JP2726747B2 - 装軌車両の懸架装置 - Google Patents

装軌車両の懸架装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,装軌車両の懸架装置に関するものである。
(従来の技術) 従来の装軌車両の懸架装置を第3図乃至第6図により
説明すると,第3図は,装軌車両の片側を示しており,
同第3図において,(1)が複数の転輪,(2)が同各
転輪(1)を支持する転輪アーム,(100)が上記各転
輪(1)により移動可能に支持された無端状の履帯であ
る。
また第4図は,油気圧懸架装置を示しており,同第4
図において,(a)が上記転輪アーム(2)を揺動可能
に支持する回転可能な揺動中心軸,(3)が同揺動中心
軸(a)に固定したピストンアーム,(4)が同ピスト
ンアーム(3)に枢支した連結棒,(5)が同連結棒
(4)に取付けたピストン,(6)が同ピストン(5)
を摺動自在に支持したシリンダ(油圧操作部),(7)
が同シリンダ(6)の頂部に設けたバルブブロツク,
(8)が同バルブブロツク(7)を介して上記シリンダ
(6)内に接続したアキユムレータ,(10)が上記転輪
アーム(3)を取り囲む転輪ケース,(9)が同転輪ケ
ース(10)の上板である。
また第5図は,第4図の矢視V−V線に沿う側面を示
しており,同第5図において,(11)が転輪ケース取付
用フランジ,(12)が車体で,上記第4図に示す油気圧
懸架装置が上記転輪ケース取付用フランジ(11)を介し
て車体(12)に取付けている。
第6図は,上記第4図に示す油気圧懸架装置の油圧回
路を示しており,同第6図において,(13)がアキユム
レータ側ポート,(14)が安全弁ポート(15)がシリン
ダ側ポート,(16)がリリーフ弁,(17)が逆止弁,
(18)が安全弁,(19)が絞りで,これらの機器(13)
〜(19)が上記バルブブロツク(7)内に設けられてい
る。
また(20)がパイロツト逆止弁,(P1)が油圧源系統
の油路,(P2)がパイロツト油圧源系統の油路,(P3
がドレンタンク(24)系統の油路で,上記パイロツト逆
止弁(20)が上記転輪ケース上板(9)内に設けられて
いる。
また(22)がエンジンにより駆動される油圧ポンプ,
(21)が同油圧ポンプ(22)と上記パイロツト逆止弁
(20)との間の油圧源の系統の油路(P1)に介装した切
換弁,(23)がリリーフ弁,(24)がドレンタンクであ
る。
次に前記第3図乃至第6図に示す装軌車両の懸架装置
の作用を説明する。路面の凹凸に応じて転輪(1)と転
輪アーム(2)とピストンアーム(3)とが揺動中心軸
(a)を中心に上下方向に揺動し,その動きが連結棒
(4)を介しピストン(5)に伝えられて,同ピストン
(5)がシリンダ(6)内を上下方向に移動する。この
とき,パイロツト逆止弁(20)が閉じられていれば,シ
リンダ(6)とアキユムレータ(8)との間が閉回路に
なり,上記ピストン(5)の動きが作動油を介してアキ
ユムレータ(8)に伝えられ,転輪(1)がアキユムレ
ータ(8)により弾性的に支持されて,懸架装置が緩衝
作用を行う。
また走行に伴う走行振動がバルブブロツク(7)内の
機器により減衰される。即ち,アキユムレータ側ポート
(13)とシリンダ側ポート(15)との間の油圧回路に働
く圧力差により,作動油が逆止弁(17)と絞り(19)と
を通過し,このときの作動油の抵抗により,走行振動が
減衰される。
また前記圧力差がリリーフ弁(16)の設定値よりも大
きくなったときには,リリーフ弁(16)が開いて,減衰
力がそれ以上大きくならない。
なお逆止弁(17)はピストン(5)の上昇時には,減
衰があまり効かないようにする働きも持っている。また
リリーフ弁(16)の設定値,逆止弁(17)の有無は,乗
り心地性により最適に設定される。
次に車体姿勢制御を説明する。この車体姿勢制御時に
は,パイロツト油圧源系統の油路(P2)からのパイロツ
ト圧により,パイロツト逆止弁(20)を開き,高圧の作
動油を油圧ポンプ(22)→切換弁(21)→逆止弁(20)
→逆止弁(17)→シリンダ(6)内上方の圧力室へ導い
て,ピストン(5)を下降させ,その動きを連結棒
(4)を介してピストンアーム(3)に伝えて,同ピス
トンアーム(3)と転輪アーム(2)と転輪(1)とを
揺動軸(a)を中心に時計方向に揺動させ,同転輪
