JP2004306850A - 車両の懸架脚制御装置 - Google Patents

車両の懸架脚制御装置 Download PDF

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Takashi Tejima
高士 手嶋
Toshiyuki Hirata
敏行 平田
Takeo Ueda
武男 植田
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Abstract

【課題】懸架脚の僅かなストロークで最大超堤高さ、アプローチアングルの向上を図るようにして、懸架脚を小型化し懸架脚のコストを低減し車高調整に伴うエネルギー消費を抑える。
【解決手段】各懸架脚11〜18のストロークを制御することにより、車体101を、後傾の姿勢にして、最も前の車軸41に対応する車輪103の中心が、前方に存在する堤120の高さ以上の位置に、位置される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の懸架脚のストロークを制御することにより車高を調整するようにした車両の懸架脚制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輪を有した装輪車両の車体の下部には、各懸架脚が懸架されている。懸架脚は、車輪、リンクやアーム等のサスペンション部材、バネ要素、ダンパ要素からなる。車両が走行し、車輪が上下方向に揺動するに応じて、サスペンション部材が揺動し、これに応じてバネ要素でバネ力が発生するとともにダンパ要素で減衰力が発生し、路面から車体への衝撃が和らげられ衝撃が迅速に減衰する。
【0003】
従来より、車軸が3軸(車輪が6輪)、4軸(車輪が8輪)、5軸(車輪が10輪)等の多軸からなる多軸装輪車両が、たとえば戦闘車両として実用化されている。
【0004】
戦闘車両は、粗い路面の不整地を高速で走行することが多く路面から受ける衝撃力が大きい。このため不整地を高速で走行する場合には底板を凹凸路面に衝突させて損傷することがないよう高車高の姿勢が望ましい。また偵察時には敵から発見されにくい低車高の姿勢が望ましい。
【0005】
こうした要請から多軸装輪車両の懸架脚に、車高調整用シリンダを設け、車高調整用シリンダのロッドを伸縮させることによって懸架脚のストロークを変化させて車高を調整するようにしている。
【0006】
一方、戦車等の重量級の装軌式車両には、履帯(キャタピラ)が装備されている。履帯を装備した装軌式車両は、車輪を備えた多軸装輪車両と比較して、最大超堤高さ、アプローチアングルともに大きく、不整地における走破性は高い。
【0007】
そこで、多軸装輪車両において装軌式車両と同等かそれ以上に、最大超堤高さの向上を図りアプローチアングルの増大を図り、不整地における走破性を高めたいとの要請がある。
【0008】
なお本明細書において「堤」とは突起、段差等の水平な接地面に対して凸のものをいう。
【0009】
【従来技術1】
下記特許文献1には、多軸装輪車両の車体の姿勢を水平に維持したまま各車輪を堤よりも高い位置まで浮上させて、最大超堤高さの向上を図るという技術が記載されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−118456号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記従来技術1を採用すると、車輪を堤よりも高い位置まで浮上させるために、懸架脚に長大なストロークが要求される。このため懸架脚が大型化し場積が嵩むとともに懸架脚のコストが増大する。さらに車高調整に伴うエネルギー消費が大きくなる。
【0011】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、懸架脚の僅かなストロークで最大超堤高さ、アプローチアングルの向上を図るようにして、懸架脚を小型化し懸架脚のコストを低減し車高調整に伴うエネルギー消費を抑えることを解決課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
第1発明は、
3軸以上の車軸を有し、各車軸に対応して懸架脚が設けられ、懸架脚のストロークを制御するようにした車両の懸架脚制御装置において、
懸架脚のストロークを制御することにより、車体を、後傾の姿勢にして、最も前の車軸に対応する車輪の中心を、前方に存在する堤の高さ以上の位置に、位置させること
を特徴とする。
【0013】
第2発明は、第1発明において、
最も前の車軸に対応する懸架脚のストロークを後傾前の状態に保持し、少なくとも最も前の車軸に隣接する車軸に対応する懸架脚を伸張させ、少なくとも最も後ろの車軸に対応する懸架脚を縮退させることにより、車体を、後傾の姿勢にすること
を特徴とする。
【0014】
第3発明は、第1発明において、
最も前の車軸に対応する懸架脚を縮退させ、少なくとも当該最も前の車軸に隣接する車軸に対応する懸架脚を伸張させ、少なくとも最も後ろの車軸に対応する懸架脚を縮退させることにより、車体を、後傾の姿勢にすること
を特徴とする。
【0015】
第4発明は、第1発明において、
最も前の車軸を除いた車軸に対応する懸架脚に、懸架脚のストロークを制御する手段が設けられ、
少なくとも最も前の車軸に隣接する車軸に対応する懸架脚を伸張させることにより、車体を、後傾の姿勢にすること
を特徴とする。
【0016】
第5発明は、
3軸以上の車軸を有し、各車軸に対応して懸架脚が設けられ、懸架脚のストロークを制御するようにした車両の懸架脚制御装置において、
最も前の車軸に対応する懸架脚に、当該最も前の懸架脚のストロークを制御する手段が設けられ、
前記最も前の懸架脚を伸張させることにより、最も前の車軸に対応する車輪の中心を、前方に存在する堤の高さ以上の位置に位置させ、かつ当該車輪の最下点を堤の高さよりも下方の位置に位置させること
を特徴とする。
【0017】
第1発明によれば、図1に示すように、各懸架脚11〜18のストロークが制御されて、車体101が、後傾の姿勢になり、最も前の車軸41に対応する車輪103が浮上して、その中心が前方に存在する堤120の高さ以上の位置に、位置される。
【0018】
図1において120′は、車体101を水平の姿勢のままで乗り越えが可能な堤の高さを示している。
第1発明によれば、堤120′の高さに、最前軸41の車輪103の浮上分を加算した高さの堤120を乗り越えることが可能となり、最大超堤高さが向上する。また車体101を後傾の姿勢にしたため、その後傾角度θに応じて、アプローチアングルが車体水平時のアプローチアングルφから、ωに増加する。
【0019】
