JP2004296787A - 放熱シート - Google Patents

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JP2004296787A
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Kazuichi Yamazaki
和一 山崎
Osamu Kato
修 加藤
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Abstract

【課題】集積回路等の電子部品に配設され、その電子部品からの発熱を効率よく放散する放熱シートに関し、高柔軟性、高熱伝導性を保持したまま取り扱い性を高めた放熱シートを提供することを課題とする。
【解決手段】熱伝導性材料を結合剤で結合させた2層構造の放熱シートであって、一方の層のアスカーC硬度と他方の層のアスカーC硬度の硬度差が21〜50であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集積回路等の電子部品に配設され、その電子部品からの発熱を効率よく放散する放熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体素子等の発熱性電子部品を用いる電子装置においては、通電により半導体素子が発熱し、この発熱により半導体素子の電気的特性が変化し、或いは半導体素子を設けた基板に熱ストレスを与えるなどの問題がある。
【0003】
これらの問題を解決するため、基板上に設けた半導体素子と放熱部材との間に介在させる熱伝導性を有する放熱シートが開発されている。このような放熱シートを介在させることで、半導体素子の発熱が放熱シートを介して放熱部材に伝達され、放熱部材から大気中に放熱されることになる。
【0004】
この放熱シートは、表面にそれぞれ微小な凹凸を有する半導体素子と放熱部材との間に形成される空間を埋めて、半導体素子から放熱部材への熱伝導を高めることにも役立っている。
【0005】
このような放熱シートにあっては、実装時の押圧によって発熱性電子部品を損傷させないように、アスカーC硬度50未満のきわめて柔らかいものが使用されているが、取り扱い性が悪く、それを改善するため、下記特許文献1乃至3のように、予め形成しておいた補強層に柔らかい層を積層したものや、柔らかい層の内部に織物を入れた特許出願もなされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−196453号公報
【特許文献2】
特開平6−155517号公報
【特許文献3】
特許第3283454 号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1乃至3の技術では、放熱シートとして使用する上で、取り扱い性と柔軟性及び熱伝導性をすべて満足させることができないという問題点があった。
【0008】
また柔らかい層の内部に織物を入れたものは、織物が伸びないため、前記同様柔軟性が低下するおそれがある。
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、高柔軟性、高熱伝導性を保持したまま取り扱い性を高めた放熱シートを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その課題を解決するための手段は、放熱シートを、粉末状又は粒状の熱伝導性材料を結合剤で結合させた2層構造とし、一方の層のアスカーC硬度と他方の層のアスカーC硬度の硬度差を21〜50としたことである。
【0011】
本発明においては、予め形成しておいた補強層(一方の層)に柔らかい層(他方の層)を積層したもので、柔らかい層と補強層のアスカーC硬度が50程度以上ある場合、伸びも大きく異なっているため、放熱シートの実装時に押圧がかかって横方向に広げられた時に、伸びの小さな補強層が抵抗となって広がりを抑制し、柔軟性が大幅に低下する。一方、柔らかい層と補強層のアスカーC硬度の硬度差が20以下である場合、柔軟性は確保できるが、全体の厚みが薄くなると取り扱い性が大幅に低下する。
【0012】
そこで、本発明においては、上記のように一方の層のアスカーC硬度と他方の層のアスカーC硬度の硬度差を21〜50としたのである。これにより、柔軟性と熱伝導性を犠牲にすることなく、さらにシート全体の厚さにかかわらず、取り扱い性に優れたシートが得られることとなる。
【0013】
ここで、1方の層のアスカーC硬度は40〜60とし、他方の層のアスカーC硬度は5〜25とすることが好ましい。
1方の層のアスカーC硬度を40〜60とするのが好ましいのは、40より小さいと、放熱シートの取り扱い性が確保するのが困難になるおそれがあり、60を超えると放熱性能を確保するのが困難になるおそれがあるからである。
また、他方の層のアスカーC硬度を5〜25とすることが好ましいのは、5より小さいと、放熱シートの取り扱い性が確保するのが困難になるおそれがあり、25を超えると放熱性能を確保するのが困難になるおそれがあるからである。
【0014】
熱伝導性材料としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化チタン等の金属酸化物、酸化ケイ素等のケイ素酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、銅、亜鉛等の金属粉末、人工ダイヤモンド等の公知の熱伝導性樹脂組成物に用いられるものが例示される。
【0015】
さらに、これら熱伝導材料の大きさとしては、粒径数μm までの微粉末状から粒径数mm程度の顆粒状の熱伝導材料が例示される。また、これら熱伝導材料の形状は、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状等のいかなるものでもよい。
【0016】
