JP2004294881A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のカメラは、発光手段4と、受光手段5と、クランプ手段13と、出力比信号を出力する演算手段14と、出力比信号を距離に応じた距離信号又は所定の一定値の距離信号に変換する変換手段15と、外光輝度を測定する輝度測定手段と、輝度測定手段により測定された外光輝度が、所定の切替輝度よりも低い場合にはレンズの絞り値を開放絞り値とする制御を行い、所定の切替輝度以上の場合にはレンズの絞り値を輝度の増加に応じて増加させる制御を行う露出制御手段と、を備え、最遠判別距離に対応する第一AF信号値と、切替輝度に対応する第二AF信号値のうち、より近距離に対応する方が最遠判定しきい値として設定されていること、を特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測距装置を備えたカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アクティブ型の測距装置を備えたカメラとして、特開平02−067529号公報に開示されたカメラが知られている。図15はこの測距装置における測距対象物との距離と距離信号の関係(測距特性)を表すグラフであり、図中の破線がピントぼけの許容範囲を意味する許容錯乱円範囲の限界を表している。また、この破線の縦軸方向の幅がその距離における焦点深度の深さを意味する。このカメラは測距装置で測定した距離の遠近によってカメラ側の露光制御用プログラムを切替えさせることで遠距離での精度の低さを補うこととしている(図15参照)。
【0003】
すなわち、このカメラは、十分な測距精度が確保できる近距離(図15の1/L=0.13よりも近距離側)においては第一の露光制御用プログラムを用いてレンズの絞りを開放しているが、測距精度が悪い遠距離(同図の1/L=0.13よりも遠距離側)においては第二の露光制御用プログラムを用い、レンズの絞りを絞ることによって焦点深度を深くしてピントぼけを防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開平02−067529号公報
【特許文献2】
特開平10−281756号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記カメラではレンズの絞りを絞った遠距離側においてシャッタ速度が遅くなり撮影性能に支障がでてしまう。とくに開放F値の暗いカメラやAF投光ビームの弱いカメラにおいてはさらにこの問題が大きい。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決し、カメラのシャッタ速度を確保しつつ適切に最遠判定を行い適切な合焦制御をすることができるカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のカメラは、測距対象物に向けて光束を出力する発光手段と、測距対象物に投光された光束の反射光を測距対象物までの距離に応じた受光位置で受光し、その受光位置に基づいて、受光光量が一定であれば距離が遠いほど大きな値である遠側信号と、受光光量が一定であれば距離が近いほど大きな値である近側信号とを出力する受光手段と、遠側信号を入力してクランプ信号のレベルと大小比較し、遠側信号のレベルがクランプ信号のレベル以上の場合には遠側信号をそのまま出力し、そうでない場合にはクランプ信号を出力するクランプ手段と、近側信号とクランプ手段から出力された信号との比を演算して出力比信号を出力する演算手段と、出力比信号が最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号である場合には出力比信号を距離に応じた距離信号に変換し、最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号でない場合には所定の一定値の距離信号に変換する変換手段と、外光輝度を測定する輝度測定手段と、輝度測定手段により測定された外光輝度が、フィルム感度に対応して定められる所定の切替輝度よりも低い場合にはレンズの絞り値を開放絞り値とする制御を行い、所定の切替輝度以上の場合にはレンズの絞り値を輝度の増加に応じて増加させる制御を行う露出制御手段と、を備え、測距可能な限界の距離として設定される最遠判別距離に対応する第一AF信号値と、切替輝度に対応する第二AF信号値のうち、より近距離に対応する方が最遠判定しきい値として設定されていること、を特徴とする。
【0008】
カメラの製品バラツキ等により、第二AF信号値が第一AF信号値よりも大きくなってしまう場合があるが、この場合上記測距装置によれば第二AF信号値の方を最遠判定しきい値として設定する。よって、得られたAF信号値がノイズとAF信号が判別できる距離以上に遠距離であった場合には設計値の最遠判別距離以下であっても必ず最遠判定がなされ、変換手段によって所定の一定値の距離信号に変換されることとなるので適切な最遠判定を行うことができる。よって、適切な最遠判定をすることができるとともに、許容できないほどの測距誤差が防止でき、適切な合焦が可能である。
【0009】
