JP2004293606A - 防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 - Google Patents

防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】出力部材をハウジングに対して軸直角方向で高精度に且つ安定して位置決めして組付け等を容易に行なうことの出来る、新規な構造の防振用アクチュエータを提供すること。
【解決手段】出力部材80の外周側に離隔配置せしめた環状の固定金具82の内周縁部をハウジング116の内方に向かって軸方向に筒状に延び出させて、その延び出させた先端部分を外周側に向かってフランジ状に突出させることにより、該ハウジング116の開口部から内方に所定量だけ入り込んだ位置で該ハウジング116の内周面に対して該固定金具82を軸直角方向で相対的に位置決めする位置決め突部92を形成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、防振対象部材に装着されることにより能動的な防振効果を発揮し得る能動型防振装置に用いられる防振用アクチュエータと、それを用いた能動型防振装置に係り、特に自動車のエンジンマウントやボデーマウント,制振器などの防振装置において好適に採用される防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
例えば自動車のボデー等のように振動低減が重要視される防振対象部材において振動を低減するために、従来では、一般に、ショックアブソーバやゴム弾性体等の減衰効果を利用した振動減衰手段や、コイルスプリングやゴム弾性体等のばね効果を利用した振動絶縁手段の如き防振装置が採用されているが、これらの防振装置は何れも受動的な防振作用を発揮するものであるために、例えば防振すべき振動の周波数等の特性が変化する場合やより高度な防振効果が要求される場合等においては、充分な防振効果を得ることが難しいという問題があった。そこで、近年では、防振対象部材や防振装置に加振力を及ぼすことにより、防振すべき振動を積極的乃至は相殺的に低減せしめるようにした能動型防振装置が開発され、検討されている。例えば、特許文献1,2,3,4に記載のものが、それである。
【0003】
このような能動型防振装置では、加振力を発生するアクチュエータが必要であり、かかるアクチュエータにおいては、発生加振力に関して周波数や位相の高度の制御性が要求される。そこで、能動型防振装置に採用される防振用アクチュエータとしては、コイルを用いて、コイルへの通電を制御することにより生ぜしめられる電磁力や磁力を制御するようにしたものが好適に採用される。
【0004】
より具体的には、かかる防振用アクチュエータとしては、特許文献1〜4にも示されているように、一般に、カップ形状のハウジングにおいて中心軸上に延びる案内孔を設けると共に、ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて出力部材をハウジングに対して弾性連結ゴムで連結する一方、出力部材に設けたガイドロッドを案内孔に差し入れるようにして組み付けて、ハウジングと出力部材の一方にコイル部材を設けると共に、ハウジングと出力部材の他方に強磁性体及び/又は永久磁石からなるアーマチャを設けることにより、コイル部材への通電によってアーマチャから出力部材に加振力を及ぼして、ハウジングの中心軸方向に出力部材を加振変位せしめるようにした構造の防振用アクチュエータが、好適に採用される。
【0005】
ところで、このような構造とされた防振用アクチュエータにおいては、数十Hz以上の高周波数域で出力部材を効率的に且つ安定して加振駆動せしめるために、好適には、ガイドロッドを駆動方向に案内する案内機構がハウジング側に設けられると共に、コイル部材とアーマチャの対向面間に形成される隙間の大きさを小さくして且つ高精度に管理するようにされる。
【0006】
しかしながら、このようなガイドロッドの案内孔による案内機構や出力部分の微小な隙間構造を採用する場合には、出力部材側とハウジング側の各部材を高い精度をもって組み付けることが要求されることとなり、そのために、特にコイル部材とアーマチャの一方を組み付けたハウジングに対して、それらコイル部材とアーマチャの他方を組み付けた出力部材のガイドロッドを軸方向に差し入れること等によって組み付ける際に、部材間における軸直角方向の位置合わせを高精度に注意深くしなければならなくなって作業が難しくなる傾向にある。また、組付け後においても、効率的に且つ安定した出力特性を得るためには、ハウジングと出力部材(ガイドロッド等)の軸直角方向での相対的な位置決め精度を安定して確保することが要求されるが、その実現が難しいという問題があったのである。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−49541号公報
【特許文献2】
特開平9−89040号公報
【特許文献3】
特開平10−231886号公報
【特許文献4】
特開2001−1765号公報
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、出力部材側とハウジング側の間に高度な組付精度が要求される案内機構等が設けられている場合にも、出力部材をハウジングに対して軸直角方向で高精度に且つ安定して位置決めして組付け等を容易に行うことの出来る、新規な構造の防振用アクチュエータを提供することにある。
【0009】
また、本発明は、そのような防振用アクチュエータを用いて構成された、新規な構造を有する能動型防振装置として、能動型防振用マウントおよび能動型防振用制振器を提供することも目的とする。
