JP3672211B2 - 偏光スイッチング素子及び光シャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等の光関連の各種分野に適用可能で光の偏光面を高速で切換え得る偏光スイッチング素子及びこのような偏光スイッチング素子を用いた光シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光の状態を変化させる類似の技術として、例えば、光アイソレータや積層型偏光子やEO(Electro-Optic Devices)素子がある。
【0003】
光アイソレータは、各種文献等にも紹介されているように、レーザ光を利用した通信や計測の分野において光源として用いられる半導体レーザに光学系からの戻り光が入射すると発振が不安定になり雑音を発生する等の不都合を回避するために用いられる。即ち、半導体レーザ側からの順方向の光は通過させるが、反射光は通過させない素子である。具体的には、磁気光学ファラデー効果を示すファラデー回転子を備え、直線偏光の振動面が磁化の向きに関して回転することを利用したものである。つまり、透明な結晶(ファラデー回転子…常磁性体)の1方向に磁界を印加して光の偏光面を回転させる。
【0004】
積層型偏光子は、例えば特許第1351184号が付与された素子であり、金属膜と誘電体膜とを交互に積層させた構造が、不要偏光成分を吸収するという性質を利用したものである。消光比が高いため、光センシングシステム、光導波路デバイスなどに組み込まれて実用化されている。
【0005】
EO素子は、KH2PO4(KDP)等の結晶に電界を印加すると結晶の屈折率、異方性が変化し、これにより偏光状態が変化することを利用して、光強度を変調する素子であり、レーザ光の高速変調等に利用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例示した光アイソレータや積層型偏光子の場合、光シャッタ(例えば、1入力1出力端子を持つ光をオン・オフする光路の開閉器、光の開閉器等)として利用することはできない。また、EO素子の場合、高電圧を必要としたり、温度安定性に劣る等の欠点がある上、仮に、光シャッタとして利用した場合には100%近く遮断又は透過させるのが困難であり、EO素子の光路上への挿入損失が大きなものとなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、素子の挿入損失の少ない状態で、光の偏光面を高電圧等を要せず高速で切換えることができ、光シャッタへの利用に適する偏光スイッチング素子及びこの偏光スイッチング素子を用いた光シャッタを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の偏光スイッチング素子は、透明基板上のグレーティング構造の壁部分に等間隔で形成されて、基板面に対して垂直方向の長さが0.1〜5μmの複数の強磁性体薄膜と、これらの強磁性体薄膜の薄膜面に対して平行な向きの磁界をスイッチング自在に付与する磁界付与手段と、を備え、前記薄膜面に平行な向きの磁界を選択的に印加することにより前記グレーティング構造の空隙部分と透明誘電体部分とが周期的に配設されることによって増大する偏光面の回転角の切換えを行う。
従って、透明性が高くて殆ど光吸収がない上に磁気光学効果の極めて高い複数の強磁性体薄膜を用い、その薄膜面に平行な向きに磁界を選択的に印加することで、入射される光の偏光面を大きく回転させることができる。即ち、磁界を印加することで光の偏光面の切換え(スイッチング)を高速で行なえる。つまり、偏光面をスイッチングするが、光を任意の出力端子方向に切換える光路切換え機能は持たず、この点では、1入力1出力端子を持つ光をオン・オフする光路の開閉器として利用できる。この際、複数の強磁性体薄膜間は、空隙部分と透明誘電体部分とが周期的に配設されており、入射した光のエネルギーが強磁性体薄膜に集中し、より大きな磁気光学効果が生ずるので、安定した偏光面のスイッチングが可能となる。