JP2004304253A - 発振器とこれを用いた電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な回路を付加することにより発振起動時間の短縮が図られ、かつ小型化、低コスト化の図られた発振器を提供することにある。
【解決手段】外部電源の投入を検出し、電源投入検出信号として出力する電源投入検出手段と、所定の周波数のクロック信号を出力する第1の発振回路と、所定の周波数のクロック信号を出力し、第1の発振回路よりも発振起動の遅い前記第2の発振回路と、電源投入検出信号により起動し、第1の発振回路からの出力信号により発振起動促進信号を生成して、第2の発振回路に発振起動促進信号を注入する前記起動促進手段と、発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号により起動検出信号を生成し、起動検出信号により発振起動促進信号を停止させる起動検出手段とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】外部電源の投入を検出し、電源投入検出信号として出力する電源投入検出手段と、所定の周波数のクロック信号を出力する第1の発振回路と、所定の周波数のクロック信号を出力し、第1の発振回路よりも発振起動の遅い前記第2の発振回路と、電源投入検出信号により起動し、第1の発振回路からの出力信号により発振起動促進信号を生成して、第2の発振回路に発振起動促進信号を注入する前記起動促進手段と、発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号により起動検出信号を生成し、起動検出信号により発振起動促進信号を停止させる起動検出手段とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回線接続制御装置に代表される通信機器や、コンピュータ等の電子機器に使用される発振器に関し、特に、電源投入時の発振開始時間を短縮し、短時間で起動することができる発振器及びこれを用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の発振器は、例えば、図7の回線接続制御装置の概要構成に示すように、用途に応じて異なる周波数のクロック信号をそれぞれ出力する2つの発振器61a,61bとして使用される。発振器61aは、50KHz以下の低周波用クロック信号を回線接続制御装置60bの変復調部65に、又、発振器61bは10MHz前後の高周波用クロック信号をCPU(Central Processing Unit)に供給している。
【0003】
ところで、近年、上述した電子機器に代表される回線接続制御装置等において、変復調部65や発振器61a,61bについては、公衆電話回線から受信信号を受信しているときや、ユーザが入力した送信すべきデータの送信処理を行う一定の時間のみ動作させて、未使用時は動作を一時停止させている。これは、実質的な駆動時間を確保して消費電力を低減しようとするものである。
【0004】
この種の電子機器は、発振器や各種クロック信号生成のための様々な回路を有しており、これらの発振器の発振周波数や振幅が安定するまでは、機器が正常に動作しない。このため、間欠動作における立ち上げ時間は、発振器の発振起動時間を見越して長めにとっておく必要がある。
【0005】
また、回線接続制御装置に限らず、コンピュータなどの各種電子機器においては、消費電力低減の観点から、操作されなくなって一定時間経過すると、表示装置やハードディスク装置(Hard Disk Drive)の駆動を停止すようになっている。そして、ユーザが何らかの操作を行ったときに、それらの装置の駆動を再び開始するという機能を備えている。この場合も、発振起動に時間がかかると、消費電力低減の観点から望ましくないだけでなく、すぐに操作できないため使い勝手が悪くなってしまう。このような事情から、消費電力の低減を図るという観点及び使い勝手を向上させるという観点から発振器の発振起動時間の短縮化が要望されている。
【0006】
図8は、発振起動時間の短縮が図られた従来の発振器1Cの構成を示すブロック図である。
【0007】
図8において、発振器1Cは、インバータINV1や水晶振動子X等からなるインバータ型発振回路Aと、安定した発振状態か否かを検出する分周回路71と、複数のコンデンサC11〜C15,C21〜C25と、スイッチSW1〜SW10からなる可変容量部72,73と、発振周波数に応じてスイッチSW1〜SW10のオン制御するスイッチの数を格納するメモリ74と、メモリ74に格納されたスイッチの指定数に応じて、スイッチSW1〜SW10のオン・オフ制御する制御部75とから構成される。書き込み装置76は、所望の周波数を得るためにオン制御するスイッチの数を格納するために、制御データDcとしてメモリ74に書き込むための装置である。
【0008】
まず、発振器1Cにおいて、電源が供給されると、制御部75は、メモリ74から設定するスイッチの数を示す制御データDcを読み出す。このとき、各可変容量部72,73のスイッチSW1〜SW10は初期状態ではオフ状態である。発振器1Cのインバータ型発振回路Aは、振動子Xを発振させるのに最低限必要な容量値の容量素子C1,C2が付加された状態で起動を開始する。
【0009】
そして、発振回路が発振を開始して振幅が所定レベルに成長すると、発振状態が安定して起動するかどうかを検出する分周回路71からその信号を分周した分周信号が出力される。制御部75は、分周信号の立ち上がりを検出すると、制御データDcに基づいて、この分周信号の立ち上がりを基に、各可変容量部72,73のSW1〜SW10から最初のスイッチSW1をオン制御する。そして、図9に示すメモリ74に格納されたスイッチの数と接続順に応じ、SW1〜SW10をオン制御して、容量素子C11〜C15,C21〜C25を順次接続していく。制御部75は、可変容量部72,73のオン状態に制御したスイッチの数が制御データDcの値と一致したと判定すると、スイッチの制御状態を保持したまま発振起動処理を終了する。
【0010】
ところで、発振回路の起動時間の短縮に関する先行技術として、特許文献1及び特許文献2が開示されている。特許文献1は、外部に標準信号発生装置を設けて、検査時における圧電振動子の検査時間を改善するというものである。又、特許文献2は、スタンバイモード解除時に発振回路の起動時間を改善するというものである。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−231504号公報(第1図)
【特許文献2】
特開2000−101347号公報(段落〔0012〕,第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発振器やこれを用いた電子機器は、以上説明したように構成されており、次のような問題点(課題)があった。
【0013】
図7に示した回線接続制御装置等の電子機器に用いられ、公衆電話回線の伝送速度を規定する50KHz以下の低周波用の発振器61aにおいて、その発振起動時間は約3〜10秒程度の時間を要する。このため、発振器の単体試験を行う場合、試験が開始できるまで待機しなければならないこと、又、量産時には検査工数に多くの時間を費やし、コスト高になるという課題があった。
【0014】
図8の発振器1Cが示すように、水晶振動子Xを除くインバータ型発振回路Aに分周回路71,可変容量部72,73,メモリ74,制御部75が付加された発振回路は、その回路規模が大きくなり、集積回路(IC:Integrated Circuit)化された発振回路はコスト高になるという課題があった。
【0015】
さらに、所望する周波数に応じてスイッチの数とその順番を指定するために、書き込み装置76を用いてスイッチの数とその順番を制御データとしてメモリ74に書き込むとともにスイッチの動作を確認するための検査が必要となる。このため、発振器の製造・検査工数が増加し発振器がコスト高になるという課題があった。
【0016】
図7の回線接続制御装置の概要構成が示すように、変復調部やCPU等の機能ブロックに応じて、周波数の異なる複数の個別の発振器を用いる必要があるために、電子機器の小型化、低コスト化の要請に沿わないという課題があった。
【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡単、かつ小規模の回路構成で、発振起動時間の短縮が図られた発振器を提供することにある。そして、本発明は、周波数に応じて該当のスイッチやその数を指定するために、書き込み装置を用いてそれらを制御データとしてメモリへの書き込みや発振器の動作確認のための製造・検査工数を省いて、低コスト化の図られた発振器を提供することにある。
【0018】