【0010】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様1)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様1の特徴とするところは、カップ形状のハウジングにおいて中心軸上に延びる案内孔を設けると共に、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材に突設したガイドロッドを該案内孔に差し入れるようにして組み付けて、該ハウジングと該出力部材の各一方にコイル部材とアーマチャを設けて該コイル部材への通電により該アーマチャに作用せしめられる駆動力を該出力部材に及ぼすようにする一方、該出力部材をその外周側に離隔配置せしめた環状の固定金具に対して支持ゴム弾性板で連結せしめて、該固定金具の外周縁部を前記ハウジングの開口周縁部に対してかしめ固定することにより、該出力部材を該ハウジングによって弾性変位可能に支持せしめた防振用アクチュエータにおいて、前記固定金具の内周縁部を前記ハウジングの内方に向かって軸方向に筒状に延び出させて、その延び出した先端部分を外周側に向かってフランジ状に突出させることにより、該ハウジングの開口部から内方に所定量だけ入り込んだ位置で該ハウジングの内周面に対して該固定金具を軸直角方向で相対的に位置決めする位置決め突部を形成したことにある。
【0012】
このような本態様に従う構造とされた防振用アクチュエータでは、出力部材に対して支持ゴム弾性体を介して連結された固定金具において、ハウジングの開口部から軸方向内方に入り込ませて位置決め突部を形成したことにより、出力部材のガイドロッドをハウジングに対して軸方向に差し入れて組み付ける際に、出力部材がハウジングに対する最終的な組付位置に至るより前から、即ちガイドロッドを案内孔に差し入れる前から或いは差し入れた後の早い段階から、位置決め突部による軸直角方向での位置決め作用が発揮され得る。従って、出力部材のガイドロッドをハウジングの案内孔に差し入れて組み付けるに際して、差し入れる初期位置から最終的に軸方向の差し入れが完了した位置まで、位置決め突部による軸直角方向での位置決め効果を得ることが可能となるのである。
【0013】
また、位置決め突部による出力部材とハウジングの軸直角方向での位置決め効果は、最も外周部分に近いハウジングの開口部内周面に対して位置決め突部が作用することで発揮されることから、例えば中心軸に近い位置で軸直角方向の位置決めを行う場合に比して、軸直角方向での位置決めを高い強度で行うことが出来ると共に、高い精度も有利に得ることが出来る。それ故、本態様に従う構造とされた防振用アクチュエータにおいては、特に組付後における出力部材とハウジングの軸直角方向での位置決めを、一層優れた安定性と耐久性をもって行うことが可能となるのである。
【0014】
しかも、位置決め突部は、ハウジングの内部への収容状態で組み込まれることから、外部からの他部材の干渉等に起因する不具合等の発生が効果的に防止されて位置決め効果が一層安定して発揮され得ると共に、アクチュエータの大型化も回避され得るのである。
【0015】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様2)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様2は、前記態様1に係る防振用アクチュエータであって、前記固定金具において、前記ハウジングとの間で軸方向に挟圧される当接ゴムを被着形成したことを、特徴とする。本態様においては、固定金具とハウジングに対して及ぼされるかしめ固定力が、当接ゴムによって緩衝されることとなる。それ故、固定金具とハウジングの寸法誤差を当接ゴムの弾性変形で吸収することが出来、かしめ固定力を安定して及ぼすことが可能となるのである。しかも、特に隙間寸法が小さい案内機構等を備えたハウジング内部への水や埃等の異物の外部からの侵入が、当接ゴムのシール機能によって防止されて、作動の安定性の向上も図られ得る。また、当接ゴムを介在させて固定金具とハウジングの間で挟圧せしめることにより、固定金具とハウジングの周方向の相対回転に対する摩擦抵抗力を増大させることが可能となる。それ故、例えば、出力部材側とハウジング側の間に周方向で相対的な位置関係が規定されている場合に、その位置ずれの防止にも有利にとなる。
【0016】
なお、本態様においては、当接ゴムに及ぼされる軸方向の挟圧力を調節乃至は設定するために、当接ゴムを挟圧せしめる固定金具とハウジングの重ね合わせ面間の隙間寸法を規定するスペーサ部材を設けることが望ましく、より好適には、かかるスペーサ部材は、固定金具とハウジングの何れか一方において、他方の側に向かって一体的に突出形成された環状の突部等によって形成され得る。
【0017】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様3)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様3は、前記態様2に係る防振用アクチュエータにおいて、前記当接ゴムを、前記ハウジングの開口部から更に内方にまで入り込んだ位置において該ハウジングに対して軸直角方向で当接せしめることにより、前記固定金具と該ハウジングの間で、該当接ゴムに対して軸方向および軸直角方向の挟圧力が及ぼされるようにしたことを、特徴とする。本態様においては、当接ゴムを固定金具とハウジングの間で軸直角方向に挟圧せしめることにより、出力部材とハウジングの軸直角方向の位置決め精度の向上や、周方向の位置決め強度の向上が図られ得る。特に、固定金具の位置決め突部のハウジングに対する軸直角方向での位置決めは、金属部材同士での位置決めとなることから、組付作業性や加工精度等を考慮すれば、僅かな隙間をもって行われることが望ましい。そこにおいて、本態様に従い当接ゴムによる軸直角方向での位置決め作用を利用することにより、一層高度な位置決め精度が実現可能となるのである。なお、この場合においても、固定金具とハウジングの軸直角方向における位置ずれの規制は、最終的に位置決め突部とハウジングによる金属と金属の当接によって充分な強度をもって実現され得ることとなる。