即ち、実質的に誘電体を高低2種の屈折率を有する2層(空隙層と透明誘電体層)に分離した多層膜構造とすることで、偏光面の回転角を増大させることができる。このような構造により効果が向上する理由は定かではないが、光の閉じ込め現象が生じ、全反射によって磁気光学効果が増大するものと思われる。そこで、請求項4記載の発明のように、偏光スイッチング素子の入射側と出射側とに各々偏光機能素子を備えれば、光シャッタとして利用できる。或いは、入射する光の偏光面が保存されている場合であれば、請求項5記載の発明のように、偏光スイッチング素子の入射側と出射側とに各々偏光面保存ファイバを備えても、光シャッタとして利用できる。何れにしても、当該偏光スイッチング素子は光をほぼ100%遮断又は透過させることができ、本素子による挿入損失は1%程度である。偏光面の回転角は、印加する磁界の強さや強磁性体薄膜の膜厚等によるが、数10度〜100度以内で適宜選ぶことができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の偏光スイッチング素子の強磁性体薄膜が、Fe,Co,Ni又はこれらの合金の微粉末を材料とし、膜厚が50〜1000Å、0.3〜1.5μmなる等間隔で透明基板上に形成されている。従って、強磁性体薄膜の材料としては適宜金属や半導体等を用い得るが、Fe,Co,Ni又はこれらの合金の微粉末によれば、保磁力の制御のし易さ、磁気光学効果の大きさ、透明性の高さ、化学的安定性等の点で好ましく、安定した偏光面のスイッチングが可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の偏光スイッチング素子における磁界付与手段が、透明基板と同一材質で形成されて前記透明基板が張り合わされる別の基板上に強磁性体薄膜を囲んで渦巻状に形成された磁気誘導コイルである。従って、全体的に平板構造にて強磁性体薄膜に必要な磁界を印加させることができ、素子構造が簡単となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態は、偏光スイッチング素子1と偏光機能素子2,3とを組合せた光シャッタ4の原理的構成例を示すものである。偏光スイッチング素子1は透明基板としての石英基板5をベースとするもので、この石英基板5上に等間隔で基板面に対して垂直に配設された複数の強磁性体薄膜6と、これらの強磁性体薄膜6の薄膜面に対して平行な向きの磁界をスイッチング自在に付与する磁界付与手段7とを備えた構成とされている。強磁性体薄膜6は石英基板5の片面に形成された等間隔の櫛歯状のグレーティング構造の壁部分を利用することにより、等間隔かつ基板面に垂直となるように薄膜形成されている。従って、強磁性体薄膜6の積層方向に見ると、石英基板5の凸部による透明誘電体部分8と凹部による空隙部分9(何れも光学的に無損失)とが、光学的損失材料として機能する強磁性体薄膜6を介在させて周期的に配設された構造となっている。
【0013】
ここで、強磁性体薄膜6の材料としては、金属或いは半導体中から適宜選択し得るが、保磁力の制御のし易さ、磁気光学効果の大きさ、透明性の高さ、化学的安定性等の点を考慮すると、Fe,Co,Ni又はこれらの合金の超微粉末(平均粒径100Å以下)を材料とするのが好ましい。また、強磁性体薄膜6の膜厚は50〜1000Å程度、長さは0.1〜5μm程度がよく、間隔は0.3〜1.5μm程度がよい。
【0014】
一方、磁界付与手段7は一対の電磁石10a,10bよりなり、漏洩磁界φを中心部に配設させた石英基板5の強磁性体薄膜6部分に対して薄膜面に平行な向きで印加し得る構造とされている。11a,11bはこのために適宜形状に形成された鉄芯であり、12a,12bは制御信号に基づき漏洩磁界φを印加する向きをスイッチングさせるためのコイルである。印加する磁界の強さは、用いる強磁性体薄膜6の保磁力にもよるが、1kガウス、できれば500ガウス以下となるように設定するのがよい。
【0015】