また車体101を後傾の姿勢することで最前軸41の車輪103を浮上させるようにしたので、浮上に要する各懸架脚11〜18のストローク変化は小さくて済む。懸架脚11〜18の僅かなストローク変化で最大超堤高さ、アプローチアングルの向上が図られる。このため懸架脚11〜18を小型にすることができ懸架脚11〜18のコストを低減でき車高調整に伴うエネルギー消費を抑えることができる。
【0020】
第2発明によれば、図1(b)に示すように、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13のストロークを後傾前の状態に保持し標準車高にし、少なくとも最前軸41に隣接する第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にし、少なくとも最も後ろの軸(4軸車両であれば第4軸44)に対応する懸架脚(16,18)を縮退させ低車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。
【0021】
第3発明によれば、図2に示すように、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13を縮退させ低車高にし、少なくとも最前軸41に隣接する第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にし、少なくとも最も後ろの軸(4軸車両であれば第4軸44)に対応する懸架脚(16、18)を縮退させ低車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。
【0022】
第4発明によれば、図3に示すように、少なくとも最前軸41に隣接する第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。
【0023】
第5発明によれば、図4に示すように、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13が縮退されて、第1軸41の車輪103が浮上し、その中心が、前方に存在する堤120の高さ以上の位置に位置され、かつ第1軸41の車輪103の最下点が堤120の高さよりも下方の位置に位置される。
【0024】
第5発明によれば、多軸車両100において少なくとも最前軸41に車高調整装置を設けるだけで(他の軸について車高調整装置を省略して)、最前軸41の車輪103を浮上させることができ最大超堤高さを向上させることができる。また第1軸41の車輪103の中心が、前方に存在する堤120の高さ以上の位置に位置され、かつ第1軸41の車輪103の最下点が堤120の高さよりも下方の位置に位置される程度に、第1軸41の車輪103を浮上させるだけなので、浮上に要する各懸架脚11、13のストローク変化は小さくて済む。このため第1発明と比較して、懸架装置を更に小型にでき車高調整装置のコストを更に低減させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明に係る車両の懸架脚制御装置の実施形態について説明する。
【0026】
(実施例1)
図1は実施例1の車両100を示す。図1(a)は側面図で、図1(b)は正面図で、図1(c)は上面図である。
【0027】
実施形態では、戦闘車両であって、4軸の車軸、8つの車輪が備えられた多軸装輪車両を想定する。また実施形態では車両100として、独立懸架方式の車両100を想定している。
【0028】
なお以下に述べる説明は、3軸以上であれば4軸以外の多軸車両に適用してもよく、戦闘車両以外の民生用の車両に適用してもよい。
【0029】
図1に示すように車体101には、車体101の前側より第1軸41、第2軸42、第3軸43、第4軸44の各車軸が備えられている。
【0030】
車体101の下部には、各懸架脚11、12、13、14、15、16、17、18が懸架されている。
【0031】
すなわち第1軸41に対応して、第1軸左輪の懸架脚11、第1軸右輪の懸架脚13が設けられている。また第2軸42に対応して、第2軸左輪の懸架脚12、第2軸右輪の懸架脚14が設けられている。また第3軸43に対応して、第3軸左輪の懸架脚15、第3軸右輪の懸架脚17が設けられている。また第4軸44に対応して、第4軸左輪の懸架脚16、第4軸右輪の懸架脚18が設けられている。
【0032】
懸架脚11〜18は、車輪103、リンクやアーム等のサスペンション部材102、図示しないバネ要素、ダンパ要素、車高調整用シリンダ20とからなる。
【0033】
車輪103が上下方向に揺動するように、車体101と車輪103とがリンクやアーム等のサスペンション部材102を介して連結される。車体101とサスペンション部材102とが車高調整用シリンダ20を介して連結される。ここでバネ要素、ダンパ要素を、車高調整用シリンダ20と直列に設けてもよく、車高調整用シリンダ20に並列に設けてもよい。たとえば車高調整用シリンダ20の油室に連通するアキュムレータをバネ要素とし、車高調整用シリンダの油室に連通する油路上の絞りをダンパ要素とすることができる。
【0034】
車高調整用シリンダ20のロッド20aはサスペンション部材102を介して車輪103に連結している。車高調整用シリンダ20のシリンダ本体20bは車体101に接続している。このため車高調整用シリンダ20のロッド20aが伸張すると車体101の車高が高車高となりロッド20bが縮退すると車体101の車高が低車高となる。
【0035】
車高調整用シリンダ20のロッド20aの調整は、図6に示す車高調整用油圧回路200で行われる。
【0036】
同図6に示すように、車高調整用シリンダ20は、シリンダ本体20bと、このシリンダ本体20b内で摺動するピストン23と、このピストン23に接続したロッド20aとからなる。ピストン23によって、シリンダ本体20b内は、ロッド20a側の油室25Aとピストン23を挟んで反対側の油室25Bとに画成されている。
【0037】
車両100には、車高調整用作動油を吐出する油圧ポンプ201、油圧ポンプ201の吸込み口に連通するタンク202が設けられている。油圧ポンプ201の吐出口は吐出油路203に連通しており、吐出油路203は開閉弁204の吐出ポート204Pに接続されている。タンク202は戻り油路205に連通しており、戻り油路205は開閉弁204のタンクポート204Tに接続されている。
【0038】
開閉弁204の出口ポート204Dは油路206に連通し、戻りポート204Rは油路207に連通している。
【0039】
開閉弁204は電磁弁であり、制御信号jに応じて開閉し、吐出油路203と油路206とを連通させ油路207と戻り油路205とを連通させる状態(開状態)にするか、これらの連通を遮断する(閉状態)。
