JP2004300332A - 硬化性樹脂組成物およびシートモールディングコンパウンド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不飽和多塩基酸とグリコール成分とから主としてなる不飽和ポリエステル、不飽和重合性単量体、および式(1)で表わされるアルコキシシラン又はその縮合物(式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rfは炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、m、nは1〜3の整数であり、m+n=4、縮合度は1〜10である。)からなる親水性付与剤を含有し、且つ、不飽和ポリエステル中の前記グリコール成分が、不飽和ポリエステルに対し1〜15モル%のネオペンチルグリコールを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(RO)m(RfO)nSi (1)
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽用床パネル(防水パン)などの浴槽製品や水まわり製品などの住宅用設備の構成部品に用いられる硬化性樹脂組成物、それを用いたシートモールディングコンパウンド、およびそれらによって得られた防水パンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴槽用床パネル(防水パン)の材質としては、防水性を有するFRP(繊維強化プラスチック)が使用されている。更に前記床パネルには滑り止めを設けることが知られている。この滑り止めが洗い場の排水性に悪影響を及ぼすため、排水の流路上に水玉の表面張力を破壊する凹凸を設けることにより、使用の翌日には確実に乾燥させるようにした床パネルが特許文献1などにより知られている。かかる床パネルは、極めて有効に排水させるものであるが、排水の速さはなお不充分であり、更に時間を短縮することが切望されている。
【0003】
一方、浴槽用床パネルなどで、樹脂成分に撥水剤などの改質剤を加えて化学的に水を除去する方法が文献2に開示されている。しかしながら、撥水剤などの改質剤を加えて化学的に水を除去する方法では、ある程度の排水時間を短縮できるものの、なお十分ではなかった。また特許文献1に記載された凹凸により物理的に排水性を向上させ、さらにFRPの複合材に改質剤を加えて排水性を向上させること考えられるが、未だ十分ではなかった。
【0004】
【従来技術】
【特許文献1】特開2002−54295号
【特許文献2】特開2002−146294号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、凹凸を有する滑り止め形状を持たせた場合にも、排水や乾燥に要する時間を短縮できるFRP製の浴槽用床パネル(防水パン)などの浴槽製品や水まわり製品の製造に用いられる、新規な硬化性樹脂組成物、それを用いたシートモールディングコンパウンド、およびそれらによって得られた防水パンを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、防水パネルにおける排水時間を更に短縮させるために、水を除去する樹脂の改質剤や基礎となるマトリックス樹脂を鋭意検討した結果、特定の改質剤と特定のマトリックス樹脂とを組み合わせることにより、排水性がより向上する事を見出し、特に凹凸を有する防水パネルに有効であることを見出し本発明に至った。
【0007】
かくして、本発明は下記の要旨を有することを特徴とする。
1.不飽和多塩基酸とグリコール成分とから主としてなる不飽和ポリエステル、不飽和重合性単量体、および式(1)で表わされるアルコキシシラン又はその縮合物(但し、式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基であり、Rfは炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基であり、m、nは1〜3の整数であり、m+n=4、縮合度は1〜10である。)を含有し、且つ、不飽和ポリエステル中の前記グリコール成分が、不飽和ポリエステルに対し1〜15モル%のネオペンチルグリコールを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(RO)m(RfO)nSi (1)
2.アルコキシシラン又はその縮合物が、前記硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、0.05〜1.0質量部に含有される上記1に記載の硬化性樹脂組成物。
3.式(1)において、アルキル基がメチル基であり、ポリフルオロアルキル基がヘキサフルオロブチル基である、上記1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
4.前記不飽和ポリエステルの重量平均分子量が16000〜24000である、上記1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
5.上記1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物とガラス繊維とを複合させ次いで熱硬化性樹脂組成物を増粘させてなるシートモールディングコンパウンド。
6.上記1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物とガラス繊維との複合物、又は上記5に記載シートモールディングコンパウンド、を成形して得られる防水パン。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の硬化性樹脂組成物における不飽和ポリエステルは、不飽和多塩基酸とグリコール成分とから主としてなる。不飽和ポリエステルに用いられる不飽和多塩基酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸のα,β−不飽和多塩基酸;ジヒドロムコン酸などのβ,γ−不飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステルなどが挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0009】