又、本発明は、発振起動時間の短縮が図られ、かつ、低周波回路やCPU等の機能ブロックに応じて、複数の周波数を1つのパッケージから出力する発振器を用いた電子機器、例えば、回線接続制御装置を得ることも目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の発振器は、第1の発振回路と、第2の発振回路、起動促進手段及び起動検出手段からなる少なくとも1組の発振部とを備える発振器であって、外部電源の投入を検出し、電源投入検出信号として出力する電源投入検出手段と、所定の周波数のクロック信号を出力する前記第1の発振回路と、所定の周波数のクロック信号を出力し、前記第1の発振回路よりも発振起動の遅い前記第2の発振回路と、前記電源投入検出信号により起動し、前記第1の発振回路からの出力信号により発振起動促進信号を生成して、自己が所属する前記発振部の第2の発振回路に前記発振起動促進信号を注入する前記起動促進手段と、前記発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号により起動検出信号を生成し、前記起動検出信号により前記発振起動促進信号を停止させる前記起動検出手段と
を備えることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、外部電源の投入時において、発振起動の早い第1の発振回路の出力信号に基づいて発振起動促進信号を生成し、これを発振起動の遅い第2の発振回路に入力(注入)する。この注入された発振起動促進信号により、この遅い第2の発振回路の発振起動を早めることができるというという効果がある。
【0021】
本発明の発振器は、前記起動促進手段において、前記第1の発振回路からの出力信号であるクロック信号又は前記発振起動促進信号のいずれかを分周する分周手段を備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、高周波のクロック信号を分周して低周波のクロック信号とすることにより、発振器の回路ブロックの集積回路化における設計・製造を容易に行うことができるという効果がある。
【0023】
本発明の発振器は、前記起動検出手段において、前記発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号であるクロック信号と前記クロック信号を遅延させた遅延クロック信号から、前記クロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに対応した前記起動検出信号を生成することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、起動検出手段は、第2の発振回路からのクロック信号のいわゆるエッジを検出して起動検出信号を生成しているので、数個のゲート回路という非常に簡単な構成で実現できるという効果がある。
【0025】
本発明の発振器は、前記発振器において、少なくとも1つの前記第2の発振回路は音叉型水晶振動子を備えることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、例えば、38.4KHzという周波数で振動し、電源投入時に動作を開始するブロックのクロック源として用いられる音叉型水晶振動子は、構造的に小型に製造できるという効果がある。
【0027】
本発明の電子機器は、上記した発振器を内蔵し、前記発振器の出力信号に基づいて動作することを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、発振起動の早い発振回路により発振起動の遅い発振回路の起動時間の短縮化を図ることができる。併せて、従来の複数の発振器を1つにまとめて実装面積を低減した発振器を用いているので、外部電源投入時に待つことなく即時に使用できる使い勝手を向上させて、小型化の図られた電子機器が得られるという効果がある。
【0029】
前記電子機器は、予め定めた条件に従って少なくとも前記発振器の一時停止と駆動とを行う動作モードを有する電子機器であることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、パワー・ダウン・モードという動作モードを有する電子機器において、その動作モード解除時の発振器の起動時間を短縮できる分電子機器の実質的な駆動時間を確保することができるので、消費電力の低減が図られた電子機器が得られるという効果がある。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
(1)第1の実施形態
(1−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態における発振器の構成を示すブロック図である。
【0032】
図1において、発振器1Aは、発振起動の早い圧電振動子X1を備えた発振回路(第1の発振回路)11と、これより発振起動の遅い圧電振動子X2を備えた発振回路(第2の発振回路)12、起動促進回路(起動促進手段)及び起動検出回路(起動検出手段)からなる1組の発振部と、外部電源6の投入を検出する電源投入検出回路(電源投入検出手段)とから構成される。
【0033】
尚、発振器1Aは、通常、前述した発振部を少なくとも1組備えており、この第1の実施形態においては、1組の発振部で構成される場合について説明する。
【0034】
ここで、圧電振動子X1及びX2を除いた回路ブロックは通常集積化され、1チップIC5aとして構成される。圧電振動子として水晶振動子を取り扱い、水晶振動子X1は厚みすべり振動モードのATカット型水晶振動子を、又、水晶振動子X2は、例えば、38.4KHzで振動する屈曲振動モードの音叉型水晶振動子を実施例として説明する。
【0035】
尚、音叉型振動子は、38.4KHzの周波数の水晶振動子として構造的に小型に製造できるという長所がある。
【0036】
尚、水晶振動子の1種であるSAW共振子を用いた発振回路にも適用できる。
【0037】
図2は、発振回路11及び12の実施例としてインバータ型発振回路Aの構成を示す回路図である。インバータ型発振回路Aは、水晶振動子Xと、水晶振動子Xを動作させるための帰還増幅回路(インバータINV1,帰還抵抗R1)と、帰還増幅回路の入出力端子に接続されるコンデンサC1,C2から構成される。コンデンサC1,C2は、水晶振動子Xの動作条件における周波数偏差の合わせ込みなどを行うための負荷容量であり、設計によって決められた固定容量の容量素子である。出力回路15は、インバータ型発振回路Aからの発振信号を入力して波形整形し、かつ、外部に接続される図示しない負荷回路との相互の影響を防止するための回路で、波形整形されたクロック信号を出力する。又、後述する起動促進回路3からの発振起動促進信号はカップリングコンデンサCを介して入力され、インバータ型発振回路Aの起動促進が図られる。
【0038】
図3は、起動検出回路2と起動促進回路3それぞれの具体的な回路構成を含めて示した回路図である。
【0039】
起動検出回路2は、発振回路12からのクロック信号S2を入力し一定のレベルに達したそのクロック信号S2の立ち上がり信号を検出し、発振起動促進信号S6を停止させるための起動検出信号S4として出力する。
【0040】
起動検出回路2の具体的な回路構成は、図3に示すように、遅延素子21とNANDゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)22とからなり、クロック信号S2とこれを遅延素子21で遅延させたクロック信号との積をとってクロック信号S2の立ち上がり信号を検出する。遅延素子21は、インバータやAND/ORゲート等のゲート回路が持っている動作上の遅延時間を利用し、それらを直列に接続することにより簡単に構成することができる。尚、クロック信号の立ち上がり信号に限定されず立ち下がり信号を検出してもよい。起動検出回路2は、発振回路12からのクロック信号のいわゆるエッジを検出するものである。
【0041】
起動促進回路3は、電源投入検出信号S3により起動され、発振回路11からのクロック信号S1により発振起動促進信号S6を生成し発振回路12に注入する。発振起動促進信号S6は、起動検出回路2からの起動検出信号S4により停止される。
【0042】
起動促進回路3の具体的な回路構成は、図3に示すように、RSフリップフロップ(以下、単にフリップフロップと呼ぶ)31と分周回路(分周手段)32とANDゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)33とから構成される。
【0043】
分周回路32は、発振回路11からのクロック信号S1が発振回路12からのクロック信号の周波数に比べて非常に高い周波数の場合に使用するもので、低周波のクロック信号SD1とすることにより集積回路の設計・製造を容易にすることができる。尚、この分周回路32はゲート33の出力側に配置しても同様の効果が得られる。又、2つの発振回路の周波数が近接するような場合には、その分周回路は省略することもできる。
【0044】
フリップフロップ31も通常ゲート回路から構成され、起動促進回路3は数個のゲート回路という非常に簡単な構成で実現できる。又、フリップフロップ31のセット信号は、外部電源5の電源投入検出信号S3が利用できる。又、他の例としてCPUを搭載する機器に一般的に使用されているパワーオンリセット信号を用いることもできる。