【0040】
油路206は、車高調整用流量方向制御弁(以下車高調整弁)210の吐出ポートPに連通し、油路207は車高調整弁210のタンクポート210Tに連通している。車高調整弁210のポート210Dは油路208を介して車高調整用シリンダ20の油室25Aに連通し、ポート210Rは油路209を介して車高調整用シリンダ20の油室25Bに連通している。
【0041】
車高調整弁210は、各懸架脚11〜18の車高調整用シリンダ20に対応して、各懸架脚11〜18毎に設けられている。
【0042】
車高調整弁210は、電磁比例制御弁であり、低車高位置210a、中立位置210c、高車高位置210bの各弁位置を有している。車高調整弁210の電磁ソレノイドに入力される制御信号iに応じて弁位置が変化する。すなわち車高調整弁210に低車高を指示する制御信号iが加えられると、車高調整弁210は低車高位置210a側に位置され、吐出ポート210Pとポート210Dが連通するとともに、ポート210Rがタンクポート210Tに連通する。これに伴い油圧ポンプ201から吐出された車高調整用作動油が吐出油路203、開閉弁204、油路206、車高調整弁210、出口側の油路208を介して、車高調整用シリンダ20の油室25Aに流入するとともに、車高調整用シリンダ20の油室25B内の車高調整用作動油が油路209、車高調整弁210、油路207、開閉弁204、戻り油路205を介してタンク202に排出される。これにより車高調整用シリンダ20のロッド20aは縮退し、懸架脚11〜18が縮退し、車体101が低車高となる。
【0043】
同様にして車高調整弁210に高車高を指示する制御信号iが加えられると、車高調整弁210は高車高位置210b側に位置され、吐出ポート210Pとポート210Rが連通するとともに、ポート210Dがタンクポート210Tに連通する。これに伴い油圧ポンプ201から吐出された車高調整用作動油が吐出油路203、開閉弁204、油路206、車高調整弁210、出口側の油路209を介して、車高調整用シリンダ20の油室25Bに流入するとともに、車高調整用シリンダ20の油室25A内の車高調整用作動油が油路208、車高調整弁210、油路207、開閉弁204、戻り油路205を介してタンク202に排出される。これにより車高調整用シリンダ20のロッド20aは伸張し、懸架脚11〜18が伸張し、車体101が高車高となる。
【0044】
制御信号iの大きさに応じて車高調整弁210の弁位置が変化し車高調整用シリンダ20の油室25A、油室25Bに流入される車高調整用作動油の流量が変化し、車高が最低車高〜標準車高〜最高車高の範囲で変化する。
【0045】
また車高調整弁210に、現在の車高を保持する制御信号iが加えられると、車高調整弁210は中立位置210cに位置され、吐出ポート210P、タンクポートとポート210D、ポート210Rとの連通が遮断される。これにより車高調整用シリンダ20の各油室25A、25B内への車高調整用作動油の流入および各油室25A、25Bからの車高調整用作動油の排出が止まり、ロッド20aのストロークが保持され車高が現在の車高に保持される。
【0046】
車高調整用シリンダ20のロッド20aには同ロッド20aのストロークを検出することで車体101の高さHを検出する車高センサ30が設けられている。
【0047】
図5は実施例1の車高調整装置の構成を制御ブロック図で示している。
【0048】
車両100の運転室には操作盤400が設けられており、操作盤400には、車体101の姿勢角度(後傾角度)θを指示するスイッチ401、車体101の車高を標準の車高に戻し水平姿勢に戻すことを指示するスイッチ402が設けられている。
【0049】
車両100には、スイッチ401で指示された姿勢角度(後傾角度)θを示す信号、スイッチ402で指示された水平姿勢復帰信号、各懸架脚11〜18の車高調整用シリンダ20の車高センサ30の検出信号Hを入力して、車高調整用油圧回路200の開閉弁204、各懸架脚11〜18の車高調整弁210に制御信号j、iを出力する車高調整用コントローラ300が設けられている。
【0050】
以下車高調整用コントローラ300で行われる処理について図7に示すフローチャートと、図1を併せ参照して説明する。
【0051】
通常走行中には、車両100の各軸41、42、43、44毎の車高は、標準高さに設定されており、車体101が接地面110に対して水平姿勢に保持され車両100が走行している。
【0052】
車両100の走行中にオペレータが前方に堤120を発見すると、オペレータは操作盤400上のスイッチ401を操作して車体101の後傾角度θを指示する。ここで、指示される後傾角度θは、進行方向側の最前の車軸である第1軸41の車輪103の中心を、堤120の高さ以上の位置に、位置させるために必要な車体101の姿勢角度である(ステップ501の判断YES)。
【0053】
車高調整用コントローラ300には、操作盤400から姿勢角度θを示す信号が入力され、読み込まれる(ステップ502)。
【0054】
つぎに車体101の姿勢角度を後傾角度θにするために必要な各車軸41、42、43、44毎の目標車高Hrが、車体101各部の寸法データに基づいて幾何的に算出される。
【0055】
ここで車体101を後傾にして第1軸41の車輪103を接地面110から浮上させるためには、図1(a)に示すように、第1軸41の車高を標準車高に保持し、第2軸42の車高を標準車高よりも高車高側に変化させ、第4軸44の車高を標準車高よりも低車高側に変化させる必要がある。第3軸43の車高は、第2軸42、第4軸44の車高変化に干渉しないように、標準車高から低車高側あるいは高車高側に変化させる必要がある。
【0056】
つぎに算出された各車軸41、42、43、44毎の目標車高Hrに基づいて、各懸架脚11〜18毎に車高調整用シリンダ20のロッド20aの目標ストロークが算出される(ステップ503)。
【0057】
つぎに車高調整用コントローラ300は、各懸架脚11〜18の車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークを目標ストロークにするために必要な制御信号iを生成して、各懸架脚11〜18の車高調整弁210に出力する。また開閉弁204に対して開状態にする制御信号jを出力する。
【0058】
このため開閉弁204が開状態にされ、油圧ポンプ201から吐出された車高調整用作動油が吐出油路203、開閉弁204、油路206を介して各車高調整弁210に供給されるとともに、各車高調整弁210から排出される車高調整用作動油が油路207、開閉弁204、戻り油路205を介してタンク202に排出される。
【0059】
