JP2004300818A - 上部接合型補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る補強構造は、矢板1はフーチングFと間隔を空けて設けられている。各矢板1同士は、上下方向に相対変異が生じないように上部が結合コンクリート2により結合されている。結合コンクリート2は、鉛直断面矩形で、平明視矩形となるように打設されている。
フーチングFと矢板1とが結合されていないので、結合作業を省くことが出来る。
また、上記結合する必要がないので、フーチングF周りの掘削が不要である。
また、フーチングFをはつったりする必要がなく、断面欠損も生じない。
また、フーチングFと矢板1とが結合されていないので、僅かに振動可能である。その結果、巨大地震等が生じた際、大きな加速度振幅が生じた場合にも、橋脚下部に過大な応力が生じるのを防止することが出来る。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に既設の橋梁基礎の補強に好適な上部接合型補強構造に係る技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、矢板を用いた補強構造としては種々のものが開発提供されている(例えば、特許文献1乃至4参照)。
【特許文献1】
特開平11―200395号公報(図1参照)
【0003】
【特許文献2】
特開平9−158212号公報(図1参照)
【0004】
【特許文献3】
特開2001−214465号公報(図1参照)
【0005】
【特許文献4】
特開2000−273881号公報(図1参照)
いずれの補強構造においても、フーチングと矢板とを剛結合している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、矢板とフーチングとを剛結するのは、フーチングをはつったり、新たなコンクリートを打設する等をしなければならず、非常に困難且つ施工費用に高額を要した。
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記問題点を解決できる技術を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、矢板を用いて構造物基礎を補強する上部接合型補強構造であって、前記矢板はフーチングと間隔を空けて設けられており、前記各矢板同士が上下方向に相対変位が生じないように上部が結合され、前記矢板と前記フーチングとは接合されていないことを特徴とする上部接合型補強構造に存する。
請求項2記載の発明の要旨は、前記各矢板の上部は、コンクリートが打設されて形成された結合コンクリートにより結合されていることを特徴とする請求項1記載の上部接合型補強構造に存する。
請求項3記載の発明の要旨は、前記結合コンクリートは、前記矢板の内面に設けられたジベルアンカーに打設されて形成されていることを特徴とする請求項2記載の上部接合型補強構造に存する。
請求項4記載の発明の要旨は、前記各矢板の上部は、鋼材又は溶接により結合されていることを特徴とする請求項1記載の上部接合型補強構造に存する。
請求項5記載の発明の要旨は、矢板を用いて構造物基礎を補強する上部接合型補強構造の施工方法であって、所定間隔を介してフーチングを囲繞するように矢板を打設する矢板打設工程と、前記矢板の上部に結合コンクリートを打設する結合工程とを備え、
前記矢板と前記フーチングとを接合しないことを特徴とする、上部接合型補強構造の施工方法に存する。
請求項6記載の発明の要旨は、前記掘削工程と前記結合工程との間に、ジベルアンカーを前記矢板に設ける工程を備え、該ジベルアンカーに結合コンクリートを打設することを備えたことを特徴とする、請求項5に記載の、上部接合型補強構造の施工方法に存する。
請求項7記載の発明の要旨は、矢板を用いて構造物基礎を補強する上部接合型補強構造の施工方法であって、前記フーチングの上面まで掘削する掘削工程と、前記矢板の上部を鋼材又は溶接により結合する結合工程と、前記掘削工程により掘削した部分を埋め戻す工程とを備え、前記矢板と前記フーチングとを接合しないことを特徴とする、上部接合型補強構造の施工方法に存する。
請求項8記載の発明の要旨は、前記掘削工程と前記結合工程との間に、ジベルアンカーを前記矢板に設ける工程を備え、該ジベルアンカーに結合コンクリートを打設することを備えたことを特徴とする、請求項6記載の、上部接合型補強構造の施工方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る補強構造は、矢板1はフーチングFと間隔を空けて設けられている。各矢板1同士は、上下方向に相対変位が生じないように上部が結合コンクリート2により結合されている。結合コンクリート2は、鉛直断面矩形で、平面視矩形となるように打設されている。
