JP2004302412A - 磁気光学デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】 ファラデー回転子にかかる磁場強度が高く、かつ磁場が均一にかかり、より小型化が可能な光アイソレータを提供することにある。
【解決手段】 光軸を構成するファラデー回転子と、永久磁石からなる第1の磁石及び第2の磁石とで構成されており、前記第1の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されており、
前記第2の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向
に磁化が発生するように構成されており、前記第1の磁石及び前記第2の磁石に、光軸に対して垂直な面の中心位置であって、かつ光軸と平行な方向に貫通孔がそれぞれ設けられており、前記第1の磁石の貫通孔にファラデー回転子の一端面部分が挿入されており、前記第2の磁石の貫通孔にファラデー回転子の他端面部分がそれぞれ挿入されており、前記第1の磁石と前記第2の磁石のそれぞれ貫通孔の内側面に軟磁性体物が設けられていることを特徴とする、磁気光学デバイス。
【選択図】 図1
【解決手段】 光軸を構成するファラデー回転子と、永久磁石からなる第1の磁石及び第2の磁石とで構成されており、前記第1の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されており、
前記第2の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向
に磁化が発生するように構成されており、前記第1の磁石及び前記第2の磁石に、光軸に対して垂直な面の中心位置であって、かつ光軸と平行な方向に貫通孔がそれぞれ設けられており、前記第1の磁石の貫通孔にファラデー回転子の一端面部分が挿入されており、前記第2の磁石の貫通孔にファラデー回転子の他端面部分がそれぞれ挿入されており、前記第1の磁石と前記第2の磁石のそれぞれ貫通孔の内側面に軟磁性体物が設けられていることを特徴とする、磁気光学デバイス。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光通信システム等に用いられる磁気光学デバイスであり、特に光源から出射された光が光学素子の端面で反射し、光源に戻ることを防ぐのに好適な光アイソレータ、光アッテネータ、光サーキュレータ等に好適な磁気光学デバイスに関するものである。
近年、情報通信量の増大に伴って従来の金属通信線を用いた通信手段では速度不足及び容量不足になってきており、高速及び大容量の情報通信技術として光通信技術が注目されている。現在の主流の光通信技術として、赤外線領域(波長が1300〜1600nm)における石英ファイバーの極低損失伝送特性を利用しており、高密度波長多重技術(DWDM)との組み合わせによる高速大容量通信技術が盛んに研究開発されている。
このような背景から光通信技術をハードウェアの面からサポートする光部品の特性の向上及び低コスト化が重要になってきている。その中で、光と磁気との相互作用に基づいた磁気光学デバイスも重要になってきている。磁気光学デバイスの中でも、例えば、光アイソレータは一方向に光を通し反対方向には光を通さない磁気光学デバイスであり、Blu−ray等の次世代情報記録方式の市場において、その機能が再び注目されるようになってきている。以下に、光アイソレータの原理について具体的に説明する。
この光アイソレータは少なくともファラデー回転子からなり、光の入射方向に対してファラデー回転子の前後に偏光子及び検光子が配置されるものがある。この光アイソレータは、ファラデー回転子に磁界を加えて磁界が発生した状態で、光アイソレータに光を入射した時に、ファラデー回転子の中でその偏光面が回転するという性質(ファラデー効果)を利用している。より具体的に説明すると、一方向から入射した光のうち偏光子と同じ偏光面をもつ光は、ファラデー回転子の中で光の進行方向に対して45°回転して出射する。これに対して入射方向と逆方向から入射する戻り光は、検光子によってこれと同じ偏光面をもつ戻り光のみが通過する。そして検光子を通過した戻り光はファラデー回転子の中で、最初の入射方向に対してさらに偏光面が45°回転するので、偏光子と直角の偏光面となり、光は偏光子を通過することはない。
このようなファラデー効果を利用した光アイソレータにおいて、ファラデー回転子を形成する磁性材料の特性として、ヴェルデ定数(V:(deg/(Oe・cm))が大きいことが求められている。ヴェルデ定数とは単位長さ単位印加磁界あたりのファラデー回転角を意味し、偏光した光の角度を示すファラデー回転角(θf)、ファラデー回転子を通る光の移動距離(d)、及びファラデー回転子にかかる磁界強度(d)から、θf=VHdの関係で表される。このことから、ファラデー回転角(θf)を所望の一定角度にするには、磁界が強く、実効的なヴェルデ定数(V)が大きい方がよい。このようなファラデー回転子であればそのサイズを小さくすることができ、磁気光学デバイスの小型化が図れるため好ましいことがわかる。
このようなファラデー回転子を形成した光アイソレータとして、特許文献1にはファラデー回転子の両端面部にそれぞれ4個、すなわち計8個の永久磁石が環状に設けられており、光軸と磁石の磁化方向とが垂直に交差する光アイソレータが開示されている。また、特許文献2にはファラデー回転子全体を内包する円筒永久磁石を用いた光アイソレータが開示されている。
特開平9−68675号公報 (特許請求の範囲、第2図)
特開2001−209006号公報 (特許請求の範囲、第1図及び第2図)
しかしながら、特許文献1の光アイソレータは、光軸と磁石の磁化方向とが垂直に交差するため、TAG単結晶のファラデー回転子にかかる磁界の強さが不均一になるという問題が生じた。このため、各磁石から発生する磁束が大気中に拡散してしまい、光軸方向に発生する磁界が弱くなるという問題が生じていた。また、特許文献2の光アイソレータは、円柱状のファラデー回転子全体を内包するように円筒状永久磁石が形成されている。しかし、この光アイソレータを用いてシュミレーションを行ったところ、ファラデー回転子の光軸の向きに発生する磁界の強さが弱くなることが判明した。これらの従来技術のように、磁界の強さが小さくなる場合、ファラデー回転子の大きさを長くするか、磁石を大きくして強い磁界を発生させなければならない。このため、従来技術のような磁気光学デバイスは、磁気光学デバイスとして大型化にならざるを得ないという問題が生じていた。
