JP2002175733A - Ito透明導電膜形成用塗布液および透明導電膜の形成方法 - Google Patents
Ito透明導電膜形成用塗布液および透明導電膜の形成方法Info
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Abstract
抗率の非常に小さいITO透明導電膜を基体に形成する
手段の開発。 【構成】 塩化インジウムと塩化第1錫または塩化第2
錫を水、アルコール、または水−アルコール混合液のい
ずれかに溶解させた塗布液に界面活性剤を添加したこと
を特徴とするディツプコーティング法によるITO透明
導電膜形成用塗布液。界面活性剤は非イオン系界面活性
剤が好ましく、特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル系が好ましい。この塗布液を用い、ディツプ
コーティング法で基板に塗布した後焼成することによっ
て1回のディツプコーティングで厚さ15nm以下のI
TO膜を基板に形成する。この方法を2回以上繰り返し
て多層膜を形成することによって体積抵抗率が10-4Ω
・cmオーダーの非常に小さなITO透明導電膜を形成
することができる。
Description
クス等の基板上にITO透明導電膜を形成するのに適し
たディツプコーティング用塗布液および該塗布液を用い
た透明導電膜の形成方法に関する。
ス表示素子等の表示素子類の電極や自動車、航空機、建
築物等の窓ガラスの防曇、氷結防止のための発熱抵抗体
および太陽光等の赤外線遮へい膜において、可視光に対
して高透過率を有する透明導電性材料が使用されてい
る。
ンチモン−酸化錫系(ATO)や酸化インジウム−酸化
錫系(ITO)等が知られており、これらの金属酸化物
は、ガラス、セラミックス等の基板上に容易に皮膜を形
成し、透明導電膜とすることが出来る。透明導電膜の形
成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CV
D法、塗布法(ディツプコーティング法、スプレー法、
スピンコーティング法)等があり、対象とする基板、目
的とする膜物性に応じて選択されている。
明導電膜を作製するための塗布液としては、金属の有機
酸塩を有機溶媒に溶解させたものが多く用いられてい
る。また、無機金属塩を用いて塗布法により酸化インジ
ウムの膜を形成する方法として、塩化インジウムに塩化
スズを5mol%程度加えて水またはメタノールに溶解
したものを使用する方法も公知であるが、一般に、塩化
インジウムを使用した場合には、形成された膜が白濁す
る欠点が知られている。この白濁を防止するために、ス
プレー溶液にフッ化水素酸を添加してフッ化インジウム
系膜を形成する方法(特開昭51−75991号公報)
や、無機塩として硝酸インジウムを用いる方法(特開昭
55−51737号公報、特開昭63−9018号公
報)が工夫されている。
方法では、膜の導電性を向上させるために添加するスズ
原料として、「ハロゲン化スズたとえば塩化第二スズを
用いた場合には、透明導電膜としたときに、塩化スズが
蒸発したり、塩素が膜中に残って膜の導電性が悪くなり
好ましくない」として、それ以外の有機スズ化合物を用
いている。
アミノシランエステルを添加する方法が知られている
(特開平6−96687号公報)が、この方法では、原
料のアミノシランエステルに含まれる珪素が最終的に二
酸化珪素として大量に残存してこの中に酸化インジウム
の微粒子が分散して存在する透明膜となるため、体積抵
抗率は最低で2×104 Ω・cmと非常に大きい。
法またはスピンコーティング法等の塗布法は、平滑性の
高い高品質の透明導電膜を与え、大面積化に対応できる
方法として知られている。これらの方法で酸化インジウ
ム膜を形成する場合、その形成用原料としては、主に硝
酸インジウムが用いられているが、硝酸インジウムの場
合には、蒸発しにくい点では良いが、熱分解温度が高い
ので、優れた導電性が得られない。上記の特開昭55−
51737号公報に記載された硝酸インジウムを原料と
する方法では、1回の塗布の膜厚が最低で40nmの膜
を数回塗布して抵抗を小さくすることが開示されている
が、体積抵抗率は4.5×10-2Ω・cm程度と大き
い。
物形成反応が低温で進行することが望ましく、この点で
は塩化インジウムは好ましい。塩化インジウムは蒸発し
やすいために、スプレー法の原料として用いられてき
た。この方法では、加熱したガラス基板に対して塩化イ
ンジウムを含む水溶液やアルコール溶液等を噴霧するこ
とによって、塩化インジウムが気化し、周囲に存在する
酸素あるいは水蒸気と反応してガラス基板表面に酸化イ