本発明では、上記不飽和多塩基酸とともに飽和多塩基酸も使用することができる。飽和多塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族飽和多塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族飽和多塩基酸;ヘット酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式飽和多塩基酸;これらの酸の無水物;これらの酸のハロゲン化物;これらの酸のアルキルエステルなどが挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0010】
本発明では、上記グリコール成分としてネオペンチルグリコールが使用され、その含有量は、不飽和ポリエステルに対し1〜15モル%であることが必要である。この含有量が15モル%以下であると防水パンなどの排水性が向上するが、15モル%を越えると防水パンなどの排水性が逆に低下してしまう。一方、上記含有量が1%より少ない場合には、耐水性が低下し好ましくない。本発明は防水パン用に好適であり、防水パンとしては高いレベルの耐水性は要求されない。このため、この含有量は、1〜10モル%、特には1〜5モル%が好適である。
【0011】
本発明において、ネオペンチルグリコール以外に使用される他のグリコール成分は、特に限定されない。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、4,5−ノナンジオール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0012】
更に、本発明は防水パンなどの色調をより向上させ、また、コストの点から不飽和ポリエステルにノルボルネン骨格を導入することが好ましい。
【0013】
また、本発明では、前記多塩基酸酸成分の一部を、ジシクロペンタジエンの不飽和多塩基酸付加物で置き換えたり、または不飽和ポリエステルに用いられるグリコール成分の一部を、ジシクロペンタジエンのグリコール付加物類やヒドロキシジシクロペンタジエンで置き換えることも可能である。これらジシクロペンダジエンの置き換えは従来より知られた方法により行うことが可能である。
【0014】
本発明で使用される不飽和ポリエステルは、重量平均分子量が16000〜24000であることが好ましく、更に18000〜22000であることがより好ましい。重量平均分子量が16000未満であると色ムラが発生しやすくなるため好ましくなく、 24000を越えると排水性が低下するため好ましくない。
【0015】
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記不飽和ポリエステルとともに重合性不飽和単量体が含有される。本発明に使用される重合性不飽和単量体は、本発明の効果を損なわない範囲で通常不飽和ポリエステル樹脂組成物に使用される、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ジビニルベンゼン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ジアリールフタレ−ト、トリアリールシアヌレ−ト、さらにアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAEO変性(n=2)ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性(n=3)ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、等を併用でき、樹脂と架橋可能な不飽和単量体或いは不飽和オリゴマー等が挙げられる。なかでも、スチレン単量体を用いることが好ましい。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物は、式(1)で示されるアルコキシシラン又はその縮合物を含有する。この成分は硬化性樹脂組成物に親水性を付与するものである。
(RO)m(RfO)nSi (1)
上記式(1)中のR、Rf、m、およびnは、上記に定義したとおりである。なかでも、Rは、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、前記値が6を超えるとアルコキシシラン又はその縮合物における加水分解性、表面移行性が劣り好ましくない。Rは、特にメチル基が好ましい。Rfは、炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基が好ましく、前記値が6を超えると組成物中の他成分との混和性が劣り好ましくない。Rfは、特にヘキサフルオロブチル基が好ましい。m、nは、分子内でのRf:Rのモル比が、好ましくは1:1〜1:10、特に好ましくは1:3〜1:5になるように選択するのが理由で好適である。また、縮合度は、好ましくは3〜7になるように選択するのが好適である。
【0017】
上記アルコキシシラン又はその縮合物の硬化性樹脂組成物における含有量は、硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.05〜1質量部であることが好ましい 。本発明で樹脂成分とは、不飽和ポリエステル、不飽和重合性単量体及び後述する低収縮剤との合計量を意味する。アルコキシシラン又はその縮合物の該含有量が0.05質量部未満であると排水性が劣り、1質量部を越えるとコスト高となり、また、SMC製造時の粘度上昇が起こり好ましくない。なかでも、上記含有量は、0.08〜0.2であるのが好適である。
