JP2004300756A - 換気装置付き窓 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】室内側に開口した凹溝部3Bと、凹溝部3Bの内部および室外空間を連通する連通孔3D,3Eとを窓枠5に設け、換気状態および非換気状態を切り替え操作可能な換気ユニット10と、換気ユニット10の見付け方向に隣接して凹溝部3Bの室内側開口部を覆う密閉部材とを凹溝部3Bに嵌合して取り付けたので、換気ユニット10の切り替え操作による室内空間の換気を実施できる。さらに、密閉部材の見付け方向寸法を調節するだけで、窓枠5の見付け方向寸法に関わらず、換気ユニット10を隙間なく窓枠5に取り付けることができるので、換気ユニット10を共通化でき、コストの増大を招くことなく、窓枠5および換気ユニット10を製造することができる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、換気装置付き窓に関する。詳しくは、開閉不能な嵌殺し窓において、または開閉可能な可動式窓であっても開閉することなく、窓枠に設けた換気装置により室内空間を換気可能に構成された換気装置付き窓に関する。
【0002】
【背景技術】
開閉することができない嵌殺し窓において、室外の空気を取り入れ、あるいは室内の空気を排出して、室内空間を換気可能に構成された嵌殺し窓の換気構造が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2に記載された嵌殺し窓は、いずれも室内外空間に連通した窓枠(下枠、あるいは上枠)の室内側に、換気部材を取り付けて構成されている。この換気部材は、スリット状の通気口を有した室内側部材と、この室内側部材に沿ってスライドし、通気口を開閉可能な可動部材とを備え、つまみ等を操作して可動部材を操作することで、換気状態と非換気状態とを切り替え可能に構成されている。
また、このような換気構造は、嵌殺し窓に限らず、開閉可能な開き窓や辷り出し窓、上げ下げ窓、引違い窓等の可動式窓にも適用可能であって、可動式窓の窓枠に換気構造を設けることで、窓を開閉することなく室内空間の換気を実施することができる。
【0003】
【特許文献1】
実公昭63−16456号公報
【特許文献2】
実開昭60−97995号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1、2の換気構造では、窓枠に取り付ける換気部材を下枠等の見付け寸法に応じて製造しなければならず、以下のような問題がある。すなわち、窓枠は、取り付ける建物の窓の大きさによって各々異なる寸法で製造されるので、これら様々な寸法を有する窓枠に対応した長さ寸法の換気部材を用意する必要がある。このため、換気部材を製造する際の製造装置が高度になり製造コストが増大するとともに、各種寸法ごとに製造された換気部材を保管、管理しなければならず、部品の管理コストも増大するという問題が生じる。
また、換気部材を共通化して、上記した製造コストや管理コストを低減することも可能であるが、その場合でも、共通化された換気部材の大きさ等に応じて窓枠に加工を施さなければならず、窓枠の製造コストが増大してしまうという問題を招く。
【0005】
本発明の目的は、製造や部品管理のコスト増大を招かずに換気可能に構成することができる換気装置付き窓を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の換気装置付き窓は、上枠、下枠、および左右の縦枠を四周枠組みして形成された窓枠を備え、前記上枠、下枠、および縦枠のうち、少なくとも1つには、その見付け方向に沿って室内側に開口するとともに、室外空間と連通された凹溝部が設けられ、前記凹溝部には、室内外空間を連通する換気状態と、連通を遮断する非換気状態とに切り替え操作可能に構成された換気ユニットと、この換気ユニットの見付け方向に隣接して、当該凹溝部の室内側開口部を覆う密閉部材とが嵌合されるとともに、これらの換気ユニットおよび密閉部材と、前記凹溝部とが、着脱可能な係合手段で互いに係合されていることを特徴とする。
