収納する反応容器と連通した空間を有する上筒とを備え、上筒の少なくとも下半分に、円周方向の複数箇所に設けられた気体吹き出し用の吹き出し口を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置において、吹き出し口の相互の中心間隔が20mm以上かつ500mm以下であることが好ましい。
さらに、吹き出し口から吹き出す気体を上筒の内面に沿う方向に案内する案内板を設けることが望ましい。さらに、案内板は、吹き出し口から吹き出す気体を下方へ案内するように形成されていることが好ましい。
【0013】
また、案内板は、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ニッケル、ニッケル合金のうち、何れかの材料により形成されていることが望ましい。
なお、ニッケル合金とは、ニッケルを主成分とする金属のことを指す。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置の実施の形態の例を図面を参照して説明する。
本実施形態の多孔質ガラス母材の製造方法は、VAD法により多孔質ガラス母材を製造する際に、ガラス微粒子を堆積させる反応容器の上に設けられた二重管構造を有する上筒の内側の管から、上筒内へ気体を吹き出して供給することを特徴としている。
また、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置は、VAD法により多孔質ガラス母材を製造する製造装置であって、ガラス微粒子を堆積させる反応容器の上に設けられた上筒の少なくとも下半分に、円周方向の複数箇所に設けられた、気体を吹き出すための吹き出し口が形成されていることを特徴としている。
【0015】
まず、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置について説明する。
図1は、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、この多孔質ガラス母材の製造装置10は、反応容器1を有しており、この反応容器1には、その上部に、上筒2が立設されている。上筒2には、その上方から、出発棒3が吊り下げ具4によって吊り下げられている。
【0016】
また、上筒2及び反応容器1は、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ニッケル、ニッケル合金等、多孔質ガラス母材13を形成する際の高温の環境条件においても塩素ガス等による腐食が極めて起こりにくい材料を用いて形成されている。
【0017】
反応容器1は、その内側の空間内で出発棒3に対してガラス微粒子を堆積させるものである。そのため、反応容器1には、ガラス微粒子を生成するバーナ11が設けられている。バーナ11は、ガスを吹き出す複数のポートを有しており、そのポートから可燃性ガスと支燃性ガスからなる燃焼ガス、及びガラス原料ガスを吹き出し、燃焼ガスの燃焼により生じる酸水素火炎中においてガラス原料を加水分解反応させて、ガラス微粒子を生成するものである。また、バーナ11は、生成したガラス微粒子を出発棒3に堆積させるように、出発棒3に向けて配置されている。
さらに、反応容器1は、バーナ11と対向する位置に排気口12を備えており、出発棒3に堆積されなかった余剰のガラス微粒子を含む内部の排気ガスが排気口12から送り出される。
【0018】
上筒2は、筒状の内壁5及び外壁6からなる二重管の構造を有しており、内側の管である内壁5と外側の管である外壁6との隙間である流路7内に、上部から気体が供給されるようになっている。
また、上筒2には、流路7に供給される気体の流量を調節可能な流量調節手段(図示せず)が接続されている。
上筒2は、内壁5の内側の空間が、反応容器1の内側の空間と連通されており、反応容器1内で形成された多孔質ガラス母材の引き上げられた部分を収容することができる。
【0019】
図1から図3に示すように、上筒2の内壁5には、その下半分に、複数の吹き出し口8が形成されている。例えば、上筒2の高さ寸法が2mである場合は、その下半分の1mの範囲内に円形の吹き出し口8が形成されている。これら吹き出し口8は、内壁5の円周方向及び高さ方向に所定の間隔をあけて形成されている。好ましくは、吹き出し口8は格子状に規則正しく配置されていると良い。
本実施形態では、吹き出し口8の相互の中心間隔は、20mm以上かつ500mm以下に設定されている。また、個々の吹き出し口8の開口面積は、例えば約0.5cm2である。
【0020】
このように構成された上筒2では、流路7内に導入された気体が、吹き出し口8から内壁5の内側に吹き出すことができる。