このような偏光スイッチング素子1に対する光の入射側と出射側とに配設された偏光機能素子2,3は、偏光機能を有するものであれば、適宜使用し得る。例えば、偏光プリズム(1軸性結晶から切り出した2つのプリズムを組み合わせて、振動面の異なる光を分離させる偏光子)や、フィルム偏光板(直線偏光の一方をほぼ吸収し、これに直交する他方の直線偏光を殆ど吸収しない分子の配向による複屈折性の材料の性質を利用した偏光子や、偏光ビームスプリッタや、ワイヤーグリッドポラライザ(平面上に針金を平行に並べた金属格子(ワイヤーグリッド)に対して入射した光の偏光面が針金に垂直な場合は透過し、針金に平行な偏光は反射されることを利用した透過型偏光器)等を用い得る。
【0016】
このような構成において、コイル12a,12bに流す電流の方向を切換えることで、偏光スイッチング素子1に印加する漏洩磁界φの向きをスイッチングすると、強磁性体薄膜6の磁化の向きが反転する。これに対応して偏光スイッチング素子1に入射した光の偏光面も強磁性体薄膜6の磁化の向きに応じて大きく回転される。即ち、磁界を印加することで光の偏光面のスイッチングを高速で行なえる。よって、後は入射側と出射側とに配設させた偏光機能素子2,3の偏光方向を適宜設定しておくことにより、入射した光を透過させたり遮断させることができ、光シャッタ4としての機能が発揮される。
【0017】
【実施例】
本発明の第一の実施例を図2ないし図4に基づいて説明する。まず、図2(a)に示すように、厚さ0.5μmの石英基板(透明基板)21の片面に合計で120nm厚さとなるようにCr2O3層22とCr層23とを積層し、さらに、表層にポジ型のレジスト層24を積層させた。このレジスト層24上にフォトマスク25を配設し、UV光を照射することにより露光した。この際、後述する磁性層付きグレーティングにおける凹凸寸法の繰返しピッチが1.0μmとなるようなパターンのフォトマスク25を用いた。次に、ウェットエッチング法を用いて、露光済みのレジスト層24をエッチングし、さらに、フッ素系ガスを用いて石英基板21の表面をエッチングして、長さ(奥行)が0.4μmとなるように加工した。この後、レジスト層24を剥離した。これにより、石英基板21の片面には等間隔で櫛歯状(凹凸状)とされたグレーティング面が形成される。
【0018】
次に、ガス中蒸着法を用いて、基板加熱無しで、このような石英基板21のグレーティング面上に鉄(Fe)を蒸着し、図2(b)に示すように、鉄磁性膜(強磁性体薄膜)26を形成した。使用したガスはArと空気との混合ガスで、Arを50CCM 、空気を5CCM の流量で流し、全圧力は1.3Paとした。鉄磁性膜26は平均粒径7nmの鉄粉粒子を含有しており、平均膜厚は70nmであった。また、平坦部で測定した保磁力は500Oeで、面内磁気異方性を有する膜として形成されていた。
【0019】
この後、イオンエッチング装置を用いて、石英基板21側に−150Vを印加し、Arガスを導入して逆スパッタ法により、図2(c)に示すように、グレーティング面におけるA,B面(基板面に平行な面)の鉄粉粒子を除去し、C面(基板面に垂直な面)にのみ鉄磁性膜26が残るようにした。これにより、等間隔で基板面に対して垂直に配設された鉄磁性膜26が形成され、磁性層付きグレーティング27が完成する。
【0020】
このような磁性層付きグレーティング27に関して、鉄磁性膜26の磁気光学効果を、波長520nmの光を用い、最大印加磁界を15kガウスとして測定したところ、印加磁界を15kガウスとした場合の偏光面の回転角は29度、印加磁界を0ガウスとした場合の偏光面の回転角は26度であった。
【0021】
