JP2004302270A - 画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示すべき画像の輝度データより高輝度になるように駆動する高輝度画素1aと、輝度データより低輝度になるように駆動する低輝度画素1bとを組み合わせ、輝度データに基づく所望輝度にほぼ等しい輝度が得られるように、高輝度画素1aの輝度及び低輝度画素1bの輝度と、高輝度画素1a及び低輝度画素1bの面積比とを決定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置に表示する画像の画質を向上させる画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図33は垂直配向型液晶表示装置の構成の一例を示している。図33(a)は液晶パネル101の断面構造を模式的に示している。液晶パネル101は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等が形成されたTFT基板(アレイ基板)102と、共通電極やCF(カラーフィルタ)が形成された対向基板103とを、その間に液晶層104を封止して周辺シール材105で貼り合わせた構造を有している。TFT基板102と対向基板103との間の空隙(セルギャップ)はスペーサ106で所定の間隔が維持されている。TFT基板102及び対向基板103の対向側と逆側の面にはそれぞれ偏光板107が例えばクロスニコルに配置されている。また、TFT基板102には液晶駆動用IC(不図示)を実装する実装用端子108が形成されている。
【0003】
図33(b)は垂直配向型液晶表示装置を表示画面の法線方向(以下、「正面方向」という)に見た状態の1画素113の構造を示している。少なくとも一方の基板、例えばTFT基板102には液晶駆動用の画素電極パターンが形成されている。TFT基板102上には複数のドレインバスライン111とゲートバスライン112とが絶縁膜を介して交差して形成されており、その交差部には画素電極109に接続された画素駆動用のTFT110が形成されている。さらに画素113は電荷保持用の蓄積容量電極116を有している。また、蓄積容量電極116下層には絶縁膜を介して蓄積容量バスライン117が形成されている。
【0004】
画素電極109には電極材を抜いたスリット114が形成され、対向基板103側には線状突起115が形成されている。スリット114及び突起115は液晶層104の液晶分子(不図示)が電圧印加時に倒れる方向を規制する配向規制用構造物として機能する。画素113では液晶分子が4方向に倒れるように領域が分割されている。液晶103が4方向に倒れることで、一方向にしか倒れない液晶表示装置に比べて視野角の偏りが平均化される。これにより視野角特性が大幅に改善する。このような技術は配向分割技術と呼ばれている。
【0005】
図34は配向分割技術を用いた垂直配向型液晶表示装置の断面構造を模式的に示している。図34(a)では配向規制用構造物の突起115はTFT基板102に成膜された対向電極118及び対向基板103に成膜された画素電極109上の両方に形成されている。突起115上を含みTFT基板102及び対向基板103上には配向膜119が成膜されている。なお、図示しないが一方の基板にのみ突起115が設けられる場合もある。図34(a)は液晶104に電圧が印加されていない状態を示している。図34(b)は液晶104に電圧を印加した状態を示しており、液晶分子120が2方向に配向している。また、図34(c)はスリット114がTFT基板102側のみに設けられ、液晶104に電圧が印加された状態を示している。この場合も液晶分子120は2方向に配向している。なお、スリット114は対向基板103のみに設ける場合やTFT基板102及び対向基板103の両基板に設ける場合もある。
【0006】
また、図33及び図34に示したLCDとは異なり、液晶層104に電圧が印加されていない初期状態では液晶分子120がTFT基板102等にほぼ平行で、電圧を印加すると液晶分子120が立ち上がるモードの液晶表示装置も存在する。当該液晶表示装置の例としてはTN(Twisted Nematic)型等がある。TN型ではTFT基板102及び対向基板103表面に形成された配向膜に予めラビング処理を施して液晶分子120の配向方向を決定しておく。従って、スリット114や突起115は不要である。但し、配向分割するためには液晶分子120の倒れる方向をいくつかに分けることが必要であり、プレチルトを局所的に変える方法等で配向分割を実現している。またTN型以外にも液晶分子120がTFT基板102等に対して傾かないIPS(In−Plane Switching)や強誘電性液晶等、さまざまな液晶表示モードが存在するが、IPS及び強誘電性液晶以外の液晶モードでは視角特性が悪いという共通の問題点を有している。
【0007】
図35は従来駆動による液晶表示装置が抱えている問題点を説明する図である。図35(a)は垂直配向型液晶表示装置における液晶層への印加電圧と透過率との特性(T−V特性)を示している。グラフ中●印でプロットされた実線で示す曲線Aは正面方向でのT−V特性を示し、*印でプロットされた実線で示す曲線Bは表示画面に対して方位角90°、極角60°の方向(以下、「斜め方向」という)でのT−V特性を示している。ここで、方位角は、表示画面のほぼ中心から水平方向を基準として反時計回りに計った角度とする。また極角は、表示画面の中心に立てた垂線となす角とする。
【0008】
図35(a)の仮想円Cに示した部分において輝度変化の歪が生じている。例えば印加電圧が約2.5Vの比較的暗い輝度においては斜め方向の透過率が正面方向の透過率より高くなっているが、印加電圧が約4.5Vの比較的明るい輝度においては斜め方向の透過率が正面方向の透過率より低くなっている。この結果、斜め方向から見た場合には実効駆動電圧範囲での輝度差が小さくなってしまう。この現象は色の変化に最も顕著に現れる。つまり表示画面を正面に対して斜めから見ると画像の色が白っぽく変化してしまう。図35(b)はある映像をMVA−LCDに表示させ、正面と斜めから同一条件のデジタルカメラで撮影した映像の赤(R)、緑(G)、青(B)3原色の階調ヒストグラムを示している。横軸は階調(例えば0〜255の256段で、0に近付くほど高輝度となる)を表し、縦軸は存在割合(%)を表している。正面ではR、G、Bのそれぞれの分布が離れているが、斜めからだと分布が接近していることが分かる。これにより本来の表示の色が失われる。
【0009】
この現象に対する改善方法が特許文献1から特許文献7に開示されている。図36は特許文献1に示された基本的な画素構造を示している。図36(a)は表示画面に対して法線方向の画素構造の模式図を表し、同図(b)は画素121の等価回路を表し、同図(c)は画素121の断面構造を表している。図33(b)で示したように、通常は1つのTFT110に対して1つの画素電極109が接続されている。しかし、図36(a)に示すように、1つの画素121は例えば4つの副画素121a、121b、121c、121dに分割されている。副画素121a、121b、121c、121dは電気的に容量結合の関係になる。TFT122を介して画素121に電圧が印加されると副画素121a、121b、121c、121dの容量比に従って電荷が分配されて各副画素121a、121b、121c、121dには異なる電圧が印加される。これにより、図35(a)に示したT−V特性の歪が副画素121a、121b、121c、121dで分散されて画面の白っぽさが緩和される。なお、T−V特性の歪が分散する原理については後述する。以下、画素121を副画素121a、121b、121c、121dに分割する手法を容量結合によるHT(ハーフトーン・グレースケール)法と呼ぶことにする。容量結合によるHT法はTN型の液晶表示モードに適用されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−122621号公報
【特許文献2】
特開平4−348324号公報
【特許文献3】
特開平5−66412号公報
【特許文献4】
特開平5−107556号公報
【特許文献5】
特開平6−332009号公報
【特許文献6】
特願平6−519211号公報
【特許文献7】
特願平2−249025号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
容量結合によるHT法では画素構造が非常に複雑になる。まず、1つの画素を複数の画素に分割しなければならない。それぞれの副画素がパターン不良で接触してしまうと点欠陥が生じる。また、容量結合するためには図36(c)に示すように、副画素121a、121b、121c、121dは対向電極118とTFT基板上に形成された制御用コンデンサ電極122との間に立体的に配置する必要があり、層間短絡等が起きると全体が点欠陥になってしまう。また、パターン欠け等で容量の配分が変化すると全体の輝度が変化してしまい、この場合も点欠陥になる。さらに副画素に分けるため開口率が大きく減少する。容量結合によるHT法において開口率低下は避けられないので開口率の低下を少しでも緩和するために、容量を形成する二つの層の電極を透明電極で形成する必要がある。この場合、成膜工程が増加するため、製造コストアップや工程能力の低下等、プロセスに与える影響は大きい。
【0012】
また、容量結合によるHT法は駆動電圧が高くなってしまうという問題も抱えている。これは容量結合で電圧損失が生じることが原因で、分割数を増やすほど駆動電圧は高くなってしまう。駆動電圧が高くなると消費電力が増加する。さらに高耐圧の駆動用ICが必要になり高コストになる。また、容量結合によるHT法は副画素により電位差を設けるため、T−V特性の合成が非連続的になってしまう。T−V特性が連続的に変化する理想状態に比べて表示特性は劣化する。
【0013】
以上のように容量結合によるHT法は表示特性を向上させる効果はあるが、欠点が多すぎるため、現在市場に出回っている液晶表示装置には採用されていない。また、TN型の液晶表示装置は斜めから見たときに黒輝度が高くなってコントラストが低下する問題がある。容量結合によるHT法は中間調の階調を正確に表現する技術であるが、コントラストが低下してしまっては中間調の色再現性の効果は十分に発揮されない。
【0014】
本発明の目的は、視野角が広く階調視角特性に優れた画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、表示すべき画像の輝度データより高輝度になるように駆動する高輝度画素と、前記輝度データより低輝度になるように駆動する低輝度画素とを組み合わせ、前記輝度データに基づく所望輝度にほぼ等しい輝度が得られるように、前記高輝度画素の輝度及び前記低輝度画素の輝度と、前記高輝度画素及び前記低輝度画素の面積比とを決定することを特徴とする画像処理方法によって達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態による画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置について図1乃至図10を用いて説明する。以下、実施例にて具体的に説明するが、全ての実施例において液晶表示装置はMVA方式であって、且つ黒輝度が低く抑えられる垂直配向モードの液晶パネル(垂直配向型液晶表示装置)を用いている。
【0017】
[実施例1−1]
本形態による実施例1−1の画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置を図1乃至図5を用いて説明する。まず、本実施例による画像処理方法の原理について図1を用いて説明する。本実施例では複数の画素を1つの単位として捉え、当該複数画素の一部は画像処理をしていない元の画像(以下、「未処理画像」という)の輝度より明るくし、残りの画素の一部または全ては未処理画像の輝度より暗くする。画像処理の前後で正面輝度が変わらず、且つ暗くする画素の総面積が明るくする画素の総面積に等しいか又はそれより広くなるように、明るくする画素(以下、高輝度画素という)と暗くする画素(以下、低輝度画素という)との割合を設定する。図1は、3×3のマトリクス状の9個の画素1を1つの単位として捉え、1個の高輝度画素1aと8個の低輝度画素1bとを設定した例を示している。図1(a)に示す9個の画素1の輝度に対して、図1(b)では中央の画素1aのみ明るくし、残りの周囲の画素1bを暗くしている。