熱伝導性材料を結合する結合剤は、熱電導性材料を所定の結合強度で結合できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的にはシリコーンゲル、アクリルゲル等のゲル、天然ゴム又は合成ゴム、天然樹脂又は合成樹脂等の高分子材料が挙げられる。ただし、本発明の放熱シートには高柔軟性が要求されるので、その観点からはエラストマーを用いるのが好ましい。
【0017】
ここで、合成ゴムとしては、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0018】
また樹脂としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0019】
熱伝導材料と結合剤との配合割合は特に限定されるものではないが、結合剤100 重量部に対して熱伝導性材料の配合割合が300 〜1600重量部の範囲とすることが好ましく、これより少ないと放熱特性を高める効果が乏しくなるおそれがあり、これより多いと強度が不足したり成形性が低下するおそれがあるので好ましくない。従って、これらの観点より、結合剤100 重量部に対して熱伝導性材料の配合割合が400 〜800 重量部の範囲とするのが最も好ましい。
【0020】
熱伝導性材料と結合剤とは、ディスパー、ホモミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロール、ボールミル、サンドミル等の混合機により均一に混合させた後、コーティング成形、押出成形、カレンダー成形、プレス成形等の公知の成形技術により、フィルム状、薄板状、板状等に形成される。
【0021】
尚、本発明の放熱シートを構成する層には、放熱性に大きな影響を与えない程度であれば、難燃剤、着色剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、架橋剤、架橋促進剤、適宜・適量配合しても良いのである。
【0022】
放熱シートの厚み方向に前記硬さの異なる2層のシートを得るためには、架橋密度及び熱伝導性材料の配合量を変えて、固化後の硬度が異なる2種類の配合液を前記公知の混合方法により調整し、真空下で脱泡後、前記公知の成形技術により成形固化を順次行うことにより得られる。
【0023】
アスカーC硬度が40〜60の層の厚さは、シート全体の5〜60%が好ましい。60%以上になると柔軟性が犠牲になり易く、発熱性電子部品を損傷させたり、熱伝導性が損なわれる可能性がある。一方、5%未満になると、取り扱い性が悪くなり好ましくない。
【0024】
放熱シートの全体の厚さは特に限定されないが、0.05〜10mmとするのが好ましい。厚さが0.05mm未満と薄くなりすぎると取り扱い性が悪くなり好ましくなく、10mmを超えると分厚くなりすぎて当該シートも切断加工、打ち抜き加工等の加工性が悪くなるので好ましくない。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0026】
(実施例1)
本実施例では、結合剤としてシリコーンA剤(GE東芝シリコーン社製XE14−B1057A:H−Si基を有するオルガノポリシロキサン)とシリコーンB剤(GE東芝シリコーン社製XE14−B1057B:H−Si基を有するオルガノポリシロキサン)を用い、熱伝導性材料として平均粒径10μm のアルミナ(昭和電工社製AS50)を用い、これらをミキサーを用いて均一になるまで混練りし、コーティング成形により1層目を、順に2層目を重ねて、150 ℃で5分間加熱し、それぞれの層が0.25mmとなるように形成した。
【0027】
1層目、2層目ともに、シリコーンA剤とシリコーンB剤とからなる結合剤100 重量部に対し、熱伝導性材料(アルミナ)の配合量は400 重量部とした。尚、1層目ではシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を30:70とし、2層目では両者の配合比を51:49とした。
【0028】
(実施例2)
本実施例では、1層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を35:65とし、2層目の配合比を50:50とした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、シリコーンに対するアルミナの配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。また1層目及び2層目の層の厚みも実施例1と同じとした。
【0029】
(実施例3)
本実施例では、1層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を35:65とし、2層目の配合比を48:52とした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、結合剤(シリコーン)に対する熱伝導性材料(アルミナ)の配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。また1層目及び2層目の層の厚みも実施例1と同じとした。
【0030】
(比較例1)
1層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を20:80とし、2層目の配合比を50:50としたものを比較例1とした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、結合剤(シリコーン)に対する熱伝導性材料(アルミナ)の配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。また1層目及び2層目の層の厚みも実施例1と同じとした。
【0031】
(比較例2)
1層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を48:52とし、2層目の配合比を50:50としたものを比較例2とした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、結合剤(シリコーン)に対する熱伝導性材料(アルミナ)の配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。また1層目及び2層目の層の厚みも実施例1と同じとした。