本発明の目的は、上述の問題点を解決するべくなされたもので、ファラデー回転子にかかる磁界強度が高く、かつ磁界が均一にかかり、より小型化が可能な磁気光学デバイスを提供することにある。
上記目的を達成するために、本願第1の発明の磁気光学デバイスは、光軸を構成するファラデー回転子と、永久磁石からなる第1の磁石及び第2の磁石とで構成されており、前記第1の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されており、前記第2の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向に磁化が発生するように構成されており、前記第1の磁石及び前記第2の磁石に、光軸に対して垂直な面の中心位置であって、かつ光軸と平行な方向に貫通孔がそれぞれ設けられており、前記第1の磁石の貫通孔にファラデー回転子の一端面部分が挿入されており、前記第2の磁石の貫通孔にファラデー回転子の他端面部分がそれぞれ挿入されており、前記第1の磁石及び前記第2の磁石のそれぞれ貫通孔の内側面に軟磁性体物が設けられていることを特徴とする。
また、本願第2の発明の磁気光学デバイスは、前記第1の磁石、及び前記第2の磁石が、複数の磁石から構成され、前記複数の磁石が互いに隣接して位置決めされており、前記第1の磁石および前記第2の磁石のうち光軸に対して垂直な面の中央に貫通孔を有することが好ましい。
また、本願第3の発明の磁気光学デバイスは、光軸を構成するファラデー回転子と、第1の磁石及び第2の磁石のそれぞれが複数個の永久磁石から構成されており、前記第1の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されており、前記第2の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向に磁化が発生するように構成されており、前記第1の磁石及び前記第2の磁石のうち、それぞれ複数個の磁石によって、前記ファラデー回転子の両端面部分が挟み込まれて固定され、前記第1の磁石と前記第2の磁石とが、互いに軟磁性体物によって接合されていることを特徴とする。
また、本願第4の発明の磁気光学デバイスは、前記第1の磁石の外側面と、前記第2の磁石の外側面とが、軟磁性体からなる外部ヨークで接続されていることが好ましい。
また、本願第5の発明の磁気光学デバイスは、前記ファラデー回転子が、Tbを含有する常磁性体であることが好ましい。
本願第1の発明の磁気光学デバイスを用いることによって、ファラデー回転子の光軸方向に磁場を収束させることができ、ファラデー回転子に十分な磁場強度を与えることができる。かつファラデー回転子における磁場分布を均一にすることができる。これにより、ファラデー回転角(θf)を所望の回転角度となるように制御しやすくなり、ファラデー回転子の小型化を図ることができる。
また、本願第2の発明の磁気光学デバイスは、複数の永久磁石を隣接させて円柱状に近づけることによって、よりファラデー回転子に印加される磁場強度を強くすることができる。そして、第1の磁石及び第2の磁石を小型化することができるので、磁気光学デバイスとしても小型化が可能となる。
また、第1の磁石及び第2の磁石から、光軸から離れる方向に向かって生じていた磁界は大気中に拡散していたが、本願第3の発明を用いることによって、光軸から離れる方向に向かって生じていた磁界も、一定方向に連ねることが可能となる。このため、より小さい磁石であっても磁場強度を大きくすることができる。
また、本願第4の発明の磁気光学デバイスを用いることによって、より小さい永久磁石を用いたとしても十分な磁場強度を得ることが可能となるので、磁気光学デバイスとしても小型化することができる。
また、本願第5の発明の磁気光学デバイスを用い、特にTAG(Tb3Al5O12)単結晶をファラデー回転子として用いることによって、波長が400〜600nmの可視光領域においても十分なファラデー効果を有する磁気光学デバイスを提供することができる。
以下、本発明の磁気光学デバイスの一実施形態について、光アイソレータを例として図1を用いて説明する。なお、ここでいう光軸Pとは、光の伝播路を説明するための一般的な意味で用いている。また、ここでいう入射とは、光源から照射された光が最初に光アイソレータに入ることを示し、出射とはその光が光アイソレータから出てくることを示す。また、図1におけるMは磁化の方向を示す。
図1は、本発明の磁気光学デバイスの一例である、光アイソレータ1の概略断面図を示している。この光アイソレータ1は、ファラデー回転子2と、第1の磁石3aと、第2の磁石3bと、軟磁性体物4と、外部ヨーク5と、から構成されている。
ここでファラデー回転子2は光の通過する光軸Pを構成しており、光軸がファラデー回転子2の中心を通るように配置されている。一方、第1の磁石3a及び第2の磁石3bは、光が入射される部分に光軸に平行に貫通孔6を設けられており、円筒状になっている。この円筒状の第1の磁石3a及び第2の磁石3bの内側面に、軟磁性体物4が設けられている。そして、ファラデー回転子2の両端面部分が第1の磁石3a及び第2の磁石3bの貫通孔6に挿入した状態で配置されている。さらに、第1の磁石3aと第2の磁石3bの外側面とが、軟磁性体からなる外部ヨーク5によって接続されている。
ここで用いられるファラデー回転子2は、磁性ガーネット単結晶からなることが好ましい。特に磁性ガーネット単結晶の中でも、Tbを含む常磁性ガーネット単結晶を用いることが好ましい。具体的には、Tb3Al5O12、Tb3Ga5O12等が用いることができる。中でもTb3Al5O12、またはTb3Al5O12のTbサイトをDy、Ho、Er、及びTm等の希土類元素で置換したものを用いた場合、ヴェルデ定数が大きく、400〜600nmという可視光領域においても好適な光透過率を得ることができる。なお、ここでいうファラデー回転子2の端面とは、ファラデー回転子2の光軸に対して垂直な面であり、光が入射及び出射する面を示す。