【0018】
そこにおいて、特に本態様では、固定金具の軸方向両端部分にかしめ固定部位と位置決め突部がそれぞれ径方向外方に向かってフランジ状に突出形成されており、それらかしめ固定部位と位置決め突部の軸方向対向面間に形成された、外周面に開口して周方向に延びる環状溝形態のスペースを巧く利用して、そこに圧縮ゴムを形成位置せしめることにより、固定金具とハウジングの間で軸直角方向に挟圧される圧縮ゴムを、スペースを有効に利用して実現せしめ得たのである。
【0019】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様4)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかの態様に係る防振用アクチュエータにおいて、前記ハウジングの開口周縁部にフランジ部を形成して、該フランジ部に前記固定金具の外周縁部を重ね合わせると共に、それらフランジ部と固定金具の重ね合わせ部分を、該フランジ部および該固定金具の何れとも別体のかしめ金具によってかしめ固定したことを、特徴とする。本態様においては、ハウジングのフランジ部と固定金具を、軸方向で充分に安定して重ね合わせて、それらを一層強固にかしめ固定することが可能となる。
【0020】
(能動型防振用マウントに関する本発明)
能動型防振用マウントに関する本発明の特徴とするところは、相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振用マウントにおいて、前記アクチュエータとして、上述の如き防振用アクチュエータに関する本発明の態様1〜4の何れかの態様に係る防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記出力部材によって前記加振部材を構成したことを特徴とする。このような本発明に従えば、例えば自動車用エンジンマウント等に好適に採用され得る能動型防振用マウントが有利に実現され得る。
【0021】
(能動型防振用制振器に関する本発明)
能動型防振用制振器に関する本発明の特徴とするところは、防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、前記防振用アクチュエータに関する本発明の態様1〜4の何れかの態様に係る防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングと前記出力部材の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設ける一方、それらハウジングと出力部材の他方にマス部を設けたことを、特徴とする。このような本発明に従えば、例えば自動車のボデー用制振器等に好適に採用され得る能動型防振用制振器が有利に実現され得る。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0023】
先ず、図1には、能動型防振用マウントに関する本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされており、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持するようになっている。また、そのような装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、パワーユニットの分担荷重と、防振すべき主たる振動が、何れも、エンジンマウント10の略軸方向(図1中、上下方向)に入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向を言うものとする。
【0024】
より詳細には、第一の取付金具12は、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20によって構成されていると共に、第二の取付金具14は、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24によって構成されている。そして、本体ゴム弾性体16に対して本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22が加硫接着されて第一の一体加硫成形品28とされている一方、ダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、可撓性膜としてのダイヤフラム30に対して加硫接着されて第二の一体加硫成形品32とされており、これら第一及び第二の一体加硫成形品28,32が相互に組み合わされている。
【0025】
ここにおいて、第一の一体加硫成形品28を構成する本体ゴムインナ金具18は、逆向きの略円錐台形状を有している。また、本体ゴムインナ金具18の上端面(大径側端面)には、嵌合凹部34が形成されていると共に、該嵌合凹部34の底面に開口するねじ穴38が設けられている。
【0026】