【0045】
フリップフロップ31の入力の仕方として、起動検出信号をセット信号として、電源投入検出信号をリセット信号として使用してもよい。この場合、フリップフロップ31の出力は、図示しない負の出力(Q−)を用いる。
【0046】
尚、図1及び図3にはそれぞれ図示していないが、起動検出回路2及び起動促進回路3のそれぞれには、外部電源6の電源電圧が供給されるものとする。
【0047】
(1−2) 第1の実施形態の原理
次に、本発明の第1の実施形態における原理について説明する。
【0048】
上記で説明した、38.4KHzの周波数で発振する音叉型水晶振動子X2を用いた発振回路12は、「発明が解決しようとする課題」で説明したように、外部電源が投入された初期状態において、その発振起動開始時間が数秒と非常に長いという問題点がある。この問題点の解決を図るために、ATカット型水晶振動子X1を用いた発振起動時間(約10ms)の短い発振回路11からのクロック信号の一部を、間欠した発振起動促進信号S6として遅い発振回路12に注入して、これの発振起動を早めるというものである。
【0049】
即ち、図3に示すように、電源投入検出回路4から出力された電源投入検出信号S3をトリガー信号としてフリップフロップ31を動作、いわゆる起動させる。そして、その出力である起動促進許容信号S5により、ゲート33に入力される分周されたクロック信号SD1を出力し発振起動促進信号S6として発振回路12に注入し、この発振回路12の発振起動を早める。発振回路12からのクロック信号S2が出力されると、この出力が開始された時点における最初のクロック信号S2の立ち上がり信号を起動検出回路2で検出する。そして、この最初の起動検出信号S4によりフリップフロップ31をリセットして、発振回路11のクロック信号を分周したクロック信号SD1の、ゲート33からの出力、即ち、発振起動促進信号S6を停止させるというものである。この後は、起動検出回路2は、さらに、クロック信号S2の立ち上がりを検出し、連続的に起動検出信号S4を出力する。
【0050】
尚、2回目以降の立ち上がりを検出させないようにすることもできる。即ち、クロック信号S2の立ち下がり信号を検出し、この検出信号により起動検出回路2及び起動促進回路3のそれぞれに供給される外部電源Vddを遮断すればよい。遮断する手段としてはpMOSトランジスタ等により実現できる。又、外部電源の投入時においては、電源投入検出信号S3により、そのpMOSトランジスタをオンして起動検出回路2及び起動促進回路3のそれぞれに供給される外部電源Vddを投入すればよい。立ち下がり検出は、立ち上がり検出と同様に上記した遅延素子とゲートで容易に実現できる。
【0051】
(1−3)第1の実施形態の動作
次に、図4に基づき、水晶発振器1Aの動作を詳細に説明する。
【0052】
図4は、外部電源が投入された後における発振器1Aの各部の動作を示すタイムチャートである。図4に示したt0乃至t2は、発生した事象の時刻を示している。
【0053】
図4において、外部電源6が立ち上げられると(その時刻をt0とする)、電源投入検出回路4からの電源投入検出信号S3により、フリップフロップ31が動作する。即ち、この時刻t0で起動促進許容信号S5がハイレベル(以下、Hレベルと呼ぶ)となり、ゲート33は分周されたクロック信号SD1を出力できる状態となる。所定の時間が経過、例えば、時刻t1で、発振起動の早い発振回路11からクロック信号S1の出力が開始されると、その起動促進許容信号S5がHレベルを維持しているので、時刻t1以後、発振回路11からのクロック信号S1を分周したクロック信号SD1がゲート33から発振起動促進信号S6として出力される。
【0054】
この発振起動促進信号S6が発振回路12に入力(注入)されて、所定時間経過後、例えば、時刻t2から、発振回路12のクロック信号S2の出力が開始される。この時刻t2で、起動検出回路2は最初のクロック信号S2の立ち上がり信号を起動検出信号S4として検出し、出力する。そして、この起動検出信号S4がトリガーとなってフリップフロップ31が動作すると、起動促進許容信号S5はHレベルからロウレベル(以下、Lレベルと呼ぶ)に変化する。その時刻t2では、起動促進許容信号S5がLレベルとなるため、発振起動促進信号S6(分周されたクロック信号SD1)は停止する。
【0055】
時刻t2以降は、クロック信号S2の立ち上がりが検出されてフリップフロップ31はLレベルが維持されるので、ゲート33が遮断された状態を継続する。
【0056】
これらの動作の結果、時刻t2以降は、発振回路11及び12からのそれぞれのクロック信号S1及びS2が継続して発振器1Aから出力される。
【0057】
図4に、併せて、音叉型の水晶振動子を使用し、発振起動の促進が図られていない発振回路の場合における従来のクロック信号を示している。電源投入後におけるこの2つのクロック信号の起動動作結果を比較すると、明らかに、本発明の構成により出力されるクロック信号S2は、発振起動の早い発振回路11が有する発振起動時間程度まで改善されることが判る。
【0058】
(1−4)第1の実施形態における他の実施例
図5を参照して、第1の実施形態における他の実施例について説明する。
【0059】
図5は、発振起動が早い発振回路11と、「発振回路12,13、起動促進回路9,10及び起動検出回路7,8」からなる2組の発振部とを備える場合の構成を示すブロック図である。
【0060】
図3に示された実施例と異なる点について説明する。図5によれば、発振回路、起動促進回路、起動検出回路からなる発振部が1組追加された構成を採る。そして、発振回路11の水晶振動子X1はATカット型水晶振動子であり、発振回路12及び13のそれぞれの水晶振動子X2及びX3は音叉型水晶振動子とした場合である。このようなケースは、外部電源6の投入時において、発振起動の早いATカット型水晶発振回路11により、発振起動の遅い発振回路12及び13のそれぞれの発振起動を早め、これらを1つにまとめることで小型化が見込まれるというような場合が想定される。
【0061】
この事例においては、図5に示すように、発振回路11からの出力であるクロック信号を起動促進回路9,10にそれぞれ入力する。
【0062】
図5に示したこの実施例の動作は、図3で説明した実施例と基本的に同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0063】
(1−5)第1の実施形態から得られる効果
次に、本発明の第1の実施形態から得られる効果について説明する。
【0064】
図3及び図5で示したように、本発明の発振器は、発振起動が早い発振回路と、発振回路、起動検出回路、起動促進回路からなる1乃至2組の発振部とで構成される。この構成において、外部電源が投入された通常動作モードでは、発振起動の早い発振回路のクロック信号に基づいて発振起動促進信号を生成する。そして、これを発振起動の遅い発振回路に入力することにより、この遅い発振回路の発振起動を早めることができるという効果が得られる。
【0065】
又、発振回路は簡易なインバータ型発振回路、そして、ゲート回路からなる簡単な構成の起動検出回路及び起動促進回路を実現しているので、これらを集積回路化したICチップは小規模で低価格化されたICが得られるという効果が得られる。尚、本構成によれば、このICチップは同一のMOSトランジスタで構成されるので、同一の半導体製造プロセスで製造でき、さらなる低価格化を図ることができるという効果が得られる。
【0066】
又、起動促進回路において、分周回路を用いて発振起動の早い発振回路からの高周波のクロック信号を分周して得られた低周波のクロック信号に基づいて発振起動促進信号を生成する。この結果、この低周波の発振起動促進信号を発振起動の遅い発振回路に入力(注入)するので、発振器の回路ブロックにおける集積回路化のための設計・製造を容易にすることができるという効果が得られる。
【0067】
又、2つの水晶振動子を除く回路部分が1つのICチップにまとめられ、かつ、これらを収容するパッケージが一体化される結果、水平方向の実装面積が低減されて小型化されるとともに、低価格化を実現できるという効果が得られる。
【0068】
さらに、本発明による発振器は、発振周波数を設定するための制御データを格納するメモリやこの制御データを制御するための制御部を不要とする構成を採用している。このため、製造・検査時において、制御データを格納するための書き込み装置や制御データに基づく動作を確認するためのパーソナルコンピュータ、デバッグ装置等の高価な検査装置やその検査工数が不要となる。この結果、検査工数の軽減により安価な製造・検査工数で実現できるという効果が得られる。
【0069】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の発振器を回線接続制御装置に応用した第2の実施形態について説明する。