【0007】
なお、ここで、見付け方向とは、室内外方向(見込み方向)に直交する方向であって、上枠および下枠においては、それらに沿った水平方向を意味し、縦枠においては、それに沿った垂直方向を意味する。
【0008】
このような本発明によれば、上枠や下枠、縦枠の室内側に形成された凹溝部を室内外空間に連通可能とし、この凹溝部に換気ユニットを取り付けることで、換気ユニットの切り替え操作による室内空間の換気を実施できる。さらに、換気ユニットに隣接して凹溝部に密閉部材を取り付けることで、密閉部材の見付け方向寸法を調節するだけで換気ユニットを隙間なく窓枠に取り付けることができ、窓枠の見付け方向寸法に関わらず、所定の長さ寸法に共通化して製造された換気ユニットを用意しておけばよい。従って、窓枠の大きさに応じて各種寸法を有する換気ユニットを製造する必要がなく、また、換気ユニットの寸法に応じて窓枠に加工を施す必要がないので、コストの増大を招くことなく、窓枠および換気ユニットを製造することができる。
【0009】
また、換気ユニットおよび密閉部材が凹溝部に着脱自在に取り付けられるので、必要に応じて換気ユニットを取り外して、清掃や修理、交換等を実施することができる。すなわち、従来(特許文献1)の換気構造では、換気部材が下枠の長手方向に沿って差し込まれて係合されているので、窓枠を組み立てる際に換気部材を取り付ける必要があるとともに、換気部材を取り外すためには、窓枠を壁等から外し、さらに窓枠を解体しなければならず、取り付けおよび取り外しに手間が掛かるという問題がある。これに対して、本発明の嵌殺し窓では、窓枠の組立後に換気ユニットを取り付けることができるとともに、窓枠を解体することなく換気ユニットを取り外すことができる。
【0010】
この際、本発明の換気装置付き窓では、前記換気ユニットと前記凹溝部の側面との間には、室内空間の気密を保持する気密材が介挿されていることを特徴とする。
このような構成では、換気ユニットと、凹溝部の側面との間に気密材を介挿することで、換気ユニットを非換気状態にすれば、室内外空間の連通が遮断されるため、室外からの雨水等の浸入を防止して水密性を確保できるとともに、室内空間の気密性を確保することができる。
【0011】
さらに、本発明の換気装置付き窓では、前記密閉部材と、前記凹溝部の側面および前記換気ユニットとの間には、室内空間の気密を保持する気密材が介挿されていることを特徴とする。
このような構成では、密閉部材と、凹溝部の側面および換気ユニットとの間に気密材を介挿することで、換気ユニットに隣接した凹溝部においても、水密性や気密性を確保することができる。
【0012】
この際、本発明の換気装置付き窓では、前記係合手段は、前記凹溝部の側面に形成された突出片と、前記換気ユニットおよび密閉部材に形成された係止フックとで構成されていることを特徴とする。
このような構成では、凹溝部側面に形成した突出片と、換気ユニットおよび密閉部材に形成した係止フックとで係合手段を構成したことで、例えば、上枠や下枠、縦枠をアルミ製の押出形材から形成する際に、その長手方向に沿った突出片を容易に形成することができるので、後から係合部材等を取り付けることと比較して、製造にかかる工数を削減でき、製造コストを低減することができる。
【0013】
さらに、本発明の換気装置付き窓では、前記上枠、下枠、および縦枠の見込み寸法は、互いに同一寸法で、かつ所定の規格寸法とされていることを特徴とする。
なお、ここで、所定の規格寸法としては、窓枠の見込み寸法として一般的に採用されている寸法であって、例えば、70mm程度(65〜75mm、いわゆる70見込み)の見込み寸法や、100mm程度(95〜105mm、いわゆる100見込み)の見込み寸法、あるいはそれ以上の見込み寸法などが採用できる。このような構成では、換気ユニットを取り付けた枠材と、換気ユニットを取り付けない枠材とが同一の見込み寸法を有するので、外観を良好にすることができるとともに、窓枠の室内側に取り付けられる膳板や窓台、額縁等の収まりを簡便にでき、これらの施工手間を低減することができる。さらに、窓枠の見込み寸法を所定の規格寸法としたので、換気装置を有していない一般の窓枠と並べて配置しても、互いの見込み寸法を揃えることができ、外観のデザインを統一することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、主要構成部品の断面を示すハッチングが省略されている。