第1軸41(懸架脚11、13)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210をほぼ中立位置210cに位置させる制御信号iが入力される。このため第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aは標準のストローク付近で伸縮し(各懸架脚11、13は標準のストローク付近で伸縮し)、第1軸41は標準車高にされる。
【0060】
第2軸42(懸架脚12、14)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を高車高位置210bに位置させる制御信号iが入力される。このため第2軸42(懸架脚12、14)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが伸張(各懸架脚12、14が伸張し)、第2軸42は高車高にされる。
【0061】
第4軸44(懸架脚16、18)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を低車高位置210aに位置させる制御信号iが入力される。このため第4軸44(懸架脚16、18)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが縮退し(各懸架脚16、18が縮退し)、第4軸44は低車高にされる。
【0062】
第3軸43(懸架脚15、17)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を低車高位置210aあるいは高車高位置210bに位置させる制御信号iが入力される。このため同様にして第3軸43は低車高あるいは高車高にされる(ステップ504)。
【0063】
車高センサ30の検出信号Hをフィードバック信号とするフィードバック制御系が構成されており、各車軸42、42、43の車高が目標車高Hrに到達したか否かが判断される(ステップ505)。
【0064】
第1軸41(懸架脚11、13)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第1軸41(懸架脚11、13)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力される。このため第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークが標準ストロークで保持され(各懸架脚11、13のストロークが標準ストロークで保持され)、第1軸41は目標の標準車高に保持される。
【0065】
第2軸42(懸架脚12、14)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第2軸42(懸架脚12、14)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力される。このため第2軸42(懸架脚12、14)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークが伸張側で保持され(各懸架脚12、14のストロークが伸張側で保持され)、第2軸42は目標の高車高に保持される。
【0066】
同様にして第4軸44(懸架脚16、18)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第4軸44(懸架脚16、18)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力され、第4軸44は目標の低車高に保持される。
【0067】
同様に第3軸43(懸架脚15、17)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第3軸43(懸架脚15、17)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力され、第3軸43は目標の低車高あるいは高車高に保持される。そして開閉弁204を閉状態にする制御信号jが出力され、油圧ポンプ201から各車高調整弁210への車高調整用作動油の供給が停止される。
【0068】
このため車体101は後傾角度θの後傾の姿勢にされ、第1軸41の車輪103が接地面110から浮上する。第1軸41の車輪103が浮上した状態で、第1軸41の各懸架脚11、13のストロークは標準のストロークに保持された状態になっている(ステップ506)
この結果、第1軸41の車輪103の中心を、前方に存在する堤120の高さ以上の位置に位置させることができる。このため更に車両100を前進させることで車両100は堤120を乗り越えることができる。
【0069】
ここで図1(a)に示すダッシュを付与した120′は、車両100を水平姿勢のままにしたときに乗り越えることができる堤の高さを示し、ダッシュを付与していない120は車体101を後傾姿勢にしたときに乗り越えられる堤の高さを示している。同図1(a)に示すように、車体101を後傾の姿勢にし第1軸41の車輪103を接地面110から浮上させることによって、その浮上分だけ、乗り越えることができる堤の高さが増加し、最大超堤高さが向上しているのがわかる。
【0070】
また図1(a)に示す角度φは、車両100を水平姿勢のままにしたときのアプローチアングルを示し、角度ωは車体101を後傾姿勢にしたときのアプローチアングルを示している。同図1(a)に示すように、車体101を後傾の姿勢にすることによって、アプローチアングルがφからω増加しているのがわかる。
【0071】
以上のように実施例1によれば、車体101を後傾の姿勢にして最前軸41を浮上させるようにしたので、最大超堤高さが向上するとともに、アプローチアングルが増大する。
【0072】
また車体101を後傾の姿勢することで最前軸41を浮上させるようにしたので、浮上に要する各懸架脚11〜18のストローク変化は小さくて済む。すなわち懸架脚11〜18の僅かなストローク変化で最大超堤高さ、アプローチアングルの向上が図られるので、懸架脚11〜18を小型にでき懸架脚11〜18のコストを低減でき車高調整に伴うエネルギー消費を抑えることができる。
【0073】
車両100が堤120を乗り越えると、操作盤400でスイッチ402が操作され水平姿勢復帰信号が車高調整用コントローラ300に入力されると、後傾指示が解除される(ステップ501の判断NO)。
【0074】