また、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置10では、上筒2が二重管構造をなしているため、内壁5に吹き出し口8を形成するだけで、上筒2の内側に気体を吹き出す構造を容易に得ることができる。
【0021】
上記構成の多孔質ガラス母材の製造装置10によって多孔質ガラス母材を製造する方法について説明する。
まず、吊り下げ具4によって反応容器1内のバーナ11の近傍位置まで吊り下げた出発棒3を軸周りに回転させる。そして、この回転させている出発棒3に向かって、バーナ11から酸水素火炎を発生させる。酸水素火炎中では、加水分解反応によりガラス微粒子が生成される。生成されたガラス微粒子は、出発棒3に付着して徐々に出発棒3の周囲に堆積していく。
さらに、出発棒3を、軸周りに回転させながら、ガラス微粒子の堆積の状態に応じて上筒2内へ徐々に引き上げていくことで、ガラス微粒子が堆積したガラスの多孔質体が成長していき、所望の多孔質ガラス母材13を形成することができる。
【0022】
また、多孔質ガラス母材13を形成する際には、上筒2の内壁5と外壁6との間の流路7に、その上方側から気体を供給する。流路7に供給された気体は、流路7を通り、内壁5に形成された複数の吹き出し口8から、上筒2の内側に吹き出して、供給される。本実施形態の場合には、気体は吹き出し口8から放射状に吹き出す(図2参照)。これにより、吹き出した気体は上筒2の径方向や内壁5の内面に沿う方向などに流れていく。
【0023】
これにより、出発棒3に付着しなかった余剰のガラス微粒子は、上筒2の内壁5の吹き出し口8から吹き出す気体によって上筒2の内面への付着が防がれる。そして、余剰のガラス微粒子は、上筒2の内面に付着することなく、反応容器1の排気口12から排出される。
【0024】
したがって、上筒2の内面からガラス微粒子の堆積物が剥離して落下し、製造中の多孔質ガラス母材13に接触したり付着したりして、多孔質ガラス母材13に割れを生じさせたり、多孔質ガラス母材13の透明化後に、内部に気泡を発生させるような不具合の発生を抑制することができる。
すなわち、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置によれば、割れや気泡の少ない高品質な多孔質ガラス母材13を製造することができる。
【0025】
なお、本実施形態において用いられる気体は、多孔質ガラス母材13を形成する際の高温の環境条件、例えば1000℃以上の条件でも安定した性質を有する、窒素(N2)やアルゴン(Ar)等の不活性ガスを用いると良い。また、多孔質ガラス母材13に不純物を混入させることを防ぐために、塵埃が除去された不活性ガスを用いるとさらに良い。または、塵埃が除去されたクリーンエアを用いても良い。
【0026】
なお、流路7へ送り込まれる気体は、例えば上記の流量調節手段により、吹き出し口8から吹き出す上筒2の径方向への流速が10m/分以上かつ90m/分以下となるように、その流量が調節されていると良い。吹き出し口8から吹き出す気体の流速が10m/分以上であれば、吹き出し口8の相互の中心間隔が20mm以上である場合に、複数の吹き出し口8を形成した領域において、内壁5の内面に沿った気体の流れを安定した状態で形成することができる。なお、気体の流速が10m/分以上であって吹き出し口8の相互の中心間隔が20mm未満であると、隣接した吹き出し口8から吹き出した気体同士がぶつかり合って乱流を発生させてしまう場合がある。
また、径方向への流速が90m/分以下であれば、上筒2の内側に引き上げられた多孔質ガラス母材13に気体が強くあたって、多孔質ガラス母材13を損傷させたり冷却させたりすることが防止される。
【0027】
また、流路7へ送り込まれる気体の温度を、予め加熱して室温より高くしておくと良い。加熱された気体を流路7に流すことにより、通常に比べ内壁5の温度が高くなる。そのため、上筒2内の空間と内壁5との温度勾配が小さくなり、ガラス微粒子が内壁5に付着する要因である熱泳動効果を小さくすることができる。したがって、内壁5へのガラス微粒子の付着をより効果的に防止することができる。
【0028】
次に、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置の他の実施の形態について説明する。
図4及び図5は、上筒2を構成する内壁5に、吹き出し口8に対応させて案内板21を設けた構造の製造装置の一部を示す断面図及び斜視図である。
図4及び図5に示すように、案内板21は、それぞれ吹き出し口8から所定の間隔を設けた位置に、内壁5と平行な向きになるように連結棒22によって支持されている。
【0029】