ファラデー回転子の光軸方向の結晶方位が、<110>方位に対して0°〜10°の角度をなす方位であることが好ましい。この場合、磁界は<110>方位に対して0°〜10°の角度をなす方位に平行に磁界が印加されることになる。このとき、ファラデー回転子の実効的なヴェルデ定数が他の結晶方位に平行に磁界が印加される場合に比べて大きくなることを本発明者らは見出した。ここでいう実効的なヴェルデ定数とは、印加される磁界の強度(H)及びファラデー回転子の長さ(d)とを一定にした時に測定したファラデー回転角(θf)を、V=θf/Hdの関係式に代入したときに得られた数値である。このように、実効的なヴェルデ定数がより大きいほど、ファラデー回転角(θf)として所望な角度が決まっている場合には、小さい磁場強度でも対応可能であったり、ファラデー回転子の長さを短くできる。これにより、光アイソレータの小型化が可能である。
また、ここで用いられる第1の磁石3a及び第2の磁石3bは永久磁石からなる。永久磁石としては、Nd2Fe14B、Sm(Co−Fe−Cu Zr)7、Sm(Co−Fe−Cu)、Sm−Pr−Co5等の希土類永久磁石、酸化鉄系からなるフェライト系磁石が用いることが好ましい。
ここで用いられる第1の磁石3a、及び第2の磁石3bの磁化の向きを説明する。第1の磁石3aの磁化の向きは光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されている。また、前記第2の磁石の磁化の向きは光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向に磁化が発生するように構成されている。すなわち、第1の磁石3aと第2の磁石3bとが互いに逆方向に磁化するように構成されており、磁石そのものの磁化方向は、光軸に対して垂直である。一方、第1の磁石3a及び第2の磁石3bがファラデー回転子2に対して発生させる磁界は、ファラデー回転子2を通過する光軸に対して平行になるように構成されている。このような構成にすることによって、ファラデー回転子2に印加される磁界強度を大きくすることができる。
なお、ここで用いられる第1の磁石3a、及び第2の磁石3bは1つの永久磁石からなり、円筒状に構成されている場合、ファラデー回転子2に印加される磁化の強さが大きくなり好ましいが、これに限るものではない。例えば、角筒状のものを用いても良い。また、図3〜図8に示すように複数の永久磁石を用意し、それぞれ隣接させて角筒状に構成させたものを用いても良い。従来、内径が15mm以下の円柱状の永久磁石は存在していない。しかし、このように複数の永久磁石を環状に隣接させて配置することによって、より円柱状に近づけることができるため、ファラデー回転子2に印加される磁界強度を大きくするだけでなく、第1の磁石3a及び第2の磁石3bを小さくすることができる。その結果、磁気光学デバイスとして小型化が可能である。特に、複数の永久磁石の中でも6個以上の永久磁石を用意し、それぞれ隣接・接合させて6角柱状の構成にさせたものが好ましい。このような構成にすることによって、円筒状のラディアル磁石と同程度の効果を得ることができ、特性とコストバランスの優れたものが得られる。
なお、第1の磁石及び第2の磁石における内側面とは、ファラデー回転子2と接する、もしくは囲む面である。また、第1の磁石及び第2の磁石における外側面とは、光軸に対して平行な面を示す。
また、第1の磁石3a及び第2の磁石3bの内側面に形成される軟磁性体物4及び外部ヨーク5としては、ファラデー回転子2よりも比透磁率の大きい軟磁性体材料が好ましい。より具体的には、ファラデー回転子2の比透磁率が13である場合、軟磁性体物の比透磁率が1000以上の軟磁性材料が好ましい。具体的には、Ni−Fe合金、Fe−Si合金、Ni−Fe−Mo、Fe−Si、Fe−Si−Al、Fe単体、等が用いることができる。このような軟磁性体物4を、第1の磁石3a及び第2の磁石3bの貫通孔6の内側面に形成することによって、大気中に拡散する磁界を光軸方向に平行に収束することができる。このため、より強い磁化をファラデー回転子2に生じさせることができる。なお、軟磁性体物4は、ファラデー回転子2の少なくとも一部に接しており、さらに第1の磁石3a及び第2の磁石3bのうち内側面の大部分に形成されていればよい。
また、さらに第1の磁石3a及び第2の磁石3bの外側面にも軟磁性体からなる外部ヨーク5を設けてもよい。なお、外部ヨーク5は、第1の磁石3a及び第2の磁石3bを接続する際、第1の磁石3aと第2の磁石3bが生じる磁界が外部へ拡散することを防ぐために構成されるため、必ずしも外周面全体を覆う必要はない。
ここで、例えば第1の磁石3a及び第2の磁石3bの外側面にのみ軟磁性体を設け、内側面に設けなかった場合、直接ファラデー回転子に印加される磁界を十分に収束できずないため、内側面に軟磁性体を設けた場合に比べて磁場強度が格段に低下する。
上記のような構成の光アイソレータ1に光が入射した場合の作用について説明する。まず、第1の磁石3aの磁化方向は、光軸Pに対して垂直であって、光軸Pに向かう方向に磁化Mが発生し、前記第2の磁石3bの磁化方向は、光軸Pに対して垂直であって、光軸Pから離れる方向に磁化Mが発生するように配置されている。このため、光軸Pに対して垂直に磁界が発生する。このような第1の磁石3a及び第2の磁石3bの内側面に軟磁性体物4を設ける。これにより、第1の磁石3a及び第2の磁石3bの光軸Pに対して垂直に存在する端面のうち、ファラデー回転子2が挿入されていない端面の方へ拡散していた磁界が、ファラデー回転子2を通過する光軸Pと平行な向きに集まる。このため、磁束がファラデー回転子2に集中し、光軸方向に強力で均一な磁界を生じさせることになる。また、第1の磁石3a及び第2の磁石3bの外側面においても、軟磁性体からなる外部ヨーク5が形成されている。したがって、ファラデー回転子2から離れる方向に発生する磁界が、大気中へ拡散することを防ぎ、よりファラデー回転子2に印加される磁界を集めることができる。ここで、ファラデー回転子2に光軸Pに沿って光を照射すると、ファラデー回転子2の一端面を通過し、ファラデー回転子2内において、入射光を光軸Pに対して精度よく45°に回転させ、ファラデー回転子2の他端面から出射する。また、入射方向とは逆方向から入射する戻り光についても、光軸に対して平行な強力で均一なの磁界が生じているため、ファラデー回転子2の他端面から入射し、ファラデー回転子2内を通過する際に、強力な磁界の影響で偏光面が精度よく、入射した光に対してさらに45°回転されることになる。これにより、ファラデー回転子2を通過した戻り光はファラデー回転子2の一端面から出射されることはない。