次に、上記の磁性層付きグレーティング27の場合と同様にして、図3に示すように石英基板31の表面に形成された櫛歯状(凹凸状)のグレーティング面に対してガス中蒸着法を用いて、基板加熱無しで、ゲルマニウム(Ge)を蒸着し、ゲルマニウム膜32を形成した。使用したガスはArで、50CCM の流量で流し、全圧力は1.3Paとした。ゲルマニウム膜32の平均膜厚は8nmであった。この後、上記の場合と同様に、イオンエッチング装置を用いてグレーティング面における基板面に平行な面のゲルマニウム膜を除去し、基板面に垂直な面にのみゲルマニウム膜32が残るようにした。これにより、等間隔で基板面に対して垂直に配設されたゲルマニウム膜32が形成された偏光子(偏光機能素子)33が完成する。もっとも、偏光子33の場合には、スパッタ法を用いてSiO2 膜34をグレーティング面の溝が埋まるまで成膜し、研磨によって表面を平坦化したものが用いられる。このような偏光子33の分光透過率は波長520nmに対して92%であった。ちなみに、磁性層付きグレーティング27における強磁性体薄膜6の透過率は88%であった。また、偏光子33の波長520nmの光に対する偏光度は、S偏光透過率をT1、P偏光透過率をT2としたとき、(T1−T2)/(T1+T2)により83%であった。このような偏光子33を33a,33bとして一対作製した。
【0022】
さらに、図4に示すように、各々空隙部35a,35bを有する鉄芯36a,36bにコイル37a,37bを巻回してなる2個の電磁石38a,38bを磁界付与手段39として作製した。これらの電磁石38a,38bを空隙部35a,35bによる漏洩磁界φを中心部に配設させた磁性層付きグレーティング27に印加できるようにした。即ち、磁性層付きグレーティング27の強磁性体薄膜6の薄膜面に平行な向きで漏洩磁界φを印加し得る配置構造とした。この状態で、磁気光学効果測定機を用いて偏光面の回転方向を測定したところ、電磁石38a,38bのコイル37a,37bに流す電流の方向によって、強磁性体薄膜6の磁化の向きが反転し、次回の向きと対応して偏光面の回転方向が逆転することが確認された。
【0023】
次いで、図4に示すように、一対の偏光子33a,33bを磁性層付きグレーティング27の入出射側に配設した。この場合、偏光子33a,33bのグレーティングの溝は、図示した光の進行方向で観察した光の強度が、電磁石38a,38bの電流の流れる方向によって、最も明るくなる場合と最も暗くなる場合とが生ずるように角度を決めて配設した。この結果、3kガウスの磁界方向が反転することにより、分光器より照射した520nmの光を透過させたり遮断させたりすることができたものである。即ち、光シャッタとしての機能を確認できたものである。
【0024】
本発明の第二の実施例を図5に基づいて説明する。前記実施例で示した部分と同一部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する。まず、前記実施例で説明した場合と同様に作製した磁性層付きグレーティング27を、そのグレーティング面を上にして、同一材質による別の大きめな石英基板41上の中心位置に張り合わせた。次に、外部磁界を磁性層付きグレーティング27中の強磁性体薄膜6に対して薄膜面に平行な向き(上下方向)に印加するための磁界付与手段42の磁気誘導コイル43を石英基板41上に作製した。この磁気誘導コイル43は、磁性層付きグレーティング27全体を取り巻くように、フォトリソグラフィ法により金(Au)薄膜を例えば10ターン分だけ渦巻状に形成することにより作製した。このような磁気誘導コイル43はポリイミド樹脂からなる絶縁層でコイル間を絶縁した。また、磁気誘導コイル43の電気抵抗は1.4μΩ・cm、コイル電流は0.3Aとした。次に、前記実施例で説明した場合と同様に作製した一対の偏光子33a,33bを石英基板41の両側に配設し、前記実施例の場合と同様にしてその溝方向を決定して固定した。磁気誘導コイル43に電流を流して磁界(約3kガウス)を強磁性体薄膜6の薄膜面にほぼ平行な向きに発生させたところ、分光器より照射した波長520nmの光は遮断されたが、磁気誘導コイル43の電流を切ると(磁界を印加しないと)、光が透過して明るくなったものである。即ち、光シャッタとしての機能を確認できたものである。
【0025】