【0015】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る換気装置付き窓について、図1ないし図5に基づいて説明する。
図1および図2は、本実施形態の換気装置付き窓としての嵌殺し窓1を示す横断面図および縦断面図であり、図2は、図1に矢視II−II線で示す断面図である。図3は、嵌殺し窓1の要部を示す縦断面図であり、図1に矢視III−III線で示す断面図である。図4(A)〜(C)は、嵌殺し窓1に取り付けられる換気ユニット10を示す上面図、および二方向から見た側面図である。図5は、嵌殺し窓1の要部を示す縦断面図であり、図1に矢視V−V線で示す断面図である。
【0016】
図1ないし図5において、嵌殺し窓1は、上枠2、下枠3、および左右の縦枠4を四周枠組して形成された窓枠5と、この窓枠5の内部に配置された面材としてのガラスパネル6とを備えて構成されている。ガラスパネル6は、2枚の板ガラスを所定間隔離して対向配置した複層ガラスであって、その四周縁の室内外両面が、気密材であるシール材7を介して上枠2、下枠3、および縦枠4に挟持されて、窓枠5に固定されている。このような窓枠5は、図示しない建物の外壁等に固定されるため、開閉不能になっており、また、窓枠5およびガラスパネル6の間についても、シール材7により室内空間の気密性が保持されている。
なお、ガラスパネル6は、複層ガラスに限らず、単板ガラスや合せガラス等であってもよい。
【0017】
上枠2、下枠3、および縦枠4は、それぞれ見込み方向(図1中、上下方向)の寸法が統一されており、本実施形態においては、約70mm(65〜75mm)の見込み寸法を有する、いわゆる70見込みの窓枠5になっている。そして、上枠2、下枠3、および縦枠4は、それぞれアルミ押出形材製の中空長尺状に形成され、ガラスパネル6を支持する断面略凹字状のパネル支持部2A,3A,4Aを有している。また、窓枠5の室内側には、図示しない膳板や額縁等が取り付けられている。
なお、窓枠5は、70見込みのものに限らず、それより大きな見込み寸法を有したものであってもよい。
【0018】
下枠3のパネル支持部3Aに隣接して室内側には、上方に向かって開口した凹溝部3Bが形成されている。この凹溝部3Bは、下枠3の長手方向に沿って連続し、下枠3の全長に渡って形成されている。凹溝部3Bの底面には、凹溝部3Bの内部と下枠3の中空部3Cとを連通する連通孔3Dが設けられている。また、凹溝部3Bの下方で室外側には、中空部3Cが形成されており、この中空部3Cの室外側には、この中空部3Cと室外空間を連通する連通孔3Eが設けられている。この連通孔3Eは、下枠3の室外側面よりも室内側に入った位置に設けられており、雨水等が容易に浸入しないようになっている。さらに、中空部3Cの底面3Fには、室外側に向かって下がる勾配が設けられており、万一、連通孔3Eから中空部3Cに雨水等が浸入した場合でも、浸入した雨水等が室外側に排出されるようになっている。
【0019】
下枠3の凹溝部3Bには、窓枠5とは別体で製造され、下枠3に沿って長尺な全体略直方体状に形成された換気装置としての換気ユニット10が嵌合されて、取り付けられている。この換気ユニット10の見付け寸法は、下枠3の長さ寸法に比べて短くなっており、換気ユニット10の見付け方向両側における凹溝部3Bには、密閉部材20が嵌合されている。この密閉部材20は、換気ユニット10と縦枠4との間隔距離に応じて、縦枠4内部に貫入するだけの見付け寸法を有しており、縦枠4の内部側面にゴムシート等のシール材を介して密接されている。また、凹溝部3Bの室内外側面下部には、下枠3の長手方向に沿って連続し、水平方向に突出した突出片3Gが形成されている。