また、本発明のカメラは、測距対象物に向けて光束を出力する発光手段と、 測距対象物に投光された光束の反射光を、測距対象物までの距離に応じた受光位置で受光し、その受光位置に基づいて、受光光量が一定であれば距離が遠いほど大きな値である遠側信号と、受光光量が一定であれば距離が近いほど大きな値である近側信号とを出力する受光手段と、遠側信号を入力してクランプ信号のレベルと大小比較し、遠側信号のレベルがクランプ信号のレベル以上の場合には遠側信号をそのまま出力し、そうでない場合にはクランプ信号を出力するクランプ手段と、近側信号とクランプ手段から出力された信号との比を演算して出力比信号を出力する演算手段と、出力比信号が最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号である場合には出力比信号を距離に応じた距離信号に変換し、最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号でない場合には所定の一定値の距離信号に変換する変換手段と、外光輝度を測定する輝度測定手段と、輝度測定手段により測定された外光輝度が、フィルム感度に対応して定められる所定の切替輝度よりも低い場合にはレンズの絞り値を開放絞り値とする制御を行い、それ以外の場合にはレンズの絞り値を輝度の増加に応じて増加させる制御を行う露出制御手段と、を備え、切替輝度に対応する第二AF信号値が最遠判定しきい値として設定され、かつ、最遠セット距離に対応する距離信号値である最遠距離信号値が、最遠判定がなされる距離のうち最至近の距離である最遠判別距離における許容錯乱円範囲内に対応する距離信号値の範囲内にあることを特徴とする。
【0010】
第二AF信号値を最遠判定しきい値として設定した場合には、最遠判定がされた場合において許容錯乱円の範囲をはみ出しやすくなる傾向にあるが、上記カメラでは、最遠セット距離に対応する距離信号値である最遠距離信号値が、最遠判定がなされる距離のうち最至近の距離である最遠判別距離における許容錯乱円範囲内に対応する距離信号値の範囲内にあるので、許容できる範囲の測距誤差しか発生しなくなる。よって、適切な最遠判定をすることができるとともに、許容できないほどの測距誤差が防止でき、適切な合焦が可能である。ここで許容錯乱円の範囲とは、あらかじめ設計された、測距誤差による距離誤差、AF信号、距離信号の誤差の許容範囲のことをいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るカメラの好ましい実施の形態について詳説する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明が適用されたカメラの正面斜視図である。同図に示すようにカメラ10には、被写体像を銀塩フイルムに結像する撮影レンズを備えたズームレンズ鏡胴13と、ストロボ光が発光されるストロボ発光窓16と、撮影者が被写体を確認するファインダ窓18と、被写体距離を測定するアクティブタイプのAFセンサが内蔵されているAF窓22と、被写体の明るさを測定する測光センサが内蔵されている測光窓25と、撮影者がシャッタレリーズを指示する際に操作するシャッタボタン34等が設けられている。
【0013】
図2は、カメラ10の背面斜視図である。同図に示すようにカメラ10には、設定されている撮影モード等や日付情報等を表示するLCD表示パネル38と、ストロボの発光モードを設定するフラッシュボタン42と、セルフタイマーのモードを設定するセルフタイマーボタン44と、日付や時刻を設定する日付ボタン48と、撮影画角をワイド方向又はテレ方向に指示するズームボタン50とが設けられている。
【0014】
図3は実施形態に係るカメラが備えた測距装置の構成図である。CPU1は、この測距装置を備えるカメラ全体を制御するものであり、EEPROM2に予め記憶されているプログラムおよびパラメータに基づいて、この測距装置を含むカメラ全体を制御する。この図に示す測距装置においては、CPU1は、ドライバ3を制御してIRED4からの赤外光の出射を制御するとともに、ドライバ3に供給される電源電圧(或いは、ドライバ3からIRED4に供給される駆動電流から求められる電源電圧)の値を入力する。また、CPU1は、自動焦点用IC(以下「AFIC」という。)10の動作を制御するとともに、AFIC10から出力されるAF信号を入力する。さらに、CPU1は、測光センサ71により測定された外光輝度の値を入力し、また、温度センサ72により測定された温度の値を入力する。なお、電源電圧については、ドライバ3やIRED4に限らず、電池の電圧を直接に測定してもよいし、他の構成部品に供給される電圧を測定してもよい。
【0015】
IRED4から出射された赤外光は、IRED4の前面に配された投光レンズ(図示せず)を介して測距対象物に投光され、その一部が反射され、そして、その反射光は、PSD5の前面に配された受光レンズ(図示せず)を介してPSD5の受光面上の何れかの位置で受光される。この受光位置は、測距対象物までの距離に応じたものである。そして、PSD5は、その受光位置に応じた2つの信号I1およびI2を出力する。信号I1は、受光光量が一定であれば距離が近いほど大きな値である近側信号であり、信号I2は、受光光量が一定であれば距離が遠いほど大きな値である遠側信号であり、信号I1およびI2の和は、PSD5が受光した反射光の光量を表し、出力比(I1/(I1+I2))は、PSD5の受光面上の受光位置すなわち測距対象物までの距離を表す。そして、近側信号I1は、AFIC10のPSDN端子に入力し、遠側信号I2は、AFIC10のPSDF端子に入力する。ただし、実際には、外界条件により近側信号I1および遠側信号I2それぞれに定常光成分I0が付加された信号がAFIC10に入力される場合がある。
【0016】
AFIC10は、集積回路(IC)であって、第1信号処理回路11、第2信号処理回路12、クランプ回路13、演算回路14および積分回路15から構成される。第1信号処理回路11は、PSD5から出力された信号I1+I0を入力し、その信号に含まれる定常光成分I0を除去して、近側信号I1を出力するものであり、また、第2信号処理回路12は、PSD5から出力された信号I2+I0を入力し、その信号に含まれる定常光成分I0を除去して、遠側信号I2を出力するものである。