ファラデー回転子2は第1の磁石3a及び第2の磁石3bの内部に形成された軟磁性体物4によって固定されていればよく、必ずしも第1の磁石3a及び第2の磁石3bとファラデー回転子2との間の隙間が軟磁性体物4によって充填される必要はない。
また、以下に別の実施形態を図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6は、本願発明の磁気光学デバイスである光アイソレータ21の別の実施の形態である。図5において、第1の磁石23a及び第2の磁石23bがそれぞれ2つの磁石(第1の磁石23aa・23ab及び第2の磁石23ba・23bb)から構成されている。第1の磁石23aa及び磁石23abは、各両端面が矩型形状となるように構成し、第1の磁石23aa及び23abの凹部が向かい合わせとなるように接合する。この際、第1の磁石23aa及び23abの凹部にファラデー回転子22の一端面部分を挟み込んでおり、第2の磁石23ba及び23bbの凹部にファラデー回転子22の他端面部分を挟み込んでいる。第1の磁石23aaと第1の磁石23abとの間、及び第2の磁石23baと第2の磁石23bbとの間は、軟磁性体物24によって接合されている。このとき、第1の磁石23aa及び第1の磁石23abの磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように配置されている。また、第2の磁石23ba及び第2の磁石23bbの磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向に磁化が発生するように配置されている。
また、図6では凹部とファラデー回転子22との間は軟磁性体物24によって接合されているが、ファラデー回転子22が固定され、かつ磁石の内側面が被覆されているのであれば必ずしも充填する必要はない。また、第1の磁石23a及び第2の磁石23bの外側面において、第1の磁石23a及び第2の磁石23bとを接続し覆うような軟磁性体からなる外部ヨーク25を設けてもよい。このような構造を有することで、より簡便な構造を有する光アイソレータ21が形成される。
(実施例1)
以下に、実施例1として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の光アイソレータ1の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx1−x1で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石3a及び第2の磁石3bとして、残留磁束密度が1.3Tのネオジウム鉄ホウ素磁石を用意する。第1の磁石3a及び第2の磁石3bの長さを5.5mm、内径4.0mm、かつ外径19.0mmの円筒状に加工してある。そして、第1の磁石3aは円筒状の外側面から内側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pに近づく方向がN極となるように構成する。また、第2の磁石3bは円筒状の内側面から外側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pから離れる方向がN極となるように構成する。
以下に、実施例1として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の光アイソレータ1の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx1−x1で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石3a及び第2の磁石3bとして、残留磁束密度が1.3Tのネオジウム鉄ホウ素磁石を用意する。第1の磁石3a及び第2の磁石3bの長さを5.5mm、内径4.0mm、かつ外径19.0mmの円筒状に加工してある。そして、第1の磁石3aは円筒状の外側面から内側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pに近づく方向がN極となるように構成する。また、第2の磁石3bは円筒状の内側面から外側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pから離れる方向がN極となるように構成する。
そして、それぞれの磁石の貫通孔6の内側面には、内径3.0mm、かつ外径4.0mmの円筒状でNiとFeとからなる軟磁性体物4(比透磁率約3000)を形成する。次に、長さ6mm、かつ断面の直径3.0mmの円柱状のファラデー回転子2を用意し、第1の磁石3aの貫通孔にファラデー回転子2の一端面部分が1mm挿入され、第2の磁石3bの貫通孔6に、ファラデー回転子2の他端面部分が1mm挿入されている。
また、内径19.0mm、かつ外径20.0mmの円筒状で厚みが0.5mmであるNiとFeとからなる軟磁性体(比透磁率3000)の外部ヨーク5によって、第1の磁石3a及び第2の磁石3bの外周面が接合され覆われている。このように構成されている光アイソレータ1を実施例1とした。
(実施例2)