更にまた、本体ゴムアウタ筒金具22は、略大径円筒形状を有する筒壁部40を備えており、この筒壁部40の軸方向下端部には径方向外方に向かって広がるフランジ状部42が一体形成されている一方、筒壁部40の軸方向上端部分は、軸方向上方に行くに従って次第に拡開するテーパ筒状部44とされている。これによって、本体ゴムアウタ筒金具22の外周側には、外周面に開口して周方向に一周弱の長さで延びる周溝45が形成されている。そして、本体ゴムアウタ筒金具22の上方に離隔して、本体ゴムインナ金具18が略同一中心軸上で離隔配置されており、本体ゴムインナ金具18における逆テーパ形状の外周面と本体ゴムアウタ筒金具22におけるテーパ筒状部44の内周面が相互に離隔して対向位置せしめられており、これら本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22との対向面間が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0027】
かかる本体ゴム弾性体16は、全体として大径の円錐台形状を有しており、その中央部分には、本体ゴムインナ金具18が同軸的に配されて加硫接着されていると共に、その大径側端部外周面に対して本体ゴムアウタ筒金具22のテーパ筒状部44が重ね合わせられて加硫接着されている。これによって、本体ゴム弾性体16が、上述の如き本体ゴムインナ金具18および本体ゴムアウタ筒金具22を備えた第一の一体加硫成形品28として形成されている。
【0028】
また一方、第二の一体加硫成形品32を構成するダイヤフラムインナ金具20は、厚肉の円板形状を有している。また、ダイヤフラムインナ金具20の下面には、嵌合凸部46が形成されていると共に、該嵌合凸部46の形成部位を貫通して挿通孔52が形成されている。更にダイヤフラムインナ金具20には、上方に突出して取付板部58が一体形成されており、取付板部58の中央部分にはボルト挿通孔59が設けられている。
【0029】
また、ダイヤフラムアウタ筒金具24は、薄肉大径の円筒形状を有しており、その軸方向下側の開口部には、径方向外方に向かって広がる円環板形状の段差部66が一体形成されており、更に、段差部66の外周縁部には、軸方向下方に向かって突出する円環状のかしめ筒部68が一体形成されている。
【0030】
そして、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上方に離隔して、ダイヤフラムインナ金具20が、略同一中心軸上に配設されており、それらダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、ダイヤフラム30によって連結されている。
【0031】
ダイヤフラム30は、薄肉のゴム膜によって形成されており、容易に弾性変形が許容されるように大きな弛みを持った湾曲断面形状をもって周方向に延びる略円環形状を有している。そして、ダイヤフラム30の内周縁部が、ダイヤフラムインナ金具20の外周縁部に対して加硫接着されていると共に、ダイヤフラム30の外周縁部が、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上側の開口部に加硫接着されている。これにより、ダイヤフラム30は、ダイヤフラムインナ金具20およびダイヤフラムアウタ筒金具24を備えた第二の一体加硫成形品32として形成されている。
【0032】
而して、かかる第二の一体加硫成形品32が、前述の第一の一体加硫成形品28に対して上方から重ね合わせられて組み付けられており、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18に固着されていると共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24が本体ゴムアウタ筒金具22に固着されており、更にダイヤフラム30が、本体ゴム弾性体16の外方に離隔して、本体ゴム弾性体16の外周面を全体に亘って覆うようにして配設されている。
【0033】
すなわち、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18の上面に直接に重ね合わされて、ダイヤフラムインナ金具20の嵌合凸部46が本体ゴムインナ金具18の嵌合凹部34に嵌め込まれることによって、ダイヤフラムインナ金具20と本体ゴムインナ金具18が同一中心軸上に位置合わせされている。また、特に本実施形態では、嵌合凸部46と嵌合凹部34の各外周面に切欠状に形成された係合外周面50と係合内周面36の係合作用によって、ダイヤフラムインナ金具20と本体ゴムインナ金具18が周方向でも相互に位置決めされており、ダイヤフラムインナ金具20の挿通孔52と本体ゴムインナ金具18のねじ穴38が位置合わせされている。
【0034】
そして、図1に示されているように、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20を重ね合わせた状態下で、連結ボルト70が、ダイヤフラムインナ金具20の挿通孔52を通じて本体ゴムインナ金具18のねじ穴38に螺着されている。而して、これら本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20が連結ボルト70で連結固定されることにより、第一の取付金具12が構成されている。
【0035】
一方、ダイヤフラムアウタ筒金具24は本体ゴムアウタ筒金具22に対して軸方向上方から外挿されている。また、本体ゴムアウタ筒金具22は、その下端部において、フランジ状部42の外周縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24の段差部66に対して軸方向に重ね合わされていると共に、その上端部において、テーパ筒状部44の開口端縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24の内周面に対して径方向で重ね合わされている。