【0017】
クランプ回路13は、第2信号処理回路12から出力された遠側信号I2を入力し、或る一定レベルのクランプ信号Icおよび遠側信号I2それぞれのレベルを大小比較し、前者が大きいときにはクランプ信号Ic を出力し、そうでないときには遠側信号I2をそのまま出力する。以下では、このクランプ回路13から出力される信号をI2cで表す。ここで、クランプ信号Ic は、図7で示す距離L4 に対応する遠側信号I2のレベルと略同じレベルとする。
【0018】
演算回路14は、第1信号処理回路11から出力された近側信号I1と、クランプ回路13から出力された信号I2c(遠側信号I2 およびクランプ信号Ic の何れか)とを入力し、出力比(I1/(I1+I2c))を演算し、その結果を出力する。積分回路15は、その出力比を入力し、AFIC10のCINT 端子に接続された積分コンデンサ6とともに、その出力比を多数回積算し、これによりS/N比の改善を図る。そして、その積算された出力比は、AF信号としてAFIC10のSOUT端子から出力される。
【0019】
CPU1は、AFIC10から出力されたAF信号を入力し、所定の演算を行ってAF信号を距離信号に変換し、その距離信号をレンズ駆動回路7に送出する。レンズ駆動回路7は、その距離信号に基づいて撮影レンズ8を合焦動作させる。なお、CPU1におけるAF信号から距離信号への変換演算については後述する。
【0020】
次に、AFIC10の第1信号処理回路11、クランプ回路13および積分回路15について、より具体的な回路構成について説明する。図4は、本実施形態に係る測距装置における第1信号処理回路11および積分回路15の回路図である。また、図5は、本実施形態に係る測距装置におけるクランプ回路13の回路図である。なお、第2信号処理回路12も、第1信号処理回路11と同様の回路構成である。
【0021】
第1信号処理回路11は、その回路図が図4に示されており、PSD5から出力された定常光成分I0を含む近側信号I1を入力し、これに含まれる定常光成分I0を除去して、近側信号I1を出力するものである。PSD5の近距離側端子から出力される電流(I1+I0)は、AFIC10のPSDN端子を経て、第1信号処理回路11のオペアンプ20の−入力端子に入力される。オペアンプ20の出力端子はトランジスタ21のベース端子に接続されており、トランジスタ21のコレクタ端子は、トランジスタ22のベース端子に接続されている。トランジスタ22のコレクタ端子には、オペアンプ23の−入力端子が接続され、このコレクタ端子の電位が演算回路14に接続されている。さらに、トランジスタ22のコレクタ端子には圧縮ダイオード24のカソード端子が、また、オペアンプ23の+入力端子には圧縮ダイオード25のカソード端子がそれぞれ接続されており、これら圧縮ダイオード24および25それぞれのアノード端子には第1基準電源26が接続されている。
【0022】
また、AFIC10のCHF端子には定常光除去コンデンサ27が外付けされており、この定常光除去コンデンサ27は、第1信号処理回路11内の定常光除去用トランジスタ28のベース端子に接続されている。定常光除去コンデンサ27とオペアンプ23はスイッチ29を介して接続されており、このスイッチ29のオン/オフはCPU1により制御される。定常光除去用トランジスタ28のコレクタ端子はオペアンプ20の−入力端子に接続されており、トランジスタ28のエミッタ端子は他端が接地された抵抗30に接続されている。
【0023】
図5にAFIC10のクランプ回路13の具体的な構成図を示す。図5に示すように、クランプ回路13には、遠側信号I2のレベルを判定するコンパレータ37が設けられている。コンパレータ37の+入力端子は、第2信号処理回路12のトランジスタ22のコレクタ端子に接続されるとともに、スイッチ38を介して演算回路14の入力端子に接続されている。一方、コンパレータ37の−入力端子は、+入力端子に接続されているトランジスタ22及び圧縮ダイオード24と同様に、トランジスタ51のコレクタ端子及び圧縮ダイオード52のカソード端子と接続されるとともに、スイッチ39を介して演算回路14の入力端子に接続されている。
【0024】
また、トランジスタ51のベース端子には、クランプ電流源41が接続されている。クランプ電流源41には、定電流源42aとスイッチ43aが直列接続され、定電流源42bとスイッチ43bが直列接続され、定電流源42cとスイッチ43cが直列接続され、定電流源42dとスイッチ43dが直列接続されており、それらのスイッチ43a〜43dの他端側がトランジスタ51のベース端子に接続されている。
【0025】
例えば、定電流源42aは一定電流値0.125nAを出力し、定電流源42bは一定電流値0.25nAを出力し、定電流源42cは一定電流値0.5nAを出力し、定電流源42dは一定電流値1.0nAを出力するものが用いられる。
【0026】
スイッチ43a〜43dは、クランプレベル切替回路16から出力される信号Q1〜Q4により制御されて開閉する。そして、クランプ電流源41は、その閉じられたスイッチに対応する定電流源それぞれからの電流の総和であるクランプ電流をトランジスタ51のベース端子に入力する。このクランプ電流はトランジスタ51のベース電流となり、その大きさに応じたコレクタ電位がコンパレータ37の−入力端子に入力される。なお、クランプ電流は、測距装置の製造時に適宜設定される。
【0027】
また、スイッチ39にはコンパレータ37の出力端子が接続されており、コンパレータ37の出力信号が入力される。また、スイッチ38にはインバータ40を介してコンパレータ37の出力端子が接続されており、コンパレータ37の出力信号が反転されて入力される。従って、スイッチ38及び39は、コンパレータ37の出力信号により、一方がオン状態となると他方がオフ状態となる関係にある。
