JP2004299963A - In2O3材料およびそれより成る半導体装置、システム - Google Patents

In2O3材料およびそれより成る半導体装置、システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ITO薄膜より低い比抵抗値を有するIn結晶とIn薄膜を提供し、それを用いて低比抵抗値のInを含む材料を提供し、さらにその材料を用いた半導体装置とシステムを提供することを課題としている。
【解決手段】In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造のIn結晶を含むことを特徴とするIn材料である。空間群D 3d構造のIn結晶のInサイトの一部にInのイオン半径とほぼ同等もしくはより小さなイオン半径の原子を有し、酸素サイトもしくは酸素空孔サイトの一部に酸素のイオン半径とほぼ同等もしくはより大きなイオン半径の原子を有するIn材料である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低比抵抗を持つ酸化物半導体、特に低比抵抗の酸化インジウム(以下Inと記載する)に関するものであり、常圧下では実現不可能と考えられてきたIn結晶の高圧相を常圧下で実現し、Inの更なる低比抵抗化を実現する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Inの結晶は、真性状態では3.75eVのバンドギャップエネルギーを持つ。完全結晶に近いIn結晶は、室温を含めて常温では、伝導体や価電子帯にキャリアを持たないために絶縁体的な挙動をする。しかし、In結晶の酸素が抜けることで形成される真性欠陥の空孔(V)や外因性欠陥の1つであるであるドーパントのスズ(以下Snと記載する。また他の元素についても元素記号で記載することもある)などがIn結晶に導入されると、In結晶は、バンドギャップ内にドナー準位を持つようになり、比較的小さな比抵抗の酸化物半導体として振舞う。特に、SnがドープされたIn結晶(Indium Tin Oxide:ITO結晶と記載する場合がある)は、低抵抗性と可視光高透過性を両立した特性を持つているために、広く応用に供されている。
【0003】
In結晶やITO結晶は通常、微小なIn結晶やITO結晶の多結晶が薄膜状集合体を形成して成る多結晶薄膜として利用される。特にIn薄膜にSnをドープして作製されるITO薄膜は、数百nmの膜厚で数Ω/□以下のシート抵抗値と90%以上の可視光透過率を持ち、低抵抗性と可視光高透過性を具備した薄膜特性を活かして、透明導電膜材料として多用されている。これまでのITO薄膜の最大の用途は、液晶素子や太陽電池などの透明電極材料としての用途である。液晶素子や太陽電池などの技術的な進歩に伴い、ITO薄膜の低抵抗性と可視光高透過性において、更に高い水準の特性が必要とされている。現在までにITO薄膜で得られた最も低い比抵抗値は、1.0×10−4〜1.3×10−4Ω・cmであるが、製造的に安定したプロセスでこの低い比抵抗値のITO薄膜を供給する事は難しい。STN(Super Twisted Nematic)による単純マトリックス液晶素子などでより高品位の画面を得るためには、1.0×10−4Ω・cm前後の低比抵抗値が必要である。また近年、カラー液晶用の透明電極構造のように、有機物フイルム上に低抵抗透明導電膜を形成しなければならない構造が採用されているために、透明電極形成時の温度を現状の400℃より低い温度、望ましくは250℃程度に下げる必要性が指摘されている。
【0004】
In薄膜の比抵抗値を下げる研究は長年なされてきた。特に、In薄膜の比抵抗値を下げるための最適なドーパントを探索する試みは数多くなされてきた。その中で、実験条件の不安定性、即ち試料の特性の不確定性を可能な限り排除するためにIn結晶を用いて、最も系統的にかつ包括的になされた先駆的な研究は、Y.Kanaiによるものである。その成果は、Y.KanaiがJpn.J.Appl.Phys. 23,127,(1984)に発表した論文、「Electronic Properties of In Single Crystals Doped with Metallic Donor Impurity」に示されている。この論文においてY.Kanaiは、In結晶へのドーパントとして、Snをはじめ、Hf、Zr、Ta、Ti、Nb、W、Geなどをドープしたが、Snが示す比抵抗値より低い比抵抗値を示すドーパントはなかったことが報告されている。