【0032】
(実施例4)
本実施例では、上記実施例1〜3、比較例1,2ですべて一律であったシートの厚み(1層目と2層目の層の厚み)を変えて放熱シートを製造した。すなわち、本実施例では、1層目の厚みを0.3mm とし、2層目の厚みを0.2mm とした。
また、1層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を35:65とし、2層目の配合比を50:50とした。シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、シリコーンに対するアルミナの配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。
【0033】
(実施例5)
本実施例では、シートの1層目の厚みを0.1mm とし、2層目の厚みを0.4mm とした。1層目及び2層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比は実施例4と同じとした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、シリコーンに対するアルミナの配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。
【0034】
(実施例6)
本実施例では、シートの1層目の厚みを0.05mmとし、2層目の厚みを0.45mmとした。1層目及び2層目のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比は実施例4と同じとした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、シリコーンに対するアルミナの配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。
【0035】
(比較例3)
上記各実施例がすべて2層でシートが構成されていたのに対し、1層のみでシートを構成したものを比較例3とした。その層のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比は35:65とした。シートの厚みは0.5mm とした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、シリコーンに対するアルミナの配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。
【0036】
(比較例4)
比較例3と同様に1層のみでシートを構成し、その層のシリコーンA剤とシリコーンB剤との配合比を50:50としたものを比較例4とした。シートの厚みは比較例4と同様に0.5mm とした。
シリコーンA剤、シリコーンB剤、アルミナは実施例1と同じものを用い、シリコーンに対するアルミナの配合比も実施例1と同じとし、実施例1と同様の方法で放熱シートを製造した。
【0037】
上記各実施例及び比較例のようにして得られた放熱シートについて、熱伝導率、アスカーC硬度、取り扱い性、熱抵抗を測定した。
【0038】
熱伝導率は、ホロメトリックス(Holometrix)社TCA−200 LT−Aを用い、ASTM−E−1530(測定温度60℃)の保護熱流法で測定した。尚、すべての実施例及び比較例で熱伝導率が1.0 となるようにした。
【0039】
アスカーC硬度は、試料を重ねて12mmの厚みとし、アスカーC硬度計により、荷重1kgf で測定した。
【0040】
取り扱い性は、指触により判定した。内容は、以下のとおりである。
○:取り扱い性が良く、手で持ち上げても変形しない。
×:取り扱い性が悪く、手で持ち上げると変形する。
【0041】
熱抵抗は、放熱シートをTO−3型トランジスタと放熱器との間に挟み、50N/cmの圧力で圧縮させ、トランジスタに20Wの電力をかけて5分間保持し、トランジスタと放熱器の温度差を測定し、次式に従い熱抵抗を算出した。
熱抵抗(℃/W)=温度差(℃)/電力(W)
【0042】
試験結果を表1及び表2に示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004296787
【0044】
【表2】
Figure 2004296787
【0045】
表1及び表2からも明らかなように、1層目と2層目のアスカーC硬度の硬度差が21〜50となる実施例1乃至6では、いずれも取り扱い性が良く、また熱抵抗も0.7 以下で放熱特性に支障を生じさせないものであった。
【0046】
これに対して比較例2及び比較例4は、取り扱い性の悪いものであった。
【0047】
一方、比較例1及び比較例3は、取り扱い性は悪くはなかったが、比較例1は熱抵抗が0.8 以上、比較例3は1.0 以上で、いずれも放熱シートとして使用する上での放熱特性が十分ではないと認められる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、高柔軟性、高熱伝導性を保持したまま取り扱い性を高めた放熱シートが提供されるという効果がある。

Claims (4)

  1. 熱伝導性材料を結合剤で結合させた2層構造の放熱シートであって、一方の層のアスカーC硬度と他方の層のアスカーC硬度の硬度差が21〜50であることを特徴とする放熱シート。
  2. 1方の層のアスカーC硬度が40〜60であり、他方の層のアスカーC硬度が5〜25である請求項1記載の放熱シート。
  3. 結合剤100 重量部に対して、熱伝導性材料が300 〜1600重量部配合されている請求項1又は2記載の放熱シート。
  4. アスカーC硬度40〜60の層の厚みが全体の厚みの5〜60%である請求項1乃至3のいずれかに記載の放熱シート。
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