このように、各吹き出し口8に対応させて案内板21を設けると、吹き出し口8から径方向に吹き出した気体は、案内板21にぶつかり、内壁5の内面に沿う方向に積極的に案内される。
これにより、上筒2内では、気体が内面に沿って流されやすくなるため、吹き出し口8から吹き出した気体がエアカーテンのように内壁5の内面を覆うように流れる。そのため、余剰のガラス微粒子の付着がさらに効果的に防止され、上筒2の内面に付着するガラス微粒子による多孔質ガラス母材13への悪影響をなくすことができ、さらに確実に高品質な多孔質ガラス母材13を製造することができる。
【0030】
また、図6及び図7は、案内板21が、その上部を屈曲させた連結板部23を内壁5の内面に固定することにより支持された構造の製造装置の一部を示す断面図及び斜視図である。
図6及び図7に示すように、連結板部23は、内壁5の内面との固定箇所から斜め下方に向かって傾斜する形状に形成されている。
これにより、吹き出し口8から吹き出す気体は、連結板部23によって下方へ導かれ、さらに、案内板21によって内壁5の内面に沿う方向に案内される。
【0031】
したがって、多孔質ガラス母材13を製造する際に、上筒2内では、その内面に沿って気体が全体的に下方へ流されるので、ガラス微粒子の付着を防止することができるとともに、上筒2に流れ込んでくるガラス微粒子を反応容器1へ確実に送り出して排気口12から円滑に排出させることができる。
【0032】
なお、図4から図7に示したように、案内板21を設け、吹き出し口8から吹き出す気体を内壁5の内面に沿う方向に案内する場合は、吹き出し口8から吹き出す気体の流速を早くしても、気体が製造している多孔質ガラス母材13に直接当たらず、多孔質ガラス母材13を冷却してしまうことによる割れの発生を確実に防止することができる。例えば、200m/分程度の流速であっても、多孔質ガラス母材13に直接気体が当たることが防がれる。ただし、気体の流速を200m/分以下とすると、乱流の発生を防止できるため好ましい。また、吹き出し口8の相互の中心間隔が、最大で500mmに設定されているため、気体の流速が200m/分であるときにも、内壁5の内面の吹き出し口8が形成された領域において、安定した気流を発生させることができる。
【0033】
また、上記案内板21としては、二酸化ケイ素(SiO2)もしくは炭化ケイ素(SiC)等の無機化合物、または、ニッケル(Ni)もしくはニッケル合金等の金属のうち、何れかの材料により形成されていることが好ましい。
これらの材料を用いることにより、案内板21の塩素ガス等による腐食を抑制することができる。また、これらの材料は、1000℃以上の高温条件下においても化学的に安定であり、多孔質ガラス母材を製造する際に、案内板21の一部が分離して多孔質ガラス母材13に付着して不具合を生じさせるようなこともない。
【0034】
なお、上述したそれぞれの実施の形態の例において、吹き出し口8は、上筒2の下半分における内壁5のほぼ全域にわたって設けられているが、下半分の一部分にのみ設けられていても良い。吹き出し口8から気体を吹き出さない場合、内壁5の内側に入ってくるガラス微粒子は、反応容器1に近い内壁5の下端部寄りに付着しやすいという傾向がある。そのため、一部分にのみ吹き出し口8を設ける場合には、その配設箇所は、できるだけ下端部寄りであると良い。
また、吹き出し口8は、内壁5の全域にわたって設けられていても良い。その場合、内壁5の内面全域においてさらに確実にガラス微粒子の付着を防止することができる。
【0035】
【実施例】
上筒を二重管構造とし、内壁の下半分に複数の吹き出し口を形成して気体を吹き出させる構造とした本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置10(図1参照)と、上筒の内面側に気体を吹き出させない構造の従来の製造装置とによって、それぞれ多孔質ガラス母材を製造した。
そして、製造した多孔質ガラス母材の割れによる不良の発生率、及び透明化後に残存した気泡の数をそれぞれ調べた。
【0036】
その結果、従来の製造装置によって製造した場合では、不良発生率が5%であったところ、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置10によって製造した場合では、不良発生率を1%に低減することができた。
また、従来の製造装置によって製造した場合では、多孔質ガラス母材を透明化したガラス母材に含まれる気泡の個数が、平均5個/本であったところ、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置によって製造した場合では、気泡の個数を平均1.5個/本に低減することができた。