【0018】
発明者らは垂直配向型液晶表示装置の印加電圧−透過率(T−V)特性の歪が目視に及ぼす影響の大きさについて、歪影響評価数(60°)=(T60/T0)×(T60−T0)で表現できることを見出した。なお、T0は表示画面の正面方向の輝度(又は明るさ)であり、T60は正面方向に対して60°の角度を有する方向(斜め60°方向)の輝度(又は明るさ)である。
【0019】
図2は本実施例を用いて液晶表示装置に画像を表示したときの正面方向及び斜め60°方向における液晶印加電圧対明るさの特性を測定した結果を示すグラフである。図2(a)は液晶パネル正面で得られる液晶印加電圧対明るさの特性を示しており、横軸は例えば高輝度画素1aの液晶に印加する電圧を表し、縦軸は明るさ(任意単位(a.u.))を表している。グラフ中実線で示す曲線Aは1個の高輝度画素1aの液晶印加電圧対明るさの特性を示し、破線で示す曲線Bは8個の低輝度画素1bの液晶印加電圧対明るさの特性を示している。一点鎖線で示す曲線Cは曲線Aと曲線Bとの合成の液晶印加電圧対明るさの特性を示している。
【0020】
高輝度画素1aでは、未処理画像の印加電圧より高い電圧が印加され、低輝度画素1bでは、未処理画像の印加電圧より低い電圧が印加されるようになっている。また表示画面全体に占める高輝度画素1aの総面積は、低輝度画素1bの総面積よりも狭く、最大明るさは1個の高輝度画素1aの方が8個の低輝度画素1bの合計の最大明るさより低くなるようにしている。
【0021】
具体例としては、例えば、高輝度画素1aの液晶に印加する電圧V(ボルト)に対して低輝度画素1bの液晶にはV−1(ボルト)が印加される。但し、図2(a)において低輝度画素1bのV−1(ボルト)の特性は+1ボルトだけシフトしてV(ボルト)の位置に示している。また、表示画面全体に占める高輝度画素1aの総面積を1とすると低輝度画素1bの総面積は8となっている(図1参照)。また、図2(a)の曲線A及びBに示すように、白表示の印加電圧5ボルトにおける1個の高輝度画素1aの明るさが0.03(a.u.)であるのに対し、8個の低輝度画素1bの合計の明るさはその9倍のほぼ0.27(a.u.)になっている。
【0022】
このような関係の1個の高輝度画素1a及び8個の低輝度画素1bの組合せにおいて、曲線Aと曲線Bとを合成して一点鎖線で示す曲線Cの液晶印加電圧対明るさ特性が得られる。曲線Cで示す特性は、図35(a)に示した未処理画像を表示させる場合の液晶層への印加電圧対透過率特性(T−V特性)における正面方向の特性とほぼ同様の形状の曲線となる。
【0023】
図2(b)は、図2(a)に示す印加電圧対明るさ特性を有する液晶パネルを斜め60°方向から見た特性変化を示している。横軸は例えば高輝度画素1aの液晶に印加する電圧を表し、縦軸は明るさ(任意単位(a.u.))を表している。グラフ中実線で示す曲線Dは1個の高輝度画素1aの斜め60°方向の液晶印加電圧対明るさの特性を示し、破線で示す曲線Eは8個の低輝度画素1bの斜め60°方向の液晶印加電圧対明るさの特性を示している。二点鎖線で示す曲線Fは曲線Dと曲線Eと合成した斜め60°方向の液晶印加電圧対明るさの特性を示している。曲線Fで示す特性は、図35(a)に示した未処理画像を表示させる場合の液晶層への印加電圧対透過率特性(T−V特性)における斜め60°方向の特性とほぼ同様の形状の曲線となる。なお、比較のため、図2(b)には、図2(a)に示したのと同一の正面方向の合成の液晶印加電圧対明るさの特性を示す曲線C(一点鎖線)も示してある。
【0024】
図2(b)に示すように、正面方向の特性を示す曲線Cと斜め60°方向の特性を示す曲線Fとを比較すると、仮想円G及び仮想円Hの2箇所で曲線Fの方が曲線Cより明るさが高くなっている歪が生じているのが分かる。仮想円Gでは、曲線Cより明るさが高くなっているのは曲線D、Eのうち曲線Dであり従って歪の原因は高輝度画素1aにある。しかしながら、仮想円Gではもともと高輝度画素1aの明るさは十分低いので当該歪は目視では見えない。これは、正面の明るさT0と60°からの明るさT60との差が小さい、つまり、歪影響評価数(60°)の式中の(T60−T0)の項を小さくする効果を有している。
【0025】
一方、仮想円Hでは、曲線Cより明るさが高くなっているのは曲線D、Eのうち曲線Eであり従って歪の原因は8個の低輝度画素1bにある。しかしながら、歪の原因とならない高輝度画素1aの到達総合輝度が十分に高いので、正面の明るさT0に対する60°からの明るさT60の比率が従来に対しより1に近づいている。つまり、歪影響評価数(60°)の式中の(T60/T0)の項を小さくする効果を有している。
【0026】
図2(b)に示すように、本実施例による画像処理方法を用いることにより、図35(a)に示すT−V特性における歪領域を示す仮想円C内の(T60/T0)が3〜4倍のレベルにあるのに対し、本実施例では2倍以内にまで抑えることができる。これにより、斜め方向から見たときに観察される白っ茶け画像の発生を大幅に抑えることができるようになる。
【0027】
図3は階調変換テーブル作成の一例と変換前後の画像を示している。図3(a)は未処理画像の階調に基づいて画像処理後の高輝度画素1aと低輝度画素1bとに設定すべき階調を決めるための階調変換テーブルの作成例を示している。図3(a)では高輝度画素1aと低輝度画素1bとの画素数の割合を1:10とした場合を例示している。横軸は未処理画像の階調(合成階調)を表し、縦軸は変換後に設定すべき階調(要素階調)を表している。例えば、未処理画像の輝度が100/255階調である場合、実際に液晶パネルに表示する変換後の輝度はグラフ中■印でプロットされた実線で示す曲線Aから、11画素中の10個の低輝度画素1b(10/11画素)で70/255階調となる。なお、曲線Aは、横軸をx、縦軸をyとしたときに、y=0(但し、0≦x≦73.3)、y=(255/(255−73.3))×(x−73.3)(但し、73.3≦x≦255)と近似される。
【0028】
さらに、グラフ中◆印でプロットされた実線で示す曲線Bから、11画素中の1つの高輝度画素1aで215/255階調とすべきことが分かる。なお、曲線Bは、横軸をx、縦軸をyとしたときに、y=(187.7/73.3)×(x)(但し、0≦x≦73.3)、y=((255−187.7)/(255−73.3))×(x−73.3)+187.7(但し、73.3≦x≦255)と近似される。
【0029】
11画素中の10個の低輝度画素1bは100階調から70階調に変換されるため輝度(明るさ)が低下する。11画素中の1つの高輝度画素1aは100階調から215階調に変換されて輝度(明るさ)が上昇して10個の低輝度画素1bでの輝度低下分を補う。従って、画像処理後の正面の輝度は未処理画像の輝度を維持することができる。
【0030】
図3(b)は変換前後の画像の拡大写真を示している。画像Cは未処理画像を示している。画像Dは高輝度画素1aと低輝度画素1bとの面積比を1:3に変換した画像の拡大図を示し、画像Eは高輝度画素1aと低輝度画素1bとの面積比を1:15に変換した画像の拡大図を示している。
【0031】
図4は高輝度画素1aと低輝度画素1bとの面積の割合と歪影響評価数との関係を示している。図4(a)は高輝度画素1aと低輝度画素1bとの面積の割合と歪影響評価数との関係を示すグラフであり、横軸は液晶表示装置に入力された映像信号の階調(入力階調)を示し、縦軸は歪影響評価数を示している。なお、図4及びそれ以降で示す◎印は良好な状態を表し、○印は普通よりやや優れている状態を表し、×印は劣っている状態を表している。本実施例による画像処理を施していない通常のパネルでは40/255階調をピークに広い範囲で歪の影響を受けている(グラフ中◆印でプロットされた実線で示す曲線A)。これに対して、本実施例の画像処理を適用すると歪の影響が2箇所に分散され、しかも歪影響評価数の値が小さくなっている(曲線B、C、D、E)。これは歪の影響の度合いが小さくなっていることを意味している。
【0032】
図4(b)は2種類の画像F、Gについて、高輝度画素1aと低輝度画素1bの面積比率を変化させた場合の歪の影響を目視評価した結果である。高輝度画素1aと低輝度画素1bの面積比率(以下、明暗の面積比率と略記する)が1:1から1:15の広い範囲で効果が得られ、特に明暗の面積比率が1:7から1:3にかけて大きな効果が得られている。なお、明暗の面積比率が当該範囲を外れると歪の分散が片方に偏るので効果が得られなくなる。このように画像を電気的に処理するだけで、液晶パネルの画素構造に一切手を加えず視野角の歪の影響を大きく軽減できる。
【0033】
ところで、本実施例の画像処理はパーソナルコンピュータ等のシステム側装置から液晶表示装置に映像信号が入力された後に行っている。具体的には液晶表示装置に実装されているコントロールIC等のインタフェース回路で画像処理を行い、液晶パネルを駆動するソースドライバICに映像信号を伝達している。しかしながら、同様の画像処理は必ずしもこの段階で行う必要はない。例えばパーソナルコンピュータ等のシステム側装置に備えられているビデオ処理チップで当該画像処理機能を持たせることで、より安価にすることが可能である。また、OSやソフトウェアに画像処理機能を持たせて実現することも可能である。
【0034】
図5は、縦方向の画素ピッチが0.3mmの液晶パネルに画像処理を施した場合、画素の明暗のざらつき感が視認できるか否かの主観評価結果を示す図である。被験者が画面から離れると隣接する画素間の輝度差が見え難くなるのでざらつきは目立たなくなる。また、面積比率が1:1に近付くと明るい画素と暗い画素との間隔が小さくなるのでざらつきは目立ちにくくなる。街頭での公衆向け表示装置等では、人と表示装置は1〜2m離れた状態での使用を想定すればよいので0.3mmピッチのパネルでも十分な効果が得られる。またパソコンのモニタ等の用途では使用者と画面との距離が近付いた状態で使用することになるので、使用者と画面との距離は20cm程度となることを想定せねばならない。画素の明暗の比率を4:12とした場合、60cm程度の距離までざらつきが視認されるが、画素ピッチが0.1mm程度の液晶パネルにすれば当該用途にも十分適用できると考えられる。
【0035】
[実施例1−2]
次に、本実施の形態による実施例1−2について図6を用いて説明する。実施例1−1では所定の画素領域の中で高輝度画素と低輝度画素に別ける、いわゆる空間的な画像処理方法であったが、本実施例では所定の時間間隔で明るくしたり暗くしたりする、いわゆる時間的画像処理方法である点に特徴を有している。
【0036】
図6は本実施例の画像処理を説明する図である。ある1つの画素において未処理画像の輝度レベルAより明るくするフレーム(以下、高輝度フレームという)T1と暗くするフレーム(以下、低輝度フレームという)T2とを設ける。フレームT1では輝度レベルB(輝度レベルB>輝度レベルA)とし、フレームT2では輝度レベルC(輝度レベルC<輝度レベルA)とする。各フレームでの輝度レベルは、高輝度フレームT1と低輝度フレームT2との組み合わせによる平均的な輝度が未処理画像の輝度と同じになるように設定する。本実施例による時間的画像処置方法によれば、実施例1−1と全く同様に歪の緩和を実現することができる。
【0037】