【0020】
換気ユニット10は、図3、4に示すように、室内側および凹溝部3Bの底面に向かって開口した箱状の筐体11と、この筐体11の室内側開口部に取り付けられた操作部12および通気部13と、筐体11内部に設けられた作動板14とを備えている。また、筐体11の凹溝部3B底面側には、凹溝部3Bの突出片3Gに対応した係止フック15が形成されており、この係止フック15が突出片3Gに係止されることで、換気ユニット10が凹溝部3Bに係止されるようになっている。さらに、筐体11の凹溝部3B側面に沿った両側面には、気密材であるAT(Air Tight )材16が取り付けられており、このAT材16が凹溝部3B側面に密接するようになっている。また、筐体11の密閉部材20側の両側面には、密閉部材20と密接するAT材17およびシール材18が取り付けられている。
【0021】
換気ユニット10の操作部12には、長手方向に沿って、換気位置と非換気位置との間を移動操作可能な操作つまみ12Aが設けられている。この操作つまみ12Aは、筐体11内部の作動板14と連結されており、操作つまみ12Aを操作することで、作動板14を動作させることができるようになっている。
通気部13は、筐体11の室内側開口部を覆って設けられており、この通気部13には、室内空間と筐体11内部とを連通する複数の通気口13Aがスリット状に形成されている。この通気口13Aの筐体11内部側には、フィルタ13Bが設けられており、室外から虫やほこり等が室内に入らないようになっている。このフィルタ13Bのさらに筐体11内部側に、通気部13全面を覆うだけの大きさを有する作動板14が設けられている。
【0022】
作動板14は、筐体11内部の上部室外側縁に沿って、上下方向に回動可能に取り付けられている。そして、作動板14は、操作つまみ12Aを換気位置に移動させることで、図3中、二点鎖線で示す開状態と、操作つまみ12Aを非換気位置に移動させることで、略水平になる閉状態との間を移動できるようになっている。操作つまみ12Aを換気位置に操作した開状態において、室内側が下方に傾斜した作動板14と通気部13との間に隙間が形成され、この隙間および連通孔3D,3Eを通して室内外空間が連通される。このような室内外空間が連通された換気状態において、室外の外気が室内空間に取り入れられ、あるいは室内の内気が室外空間に排出される、すなわち、室内空間の自然換気が実施されるようになっている。また、操作つまみ12Aを非換気位置に操作した閉状態において、通気部13が作動板14に覆われ、室内外空間の連通が遮断された非換気状態が構成される。
【0023】
密閉部材20は、図5に示すように、下向きに開口した断面略コ字形のアルミ形材製であり、凹溝部3Bの室内側開口部を覆う上面部21と、この上面部21から凹溝部3B底面に向かって延びる2つの延出面部22とを備えて形成されている。上面部21は、換気ユニット10の通気口13Aと互いの上面が略同一レベルになっており、その室内側端縁には、凹溝部3Bの室内側側面上端に係合する段部21Aが形成されている。2つの延出面部22は、それぞれ凹溝部3Bの側面に対向して下方に延び、その先端部には、凹溝部3Bの突出片3Gに係合する係止フック22Aが形成されている。この係止フック22Aは、延出面部22の撓みによる弾性力の作用で突出片3Gに係合するもので、密閉部材20を上方から凹溝部3Bに押し込むだけで係合するようになっている。係止フック22Aが突出片3Gに係止された状態において、延出面部22と凹溝部3Bの側面との間には、隙間空間23が形成されている。また、延出面部22の途中部分には、隙間空間23を連通孔3D,3Eを通して室外空間に連通させる連通孔22Bが設けられている。
【0024】