【0036】
そして、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42の外周縁部に対して、ダイヤフラムアウタ筒金具24のかしめ筒部68がかしめ固定されることによって、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24が相互に固定されて組み付けられている。なお、これら本体ゴムアウタ筒金具22の上下両端部におけるダイヤフラムアウタ筒金具24との重ね合わせ部位には、それぞれ、本体ゴム弾性体16またはダイヤフラム30と一体成形されたシールゴムが介在されており、流体密にシールされている。これにより、本体ゴムアウタ筒金具22に形成された周溝45がダイヤフラムアウタ筒金具24で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴムアウタ筒金具22の筒壁部40とダイヤフラムアウタ筒金具24の径方向対向面間を周方向に所定長さで乃至は全周に亘って連続して延びる環状通路72が形成されている。
【0037】
さらに、本体ゴムアウタ筒金具22の下側開口部には、仕切板金具74と蓋部材76が組み付けられている。蓋部材76は、略円環板形状を有する支持ゴム弾性体としての支持ゴム板78に対して、その中央部分に出力部材としての加振板80が加硫接着されていると共に、その外周部分に固定金具としての環状保持金具82が加硫接着されており、それら加振板80と環状保持金具82が支持ゴム板78で弾性的に連結されている。
【0038】
加振板80は、円板形状を有しており、その外周縁部には上方に向かって突出する環状連結部84が一体形成されている。また、加振板80の中央部分には、下方に向かって延びるセンタロッドとしての駆動軸86が一体形成されており、この駆動軸86の先端部分が雄ねじとされている。なお、加振板80は、環状連結部84や駆動軸86を含んで、金属や合成樹脂等の硬質材で一体成形されている。一方、環状保持金具82は、円筒形状を有する筒状部88の上下開口部に対してそれぞれフランジ状に広がる取付板部90と位置決め突部92が一体形成されており、取付板部90の外周縁部には、更に下方に突出する円環状の圧入部94が一体形成されている。なお、後述するように、本実施形態ではこの圧入部94によって、スペーサ部材として機能する環状の突部が構成されている。
【0039】
そして、環状保持金具82の径方向内方に離隔して略同一中心軸上に加振板80が配設されており、これら環状保持金具82と加振板80の径方向対向面間に広がるようにして支持ゴム板78が配設されている。また、かかる支持ゴム板78は、その内外周縁部が加振板80の環状連結部84と環状保持金具82の筒状部88の対向面に対してそれぞれ加硫接着されており、加振板80と環状保持金具82の間が支持ゴム板78で流体密に閉塞されている。
【0040】
一方、仕切板金具74は、薄肉の円板形状を有しており、その外径寸法が、環状保持金具82における取付板部90の径方向中間部分まで至る大きさとされている。また、仕切板金具74の中央部分は、略台地状に上方に突出せしめられて加振板80との干渉が回避されるようになっていると共に、その中心軸上にオリフィス通孔96が貫設されている。
【0041】
そして、仕切板金具74は、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部において、そこに組み付けられた本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42に対して外周縁部が重ね合わされて組み付けられている。更に、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部には、仕切板金具74の下方から蓋部材76が組み付けられており、蓋部材76における環状保持金具82の取付板部90が、本体ゴムアウタ筒金具22と仕切板金具74に重ね合わされて、それぞれの外周縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24のかしめ筒部68により、段差部66との軸方向間で挟持されてかしめ固定されている。
【0042】
これにより、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部が、蓋部材76で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴム弾性体16と蓋部材76の対向面間には、非圧縮性流体が封入された受圧室100が形成されている。この受圧室100は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて振動が入力されて圧力変動が惹起されるようになっている。
【0043】
また、受圧室100には、仕切板金具74が配設されており、受圧室100が、仕切板金具74を挟んで、本体ゴム弾性体16側の振動入力室102と、蓋部材76側の加振室104に二分されていると共に、これら振動入力室102と加振室104がオリフィス通孔96で連通せしめられている。
【0044】