【0009】
次に、施工方法を説明する。
図3及び図4に示すように、まず、フーチングFを所定間隔を介して囲繞するように矢板1を打設し、連結する。当該矢板1の天端は地表に至っている。
【0010】
次いで、図5及び図6に示すように、フーチングF上面まで掘削し、切梁3を行う。フーチングF上部と矢板1との間には捨て梁コンクリート4を打設する。
【0011】
次いで、図7及び図8に示すように、1段の切梁3を解体し、ジベルアンカー5を矢板1内面に、フーチングFに向かって設ける。
【0012】
次いで、図9及び図10に示すように、ジベルアンカー5に、結合コンクリート2’を打設する。結合コンクリート2’は鉛直断面矩形をなし、捨て梁コンクリート4に接してる。結合コンクリート2’の上面よりも上方に位置する矢板1を切断する。
【0013】
次いで、図11及び図12に示すように、掘削した部分を埋め戻し、切断した上部の矢板1を撤去する。
以上の工程により補強構造を構築することが出来る。
なお、図1に示す補強構造では、ジベルアンカー5を用いず、矢板1の上部に直接、結合コンクリート2’を打設している。本発明おいては、矢板同士の上下方向の相対変位を防止可能であれば、いかなる方法であっても良い。
【0014】
次に、上記補強構造の作用について説明する。
フーチングのみからなる直接基礎,杭基礎の水平抵抗力は地盤の強度,あるいは地盤の強度及び杭の強度から定まることが知られている。したがって,水平抵抗力を大きくしょうとすると,直接基礎の場合フーチング面積を大きくしたり,フーチング周面の地盤強度を増加させる(地盤改良)ことが考えられる。一方,杭基礎の場合についても同様であり杭本数を増加させたり,地盤改良により周辺地盤強度を増加させることが考えられる。しかしながら,以上の例は新設構造物に限り可能であり,既設構造物の基礎の補強に関しては困難あるいは高コストとなる場合がほとんどである。本特許は,矢板で基礎周りを囲むことにより,▲1▼矢板1の打ち込みによる地盤の締め固め効果,▲2▼矢板1の囲みによる基礎に水平力作用時の基礎・地盤の変形抑制効果,▲3▼地盤深部の地盤強度が大きなところまで矢板1を打設することにより応力伝達面積を大きくスムーズにさせる効果,▲4▼地盤のせん断抵抗に加えて,矢板1構造自体の大きなせん断抵抗が発揮される効果が期待できる上に,更に矢板頭部をコンクリートあるいは鋼材で結合することによって▲5▼矢板全体の曲げ剛性が向上し,▲6▼矢板による閉合形状の変形(はらみだし,ゆがみ等)に対する剛性も上昇して,矢板に囲まれた地盤のダイレイタンシー(体積膨脹)を抑制する閉塞効果により地盤のせん断抵抗が矢板頭部を結合しない場合よりも上昇する効果が期待できる。よって,これらの効果により打設前と比較して基礎の支持力性能を大きくすることが可能である。また,フーチングと矢板を結合してないために基礎(フーチング)が変位(移動)可能であることから▲7▼過大な応力が基礎(フーチング)および橋脚基部に生じることを防止できる効果,▲8▼基礎直下地盤が矢板により囲まれて拘束されるため基礎に入力する地震動が低減される制振効果が期待できる。
【0015】
次に、効果について説明する。
フーチングFと矢板1とが結合されていないので、結合作業を省くことが出来る。
また、上記結合する必要がないので、フーチングF周りの掘削が不要である。
また、フーチングFをはつったりする必要がなく、断面欠損も生じない。
また、フーチングFと矢板1とが結合されていないので、僅かに振動可能である。その結果、巨大地震等が生じた際、大きな加速度振幅が生じた場合にも、橋脚下部に過大な応力が生じるのを防止することが出来る。
【0016】
なお、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
また、ジベルアンカーは、矢板の外側に設け、当該ジベルアンカーに結合コンクリートを打設しても構わない。
また、上部を固定する方法は、溶接、治具等、好適な方法により可能である。また、上記実施の形態の全てに係る補強構造は、新設、既設のフーチングを問わず適用可能である。
また、上記実施の形態では、矩形のフーチングに適用したが、矩形以外の多角形や円形のフーチングにも適用可能である。
また、矢板自身の水平断面の形状は、コルゲート、波形等を問わない。
また、上記実施の形態では掘削、矢板の切断、埋め戻しを行ったが、それらを行わなくても良い。例えば、矢板を切断しない場合には、最上段の矢板を抜いても良いし、打ち込みに用いた特殊矢板を次の矢板の打ち込みに使っても良い。
また、橋脚のみならず、橋台その他の構造物の基礎にも適用可能である。
なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【0017】