【0005】
Y.Kanaiは、In結晶の比抵抗値を下げるためのドーパントとして金属不純物を探索したが、一方、Y.Shigesatoらは、ドーパントとして金属不純物ではなくフッ素を用いる研究、「Study on Fluorine−Doped Indium Oxide Films Deposited by RF Magnetron Sputtering」を、Jpn.J.Appl.Phys.39,6422(2000)に発表している。Y.Shigesatoらはこの論文において、フッ素(F)はフッ素イオンとしてIn結晶の酸素の置換位置に入り、1価のドナーとして2.9×1020cm−3のキャリアを生成するが、Fに起因する比抵抗値は高々1.0×10−3Ωcmの程度であり、Snによる比抵抗値を下回らないことが報告されている。
【0006】
In薄膜の比抵抗値を下げるためのドーパントの探索は、これまでにSn以外のドーパントとして、Hf、Zr、Ta、Ti、Nb、W、Ge、F、Clに加えて、Te、Mo、Sb、Au、Ptを用いておこなわれ、また、現在も多くの研究者によって、探索が試みられている。しかし、現在までにITO薄膜より低抵抗のIn薄膜の存在は報告をされておらず、Snを超えるドーパントは報告されていない。
【0007】
In薄膜の低比抵抗化の試みは、低比抵抗化に最適なドーパントの探索のほかに、キャリア移動度を低下させるイオン化不純物散乱中心や中性不純物散乱中心を減少させる方法およびキャリア密度を減少させる結晶欠陥を除去する方法などによる試みがなされているが、画期的な成果は得られていない。
【0008】
【非特許文献1】
Y.Kanai:Jpn.J.Appl.Phys.23,127,(1984),”Electronic Properties
of InSingle Crystals Doped with Metallic Donor Impurity”.
【非特許文献2】
Y.Shigesato et al:Jpn.J.Appl.Phys.39,6422(2000),”Study on
Fluorine−Doped Indium Oxide Films Deposited by RF Magnetron
Sputtering”.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ITO薄膜より低い比抵抗値を有するIn結晶とIn薄膜を提供し、それを用いて低比抵抗値のInを含む材料を提供し、さらにその材料を用いた半導体装置とシステムを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
In結晶は常圧相の立方晶系と高圧相の六方晶系の2種類の結晶構造を持つが、本発明は、In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造のIn結晶を含むことを特徴とするIn材料である。
【0011】
In結晶に関する結晶構造データを表1に示す。
表1.In結晶に関する結晶構造データ
【表1】
Figure 2004299963
【0012】
In結晶の高圧相D 3d(R3c)の実現は通常、65kbar以上の高圧と800℃〜1500℃の高温が必要と考えられ、標準的な薄膜製作条件、特に常圧下での製作は困難と考えられてきた。
In結晶の高圧相D 3d(R3c)の密度は7.31g/cmであり、常圧相T (Ia3)の密度7.12g/cmに比べて、約3%も大きい。本発明はこの密度の違いから想起して得られた技術的思想の創作である。即ち、同じ組成の材料における約3%の密度の違いは、本発明者らにより大きなキャリア移動度を持つ材料を想起させ、より低い比抵抗値を持つIn結晶を想起させる。前記課題を解決するため、本発明者らは、低比抵抗値を持つ新しい形態のIn薄膜を発明するに到った。即ち、本発明は、いかなる圧力の成膜条件や使用環境においても、In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むことを特徴とするIn材料である。