このように、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置を用いることで、高品質の多孔質ガラス母材が得られることを確認できた。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置によれば、上筒内面へのガラス微粒子の付着を抑制して、上筒内面に堆積するガラス微粒子に起因する多孔質ガラス母材への不具合を防止して、高品質な多孔質ガラス母材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した上筒の構造を示す要部断面図である。
【図3】図1に示した吹き出し口を示す斜視図である。
【図4】案内板が設けられた上筒の構造を示す要部断面図である。
【図5】図4に示した案内板と吹き出し口を示す斜視図である。
【図6】気体を下方へ流す案内板が設けられた上筒の構造を示す要部断面図である。
【図7】図6に示した案内板と吹き出し口を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 反応容器
2 上筒
3 出発棒
5 内壁
6 外壁
8 吹き出し口
10 多孔質ガラス母材の製造装置
11 バーナ
13 多孔質ガラス母材
21 案内板
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス微粒子を出発材に堆積させて多孔質ガラス母材を製造する多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コアとクラッドを有する光ファイバは、光ファイバ用の多孔質ガラス母材を加熱して透明化させた後、線引きして製造される。光ファイバ用の多孔質ガラス母材を製造する方法としては、例えばVAD法が挙げられる。このVAD法は、バーナにより生成したガラス微粒子を、反応容器内で出発棒に堆積させながら、反応容器の上に設けられた上筒内へ向けて出発棒を引き上げていき、徐々に多孔質ガラス母材を形成していくものである。
【0003】
また、上記VAD法による多孔質ガラス母材の製造方法としては、多孔質ガラス母材を製造する際に、上筒内の上方から下方に向かって気体を流すことにより、バーナの火炎を長時間にわたって安定化させ、多孔質ガラス母材の長さ方向の屈折率の変動を抑えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、この製造方法では、生成直後に堆積されずに反応容器内に浮遊している余剰のガラス微粒子が円滑に排気される。そして、余剰のガラス微粒子が多孔質ガラス母材へ付着することを防止して、多孔質ガラス母材における気泡の発生を抑制している。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−221677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の多孔質ガラス母材の製造方法のように、上筒内にて上方から下方へ気流を生じさせた場合においても、余剰のガラス微粒子は、完全には排気されない。そして、余剰のガラス微粒子は、多孔質ガラス母材に対して付着しなくても、反応容器内で浮遊したり、バーナの火炎熱による上昇気流で上筒内へ流れ込み、熱泳動効果により上筒及び反応容器の内面に付着し、徐々に堆積する。
【0006】
上筒や反応容器の内面に堆積した余剰のガラス微粒子の堆積物は、温度変化や風圧等によってクラックが発生して剥離することがある。そして、上筒の内面から剥離したガラス微粒子の堆積物が、多孔質ガラス母材に接触したり付着したりすると、この多孔質ガラス母材に割れが生じたり、多孔質ガラス母材の透明化後に、内部に気泡が発生してしまい、ガラス母材の品質の低下を招いてしまう。
【0007】
また、上筒の内面へのガラス微粒子の付着を抑えるために、上筒内に流す気体の流速を高速化させると、製造中の多孔質ガラス母材が気流により冷却されてしまい、多孔質ガラス母材に割れが発生してしまうことがあるため、好ましくない。
【0008】
本発明は、上筒内面へのガラス微粒子の付着を抑制して、上筒内面に堆積するガラス微粒子に起因する多孔質ガラス母材への不具合を防止して、高品質な多孔質ガラス母材を製造することが可能な多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法は、反応容器内で、ガラス微粒子を出発棒に堆積させつつ、反応容器の上に設けた上筒内へ出発棒を引き上げていく際に、上筒を二重管構造とし、二重管の間に気体を供給し、二重管の内側の管の吹き出し口から上筒内へ気体を供給することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法において、気体は、不活性ガスまたは清浄空気であることが望ましい。そして、気体を10m/分以上かつ90m/分以下の流速にて、上筒の径方向に吹き出すことが好ましい。また、気体を10m/分以上かつ200m/分以下の流速にて吹き出して、上筒の内面に沿って流すことが好ましい。