水平姿勢への復帰の指示がなされ、各懸架脚11〜18に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが目標ストロークに保持されている状態(ステップ506)である場合には(ステップ507、508の判断YES)、各懸架脚11〜18の車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークを標準のストロークに復帰させ、各軸41、42、43、44の車高を標準の車高に復帰させるための制御信号j、iが生成され、車高調整用油圧回路200の開閉弁204、各懸架脚11〜18の車高調整弁210に対して出力される(ステップ509)。この結果、各懸架脚11〜18に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークは標準のストロークに復帰し車高が標準の車高に復帰する(ステップ510)。
【0075】
上述した実施例1では、オペレータの判断で後傾角度θを指示、入力しているが、後傾角度θを車高調整用コントローラ300で自動的に算出してもよい。たとえばオペレータが堤120の高さを指示、入力し、入力された堤120の高さに基づき後傾角度θを自動的に演算してもよい。
【0076】
またオペレータの判断を介さずに後傾角度θを演算してもよい。たとえば車両100の前面に、堤120の高さを検出するセンサを設け、センサで検出した堤120の高さに基づき自動的に後傾角度θを演算してもよい。
【0077】
また実施例1では、後傾角度θを任意に変化させることができる場合を想定した。しかし予め後傾角度θを設定しておき操作盤400上のスイッチ401が操作されると、車体101を一義的な後傾角度θの後傾姿勢にする実施も可能である。
【0078】
また実施例1では、車両100が前進中に、進行方向側の最前の車軸である第1軸41を浮上させ最も後ろの車軸である第4軸44を沈み込ませて、後傾させる場合について説明したが、車両100が後進する場合にも上述したのと同様の制御を行うことができる。すなわち車両100が後進中に後進方向に存在する堤120を乗り越える際には、車両100の進行方向に最前の車軸である第4軸44を浮上させ最も後ろの車軸である第1軸41を沈み込ませて後傾させればよい。
【0079】
(実施例2)
上述した実施例1に対しては種々の変形が可能である。
【0080】
図2は図1(a)に対応する側面図である。実施例1では、第1軸41に対応する懸架脚11、13のストロークを標準ストロークに保持し第1軸41の車高を標準の車高に保持する場合について説明したが、図2に示すように、第1軸41に対応する懸架脚11、13を縮退側で保持し第1軸41の車高を標準の車高よりも低車高側で保持してもよい。
【0081】
第1軸41についての制御内容を図7で説明する。
【0082】
すなわち第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aの縮退側の目標ストロークが計算され(ステップ503)、第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整弁210を低車高にするための制御信号iが出力され(ステップ504)、第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークが縮退側の目標ストロークに到達すると、その縮退側の目標ストロークに保持され(懸架脚11、13が縮退側の目標ストロークに保持され)、第1軸41の車高が低車高に保持される(ステップ505、506)。他の車軸42、43、44についての制御は実施例1で説明したのと同様である。
【0083】
実施例2によれば、最前の車軸である第1軸41の車高を低車高に保持したので、実施例1の場合よりも第1軸41の車輪103を、より高い位置まで浮上させることが可能となる。このため実施例1よりも最大超堤高さが向上しアプローチアングルが増大する。
【0084】
(実施例3)
上述した実施例1、実施例2では、車両100の車高が最低車高〜標準車高〜最高車高の範囲で自由に調整でき、すべての車軸41〜44について独立して車高調整が可能である場合を想定して説明した。
【0085】
つぎに標準車高〜最高車高の範囲でしか車高が調整できず、車両100の進行方向側の最も前側の車軸41については車高調整装置が組み込まれていない場合を想定して説明する。最前の車軸41の懸架脚11、13には、車高調整用シリンダ20の代わりに、車高調整機能を含まずバネ要素、ダンパ要素が内蔵されたシリンダ20′が使用される。
【0086】
図3は図1(a)、図2に対応する図である。
【0087】
実施例3の場合には、図5に示す制御ブロック図から、第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高センサ30、車高調整用シリンダ20の配設が省略される。
【0088】
また同様にして図6に示す車高調整用油圧回路200から、第1軸41(見解脚11、13)に対応する車高調整弁210、車高調整用シリンダ20およびこれらに連通する油路、車高センサ30の配設が省略される。
【0089】
また車高調整弁210の各弁位置210a、210c、210bはそれぞれ「標準車高位置」、「中立位置」、「高車高位置」となる。
【0090】
実施例3の車高調整用コントローラ300で行われる処理について図7に示すフローチャートと、図3を併せ参照して説明する。
【0091】
通常走行中には、車両100の各車軸42、43、44毎の車高は、標準高さに設定されており、車体101を接地面110に対して水平な姿勢にして、車両100が走行している。
【0092】
車両100の走行中にオペレータに前方に堤120を発見すると、操作盤400でスイッチ401が操作され、実施例1と同様に、操作盤400からコントローラ300に後傾が指示される(ステップ501)。
【0093】
車高調整用コントローラ300には、操作盤400から姿勢角度θを示す信号が入力され、読み込まれる(ステップ502)。
【0094】
つぎに車体101の姿勢角度を後傾角度θにするために必要な各車軸42、43、44毎の車体101の目標高さHrを、車体101各部の寸法データに基づいて幾何的に算出する。
【0095】
ここで、第1軸41の車軸103が接地面110から浮上したと仮定すると、懸架脚11、13を構成するシリンダ20′のストロークは最大伸びストロークまで伸張することになる。このため車体101を後傾にして第1軸41の車軸103を浮上させるためには、図3に示すように、第2軸42の車高を標準車高よりも高車高側に変化させ、第3軸43の車高を標準車高よりも高車高側に変化させ、第4軸44の車高を標準車高のままとする必要がある。
【0096】
つぎに算出された各車軸42、43、44毎の目標車高Hrに基づいて、各懸架脚12、14〜18毎に、車高調整用シリンダ20のロッド20aの目標ストロークが算出される(ステップ503)。