【0028】
また、コンパレータ37の出力信号は、CMOUT端子を通じてAFIC10から出力されCPU1に入力される。このコンパレータ37の出力信号は、+入力端子に入力される遠側信号I2が−入力端子に入力されるクランプ信号ICより大きいときには高電位の信号となり、逆に+入力端子に入力される遠側信号I2が−入力端子に入力されるクランプ信号ICより小さいときには低電位の信号となる。
【0029】
このため、コンパレータ37は、クランプ回路13から出力される出力信号I2Cが遠側信号I2であるかクランプ信号ICであるかを検出する出力信号検出手段として機能する。
【0030】
積分回路15は、その回路構成が図4に示されている。AFIC10のCINT端子に外付けされた積分コンデンサ6は、スイッチ60を介して演算回路14の出力端子に接続され、スイッチ62を介して定電流源63に接続され、スイッチ65を介してオペアンプ64の出力端子に接続され、また、直接にオペアンプ64の−入力端子に接続され、さらに、その電位がAFIC10のSOUT端子から出力される。これらスイッチ60,62および65は、CPU1からの制御信号により制御される。また、オペアンプ64の+入力端子には、第2基準電源66が接続されている。
【0031】
以上のように構成されるAFIC10の作用について、図4および図5を参照しながら説明する。CPU1は、IRED4を発光させていないときには、第1信号処理回路11のスイッチ29をオン状態にする。このときにPSD5から出力される定常光成分I0 は、第1信号処理回路11に入力して、オペアンプ20ならびにトランジスタ21および22から構成される電流増幅器により電流増幅され、圧縮ダイオード24により対数圧縮されて電圧信号に変換され、この電圧信号がオペアンプ23の−入力端子に入力する。オペアンプ20に入力する信号が大きいと、圧縮ダイオードのVF が大きくなるので、オペアンプ23から出力される信号が大きく、したがって、コンデンサ27が充電される。すると、トランジスタ28にベース電流が供給されることになるので、トランジスタ28にコレクタ電流が流れ、第1信号処理回路11に入力した信号I0のうちオペアンプ20に入力する信号は小さくなる。そして、この閉ループの動作が安定した状態では、第1信号処理回路11に入力した信号I0 の全てがトランジスタ28に流れ、コンデンサ27には、そのときのベース電流に対応した電荷が蓄えられる。
【0032】
CPU1がIRED4を発光させるとともにスイッチ29をオフ状態にすると、このときにPSD5から出力される信号I1+I0のうち定常光成分I0は、コンデンサ27に蓄えられた電荷によりベース電位が印加されているトランジスタ28にコレクタ電流として流れ、近側信号I1は、オペアンプ20ならびにトランジスタ21および22から構成される電流増幅器により電流増幅され、圧縮ダイオード24により対数圧縮され電圧信号に変換されて出力される。すなわち、第1信号処理回路11からは、定常光成分I0が除去されて近側信号I1のみが出力され、その近側信号I1は、演算回路14に入力する。一方、第2信号処理回路12も、第1信号処理回路11と同様に、定常光成分I0が除去されて遠側信号I2のみが出力され、その遠側信号I2は、クランプ回路13に入力する。
【0033】
クランプ回路13に入力した遠側信号I2は、クランプ回路13の判定用コンパレータ37の+入力端子に入力する。予めカメラの調整段階で設定されたクランプ電流源41から出力される信号はトランジスタ51のベース電流として流れ、これに伴い生じるトランジスタ51のコレクタ端子の電位(クランプ信号Ic )が判定用コンパレータ37の−入力端子に入力する。遠側信号I2とクランプ信号Ic とは、判定用コンパレータ37により大小比較され、その結果に応じて、スイッチ38および39のうち一方がオンされ、他方がオフされる。すなわち、遠側信号I2がクランプ信号Ic より大きいときには、スイッチ38がオン状態となり、スイッチ39がオフ状態となり、クランプ回路13の出力信号I2cとして遠側信号I2が出力される。大小関係が逆の場合には、スイッチ38がオフ状態となり、スイッチ39がオン状態となり、クランプ回路13の出力信号I2cとしてクランプ信号Ic が出力される。
【0034】
クランプ回路13から出力された信号I2cおよび第1信号処理回路11から出力された近側信号I1は、演算回路14に入力され、演算回路14により出力比(I1/(I1+I2c))が演算されて出力され、その出力比は、積分回路15に入力する。測距を開始するにあたっては、スイッチ60、62がオフ状態とされるとともに、スイッチ65が所定時間オン状態とされ、積分コンデンサ6は第2基準電源66の基準電圧VREF2の電位に充電される。IRED4が所定回数だけパルス発光しているときには、積分回路15のスイッチ60はオン状態とされ、スイッチ62、65はオフ状態とされ、演算回路14から出力された出力比信号によって積分コンデンサ6が放電積分され積分コンデンサ6の電位が階段状に減少する。そして、所定回数のパルス発光が終了するとスイッチ60がオフ状態とされ、スイッチ62はオン状態とされて、積分コンデンサ6の電位は、定電流源63から供給される定電流による逆積分により充電され増加していく。CPU1は、積分コンデンサ6の電位をモニタして、元の電位VREF2の電位に復帰するのに要する時間を測定し、その時間に基づいてAF信号を求める。
【0035】
以下、得られたAF信号(以下yで表す)から距離信号(以下xで表す)を算出するCPU1の処理について図6を参照しながら説明する。