図6では明暗への変換を1:3の比率で時間的に行う例を示している。1つの高輝度フレームT1に対して連続して3回の低輝度フレームT2が続くようにする。この1つの高輝度フレームT1と3つの低輝度フレームT2とを1組Tとして当該組Tを時系列に繰り返す。これを画面全体で行うと実施例1−1と同様に画面のざらつき等を抑制できるが、一方でフリッカが視認されてしまう。フリッカは60Hz成分になれば見えないことが分かっている。フレーム周波数を60Hzとして駆動した場合、高輝度フレームT1による15Hz成分のフリッカが視認される。高輝度フレームT1と低輝度フレームT2の比率を1:1にすればフリッカ要因を30Hzにできるのでフリッカをかなりの程度軽減することができる。さらに高輝度フレームT1と低輝度フレームT2の比率を1:1としてフレーム周波数を120Hzまで高くするとフリッカ要因は60Hzになるため、人間の目ではフリッカが見えなくなる。
【0038】
なお、本実施例による画像処理方法の実施は、実施例1−1に記載したのと同様に、LCD側で行ってもよいしシステム側で行ってももちろんよい。
【0039】
[実施例1−3]
次に、本実施の形態による実施例1−3について図7乃至9を用いて説明する。本実施例では実施例1−1の画像処理法と実施例1−2の画像処理法を組み合わせることで、ざらつきとフリッカの両方をさらに見え難くする点に特徴を有している。本実施例では実施例1−2のように画面全体の明暗をフレーム毎に一括で変化させるのではなく、実施例1−1のように所定の画素単位内で高輝度画素と低輝度画素とに分割し、さらにフレーム毎に明暗を変化させる。
【0040】
図7は本実施例の画像処理方法を説明するために、LCDの表示領域の所定画素群を模式的に示しており、具体的には、4×4のマトリクス状の16個の画素を1つの単位として捉え、各画素の明暗を設定した例を示している。図7(a)では各フレームでの16画素の明暗を、高輝度画素同士が端辺で隣り合わないようにしつつ1:3の比率に分割しており、図7(b)では各フレームでの16画素の明暗を、高輝度画素同士が端辺で隣り合わないようにしつつ1:1の比率に分割している。さらに、画素毎の明暗を所定のフレーム数毎に変化させるようにする。例えば、図7(a)ではフレーム毎の明暗が各画素について1:3の周期で変化するように設定されている。例えば画素5に着目すると、画素5は第1フレームから第4フレームに亘って明−暗−暗−暗と変化する。
【0041】
図7(b)ではフレーム毎の明暗が各画素について1:1の周期で変化するように設定されている。例えば画素6に着目すると、画素6は第1フレームから第4フレームに亘って明−暗−明−暗と変化する。
【0042】
第1フレームから第4フレームの期間を60Hzとして明暗の時間比を1:1に設定して表示品位を確認したところ、ざらつき感が十分に緩和されフリッカも視認されない表示を実現することができた。
【0043】
図8は本実施例におけるざらつきの影響を目視評価した結果である。図5と比較してざらつきが非常に緩和されていることが分かる。従って、パソコン用モニタのように液晶表示装置を使用者に近付けて使用する場合にも適用可能であり、視野角依存性の高い改善効果をほとんどの用途で得ることができるようになる。
【0044】
さらにテレビ用途等の動画表示に限定した場合、画像が動いていることからざらつきの認識はいっそう困難になる。図9は動画表示でのざらつきの影響を目視評価した結果であり、当該結果は本実施例の画像処理法を動画表示用途限定の製品に適用するとざらつき感を気にすることなく使用できることを示している。
【0045】
なお、本実施例による画像処理方法の実施は、実施例1−1に記載したのと同様に、LCD側で行ってもよいしシステム側で行ってももちろんよい。
【0046】
図10は、図35(b)におけるものと同一の映像をMVA−LCDに表示させ、正面と斜めから同一条件のデジタルカメラで撮影した映像の赤(R)、緑(G)、青(B)3原色の階調ヒストグラムを示している。横軸は階調(例えば0〜255の256段で、0に近付くほど高輝度となる)を表し、縦軸は存在割合(%)を表している。従来技術の問題を示す図35(b)では、斜め方向の色の分布が接近して本来の色の表示が失われていたが、本実施の形態を適用すると、図10に示すように、特に緑(G)の分布が赤(R)から離れて本来の色に近付いていることが分かる。正面に比べて相対的に暗くなっているのは、バックライトの輝度分布が正面に比べて斜めで暗くなっているからであって、LCDが原因ではない。
以上説明したように本実施の形態によれば、極めて容易に視野角が広く色再現性に優れた画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置を実現することができる。
【0047】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態による画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置について図11乃至図22を用いて説明する。本実施の形態では、黒輝度が視角の影響を最も受け難い垂直配向型液晶表示装置を用いて中間調の色再現性を改善することを目的とし、特に、当該液晶表示装置の欠点である斜め方向の表示変化を容易な手法で十分に減らすことができる画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置を提供する。
【0048】
本実施の形態では同一階調の入力映像信号を複数の異なる階調に変換することができ、階調視角特性改善効果を容易に得ることができる画像変換処理方法について説明する。まず、図6及び図7を再度用いて本実施の形態の画像処理方法の基本原理を説明する。本実施の形態による画像処理方法は、実施例1−2のように画面全体の明暗をフレーム毎に一括で変化させるのではなく、実施例1−3のように所定の画素単位内で明るい画素と暗い画素に分割し、さらにフレームごとに明暗を変化させて階調視角特性の改善を図ることを基本概念としている。
【0049】
このような画像処理は、例えば6bitのソースドライバICのように出力階調数が少なく、当該出力階調数以上の階調数、例えば8bitの多階調表示(256階調)を出力するときに用いられ、ディザリング法として知られている。ディザリング法では2階調の明暗しか付けられないのに対し、本実施形態の画像処理法は2階調以上の階調差の明暗がつけられる点に特徴を有している。条件によっては250/255階調の輝度差を付けることも可能であり、従来のディザリング法とは全く異なる技術である。
【0050】
高輝度画素と低輝度画素とにより画素間で輝度差を設けると正面での輝度を変えずに斜めから見たときの輝度を変えることができる。図11は127/255階調の未処理画像に画像処理を施して画面斜め方向で得られる輝度を測定した結果を示している。横軸は高輝度画素と低輝度画素との階調差を示しており、縦軸は127/255階調の斜め方向の輝度を示している。図11より明らかなように斜め方向の輝度は高輝度画素と低輝度画素との階調差を大きくするにしたがって下がる傾向を示している。当該特性を利用して未処理画像の階調毎に階調変換時の高輝度画素と低輝度画素との階調差を制御すれば、正面の画像の品質に影響を与えることなく斜め方向から見た画像の品質を改善することが可能になる。
【0051】
図12はパーソナルコンピュータ等のシステム側装置(以下、「システム装置」という)と液晶表示装置のブロック図であって、階調変換処理部を説明するための図である。図12(a)は階調変換処理を液晶表示装置24の構成部品であるインタフェース回路25で行う例を示している。この場合、液晶表示装置24側で全ての画像処理を行うのでシステム装置26と液晶表示装置24とのインタフェース仕様は従来と変わらず、液晶表示装置24は従来の液晶表示装置との互換性を保つことができる。図12(b)はシステム装置26に備えられた画像変換装置27で画像処理を行い、画像処理後の映像信号を液晶表示装置28に出力する例を示している。例えば、パソコンのビデオカードやビデオカメラ・デッキ等に備えられた画像処理用LSIの内部的な処理が該当する。図12(c)は液晶表示装置30とシステム装置26との間で例えばビデオカード29等で映像信号を中継しながら変換する方法である。図12(d)はビデオカード等の物理的な機構は備えず、システム装置31のプログラムでソフトウェア的に処理した後、液晶表示装置32に出力する例を示している。図12(a)から(d)の何れの場合においても表示画面には同様の効果を得ることできる。
【0052】
本実施の形態では実施例1−1と同様の効果を得ることができる。つまり、高輝度フレームと低輝度フレームとに分けることで歪の影響が2箇所に分散され、しかも歪影響評価数の値が小さくなるので斜め方向から見たときに観察される白っ茶け画像の発生を大幅に抑えることができるようになる。
【0053】
図13は本実施例における他の効果を説明する図であって、画素33の断面構造の模式図である。垂直配向型液晶表示装置の画素33は対向基板34及びTFT基板35の間に液晶が注入されている。対向基板34には対向電極36が形成され、対向電極36上には液晶分子39の倒れる方向を規定する突起40が形成されている。対向電極36及び突起40上には配向膜37が成膜されている。TFT基板35には画素電極38及び配向膜37が積層されている。TFT基板35側にはスリット41が形成されており、突起40と同様に液晶分子39の倒れる方向を規定する。当該画素33の構造では高速に液晶が応答する場合、画素33領域内で微妙に応答の差が生じて当該応答差が表示品位に影響する。仮想円Aに示す突起40やスリット41等の近傍では液晶分子39の倒れる方向が明確なため液晶の応答が速い。しかし、突起40やスリット41等から離れた仮想円Bに示す領域では液晶分子39の倒れる方向が不明確なため液晶の応答が遅い。従って、高速に明暗を繰り返すようにすれば、画素33に同一の電圧を印加しても画素33内で液晶分子39の倒れる角度が理想状態とは異なって、非常に微細な面積で輝度が分割する面積ハーフトーン現象が起きる。面積ハーフトーン現象が生じると図4で説明したように歪の分散が生じるので視角特性が改善される。
【0054】
以上説明したように本実施の形態によれば、斜めから見たときの輝度が正面から見たときの輝度より上がることに起因する歪が低減されるので表示全体が白っぽくなる現象を抑制することができる。さらに本実施の形態は画像処理という従来の容量結合によるHT法に比べてはるかに容易な手段で同様の効果を得ることができる。
【0055】
本実施の形態の効果を利用すれば、容量結合によるHT法のように駆動電圧が高くなったり開口率が下がったりすることなく、斜め視角の画質を改善することができる。未処理画像を高輝度画素と低輝度画素に変換する際に、高輝度画素と低輝度画素との輝度差を変える。当該変換では正面の表示品位に影響を与えずに斜め方向の階調特性のみ変えることで、画像の鮮やかさを調整することができる。
【0056】
以下、実施例を用いてより具体的に説明する。
[実施例2−1]
本実施の形態による実施例2−1を図14乃至図18を用いて説明する。図14は、高輝度フレーム期間と低輝度フレーム期間を1:1の割合で分割した場合、未処理画像の階調を画像処理後に何階調に設定するかを求めるための階調変換テーブルである。グラフ中、実線で示す曲線Aは高輝度フレームの階調変換特性を表し、破線で示す曲線Bは低輝度フレームの階調変換特性を表し、一点鎖線で示す曲線CはRef(基準)を表している。例えば、未処理画像の輝度が128/255階調である場合、高輝度フレームは曲線Aより215/255階調に変換され、低輝度フレームは曲線Bより0/255階調に変換される。それぞれのフレーム期間の比率は1:1であり、実際に液晶パネルに表示する変換後の輝度は当該両フレームの合成輝度になる。なお、当該変換を行っても正面の輝度は未処理画像の輝度を維持している。また、曲線Cに近付くに従い画像変換処理の効果は弱くなる。
【0057】