ところで、第一の実施例に対する第一の比較例について説明する。第一の実施例において、磁性層付きグレーティング27の溝部を埋めるようにスパッタ法を用いてSiO2 層を成膜し、表面の凹凸は研磨により削り取って平坦面とした(即ち、図3に示した偏光子33と同様な構造)。第一の比較例では、このように溝部をSiO2 膜で埋める以外は、第一の実施例の場合と同様にして偏光スイッチング素子を作製した。しかし、このような偏光スイッチング素子の場合、偏光子の角度、印加する磁界強度、波長などの他の条件によらず、偏光面の回転が生ずることがなく、偏光面のスイッチングを行なえなかったものである。
【0026】
また、第一の実施例に対する第二の比較例について説明する。第二の比較例では、第一の実施例における磁性層付きグレーティング27に代えて、0.5mm厚の石英基板上にスパッタ法を用いて希土類鉄ガーネットの薄膜(0.9μm)を成膜した。ターゲット組成は、Bi2Dy1Fe3.8Al1.2O19であった。また、成膜時の基板温度は300度で、成膜後650度で3時間空気中で加熱した。膜は、保磁力600Oeの垂直磁化膜であり、光透過率は550nm以上の長波長側では60%以上であった。希土類鉄ガーネット薄膜層の磁気光学効果を、最も大きな回転角を示す波長520nmの光を用いて、最大印加磁界を15kガウスとして測定した。印加磁界を15kガウスとした場合の偏光面の回転角は6度、印加磁界を0ガウスとした場合の偏光面の回転角は5.5度であった。第一の実施例の場合と同様に、図4に示したような形状の2個の電磁石を作製し、漏洩磁界を希土類鉄ガーネット薄膜層が形成された石英基板に印加し得るように配設した。この状態で、磁気光学効果測定機を用いて偏光面の回転方向を測定したところ、電磁石に流す電流の方向によって、希土類鉄ガーネット薄膜層の磁化の向きが反転し、磁界の向きと対応して偏光面の回転方向が逆転したものである。ところが、図4に示した場合と同様に、さらに一対の偏光子を希土類鉄ガーネット薄膜層が形成された石英基板の両側に配設し、かつ、偏光子のグレーティング溝を図4に示すような光の進行方向で観察した光の強度が電磁石の電流の向きによって最も明るくなる場合と最も暗くなる場合とが生ずるように角度を決定しようとしたが、透過光の強度が弱く、かつ、回転角が小さ過ぎるため、光の開閉を行なうことができなかったものである。
【0027】
なお、本実施の形態や実施例では、偏光機能素子(偏光子)を用いて光シャッタを構成したので、入射光が自然光や直線偏光になっていない光の場合にもそのスイッチングを行なえるが、偏波面保存光ファイバを用いることにより入射光の偏光面が保存されている場合には、偏光子は用いる必要がない。一般に、光ファイバ中を伝播する光の偏波状態は、直接偏波光を入射させても受光側での光の偏波面は光ファイバの曲がり等に起因して乱れを生じてその偏波面は保存されない。そこで、偏波面保存光ファイバは、光の偏波面を保存したまま光を伝播させ得る光ファイバであり、光ファイバの幾何学的形状の非対称性による屈折率変化や、円形コアに応力を与えることによる内部応力の複屈折率性を利用したものが知られている。即ち、入射光の性質によっては、偏光子に代えて偏波面保存光ファイバを用いた構成でも構わない。
【0028】
【発明の効果】
請求項1記載の偏光スイッチング素子によれば、透明基板上のグレーティング構造の壁部分に等間隔で形成されて、基板面に対して垂直方向の長さが0.1〜5μmの複数の強磁性体薄膜と、これらの強磁性体薄膜の薄膜面に対して平行な向きの磁界をスイッチング自在に付与する磁界付与手段と、を備え、前記薄膜面に平行な向きの磁界を選択的に印加することにより前記グレーティング構造の空隙部分と透明誘電体部分とが周期的に配設されることによって増大する偏光面の回転角の切換えを行うようにしたので、透明性が高くて殆ど光吸収がない上に磁気光学効果の極めて高い複数の強磁性体薄膜を用い、その薄膜面に平行な向きに磁界を選択的に印加し、入射される光の偏光面を大きく回転させることで光の偏光面の切換えを高速で行なうことができ、かつ、入射した光のエネルギーを強磁性体薄膜に集中させ、より大きな磁気光学効果を生じさせることができ、安定した偏光面のスイッチングを行なわせることができる。このように偏光面をスイッチングすることで、1入力1出力端子を持つ光をオン・オフする光路の開閉器として利用することができる。