以下に、実施例2として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図3及び図4は本発明の光アイソレータ11の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx2−x2で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石13a、第2の磁石13bの構成磁石として、実施例1と同じネオジウム鉄ホウ素磁石であり三角形柱状の磁石をそれぞれ4個、合計8個用意する。ここで、第1の磁石13a、第2の磁石13bの各体積が、実施例1の第1の磁石及び第2の磁石の体積と同じにしてある。
以下に、実施例2として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図3及び図4は本発明の光アイソレータ11の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx2−x2で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石13a、第2の磁石13bの構成磁石として、実施例1と同じネオジウム鉄ホウ素磁石であり三角形柱状の磁石をそれぞれ4個、合計8個用意する。ここで、第1の磁石13a、第2の磁石13bの各体積が、実施例1の第1の磁石及び第2の磁石の体積と同じにしてある。
第1の磁石及び第2の磁石は、それぞれ4個の永久磁石を接合させることによって、長さ5.5mm×16.8mm×16.8mmの正四角柱状に構成する。第1の磁石13aは4個の各磁石が外側面から内側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pに近づく方向がN極となるように構成する。また、第2の磁石13bは4個の各磁石が内側面から外側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pから離れる方向がN極となるように構成する。また、光軸Pが通過する部分にファラデー回転子12と同心円状であり径4mmの貫通孔16を設けられている。そして、正四角柱状の第1の磁石13a及び第2の磁石13bの貫通孔16の内側面には、内径3.0mm、かつ外径4.0mmの円筒状でNiとFeとからなる軟磁性体物14(比透磁率約3000)を形成する。そして、前記第1の磁石13aの貫通孔16に、ファラデー回転子12の一端面部分が1mm挿入され、第2の磁石13bの貫通孔16に、ファラデー回転子12の他端面部分が1mm挿入されている。また、厚みが0.5mmのNiとFeとからなる軟磁性体(比透磁率3000)の外部ヨーク15により、第1の磁石13a、第2の磁石13bの外側面が覆われ接合されている。すなわち、第1の磁石13a及び第2の磁石13bの外周側面を、連続した外部ヨーク15で巻きつけて一体化されている。このような構成の光アイソレータ12を実施例2とした。
(実施例3)
また、実施例2において、外部ヨーク15を設けないことを除いては、実施例2と同様の構成からなる光アイソレータを実施例3とした。
また、実施例2において、外部ヨーク15を設けないことを除いては、実施例2と同様の構成からなる光アイソレータを実施例3とした。
(実施例4)
以下に、実施例4として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図5及び図6は本発明の光アイソレータ21の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx3−x3で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石23a、第2の磁石23bの構成磁石として、実施例1と同じネオジウム鉄ホウ素磁石でありおおよそその外形が直方体である磁石をそれぞれ2個、合計4個用意する。
以下に、実施例4として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図5及び図6は本発明の光アイソレータ21の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx3−x3で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石23a、第2の磁石23bの構成磁石として、実施例1と同じネオジウム鉄ホウ素磁石でありおおよそその外形が直方体である磁石をそれぞれ2個、合計4個用意する。
それぞれの磁石は図6に示されるように、光の入射方向に対して垂直な面が矩型形状となるように構成されており、それぞれを第1の磁石23aa及び第1の磁石23ab、第2の磁石23ba及び第2の磁石23bbとした。光の入射方向から見た場合、第1の磁石23aa、及び第1の磁石23abの矩型部分の凹部が向かい合わせとなるように形成されている。すなわち、第1の磁石の中央部に若干窪んでおり、貫通孔26が設けられた場合と同じ状態になっている。第2の磁石23ba及び23bbについても同様に構成した。ここで、第1の磁石13a、第2の磁石13bの各体積が、実施例1の第1の磁石及び第2の磁石の体積と同じにしてある。
このとき、第1の磁石23aa及び23abは、光軸に対して垂直であって、
光軸から離れる方向に磁化されており、また、第2の磁石23ba及び23bbは、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化されている。上記のような構成をした第1の磁石23aa及び23abにより、ファラデー回転子22の一端面部分を挟み込み、第2の磁石23ba及び23bbによりファラデー回転子22の他端面部分を挟み込み、隙間をNiとFeとからなる軟磁性体物24(比透磁率3000)によって充填してそれぞれの磁石を接合している。この状態が光の入射方向から見ると、図6のように見える。また、第1の磁石23aと第2の磁石23bとの外側面を接続するために、第1の磁石23aおよび第2の磁石23bの磁化の方向と垂直であって、光軸に対して平行な外側面に厚みが0.5mmの外部ヨーク25を形成した。なお、この外部ヨーク25はNiとFeとからなる軟磁性体(比透磁率3000)からなる。このような構成の光アイソレータ21を実施例4とした。