密閉部材20の上面部21と延出面部22との交差位置外側には、気密材であるAT材24が見付け方向に沿った室内外側に対向して設けられている。これらのAT材24は、凹溝部3Bの室内外側面に密接するとともに、これらAT材24は上面部21よりも見付け方向長さ寸法が若干長く形成されており、AT材24の端部が換気ユニット10のAT材17に押圧力をもって密接されるようになっている。また、換気ユニット10のAT材17の側面に上面部21の端縁が密接されるとともに、上面部21の端縁上側が換気ユニット10のシール材18に覆われるようになっている。以上のように、換気ユニット10のAT材16、および密閉部材20のAT材24が凹溝部3B側面に密接し、密閉部材20のAT材24の端部および上面部21の端縁が換気ユニット10のAT材17に密接することで、凹溝部3B内部に連続した気密ラインが構成される。従って、換気ユニット10の非換気状態において、凹溝部3Bを通した室内外空間の連通が遮断され、室内空間の気密性が確保されるようになっている。
【0025】
以上のような換気ユニット10および密閉部材20は、窓枠5を四周枠組みして製造した後に、下枠3の凹溝部3Bに取り付けられる。すなわち、先ず密閉部材20を凹溝部3BにAT材24を押圧しながら嵌入し、係止フック22Aを突出片3Gに係合させてから両側の縦枠4側にスライドさせて縦枠4の内部側面に密接させる。これに続いて、換気ユニット10を凹溝部3Bの密閉部材20間に嵌入して、AT材17を密閉部材20のAT材24に密接させ、シール材18で密閉部材20の上面部21端縁上側を覆って密接させるとともに、係止フック15を突出片3Gに係合させて取り付ける。以上の手順により、換気ユニット10および密閉部材20が窓枠5に取り付けられることとなる。
なお、窓枠5製造後に密閉部材20を取り付ける手順に限らず、下枠3と縦枠4とを組み立てる際に、密閉部材20を取り付けてもよい。
【0026】
次に、本実施形態の嵌殺し窓1の作用について説明する。
先ず、室内空間を換気する際には、換気ユニット10の操作つまみ12Aを操作して換気位置に移動させる。これにより、操作つまみ12Aに連結された作動板14が通気部13を覆った位置から下方に回動して、開状態となり、通気口13Aおよび連通孔3D,3Eを通して室内外空間が連通される。従って、室外の外気が室内空間に導入され、あるいは室内の内気が室外空間に排出されて、室内空間の換気が実施される。
このような換気状態において、外部の雨水等が連通孔3Eから中空部3Cに浸入したとしても、中空部3Cの上側に設けられた連通孔3Dから凹溝部3Bへは、雨水等が浸入しづらくなっている。さらに、万一、雨水等が凹溝部3Bに浸入したとしても、換気ユニット10の作動板14は室内側下方に傾斜し、通気部13への経路上に位置しているため、この作動板14で阻まれ、雨水等が室内側へ浸入しないようになっている。
【0027】
次に、換気ユニット10の操作つまみ12Aを非換気位置に移動させると、作動板14が通気部13を覆う閉状態に回動して、室内外空間の連通が遮断された非換気状態となる。
このような非換気状態において、外部の風等により連通孔3D,3Eを通して凹溝部3B内部の気圧が上昇すると、換気ユニット10、密閉部材20、および凹溝部3Bの側面の隙間から、外気が室内空間に流入しようとする。しかし、これらの隙間は、AT材16,17,24で塞がれているため、外気が室内空間に流入せず、室内空間の気密性が確保されるようになっている。
【0028】
さらに、非換気状態において凹溝部3B内部に雨水等が浸入した場合、密閉部材20と凹溝部3Bとの隙間から、毛細管現象により雨水等が室内側へ入り込む可能性があるが、密閉部材20の延出面部22と凹溝部3B側面との間に隙間空間23を形成したことで、毛細管現象が生じにくくなり、雨水等の室内側への浸入を防止できるようになっている。また、室外空間の外気圧が室内側と比較して高く、隙間空間23の気圧が外気圧よりも低い場合、凹溝部3B内部に浸入した雨水等が隙間空間23に吸い込まれる可能性があるが、延出面部22に連通孔22Bを設けて隙間空間23を室外空間に連通させたことで、外気圧と隙間空間23の気圧との差を小さくでき、隙間空間23への雨水等の浸入を抑制できるようになっている。