当該階調変換テーブルは一例に過ぎない。階調変換における制限事項は階調変換の前後で正面輝度が変わらないということだけであり、当該制限事項を満たしていれば当該階調変換テーブル以外にも多くの階調変換テーブルが存在する。図15は他の階調変換テーブルを示している。横軸は入力階調を表し、縦軸は出力階調を表している。図中の曲線A、B、Cは図14と同様の曲線を再度示している。曲線Aと曲線Cとの間に示している■印等でプロットされた曲線は高輝度フレーム用の階調変換特性であり、曲線Bと曲線Cとの間に示している●印等でプロットされた曲線は低輝度フレーム用の階調変換特性である。先に示した図11は127/255階調の未処理画像に画像処理を施したときの斜め60°方向の輝度の測定結果を示している。図11の画像処理は図15の階調変換テーブルを用いており、正面輝度が未処理画像の輝度を維持するように高輝度フレームと低輝度フレームとの輝度差を設定している。図11で明らかなように斜め60°方向の輝度は高輝度フレームと低輝度フレームとの輝度差が大きいほど暗くなり、当該輝度差が小さいほど明るくなる。
【0058】
なお、本実施例では高輝度フレームと低輝度フレームとのフレーム期間を等しく設定しているが、当該フレーム期間の比率を変えて、例えば低輝度フレームを多くして高輝度フレームを短くすると斜め方向の輝度の調整範囲を広げることができる。但し、比率が1:1からずれると高輝度フレームと低輝度フレームとを合わせたフレーム周期が伸びるためにちらつきが見えてしまう。この場合、使用者に不快感を与える可能性がある。当該ちらつきはフレーム周波数を高くすることで低減できる。例えば、高輝度フレームと低輝度フレームの各フレームの比率が1:1のときは最低限60Hzが必要であり、好ましくは70Hz以上が望ましい。また、当該比率を1:3にすると最低限120Hzが必要であり、好ましくは150Hz以上が望ましい。
【0059】
次に階調変換テーブルを用いて一層鮮明な画像に変換する手法について説明する。図16は画面の正面方向及び斜め60°方向から見た階調−輝度(G−L)特性を示す図である。グラフ中□印でプロットされた実線で示す曲線Aは未処理画像のG−L特性を示し、*印及び△印でプロットされた実線で示す曲線B、Cは不図示の階調変換テーブルで変換を行って上方斜め60°方向から見たG−L特性を示し、実線のみで示す曲線Dは正面方向のG−L特性を示している。なお、曲線Bと曲線Cはそれぞれ異なる階調変換テーブルで変換されている。曲線A、曲線B及び曲線Cの特性を比較すると曲線Aが最も明るく、曲線C、曲線Bの順に暗くなっている。また、曲線B及び曲線Cは高階調側ほど曲線Aに近付いて高輝度になるように階調変換テーブルは設計されている。画像処理を行わない曲線Aでは、斜め60°方向の輝度は範囲Eで示す低階調側では正面方向の輝度より上がり高階調側では正面方向の輝度より下がるので映像の鮮やかさが失われ、さらに色純度が低下してしまう。しかし、階調変換テーブルを用いて変換した曲線Bや曲線Cでは、高階調側の輝度を下げずに低階調側の輝度のみ下げているので画像の鮮やかさを維持することができる。
【0060】
ところが、図17に示すような階調を有する画像の場合では曲線Bや曲線Cの基になった階調変換テーブルを用いても画像品位を上げる効果は薄い。例えば図17(a)の場合、図中●印の3つの階調は何れも輝度が低下してしまうため、画質は鮮明にならない。これを改善するためには曲線Cよりもさらに曲線Aに近くなる階調変換テーブルを用いる必要がある。しかし、この場合図17(b)に示すように全て曲線Aと同様になってしまうので改善効果は全く得られなくなる。従って、1種類の階調変換テーブルを用いて変換した場合、表示画像によっては改善効果が得られない可能性がある。そこで、本実施例では図18に示すように複数の階調変換テーブルを同時に用いることで表示画像毎に階調変換の大きさを変えれば本来画像が有している鮮明さを斜めから見ても実現できるようになる。
【0061】
以上説明したように本実施例によれば、複数の階調変換テーブルを用いて画像処理を行うことで入力映像信号の高階調側の輝度を落とさずに低階調側の輝度のみ下げることができるので斜め方向の階調特性が変化して、斜めから見た表示画面の白っ茶けを防止でき良好な表示特性を得ることができる。
【0062】
[実施例2−2]
次に、本実施の形態による実施例2−2について図19を用いて説明する。本実施例では色(赤、緑、青:RGB)毎に階調変換テーブルを備え、RGB毎に階調変換テーブルを変えて画像処理を行う点に特徴を有している。正面から見たときに比べて斜めから見たときに輝度が上がってしまう現象は液晶の複屈折が原因である。複屈折の影響は光の波長で異なり低波長ほど大きな影響を受ける。従って、青、緑、赤の順に複屈折の影響を受ける。そこで、赤は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最も小さい階調変換テーブルを使用し、青は輝度差が最も大きい階調変換テーブルを使用し、緑は輝度差が赤より大きく青より小さい中間の階調変換テーブルを使用する。例えば図18において赤は曲線Aのような特性が得られるように変換し、緑は曲線Bのような特性が得られるように変換し、青は曲線Cのような特性が得られるように変換する。また、赤だけ輝度差を小さくしても効果がある。これは人間が肉や肌色など赤を基調とする色に対して敏感に反応するためである。また、緑だけ輝度差を大きくしても効果がある。これは人間の視感度が緑色に対して最も高いためである。本実施例は画像の鮮やかさを大きく改善できるが、斜めから見たときに画像全体が若干特定の色に色付いてしまう。例えば斜めから見たときの輝度を上げるために輝度差を小さくして赤を変換すると灰色等が赤色に色付いて全体的に赤い印象を受けることになる。
【0063】
次に、本実施例の階調変換方法について図19を用いて具体的に説明する。図19は本実施例の階調変換方法のフローチャートである。まず、映像信号が入力される(ステップS1)。次に当該入力映像信号の色を判断して赤と判断すると(ステップS2)、高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最小の階調変換テーブルを選択し(ステップS3)、変換処理が行われる(ステップS7)。入力映像信号の色が緑と判断(ステップS4)すると高輝度画素と低輝度画素との輝度差が中程度の階調変換テーブルを選択し(ステップS5)、変換処理が行われる(ステップS7)。入力映像信号が赤、緑の何れでもない場合は高輝度画素と低輝度画素との(ステップS7)。以上の動作を繰り返して階調変換が行われる。
【0064】
以上説明したように本実施例によれば、RGB毎に階調変換テーブルを変えて画像処理を行うので斜めから見た表示画面の白っ茶けを防止でき色純度の優れた表示特性を得ることができる。
【0065】
[実施例2−3]
次に、本実施の形態による実施例2−3について図20を用いて説明する。本実施例ではRGBの輝度差を比較して階調変換テーブルを色毎に使い分ける点に特徴を有している。RGBの輝度差の比較は画面全体で行ってもよいし、所定の範囲で行ってもよいし、あるいは1画素を構成するRGBで行ってもよい。未処理画像の階調が最も高輝度側に分布している色には高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最も小さい階調変換テーブルを使用する。RGBの輝度差が非常に大きい場合は変換処理を行わなくてもよい。また、当該最も高輝度側に分布している色以外の色は輝度差が大きい階調変換テーブルを使用する。これにより画像全体の色調だけでなく、局所的に色調が異なるような画面等、全ての画面で鮮やかさが増して斜めから見ても非常に美しい映像が得ることができる。
【0066】
次に、本実施例の階調変換方法について図20を用いて具体的に説明する。図20は本実施例の階調変換方法のフローチャートである。まず、映像信号が入力される(ステップS11)。次に当該入力映像信号の色のうち、階調が最も高輝度側に分布している色を判断する(ステップS12)。ステップS12において階調が最も高輝度側に分布している色が判断されると、当該最も高輝度側の色と判断された色と他の色との輝度を比較する(ステップS13)。当該他の色に同じ輝度を有する色がない場合は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最小の階調変換テーブルを選択し(ステップS14)、変換処理が行われる(ステップS15)。ステップS13において同じ輝度を有する色がある場合は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最大の階調変換テーブルを選択し(ステップS16)、変換処理が行われる(ステップS15)。ステップS12において階調が最も高輝度側に分布している色と判断されなかった他の色は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最大の階調変換テーブルを選択し(ステップS16)、変換処理が行われる(ステップS15)。以上の動作を繰り返して階調変換が行われる。
【0067】
以上説明したように本実施例によれば、RGBの輝度差を比較して階調変換テーブルを色毎に使い分けて画像処理を行うので、斜めから見た表示画面の白っ茶けを防止でき、より色純度の優れた表示特性を得ることができる。
【0068】
[実施例2−4]
次に、本実施の形態による実施例2−4について説明する。本実施例ではRGBの色毎ではなく所定の範囲内の輝度分布に対する特定画素の輝度について同様の処理を行う。または、ある画素の輝度と当該画素に隣接する1からn個の画素の輝度との関係で輝度差を変える点に特徴を有している。本実施例は色を重視せず白黒の明るさの階調を重視する場合に効果的である。また白黒表示の画像やRGB画素を有していない白黒表示の画像装置に対しても有効である。
【0069】
[実施例2−5]
次に、本実施の形態による実施例2−5について図21及び図22を用いて説明する。本実施例では未処理画像の階調差が極めて小さい範囲内で階調の大小の関係が入れ替わる場合に最適な画像変換方法である点に特徴を有している。図21は画像変換方法について説明する図である。図21(a)に示すように表示領域の所定の場所(1)、(2)、(3)は赤の階調が緑の階調より1乃至3高いので、赤は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が大きい階調変換テーブルで変換され、緑は輝度差が中程度の階調変換テーブルで変換される。表示領域の所定の場所(4)は赤と緑の輝度が等しいため、赤及び緑共に輝度差が中程度の階調変換テーブルで変換される。表示領域の所定の場所(5)、(6)、(7)は緑の階調が赤の階調より1乃至3大きいので、緑は輝度差が大きい階調変換テーブルで変換され、赤は輝度差が中程度の階調変換テーブルで変換される。このようにRGBの階調差が小さい範囲で階調変換テーブルが入れ替わるよう画像の場合、階調によっては階調変換テーブルの切り替わりによる輝度差が本来の階調差に比べて大きくなって不自然な画像になる場合がある。例えば画面を斜めから見ると緑−赤−緑−赤のストライプが表示される場合がある。同図においては場所(3)及び(5)の輝度より場所(4)の輝度が低下して不自然な表示となる。そこで図21(b)のようにRGBの階調差が小さい場合には中間的な階調変換テーブルを使用する。RGBの階調が入れ替わる前後の階調変換テーブルを徐々に切り替えると階調変換後の輝度が本来の輝度より大きくならないので、表示異常の発生を防ぐことができる。
【0070】
当該階調変換テーブルは液晶表示装置の記憶部に予め用意しておいてもよい。
あるいは階調差に合わせて算出してもよい。階調変換テーブルを予め用意するためには階調変換テーブル用の記憶容量が大規模になることから計算で導出するほうが望ましい。また、当該変換は予め入力された階調に対して選択可能な高輝度画素及び低輝度画素の組み合わせから適切な値を出力するファンクション機能を備えることで容易に実現できる。例えばファンクション機能は2次方程式等で近似した変換式でよい。あるいは記憶部に階調変換テーブルを予め備えていてもよい。