【0097】
つぎに車高調整用コントローラ300は、各懸架脚12、14〜18の車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークを目標ストロークにするために必要な制御信号iを生成して、各懸架脚12、14〜18の車高調整弁210に出力する。また開閉弁204に対して開状態にする制御信号jを出力する。
【0098】
このため開閉弁204が開状態にされ、油圧ポンプ201から吐出された車高調整用作動油が吐出油路203、開閉弁204、油路206を介して各車高調整弁210に供給されるとともに、各車高調整弁210から排出される車高調整用作動油が油路207、開閉弁204、戻り油路205を介してタンク202に排出される。
【0099】
第2軸42(懸架脚12、14)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を高車高位置210bに位置させる制御信号iが入力される。このため第2軸42(懸架脚12、14)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが伸張し(各懸架脚12、14が伸張し)、第2軸42は高車高にされる。
【0100】
同様に第3軸43(懸架脚15、17)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を高車高位置210bに位置させる制御信号iが入力される。このため同様にして第3軸43は高車高にされる。
【0101】
第4軸44(懸架脚16、18)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を標準車高位置210aに位置させる制御信号iが入力される。このため第4軸44(懸架脚16、18)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが標準ストローク付近で伸縮し(各懸架脚16、18が標準ストローク付近で伸縮し)、第4軸44は標準車高にされる(ステップ504)。
【0102】
車高センサ30の検出信号Hをフィードバック信号とするフィードバック制御系が構成されており、各車軸42、42、43が目標車高Hrに到達したか否かが判断される(ステップ505)。
【0103】
第2軸42(懸架脚12、14)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第2軸42(懸架脚12、14)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力される。このため第2軸42(懸架脚12、14)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークが伸張側で保持され(各懸架脚12、14のストロークが伸張側で保持され)、第2軸42は目標の高車高に保持される。
【0104】
同様にして第3軸43(懸架脚15、17)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第3軸43(懸架脚15、17)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力され、第3軸43は目標の高車高に保持される。
【0105】
同様に第4軸44(懸架脚16、18)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第4軸44(懸架脚16、18)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力される。このため第4軸44(懸架脚16、18)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークが標準ストロークで保持され(各懸架脚16、18のストロークが標準ストロークで保持され)、第4軸44は目標の標準車高に保持される。
【0106】
そして開閉弁204を閉状態にする制御信号jが出力され、油圧ポンプ201から各車高調整弁210への車高調整用作動油の供給が停止される。
【0107】
このため車体101は後傾角度をθとする後傾の姿勢にされ、第1軸41の懸架脚11、13のストロークが最大伸びストロークまで最大に伸張された状態で第1軸41の車輪103が接地面110から浮上する(ステップ506)。
【0108】
この結果、第1軸41の車輪103の中心を、前方に存在する堤120の高さ以上の位置に位置させることができ、更に車両100を前進させることで堤120を乗り越えることができる。
【0109】
なお実施例3では、第3軸43の車高を高車高としているが、場合によっては第3軸43の車高を標準車高のままとする実施も可能である。
【0110】
(実施例4)
上述した実施例1、実施例2、実施例3では、車体101を後傾の姿勢にすることで進行方向側の最前軸の第1軸41を接地面110から浮上させるようにしている。しかし車体101を水平姿勢のままで第1軸41を浮上させる実施も可能である。
【0111】
図4は図1(a)、図2、図3に対応する図である。
【0112】
実施例4の場合には、図5に示す制御ブロック図から、第2軸42(懸架脚12、14)、第3軸43(懸架脚15、17)、第4軸44(懸架脚16、18)に対応する車高センサ30、車高調整用シリンダ20の配設を省略することができる。操作盤400には、車両進行方向側の最前軸(前進方向であれば第1軸41、後進方向であれば第4軸44)を浮上させることを指示する浮上指令スイッチが設けられる。浮上指令スイッチを操作すると、堤120の高さが指示され、浮上を指示する浮上指令信号が操作盤400から出力される。また操作盤400には、最前軸の接地面110からの浮上が完了したことを示す表示つまり「浮上完了表示」と、最前軸が接地面110に着地していることを示す表示つまり「着地表示」とが行われる表示画面が設けられる。
【0113】
また同様にして図6に示す車高調整用油圧回路200から第2軸42(懸架脚12、14)、第3軸43(懸架脚15、17)、第4軸44(懸架脚16、18)に対応する車高調整弁210、車高調整用シリンダ20およびこれらに連通する油路、車高センサ20の配設を省略することができる。
【0114】
以下車高調整用コントローラ300で行われる処理について図8に示すフローチャートと、図4を併せ参照して説明する。
【0115】
車両100の走行中にオペレータが前方に堤120を発見すると、その堤120の高さを、操作盤400上の浮上指令スイッチを操作して指示する(ステップ601の判断YES)。
【0116】