更にまた、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30が、それぞれの内周縁部と外周縁部において第一の取付金具12と第二の取付金具14に固着されることにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30の対向面間には、非圧縮性流体が封入された平衡室106が形成されている。即ち、この平衡室106は、壁部の一部が変形容易なダイヤフラム30で構成されており、該ダイヤフラム30の弾性変形に基づいて容易に容積変化が許容されるようになっているのである。なお、受圧室100や平衡室106に封入される非圧縮性流体としては、後述するオリフィス通路112を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を自動車用のエンジンマウント10に要求される振動周波数域で効率的に得るために、一般に、0.1Pa.s以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0045】
さらに、受圧室100と上側に形成された平衡室106には、第二の取付金具14内に形成された環状通路72が、その周方向両端部に形成された連通孔108,110を通じて接続されており、それによって、受圧室100と平衡室106を相互に連通せしめて両室100,106間での流体流動を許容するオリフィス通路112が所定長さで形成されている。なお、オリフィス通路112は、振動入力時に受圧室100と平衡室106の間に惹起される圧力差に基づいて内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、例えばアイドリング振動等の特定の周波数域で有効に発揮されるように、その通路断面積や通路長さが適当に設定されてチューニングされている。
【0046】
また一方、蓋部材76を挟んで受圧室100と反対側には、防振用アクチュエータとしての電磁加振器114が、蓋部材76を含んで構成されて配設されている。この電磁加振器114は、略カップ形状のハウジング116にコイル118が収容状態で固定的に組み付けられていると共に、コイル118の周りには、それぞれ環状の強磁性材からなるヨーク120,122が固定的に組み付けられて磁路が形成されている。また、磁路を形成するヨーク120の筒状内周面には、ガイドスリーブ124が弾性的に位置決められて装着されており、アーマチャとしての強磁性材からなる略圧肉円筒形状の滑動子126が、かかるガイドスリーブ124内を滑動可能に組み付けられている。
【0047】
滑動子126は、磁路を形成するヨーク120,122間に形成された磁気ギャップの領域に配設されており、コイル118に通電することにより磁力が及ぼされて、ガイドスリーブ124で案内されつつ軸方向に駆動されるようになっている。また、滑動子126は、全体として略円筒形状を有しており、外周面においてガイドスリーブ124に摺動可能とされている一方、内周面には、環状の係合突部128が突出形成されている。
【0048】
そして、電磁加振器114は、図2にも要部を拡大して図示されているように、ハウジング116の開口周縁部に形成されたフランジ部130が、蓋部材76における環状保持金具82の取付板部90に重ね合わされて、環状保持金具82等と共に、かしめ筒部68で第二の取付金具14にかしめ固定されている。これにより、電磁加振器114は、その滑動子126の滑動中心軸が、第一及び第二の取付金具12,14の中心軸に略一致するように組み付けられている。
【0049】
また、このように組み付けられた電磁加振器114には、その中心軸上で上方から加振板80の駆動軸86が差し入れられており、この駆動軸86が、滑動子126の係合突部128に挿通されている。更に、駆動軸86にはコイルスプリング132が外挿されて、加振板80と滑動子126の係合突部128の対向面間に跨がって配設されていると共に、駆動軸86の係合突部128に挿通された先端部分には位置決めナット134が螺着されている。そして、位置決めナット134を駆動軸86にねじ込み、滑動子126の係合突部128を介して、加振板80との間でコイルスプリング132を圧縮せしめることにより、駆動軸86に対して滑動子126が軸方向で位置決めされて、コイルスプリング132の付勢力で弾性的に連結せしめられている。これにより、コイル118への通電で滑動子126に作用せしめられる駆動力が駆動軸86に及ぼされるようになっている。
【0050】
要するに、位置決めナット134の駆動軸86へのねじ込み量を調節することにより、第二の取付金具14に対して支持ゴム板78で弾性的に位置決め支持された加振板80に対して滑動子126の取付位置を軸方向に変更設定することが出来るのであり、それによって、滑動子126のヨーク122に対する磁力作用対向面間の距離を微調節することが可能となっているのである。また、本実施形態では、位置決めナット134に対して軸方向下側からロックボルト136が締め込まれており、位置決めナット134のねじ穴内でロックボルト136が駆動軸86の先端に当接されていることによって、駆動軸86に対する位置決めナット134の締付位置がロックされるようになっている。
【0051】
さらに、電磁加振器114のハウジング116には、底壁部中央に透孔140が形成されており、滑動子126に対向位置せしめられて磁力を及ぼすヨーク122が外部に露呈されていると共に、ヨーク122の中心孔142を通じて、滑動子126が配設された電磁加振器114の内部空間が、直接に外部に開口せしめられるようになっている。そして、この開口部を通じてヨーク122の中心孔142の開口部に六角レンチ等の工具を差し入れることにより、上述のロックボルト136や位置決めナット134を操作して、滑動子126の位置を外部から調節することが出来るようにされている。なお、ヨーク122の中心孔142の下部開口には、蓋板金具148が固定的に組み付けられており、環状シールゴム154を挟圧することで封止状態で覆蓋されている。
【0052】