【0036】
まず、CPU1はEEPROM2等に予め記憶されている最遠判定しきい値を読み出す(ステップS10)。そして、AFIC10より得られたAF信号がもし上記最遠判定しきい値よりも小さかった場合(遠距離側であった場合)はあらかじめ設定された最遠距離信号値(AFINF)を距離信号としてセットし、処理を終了する(ステップS20、ステップS30)。得られたAF信号が所定以上に遠距離であった場合にはこのような処理を行うこととし、適切な最遠判定を行うことができるようにしている。ここで最遠判定しきい値とは、この値以上に遠距離側のAF信号が得られた場合には距離信号xを所定の一定値(最遠距離信号値、AFINF)としてしまうAF信号の値のことであり、後述するカメラの調整によってあらかじめ設定されEEPROM2等に記憶されている。
【0037】
次に、AF信号から距離信号への変換式を決定する(ステップS40)。図7は、本実施形態に係る測距装置におけるAF信号から距離信号への変換の説明図である。この図に示すグラフでは、横軸は、測距対象物までの距離Lの逆数(1/L)であり、左縦軸はAF信号であり、右縦軸は距離信号である。また、このグラフでは、距離LとAF信号との関係および距離Lと距離信号との関係をそれぞれ示しており、特に、距離L2,L3,L4およびL5(ただし、L2<L3<L4<L5)それぞれに対して、AF信号はy2,y3,y4およびy5それぞれであり、距離信号はx2,x3,x4およびx5それぞれであることを示している。ここで、AF信号yを距離信号xへ変換する変換式は
x=y・A+B
という一次式で表されるが、この式におけるパラメータA,Bの組合せはあらかじめ(A,B)=(A2,B2)及び(A,B)=(A3,B3)の2種類が準備されており、基準被検体反射率(36%)で定められるクランプ効果有無判断基準レベルCOUNT_B とAF信号yとの大小を比較し、その結果に応じて上記いずれかの変換式で、AF信号yを距離信号xに変換する。
【0038】
ここで図7の符号を参照し、準備されているパラメータA2、B2はそれぞれ(1),(2)式で表され、変換式は(3)で表される。
A2=(x3−x2)/(y3−y2) …(1)
B2=x2−y2・A2 …(2)
x=y・A2+B2 …(3)
また、パラメータA3、B3はそれぞれ(1),(2)式で表され、変換式は(3)で表される。
A3=(x5−x4)/(y5−y4) …(4)
B3=x4−y4・A3 …(5)
x=y・A3+B3 …(6)
である。上式のとおり、(A,B)=(A2,B2)の組の方が(A,B)=(A3,B3)の組よりも遠距離側の距離信号に変換されることとなる。
【0039】
なお、基準被検体反射率の場合、クランプ効果有無判断基準レベルCOUNT_B に対応する距離LはL4 であり、また、COUNT_B はy4 に等しい。すなわち、距離L≦L4 の範囲では(A,B)=(A2,B2)の組が、L>L4の範囲では(A,B)=(A3,B3)の組が採用されることとなる(ステップS50、ステップS60)。
【0040】
そして、採用された変換式(3)式又は(6)式の何れかに基づきAF信号yを距離信号xに変換する(ステップS80)。ここで、変換された距離信号xが最遠距離信号値AFINFよりも小さく(遠距離側に)なっていないことを確認し、もし小さくなってしまった場合には最遠距離信号値AFINFを距離信号としてセットし直し、処理を終了する(ステップS90、ステップS30)。
【0041】
なお、パラメータA2((1)式),B2((2)式),A3((4)式)およびB3((5)式)、ならびに、(3)式および (6)式の何れの変換式を選択するかの判断基準は、この測距装置が組み込まれるカメラ毎に製造時に求められ、EEPROM2等に予め記憶されている。そして、これらのパラメータは測距時にCPU1により読み出されて、(3)式または(6)式の演算が行われて、AF信号yから距離信号xへ変換される。
【0042】
次に、上記測距装置の調整における上記最遠判定しきい値(INFDATA)の設定方法ついて図8を参照しながら説明する。図8は最遠判定しきい値の設定方法を表したフロー図である。上述のとおりここで設定された最遠判定しきい値はこの測距装置が組み込まれるカメラごとに製造時に求められ、EEPROM2等にあらかじめ記憶され、測距時にCPU1により読み出されて上記処理時に用いられることとなる。
【0043】
まず、あらかじめ設計した外光によるノイズとAF信号とを判別できる限界の距離(最遠判別距離1)に対応するAF信号を(7)式
INFDATA=(AFSET1−B3)/A3 …(7)
より求め、これを最遠判定しきい値(INFDATA)とする(ステップS110)。但し、AFSET1は最遠判別距離1に対応する距離信号である。
【0044】
次に、切替輝度に対応するAF信号レベルを図9より求めこれを第二しきい値(INFDATA2)とする(ステップS115)。ここで用いる図9は測光センサ71で得られる外光輝度とそれに対応してPSD5で得られるAF信号との関係を表したグラフである。すなわち、測距対象物が無限遠に相当する位置にある状態(IRED4から発せられた赤外光がPSD5に反射光として到達しない状態)においてAFIC10から出力されるAF信号と輝度との関係を表したものである。図9のグラフはカメラの複数の試作品から外光輝度とAF信号との関係の平均的データを求め、予め作成したものである。図9のグラフは例えば、AF窓(投光)22aを遮光テープで覆い、外光輝度を変化させながらAF信号を測定することによって作成される。この場合、野外で外光輝度を測定しながら対応するAF信号を測定してもよいし、輝度箱にカメラを対面させて輝度を変化させながら対応するAF信号を測定してもよい。