【0070】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る発振器を利用した電子機器の一例としてパソコン通信に用いられる回線接続制御装置の概略構成を示す図である。
【0071】
回線接続制御装置60aは、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンとよぶ)からの情報を、公衆電話回線を介して、図示しない相手方のパソコンに送信するか、又は、相手方からの受信データを受け自分のパソコンに取り込むための装置である。この回線接続制御装置60aは、内部の変復調部65で、9600bps,4800bps及び2400bpsのデータ伝送速度をそれぞれ選択することができる。複数の出力を持つ発振器1Aの出力は、変復調部65における最高の伝送速度の8倍、即ち、38.4KHzの周波数のクロック信号を生成して、変復調部65に出力する。このクロック信号を変復調部65内で分周して、公衆電話回線の通信速度に応じた変調データが生成される。又、発振器1Aの他の出力は、CPUの基本クロック信号である高周波のクロック信号を生成する。
【0072】
次に、図6に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る発振器を利用した回線接続制御装置60aを主体とする動作について説明する。
【0073】
ユーザがパソコン68を操作し、回線接続制御装置60aの主要部を含めたすべてのブロックの電源が立ち上げられると、相手先の電話番号を設定して回線接続処理が行われる。回線インタフェース部64は、伝送速度、例えば、9600bpsの公衆電話回線に送信できる状態となる。そして、パソコンからの文字や画像情報は、PCインタフェース部64を介してメモリ63に一旦格納される。次に、CPU62はメモリ63に格納された情報を、バス67を介して変復調部65に送り、ここで9600bpsの伝送速度の変調データを生成し、回線インタフェース部66を介して、公衆電話回線に送信される。
【0074】
又、公衆電話回線を介して相手方のパソコン68から送られてきた文字・画像情報は、回線インタフェース部66から変復調部65に送られ、ここで復調されて、バス67を介してメモリ63に一旦格納される。そして、CPU62の制御のもとにメモリ63に格納された文字・画像情報はPCインタフェース部64を介して、パソコン68に取り込まれる。
【0075】
そして、上記で説明した送受信が終了すると、回線接続制御装置60aは、回線インタフェース部66を除き電源はオフされた状態となる。
【0076】
本発明の実施形態に係る発振器として、第1の実施形態における発振器1Aを適用し、図7のCPU62や変復調部65の周波数基準源として広く利用することができる。この場合、変復調部65の周波数としては、図3に示した発振器1Aの出力端子OUT2からの38.4KHzのクロック信号が伝送速度を決定するための基準信号として用いられる。又、図3に示す出力端子OUT1からは基準クロック信号としてCPU62に供給される。
【0077】
尚、第2の実施形態のような3つの出力を備えた発振器も同様に適用できる。即ち、さらに多くの、公衆電話回線の通信速度に応じ、変復調部において複数の出力を有する発振器からのクロック信号を切り換えることにより適用することができる。
【0078】
本発明の実施形態に係る発振器1Aとしては、例えば、パッケージ水晶発振器(SPXO:Simple Packaged X’stal Oscillator)がある。このパッケージ水晶発振器(SPXO)は近年の電子機器の小型化に伴い、これに用いられる発振器の小型化への要求が高まっている。そして、2つ乃至3つの周波数を統合し同一のパッケージに収め、小型化が図られた本発明の実施形態に係る発振器は装置の小型化を図る上で極めて有用である。即ち、回線接続制御装置のような電子機器に、上述した実施形態に係る発振器1A又は1Bを適用することにより、従来の2つ乃至3つの発振器を1つにまとめて水平方向の実装面積を大幅に減らして、回線接続制御装置全体の小型化に寄与できるという効果が得られる。
【0079】
又、発振起動時間の短縮化が図られた本発明に係る発振器を用いることにより、消費電力の低減が図られ、かつ電源投入時に待機することなく即時に使用できる使い勝手を向上させた電子機器が得られるという効果がある。
【0080】
(3)変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されず種々の態様にて実施することができる。例えば、以下のような変形実施が可能である。
【0081】
<第1の変形例>
上述した第2の実施形態における発振器として、パッケージ水晶発振器(SPXO)に適用した実施例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated X’stal Oscillator),電圧制御型水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled X’stal Oscillator)であってもよい。又、第2の発振回路(図3の発振回路12,図5の発振回路13)として音叉型水晶振動子を用いた発振回路で説明したが、抵抗とコンデンサで構成されたRC発振回路であってもよい。
【0082】
<第2の変形例>
又、上述した第1及び第2の実施形態の発振器おいて、発振源として、ATカット型や屈曲型の水晶振動子を本発明に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、水晶振動子としてはSAW共振子、そして、圧電セラミック,リチウムタンタレートあるいはリチウムニオベイトからなる振動子でもよい。
【0083】
<第3の変形例>
又、上述した実施形態の発振回路として、MOSトランジスタを用いたインバータ型発振回路の実施例で説明したが、バイポーラトランジスタを用いたコルピッツ型の発振回路であってもよい。
【0084】
<第4の変形例>
上述の実施形態においては、携帯電話装置、コンピュータ、表示装置、リモートコントローラ、計測装置などの電子機器に内蔵される発振器に限定されない。例えば、リアルタイムクロック、温度補償型水晶発振器(TCXO)及び電圧制御型水晶発振器(VCXO)に広く適用され、これらの出力信号に基づいて動作する電子機器の起動時間の短縮化を図ることができる。特に消費電力を低減するために、一部の機能を一時的に停止させる節電モード、といった予め定めた条件に従って発振器の一時停止と駆動とを行う動作モードが使われる。このような動作モードを有するコンピュータや回線接続制御装置などの電子機器に本発明に係る発振器を用いれば、起動時間を短縮できる分だけ実質的な駆動時間を短くでき、さらに低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における発振器の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における発振回路の一実施例としてインバータ型発振回路の構成を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態における発振器を構成する起動検出回路と起動促進回路をそれぞれ具体的な回路で示した回路図である。
【図4】外部電源の投入からそれ以後における、第1の実施形態における発振器の各部の動作を示すタイムチャートである。
【図5】第1の実施形態における他の実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係る発振器を利用した電子機器の一例として回線接続制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】従来の回線接続制御装置の概要構成を示すブロック図である。
【図8】発振起動時間の短縮が図られた従来の発振器の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の発振器を構成するメモリに格納されたスイッチの数及び状態と接続順を示す表である。
【符号の説明】
1A,1B・・・発振器
11,12、13・・・発振回路
4・・・電源投入検出回路
5a,5b・・・ICチップ
6・・・外部電源
2,7,8・・・起動検出回路
3,9,10・・・起動促進回路
15・・・出力回路
X1,X2,X3・・・水晶振動子
60a,60b・・・回線接続制御装置
62・・・CPU
63・・・メモリ
64・・・PCインタフェース部
65・・・変復調部
66・・・回線インタフェース部
67・・・バス