また、電磁加振器114には、更に筒形ブラケット156が外挿されて組み付けられている。筒形ブラケット156は、上端開口部にフランジ状部158を有しており、このフランジ状部158が、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42や環状保持金具82の取付板部90,ハウジング116のフランジ部130と共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24に対してかしめ筒部68でかしめ固定されている。また、筒形ブラケット156の下端開口部には取付板部160が形成されており、この取付板部160に対して複数の取付用孔(図示せず)が形成されている。
【0053】
ところで、上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、有利には、本体ゴム弾性体16からなる第一の一体加硫成形品28とダイヤフラム30からなる第二の一体加硫成形品32を組み合わせた組付体に対して、非圧縮性流体中において仕切板金具74と蓋部材76を組み付け、蓋部材76の圧入部94を第二の取付金具14のかしめ筒部68に圧入することにより第二の取付金具14の下側開口を閉塞せしめて受圧室100(振動入力室102および加振室104)と平衡室106を形成すると同時に、それら各室に非圧縮性流体を封入する。そこにおいて、圧入部94は、取付板部90の外周縁部から下方に向かって筒状に突設されていることから、かしめ筒部68に対する圧入面積が有利に確保され得る。そして、このようにして非圧縮性流体を充填した後に流体中から取り出し、大気中で、コイル118等を予め組み付けて別途に準備した電磁加振器114のハウジング116を蓋部材76の外側から組み付けて、該ハウジング116のフランジ部130を蓋部材76の取付板部90に重ね合わせ、更にその外側から筒形ブラケット156を外挿せしめて、そのフランジ状部158をハウジング116のフランジ部130に重ね合わせる。その後、第二の取付金具14のかしめ筒部68をかしめ加工することにより、段差部66に重ね合わされた仕切板金具74,蓋部材76,電磁加振器114のハウジング116,筒形ブラケット156を、軸方向にまとめてかしめ固定することにより、目的とするエンジンマウント10を得る。
【0054】
そこにおいて、電磁加振器114を組み付けるに際しては、予め、ハウジング116に対してコイル118,ヨーク120,122やガイドスリーブ124,滑動子126等を組み付けておいて、ハウジング116のフランジ部130を蓋部材76の取付板部90に重ね合わせるに際して、蓋部材76の加振板80に立設された駆動軸86を滑動子126に対して差し入れる。その際、蓋部材76の位置決め突部92は、筒状部88の軸方向長さに対応する分だけ、ハウジング116のフランジ部130が蓋部材76の取付板部90に重ね合わされるより前からハウジング116の開口部内に入り込み、ハウジング116の内周面に対する当接に基づく相対的な変位規制作用によってハウジング116に対して軸直角方向で位置決めされることとなる。特に、本実施形態では、筒状部88の軸方向長さが、駆動軸86の滑動子126に対する差入れ長さに略等しくされており、駆動軸86を滑動子126に差し入れる際の当初から差入作業中に継続して案内作用が発揮されるようになっている。また、駆動軸86を滑動子126に差し入れた後も、位置決め突部92のハウジング116に対する金属と金属の当接作用に基づいて、駆動軸86がハウジング116に対して高強度に軸直角方向で位置決め保持されるようになっている。
【0055】
また、電磁加振器114のハウジング116におけるフランジ部130は、環状保持金具82の圧入部94や筒形ブラケット156のフランジ状部158の外径寸法よりも小径とされていると共に、圧入部94の突出高さよりも薄肉とされている。そして、環状保持金具82の圧入部94の突出先端面は、筒形ブラケット156のフランジ状部158の外周縁部に対して直接に当接状態で重ね合わされており、ハウジング116のフランジ部130は、それら環状保持金具82と筒形ブラケット156のフランジ状部158の重ね合わせ面間において、圧入部94の径方向内方に離隔位置して配設されていると共に、環状保持金具82の取付板部90の下面に被着形成された圧縮ゴム164を介して軸方向に弾性的に挟圧支持されている。
【0056】
すなわち、環状保持金具82には、筒状部88の軸方向両端部に取付板部90と位置決め突部92が一体形成されていることにより、外周面に開口して周方向に連続して延びる環状溝形態のスペースが設けられているのであり、このスペースに対して圧縮ゴム164が略充填されるようにして被着形成されている。そして、この圧縮ゴム164は、取付板部90とハウジング116のフランジ部130の間で軸方向に挟圧されていると共に、筒状部88とハウジング116の筒壁部の間で軸直角方向に圧縮されている。これにより、ハウジング116のフランジ部130には、段差部66とかしめ筒部68による軸方向のかしめ力が弾性的に及ぼされており、第二の取付金具14に対して弾性的に連結支持せしめられていることによって、第二の取付金具14や筒形ブラケット156に入力される振動の電磁加振器114への伝達が軽減されて耐久性の向上等が図られるようになっている。なお、大きな荷重が及ぼされる第二の取付金具14と筒形ブラケット156は、仕切板金具74や取付板部90(圧入部94)を介しての金属同士の直接的なかしめ固定によって強固に連結固定されている。しかも、圧縮ゴム164が、環状保持金具82の筒状部88とハウジング116の間で軸直角方向で圧縮されていることにより、環状保持金具82とハウジング116の間での周方向の相対変位に対する摩擦抵抗力が増大されて、電磁加振器114の組付け作業等に際しての周方向の位置決めを安定して行うことが出来るようになっている。
【0057】