【発明の効果】
本発明は以上のように矢板とフーチングとを結合しないので、施工を非常に容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る補強構造の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る補強構造の施工方法を示す平面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る補強構造の施工方法を示す平面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る補強構造の施工方法を示す平面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る補強構造の施工方法を示す平面図である。
【図10】図9の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る補強構造の施工方法を示す平面図である。
【図12】図11の側面図である。
【符号の説明】
1 矢板
2,2’ 結合コンクリート
3 切梁
4 捨て梁コンクリート
5 ジベルアンカー
F フーチング
Claims (8)
- 矢板を用いて構造物基礎を補強する上部接合型補強構造であって、
前記矢板はフーチングと間隔を空けて設けられており、前記各矢板同士が上下方向に相対変位が生じないように上部が結合され、
前記矢板と前記フーチングとは接合されていないことを特徴とする上部接合型補強構造。 - 前記各矢板の上部は、コンクリートが打設されて形成された結合コンクリートにより結合されていることを特徴とする請求項1記載の上部接合型補強構造。
- 前記結合コンクリートは、前記矢板の内面に設けられたジベルアンカーに打設されて形成されていることを特徴とする請求項2記載の上部接合型補強構造。
- 前記各矢板の上部は、鋼材又は溶接により結合されていることを特徴とする請求項1記載の上部接合型補強構造。
- 矢板を用いて構造物基礎を補強する上部接合型補強構造の施工方法であって、
所定間隔を介してフーチングを囲繞するように矢板を打設する矢板打設工程と、
前記矢板の上部に結合コンクリートを打設する結合工程と
を備え、
前記矢板と前記フーチングとを接合しないことを特徴とする、上部接合型補強構造の施工方法。 - 前記掘削工程と前記結合工程との間に、ジベルアンカーを前記矢板に設ける工程を備え、該ジベルアンカーに結合コンクリートを打設することを備えたことを特徴とする、請求項5に記載の、上部接合型補強構造の施工方法。
- 矢板を用いて構造物基礎を補強する上部接合型補強構造の施工方法であって、
前記フーチングの上面まで掘削する掘削工程と、
前記矢板の上部を鋼材又は溶接により結合する結合工程と、
前記掘削工程により掘削した部分を埋め戻す工程と
を備え、
前記矢板と前記フーチングとを接合しないことを特徴とする、上部接合型補強構造の施工方法。 - 前記掘削工程と前記結合工程との間に、ジベルアンカーを前記矢板に設ける工程を備え、該ジベルアンカーに結合コンクリートを打設することを備えたことを特徴とする、請求項6記載の、上部接合型補強構造の施工方法。
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JP2003096317A JP2004300818A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 上部接合型補強構造 |
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---|---|---|---|---|
JP2008223327A (ja) * | 2007-03-13 | 2008-09-25 | Ohbayashi Corp | 高架橋の耐震補強構造 |
JP2008240357A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Railway Technical Res Inst | 杭基礎の補強構造及び杭基礎の補強方法 |
JP2016041871A (ja) * | 2014-08-18 | 2016-03-31 | 株式会社竹中工務店 | 建物基礎構造 |
JP2019073884A (ja) * | 2017-10-16 | 2019-05-16 | 東日本旅客鉄道株式会社 | 構造物の振動変位抑制構造 |
JP2020007735A (ja) * | 2018-07-04 | 2020-01-16 | 鹿島建設株式会社 | 基礎構造補強方法及び基礎構造補強構造 |
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