【0071】
次に、本実施例の階調変換方法について図22を用いて具体的に説明する。図22は本実施例の階調変換方法のフローチャートである。まず、映像信号が入力される(ステップS21)。次に当該入力映像信号の色より明るい色が存在するかを判断する(ステップS22)。ステップS22において当該入力映像信号の色より明るい色が存在しないと判断したら、ステップS23に移行して同一輝度の色が存在するか否かを判断する。当該他の色に同じ輝度を有する色がない場合は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最小の階調変換テーブルを選択し(ステップS24)、変換処理が行われる(ステップS25)。
【0072】
ステップS23において同じ輝度を有する色がある場合は、高輝度画素と低輝度画素との輝度差が中程度の階調変換テーブルを選択し(ステップS29)、変換処理が行われる(ステップS25)。
【0073】
ステップS22において当該入力映像信号の色より明るい色が存在すると判断したら、次にステップS26に移行して、当該入力映像信号の色より暗い色が存在するか否かを判断する。当該入力映像信号の色より暗い色が存在する場合にはステップS29に移行して高輝度画素と低輝度画素との輝度差が中程度の階調変換テーブルを選択し、変換処理が行われる(ステップS25)。
【0074】
ステップS26で当該入力映像信号の色より暗い色が存在しない場合には、ステップS27に移行して当該最も高輝度側の色と判断された色と他の色との輝度を比較する。当該他の色に同じ輝度を有する色がある場合は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が中程度の階調変換テーブルを選択し(ステップS29)、変換処理が行われる(ステップS25)。ステップS27において同じ輝度を有する色がない場合は高輝度画素と低輝度画素との輝度差が最大の階調変換テーブルを選択し(ステップS28)、変換処理が行われる(ステップS25)。
【0075】
以上説明したように本実施例によれば、RGBの階調が入れ替わる前後の階調変換テーブルを徐々に切り替えると階調変換後の輝度が本来の輝度より大きくならないので、表示異常の発生を防ぐことができる。
【0076】
以上のように本実施の形態によれば、液晶表示装置の欠点である斜め方向の表示変化を容易な手法で極めて減らすことができる画像処理方法及び液晶表示装置を実現することができる。
【0077】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について図23乃至図32を用いて説明する。本実施の形態の目的は、動画像表示において視野角が広く色再現性に優れた画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【0078】
第2の実施の形態で説明したように、図14に示す階調変換テーブルに基づいて輝度を2値に分離して、画面内の画素に当該分離した輝度を割り当てて表示したり、あるいは当該分離した輝度を所定のフレーム周期で繰り返して表示することで、正面輝度を変えずに斜めから見た輝度が制御できる。以下では当該新技術をハーフトーン駆動(Half Tone Drive:HTD)技術と呼ぶことにする。階調を変換する階調変換テーブルは先に示した図15に例を挙げているがこれ以外にも無数に存在する。さらにHTD技術ではカラー表示を行うRGB画素毎の階調を比較して暗い色の画素ほど画像処理での明暗の輝度差を大きくし、明るい色の画素ほど輝度差を小さくするように変換する。これにより斜めから見たときの色毎の輝度差が大きくなって正面から見た鮮やかな色が斜めから見ても再現できる。さらにHTD技術と駆動極性との組み合わせによりフリッカを防止することも可能である。なお、HTD技術の改善効果の原理は図18等を用いて説明した実施例2−1と同様である。
【0079】
HTD技術によって斜めから見たときの画像の色抜け現象は大きく改善されるが、動画像を表示したときに一部の画像で表示に異常が発生することがある。図23は当該表示異常の発生原理を説明する図である。図23(a)はRGB画素の輝度変化の時間推移とG画素42、43の輝度の変化を示す図である。横軸は時間(フレーム)を表し、縦軸は輝度を表している。また、図中実線で示す直線AはG画素の輝度変化を表し、破線で示す直線BはR画素の輝度変化を表し、一点鎖線で示す直線CはB画素の輝度変化を表している。
【0080】
図23(a)に示すように、RGBの輝度が緑、赤、青の順に高く、赤及び緑と青との輝度差が非常に大きい画像がある。当該画像の一部に緑の輝度が徐々に下がり赤の輝度と等しくなって、その後、赤の輝度より低くなる動画像が含まれている。当該動画像が画面内を移動しているとき第nフレームから第n+1フレームになると特定位置でG画素は画面内で最も明るい輝度を有している状態から2番目に明るい輝度を有している状態に突然変化する。
【0081】
G画素が最も明るい輝度を有している第nフレームまでは高輝度画素と低輝度画素との輝度差が小さい階調変換テーブルが用いられてHT処理が行われる。しかし、G画素が2番目に明るい輝度を有している第n+1フレームから第n+6フレームでは高輝度画素と低輝度画素との輝度差が大きい階調変換テーブルが用いられてHT処理が行われる。従って、第nフレームから第n+1フレームになるとHT処理の階調変換が急に変化して高輝度画素と低輝度画素との輝度差は小から大へと変化する。
【0082】
図23(b)はG画素42、43の液晶の光学応答特性を示している。横軸は時間(フレーム)を表し、縦軸は透過率を表している。図中の実線で示す曲線D、EはG画素42、43の光学応答を表し、破線で示す直線F、GはG画素42、43の理想的な輝度レベルを表している。図23(b)に示すように、高輝度画素と低輝度画素との輝度差大の期間Hは液晶の応答速度がフレーム毎の輝度変化に完全に追随できない。
【0083】
ところが、第nフレームでは高輝度画素と低輝度画素との輝度差が小さいため低輝度画素であっても実際の輝度は高く第nフレームと第n+1フレーム間の実際の輝度差は小さくなって、第n+1フレームでは液晶の応答速度がフレーム毎の輝度変化に追随でき、当該フレーム以降の期間Hよりも輝度が高くなってしまう。従って、表示画面には階調変換テーブルが切り替わるときに明るい異常な表示むらが表示されてしまう。再び緑が赤より明るくなる第n+7フレームでも同様の原因により表示に異常が発生する。
【0084】
このようにRGB各画素間のわずかな階調差で変換テーブルが急激に切り替わる部分で表示不良が発生することになる。また、低階調の画像では高輝度画素と低輝度画素との輝度差が自ずと小さくなるため、正面輝度よりも斜めの輝度が増加して色が白く抜ける現象を防ぐ効果が減少してしまう問題を有している。
【0085】
本実施の形態では色毎の階調が緩やかに接近し順番が入れ替わるような動画像を有している画像において、同じ入力階調に対して変換される高輝度画素と低輝度画素との輝度差が急激に変化するために発生する表示異常を改善できる点に特徴を有している。
【0086】
以下実施例により具体的に説明する。
[実施例3−1]
本発明の第3の実施の形態による実施例3−1について図24及び図25を用いて説明する。図24は実施例3−1の画像変換の原理を説明するための図である。第nフレームで画素Bより輝度が高かった画素Aが第n+1フレームで画素Bより画輝度が低くなる場合、画素Aについて高輝度画素と低輝度画素との輝度差が大きく変化しないように第n+1フレームで輝度の変化を低く抑える処理を施すと表示不良の発生が防止できる。このように動画像における表示不良を防止するためには高輝度画素と低輝度画素との急激な輝度差が起きないようにすることが重要である。
【0087】
本実施例ではフレーム間で輝度の急激な変化を緩和するため、フレームメモリを利用して前後のフレームの階調変化の様子を評価して、輝度差を大きく変化させずに1フレーム又は複数フレームで輝度変化を緩和する。図25はRGBの輝度が緑、赤、青の順に高く、赤及び緑と青との輝度差が非常に大きい動画像の緑の輝度が徐々に下がり赤の輝度より低くなる画像における本実施例の画像変換処理方法を説明するための図である。図25(a)は従来のHT処理を施した場合の液晶の光学応答を示している。横軸はフレームを表し、縦軸は輝度を表している。また、図中実線で示す直線AはG画素の輝度変化を表し、破線で示す直線BはR画素の輝度変化を表し、一点鎖線で示す直線CはB画素の輝度変化を表している。また、図中の実線で示す曲線DはG画素44の光学応答を表し、破線で示す直線FはG画素44の輝度レベルを表している。
【0088】
図23を用いて説明したように輝度の順番が入れ替わる第nフレームで輝度が高くなる異常な表示むらが生じてしまう。そこで、フレームメモリ内の画像データを比較してフレーム間で、ある色の輝度の順位が下がって階調変換テーブルの高輝度画素と低輝度画素との輝度差が大きくなる場合、図25(b)から図25(d)に示すように強制的に輝度が下がる処理を行う。第1の手法は図25(b)に示すように、階調変換テーブル切り替え直後の第n+1フレームにおいて、高輝度画素にする画素を強制的に暗い状態にする。こうすることで当該画素は次に高輝度画素にする第n+3フレームまで暗い状態のままである。
【0089】
第2の手法は図25(c)に示すように、階調変換テーブル切り替え直後の第n+1フレームにおいて、高輝度画素の輝度を下げる。第3の手法は図25(d)に示すように、階調変換テーブル切り替え直後の第n+1フレームにおいて、本来高輝度画素にすべきところを1フレームだけHT処理を行わずに入力された階調通りの輝度を出力する。これらの手法を実施すると階調変換テーブルが切り替わるような部分を持つ動画像が画像内を動いても表示不良は見られなくなる。
なお、第n+7フレームについても同様の手法で表示異常を防止することができる。
【0090】
以上説明したように本実施例によれば、RGBの各画素の輝度が近接していて、当該RGB画素の輝度の順番が入れ替わるときに生じる表示異常を抑制することができ、良好な表示特性を得ることができる。
【0091】
[実施例3−2]
次に、本実施の形態による変形例3−2について図26乃至図28を用いて説明する。本実施例では従来と同様にRGB画素の輝度の順番で階調変換の高輝度画素と低輝度画素との輝度差を変化させるが、RGB画素の輝度差が接近するに従って当該変換の輝度差を徐々に変化させる点に特徴を有している。図26は本実施例における画像変換処理方法を説明するための図である。図26中の実線で示す曲線AはR画素の入力映像信号の階調を示し、破線で示す曲線BはG画素の入力映像信号の階調を示し、一点鎖線で示す直線CはB画素の入力映像信号の階調を示している。さらに、同図中の▲及び△印でプロットされた曲線D、EはR画素のHT処理後の階調を示し、■及び□印でプロットされた曲線F、GはG画素のHT処理後の階調を示し、×及び*印でプロットされた曲線H、IはHT処理後のB画素の階調を示している。図26に示すように表示位置15乃至30で高輝度画素と低輝度画素との輝度差を徐々に変化させているのでHT処理後の階調も徐々に変化していることが分かる。なお、十分に階調が離れている場合は基本の階調変換テーブルを使用する。
【0092】
本実施例では空間的に輝度が急激に変化する画像の表示異常を緩和する。すなわち、RGBの色の輝度順だけでなく輝度差も考慮して階調変換を行う。輝度差が小さいほど階調差を小さくすることで急激な変化を緩和することができる。
【0093】