なお、清浄空気とは、塵埃が除去されたクリーンエアのことを指す。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置は、多孔質ガラス母材を製造する反応容器と、反応容器の上に設けられ、多孔質ガラス母材の引き上げられた部分を収納する反応容器と連通した空間を有する上筒とを備え、上筒の少なくとも下半分に、円周方向の複数箇所に設けられた気体吹き出し用の吹き出し口を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置において、吹き出し口の相互の中心間隔が20mm以上かつ500mm以下であることが好ましい。
さらに、吹き出し口から吹き出す気体を上筒の内面に沿う方向に案内する案内板を設けることが望ましい。さらに、案内板は、吹き出し口から吹き出す気体を下方へ案内するように形成されていることが好ましい。
【0013】
また、案内板は、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ニッケル、ニッケル合金のうち、何れかの材料により形成されていることが望ましい。
なお、ニッケル合金とは、ニッケルを主成分とする金属のことを指す。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置の実施の形態の例を図面を参照して説明する。
本実施形態の多孔質ガラス母材の製造方法は、VAD法により多孔質ガラス母材を製造する際に、ガラス微粒子を堆積させる反応容器の上に設けられた二重管構造を有する上筒の内側の管から、上筒内へ気体を吹き出して供給することを特徴としている。
また、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置は、VAD法により多孔質ガラス母材を製造する製造装置であって、ガラス微粒子を堆積させる反応容器の上に設けられた上筒の少なくとも下半分に、円周方向の複数箇所に設けられた、気体を吹き出すための吹き出し口が形成されていることを特徴としている。
【0015】
まず、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置について説明する。
図1は、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、この多孔質ガラス母材の製造装置10は、反応容器1を有しており、この反応容器1には、その上部に、上筒2が立設されている。上筒2には、その上方から、出発棒3が吊り下げ具4によって吊り下げられている。
【0016】
また、上筒2及び反応容器1は、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ニッケル、ニッケル合金等、多孔質ガラス母材13を形成する際の高温の環境条件においても塩素ガス等による腐食が極めて起こりにくい材料を用いて形成されている。
【0017】
反応容器1は、その内側の空間内で出発棒3に対してガラス微粒子を堆積させるものである。そのため、反応容器1には、ガラス微粒子を生成するバーナ11が設けられている。バーナ11は、ガスを吹き出す複数のポートを有しており、そのポートから可燃性ガスと支燃性ガスからなる燃焼ガス、及びガラス原料ガスを吹き出し、燃焼ガスの燃焼により生じる酸水素火炎中においてガラス原料を加水分解反応させて、ガラス微粒子を生成するものである。また、バーナ11は、生成したガラス微粒子を出発棒3に堆積させるように、出発棒3に向けて配置されている。
さらに、反応容器1は、バーナ11と対向する位置に排気口12を備えており、出発棒3に堆積されなかった余剰のガラス微粒子を含む内部の排気ガスが排気口12から送り出される。
【0018】
上筒2は、筒状の内壁5及び外壁6からなる二重管の構造を有しており、内側の管である内壁5と外側の管である外壁6との隙間である流路7内に、上部から気体が供給されるようになっている。
また、上筒2には、流路7に供給される気体の流量を調節可能な流量調節手段(図示せず)が接続されている。
上筒2は、内壁5の内側の空間が、反応容器1の内側の空間と連通されており、反応容器1内で形成された多孔質ガラス母材の引き上げられた部分を収容することができる。
【0019】
図1から図3に示すように、上筒2の内壁5には、その下半分に、複数の吹き出し口8が形成されている。例えば、上筒2の高さ寸法が2mである場合は、その下半分の1mの範囲内に円形の吹き出し口8が形成されている。これら吹き出し口8は、内壁5の円周方向及び高さ方向に所定の間隔をあけて形成されている。好ましくは、吹き出し口8は格子状に規則正しく配置されていると良い。