光軸から離れる方向に磁化されており、また、第2の磁石23ba及び23bbは、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化されている。上記のような構成をした第1の磁石23aa及び23abにより、ファラデー回転子22の一端面部分を挟み込み、第2の磁石23ba及び23bbによりファラデー回転子22の他端面部分を挟み込み、隙間をNiとFeとからなる軟磁性体物24(比透磁率3000)によって充填してそれぞれの磁石を接合している。この状態が光の入射方向から見ると、図6のように見える。また、第1の磁石23aと第2の磁石23bとの外側面を接続するために、第1の磁石23aおよび第2の磁石23bの磁化の方向と垂直であって、光軸に対して平行な外側面に厚みが0.5mmの外部ヨーク25を形成した。なお、この外部ヨーク25はNiとFeとからなる軟磁性体(比透磁率3000)からなる。このような構成の光アイソレータ21を実施例4とした。
(実施例5)
以下に、実施例5として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図7及び図8は本発明の光アイソレータ31の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx4−x4で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石33a、第2の磁石33bとして、ネオジウム鉄ホウ素磁石であり、三角形柱状の磁石をそれぞれ6個、合計12個用意する。ここで、第1の磁石33a、第2の磁石33bの各体積が、実施例1の第1の磁石3a及び第2の磁石3bの体積と同じにしてある。
以下に、実施例5として、本発明の光アイソレータの一実施の形態を説明する。図7及び図8は本発明の光アイソレータ31の一実施形態を示す概略主面断面図、及びx4−x4で切断した際の断面図である。まず、第1の磁石33a、第2の磁石33bとして、ネオジウム鉄ホウ素磁石であり、三角形柱状の磁石をそれぞれ6個、合計12個用意する。ここで、第1の磁石33a、第2の磁石33bの各体積が、実施例1の第1の磁石3a及び第2の磁石3bの体積と同じにしてある。
第1の磁石33a及び第2の磁石33bは、それぞれ6個の永久磁石を接合させることによって、一辺が10.4mm、長さ5.5mmの正六角柱状に構成する。第1の磁石33aは6個の各磁石が外側面から内側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pに近づく方向がN極となるように構成する。また、第2の磁石33bは6個の各磁石が内側面から外側面に向かって磁化Mが生じるように、光軸Pから離れる方向がN極となるように構成する。また、第1の磁石33a及び第2の磁石33bの光軸が通過する部分に、ファラデー回転子32と同心円状であり径4mmの貫通孔36を設けられている。そして、正六角柱状の第1の磁石33a及び第2の磁石33bの内側面には、内径3.0mm、かつ外径4.0mmの円筒状でNiとFeとからなる軟磁性体物34(比透磁率約3000)を形成する。そして、前記第1の磁石33aの貫通孔36に、ファラデー回転子32の一端面部分が1mm挿入され、第2の磁石33bの貫通孔36に、ファラデー回転子32の他端面部分が1mm挿入されている。また、厚みが0.5mmのNiとFeとからなる軟磁性体(比透磁率3000)の外部ヨーク35により、第1の磁石33a、第2の磁石33bの外側面が覆われ接合されている。すなわち、第1の磁石33a及び第2の磁石33bの外周側面を、連続した軟磁性ホルダ35で巻きつけて一体化されている。このような構成の光アイソレータ32を実施例5とした。
(比較例1)
比較例1として、特許文献1と同じ図9のような構成の光アイソレータ41を作製した。まず、磁石として実施例1と同体積を有するネオジウム鉄ホウ素からなる磁石を8個用意した。そして光の入射方向に対してファラデー回転子42の前後それぞれに4個づつ永久磁石43を形成した。なお、永久磁石43はそれぞれファラデー回転子42の端面部分を取り囲むように形成されており、ファラデー回転子42の一部が永久磁石43に入り込んだ状態になっている。光の入射方向に対してファラデー回転子42の前方に配置された永久磁石43の磁化方向は、光軸に対して垂直であり、かつ光軸とは離れる方向に差し向けられている。一方、後方に配置された永久磁石43の磁化方向は光軸に対して垂直であり、かつ光軸に向かう方向に差し向けられている。すなわち、本発明の実施例2において軟磁性体物14、及び外部ヨーク15を形成していない構成である。このような構成にした光アイソレータ41を比較例1とした。
比較例1として、特許文献1と同じ図9のような構成の光アイソレータ41を作製した。まず、磁石として実施例1と同体積を有するネオジウム鉄ホウ素からなる磁石を8個用意した。そして光の入射方向に対してファラデー回転子42の前後それぞれに4個づつ永久磁石43を形成した。なお、永久磁石43はそれぞれファラデー回転子42の端面部分を取り囲むように形成されており、ファラデー回転子42の一部が永久磁石43に入り込んだ状態になっている。光の入射方向に対してファラデー回転子42の前方に配置された永久磁石43の磁化方向は、光軸に対して垂直であり、かつ光軸とは離れる方向に差し向けられている。一方、後方に配置された永久磁石43の磁化方向は光軸に対して垂直であり、かつ光軸に向かう方向に差し向けられている。すなわち、本発明の実施例2において軟磁性体物14、及び外部ヨーク15を形成していない構成である。このような構成にした光アイソレータ41を比較例1とした。
(比較例2)
比較例2として、特許文献2と同じ図10のような構成の光アイソレータ51を作成した。ネオジウム鉄ホウ素からなる磁石53を1個用意した。この永久磁石53をそれぞれ長さ11.0mm、内径4.0mm、かつ外径19.0 mmの円筒状に加工した。なお、この磁石53は円筒状の長手方向に磁化される。このようにして得られた永久磁石53の円筒の中央部に位置するように、円柱状のファラデー回転子52を挿入した。このように構成された光アイソレータ51を比較例2とした。