68・・・パーソナルコンピュータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、回線接続制御装置に代表される通信機器や、コンピュータ等の電子機器に使用される発振器に関し、特に、電源投入時の発振開始時間を短縮し、短時間で起動することができる発振器及びこれを用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の発振器は、例えば、図7の回線接続制御装置の概要構成に示すように、用途に応じて異なる周波数のクロック信号をそれぞれ出力する2つの発振器61a,61bとして使用される。発振器61aは、50KHz以下の低周波用クロック信号を回線接続制御装置60bの変復調部65に、又、発振器61bは10MHz前後の高周波用クロック信号をCPU(Central Processing Unit)に供給している。
【0003】
ところで、近年、上述した電子機器に代表される回線接続制御装置等において、変復調部65や発振器61a,61bについては、公衆電話回線から受信信号を受信しているときや、ユーザが入力した送信すべきデータの送信処理を行う一定の時間のみ動作させて、未使用時は動作を一時停止させている。これは、実質的な駆動時間を確保して消費電力を低減しようとするものである。
【0004】
この種の電子機器は、発振器や各種クロック信号生成のための様々な回路を有しており、これらの発振器の発振周波数や振幅が安定するまでは、機器が正常に動作しない。このため、間欠動作における立ち上げ時間は、発振器の発振起動時間を見越して長めにとっておく必要がある。
【0005】
また、回線接続制御装置に限らず、コンピュータなどの各種電子機器においては、消費電力低減の観点から、操作されなくなって一定時間経過すると、表示装置やハードディスク装置(Hard Disk Drive)の駆動を停止すようになっている。そして、ユーザが何らかの操作を行ったときに、それらの装置の駆動を再び開始するという機能を備えている。この場合も、発振起動に時間がかかると、消費電力低減の観点から望ましくないだけでなく、すぐに操作できないため使い勝手が悪くなってしまう。このような事情から、消費電力の低減を図るという観点及び使い勝手を向上させるという観点から発振器の発振起動時間の短縮化が要望されている。
【0006】
図8は、発振起動時間の短縮が図られた従来の発振器1Cの構成を示すブロック図である。
【0007】
図8において、発振器1Cは、インバータINV1や水晶振動子X等からなるインバータ型発振回路Aと、安定した発振状態か否かを検出する分周回路71と、複数のコンデンサC11〜C15,C21〜C25と、スイッチSW1〜SW10からなる可変容量部72,73と、発振周波数に応じてスイッチSW1〜SW10のオン制御するスイッチの数を格納するメモリ74と、メモリ74に格納されたスイッチの指定数に応じて、スイッチSW1〜SW10のオン・オフ制御する制御部75とから構成される。書き込み装置76は、所望の周波数を得るためにオン制御するスイッチの数を格納するために、制御データDcとしてメモリ74に書き込むための装置である。
【0008】
まず、発振器1Cにおいて、電源が供給されると、制御部75は、メモリ74から設定するスイッチの数を示す制御データDcを読み出す。このとき、各可変容量部72,73のスイッチSW1〜SW10は初期状態ではオフ状態である。発振器1Cのインバータ型発振回路Aは、振動子Xを発振させるのに最低限必要な容量値の容量素子C1,C2が付加された状態で起動を開始する。
【0009】
そして、発振回路が発振を開始して振幅が所定レベルに成長すると、発振状態が安定して起動するかどうかを検出する分周回路71からその信号を分周した分周信号が出力される。制御部75は、分周信号の立ち上がりを検出すると、制御データDcに基づいて、この分周信号の立ち上がりを基に、各可変容量部72,73のSW1〜SW10から最初のスイッチSW1をオン制御する。そして、図9に示すメモリ74に格納されたスイッチの数と接続順に応じ、SW1〜SW10をオン制御して、容量素子C11〜C15,C21〜C25を順次接続していく。制御部75は、可変容量部72,73のオン状態に制御したスイッチの数が制御データDcの値と一致したと判定すると、スイッチの制御状態を保持したまま発振起動処理を終了する。
【0010】
ところで、発振回路の起動時間の短縮に関する先行技術として、特許文献1及び特許文献2が開示されている。特許文献1は、外部に標準信号発生装置を設けて、検査時における圧電振動子の検査時間を改善するというものである。又、特許文献2は、スタンバイモード解除時に発振回路の起動時間を改善するというものである。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−231504号公報(第1図)
【特許文献2】
特開2000−101347号公報(段落〔0012〕,第1図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の発振器やこれを用いた電子機器は、以上説明したように構成されており、次のような問題点(課題)があった。
【0013】
図7に示した回線接続制御装置等の電子機器に用いられ、公衆電話回線の伝送速度を規定する50KHz以下の低周波用の発振器61aにおいて、その発振起動時間は約3〜10秒程度の時間を要する。このため、発振器の単体試験を行う場合、試験が開始できるまで待機しなければならないこと、又、量産時には検査工数に多くの時間を費やし、コスト高になるという課題があった。
【0014】
図8の発振器1Cが示すように、水晶振動子Xを除くインバータ型発振回路Aに分周回路71,可変容量部72,73,メモリ74,制御部75が付加された発振回路は、その回路規模が大きくなり、集積回路(IC:Integrated Circuit)化された発振回路はコスト高になるという課題があった。
【0015】
さらに、所望する周波数に応じてスイッチの数とその順番を指定するために、書き込み装置76を用いてスイッチの数とその順番を制御データとしてメモリ74に書き込むとともにスイッチの動作を確認するための検査が必要となる。このため、発振器の製造・検査工数が増加し発振器がコスト高になるという課題があった。
【0016】
図7の回線接続制御装置の概要構成が示すように、変復調部やCPU等の機能ブロックに応じて、周波数の異なる複数の個別の発振器を用いる必要があるために、電子機器の小型化、低コスト化の要請に沿わないという課題があった。
【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡単、かつ小規模の回路構成で、発振起動時間の短縮が図られた発振器を提供することにある。そして、本発明は、周波数に応じて該当のスイッチやその数を指定するために、書き込み装置を用いてそれらを制御データとしてメモリへの書き込みや発振器の動作確認のための製造・検査工数を省いて、低コスト化の図られた発振器を提供することにある。
【0018】
又、本発明は、発振起動時間の短縮が図られ、かつ、低周波回路やCPU等の機能ブロックに応じて、複数の周波数を1つのパッケージから出力する発振器を用いた電子機器、例えば、回線接続制御装置を得ることも目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の発振器は、第1の発振回路と、第2の発振回路、起動促進手段及び起動検出手段からなる少なくとも1組の発振部とを備える発振器であって、外部電源の投入を検出し、電源投入検出信号として出力する電源投入検出手段と、所定の周波数のクロック信号を出力する前記第1の発振回路と、所定の周波数のクロック信号を出力し、前記第1の発振回路よりも発振起動の遅い前記第2の発振回路と、前記電源投入検出信号により起動し、前記第1の発振回路からの出力信号により発振起動促進信号を生成して、自己が所属する前記発振部の第2の発振回路に前記発振起動促進信号を注入する前記起動促進手段と、前記発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号により起動検出信号を生成し、前記起動検出信号により前記発振起動促進信号を停止させる前記起動検出手段と
を備えることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、外部電源の投入時において、発振起動の早い第1の発振回路の出力信号に基づいて発振起動促進信号を生成し、これを発振起動の遅い第2の発振回路に入力(注入)する。この注入された発振起動促進信号により、この遅い第2の発振回路の発振起動を早めることができるというという効果がある。
【0021】
本発明の発振器は、前記起動促進手段において、前記第1の発振回路からの出力信号であるクロック信号又は前記発振起動促進信号のいずれかを分周する分周手段を備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、高周波のクロック信号を分周して低周波のクロック信号とすることにより、発振器の回路ブロックの集積回路化における設計・製造を容易に行うことができるという効果がある。
【0023】