車高調整用コントローラ300に、操作盤400から浮上指令信号が入力されると、最前軸である第1軸41の車輪103の中心を、堤120の高さ以上の位置に位置させ、かつ第1軸41の車輪103の最下点を堤120の高さよりも下方の位置に位置させるために必要な第1軸41の目標高さHrを、車体各部の寸法に基づいて幾何的に算出する。そして算出された第1軸41の目標車高Hrに基づいて、懸架脚11、13の車高調整用シリンダ20のロッド20aの目標ストロークが算出される。車高調整用コントローラ300は、懸架脚11、13の車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークを目標ストロークにするために必要な制御信号iを生成して、各懸架脚11、13の車高調整弁210に出力する。また開閉弁204に対して開状態にする制御信号jを出力する(ステップ602)。
【0117】
このため開閉弁204が開状態にされ、油圧ポンプ201から吐出された車高調整用作動油が吐出油路203、開閉弁204、油路206を介して各車高調整弁210に供給されるとともに、各車高調整弁210から排出される車高調整用作動油が油路207、開閉弁204、戻り油路205を介してタンク202に排出される。
【0118】
第1軸41(懸架脚11、13)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を低車高位置210aに位置させる制御信号iが入力される。このため第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが縮退し(各懸架脚11、13が縮退し)、第1軸41は低車高にされる(ステップ603)。
【0119】
これにより第1軸41の車輪103が接地面103から浮上する。浮上中、つまり制御信号iが出力されている状態では、操作盤400上の表示画面で「着地表示」が非表示状態(オフ)にされる(ステップ604)。
【0120】
車高センサ30の検出信号Hをフィードバック信号とするフィードバック制御系が構成されており、第1軸41が目標車高Hrに到達したか否かが判断される(ステップ605)。
【0121】
第1軸41(懸架脚11、13)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、操作盤400上の表示画面で「浮上完了表示」が表示状態(オン)にされる(ステップ606)。第1軸41(懸架脚11、13)の車高Hが目標車高Hrに到達すると、第1軸41(懸架脚11、13)に対応する各車高調整弁210には、車高調整弁210を中立位置210cに位置させる制御信号iが入力される。このため第1軸41(懸架脚11、13)に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが縮退側でストロークが保持され(各懸架脚11、13が縮退側でストロークが保持され)、第1軸41は目標の低車高に保持される。そして開閉弁204を閉状態にする制御信号jが出力され、油圧ポンプ201から各車高調整弁210への車高調整用作動油の供給が停止される。
【0122】
このため第1軸41の各懸架脚11、13のストロークが縮退側で保持されたまま第1軸41の車輪103が浮上する(ステップ607)。
【0123】
この結果、第1軸41の車輪103の中心を、堤120の高さ以上の位置に位置させ、かつ第1軸41の車輪103の最下点を堤120の高さよりも下方の位置に位置させることができ、更に車両100を前進させることで堤120を乗り越えることができる。
【0124】
以上のように実施例4によれば、上述した実施例1、2、3と同様に最大超堤高さが向上する。
【0125】
車両100が堤120を乗り越えると、操作盤400の浮上指令スイッチがオフにされる(あるいは堤120の高さが零に設定される)などして、車高調整用コントローラ300への浮上指令信号の出力が解除される(ステップ601の判断NO)。
【0126】
各懸架脚11、13に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aが目標ストロークに保持されている状態(ステップ607)である場合には(ステップ608の判断YES)、各懸架脚11、13の車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークを標準ストロークに復帰させ、第1軸41の車高を標準の車高に復帰させるための制御信号j、iが生成され、車高調整用油圧回路200の開閉弁204、各懸架脚11、13の車高調整弁210に対して出力される(ステップ609)。
【0127】
これにより第1軸41の車輪103が着地中、つまり制御信号iが出力されている状態では(ステップ610)、操作盤400上の表示画面で「浮上完了表示」が非表示状態(オフ)にされる(ステップ611)。
【0128】
各懸架脚11、13に対応する車高調整用シリンダ20のロッド20aのストロークが標準のストロークに復帰し第1軸41の車輪103の接地面110への着地が完了すると(ステップ612)、操作盤400上の表示画面で「着地表示」が表示状態(オン)にされる(ステップ613)。以降、浮上指令信号が入力されない限り第1軸41の車輪103の浮上が禁止される(ステップ614)。
【0129】
以上のように実施例4によれば、多軸車両100において少なくとも最前軸41に車高調整装置を設けるだけで(他の軸について車高調整装置を省略して)、最前軸41の車輪103を浮上させることができ最大超堤高さを向上させることができる。また第1軸41の車輪103の中心が、前方に存在する堤120の高さ以上の位置に位置され、かつ第1軸41の車輪103の最下点が堤120の高さよりも下方の位置に位置される程度に、第1軸41の車輪103を浮上させるだけなので、浮上に要する各懸架脚11、13のストローク変化は小さくて済む。このため実施例1、2、3と比較して、懸架装置を更に小型にでき車高調整装置のコストを更に低減させることができる。
【0130】
上述した実施例4では、オペレータの判断で堤120の高さを指示、入力しているが、堤120の高さを車高調整用コントローラ300で自動的に算出してもよい。たとえば車両100の前面に、堤120の高さを検出するセンサを設け、センサで検出した堤の高さに基づいて自動的に第1軸41の目標車高Hr、各懸架脚11、13の車高調整用シリンダ20のロッド20aの目標ストロークを演算してもよい。
【0131】
また実施例4では、浮上指令スイッチで堤120の高さを任意の高さに指示できる(第1軸41の車輪103の浮上高さを任意に指示できる)場合を想定した。しかし予め第1軸41の車輪103を浮上させる高さを設定しておき操作盤400上の浮上指令スイッチが操作されると、第1軸41の車輪103を一義的な高さまで浮上させる実施も可能である。