【0045】
ここで、切替輝度とは所定のフィルム感度のプログラム線図において、露出制御プログラムが切り替わり、レンズの絞りが開放状態から絞られはじめるように設計された輝度のことをいう。すなわち、本実施形態のカメラの露出制御プログラムは、測光センサ71で測定された外光輝度が上記切替輝度よりも低い場合にはレンズの絞り値を開放絞り値とする制御を行い、それ以外の場合にはレンズの絞り値を輝度の増加に応じて増加させる制御を行う。図10は露出制御プログラムの、ある所定のフィルム感度におけるシャッタ速度、Fナンバ、露光値の関係を表すプログラム線図である。例えば、図10を参照すると、所定のフィルム感度における露出制御Aにおいては、プログラム線図がFナンバ=11、露光値EV=14において折れ曲がっているので、EV=14に相当する輝度が切替輝度となる。そして、所定のフィルム感度におけるEV=14に相当する輝度がLv14の場合、図9を参照してLv14に対応するAF信号レベルを求める。図9の3つの曲線はそれぞれクランプ信号のレベルが0.5nAの場合、0.75nAの場合、1nAの場合の輝度とAF信号との関係を表している。例えばクランプ信号レベルが0.75nAに設定されているカメラにおいては、0.75nAの曲線を基にして最遠判定しきい値を求める。外光輝度がLv14の場合にはそれに対応する曲線上のAF信号値を採用し、第二しきい値=740と設定すれば良い。
【0046】
カメラの組み立てのバラツキ等により上記最遠判定しきい値よりも第二しきい値のほうが、AF信号レベルが大きい(第二しきい値のほうが上記判定しきい値より近距離側を示す)場合がありうるが、かかる場合には改めて第二しきい値を最遠設定しきい値として採用する(ステップS120、ステップS130)。それ以外の場合は先に(7)式で設定した最遠判定しきい値をそのまま採用し、カメラは良品であると判断して(ステップS170)処理を終了する。
【0047】
以下、第二しきい値を最遠判定しきい値(INFDATA)として設定した場合に行われるカメラの不良判定の手順について図8とともに図11を参照しながら説明する。図11の実線のグラフは距離の逆数(1/L)と距離信号値との関係を表すグラフであり、グラフの横軸は距離の逆数(1/L)、縦軸は距離信号値をとったものである。また、実線の上下の破線はそれぞれ許容錯乱円範囲の上下の限界を表しており、距離の逆数(1/L)と距離信号値との関係が上下の破線で囲まれた領域内に入っていればピントぼけが許容される範囲内であるということを意味する。
【0048】
まず、設定された最遠判定しきい値(INFDATA)に対応する距離信号(AFSET)を求める(ステップ140)。これは(6)式にx=AFSET、y=INFDATAを代入して(8)式より求めればよい。
AFSET=INFDATA×A3+B3 …(8)
次に、AFSETに対応する距離(最遠判別距離)を図11の実線グラフL1から作図的に求める。AFSETを縦軸上にとって実線グラフL1上で対応する横軸上の1/Lを探せばよい。次に、最遠判別距離から許容錯乱円範囲に対応する距離信号値の範囲を破線グラフL2,L3より作図的に求める。最遠判別距離を横軸にとりそれぞれの破線グラフ上で対応する縦軸上のP、Qを求めればよい。距離信号P〜Qの範囲が「最遠判定がなされる距離のうち最至近の距離である最遠判別距離における許容錯乱円範囲内に対応する距離信号値の範囲内」となる。
【0049】
次に、最遠セット距離に対応する距離信号値である最遠距離信号値(AFINF)を実線グラフL1から作図的に求める。最遠セット距離とは、無限遠まで所定のぼけ範囲内に納まるようにカメラの設計上定められた有限距離をいう。最遠セット距離を横軸上にとって実線グラフL1上で対応する縦軸上の距離信号値を探せばよい。次に、予め設定された最遠セット距離を横軸にとりグラフを基に対応する縦軸の距離信号を作図的に最遠セット距離に対応する最遠距離信号値AFINFを求める。
【0050】
次に、求めたAFINFが上記最遠判別距離における許容錯乱円範囲に対応する距離信号値の範囲内(P〜Q)に入っていることを確認する(ステップS150)。もし、AFINFが上記範囲の外となっていた場合にはそのカメラは調整不可能なカメラとして、不良判定がなされる(ステップS160)。それ以外の場合は調整が完了したカメラとして良品と判定され(ステップS170)、処理を終了する。
【0051】
図12は本実施形態のカメラの距離と距離信号との関係(測距特性)をあらわした図であり、(a)は良品と判断されるカメラの例である。この例では距離信号106に対応するAF信号値が最遠判定しきい値となっているため、1/L(距離の逆数)が0.083となったところで最遠判定がなされている。すなわち1/L=0.083に相当する距離が最遠判別距離である。この例の場合には最遠セット距離に対応する最遠距離信号値が67であり、最遠判別距離1/L=0.08における許容錯乱円範囲に対応する距離信号の範囲36〜176に含まれている。よってこのカメラは良品と判定される。また、(b)は良品限界のカメラの測距特性のグラフである。距離信号137に対応するAF信号値が最遠判定しきい値となっている。そして最遠判別距離1/L=0.11となったところで最遠判定がなされこの距離における許容錯乱円範囲に対応する距離信号の範囲は67〜207であり、最遠セット距離に対応する最遠距離信号値67はこの範囲の中にぎりぎりで含まれることとなる。
【0052】
一方、図12(c)は不良品と判定されるカメラの例である。この場合は距離信号165に対応するAF信号値が最遠判定しきい値となっており、1/L=0.13で最遠判定がなされている。すなわち、1/L=0.13の距離が最遠判別距離である。ここで、このカメラの測距特性では1/L=0.13における距離信号は最遠判定がされ67となるが、許容錯乱円範囲に対応する距離信号値は95〜235である。よってこのカメラは1/L=0.13において距離信号が許容錯乱円範囲に入らないことなり、不良品であると判定される。