本発明の発振器は、前記起動検出手段において、前記発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号であるクロック信号と前記クロック信号を遅延させた遅延クロック信号から、前記クロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに対応した前記起動検出信号を生成することを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、起動検出手段は、第2の発振回路からのクロック信号のいわゆるエッジを検出して起動検出信号を生成しているので、数個のゲート回路という非常に簡単な構成で実現できるという効果がある。
【0025】
本発明の発振器は、前記発振器において、少なくとも1つの前記第2の発振回路は音叉型水晶振動子を備えることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、例えば、38.4KHzという周波数で振動し、電源投入時に動作を開始するブロックのクロック源として用いられる音叉型水晶振動子は、構造的に小型に製造できるという効果がある。
【0027】
本発明の電子機器は、上記した発振器を内蔵し、前記発振器の出力信号に基づいて動作することを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、発振起動の早い発振回路により発振起動の遅い発振回路の起動時間の短縮化を図ることができる。併せて、従来の複数の発振器を1つにまとめて実装面積を低減した発振器を用いているので、外部電源投入時に待つことなく即時に使用できる使い勝手を向上させて、小型化の図られた電子機器が得られるという効果がある。
【0029】
前記電子機器は、予め定めた条件に従って少なくとも前記発振器の一時停止と駆動とを行う動作モードを有する電子機器であることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、パワー・ダウン・モードという動作モードを有する電子機器において、その動作モード解除時の発振器の起動時間を短縮できる分電子機器の実質的な駆動時間を確保することができるので、消費電力の低減が図られた電子機器が得られるという効果がある。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
(1)第1の実施形態
(1−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態における発振器の構成を示すブロック図である。
【0032】
図1において、発振器1Aは、発振起動の早い圧電振動子X1を備えた発振回路(第1の発振回路)11と、これより発振起動の遅い圧電振動子X2を備えた発振回路(第2の発振回路)12、起動促進回路(起動促進手段)及び起動検出回路(起動検出手段)からなる1組の発振部と、外部電源6の投入を検出する電源投入検出回路(電源投入検出手段)とから構成される。
【0033】
尚、発振器1Aは、通常、前述した発振部を少なくとも1組備えており、この第1の実施形態においては、1組の発振部で構成される場合について説明する。
【0034】
ここで、圧電振動子X1及びX2を除いた回路ブロックは通常集積化され、1チップIC5aとして構成される。圧電振動子として水晶振動子を取り扱い、水晶振動子X1は厚みすべり振動モードのATカット型水晶振動子を、又、水晶振動子X2は、例えば、38.4KHzで振動する屈曲振動モードの音叉型水晶振動子を実施例として説明する。
【0035】
尚、音叉型振動子は、38.4KHzの周波数の水晶振動子として構造的に小型に製造できるという長所がある。
【0036】
尚、水晶振動子の1種であるSAW共振子を用いた発振回路にも適用できる。
【0037】
図2は、発振回路11及び12の実施例としてインバータ型発振回路Aの構成を示す回路図である。インバータ型発振回路Aは、水晶振動子Xと、水晶振動子Xを動作させるための帰還増幅回路(インバータINV1,帰還抵抗R1)と、帰還増幅回路の入出力端子に接続されるコンデンサC1,C2から構成される。コンデンサC1,C2は、水晶振動子Xの動作条件における周波数偏差の合わせ込みなどを行うための負荷容量であり、設計によって決められた固定容量の容量素子である。出力回路15は、インバータ型発振回路Aからの発振信号を入力して波形整形し、かつ、外部に接続される図示しない負荷回路との相互の影響を防止するための回路で、波形整形されたクロック信号を出力する。又、後述する起動促進回路3からの発振起動促進信号はカップリングコンデンサCを介して入力され、インバータ型発振回路Aの起動促進が図られる。
【0038】
図3は、起動検出回路2と起動促進回路3それぞれの具体的な回路構成を含めて示した回路図である。
【0039】
起動検出回路2は、発振回路12からのクロック信号S2を入力し一定のレベルに達したそのクロック信号S2の立ち上がり信号を検出し、発振起動促進信号S6を停止させるための起動検出信号S4として出力する。
【0040】
起動検出回路2の具体的な回路構成は、図3に示すように、遅延素子21とNANDゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)22とからなり、クロック信号S2とこれを遅延素子21で遅延させたクロック信号との積をとってクロック信号S2の立ち上がり信号を検出する。遅延素子21は、インバータやAND/ORゲート等のゲート回路が持っている動作上の遅延時間を利用し、それらを直列に接続することにより簡単に構成することができる。尚、クロック信号の立ち上がり信号に限定されず立ち下がり信号を検出してもよい。起動検出回路2は、発振回路12からのクロック信号のいわゆるエッジを検出するものである。
【0041】
起動促進回路3は、電源投入検出信号S3により起動され、発振回路11からのクロック信号S1により発振起動促進信号S6を生成し発振回路12に注入する。発振起動促進信号S6は、起動検出回路2からの起動検出信号S4により停止される。
【0042】
起動促進回路3の具体的な回路構成は、図3に示すように、RSフリップフロップ(以下、単にフリップフロップと呼ぶ)31と分周回路(分周手段)32とANDゲート(以下、単にゲートと呼ぶ)33とから構成される。
【0043】
分周回路32は、発振回路11からのクロック信号S1が発振回路12からのクロック信号の周波数に比べて非常に高い周波数の場合に使用するもので、低周波のクロック信号SD1とすることにより集積回路の設計・製造を容易にすることができる。尚、この分周回路32はゲート33の出力側に配置しても同様の効果が得られる。又、2つの発振回路の周波数が近接するような場合には、その分周回路は省略することもできる。
【0044】
フリップフロップ31も通常ゲート回路から構成され、起動促進回路3は数個のゲート回路という非常に簡単な構成で実現できる。又、フリップフロップ31のセット信号は、外部電源5の電源投入検出信号S3が利用できる。又、他の例としてCPUを搭載する機器に一般的に使用されているパワーオンリセット信号を用いることもできる。
【0045】
フリップフロップ31の入力の仕方として、起動検出信号をセット信号として、電源投入検出信号をリセット信号として使用してもよい。この場合、フリップフロップ31の出力は、図示しない負の出力(Q−)を用いる。
【0046】
尚、図1及び図3にはそれぞれ図示していないが、起動検出回路2及び起動促進回路3のそれぞれには、外部電源6の電源電圧が供給されるものとする。
【0047】
(1−2) 第1の実施形態の原理
次に、本発明の第1の実施形態における原理について説明する。
【0048】
上記で説明した、38.4KHzの周波数で発振する音叉型水晶振動子X2を用いた発振回路12は、「発明が解決しようとする課題」で説明したように、外部電源が投入された初期状態において、その発振起動開始時間が数秒と非常に長いという問題点がある。この問題点の解決を図るために、ATカット型水晶振動子X1を用いた発振起動時間(約10ms)の短い発振回路11からのクロック信号の一部を、間欠した発振起動促進信号S6として遅い発振回路12に注入して、これの発振起動を早めるというものである。
【0049】
即ち、図3に示すように、電源投入検出回路4から出力された電源投入検出信号S3をトリガー信号としてフリップフロップ31を動作、いわゆる起動させる。そして、その出力である起動促進許容信号S5により、ゲート33に入力される分周されたクロック信号SD1を出力し発振起動促進信号S6として発振回路12に注入し、この発振回路12の発振起動を早める。発振回路12からのクロック信号S2が出力されると、この出力が開始された時点における最初のクロック信号S2の立ち上がり信号を起動検出回路2で検出する。そして、この最初の起動検出信号S4によりフリップフロップ31をリセットして、発振回路11のクロック信号を分周したクロック信号SD1の、ゲート33からの出力、即ち、発振起動促進信号S6を停止させるというものである。この後は、起動検出回路2は、さらに、クロック信号S2の立ち上がりを検出し、連続的に起動検出信号S4を出力する。