【0018】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて成形材料を製造する場合には、該樹脂組成物に硬化剤、低収縮化剤、フィラー、添加剤、増粘剤などを混合し、これをガラス繊維などの繊維状補強材に含浸するか、又は繊維状補強材と混練することにより製造することが好ましい。成形材料中の本発明の硬化性樹脂組成物の含有量は、特に限定されないが、成形材料を100質量部とした場合、好ましくは10〜90重量部、特に好ましくは10〜80質量部である。また、上記の硬化剤、低収縮化剤、フィラー、添加剤、増粘剤および繊維状補強材は、製造すべき成形材料に要求される各種物性などの特性、例えば、加工性の改良および品質性能の向上などのために、必要に応じて用いられる。
【0019】
本発明に用いられる硬化剤としては、不飽和ポリエステルなどの樹脂に対して一般的に用いられているものであればよく、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、ラウロイルパーオキシドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物などのラジカル重合開始剤などが挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。硬化剤の使用量は、その種類や組み合わせにもよるが、不飽和ポリエステルと不飽和重合性単量体と後述する低収縮化剤との合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.5〜2質量部である。
【0020】
本発明に用いられる低収縮化剤としては、不飽和ポリエステルなどの樹脂に対して一般的に用いられているものであればよい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、3次元ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸セルロース、ポリアクリル酸エステル、ポリブタジエン、ポリビニルエーテル;またエラストマーとしてのポリブタジエンの水素添加物、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体や各種ブタジエンゴムなど;ポリカプロラクトン、飽和ポリエステルなどが挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。その含有量は特に限定されないが、所望される低収縮性や成形性、成形品の外観を考慮すると、不飽和ポリエステルと不飽和重合性単量体と低収縮化剤との合計100質量部に対し、好ましくは1〜70質量部、より好ましくは5〜30質量部である。
【0021】
本発明に用いられるフィラーとしては、不飽和ポリエステルなどの樹脂に対して一般的に用いられているものであればよい。具体的には、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、アルミナ、珪砂、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、寒水石、アスベスト粉、中空セラミック、ガラス粉、ガラスバルーン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シラスなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
フィラーの使用量は、その種類や組み合わせにもよるが、不飽和ポリエステルと不飽和重合性単量体と低収縮化剤との合計100質量部に対し、好ましくは20〜300質量部、より好ましくは100〜200である。また上記において、水酸化アルミニウムを用いると得られる成形材料に難燃性が付与される。また難燃性の成形材料の所望によりハロゲン成分が混入してもよい場合には、さらにハロゲン化合物(例えば3酸化アンチモンやブロム化合物や塩素化合物など)を添加し難燃性を付与する事もできる。
【0023】
本発明に用いられる増粘剤としては、不飽和ポリエステルなどの樹脂に対して一般的に用いられているものであればよい。具体的には、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類水酸化物;トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートなどのイソシアナート化合物などが挙げられる。これら例示の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。増粘剤の使用量は、その種類や組み合わせにもよるが、不飽和ポリエステルと不飽和重合性単量体と低収縮化剤との合計100質量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜1.5質量部である。増粘剤の使用量がこの範囲より少ない場合は十分な増粘性および増粘安定性が得られず、またこの範囲より多い場合は成形材料作成時の初期粘度が高くなり過ぎ、ガラス繊維への含浸あるいは混練が困難となる。
【0024】
更に、本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の優れた効果を著しく犠牲にしない範囲内で各種添加剤、例えばハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、メトキノン、ベンゾキノンなどの熱重合防止剤;減粘剤;シリコーンなどの脱泡剤;湿潤剤;ステアリン酸あるいはその金属塩などの離型剤;チキソトロピー付与剤;含浸助剤;艶消し剤;トリアゾール誘導体などの紫外線吸収剤;カップリング剤;着色顔料;強化剤;上記低収縮剤以外の熱可塑性樹脂などを含んでいてもよい。また、他の硬化性樹脂、具体的にはラジカル硬化性樹脂である、通常の不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル(エポキシアクリレート)樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、側鎖に二重結合を持つアクリル系重合体からなる架橋性アクリルシラップ、通常のPMMAなどのアクリル重合体からなるアクリルシラップなどと任意の割合で混合してもよい。上記添加剤および他の熱硬化性樹脂の使用量は、求められる成形材料の特性に応じて適宜設定すればよい。