【0013】
好ましい態様は、In結晶の粒子サイズが10nm以下であるIn結晶粒子から成ることを特徴とする上記のIn材料である。また、場所的に不均一な機械的特性を持つIn薄膜、もしくは機械的特性の異なるIn薄膜より成る層状構造のIn薄膜より成ることを特徴とする上記のIn材料が好ましい態様である。
また、本発明は上記のIn材料のうち少なくとも1つを構成要素とすることを特徴とする半導体装置、およびその半導体装置の少なくとも1つを構成要素とすることを特徴とするシステムである。
【0014】
【発明の実施の形態】
常圧相のIn結晶は、空間群T (Ia3)を持つビックスバイト構造で立方晶系に属する。ビックスバイト構造は蛍石(CaF)型結晶構造(Fm3m、fluorite)MXの陰イオンXのうち、4個に1個の陰イオンが抜けた構造で、化学量論比がMの構造になったものである。常圧相のIn結晶を還元することで陰イオン即ち酸素(以下Oとも記載する)イオンのサイトに空孔を導入すると、In結晶の組成が化学量論比Mからずれ、結晶が歪む。酸素空孔を更に多量に導入すると常圧相の結晶構造が崩れる。一方、OイオンサイトにO原子のイオン半径とほぼ同等もしくはより大きなイオン半径を持つ異種の陰イオンを導入することによって、常圧相のIn結晶は歪むが崩れることはなく、異種陰イオンの近傍のIn結晶は局所的に六方晶系の対称性を持つようになる。さらに加えて陽イオンサイト、即ちInイオンサイトにInのイオン半径とほぼ同等もしくはより小さなイオン半径の陽イオンを導入ことによって、大気圧下で常圧相のIn結晶を高圧相のIn結晶に変えることが出来、容易に高圧相のIn結晶を得ることが出来る。表2に、OイオンおよびInイオンとその近傍のイオンのイオン半径を示す。
【0015】
表2.原子のイオン半径
【表2】
Figure 2004299963
【0016】
更に、具体的には、InサイトにInのイオン半径より小さなイオン半径のSn原子を用い、OサイトにO原子のイオン半径より大きなイオン半径の塩素(Cl)原子を用いることによって、In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むIn薄膜材料を作製することが出来る。
【0017】
本発明のIn材料は、例えば液相スプレー・ハイドロシス法で作製される。液相スプレー・ハイドロシス法は操作が簡便であり、かつ高品質なIn薄膜材料が得られる。具体的には図1に示す装置を用い、適切な成膜条件下で操作することによって、In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むIn薄膜材料を作製することが出来る。例えば原料としては金属塩化物を用い、メタノールもしくはメタノール水溶液に金属塩化物を溶解する。例えば、濃度が1.0モル/l以下のSnClとInClの溶液を用いる。SnClとInClの原料比は25:1000を中心に変化させ、最適な値を用いた。キャリアガスとして窒素(N)ガスを用いた。試料を設置する基板はボロシリケートガラスである。成膜時の試料温度は200℃から500℃の間の適切な温度である。成膜時の試料温度は必ずしも一定温度に保持することが重要ではなく、必要に応じて温度を周期的に変化させることも重要である。
【0018】
図1において、010はキャリアガスであるNガスの流量を制御するための窒素フローメータと減圧器であり、020はキャリアガスであるNガス源、030は原料水溶液であるSnClとInClの溶液のフローメータとフイルター、040は原料アルコール水溶液であるSnClとInClの溶液、050は原料アルコール水溶液とキャリアNガスを試料基板に吹き付けて試料を作製するためのスプレーノッズル、060は試料温度を制御するための熱電対、070は試料温度を記録するための記録計、080は試料温度を制御するための温度コントローラ、090はヒーター温度を記録するための記録計、100は気化した原料やキャリアガスを室外に排気するための風洞カバー、110は試料ホルダー120の上に作製された所望の試料、120はこの上に試料を作製するための試料ホルダー、130は試料温度を制御するための温度コントロール装置である。