【0050】
尚、2回目以降の立ち上がりを検出させないようにすることもできる。即ち、クロック信号S2の立ち下がり信号を検出し、この検出信号により起動検出回路2及び起動促進回路3のそれぞれに供給される外部電源Vddを遮断すればよい。遮断する手段としてはpMOSトランジスタ等により実現できる。又、外部電源の投入時においては、電源投入検出信号S3により、そのpMOSトランジスタをオンして起動検出回路2及び起動促進回路3のそれぞれに供給される外部電源Vddを投入すればよい。立ち下がり検出は、立ち上がり検出と同様に上記した遅延素子とゲートで容易に実現できる。
【0051】
(1−3)第1の実施形態の動作
次に、図4に基づき、水晶発振器1Aの動作を詳細に説明する。
【0052】
図4は、外部電源が投入された後における発振器1Aの各部の動作を示すタイムチャートである。図4に示したt0乃至t2は、発生した事象の時刻を示している。
【0053】
図4において、外部電源6が立ち上げられると(その時刻をt0とする)、電源投入検出回路4からの電源投入検出信号S3により、フリップフロップ31が動作する。即ち、この時刻t0で起動促進許容信号S5がハイレベル(以下、Hレベルと呼ぶ)となり、ゲート33は分周されたクロック信号SD1を出力できる状態となる。所定の時間が経過、例えば、時刻t1で、発振起動の早い発振回路11からクロック信号S1の出力が開始されると、その起動促進許容信号S5がHレベルを維持しているので、時刻t1以後、発振回路11からのクロック信号S1を分周したクロック信号SD1がゲート33から発振起動促進信号S6として出力される。
【0054】
この発振起動促進信号S6が発振回路12に入力(注入)されて、所定時間経過後、例えば、時刻t2から、発振回路12のクロック信号S2の出力が開始される。この時刻t2で、起動検出回路2は最初のクロック信号S2の立ち上がり信号を起動検出信号S4として検出し、出力する。そして、この起動検出信号S4がトリガーとなってフリップフロップ31が動作すると、起動促進許容信号S5はHレベルからロウレベル(以下、Lレベルと呼ぶ)に変化する。その時刻t2では、起動促進許容信号S5がLレベルとなるため、発振起動促進信号S6(分周されたクロック信号SD1)は停止する。
【0055】
時刻t2以降は、クロック信号S2の立ち上がりが検出されてフリップフロップ31はLレベルが維持されるので、ゲート33が遮断された状態を継続する。
【0056】
これらの動作の結果、時刻t2以降は、発振回路11及び12からのそれぞれのクロック信号S1及びS2が継続して発振器1Aから出力される。
【0057】
図4に、併せて、音叉型の水晶振動子を使用し、発振起動の促進が図られていない発振回路の場合における従来のクロック信号を示している。電源投入後におけるこの2つのクロック信号の起動動作結果を比較すると、明らかに、本発明の構成により出力されるクロック信号S2は、発振起動の早い発振回路11が有する発振起動時間程度まで改善されることが判る。
【0058】
(1−4)第1の実施形態における他の実施例
図5を参照して、第1の実施形態における他の実施例について説明する。
【0059】
図5は、発振起動が早い発振回路11と、「発振回路12,13、起動促進回路9,10及び起動検出回路7,8」からなる2組の発振部とを備える場合の構成を示すブロック図である。
【0060】
図3に示された実施例と異なる点について説明する。図5によれば、発振回路、起動促進回路、起動検出回路からなる発振部が1組追加された構成を採る。そして、発振回路11の水晶振動子X1はATカット型水晶振動子であり、発振回路12及び13のそれぞれの水晶振動子X2及びX3は音叉型水晶振動子とした場合である。このようなケースは、外部電源6の投入時において、発振起動の早いATカット型水晶発振回路11により、発振起動の遅い発振回路12及び13のそれぞれの発振起動を早め、これらを1つにまとめることで小型化が見込まれるというような場合が想定される。
【0061】
この事例においては、図5に示すように、発振回路11からの出力であるクロック信号を起動促進回路9,10にそれぞれ入力する。
【0062】
図5に示したこの実施例の動作は、図3で説明した実施例と基本的に同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0063】
(1−5)第1の実施形態から得られる効果
次に、本発明の第1の実施形態から得られる効果について説明する。
【0064】
図3及び図5で示したように、本発明の発振器は、発振起動が早い発振回路と、発振回路、起動検出回路、起動促進回路からなる1乃至2組の発振部とで構成される。この構成において、外部電源が投入された通常動作モードでは、発振起動の早い発振回路のクロック信号に基づいて発振起動促進信号を生成する。そして、これを発振起動の遅い発振回路に入力することにより、この遅い発振回路の発振起動を早めることができるという効果が得られる。
【0065】
又、発振回路は簡易なインバータ型発振回路、そして、ゲート回路からなる簡単な構成の起動検出回路及び起動促進回路を実現しているので、これらを集積回路化したICチップは小規模で低価格化されたICが得られるという効果が得られる。尚、本構成によれば、このICチップは同一のMOSトランジスタで構成されるので、同一の半導体製造プロセスで製造でき、さらなる低価格化を図ることができるという効果が得られる。
【0066】
又、起動促進回路において、分周回路を用いて発振起動の早い発振回路からの高周波のクロック信号を分周して得られた低周波のクロック信号に基づいて発振起動促進信号を生成する。この結果、この低周波の発振起動促進信号を発振起動の遅い発振回路に入力(注入)するので、発振器の回路ブロックにおける集積回路化のための設計・製造を容易にすることができるという効果が得られる。
【0067】
又、2つの水晶振動子を除く回路部分が1つのICチップにまとめられ、かつ、これらを収容するパッケージが一体化される結果、水平方向の実装面積が低減されて小型化されるとともに、低価格化を実現できるという効果が得られる。
【0068】
さらに、本発明による発振器は、発振周波数を設定するための制御データを格納するメモリやこの制御データを制御するための制御部を不要とする構成を採用している。このため、製造・検査時において、制御データを格納するための書き込み装置や制御データに基づく動作を確認するためのパーソナルコンピュータ、デバッグ装置等の高価な検査装置やその検査工数が不要となる。この結果、検査工数の軽減により安価な製造・検査工数で実現できるという効果が得られる。
【0069】
(2)第2の実施形態
次に、本発明の発振器を回線接続制御装置に応用した第2の実施形態について説明する。
【0070】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る発振器を利用した電子機器の一例としてパソコン通信に用いられる回線接続制御装置の概略構成を示す図である。
【0071】
回線接続制御装置60aは、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンとよぶ)からの情報を、公衆電話回線を介して、図示しない相手方のパソコンに送信するか、又は、相手方からの受信データを受け自分のパソコンに取り込むための装置である。この回線接続制御装置60aは、内部の変復調部65で、9600bps,4800bps及び2400bpsのデータ伝送速度をそれぞれ選択することができる。複数の出力を持つ発振器1Aの出力は、変復調部65における最高の伝送速度の8倍、即ち、38.4KHzの周波数のクロック信号を生成して、変復調部65に出力する。このクロック信号を変復調部65内で分周して、公衆電話回線の通信速度に応じた変調データが生成される。又、発振器1Aの他の出力は、CPUの基本クロック信号である高周波のクロック信号を生成する。
【0072】
次に、図6に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る発振器を利用した回線接続制御装置60aを主体とする動作について説明する。
【0073】
ユーザがパソコン68を操作し、回線接続制御装置60aの主要部を含めたすべてのブロックの電源が立ち上げられると、相手先の電話番号を設定して回線接続処理が行われる。回線インタフェース部64は、伝送速度、例えば、9600bpsの公衆電話回線に送信できる状態となる。そして、パソコンからの文字や画像情報は、PCインタフェース部64を介してメモリ63に一旦格納される。次に、CPU62はメモリ63に格納された情報を、バス67を介して変復調部65に送り、ここで9600bpsの伝送速度の変調データを生成し、回線インタフェース部66を介して、公衆電話回線に送信される。
【0074】
又、公衆電話回線を介して相手方のパソコン68から送られてきた文字・画像情報は、回線インタフェース部66から変復調部65に送られ、ここで復調されて、バス67を介してメモリ63に一旦格納される。そして、CPU62の制御のもとにメモリ63に格納された文字・画像情報はPCインタフェース部64を介して、パソコン68に取り込まれる。