図27は入力階調に対する階調変換テーブルの選択推移を説明するための図である。図27(a)はある画像のRGB各色の階調分布を示している。横軸は時間を表し、縦軸は階調を表している。また、図中実線で示す直線はG画素の階調変化を表し、破線で示す直線はR画素の階調変化を表し、一点鎖線で示す直線はB画素の階調変化を表している。図27(b)は図27(a)のように各色の階調が徐々に接近する場合の階調変換テーブルの切り替え方法を示している。この例ではRGBの3色に合わせて階調変換テーブルは3セット、合計6テーブルが用意されている。最も明るい色が使用する階調変換テーブルは高輝度側Ah(x)及び低輝度側Al(x)であり、当該階調変換テーブルは他の階調変換テーブルに比べて輝度差が最も小さくなるように設定されている。最も暗い色で使用する階調変換テーブルは高輝度側Ch(x)及び低輝度側Cl(x)であり、他の階調変換テーブルに比べて輝度差が最も大きくなるように設定されている。2番目に明るい色の階調変換テーブルは高輝度側Bh(x)及び低輝度側Bl(x)であり、高輝度側Ah(x)及び低輝度側Al(x)の輝度差より大きく且つ高輝度側Ch(x)及び低輝度側Cl(x)の輝度差より小さくなるように階調変換テーブルが設定されている。
【0094】
G画素とR画素との階調差が十分に離れていればG画素は高輝度側Ah(x)及び低輝度側Al(x)の階調変換テーブルが使用される。ところが図27(a)に示すようにG画素とR画素との階調が徐々に近付いてG画素とR画素との階調差nが設定値N以下になると、G画素の変換値はR画素に近付いて行く(期間A)。このときのG画素の変換値の高輝度側をGreen_hとすると、Green_h=Bh(x)−{Bh(x)−Ah(x)}×n/Nとなる。また、低輝度側をGreen_lとすると、Green_l=Bl(x)+{Al(x)−Bl(x)}×n/Nとなる。従って、高輝度側Green_h及び低輝度側Green_lは図中に実線で示しているように、階調差nにより直線的に補間されてn=0になると中間的なBh(x)及びBl(x)の階調変換テーブルに収束することになる。
【0095】
R画素とB画素との階調差が十分に離れていればB画素は高輝度側Ch(x)及び低輝度側Cl(x)の階調変換テーブルが使用される。ところが図27(a)に示すようにR画素とB画素の階調が徐々に近付いてR画素とB画素との階調差nが設定値L以下になると、同図(b)に示すようにB画素の変換値はR画素に近付いて行く(期間B)。このときのB画素の変換値の高輝度側をBlue_hとすると、Blue_h=Bh(x)+{Ch(x)−Bh(x)}×n/Lとなる。また、低輝度側をBlue_lとすると、Blue_l=Bl(x)−{Bl(x)−Cl(x)}×n/Lとなる。従って、高輝度側Blue_h及び低輝度側Blue_lは図中に破線で示しているように、階調差nにより直線的に補間されてn=0になると中間的なBh(x)及びBl(x)の階調変換テーブルに収束することになる。
【0096】
すなわちRGBの階調が近接すると、全ての色の階調変換テーブルは中間的な階調変換テーブルBh(x)及びBl(x)が使用される。また、階調変換テーブルは階調差が大きくなるに従い明るい色用の階調変換テーブルAh(x)及びAl(x)と暗い色用の階調変換テーブルCh(x)及びCl(x)のいずれかに直線的に近付いていくことになる。この結果、表示異常が生じやすい動画においても、急激にHTの階調変換テーブルの輝度差がつくことはないため、表示異常が生じることはない。設定値N及びLが大きいほど階調変換テーブルは緩やかに変化するので表示不良は発生しにくいが、HTDの効果が弱まる。図27(c)は設定値Nと表示不良防止効果及びHTD効果との関係を目視評価した結果を示している。図中の○印は全ての画像に対して良好は表示が得られることを表し、△印は特定の画像によっては表示異常が発生することを表し、×印は全ての画像に対して表示異常が発生することを表している。255階調表示に対して設定値Nは2以上64以下が良好な範囲であるといえる。
【0097】
以上説明したように本実施例によれば、RGBの各画素の輝度が近接していて、当該RGB画素の輝度の順番が入れ替わるときに生じる表示異常を抑制することができ、良好な表示特性を得ることができる。
【0098】
Green_h等の直線的に補間する階調変換テーブルを用いるだけでは十分といえない場合もある。図28はある設定条件において明暗の輝度差の組み合わせによる等輝度分布の実測結果を示している。図28(a)に示すように等輝度分布はかなり湾曲している。図28(b)に示すように直線的な補間では当該輝度分布の中を設定値が直線的に移動することになるので、いくつかの帯を横切り正面輝度が変化して表示むらが生じることになる。
【0099】
横軸は低輝度側の階調を表し、縦軸は高輝度側の階調を表している。図中の左上の帯群は低輝度側階調及び高輝度側階調との組合せで得られる輝度分布を示している。帯が等しい領域は正面輝度が等しいことを意味している。なお、低階調同士の組合せの領域はグラフが複雑になるため図示を省略した。また、高輝度側階調は低輝度側階調以上であるので右下の領域にはデータが存在しない。仮にデータが存在するとしたら、図中Refで示す高輝度側階調と低輝度側階調とが等しい線で線対称な特性になる。
前述したように帯内では正面の輝度は等しいが、斜めからの輝度は異なる。左上にいくほど明暗の階調差が大きくなるため同じ帯内であれば暗い表示となる。
そこで表示むらのない表示を実現するために、いくつかの手法を実施例3−3以降で説明する。
【0100】
[実施例3−3]
次に、本実施の形態による実施例3−3について図29を用いて説明する。本実施例では階調変換テーブルを3セット、6テーブルだけでなく、最大輝度用階調変換テーブルと中間輝度用階調変換テーブルの間にさらに中間的な階調変換テーブルを設定して4セット、8テーブルにした点に特徴を有している。図29に示すように階調変換テーブルの数を増やせば増やすほど補間距離が短くなり、湾曲していても誤差が減少して大きな効果を得ることができる。従って、階調変換テーブル数を増加することは極めて有効な手法といえる。本実施例では複数の階調変換テーブルを記憶部に有していなければならない。当該画像処理を電気的にインタフェース回路で行うと記憶部の容量が増加して高コストに繋がる。また、階調変換テーブルを有していなくても計算アルゴリズムで2又はそれ以上の直線による補間や曲線による補間が可能であり、複数の階調変換テーブルで画像処理を行ったときと同様の効果を得ることができる。
【0101】
以上説明したように本実施例によれば、複数の階調変換テーブルを用いるので階調変換後の同一階調データが湾曲している等輝度分布の帯を横切ることがなく表示むらの発生を防ぐことができる。
【0102】
[実施例3−4]
次に、本実施の形態による実施例3−4について図30及び図31を用いて説明する。本実施例では直線的な補間で輝度が変化しないように液晶パネルを駆動するソースドライバICの出力階調―輝度特性を調整して輝度分布が直線的になるようにしている点に特徴を有している。図30(a)は当該出力階調−輝度特性の調整前の輝度分布を示しており、図30(b)は調整後の輝度分布を示している。輝度分布が直線的であれば直線的に補間する階調変換テーブルでも等輝度分布の帯を横切ることがないので記憶部や計算アルゴリズムに大きな負担がかからず実現が容易になる。輝度のずれが10%以内に収まれば動画像で良好な表示が得られる。
【0103】
次に、ソースドライバICの入力階調―輝度特性すなわちガンマ特性の調整による効果を説明する。図31はR画素が136/255階調であり、B画素が0/255階調であり、G画素が画面の端から端へ0/255階調から255/255に変化しながら移動して行く画像を表示したときに、G画素の輝度がどのように変化するかを測定した結果である。図中に実線で示す曲線Aは通常(未処理)の輝度を示し、□印でプロットされた曲線Bはガンマ特性未調整の輝度を示し、△印でプロットされた曲線Cはガンマ特性を最適化後の輝度を示し、●印でプロットされた曲線Dはガンマ特性を最適化し且つ階調変換テーブル数を増やしたときの輝度を示している。G画素が136/255階調を過ぎるとG画素とR画素との輝度の大小関係が逆転するので階調変換テーブルが切り替わり、136/255階調の前後では上記実施例の補間処理が行われる。階調組合せと輝度分布との関係において輝度分布が湾曲している場合(曲線B)は10%以上の輝度低下が生じるので画像に異常が発生する。ガンマ特性を最適化した曲線Cでは輝度低下が減少する。ガンマ特性を最適化して且つ階調変換テーブルの本数を増やす等して階調変換テーブル間の間隔を狭めて直線補間をしやすくした曲線Dでは、輝度低下が大きく改善されて通常輝度の直線Aに近付いていることがわかる。なお、輝度の低下は小さいほど画像への影響が少なくなり10%以下に抑えることが必要である。
【0104】
以上説明したように本実施例によれば、ソースドライバICの出力階調―輝度特性を調整して輝度分布を直線的にするので直線的な階調変換であっても階調変換後の同一階調データが等輝度分布の帯を横切ることがなく表示むらの発生を防ぐことができる。
【0105】
[実施例3−5]
次に、本実施の形態による実施例3−5について図32を用いて説明する。本実施例ではHTD技術の低階調付近での効果を高める点に特徴を有している。高階調の領域では高輝度画素と低輝度画素との比率を1:1にするが、低階調になるにしたがって高輝度画素を間引いて低輝度画素の存在割合を多くする。こうすることで自ずと輝度差が大きくなる。輝度差が大きくなると視角特性が悪い中間的な輝度の利用が減少するため視角特性を改善できる。
【0106】
図32はHTD技術の低階調付近での効果を高める階調の設定方法を説明する図である。HTDにおける高輝度画素と低輝度画素との存在割合を例えば、0/128階調から16/128階調の極低階調(範囲A)では1:3とし、17/128階調から99/128階調の低階調(範囲B)では1:2とし、100/128階調以上の中階調(範囲C)では1:1となるように入力階調に基づいて変化させる。図32(b)は当該低階調付近での高輝度画素と低輝度画素との存在割合を模式的に示している。高輝度画素の存在割合が減少した場合、当該存在割合で存在割合減少前の輝度を維持するために高輝度画素の輝度が増加して高輝度画素と低輝度画素との輝度差を大きくすることができる。これにより斜め視角の輝度増加を抑えることができる。本実施例のように低階調側だけで存在割合を減らすのは、高階調側で存在割合を減らしてしまうとちらつきが非常に目立ってしまうためである。低階調側では絶対的な輝度が低いため画像にほとんど悪影響を及ぼすことはない。ちらつきを抑えるためには全階調で高輝度画素と低輝度画素との存在割合を1:1にすることが望ましい。しかし、この場合低階調側でHTの効果が弱まる。従って、本実施例のように画像に悪影響を及ぼしにくい範囲内で存在割合を変更することが有効である。
【0107】
以上説明したように本実施例によれば、高階調側に影響することなく低階調側のみ画像処理を行うことができるので、ちらつきをほとんど発生させずに斜め方向の輝度増加を抑えることができる。その結果、斜め方向から見たときに生じる白っ茶けを大幅に低減することができ良好な表示特性を得ることができる。
【0108】
以上のように本実施の形態によれば、斜め方向から見たときに色が白っぽくなる表示変化を改善できるHTD技術を用いて、動画像における表示異常の抑制と低階調側の特性を改善することができる。
【0109】
以上説明した本発明の第1の実施の形態による画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置は、以下のようにまとめられる。
(付記1)
表示すべき画像の輝度データより高輝度になるように駆動する高輝度画素と、前記輝度データより低輝度になるように駆動する低輝度画素とを組み合わせ、
前記輝度データに基づく所望輝度にほぼ等しい輝度が得られるように、前記高輝度画素の輝度及び前記低輝度画素の輝度と、前記高輝度画素及び前記低輝度画素の面積比を決定することを特徴とする画像処理方法。
【0110】
(付記2)
付記1記載の画像処理方法において、
前記高輝度画素と前記低輝度画素の組み合わせは、フレーム毎に変化することを特徴とする画像処理方法。
【0111】
(付記3)
付記1又は2に記載の画像処理方法において、