(1)を押し下げて,車体背高を高める。
また切換弁(21)を切り換えて,油圧源系統の油路
(P1)とドレンタンク(24)とを接続し,次いでパイロ
ツト油圧源系統の油路(P2)からのパイロツト圧によ
り,パイロツト逆止弁(20)を開き,車体自重による圧
力により,シリンダ(6)内の作動油をドレンタンク
(24)内へ戻し,ピストン(5)を上昇させて,車体背
高を低める。
(発明が解決しようとする課題) 前記第3図乃至第6図に示す従来の装軌車両の懸架装
置では,地面が細かい凹凸の場合,転輪(1)を弾性的
に支持するアキユムレータ(8)を比較的大きく,即
ち,ばね定数を小さく且つ絞り(19)をあまり効かさな
いようにする方が,車体振動は小さくなる。他方,地面
が大きい凹凸の場合,ばね定数を大きく且つ絞り(19)
を多少効かさないと,転輪(1)の動きが大きくなっ
て,履帯(100)からの浮き上がり,それに伴う履帯(1
00)の脱落の危険が生じる。しかも凹凸部通過後,車体
(12)の動揺が何時までも続くという不都合が発生す
る。このように懸架装置のばね定数をあまり小さくでき
ず,これにより凹凸部通過時の動揺限界が決まってい
た。
本発明は前記の問題点に鑑み提案するものであり,そ
の目的とする処は,悪路を高速で走行する際の振動,動
揺を十分に低減できる装軌車両の懸架装置を提供しよう
とする点にある。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成するために,本発明の装軌車両の懸
架装置は,履帯を移動可能に支持する複数の転輪と,同
各転輪を支持する揺動可能な転輪アームと,同転輪アー
ムの油圧操作部とを有する装軌車両の懸架装置におい
て,前記転輪アームの回転角を検出する回転角センサ
と,前記油圧操作部の圧力を検出する圧力センサと,前
記転輪アームの応力を検出するロードセルと,高圧作動
油供給源と前記油圧操作部との間の油圧回路に設けた切
換弁と,同切換弁を制御する制御装置とを有し,同制御
装置に,車体姿勢設定値と前記回転角センサからの回転
角検出信号と前記圧力センサからの圧力検出信号とより
前記切換弁を切り換えて高圧作動油を前記油圧操作部に
給・排することにより車体の姿勢を車体姿勢設定値に一
致させるフイードバツク制御系(F1)と,前記回転角セ
ンサからの回転角検出信号と前記ロードセルからの応力
検出信号とにより前記切換弁を切り換えて高圧油を前記
油圧操作部へ導くことにより転輪の浮き上がりを防止す
るフイードバツク制御系(F2)とを設けている。
(作用) 本発明の装軌車両の懸架装置は前記のように構成され
ており,従来の懸架装置の機能の外に,次の機能を有し
ている。即ち,転輪が履帯に接触しているときには,フ
イードバツク制御系(F1)に切り換え,高圧作動油を油
圧操作部に給・排して,車体の姿勢を車体姿勢設定値に
一致させ,転輪が履帯から浮き上がるときには,フイー
ドバツク制御系(F2)に切り換え,高圧作動油を油圧操
作部へ導いて,転輪の浮き上がりを防止する。
(実施例) 次に本発明の装軌車両の懸架装置を第1,2図に示す一
実施例により説明すると,第1図の(1)が転輪,
(2)が同転輪(1)を支持する転輪アーム,(3)が
同転輪アーム(2)に固定したピストンアーム,(4)
が同ピストンアーム(3)に枢支した連結棒,(5)が
同連結棒(4)に取付けたピストン,(6)が同ピスト
ン(5)を摺動自在に支持したシリンダ(油圧操作
部),(7)が同シリンダ(6)の頂部に設けたバルブ
ブロツク,(8)が同バルブブロツク(7)を介して上
記シリンダ(6)内に接続したアキユムレータ,(13)
がポンプ側ポート,(13′)がアキユムレータ側ポー
ト,(14)が安全弁ポート,(15)がシリンダ側ポー
ト,(16)がリリーフ弁,(17)が逆止弁,(18)が安
全弁,(19)が絞りで,これらの機器(13)〜(19)が
上記バルブブロツク(7)内に設けられている。
また(22)がエンジンにより駆動される油圧ポンプ,
(211)が同油圧ポンプ(22)と上記バルブブロツク
(7)のポンプ側ポート(13)との間の油圧源系統の油
路に介装した三方切換弁,(23)がリリーフ弁,(24)
がドレンタンク,(28)が上記三方切換弁(211)を制
御する計算機(制御装置),(26)が上記転輪(1)と
車体との相対変位を検出する回転角センサ,(25)が上