【0132】
また実施例4では、車両100が前進する場合に進行方向側最前軸である第1軸41の車輪103を浮上させる場合について説明したが、車両100が後進する場合にも上述したのと同様の制御を行うことができる。すなわち車両100が後進中に後進方向に存在する堤120を乗り越える際には、車両100の進行方向側の最前の軸である第4軸44の車輪103を浮上させればよい。
【0133】
なお上述した実施例1〜実施例4において、操作レバーの選択位置(前進位置、後進位置)等から、車両100が前進方向であるか後進方向であるかを判断し、その判断結果に応じて、車両100の進行方向側最前軸が第1軸41であるか第4軸44であるかを判断してもよい。
【0134】
なお上述した各実施例では、多軸車両100が4軸の場合を想定して説明した。しかし3軸の多軸車両あるいは5軸以上の多軸車両についても同様に各実施例を適用することができる。
【0135】
実施例1を、3軸の多軸車両100に適用する場合には、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13のストロークを保持し標準車高にし、第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にし、最も後ろの第3軸43に対応する懸架脚15、17を縮退させ低車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。また実施例1を、5軸以上の多軸車両100に適用する場合には、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13のストロークを保持し標準車高にし、少なくとも第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にし、少なくとも最も後ろの軸(5軸車両であれば第5軸)に対応する懸架脚を縮退させ低車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。
【0136】
実施例2を、3軸の多軸車両100に適用する場合には、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13の縮退させ低車高にし、第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にし、最も後ろの第3軸43に対応する懸架脚15、17を縮退させ低車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。また実施例2を、5軸以上の多軸車両100に適用する場合には、最前軸である第1軸41に対応する懸架脚11、13を縮退させ低車高にし、少なくとも第2軸42に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にし、少なくとも最も後ろの軸(5軸車両であれば第5軸)に対応する懸架脚を縮退させ低車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。
【0137】
実施例3を、3軸の多軸車両100に適用する場合には、少なくとも最前軸41に隣接する第2軸42(4軸以上の車両であれば、望ましくは第2軸42および第3軸43)に対応する懸架脚12、14を伸張させ高車高にすることで、車体101を後傾の姿勢にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1を説明する図で、図1(a)は車両100の側面図で、図1(b)は車両100の正面図で、図1(c)は車両100の上面図である。
【図2】図2は図1(a)に対応する車両100の側面図で、実施例2を説明する図である。
【図3】図3は図1(a)に対応する車両100の側面図で、実施例3を説明する図である。
【図4】図4は図1(a)に対応する車両100の側面図で、実施例4を説明する図である。
【図5】図5は実施例1の制御ブロック図である。
【図6】図6は実施例1の車高調整用油圧回路を示す図である。
【図7】図7は実施例1の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は実施例4の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 車両
101 車体
41 第1軸
42 第2軸
43 第3軸
44 第4軸
11〜18 懸架脚
103 車輪
120 堤

Claims (5)

  1. 3軸以上の車軸を有し、各車軸に対応して懸架脚が設けられ、懸架脚のストロークを制御するようにした車両の懸架脚制御装置において、
    懸架脚のストロークを制御することにより、車体を、後傾の姿勢にして、最も前の車軸に対応する車輪の中心を、前方に存在する堤の高さ以上の位置に、位置させること
    を特徴とする車両の懸架脚制御装置。
  2. 最も前の車軸に対応する懸架脚のストロークを後傾前の状態に保持し、少なくとも最も前の車軸に隣接する車軸に対応する懸架脚を伸張させ、少なくとも最も後ろの車軸に対応する懸架脚を縮退させることにより、車体を、後傾の姿勢にすること
    を特徴とする請求項1記載の車両の懸架脚制御装置。
  3. 最も前の車軸に対応する懸架脚を縮退させ、少なくとも当該最も前の車軸に隣接する車軸に対応する懸架脚を伸張させ、少なくとも最も後ろの車軸に対応する懸架脚を縮退させることにより、車体を、後傾の姿勢にすること
    を特徴とする請求項1記載の車両の懸架脚制御装置。
  4. 最も前の車軸を除いた車軸に対応する懸架脚に、懸架脚のストロークを制御する手段が設けられ、
    少なくとも最も前の車軸に隣接する車軸に対応する懸架脚を伸張させることにより、車体を、後傾の姿勢にすること
    を特徴とする請求項1記載の車両の懸架脚制御装置。
  5. 3軸以上の車軸を有し、各車軸に対応して懸架脚が設けられ、懸架脚のストロークを制御するようにした車両の懸架脚制御装置において、
    最も前の車軸に対応する懸架脚に、当該最も前の懸架脚のストロークを制御する手段が設けられ、
    前記最も前の懸架脚を縮退させることにより、最も前の車軸に対応する車輪の中心を、前方に存在する堤の高さ以上の位置に位置させ、かつ当該車輪の最下点を堤の高さよりも下方の位置に位置させること
    を特徴とする車両の懸架脚制御装置。
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