前記高輝度画素と前記低輝度画素との面積比は1:1から1:20であることを特徴とする画像処理方法。
【0112】
(付記4)
表示すべき画像の輝度データより高輝度に画素を駆動する高輝度フレームと、前記輝度データより低輝度に前記画素を駆動する低輝度フレームとを組み合わせ、
前記輝度データに基づく所望輝度にほぼ等しい輝度が得られるように、前記高輝度フレームでの前記画素の輝度及び前記低輝度フレームでの前記画素の輝度と、前記高輝度フレーム及び前記低輝度フレームの存在割合を決定することを特徴とする画像処理方法。
【0113】
(付記5)
付記4記載の画像処理方法において、
前記高輝度フレームと前記低輝度フレームとの存在割合は1:1から1:20であることを特徴とする画像処理方法。
【0114】
(付記6)
所定のセルギャップで対向配置されたアレイ基板及び対向基板間に封止された液晶を備える液晶表示装置において、
付記1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理方法を実現する駆動回路を有していることを特徴とする液晶表示装置。
【0115】
(付記7)
付記6記載の液晶表示装置において、
前記液晶は、負の誘電率異方性を有し電圧無印加時に垂直配向することを特徴とする液晶表示装置。
【0116】
以上説明した本発明の第2の実施の形態による画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置は、以下のようにまとめられる。
(付記8)
付記1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
画面斜め方向の階調と輝度の相関の変化の割合は、画像処理前より画像処理後の方が大きいことを特徴とする画像処理方法。
【0117】
(付記9)
付記8記載の画像処理方法において、
同一フレーム内に前記高輝度画素と前記低輝度画素とが混在していることを特徴とする画像処理方法。
【0118】
(付記10)
付記9記載の画像処理方法において、
前記高輝度画素と前記低輝度画素とは、1:1の面積比で混在していることを特徴とする画像処理方法。
【0119】
(付記11)
付記8乃至10のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
入力された前記輝度データから前記高輝度画素の輝度及び前記低輝度画素の輝度を求める複数の変換テーブルから、所定条件に基づいて最適な変換テーブルを選択することを特徴とする画像処理方法。
【0120】
(付記12)
付記11記載の画像処理方法において、
色毎に設けられた複数の画素のうち、一の色の前記画素に対する前記変換テーブルは他の色の前記画素に対する前記変換テーブルと異なることを特徴とする画像処理方法。
【0121】
(付記13)
付記12記載の画像処理方法において、
赤色の画素の前記高輝度画素の輝度と前記低輝度画素の輝度との差が、少なくとも所定の輝度範囲において最小であることを特徴とする画像処理方法。
【0122】
(付記14)
付記12記載の画像処理方法において、
赤色の画素については画像処理を施さないことを特徴とする画像処理方法。
【0123】
(付記15)
付記12記載の画像処理方法において、
赤色の画素の前記高輝度画素の輝度と前記低輝度画素の輝度との差が、少なくとも所定の輝度範囲において最小であり、
青色の画素の前記高輝度画素の輝度と前記低輝度画素の輝度との差が、少なくとも所定の輝度範囲において最大であることを特徴とする画像処理方法。
【0124】
(付記16)
付記12記載の画像処理方法において、
緑色の画素の前記高輝度画素の輝度と前記低輝度画素の輝度との差が、少なくとも所定の輝度範囲において最大であることを特徴とする画像処理方法。
【0125】
(付記17)
付記11乃至16のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
異なる色の前記輝度データを比較して、輝度の高低に基づいて前記変換テーブルを選択することを特徴とする画像処理方法。
【0126】
(付記18)
付記11乃至16のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
複数画素の前記輝度データを比較し、輝度差に基づいて前記変換テーブルを選択することを特徴とする画像処理方法。
【0127】
(付記19)
付記8乃至18のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
斜め方向から表示装置を見た場合の輝度の低下が元の階調で明るい階調の画素(色)において小さく、暗い階調の画素(色)において大きくなるようにして、且つ、斜め方向からの各画素(色)の輝度差が正面からの輝度差を越えないことを特徴とする画像処理方法。
【0128】
(付記20)
付記19乃至26のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
入力された複数の前記輝度データを比較し、又は入力された複数の前記輝度データを色毎に比較し、
前記輝度データのうち、最も明るい輝度データ及び最も暗い輝度データについては画像処理を施さないことを特徴とする画像処理方法。
【0129】
(付記21)
付記11乃至20のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
入力された複数の前記輝度データを比較し、又は入力された複数の前記輝度データを色毎に比較して前記変換テーブルを選択して画像処理することを特徴とする画像処理方法。
【0130】
(付記22)
付記11乃至20のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
入力された複数の前記輝度データを比較し、又は入力された複数の前記輝度データを色毎に比較し、
2つ以上の色又は画素の階調が等しい場合は共通の前記変換テーブルを用いることを特徴とする画像処理方法。
【0131】
(付記23)
付記11乃至20のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
入力された複数の前記輝度データを比較し、又は入力された複数の前記輝度データを色毎に比較し、
2つ以上の色又は画素の階調が所定の範囲内である場合は複数の前記変換テーブルから補間して求められる変換テーブルを用いることを特徴とする画像処理方法。
【0132】
(付記24)
付記11乃至20のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
入力された複数の前記輝度データを比較し、又は入力された複数の前記輝度データを色毎に比較し、
2つ以上の色又は画素の階調が等しいときに変換処理を異ならせる場合、各色又は画素の階調が所定の範囲内であれば同一の階調として処理することを特徴とする画像処理方法
【0133】
(付記25)
付記8乃至24のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
直前のフレームと元の画像の階調を比較し、任意の階調数よりも大きく変化している場合には明暗への変換処理を行わないことを特徴とする画像処理方法。
【0134】
以上説明した本発明の第3の実施の形態による画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置は、以下のようにまとめられる。
(付記26)
表示すべき画像の輝度データに対して、一のフレームでは前記輝度データより明るい輝度で表示し、他のフレームでは暗い輝度で表示させ、
階調が接近したRGBの色毎に、前記RGBの階調順に基づいて明暗の階調差に差を持たせ、フレーム間で前記階調順が入れ替わるときと入れ替わらないときとで異なる階調変換テーブルを用いることを特徴とする画像処理方法。
【0135】
(付記27)
付記26に記載の画像処理方法において、
フレーム間で前記階調順が入れ替わり、明暗の階調差が前フレームより大きくなるとき、明の輝度から始まるように設定される画素の階調を暗めに補正することを特徴とする画像処理方法。
【0136】
(付記28)
付記26に記載の画像処理方法において、
フレーム間で前記階調順が入れ替わり、明暗の階調差が前フレームより大きくなるとき、明の輝度から始まるように設定される画素であっても1フレーム分は暗の輝度とすることを特徴とする画像処理方法。
【0137】
(付記29)
付記26に記載の画像処理方法において、
フレーム間で階調の順番が入れ替わり、明暗の階調差が前フレームより大きくなるとき、明の輝度から始まるように設定される画素であっても1フレーム分は階調変換を行わず、入力された階調の輝度を維持することを特徴とする画像処理方法。
【0138】
(付記30)
表示すべき画像の輝度データに対して、一のフレームでは前記輝度データより明るい輝度で表示し、他のフレームでは暗い輝度で表示させ、
入力階調に対して出力する高輝度および低輝度の階調の組み合わせがあらかじめ複数決められており、
RGBの色毎に階調順に基づいて選択される組み合わせを切り替える際、ある2色ABの階調差が十分に離れたとき高輝度側AH(x),BH(x)、低輝度側AL(x),BL(x)の関係にあり、2色の階調差がnに接近した場合、
高輝度側の階調が、
(BH(x)−AH(x)) × α/N
低輝度側の階調が、
(AL(x)−BL(x)) × α/N
(α=n−m、但しn−m>Nならばα=N、mは0以上の任意数)に相当する補正を行う結果、nに応じて徐々に関係が切り替わることを特徴とする画像変換処理方法。
【0139】
(付記31)
表示すべき画像の輝度データに対して、一のフレームでは前記輝度データより明るい輝度で表示し、他のフレームでは暗い輝度で表示させ、
入力階調に対して出力する高輝度および低輝度の階調の組み合わせが、輝度差の大きさを変えてA≦B≦Cと基本の3つがあり、RGBの各色毎に階調順に明るい色は輝度差が小さく、暗い色は輝度差が大きく、中間の色は中間の輝度差になるようにABCから選択される組み合わせを切り替え、入力階調xに対する階調変換の組み合わせテーブルが高輝度側AH(x),BH(x),CH(x)、低輝度側AL(x),BL(x),CL(x)であり、輝度中間の色に対してその他の色が階調差nに接近した場合、nに応じて徐々に関係が切り替わることを特徴とする画像処理方法。
【0140】
(付記32)
付記31記載の画像処理方法において、
前記3色の階調を変換する基本の組み合わせテーブル3つの他に、その間に位置する少なくとも一つ以上の補助組み合わせテーブルを有し、色間の階調差が接近して基本のテーブル間で徐々に切り替わる処理が行われる場合に基本のテーブル間を補助テーブルにより複数に分割して、基本−補助間、または補助−補助間で徐々に切り替わるように演算し求められた階調に変換されることを特徴とする画像処理方法。
【0141】
(付記33)
付記31又は32に記載の画像処理方法において、
変換後の階調を演算により徐々に変化させる処理を行う階調の幅nを全階調に対して0/255から64/255の範囲内とすることを特徴とする画像処理方法。
【0142】
(付記34)
表示すべき画像の輝度データに対して、一のフレームでは前記輝度データより明るい輝度で表示し、他のフレームでは暗い輝度で表示させ、
入力階調に対して出力する高輝度および低輝度の階調の組み合わせがあらかじめ複数決められており、RGBの各色毎に階調順に基づいて選択される組み合わせを切り替える際に、高輝度と低輝度の組み合わせが変わっても、入力値が同じの場合、平均的な輝度が10%の変位以内であることを特徴とする画像処理方法。
【0143】
(付記35)
表示すべき画像の輝度データに対して、一のフレームでは前記輝度データより明るい輝度で表示し、他のフレームでは暗い輝度で表示させ、
明るい輝度の頻度Aと暗い輝度の頻度Bの割合が、表示すべき画像データの輝度が暗いほどB<Aの傾向にあることを特徴とする画像処理方法。
【0144】
(付記36)