記シリンダ(6)内の圧力を検出する圧力センサ,(2
7)が上記転輪アーム(2)の応力を検出するロードセ
ル,(A)が上記回転角センサ(26)からの回転角検出
信号,(B)が上記圧力センサ(25)からの圧力検出信
号,(C)が上記ロードセル(27)からの応力検出信号
である。
第2図は,上記計算機(制御装置)(28)の作用説明
図である。この計算機置(制御装置)では,外乱である
地面の凹凸が車体(制御対象体)に作用したときの車体
の動揺を2系統のフイードバツク制御系(F1)(F2)に
より抑制するようにしている。
次に前記第1,2図に示す装軌車両の懸架装置の作用を
具体的に説明する。
先ずフイードバツク制御系(F1)について説明する。
このフイードバツク制御系(F1)では,回転角センサ
(26)により,転輪(1)と車体との相対変位を検出
し,そのとき得られた回転角検出信号(A)を計算機
(28)のローバスフイルタ(図示せず)へフイードバツ
クして,同回転角検出信号(A)の中から低周波成分の
みを取り出し,これと同サブコントローラへ入力した
車体姿勢設定値とにより操作量を演算して,その結果を
出力する一方,圧力センサ(25)により,シリンダ
(6)内の圧力を検出し,そのとき得られた圧力検出信
号(B)を計算機(28)へフイードバツクし,これと上
記サブコントローラからの出力とを比較して,その結
果にゲインを掛け,操作部(シリンダ(6)及び三方
切換弁(211))へ出力して,車高を保持するようにす
る。なお上記圧力センサ(25)には,圧電素子タイプの
ように低周波出力のないものを使用するが,低周波出力
があるものを使用する場合には,圧力検出信号(B)を
計算機(28)内のハイパスフイルタへ送って,低周波成
分を除去した後,サブコントローラからの出力とを比
較する。
次にフイードバツク制御系(F2)について説明する。
このフイードバツク制御系(F2)では,回転角センサ
(26)により,転輪(1)と車体との相対変位を検出
し,そのとき得られた回転角検出信号(A)を計算機
(28)のサブコントローラへフイードバツクする一
方,ロードセル(27)により,転輪アーム(2)の応力
を検出し,そのとき得られた応力検出信号(C)を上記
サブコントローラへフイードバツクして,操作量を演
算し,その結果にゲインを掛け,操作部(シリンダ
(6)及び三方切換弁(211))へ出力する。
その際,ロードセル(27)の出力(応力)がある値よ
りも小さければ,フイードバツク制御系(F2)に切り換
えて,制御を行うが,通常は,フイードバツク制御系
(F1)で制御を行うようになっている。この切り換えを
行うのが三方切換弁(211)である。制御がフイードバ
ツク制御系(F1)からフイードバツク制御系(F2)に切
り換わると,三方切換弁(211)は,油圧ポンプ(22)
からの作動油をシリンダ(6)へ供給する。このとき,
転輪(1)と車体との相対変位が大きければ,三方切換
弁(211)出力は大きくなる。
次に上記作用を具体的に説明する。転輪(1)が地面
の凸部に乗り上げると,転輪アーム(2)とピストンア
ーム(3)とが揺動中心軸(a)を中心に反時計方向に
揺動し,ピストン(5)がシリンダ(6)内を上昇し
て,シリンダ(5)内圧力室の圧力が上昇するが,この
圧力変動が圧力センサ(25)により検出され,そのとき
得られる圧力検出信号(B)が計算機(28)へフイード
バツクされて,計算機(28)のサブコントローラの出
力と比較され,そのときの偏差により,操作部の三方切
換弁(211)が作動し,シリンダ(6)内圧力室とドレ
ンタンク(24)とが連通して,シリンダ(6)内の作動
油がドレンタンク(24)内へ抜かれる。このため,車体
への突き上げ力が緩和される。上記圧力センサ(25)に
は,圧電素子タイプのように低周波出力のないものを使
用するが,低周波出力があるものを使用する場合には,
圧力検出信号(B)を計算機(28)内のハイパスフイル
タへ送って,低周波成分を除去した後,サブコントロー
ラからの出力とを比較するので,圧力変動分だけが制
御に使用される。また転論(1)と車体との相対変位を
回転角検出信号(A)として計算機(28)のサブコント
ローラへフイードバツクしているが,その際,低周波
成分だけう使用しているので,地面の凹凸のような速い
減少に関しては,フイードバツク作用がないが,転輪