【0053】
上述したように測距装置を調整することによって、あらかじめ設定されている最遠判別距離に対応する第一AF信号値よりも切替輝度に対応する第二AF信号値のほうが大きい(第二AF信号値のしきい値のほうが第一AF信号値よりも近距離側を示す)場合には後者を最遠判定しきい値に設定し、後者の信号値に対応する距離よりも遠距離のAF信号についてはすべて最遠設定値の距離信号として出力されることとなる。すなわち、カメラの製品バラツキ等の要因により、切替輝度に対応するAF信号値の方が従来の最遠判定しきい値よりも大きくなってしまう場合であっても、切替輝度に対応するAF信号値を新たに最遠判定しきい値として設定し、得られたAF信号値がノイズとAF信号が判別できる距離以上に遠距離であった場合にも安定した最遠判定を行うことができるようにしている。また従来技術のようにレンズの絞りを絞るといった制御も必要もないため、シャッタ速度を適切に確保することができる。
【0054】
また、第二AF信号値(第二しきい値)が最遠判定しきい値として設定される場合は最遠判定しきい値が大きくなるため、第一AF信号値(第一しきい値)に対応する距離に比較して近距離で最遠判定がなされることになる。このため、現実には測距対象物との距離が近距離であるにも関わらず最遠判定がされる場合があり、あまりに第二AF信号値が大きい場合には許容錯乱円範囲を超えてしまう場合もある。そこで、上述したような不良品判定を行うことによって、ピントぼけが発生する可能性があるカメラはすべて不良品と判定され、すべての距離で必ず許容錯乱円に入るものだけを良品として選択できる。
【0055】
ここで、最遠距離信号値と最遠判別距離における許容錯乱円範囲に対応する距離信号値を比較対象としたのは、実際のカメラに係る距離と距離信号の関係を表す測距特性のグラフ(例えば図12(a)参照)の形状に鑑みたものである。すなわち測距特性のグラフは、図12(a)に示すように、最遠判別距離よりも近距離側では1/Lと距離信号値が略比例関係の直線となり、最遠セット距離よりも遠距離側では距離信号値がAFINFの一定値となるグラフ形状となっている。よって、最遠距離信号値が上記範囲に入っていれば、許容錯乱円範囲を表す破線のグラフに囲まれた領域に、必ず測距特性のグラフ全体が入っていると言えるるため、かかる測距特性を有するカメラは測距結果の全範囲について許容錯乱円の範囲内に入っていると言えることになる。なお更にグラフ形状に鑑み、最遠距離信号値と許容錯乱円範囲の遠距離限界に対応する距離信号値(図11のP点)のみを比較対象として、最遠距離信号値が許容錯乱円範囲の遠距離限界に対応する距離信号値よりも遠距離側の信号である場合に不良と判定することとしてもよい。
【0056】
なお、上記実施形態においては出力比信号をAF信号に変換する際に、積分回路15を用い、積分コンデンサ6の電位をモニタして、元の電位に復帰するのに要する時間に基づいてAF信号を求めているが、積分回路15の変わりに図13に示すように積分回路15aを用いてもよい。
【0057】
この場合、積分回路15aは、この出力比信号(距離演算値)の入力を受け、AFIC10のCINT端子33に接続された積分コンデンサ6とともにその出力比を多数回積算し、これによりS/N比の改善を図る。そして、CPU1は、その積算された出力比をAF信号(距離データ)として受信する。CPU1は、AFIC10からAF信号を受信すると、所定の演算を行ってAF信号を距離信号に変換し、その距離信号をレンズ駆動回路7に送出する。レンズ駆動回路7は、その距離信号に基づいて撮影レンズ8を合焦動作させる。
【0058】
積分回路15aは、以下のような構成である。図14を参照すると、AFIC10のCINT端子33に外付けされた積分コンデンサ6は、スイッチ60を介して演算回路14の出力端子に接続され、スイッチ62を介して定電流源63に接続され、スイッチ69を介して接地されている。また、積分コンデンサ6の電位は、上述のようにCPU1によって読み出される。なお、スイッチ60、スイッチ62、及びスイッチ69は、CPU1からの制御信号により制御される。
【0059】
測距を開始するにあたっては、スイッチ60、62はオフ状態とされるとともに、スイッチ69が所定時間オン状態とされ、積分コンデンサ6は放電され電圧が0ボルトとなる。IRED4が所定回数だけパルス発光しているときには、積分回路15aのスイッチ60はオン状態とされ、スイッチ62、69はオフ状態とされる。積分回路15aの積分コンデンサ6は、演算回路14から出力された出力比、即ち距離演算値を受信し、その距離演算値の値に応じた電圧値だけ充電される。これにより、積分コンデンサ6の電圧は、IRED4の発光毎に距離演算値が入力され階段状に増加する。一段一段の電圧上昇量は、それ自体、測距対象物までの距離に対応した距離情報であるが、本実施形態では、IRED4の各パルス発光により得られる電圧上昇量の総和をもって距離情報としている。
【0060】
積分コンデンサ6に対して所定の発光回数分の距離演算値の入力が終了した後、スイッチ60はオフ状態とされ、CPU1は、積分コンデンサ6の電圧をA/D変換して読込み、距離演算値の積分結果をAF信号(距離データ)として読み出す。
【0061】
また、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上記した実施形態では本発明をアクティブAF方式のカメラに適用しているが、同様のAF方式を用いたデジタルスチールカメラにも適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