付記34記載の画像処理方法において、
高輝度と低輝度の組み合わせが変わっても、入力値が同じ場合、平均的な輝度が10%の変位以内であるべく、ドライバの階調値−パネル透過率特性を設定することを特徴とする画像処理方法。
【0145】
(付記37)
所定のセルギャップで対向配置されたアレイ基板及び対向基板間に封止された液晶を備える液晶表示装置において、
付記8乃至36のいずれか1項に記載の画像処理方法を実現する駆動回路を有していることを特徴とする液晶表示装置。
【0146】
(付記38)
付記37記載の液晶表示装置において、
フレーム周波数が60Hzより高いことを特徴とする液晶表示装置。
【0147】
(付記39)
付記37又は38に記載の液晶表示装置において、
同一の電圧を印加した場合、1つの画素内で少なくとも2つの異なる応答速度を有し、前記異なる応答速度の差が3ms以上であることを特徴とする液晶表示装置。
【0148】
(付記40)
付記37乃至39のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
各画素内に前記液晶の配向方向が異なる微小領域を有し、
前記液晶の配向方向が異なる微小領域の比率がほぼ等しいことを特徴とする液晶表示装置。
【0149】
(付記41)
付記37乃至40のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記液晶は、負の誘電率異方性を有し電圧無印加時に垂直配向することを特徴とする液晶表示装置。
【0150】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、視野角が広く階調視角特性に優れた画像処理方法及びそれを用いた液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の実施例1−1による9個の画素1に対して明るい画素1aと暗い画素1bを設定した例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の実施例1−1による正面方向及び斜め60°方向の印加電圧−透過率特性の測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施の形態の実施例1−1による階調変換テーブルの一例と変換前後の画像を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の実施例1−1による明るい画素と暗い画素との面積の割合と歪影響評価数との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施の形態の実施例1−1による画素のざらつき感が視認できるか否かの主観評価結果を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の実施例1−2による画像処理方法を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の実施例1−3による所定領域の画素4を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の実施例1−3によるざらつきの影響を目視評価した結果を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の実施例1−3による動画表示でのざらつきの影響を目視評価した結果を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態による効果を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態による127/255階調の未処理画像に画像処理を施した斜め方向の輝度の測定結果を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態によるシステム装置と液晶表示装置のブロック図であって、当該階調変換処理を行う部位を説明する図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態による他の効果を説明する図であって、画素33の断面構造を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態の実施例2−1による明るくするフレーム期間と暗くするフレーム期間を1:1の割合で分割した場合、未処理画像の階調を画像処理後に何階調に設定するかを求めるための階調変換テーブルを示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の実施例2−1による他の階調変換テーブルを示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態の実施例2−1による画面の正面方向及び斜め60°方向から見た階調−輝度特性を示すグラフである。
【図17】本発明の第2の実施の形態の実施例2−1による画面の正面方向及び斜め60°方向から見た階調−輝度特性を示すグラフである。
【図18】本発明の第2の実施の形態の実施例2−1による複数の階調変換テーブルを同時に用いた場合の画面の正面方向及び斜め60°方向から見た階調−輝度特性を示すグラフである。
【図19】本発明の第2の実施の形態の実施例2−2によるRGB毎に階調変換テーブルを変えて階調変換する方法を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2の実施の形態の実施例2−3によるRGBの輝度差で階調変換テーブルを変えて階調変換する方法を示すフローチャートである。
【図21】本発明の第2の実施の形態の実施例2−5による画像変換方法について説明する図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態の実施例2−5によるRGBの輝度差で階調変換テーブルを変えて階調変換する方法を示すフローチャートである。
【図23】本発明の第3の実施の形態で改善する表示異常の発生原理を説明する図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態の実施例3−1による画像変換の原理を説明する図である。
【図25】本発明の第3の実施の形態の実施例3−1による画像処理方法を説明する図である。
【図26】本発明の第3の実施の形態の実施例3−2による画像処理方法を説明する図である。
【図27】本発明の第3の実施の形態の実施例3−2による入力階調に対する階調変換テーブルの選択推移を説明する図である。
【図28】本発明の第3の実施の形態の実施例3−2による設定条件において明暗の輝度差の組み合わせの等輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図29】本発明の第3の実施の形態の実施例3−3による階調変換テーブルを示す図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態の実施例3−4によるソースドライバICの出力階調―輝度特性の調整前後の等輝度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態の実施例3−4によるRが136/255階調であり、Bが0/255階調であり、Gが画像の端から端へ0/255階調から255/255に変化しながら移動して行く画像を表示したときのG画素の輝度変化の測定結果を示すグラフである。
【図32】本発明の第3の実施の形態の実施例3−5によるHTD技術の低階調付近での階調設定方法を説明する図である。
【図33】従来の垂直配向型液晶表示装置の構成を示す図である。
【図34】従来の配向分割技術を用いた垂直配向型液晶表示装置の断面構造を模式的に示す図である。
【図35】従来駆動による液晶表示装置が抱えている問題点を説明する図である。
【図36】従来の画素構造を示す図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、5、6、7、19、21、33、42、113、121 画素
2、9、111 ドレインバスライン
3、8、112 ゲートバスライン
4 画素領域
10、110 TFT
11、20、38、109 画素電極
12 蓄積容量電極
13、40、115、116 突起
14、41、114 スリット
15、34、103 対向基板
16、35、102 TFT基板
17、 誘電体
18、36、118 対向電極
20a、20b、20c 領域
22、37、119 配向膜
23、39、120 液晶分子
24、28、30、32 液晶表示装置
25 インタフェース回路
26、27、29、31 システム装置
101 液晶パネル
104 液晶
105 周辺シール材
106 スペーサ
107 偏光板
108 実装用端子
112 ゲートバスライン
117 蓄積容量バスライン
121a、121b、121c、121d 副画素
122 制御用コンデンサ電極
123 絶縁層
123a、123b、123c、123d 液晶コンデンサ
124a、124b、124c、124d 制御コンデンサ
Claims (9)
- 表示すべき画像の輝度データより高輝度になるように駆動する高輝度画素と、前記輝度データより低輝度になるように駆動する低輝度画素とを組み合わせ、
前記輝度データに基づく所望輝度にほぼ等しい輝度が得られるように、前記高輝度画素の輝度及び前記低輝度画素の輝度と、前記高輝度画素及び前記低輝度画素の面積比とを決定することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1記載の画像処理方法において、
前記高輝度画素と前記低輝度画素の組み合わせは、フレーム毎に変化することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1又は2に記載の画像処理方法において、
前記高輝度画素と前記低輝度画素との面積比は1:1から1:20であることを特徴とする画像処理方法。 - 表示すべき画像の輝度データより高輝度に画素を駆動する高輝度フレームと、前記輝度データより低輝度に前記画素を駆動する低輝度フレームとを組み合わせ、
前記輝度データに基づく所望輝度にほぼ等しい輝度が得られるように、前記高輝度フレームでの前記画素の輝度及び前記低輝度フレームでの前記画素の輝度と、前記高輝度フレーム及び前記低輝度フレームの存在割合を決定することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項4記載の画像処理方法において、
前記高輝度フレームと前記低輝度フレームとの存在割合は1:1から1:20であることを特徴とする画像処理方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理方法において、
画面斜め方向の階調と輝度の相関の変化の割合は、画像処理前より画像処理後の方が大きいことを特徴とする画像処理方法。 - 表示すべき画像の輝度データに対して、一のフレームでは前記輝度データより明るい輝度で表示し、他のフレームでは暗い輝度で表示させ、
階調が接近したRGBの色毎に、前記RGBの階調順に基づいて明暗の階調差に差を持たせ、フレーム間で前記階調順が入れ替わるときと入れ替わらないときとで異なる階調変換テーブルを用いることを特徴とする画像処理方法。 - 所定のセルギャップで対向配置されたアレイ基板及び対向基板間に封止された液晶を備える液晶表示装置において、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理方法を実現する駆動回路を有していることを特徴とする液晶表示装置。 - 請求項8記載の液晶表示装置において、
前記液晶は、負の誘電率異方性を有し電圧無印加時に垂直配向することを特徴とする液晶表示装置。
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