【0029】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) 窓枠5の下枠3室内側に形成した凹溝部3Bを連通孔3D,3Eを通して室外空間に連通し、この凹溝部3Bに換気ユニット10を取り付けたので、換気ユニット10の換気状態および非換気状態の切り替え操作によって、開閉不能な嵌殺し窓1であっても、室内空間の換気を実施できる。
【0030】
(2) また、換気ユニット10に隣接して密閉部材20を取り付けることで、密閉部材20の見付け方向寸法を調節するだけで換気ユニット10を隙間なく下枠3の凹溝部3Bに取り付けることができ、窓枠5の見付け方向寸法に関わらず、所定の長さ寸法に共通化して製造された換気ユニット10を用意しておけばよい。従って、窓枠5の大きさに応じて各種寸法を有する換気ユニット10を製造する必要がなく、また、換気ユニット10の寸法に応じて窓枠5に加工を施す必要がないので、コストの増大を招くことなく、窓枠5および換気ユニット10を製造することができる。
【0031】
(3) また、換気ユニット10および密閉部材20が凹溝部3Bに着脱自在に取り付けられるので、必要に応じて換気ユニット10を取り外して、清掃や修理、交換等を実施することができる。すなわち、従来の換気構造では、換気部材の窓枠への取り付けおよび取り外しに手間が掛かるのに対し、本実施形態の嵌殺し窓1では、窓枠5の組立後に換気ユニット10を取り付けることができるとともに、窓枠5を解体することなく換気ユニット10を容易に取り外すことができる。
【0032】
(4) さらに、換気ユニット10を取り付けた下枠3と、換気ユニット10を取り付けない上枠2および縦枠4とが同一の見込み寸法(70見込み)を有するので、嵌殺し窓1の外観を良好にすることができるとともに、窓枠5の室内側に取り付けられる膳板や窓台、額縁等の収まりを簡便にでき、これらの施工手間を低減することができる。
【0033】
(5) また、窓枠5の見込み寸法を所定の規格寸法である70見込みとしたので、換気装置を有していない一般の窓枠と並べて配置しても、互いの見込み寸法を揃えることができ、外観のデザインを統一することができる。
【0034】
(6) また、換気ユニット10と、凹溝部3Bの側面との間にAT材16を介挿し、密閉部材20と、凹溝部3Bの側面との間にAT材24を介挿したので、換気ユニット10を非換気状態にすれば、室内外空間の連通が遮断されるため、室外からの雨水等の浸入を防止して水密性を確保できるとともに、室内空間の気密性を確保することができる。
【0035】
(7) さらに、換気ユニット10の側面にAT材17を設け、このAT材17に密閉部材20のAT材24を密接させるとともに、換気ユニット10のシール材18で密閉部材20の上面部21端縁上側を覆うように構成したので、より一層室内空間の水密性および気密性を向上させることができる。
【0036】
(8) また、密閉部材20の延出面部22と凹溝部3B側面との間に隙間空間23を形成したことで、毛細管現象が生じにくくなり、雨水等の室内側への浸入を防止できるとともに、連通孔22Bで隙間空間23を室外空間に連通させたことで、外気圧と隙間空間23の気圧との差を小さくして、隙間空間23への雨水等の浸入を抑制できるので、室内空間の水密性をさらに向上させることができる。
【0037】
(9) また、凹溝部3B側面に形成した突出片3Gと、換気ユニット10および密閉部材20に形成した係止フック15,22Aとが係合するので、換気ユニット10および密閉部材20を凹溝部3Bに押し込むだけで、容易に取り付けることができる。さらに、アルミ製の押出形材である下枠3を形成する際に、その長手方向(見付け方向)に沿ったヒレ状の突出片3Gを容易に形成することができるので、後から係合部材等を取り付けることと比較して、製造にかかる工数を削減でき、製造コストを低減することができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る換気装置付き窓について、図6に基づいて説明する。
図6は、本実施形態の換気装置付き窓としての開き窓30の要部を示す縦断面図である。
本実施形態の開き窓30は、開閉可能に構成されている点が前述の第1実施形態の嵌殺し窓1と相違し、それ以外の構成は略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