詳述したように、本発明によれば、シャッタ速度を確保しつつ適切な最遠判定を行い、適切な合焦制御を行うことができるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたカメラの正面斜視図である。
【図2】本発明が適用されたカメラの背面斜視図である。
【図3】実施形態に係るカメラの測距装置の構成図である。
【図4】実施形態に係るカメラの測距装置における第1信号処理回路および積分回路の回路図である。
【図5】実施形態に係るカメラの測距装置におけるクランプ回路の回路図である。
【図6】距離信号算出処理のフロー図である。
【図7】実施形態に係るカメラの測距装置におけるAF信号から距離信号への変換の説明図である。
【図8】実施形態のカメラの測距装置の調整のフロー図である。
【図9】外界輝度によるAF信号値を表したグラフである。
【図10】露出制御プログラムのプログラム線図である。
【図11】距離の逆数(1/L)と距離信号値との関係を表すグラフである。
【図12】実施形態に係るカメラの測距特性を表したグラフである。
【図13】実施形態の変形例に係るカメラの測距装置の構成図である。
【図14】実施形態の変形例に係る測距装置における第1信号処理回路および出力回路の回路図である。
【図15】従来のカメラの測距装置に係る測距特性を表したグラフである。
【符号の説明】1…CPU、2…EEPROM、3…ドライバ、4…IRED(発光ダイオード)、5…PSD(位置検出素子)、6…積分コンデンサ、7…レンズ駆動回路、8…撮影レンズ、10…AFIC(自動焦点用IC)、11…第1信号処理回路、12…第2信号処理回路、13…クランプ回路、14…演算回路、15…積分回路、10…カメラ、17…ズームレンズ鏡胴、16…ストロボ発光窓、18…ファインダ窓、22…窓、25…測光窓、34…シャッタボタン、38…表示パネル、42…フラッシュボタン、44…セルフタイマーボタン、46…フォーカスボタン、48…日付ボタン、50…ズームボタン。
Claims (2)
- 測距対象物に向けて光束を出力する発光手段と、
前記測距対象物に投光された前記光束の反射光を前記測距対象物までの距離に応じた受光位置で受光し、その受光位置に基づいて、受光光量が一定であれば前記距離が遠いほど大きな値である遠側信号と、受光光量が一定であれば前記距離が近いほど大きな値である近側信号とを出力する受光手段と、
前記遠側信号を入力してクランプ信号のレベルと大小比較し、前記遠側信号のレベルが前記クランプ信号のレベル以上の場合には前記遠側信号をそのまま出力し、そうでない場合には前記クランプ信号を出力するクランプ手段と、
前記近側信号と前記クランプ手段から出力された信号との比を演算して出力比信号を出力する演算手段と、
前記出力比信号が最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号である場合には前記出力比信号を前記距離に応じた距離信号に変換し、前記最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号でない場合には所定の一定値の距離信号に変換する変換手段と、
外光輝度を測定する輝度測定手段と、
前記輝度測定手段により測定された外光輝度が、フィルム感度に対応して定められる所定の切替輝度よりも低い場合にはレンズの絞り値を開放絞り値とする制御を行い、前記所定の切替輝度以上の場合にはレンズの絞り値を輝度の増加に応じて増加させる制御を行う露出制御手段と、を備え、
測距可能な限界の距離として設定される最遠判別距離に対応する第一AF信号値と、前記切替輝度に対応する第二AF信号値のうち、より近距離に対応する方が前記最遠判定しきい値として設定されていること、を特徴とするカメラ。 - 測距対象物に向けて光束を出力する発光手段と、
前記測距対象物に投光された前記光束の反射光を、前記測距対象物までの距離に応じた受光位置で受光し、その受光位置に基づいて、受光光量が一定であれば前記距離が遠いほど大きな値である遠側信号と、受光光量が一定であれば前記距離が近いほど大きな値である近側信号とを出力する受光手段と、
前記遠側信号を入力してクランプ信号のレベルと大小比較し、前記遠側信号のレベルが前記クランプ信号のレベル以上の場合には前記遠側信号をそのまま出力し、そうでない場合には前記クランプ信号を出力するクランプ手段と、
前記近側信号と前記クランプ手段から出力された信号との比を演算して出力比信号を出力する演算手段と、
前記出力比信号が最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号である場合には前記出力比信号を前記距離に応じた距離信号に変換し、前記最遠判定しきい値よりも近距離側に対応する信号でない場合には所定の一定値の距離信号に変換する変換手段と、
外光輝度を測定する輝度測定手段と、
前記輝度測定手段により測定された外光輝度が、フィルム感度に対応して定められる所定の切替輝度よりも低い場合にはレンズの絞り値を開放絞り値とする制御を行い、それ以外の場合にはレンズの絞り値を輝度の増加に応じて増加させる制御を行う露出制御手段と、を備え、
前記切替輝度に対応する第二AF信号値が前記最遠判定しきい値として設定され、かつ、最遠セット距離に対応する距離信号値である最遠距離信号値が、最遠判定がなされる距離のうち最至近の距離である最遠判別距離における許容錯乱円範囲内に対応する距離信号値の範囲内にある
ことを特徴とするカメラ。
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