本実施形態では、吹き出し口8の相互の中心間隔は、20mm以上かつ500mm以下に設定されている。また、個々の吹き出し口8の開口面積は、例えば約0.5cm2である。
【0020】
このように構成された上筒2では、流路7内に導入された気体が、吹き出し口8から内壁5の内側に吹き出すことができる。
また、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造装置10では、上筒2が二重管構造をなしているため、内壁5に吹き出し口8を形成するだけで、上筒2の内側に気体を吹き出す構造を容易に得ることができる。
【0021】
上記構成の多孔質ガラス母材の製造装置10によって多孔質ガラス母材を製造する方法について説明する。
まず、吊り下げ具4によって反応容器1内のバーナ11の近傍位置まで吊り下げた出発棒3を軸周りに回転させる。そして、この回転させている出発棒3に向かって、バーナ11から酸水素火炎を発生させる。酸水素火炎中では、加水分解反応によりガラス微粒子が生成される。生成されたガラス微粒子は、出発棒3に付着して徐々に出発棒3の周囲に堆積していく。
さらに、出発棒3を、軸周りに回転させながら、ガラス微粒子の堆積の状態に応じて上筒2内へ徐々に引き上げていくことで、ガラス微粒子が堆積したガラスの多孔質体が成長していき、所望の多孔質ガラス母材13を形成することができる。
【0022】
また、多孔質ガラス母材13を形成する際には、上筒2の内壁5と外壁6との間の流路7に、その上方側から気体を供給する。流路7に供給された気体は、流路7を通り、内壁5に形成された複数の吹き出し口8から、上筒2の内側に吹き出して、供給される。本実施形態の場合には、気体は吹き出し口8から放射状に吹き出す(図2参照)。これにより、吹き出した気体は上筒2の径方向や内壁5の内面に沿う方向などに流れていく。
【0023】
これにより、出発棒3に付着しなかった余剰のガラス微粒子は、上筒2の内壁5の吹き出し口8から吹き出す気体によって上筒2の内面への付着が防がれる。そして、余剰のガラス微粒子は、上筒2の内面に付着することなく、反応容器1の排気口12から排出される。
【0024】
したがって、上筒2の内面からガラス微粒子の堆積物が剥離して落下し、製造中の多孔質ガラス母材13に接触したり付着したりして、多孔質ガラス母材13に割れを生じさせたり、多孔質ガラス母材13の透明化後に、内部に気泡を発生させるような不具合の発生を抑制することができる。
すなわち、本実施形態の多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置によれば、割れや気泡の少ない高品質な多孔質ガラス母材13を製造することができる。
【0025】
なお、本実施形態において用いられる気体は、多孔質ガラス母材13を形成する際の高温の環境条件、例えば1000℃以上の条件でも安定した性質を有する、窒素(N2)やアルゴン(Ar)等の不活性ガスを用いると良い。また、多孔質ガラス母材13に不純物を混入させることを防ぐために、塵埃が除去された不活性ガスを用いるとさらに良い。または、塵埃が除去されたクリーンエアを用いても良い。
【0026】
なお、流路7へ送り込まれる気体は、例えば上記の流量調節手段により、吹き出し口8から吹き出す上筒2の径方向への流速が10m/分以上かつ90m/分以下となるように、その流量が調節されていると良い。吹き出し口8から吹き出す気体の流速が10m/分以上であれば、吹き出し口8の相互の中心間隔が20mm以上である場合に、複数の吹き出し口8を形成した領域において、内壁5の内面に沿った気体の流れを安定した状態で形成することができる。なお、気体の流速が10m/分以上であって吹き出し口8の相互の中心間隔が20mm未満であると、隣接した吹き出し口8から吹き出した気体同士がぶつかり合って乱流を発生させてしまう場合がある。
また、径方向への流速が90m/分以下であれば、上筒2の内側に引き上げられた多孔質ガラス母材13に気体が強くあたって、多孔質ガラス母材13を損傷させたり冷却させたりすることが防止される。
【0027】
また、流路7へ送り込まれる気体の温度を、予め加熱して室温より高くしておくと良い。加熱された気体を流路7に流すことにより、通常に比べ内壁5の温度が高くなる。そのため、上筒2内の空間と内壁5との温度勾配が小さくなり、ガラス微粒子が内壁5に付着する要因である熱泳動効果を小さくすることができる。したがって、内壁5へのガラス微粒子の付着をより効果的に防止することができる。
【0028】