ンジウム膜が生成する。
に塩化インジウムを含む溶液を塗布して、その後に加熱
しても通常は導電特性は得られない。また、塩化インジ
ウムを主原料とした場合には通常の方法では酸化インジ
ウム膜が白濁し、良好な薄膜の作製が困難であった。さ
らに、硝酸インジウムを含む溶液の場合には、基板との
濡れ性にそれ程の問題はないが、塩化インジウムを含む
水、アルコール溶液、または水−アルコール混合溶液は
ガラス基板との濡れ性が著しく悪く良好な導電特性が得
られない欠点がある。
布法(ディツプコーティング法、スピンコーティング法
等)用の原料として注目されていなかった。本発明は、
酸化物生成反応それ自体は比較的低温で進行する塩化イ
ンジウムを原料として用いて、体積抵抗率が10-3Ω・
cmのオーダー以下、より好ましくは10-4Ω・cmの
オーダー以下と非常に小さいITO透明導電膜をディツ
プコーティング法によって基体に形成することを目的と
する。
を解決すべく鋭意研究を行った結果、塩化インジウムを
水、アルコール溶液、または水−アルコール混合液に溶
解した塗布液によって形成された塗布膜は、酸素または
水蒸気が存在する雰囲気で加熱した場合に、熱力学的に
は酸化インジウムが安定であるが、膜が厚い場合には酸
化反応は膜の表面に限定され、膜内部では未反応の塩化
インジウムが残存し、これが蒸発するので緻密な酸化膜
が形成されないことが分かった。そして、膜の白濁の原
因は膜が多孔質であることと、さらに膜を構成する粒子
が光の波長と同程度なために光散乱を起こすことを確認
した。
液に界面活性剤を添加して基板とのなじみを改善し、1
回のディツプコーティングで得られる膜を非常に薄く
し、この薄い膜を焼成した場合に塩化インジウムの大部
分が酸化物形成に使われるようにすることによって、未
反応の塩化インジウムの蒸発による膜質低下が認められ
ない導電性膜が得られることを見出し本発明を完成し
た。
化第1錫または塩化第2錫を水、アルコール、または水
−アルコール混合液のいずれかに溶解させた塗布液に界
面活性剤を添加したことを特徴とするディツプコーティ
ング法によるITO透明導電膜形成用塗布液である。界
面活性剤としては、非イオン系界面活性剤が好ましく、
特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系は
多層膜の体積抵抗率を小さくする上で好ましい界面活性
剤である。
ィツプコーティング法で基板に塗布した後焼成すること
によって1回のディツプコーティングで厚さ15nm以
下のITO膜を基板に形成することを特徴とするITO
透明導電膜の形成方法である。
り返して多層膜を形成することを特徴とするITO透明
導電膜の形成方法である。
濡れ性を改善し、かつ塩化インジウムの気化を防止する
ことによって、良好な導電特性を得ることができる。本
発明の方法で得られた比較的に厚い多層膜中に塩化イン
ジウムの残存は認められない。
膜形成用塗布液および該透明導電膜の形成方法について
詳細に説明する。従来、塩化インジウム(InC
l3 )、硝酸インジウム、硫酸インジウム等の無機イン
ジウム化合物が塗布法に用いられているが、本発明の塗
布液は塩化インジウムを用いる。塩化インジウムは、さ
らに結晶水を有しているものが好ましい。塩化インジウ
ムは酸化物生成反応が比較的低温で進行する利点があ
る。
l2 )、塩化第二錫(SnCl4 )、硫酸錫等が挙げら
れ、さらに、塩化インジウムと同様、結晶水を有してい
るものが好ましい。InCl3 にSnCl2 またはSn
Cl4 を加えた溶液は溶質中のスズ濃度が高くなるにつ
れて基板との濡れ性が良くなり、均一な塗布が可能とな
って導電性の膜が得られるようになるが、スズ濃度が低
い場合は導電性の膜が得られない。
る界面活性剤の種類によって異なるが、界面活性剤とし
てアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(商品名K
ソフト等)を添加した塗布液の場合は、SnCl2 の場
合、その量がSn/(In+Sn)で示す原子数比で1
0at%以上、SnCl4 の場合、その量がSn15a
t%以上であれば、導電性の膜が得られる。
ル、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げら
れ、これらを単独若しくは混合して使用することが出来
る。
系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面
活性剤、両性界面活性剤等を使用できる。ノニオン系界
面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリ
コールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコ
ール、ポリオキシアルキレングリコールアルキルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシアルキレンアセチレングリコール、ポ
リオキシアルキレングリコールアルキルアミン、アルキ
ロールアマイド等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコ
ハク酸塩、ポリオキシアルキレングリコールアルキルエ
ーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。
えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アル
キルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミンオ
キサイド型等が挙げられる。上記の界面活性剤は1種ま
たは2種以上の組み合わせで使用する。
で、好ましくは0.2〜5g/Lである。0.1重量%
未満では基板への濡れ性が向上しないため均一な膜が出
来ず、溶質のSn含有量が少ない場合に導電性が発現し
ない。一方、10g/L以上使用しても効果の向上は期
待できない。非イオン界面活性剤の場合は、導電性の膜
が得られる添加濃度範囲が広く、それ以外の界面活性剤
ではその領域が狭いか、溶質のSn含有量が少ない場合
に導電性の膜が得られない。
形成用塗布液を用いて通常の方法で基板にディツプコー
ティングする。基板に塗布し、乾燥した後、焼成して透
明導電膜を形成する。焼成は、はじめに空気中で焼成し
て酸化物膜を形成し、次に酸素分圧の低い雰囲気、すな
わち真空中、不活性ガス(純窒素中、純アルゴン中)、
あるいは不活性ガスに還元性ガス(水素、一酸化炭素
等)を混合したガス中で焼成して酸化物膜をわずかに還
元して導電性を向上させることが望ましい。焼成温度と
しては塗布液が分解する温度以上で、且つ、基板の変形
温度以下であればよく、400〜700℃が好ましい。
いて、1回のディツプコーティングで得られるITO膜
厚は約15nm以下とすることが好ましく、そうするこ
とにより基板に塗布された塩化インジウムの大部分が酸
化物形成に使われ、塩化インジウムの蒸発による膜質低
下がない。
速いと厚い膜が得られる。1回のディツプコーティング
で得られる膜厚を約15nm以下とするには、引き上げ
速度を30cm/min以下とするとよい。
復する工程によって膜厚が増加すると、体積抵抗率が低
下、すなわち膜質が向上する。例えば、本発明の塗布液
を用いて塗布と空気中焼成を10回反復し、その後に水
素を含む窒素ガス中で加熱処理をすると、体積抵抗率3
×10-4Ω・cmの透明導電膜を得ることができる。こ
れは、上記の特開昭55−51737号公報の実施例2
に記載された多層膜の体積抵抗率に比べて約2桁も小さ
い抵抗率である。
明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。 (実施例1)金属成分の合計が約0.1mol/L、金
属成分中のスズ濃度が5at%となるように塩化インジ
ウム(InCl3 ・3.5H2 O、高純度化学研究所、
純度99.99%)、無機スズ化合物として塩化第一錫
(SnCl2 ・2H2 O、高純度化学研究所、純度9
9.9%)をエタノール50mLに溶解し5時間攪拌し
た。上記の塗布液にペポールBS−184(東邦化学工
業(株)製 ポリアルキレングリコール系)を約2.5
g/L%添加し、さらに混合、溶解させ、透明導電膜形
成用塗布液を調製した。
(フルウチ化学(株)セミコクリーン56)中で10分
間超音波洗浄し、イオン交換水で数回洗浄した。その後
沸騰アセトン中で10分間保持して引き上げ自然乾燥し
た。上記の塗布液に洗浄したガラス基板を浸し、引き上
げ速度30cm/minで引き上げた。その後箱形炉
(大気中)で600℃、30分焼成し、更に管状炉(窒
素中)で600℃まで10℃/minの速度で加熱し、
そのまま1時間保持した。
一錫(金属成分中のスズ濃度5at%)、界面活性剤と
してソルボンT−80(東邦化学工業(株)製ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル系)を3.6g/
L用いた。他は実施例1と同様とした。
T−8(東邦化学工業(株)製ポリアルキレングリコー
ルアルキルエーテル系)を6.2g/L用いた。他は実
施例1と同様とした。
ノールRD−72O(東邦化学工業(株)製ポリアルキ
レングリコールアルキルエーテルリン酸エステル塩系)