【0075】
そして、上記で説明した送受信が終了すると、回線接続制御装置60aは、回線インタフェース部66を除き電源はオフされた状態となる。
【0076】
本発明の実施形態に係る発振器として、第1の実施形態における発振器1Aを適用し、図7のCPU62や変復調部65の周波数基準源として広く利用することができる。この場合、変復調部65の周波数としては、図3に示した発振器1Aの出力端子OUT2からの38.4KHzのクロック信号が伝送速度を決定するための基準信号として用いられる。又、図3に示す出力端子OUT1からは基準クロック信号としてCPU62に供給される。
【0077】
尚、第2の実施形態のような3つの出力を備えた発振器も同様に適用できる。即ち、さらに多くの、公衆電話回線の通信速度に応じ、変復調部において複数の出力を有する発振器からのクロック信号を切り換えることにより適用することができる。
【0078】
本発明の実施形態に係る発振器1Aとしては、例えば、パッケージ水晶発振器(SPXO:Simple Packaged X’stal Oscillator)がある。このパッケージ水晶発振器(SPXO)は近年の電子機器の小型化に伴い、これに用いられる発振器の小型化への要求が高まっている。そして、2つ乃至3つの周波数を統合し同一のパッケージに収め、小型化が図られた本発明の実施形態に係る発振器は装置の小型化を図る上で極めて有用である。即ち、回線接続制御装置のような電子機器に、上述した実施形態に係る発振器1A又は1Bを適用することにより、従来の2つ乃至3つの発振器を1つにまとめて水平方向の実装面積を大幅に減らして、回線接続制御装置全体の小型化に寄与できるという効果が得られる。
【0079】
又、発振起動時間の短縮化が図られた本発明に係る発振器を用いることにより、消費電力の低減が図られ、かつ電源投入時に待機することなく即時に使用できる使い勝手を向上させた電子機器が得られるという効果がある。
【0080】
(3)変形例
本発明は、上述した実施形態に限定されず種々の態様にて実施することができる。例えば、以下のような変形実施が可能である。
【0081】
<第1の変形例>
上述した第2の実施形態における発振器として、パッケージ水晶発振器(SPXO)に適用した実施例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated X’stal Oscillator),電圧制御型水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled X’stal Oscillator)であってもよい。又、第2の発振回路(図3の発振回路12,図5の発振回路13)として音叉型水晶振動子を用いた発振回路で説明したが、抵抗とコンデンサで構成されたRC発振回路であってもよい。
【0082】
<第2の変形例>
又、上述した第1及び第2の実施形態の発振器おいて、発振源として、ATカット型や屈曲型の水晶振動子を本発明に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、水晶振動子としてはSAW共振子、そして、圧電セラミック,リチウムタンタレートあるいはリチウムニオベイトからなる振動子でもよい。
【0083】
<第3の変形例>
又、上述した実施形態の発振回路として、MOSトランジスタを用いたインバータ型発振回路の実施例で説明したが、バイポーラトランジスタを用いたコルピッツ型の発振回路であってもよい。
【0084】
<第4の変形例>
上述の実施形態においては、携帯電話装置、コンピュータ、表示装置、リモートコントローラ、計測装置などの電子機器に内蔵される発振器に限定されない。例えば、リアルタイムクロック、温度補償型水晶発振器(TCXO)及び電圧制御型水晶発振器(VCXO)に広く適用され、これらの出力信号に基づいて動作する電子機器の起動時間の短縮化を図ることができる。特に消費電力を低減するために、一部の機能を一時的に停止させる節電モード、といった予め定めた条件に従って発振器の一時停止と駆動とを行う動作モードが使われる。このような動作モードを有するコンピュータや回線接続制御装置などの電子機器に本発明に係る発振器を用いれば、起動時間を短縮できる分だけ実質的な駆動時間を短くでき、さらに低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における発振器の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における発振回路の一実施例としてインバータ型発振回路の構成を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態における発振器を構成する起動検出回路と起動促進回路をそれぞれ具体的な回路で示した回路図である。
【図4】外部電源の投入からそれ以後における、第1の実施形態における発振器の各部の動作を示すタイムチャートである。
【図5】第1の実施形態における他の実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係る発振器を利用した電子機器の一例として回線接続制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】従来の回線接続制御装置の概要構成を示すブロック図である。
【図8】発振起動時間の短縮が図られた従来の発振器の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の発振器を構成するメモリに格納されたスイッチの数及び状態と接続順を示す表である。
【符号の説明】
1A,1B・・・発振器
11,12、13・・・発振回路
4・・・電源投入検出回路
5a,5b・・・ICチップ
6・・・外部電源
2,7,8・・・起動検出回路
3,9,10・・・起動促進回路
15・・・出力回路
X1,X2,X3・・・水晶振動子
60a,60b・・・回線接続制御装置
62・・・CPU
63・・・メモリ
64・・・PCインタフェース部
65・・・変復調部
66・・・回線インタフェース部
67・・・バス
68・・・パーソナルコンピュータ
Claims (6)
- 第1の発振回路と、第2の発振回路、起動促進手段及び起動検出手段からなる少なくとも1組の発振部とを備える発振器であって、
外部電源の投入を検出し、電源投入検出信号として出力する電源投入検出手段と、
所定の周波数のクロック信号を出力する前記第1の発振回路と、
所定の周波数のクロック信号を出力し、前記第1の発振回路よりも発振起動の遅い前記第2の発振回路と、
前記電源投入検出信号により起動し、前記第1の発振回路からの出力信号により発振起動促進信号を生成して、自己が所属する前記発振部の第2の発振回路に前記発振起動促進信号を注入する前記起動促進手段と、
前記発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号により起動検出信号を生成し、前記起動検出信号により前記発振起動促進信号を停止させる前記起動検出手段と
を備えることを特徴とする発振器。 - 前記起動促進手段は、
前記第1の発振回路からの出力信号であるクロック信号又は前記発振起動促進信号のいずれかを分周する分周手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の発振器。 - 前記起動検出手段は、
前記発振起動促進信号が注入された第2の発振回路からの出力信号であるクロック信号と前記クロック信号を遅延させた遅延クロック信号とから、前記クロック信号の立ち上がり又は立ち下がりに対応した前記起動検出信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の発振器。 - 前記発振器において、
少なくとも1つの前記第2の発振回路は音叉型水晶振動子を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の発振器。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発振器を内蔵し、前記発振器の出力信号に基づいて動作することを特徴とする電子機器。
- 前記電子機器は、予め定めた条件に従って少なくとも前記発振器の一時停止と駆動とを行う動作モードを有する電子機器である
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
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- 2003-03-28 JP JP2003091522A patent/JP2004304253A/ja not_active Withdrawn
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