【0019】
上記の装置と条件を用いて得られるIn結晶よりなる薄膜のSn/In比は、例えば0.026〜0.037である。また、In薄膜の成膜時の試料温度を適切に制御することによって、試料に取り込まれる塩素(Cl)原子の量を制御でき、比較的高温で成長させた常圧相のIn薄膜にはClは殆ど取り込まれていなかった。一方、比較的低温で成長させた高圧相のIn薄膜にはClが取り込まれており、In結晶よりなる薄膜中のCl/In比は、例えば0.005〜0.024である。
【0020】
本発明の技術によって得た高圧相のIn結晶よりなる薄膜の電気特性を常圧相のIn結晶よりなる薄膜の電気特性と比較すると、移動度は常圧相の移動度のより大きくなり、比抵抗値を下げることができる。
【0021】
本発明は比較的簡便で安価な液相スプレー・ハイドロシス法を用いて、In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むIn薄膜材料を作製し、通常用いられている常圧相のIn薄膜材料より低抵抗な薄膜材料を容易に得ることが出来るために、大面積で安価な低抵抗薄膜材料の製造に有効である。
【0022】
また、本発明においては、常圧相のIn薄膜と高圧相のIn薄膜の作り分けは、成膜時の試料温度の制御によって可能であるために、常圧相のIn薄膜と高圧相のIn薄膜を交互に層状に成膜することによって、種々の形態の層状薄膜構造のIn薄膜の製造が容易に可能になるのも本発明の長所である。
【0023】
本発明において、成膜されたIn薄膜の物理的・電気的特性の制御は、成膜時の試料温度、原料アルコール水溶液の組成濃度、スプレー量、ノズルから試料ホールダまでの距離などである。試料温度を比較的低温、具体的には300℃から400℃に設定すれば、Cl原子がIn薄膜に取り込まれ易くなり、高圧相の実現が容易になる。また、試料温度を比較的低温度たとえば350℃と、高い温度たとえば450℃の間を周期的に変化させることによって、高圧相と常圧相のIn薄膜を交互に多層構造として成膜が可能である。試料温度の変化速度を大きくすることによって、成膜されたIn薄膜の物理的・電気的特性が階段状に変化する多層構造薄膜が成膜できるし、また、試料温度の変化速度を小さくすることによって、成膜されたIn薄膜の物理的・電気的特性を連続的に変化させた層状のIn薄膜の成膜が可能である。
【0024】
同様な層状および多層構造のIn薄膜は、Sn原子とCl原子の濃度を制御することによっても可能である。試料温度を比較的低いたとえば300℃から400℃に設定し、キャリアガスの流量を一定に保ち、SnClとInClの濃度を0.1から1.0モル/lの間を変化させることによって実現できる。
【0025】
In薄膜を構成する多結晶Inの粒子サイズ(平均的粒子径)は、Sn原子とCl原子の濃度を制御することによって可能である。Cl原子は、In粒子の周囲に存在する未結合電子と結合し、In粒子の成長を止める作用を持っている。In薄膜に存在するCl濃度を制御することによって、In粒子の周囲に存在する未結合電子とCl原子が結合する確率を制御することが可能であり、In粒子のサイズを制御することが可能である。具体的には、試料温度を制御することによってIn粒子のサイズを制御する。キャリアガスの流量を一定に保ち、SnClとInClの濃度を0.1〜1.0モル/lの間を変化させ、試料温度を比較的低い温度たとえば250℃〜300℃に設定することによって、In粒子のサイズが10nm以下のIn粒子よりなるIn薄膜を実現できる。この粒子サイズ以下のIn結晶においては、高圧相の実現はさらに容易になり、製造的に安定したプロセスを確立できる。尚、多結晶Inの粒子サイズ(平均的粒子径)は、薄膜の透過型電子顕微鏡による直接観察によって得られた多数の多結晶Inの粒子像の大きさ(直径)の平均値である。
【0026】
In薄膜は成膜条件によっては、場所的に物理的・電気的特性が一様でない薄膜になる。成膜条件を制御することによって、常圧相と高圧相が混在したIn薄膜を形成することができる。具体的には、常圧相の記述の成膜条件と高圧相の記述の成膜条件の境界領域辺りの条件を用いることによって、常圧相と高圧相が混在したIn薄膜の形成が可能である。また、成膜速度を上げることによって、さらに非晶質も混在したIn薄膜の形成が可能である。