【0029】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の偏光スイッチング素子の強磁性体薄膜が、Fe,Co,Ni又はこれらの合金の微粉末を材料とし、膜厚が50〜1000Å、0.3〜1.5μmなる等間隔で透明基板上に形成されているので、保磁力の制御のし易さ、磁気光学効果の大きさ、透明性の高さ、化学的安定性等の点で優れており、安定した偏光面のスイッチングを行なわせることができる。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の偏光スイッチング素子における磁界付与手段が、透明基板と同一材質で形成されて前記透明基板が張り合わされる別の基板上に強磁性体薄膜を囲んで渦巻状に形成された磁気誘導コイルにより構成されているので、全体的に平板構造にて強磁性体薄膜に必要な磁界を印加させることができ、素子構造を簡単なものとすることができる。
【0032】
請求項4記載の発明の光シャッタによれば、請求項1,2又は3記載の偏光スイッチング素子と、偏光スイッチング素子に対する光の入射側と出射側とに配設された偏光機能素子とを備えたので、自然光や直線偏光になっていない入射光に対しても、そのスイッチングを確実に行なわせることができる。
【0033】
請求項5記載の発明の光シャッタによれば、請求項1,2又は3記載の偏光スイッチング素子と、偏光スイッチング素子に対する光の入射側と出射側とに配設された偏波面保存光ファイバとを備えたので、偏波面保存光ファイバにより入射光の偏波面が保存されている場合には、そのスイッチングを確実に行なわせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第一の実施例の磁性層付きグレーティングの作製工程を工程順に示す断面図である。
【図3】偏光子を示す断面図である。
【図4】光シャッタとして構成例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第二の実施例の光シャッタとしての構成例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 偏光スイッチング素子
2,3 偏光機能素子
5 透明基板
6 強磁性体薄膜
7 磁界付与手段
8 透明誘電体部分
9 空隙部分
21 透明基板
26 強磁性体薄膜
33a,33b 偏光機能素子
39 磁界付与手段
41 別の基板
42 磁界付与手段
43 磁気誘導コイル
Claims (5)
- 透明基板上のグレーティング構造の壁部分に等間隔で形成されて、基板面に対して垂直方向の長さが0.1〜5μmの複数の強磁性体薄膜と、
これらの強磁性体薄膜の薄膜面に対して平行な向きの磁界をスイッチング自在に付与する磁界付与手段と、を備え、
前記薄膜面に平行な向きの磁界を選択的に印加することにより前記グレーティング構造の空隙部分と透明誘電体部分とが周期的に配設されることによって増大する偏光面の回転角の切換えを行うことを特徴とする偏光スイッチング素子。 - 強磁性体薄膜は、Fe,Co,Ni又はこれらの合金の微粉末を材料とし、膜厚が50〜1000Å、0.3〜1.5μmなる等間隔で透明基板上に形成されていることを特徴とする請求項1記載の偏光スイッチング素子。
- 磁界付与手段は、透明基板と同一材質で形成されて前記透明基板が張り合わされる別の基板上に強磁性体薄膜を囲んで渦巻状に形成された磁気誘導コイルであることを特徴とする請求項1又は2記載の偏光スイッチング素子。
- 請求項1,2又は3記載の偏光スイッチング素子と、
偏光スイッチング素子に対する光の入射側と出射側とに配設された偏光機能素子と、
を備えることを特徴とする光シャッタ。 - 請求項1,2又は3記載の偏光スイッチング素子と、
偏光スイッチング素子に対する光の入射側と出射側とに配設された偏波面保存光ファイバと、
を備えることを特徴とする光シャッタ。
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