次に、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置の他の実施の形態について説明する。
図4及び図5は、上筒2を構成する内壁5に、吹き出し口8に対応させて案内板21を設けた構造の製造装置の一部を示す断面図及び斜視図である。
図4及び図5に示すように、案内板21は、それぞれ吹き出し口8から所定の間隔を設けた位置に、内壁5と平行な向きになるように連結棒22によって支持されている。
【0029】
このように、各吹き出し口8に対応させて案内板21を設けると、吹き出し口8から径方向に吹き出した気体は、案内板21にぶつかり、内壁5の内面に沿う方向に積極的に案内される。
これにより、上筒2内では、気体が内面に沿って流されやすくなるため、吹き出し口8から吹き出した気体がエアカーテンのように内壁5の内面を覆うように流れる。そのため、余剰のガラス微粒子の付着がさらに効果的に防止され、上筒2の内面に付着するガラス微粒子による多孔質ガラス母材13への悪影響をなくすことができ、さらに確実に高品質な多孔質ガラス母材13を製造することができる。
【0030】
また、図6及び図7は、案内板21が、その上部を屈曲させた連結板部23を内壁5の内面に固定することにより支持された構造の製造装置の一部を示す断面図及び斜視図である。
図6及び図7に示すように、連結板部23は、内壁5の内面との固定箇所から斜め下方に向かって傾斜する形状に形成されている。
これにより、吹き出し口8から吹き出す気体は、連結板部23によって下方へ導かれ、さらに、案内板21によって内壁5の内面に沿う方向に案内される。
【0031】
したがって、多孔質ガラス母材13を製造する際に、上筒2内では、その内面に沿って気体が全体的に下方へ流されるので、ガラス微粒子の付着を防止することができるとともに、上筒2に流れ込んでくるガラス微粒子を反応容器1へ確実に送り出して排気口12から円滑に排出させることができる。
【0032】
なお、図4から図7に示したように、案内板21を設け、吹き出し口8から吹き出す気体を内壁5の内面に沿う方向に案内する場合は、吹き出し口8から吹き出す気体の流速を早くしても、気体が製造している多孔質ガラス母材13に直接当たらず、多孔質ガラス母材13を冷却してしまうことによる割れの発生を確実に防止することができる。例えば、200m/分程度の流速であっても、多孔質ガラス母材13に直接気体が当たることが防がれる。ただし、気体の流速を200m/分以下とすると、乱流の発生を防止できるため好ましい。また、吹き出し口8の相互の中心間隔が、最大で500mmに設定されているため、気体の流速が200m/分であるときにも、内壁5の内面の吹き出し口8が形成された領域において、安定した気流を発生させることができる。
【0033】
また、上記案内板21としては、二酸化ケイ素(SiO2)もしくは炭化ケイ素(SiC)等の無機化合物、または、ニッケル(Ni)もしくはニッケル合金等の金属のうち、何れかの材料により形成されていることが好ましい。
これらの材料を用いることにより、案内板21の塩素ガス等による腐食を抑制することができる。また、これらの材料は、1000℃以上の高温条件下においても化学的に安定であり、多孔質ガラス母材を製造する際に、案内板21の一部が分離して多孔質ガラス母材13に付着して不具合を生じさせるようなこともない。
【0034】
なお、上述したそれぞれの実施の形態の例において、吹き出し口8は、上筒2の下半分における内壁5のほぼ全域にわたって設けられているが、下半分の一部分にのみ設けられていても良い。吹き出し口8から気体を吹き出さない場合、内壁5の内側に入ってくるガラス微粒子は、反応容器1に近い内壁5の下端部寄りに付着しやすいという傾向がある。そのため、一部分にのみ吹き出し口8を設ける場合には、その配設箇所は、できるだけ下端部寄りであると良い。
また、吹き出し口8は、内壁5の全域にわたって設けられていても良い。その場合、内壁5の内面全域においてさらに確実にガラス微粒子の付着を防止することができる。
【0035】
【実施例】
上筒を二重管構造とし、内壁の下半分に複数の吹き出し口を形成して気体を吹き出させる構造とした本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置10(図1参照)と、上筒の内面側に気体を吹き出させない構造の従来の製造装置とによって、それぞれ多孔質ガラス母材を製造した。
そして、製造した多孔質ガラス母材の割れによる不良の発生率、及び透明化後に残存した気泡の数をそれぞれ調べた。
【0036】
その結果、従来の製造装置によって製造した場合では、不良発生率が5%であったところ、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置10によって製造した場合では、不良発生率を1%に低減することができた。