【0027】
上述の場所的に不均一な物理的特性を持つIn薄膜は、場所的に不均一な機械的特性や熱的特性を持つIn薄膜である。また、In薄膜の成膜過程や成膜後のIn薄膜を用いた素子製造過程でIn薄膜が蒙る熱サイクルにおいて、場所的に不均一な物理的特性や熱的特性に起因して、特に場所的に不均一な熱膨張係数に起因して、In薄膜内に熱応力が発生する。この熱応力は高圧相の形成を容易にする。
【0028】
液晶素子や太陽電池などの技術的な進歩に伴い、ITO薄膜の低抵抗性と可視光高透過性は、更に高い水準の特性が必要とされている。現在までにITO薄膜で得られた最も低い比抵抗値は、1.0×10−4〜1.3×10−4Ω・cmであるが、製造的に安定したプロセスによってこの低い比抵抗値を持つITO膜を供給する事は困難が伴う。STN(Super Twisted Nematic)による単純マトリックス液晶素子などでは、より高品位の画面を得るためには、1.0×10−4Ω・cm前後の低比抵抗値の材料が必要である。また近年、カラー液晶用の透明電極構造のように、有機物フイルム上に低抵抗透明導電膜を形成しなければならない構造が採用されているために、透明電極形成時の温度を現状の400℃より低い温度、望ましくは250℃程度に下げる必要性が指摘されている。本発明によるIn結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むIn材料を用いることによって、上記の高性能な半導体素子を製造することが可能である。また、この半導体装置を用いて、高性能なシステムを製造することが可能である。
【0029】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
図1に示す装置を用い、SnClとInClのアルコール水溶液濃度が0.7モル/l、SnClとInClの原料比は25:1000、キャリアガスとして窒素(N)ガス、基板はボロシリケートガラス、成膜時の試料温度は300℃、の条件でIn薄膜を得た。
上記の装置と条件を用いて得られたIn結晶よりなる薄膜のSn/In比は、0.031であった。Cl/In比は0.019であった。
【0030】
本発明の技術によって得た高圧相のIn結晶よりなる薄膜の電気特性を常圧相のIn結晶よりなる薄膜の電気特性と比較して得た結果は、移動度は常圧相の移動度の約1.29倍であり、キャリア濃度は0.91倍であり、比抵抗値は約0.86倍であった。これらの結果のまとめを表3に示す。
【0031】
表3.常圧相と高圧相のIn結晶の電気特性
【表3】
Figure 2004299963
【0032】
(比較例1)
成膜条件のうち、成膜温度を平均80℃高くする以外は、実施例1と同様にしてIn薄膜を得た。得られたIn薄膜の構造および特性を表3に示す。
【0033】
(実施例2)
本発明において、In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むIn薄膜材料の成膜が可能となる条件は、陽イオンサイト即ちInサイトに生じる引っ張り応力と陰イオンサイト即ちOサイトに生じる圧縮応力の協調による合成応力により、常圧相の結晶構造が不安定になり、高圧相に相転移を起こすことであることが、研究の結果明らかになった。ここで、引っ張り応力はIn原子に代わり、Inより小さなイオン半径のイオンが置換されることによって、陽イオンサイトの近傍に生じる応力のことであり、圧縮応力はOイオンに代わり、Oより大きなイオン半径のイオンが置換されることによって、陰イオンサイトの近傍に生じる応力のことである。この結果と考察にもとづき、ドーパントとしてSnとフッ素(F)をドープした研究を行った。
すなわち原料としてSnClとInFのアルコール水溶液を用いた以外は実施例1と同じ成膜法と成膜条件でIn薄膜を得た。
その結果、実施例1のSnとClをドープした場合と同様に、高圧相のIn薄膜が得られた。
【0034】