【0039】
図6において、開き窓30は、窓枠5としての上枠(不図示)、下枠3、および左右の縦枠4と、この窓枠5の内側に開閉自在に支持された障子31とを備えている。障子31は、上框(不図示)、下框32、および左右の縦框33を四周框組みして形成され、その内側に固定されたガラスパネル34を備えている。ガラスパネル34は、その四周縁の室内外両面が、シール材35を介して上框、下框32、および縦框33に挟持されて、障子31に固定されている。そして、障子31は、図示しない回動軸を中心に回動し、室外側に向かって開くように構成されている。また、障子31を閉じた状態において、上框、下框32、および縦框33の室内側側面は、上枠、下枠3、および縦枠4の室外側側面に設けられたAT材36に当接して、障子31および窓枠5間における気密性、水密性が確保されるようになっている。上枠2、下枠3、および縦枠4は、それぞれ見込み寸法が統一されており、本実施形態においては、約100mm(95〜105mm)の見込み寸法を有する、いわゆる100見込みの窓枠5になっている。
【0040】
下枠3の室内側には、上方に向かって開口した凹溝部3Bが形成されており、凹溝部3Bの室外側側面下部に連通孔3Dが設けられている。また、凹溝部3Bの室外側に隣接して、障子31を閉じた状態で上方を下框32に覆われた中空部3Cが形成されており、連通孔3Dで凹溝部3Bと連通されている。この中空部3Cの室外側には、この中空部3Cと室外空間を連通する連通孔3Eが設けられている。この連通孔3Eは、下框32の室外側面よりも室内側に入った位置に設けられており、雨水等が容易に浸入しないようになっている。そして、下枠3の凹溝部3Bには、前述の第1実施形態と同様の換気ユニット10および密閉部材(不図示)が嵌合されて、取り付けられている。
【0041】
このような本実施形態によれば、前述の(2)〜(8)と略同様の効果に加えて次のような効果がある。
(10) 窓枠5の下枠3室内側に形成した凹溝部3Bを連通孔3D,3Eを通して室外空間に連通し、この凹溝部3Bに換気ユニット10を取り付けたので、換気ユニット10の換気状態および非換気状態の切り替え操作によって、障子31を開閉操作しなくても、室内空間の換気を実施できる。
【0042】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記各実施形態では、換気装置付き窓として嵌殺し窓1および開き窓30を採用したが、これに限らず、引き違い窓や、辷り出し窓、上げ下げ窓等を採用してもよい。
また、前記各実施形態では、換気ユニット10および密閉部材20を窓枠5の下枠3に取り付けたが、これに限らず、上枠2や縦枠4に取り付けてもよい。
また、窓枠5の見込み寸法は、70見込みや100見込みに限らず、任意の寸法とすることができ、換気ユニット10を取り付ける枠材と他の枠材とが異なる見込み寸法で形成されてもよい。
【0043】
また、前記各実施形態では、下枠3の凹溝部3Bを室内側上方に向かって開口して形成したが、これに限らず、見込み方向に沿って室内側に向かって開口してもよい。また、凹溝部3Bと中空部3Cとを連通する連通孔3Dは、前記第1実施形態では、凹溝部3Bの底面に設け、前記第2実施形態では、凹溝部3Bの室外側側面に設けたが、連通孔の位置は特に限定されず、室内側側面でもよく、また、見付け方向の端部で縦枠等の中空内部を介して、室外空間と凹溝部3B内部とを連通させてもよい。さらに、凹溝部3Bの内部と室外空間とは、連通孔3D,3E等の孔に限らず、下枠3の全長に渡って設けられたスリット状の開口を通して連通されてもよい。また、連通孔3Dが設けられた凹溝部3Bと中空部3Cとの仕切板を省略し、凹溝部3Bおよび中空部3Cが一体の空間として形成されてもよい。
【0044】