を1.9g/L用いた。他は実施例1と同様とした。
くり返した。他は実施例1と同様とした。
回くり返した。他は実施例1と同様とした。
回くり返した。他は実施例1と同様とした。
た。他は実施例1と同様とした。
示す。膜の評価は、蛍光X線、抵抗(四探針法)、分光
透過率によって実施した。界面活性剤を添加していない
比較例1の場合、濡れ性が悪くガラス基板に均一な塗布
ができなかった。界面活性剤を添加しない比較例では塗
布溶液の複数回塗布はできなかったが、界面活性剤を添
加した実施例5、6、7では多層膜を得ることができ
た。
20〜820nmの平均が約90%であり、ガラス基板
と同程度であった。これは、膜厚が薄く(約15nm以
下)吸収が少ないためと思われる。界面活性剤を少量
(約0.7g/L以上)添加すると濡れ性が向上した。
最も低い体積抵抗率を示したのはペポールBS−184
を約2.54g/l添加した塗布液を用いた実施例1の
場合で、窒素中焼成処理後の体積抵抗率は6.0×10
-3Ω・cmであった。
剤の代わりにKソフト(主成分:アルキルエーテル硫酸
エステルナトリウム)を1.1g/L添加した。上記の
塗布液に洗浄したガラス基板を浸し、引き上げ速度10
cm/minおよび28cm/minで引き上げた。そ
の後、箱型炉(大気中)で約600℃、30分間焼成し
た。この塗布と焼成を4回繰り返した後に、管状炉(窒
素中)で600℃まで10℃/minの速度で加熱し、
そのまま1時間保持した。
りにソルボンT−80(東邦化学工業(株)製ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル系)を3.6g/
L添加した。他は実施例8と同様とした。
(実線)の膜厚の塗布回数依存性を示す。膜厚はおおむ
ね塗布回数に比例し、またディツプコーティング時の引
上げ速度が速いと厚い膜が得られた。
(白丸)の体積抵抗率の膜厚依存性を示す。塗布回数が
増すにつれて、体積抵抗率は低下した。特に1層目と2
層目との差が顕著であり、これは1層目では覆いきれて
いなかった基板を2層目で完全に被覆したため、より均
一な膜となって大幅な導電性向上が見られたのだと思わ
れる。
少した理由としては、膜厚が増えるにつれて結晶性が向
上することも考えられる。実施例8の場合、1層目では
導電性の膜が得られていない。実施例9の場合には、1
層(膜厚6〜15nm)で10-2Ω・cm台の膜が得ら
れ、多層化により空気中焼成のみでも2×10-3Ω・c
m程度のさらに低抵抗率の膜が得られた。
いて4層膜とした場合で、窒素中熱処理後の体積抵抗率
は6.5×10-4Ω・cm(膜厚51.8nm、可視光
透過率平均82.3%)であった。この値はディツプコ
ーティング膜としては世界的にトップレベルの値であ
る。図3に、実施例9で得られた膜の可視光透過率(4
20〜820nmの平均値)の膜厚依存性を示す。膜厚
が増えるにつれて、可視光透過率平均は減少した。
ることにより、表示素子や発熱抵抗体等の透明電極ある
いは赤外線遮蔽膜等の製造に好適な導電性と可視領域に
おける光透過性に優れたITO透明導電膜を容易にかつ
比較的安価にディツプコーティング法で得ることが出来
る。
の塗布回数依存性を示すグラフである。
抵抗率の膜厚依存性を示すグラフである。
依存性を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 塩化インジウムと塩化第1錫または塩化
第2錫を水、アルコール、または水−アルコール混合液
のいずれかに溶解させた塗布液に界面活性剤を添加した
ことを特徴とするディツプコーティング法によるITO
透明導電膜形成用塗布液。 - 【請求項2】 界面活性剤が非イオン系界面活性剤であ
ることを特徴とする請求項1記載のITO透明導電膜形
成用塗布液。 - 【請求項3】 界面活性剤がポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル系であることを特徴とする請求項2
記載のITO透明導電膜形成用塗布液。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の塗布
液を用い、ディツプコーティング法で基板に塗布した後
焼成することによって1回のディツプコーティングで厚
さ15nm以下のITO膜を基板に形成することを特徴
とするITO透明導電膜の形成方法。 - 【請求項5】 請求項4記載の方法を2回以上繰り返し
て多層膜を形成することを特徴とするITO透明導電膜
の形成方法。
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