【0025】
本発明で使用される繊維状補強材としては、ガラス繊維以外に炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられ、必要に応じて選択使用できる。繊維状補強材の使用量は、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物とガラス繊維との合計量を100質量部として、好ましくは10〜40重量部、さらに好ましくは、20〜35重量部の範囲である。
【0026】
本発明の硬化性樹脂組成物と硬化剤、低収縮化剤、フィラー、添加剤および増粘剤とを混合したものをガラス繊維などの繊維状補強材に含浸あるいは混練させる方法は、既知の方法、すなわちシートモールディングコンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)の製造方法を使用することができる。得られた硬化性樹脂組成物、SMC、BMCは、これを既知の方法で製品の形状に成形し、例えば120〜150℃に加熱し硬化させる。このようにして浴槽製品や水まわり製品が製造される。特に、本発明では、表面に凹凸を有する滑り止め形状を持たせた場合にも、排水や乾燥に要する時間が従来に比べて短い浴槽用床パネル(防水パン)が製造される。また、本発明では、優れた性能を有するカウンター、洗面ボールなどのサニタリー部材などが製造される。
【0027】
【実施例】
以下に本発明を、実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、この説明が本発明を限定するものではない。
不飽和ポリエステル樹脂:表1に記載、
親水性付与剤A:(RO)m(RfO)nSi 式において、R:メチル基、Rf:1,1,1,2,3,3ヘキサフロロブチル基、m:4、n:1、縮合度5の化合物
親水性付与剤B:テトラエトキシシラン、
ガラス繊維:径15μm、長さ2.5cm、
樹脂注型板の作成:表2に示した樹脂100質量部に、硬化剤1部、促進剤0.3部を加えて常温で12時間静置し、更に150℃で2時間硬化させた直径8cmの円形板
SMC平板: 表3に示した組成で、成形温度140℃/145℃、加圧保持時間4分、チャージ面積50%の成形条件で成形した、縦22cm×横22cm×厚み3mmの成形板。
接触角測定方法: 温度25℃、相対湿度50%の環境下で、成形品表面に水滴を落とし、その接触角を測定しn=10の平均値を求めた。
【0028】
なお、以下の表1、表2、および表3における略号はそれぞれ以下を意味する。
FA:フマール酸
MA:マレイン酸
PG:プロピレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
DCPD:ジシクロペンタジエン
TBIC:ターシャリブチルイソプロピルアルコール
組成1+3(比率90:10):表1に示される、組成1と組成3の不飽和ポリエステル樹脂をそれぞれ質量比90:10で混合したもの。
組成1+3(比率60:40):表1に示される、組成1と組成3の不飽和ポリエステル樹脂をそれぞれ質量比60:40で混合したもの。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、凹凸を有する滑り止め形状を持たせた場合にも、排水や乾燥に要する時間を短縮できるFRP製の浴槽用床パネル(防水パン)などの浴槽製品や水まわり製品の製造に用いられる、新規な硬化性樹脂組成物、それを用いたシートモールディングコンパウンド、およびそれらによって得られた防水パンが提供される。
Claims (7)
- 不飽和多塩基酸とグリコール成分とから主としてなる不飽和ポリエステル、不飽和重合性単量体、および式(1)で表わされるアルコキシシラン又はその縮合物(但し、式(1)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rfは炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基、m、nは1〜3の整数であり、m+n=4、縮合度は1〜10である。)からなる親水性付与剤を含有し、且つ、不飽和ポリエステル中の前記グリコール成分が、不飽和ポリエステルに対し1〜15モル%のネオペンチルグリコールを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(RO)m(RfO)nSi (1) - アルコキシシラン又はその縮合物が、前記硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、0.05〜1.0質量部含有される請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 式(1)において、アルキル基がメチル基であり、ポリフルオロアルキル基がヘキサフルオロブチル基である請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ネオペンチルグリコールが不飽和ポリエステルに対し、1〜10モル%含有する請求項1〜3いずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記不飽和ポリエステルの重量平均分子量が16000〜24000である請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物とガラス繊維とを複合させ次いで熱硬化性樹脂組成物を増粘させてなるシートモールディングコンパウンド。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物とガラス繊維との複合物、又は請求項6に記載シートモールディングコンパウンド、を成形して得られる防水パン。
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