比較例2として、特許文献2と同じ図10のような構成の光アイソレータ51を作成した。ネオジウム鉄ホウ素からなる磁石53を1個用意した。この永久磁石53をそれぞれ長さ11.0mm、内径4.0mm、かつ外径19.0 mmの円筒状に加工した。なお、この磁石53は円筒状の長手方向に磁化される。このようにして得られた永久磁石53の円筒の中央部に位置するように、円柱状のファラデー回転子52を挿入した。このように構成された光アイソレータ51を比較例2とした。
(比較例3)
実施例2において、正四角柱状の第1の磁石及び第2の磁石の内側面に軟磁性体物を形成しなかった以外は、実施例2と同様の構成である光アイソレータを比較例3とした。
実施例2において、正四角柱状の第1の磁石及び第2の磁石の内側面に軟磁性体物を形成しなかった以外は、実施例2と同様の構成である光アイソレータを比較例3とした。
上記のように構成されている実施例1〜5、比較例1〜3について、ファラデー回転子として長さ6mm、かつ断面の直径が3.0mmの円柱状のTAG単結晶を用い、次のような特性評価を行った。すなわち、各光アイソレータについて、有限要素法を用いたコンピュータ・シュミレーションによってTAGに発生する磁界強度を計算した。ファラデー回転子の半径方向と光軸方向とを0.1mm間隔のメッシュ状に切断し、各点における光軸方向の磁界強度を計算した。統計処理により、平均化した磁界強度(kA/m)を測定した。その結果を表1に示す。
表1から見て分かるように、本願発明の実施例1〜実施例5は、磁界強度が350kA/m以上と高いことがわかる。これは軟磁性体物を、第1の磁石及び第2の磁石に設けられた貫通孔の内周面に設けることによって、ファラデー回転子に印加される磁界が強くなるためと推測される。特に、実施例5では、第1の磁石及び第2の磁石のそれぞれが6個の磁石から構成されているため、磁界強度が480kA/mと高く、第1の磁石及び第2の磁石のそれぞれが4個の磁石から構成されている実施例2と比べてファラデー回転角(θf)が格段と大きくなり、円柱状のラディアル磁石の磁界強度に近づけることができると考えられる。従来、中心内径15mm以下のラディアル磁化磁石を作製することは着磁の点で不可能とされており、強い磁界強度を有する光アイソレータの小型化には限界があった。しかし、本発明の分割磁石を用いることによって、ラディアル磁化磁石にかぎりなく近い磁石構成を実現することが可能となった。
ここで実施例2(軟磁性体物あり;外部ヨークあり)、実施例3(軟磁性体物あり;外部ヨークなし)、比較例1(軟磁性体物なし;外部ヨークなし)、比較例3(軟磁性体物なし;外部ヨークあり)の対比を行ったところ、磁界強度は、順に、435、405、270、265kA/mである。このことから、第1の磁石及び第2の磁石の内側面に軟磁性体物を設けることが効果的に働いていることが明らかであった。そして、外部ヨークの効果は、各磁石の貫通孔の内側面に設けられる軟磁性体物の効果に比べ遥かに小さいことも明らかとなった。これにより従来提案されていなかった磁界強度を有する光アイソレータを提供できる。一方、比較例1〜比較例3は磁界強度がいずれも低く、十分なファラデー効果を得つつ磁気光学デバイスを十分に小型化することが困難である。
(実施例6)
以下に、実施例5と同様の構成の光アイソレータについて、各構成のサイズ条件を変えて実際に作製した。そして、ファラデー回転角(θf)について測定した。まず、ファラデー回転子として、Tb4O7(純度99.9%)及びAl2O3(純度99.99%)を用意し、Tb3Al5O12単結晶(比透磁率13)を作製した。これを長さ6mm、かつ断面の直径が3.0mmの円柱状のものに加工した。なお、ここでの長手方向の結晶方位は<110>方位であった。また、第1の磁石、及び第2の磁石の構成磁石としては、一辺の長さが11mm、高さが5.5mmである正三角柱形状のNd2Fe14B焼結磁石をそれぞれ6個づつ、合計12個用意した。
以下に、実施例5と同様の構成の光アイソレータについて、各構成のサイズ条件を変えて実際に作製した。そして、ファラデー回転角(θf)について測定した。まず、ファラデー回転子として、Tb4O7(純度99.9%)及びAl2O3(純度99.99%)を用意し、Tb3Al5O12単結晶(比透磁率13)を作製した。これを長さ6mm、かつ断面の直径が3.0mmの円柱状のものに加工した。なお、ここでの長手方向の結晶方位は<110>方位であった。また、第1の磁石、及び第2の磁石の構成磁石としては、一辺の長さが11mm、高さが5.5mmである正三角柱形状のNd2Fe14B焼結磁石をそれぞれ6個づつ、合計12個用意した。
そして、第1の磁石、及び第2の磁石のそれぞれについて、6個の正三角柱の磁石を隣接させ、正六角柱となるように構成した。この六角柱の永久磁石のそれぞれには、光軸が通過する部分に直径4.0mmでファラデー回転子と同心円状の貫通孔が設けられている。第1の磁石は6つの各磁石が外側面から内側面に向かって磁化が生じるように、光軸に近づく方向がN極となるように構成した。また、第2の磁石は6つの各磁石が内側面から外側面に向かって磁化が生じるように、光軸から離れる方向がN極となるように構成した。そして、貫通孔を有する6角柱の第1の磁石及び第2の磁石の内側面には、内径3.0mm、かつ外径4.0mmの円筒状でNiとFeとからなる軟磁性体物(比透磁率約3000)を形成した。そして、第1の磁石の中央に形成されている貫通孔に、ファラデー回転子の一端面部分が1mm程度挿入されるように形成した。次に、第2の磁石の中央に形成されている貫通孔に、ファラデー回転子の他端面部分が1mm程度挿入されているように配置した。また、厚み0.5mmのNiとFeとからなる軟磁性体(比透磁率3000)の外部ヨークを形成し、第1の磁石と第2の磁石との外側面を覆い接合するように形成した。すなわち、第1の磁石、及び第2の磁石の外周面を、連続した軟磁性体からなる外部ヨークを巻きつけて一体化した。このようにして得られた光アイソレータを実施例6とした。