また、従来の製造装置によって製造した場合では、多孔質ガラス母材を透明化したガラス母材に含まれる気泡の個数が、平均5個/本であったところ、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置によって製造した場合では、気泡の個数を平均1.5個/本に低減することができた。
このように、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置を用いることで、高品質の多孔質ガラス母材が得られることを確認できた。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る多孔質ガラス母材の製造方法及び製造装置によれば、上筒内面へのガラス微粒子の付着を抑制して、上筒内面に堆積するガラス微粒子に起因する多孔質ガラス母材への不具合を防止して、高品質な多孔質ガラス母材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多孔質ガラス母材の製造装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した上筒の構造を示す要部断面図である。
【図3】図1に示した吹き出し口を示す斜視図である。
【図4】案内板が設けられた上筒の構造を示す要部断面図である。
【図5】図4に示した案内板と吹き出し口を示す斜視図である。
【図6】気体を下方へ流す案内板が設けられた上筒の構造を示す要部断面図である。
【図7】図6に示した案内板と吹き出し口を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 反応容器
2 上筒
3 出発棒
5 内壁
6 外壁
8 吹き出し口
10 多孔質ガラス母材の製造装置
11 バーナ
13 多孔質ガラス母材
21 案内板
Claims (9)
- 反応容器内で、ガラス微粒子を出発棒に堆積させつつ、前記反応容器の上に設けた上筒内へ出発棒を引き上げていく際に、
前記上筒を二重管構造とし、前記二重管の間に気体を供給し、
前記二重管の内側の管の吹き出し口から前記上筒内へ前記気体を供給することを特徴とする多孔質ガラス母材の製造方法。 - 前記気体は、不活性ガスまたは清浄空気であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ガラス母材の製造方法。
- 前記気体を、10m/分以上かつ90m/分以下の流速にて、前記上筒の径方向に吹き出すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質ガラス母材の製造方法。
- 前記気体を、10m/分以上かつ200m/分以下の流速にて吹き出して、前記上筒の内面に沿って流すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質ガラス母材の製造方法。
- 多孔質ガラス母材を製造する反応容器と、前記反応容器の上に設けられ、前記多孔質ガラス母材の引き上げられた部分を収納する前記反応容器と連通した空間を有する上筒とを備え、
前記上筒の少なくとも下半分に、円周方向の複数箇所に設けられた気体吹き出し用の吹き出し口を有することを特徴とする多孔質ガラス母材の製造装置。 - 前記吹き出し口の相互の中心間隔が20mm以上かつ500mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の多孔質ガラス母材の製造装置。
- 前記吹き出し口から吹き出す前記気体を前記上筒の内面に沿う方向に案内する案内板が設けられていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の多孔質ガラス母材の製造装置。
- 前記案内板は、前記吹き出し口から吹き出す前記気体を下方へ案内するように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の多孔質ガラス母材の製造装置。
- 前記案内板は、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、ニッケル、ニッケル合金のうち、何れかの材料により形成されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の多孔質ガラス母材の製造装置。
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2003
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