また、前記各実施形態では、換気ユニット10および密閉部材20の係止フック15,22Aを、凹溝部3Bの突出片3Gに係合するものとしたが、これに限らず、例えば、凹溝部3Bの底面に嵌合孔を設け、この嵌合孔と換気ユニット10および密閉部材20に設けた突起部とが係合するようにしてもよい。また、凹溝部3B側に係合フックを設け、この係合フックと係合する係合溝や係合片を換気ユニット10および密閉部材20に設けてもよい。
【0045】
また、前記各実施形態では、換気ユニット10および密閉部材20に気密材であるAT材16,24を設けたが、このような気密材を凹溝部3Bに設けてもよく、また、換気ユニット10に設けたAT材17を、密閉部材20側にAT材24に連続するように設けてもよい。また、換気ユニット10や密閉部材20と凹溝部3Bとの隙間を小さくできれば、気密材を省略することも可能である。さらに、密閉部材20は、アルミ形材製に限らず、合成樹脂製やゴム製であってもよく、密着性に優れたゴム製等とすれば、密閉部材自体で気密性を確保できるようになり、気密材を省略することも可能になる。さらに、換気ユニット10に設けたシール材18は、気密性、水密性を一層向上させるためのもので、設計条件によって省略することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の換気装置付き窓によれば、製造や部品管理のコスト増大を招かずに換気可能に構成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る換気装置付き窓としての嵌殺し窓を示す横断面図である。
【図2】前記嵌殺し窓の縦断面図であり、図1に示す矢視II−II線断面図である。
【図3】前記嵌殺し窓の要部を示す縦断面図であり、図1に示す矢視III−III線断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、前記嵌殺し窓に取り付けられる換気ユニットを示す上面図、および二方向から見た側面図である。
【図5】前記嵌殺し窓の要部を示す縦断面図であり、図1に示す矢視V−V線断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る換気装置付き窓としての開き窓の要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…嵌殺し窓、2…上枠、3…下枠、3B…凹溝部、3G…突出片、4…縦枠、5…窓枠、10…換気ユニット、15,22A…係止フック、16,24…気密材であるAT材、20…密閉部材、30…開き窓。
Claims (5)
- 上枠、下枠、および左右の縦枠を四周枠組みして形成された窓枠を備え、前記上枠、下枠、および縦枠のうち、少なくとも1つには、その見付け方向に沿って室内側に開口するとともに、室外空間と連通された凹溝部が設けられ、
前記凹溝部には、室内外空間を連通する換気状態と、連通を遮断する非換気状態とに切り替え操作可能に構成された換気ユニットと、この換気ユニットの見付け方向に隣接して、当該凹溝部の室内側開口部を覆う密閉部材とが嵌合されるとともに、これらの換気ユニットおよび密閉部材と、前記凹溝部とが、着脱可能な係合手段で互いに係合されている換気装置付き窓。 - 前記換気ユニットと前記凹溝部の側面との間には、室内空間の気密を保持する気密材が介挿されている請求項1に記載の換気装置付き窓。
- 前記密閉部材と、前記凹溝部の側面および前記換気ユニットとの間には、室内空間の気密を保持する気密材が介挿されている請求項1または請求項2に記載の換気装置付き窓。
- 前記係合手段は、前記凹溝部の側面に形成された突出片と、前記換気ユニットおよび密閉部材に形成された係止フックとで構成されている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の換気装置付き窓。
- 前記上枠、下枠、および縦枠の見込み寸法は、互いに同一寸法で、かつ所定の規格寸法とされている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の換気装置付き窓。
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