上記のようにして得られた光アイソレータについて以下の要領でファラデー回転角の測定を行った。測定には、ファラデー回転角測定装置を用いた。具体的には、上記のようにして得られた光アイソレータの両端面のうち、光の入射面に偏光子、光の出射面に検光子を設けた。このような光アイソレータに、出力25mWで、波長が808nmのレーザ装置からファラデー回転子の長手方向に平行に光を照射し、検光子を0から180°まで10°おきに変化させることにより、入射光の偏光面を回転させ、検光子の回転角からファラデー回転角(θf)の入射偏光面依存性を測定した。このとき、ファラデー回転角(θf)は45°±2°の範囲であった。
続いて、上記実施例6と同じファラデー回転子を用いて、第1の磁石及び第2の磁石の構成磁石の数を変えた光アイソレータを作製した。具体的には、第1の磁石及び第2の磁石の構成磁石として、Nd2Fe14B焼結磁石を4個づつ、計8個用意した。この第1の磁石及び第2の磁石の各体積は、実施例6の第1の磁石及び第2の磁石の各体積と同じにしてある。そして、4個の磁石を隣接させ一辺が17.8mmで長さ5.5mm四角柱となるように構成した。これ以外は実施例6と同様のサイズ、及び方法で貫通孔及び軟磁性体物を設け、ファラデー回転子と第1の磁石及び第2の磁石とを接合し、外部ヨークを設けた。このようにして得られた光アイソレータにおいても、実施例6と同様の方法でファラデー回転角(θf)の入射偏光面依存性を測定した。得られたファラデー回転角は43°±5°であり、回転角の低下とともに、入射光偏光面依存性が大きいことが明らかとなった。
これにより、第1の磁石及び第2の磁石のそれぞれに6個以上の永久磁石を用いることによって、磁場強度を高めることができ、その結果、ファラデー回転角を45°にするのに必要なファラデー回転子の長さを小さくすることができる。または、より小型の磁石を用いることができ、磁気光学デバイスの小型化を達成できる。更に、入射光偏光面依存性がないので特性の優れた光アイソレータデバイスを得ることができる。
続いて、ファラデー回転子の長手方向の結晶方位を、表2に示す結晶方位にした以外は実施例6と同じ構造の光アイソレータを作製した。それぞれの光アイソレータについて、出力25mWで、波長が808nmのレーザ装置からファラデー回転子の長手方向に平行に光を照射し、入射光の偏光面は一定にして検光子の回転角からファラデー回転角(θf)を測定した。その結果を表2に示す。
表2からわかるように、ファラデー回転子の光軸方向の結晶方位を、<110>方位から0°〜10°の角度をなす方位にすることによって、他の方位に比べて大きなファラデー回転角(θf)を得ることができた。これは、結晶方位を上記範囲にすることによって、ファラデー回転子に印加される磁場強度が同じでも実効的なヴェルデ定数を高めることができ、長さ6mmであっても光アイソレータとして十分に機能することがわかった。
1 光アイソレータ
2 ファラデー回転子
3a 第1の磁石
3b 第2の構成部
4 軟磁性体物
5 外部ヨーク
6 貫通孔
M 磁場の向き
P 光軸
2 ファラデー回転子
3a 第1の磁石
3b 第2の構成部
4 軟磁性体物
5 外部ヨーク
6 貫通孔
M 磁場の向き
P 光軸
Claims (5)
- 光軸を構成するファラデー回転子と、永久磁石からなる第1の磁石及び第2の磁石とで構成されており、
前記第1の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されており、
前記第2の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向に磁化が発生するように構成されており、前記第1の磁石及び前記第2の磁石に、光軸に対して垂直な面の中心位置であって、かつ光軸と平行な方向に貫通孔がそれぞれ設けられており、
前記第1の磁石の貫通孔にファラデー回転子の一端面部分が挿入されており、前記第2の磁石の貫通孔にファラデー回転子の他端面部分がそれぞれ挿入されており、
前記第1の磁石及び前記第2の磁石のそれぞれ貫通孔の内側面に軟磁性体物が設けられていることを特徴とする、磁気光学デバイス。 - 前記第1の磁石、及び前記第2の磁石が、複数の磁石から構成され、前記複数の磁石が互いに隣接して位置決めされており、前記第1の磁石および前記第2の磁石のうち光軸に対して垂直な面の中央に貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気光学デバイス。
- 光軸を構成するファラデー回転子と、
第1の磁石及び第2の磁石のそれぞれが複数個の永久磁石から構成されており、
前記第1の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸に向かう方向に磁化が発生するように構成されており、
前記第2の磁石の磁化方向は、光軸に対して垂直であって、光軸から離れる方向に磁化が発生するように構成されており、
前記第1の磁石及び前記第2の磁石が、それぞれ複数個の磁石によって、前記ファラデー回転子の両端面部分が挟み込まれて固定され、前記第1の磁石と前記第2の磁石とが、互いに軟磁性体物によって接合されていることを特徴とする、磁気光学デバイス。 - 前記第1の磁石の外側面と前記第2の磁石の外側面とが、軟磁性体からなる外部ヨークで接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の磁気光学デバイス。
- 前記ファラデー回転子が、Tbを含有する常磁性体であることを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の磁気光学デバイス。
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2003
- 2003-10-03 JP JP2003346134A patent/JP2004302412A/ja active Pending
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