このようにして、本実施例においてIn結晶の高圧相の実現のためのメカニズムの正しさが証明された。従って、さらにInサイトにPb、Ge、Si、C、Ga、Al、B、原子を導入し、かつ酸素(O)もしくは酸素空孔サイトにS、Se、Te、もしくはBr、I原子を導入しても、同様な効果が得られることは明白である。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、大気圧下では得られないIn結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造を含むIn材料を大気圧下で作製する技術を提供する。この技術を使用すれば、通常用いられている常圧相のIn薄膜材料より低抵抗な薄膜材料を容易に得ることが出来る。また、本発明では、比較的簡便で安価な液相スプレー・ハイドロシス法を用いて、In結晶の高圧相の結晶構造を持つIn薄膜材料を作製するので、大面積で安価な低抵抗薄膜材料の製造に有効である。
また、本発明においては、常圧相のIn薄膜と高圧相のIn薄膜の作り分けは、成膜時の試料温度の制御によって可能であるために、常圧相のIn薄膜と高圧相のIn薄膜を交互に層状に成膜することによって、種々の物理的特性を持つ層状薄膜構造のIn薄膜の製造が容易に可能になるのも本発明の長所である。
【図面の簡単な説明】
【図1】In薄膜の製造装置の概略を示した図である。
【符号の説明】
010: 窒素フローメータと減圧器
020: 窒素ガス源
030: 原料フローメータとフイルター
040: 原料アルコール溶液
050: スプレーノッズル
060: 熱電対
070: 試料温度記録計
080: 温度コントローラ
090: ヒーター温度記録計
100: 風洞カバー
110: 試料

Claims (13)

  1. In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造のIn結晶を含むことを特徴とするIn材料。
  2. 空間群D 3d構造のIn結晶が、空間群D 3d構造のIn結晶のInサイトの一部にInのイオン半径とほぼ同等もしくはより小さなイオン半径の原子を有し、酸素サイトもしくは酸素空孔サイトの一部に酸素のイオン半径とほぼ同等もしくはより大きなイオン半径の原子を有することを特徴とする請求項1に記載のIn材料。
  3. 空間群D 3d構造のIn結晶が、空間群D 3d構造のIn結晶のInサイトの一部にPb、Sn、Ge、Si、C、Ga、Al、B原子のうちから選ばれた1種類もしくは1種類以上の原子を有し、かつ、酸素サイトもしくは酸素空孔サイト一部にS、Se、Te、F、Cl、Br,I原子のうちから選ばれた1種類もしくは1種類以上の原子を有することを特徴とする請求項1、2に記載のIn材料。
  4. In結晶の高圧相の結晶構造である空間群D 3d構造のIn結晶を含み、かつ常圧相の結晶構造である空間群T 構造もしくは明確な秩序を持たない構造の内1つ以上の構造のInを含むことを特徴とするIn材料。
  5. 請求項4のIn材料において、空間群D 3d構造のIn結晶を含むIn薄膜層と空間群T 構造のIn結晶を含む薄膜層が多層構造に配されたことを特徴とするIn材料。
  6. 請求項5のIn材料において、空間群D 3d構造のIn結晶を含むIn薄膜層および空間群T 構造のIn結晶を含む薄膜層が変化した状態で層状に配された薄膜構造より成ることを特徴とするIn材料。
  7. 請求項2および/又は3のIn材料の薄膜と常圧相の結晶構造である空間群T 構造のIn結晶を含むIn材料の薄膜が、多層構造に配されたことを特徴とするIn材料。
  8. 請求項2および/又は3のIn材料の薄膜と常圧相の結晶構造である空間群T 構造のIn結晶を含むIn材料の薄膜が、それぞれが変化した状態で層状に配されたことを特徴とするIn材料。
  9. 大気圧下のもとで請求項1〜8記載の構造からなる請求項1〜8記載のIn材料。
  10. 請求項1〜9のIn材料において、粒子サイズ10nm以下のInを含むことを特徴とするIn材料。
  11. 請求項1〜10のIn材料において、In材料内に不均一な機械的特性を持つことを特徴とするIn材料。
  12. 請求項1〜11までの記載のIn材料のうち、少なくとも1つを構成要素とすることを特徴とする半導体装置。
  13. 請求項12に記載の半導体装置の少なくとも1つを構成要素とすることを特徴とするシステム。
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