(1)と車体との相対変位の平均的な値(平均的な車体
高さ)がフイードバツクされて,これが車体姿勢設定値
に対して偏差を生じるものであると,転輪(1)と車体
との相対変位の平均的な値(平均的な車体高さ)一定に
保持される。つまり平均的な車高が保持されながら,地
面からの衝撃が緩和される。
以上の作用中,転輪(1)が履帯(100)から浮き上
がると,転輪アーム(2)に取付けたロードセル(27)
からの応力検出信号(C)の値が零か或いは非常に小さ
くなって,フイードバツク制御系(F2)に切り換わり,
三方切換弁(211)が油圧ポンプ(22)とシリンダ
(6)内圧力室とを連通する状態に切り換わり,油圧ポ
ンプ(22)から吐出される作動油がシリンダ(6)内圧
力室へ供給され,ピストン(5)が下降し,ピストンア
ーム(3)と転輪アーム(2)とが揺動中心軸(a)を
中心に時計方向に揺動して,転輪(1)が履帯(100)
に押し付けられる。このとき,転輪(1)と車体との相
対変位が大きければ,転輪(1)の地面からの距離が大
きい。そのため,三方切換弁(211)の開度が多くな
り,油圧ポンプ(22)からシリンダ(6)内圧力室へ大
量の作動油が供給されて,転輪(1)が速やかに履帯
(100)方向に移動する。
このように本懸架装置は,転輪(1)が履帯(100)
から離れるのを防止する作用を持っており,懸架部のば
ね定数やダンピング力を支障なく低下させることが可能
であり,その結果,懸架装置の性能が向上する。また三
方切換弁(211)を経た作動油の給・排により地面から
の衝撃が緩和される。
(発明の効果) 本発明の装軌車両の懸架装置は前記のように従来の懸
架装置の機能に加え,転輪が履帯に接触しているときに
は,フイードバツク制御系(F1)に切り換え,高圧作動
油を油圧操作部に給・排して,車体の姿勢を車体姿勢設
定値に一致させ,転輪が履帯から浮き上がるときには,
フイードバツク制御系(F2)に切り換え,高圧作動油を
油圧操作部へ導いて,転輪の浮き上がりを防止するの
で,装軌車両が悪路を高速で走行する際の振動,動揺を
十分に低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる装軌車両の懸架装置の一実施例
を示す油圧回路図,第2図は計算機の系統図,第3図は
従来の装軌車両の懸架装置の概略を示す斜視図,第4図
はその懸架装置の詳細を示す縦断側面図,第5図は第4
図の矢視V−V線に沿う側面図,第6図はその油圧回路
図である。 (1)……転輪,(2)……転輪アーム,(6)……油
圧操作部,(22)……高圧作動油供給源,(25)……圧
力センサ,(26)……回転角センサ,(27)……ロード
セル,(28)……制御装置(計算機),(100)……履
帯,(211)……切換弁,(A)……回転角検出信号,
(B)……圧力検出信号,(C)……応力検出信号,
(F1)(F2)……フイードバツク制御系。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】履帯を移動可能に支持する複数の転輪と,
    同各転輪を支持する揺動可能な転輪アームと,同転輪ア
    ームの油圧操作部とを有する装軌車両の懸架装置におい
    て,前記転輪アームの回転角を検出する回転角センサ
    と,前記油圧操作部の圧力を検出する圧力センサと,前
    記転輪アームの応力を検出するロードセルと,高圧作動
    油供給源と前記油圧操作部との間の油圧回路に設けた切
    換弁と,同切換弁を制御する制御装置とを有し,同制御
    装置に,車体姿勢設定値と前記回転角センサからの回転
    角検出信号と前記圧力センサからの圧力検出信号とより
    前記切換弁を切り換えて高圧作動油を前記油圧操作部に
    給・排することにより車体の姿勢を車体姿勢設定値に一
    致させるフイードバツク制御系(F1)と前記回転角セン
    サからの回転角検出信号と前記ロードセルからの応力検
    出信号とにより前記切換弁を切り換えて高圧油を前記油
    圧操作部へ導くことにより転輪の浮き上がりを防止する
    フイードバツク制御系(F2)とを設けたことを特徴とす
    る装軌車両の懸架装置。
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