なお、圧縮ゴム164は、例えば、環状保持金具82の筒状部88に貫設した通孔を通じて支持ゴム板78と一体成形することによって、有利に形成され得る。また、本実施形態では、環状保持金具82の位置決め突部92の下面にもシールゴム166が、支持ゴム板78と一体的に被着形成されており、このシールゴム166がヨーク部材120の上面に圧接されていることにより、電磁加振器114の特に微小な隙間寸法をもって滑動変位せしめられる作動空間168が、前述のヨーク122の中心孔142における蓋板金具148と環状シールゴム154による封止構造と協働して、シールされるようになっている。
【0058】
上述の如き構造とされた、エンジンマウント10は、図示されていないが、第一の取付金具12の取付板部58が、ボルト挿通孔59に挿通される固定ボルトでパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が、筒形ブラケット156を介して固定ボルトで自動車ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に装着されることとなる。そして、かかる装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って受圧室100と平衡室106の間に惹起される圧力差に基づいてオリフィス通路112を通じて流体流動が生ぜしめられて、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づいて受動的な防振効果が発揮される。また、防振すべき振動に応じた周波数や位相でコイル118への通電を制御して電磁加振器114で加振板80を加振駆動せしめることにより、加振室104からオリフィス通孔96を通じて振動入力室102に圧力変動を及ぼし、振動入力室102の圧力変動を能動制御することにより入力振動に対して能動的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0059】
ここにおいて、本実施形態のエンジンマウント10においては、コイル118やヨーク120等を予め組み込んだハウジング116を、第二の取付金具14に組み付けられた蓋部材76の外方から組み付けて電磁加振器114を構成するに際して、蓋部材76からハウジング116に入り込んで、ハウジング116の内周面に対する干渉作用でハウジング116を軸直角方向で位置合わせする位置決め突部92が設けられているから、かかるハウジング116の組付作業を容易に行うことが出来ると共に、組付後における位置決め保持が高強度に安定して実現され得ることとなる。特に、位置決め突部92による位置決め作用が、ハウジング116の内周面を利用して、ハウジング116の中心軸から軸直角方向外方に大きく外れた位置で行われるようになっていることから、軸直角方向の位置決めに際しての精度と強度が、何れも有利に実現可能となるるのである。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0061】
例えば、前記実施形態では、アーマチャとしての滑動子126がコイル118の内周側に配設された構造の電磁加振器114が採用されていたが、その他、前記特許文献1,2,3等に記載されているように、アーマチャとしての滑動子や永久磁石をコイルの外周側に配設した構造の電磁加振器を採用することも可能である。
【0062】
また、前記実施形態では、予めマウント本体(第二の取付金具14)に圧入固定された蓋部材76に対して、コイル118やヨーク120等を組み込んだハウジング116を組み付けることによって電磁加振器114が構成されるようになっていたが、その他、加振板等の出力部材を支持ゴム弾性体で連結せしめた固定金具をハウジングに組み付けて構造的に完成させた電磁加振器を、その後にマウント本体に装着するようにしても良い。
【0063】
また、本発明は、例示の如きエンジンマウントの他、例えば前記特許文献2に示されているような能動的な制振器に対して適用することも可能である。具体的には、かかる制振器は、例えば、第一の実施形態に示された電磁加振器114を、第一及び第二の一体加硫成形品28,32から独立して単体で用いて、そのハウジング116の開口部に蓋部材76を組み付け、環状保持金具82における取付板部90をハウジング116のフランジ部130にかしめ固定することによって構成される。即ち、このようにして構成された制振器にあっては、加振板80を制振すべき振動部材に対して固定的に取り付けて、コイル118を含むハウジング116を、振動部材に対して支持ゴム板78を介して弾性的に連結支持せしめることにより、コイル118を含むハウジング116を、コイル118への通電によって振動部材に対して能動加振されるマスとして作用せしめることが出来るのである。勿論、このような構造の電磁加振器114においても、環状保持金具82に形成された位置決め突部92のハウジング116に対する位置決め作用と効果は、前記実施形態と同様に発揮され得る。
【0064】
加えて、本発明は、自動車用のボデーマウントやメンバマウント等、或いは自動車以外の各種装置におけるマウントや制振器などの防振装置や、そのような防振装置に用いられる防振用アクチュエータに対して、同様に適用可能である。
【0065】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた防振用アクチュエータにおいては、ハウジング内部において、ハウジングの開口周壁部の内周面を巧く利用して、出力部材を支持せしめる固定金具に設けた位置決め突部による位置決め作用が発揮されるのであり、それ故、コイル部材とアーマチャの相対位置が安定して高精度に設定され得ることとなり、出力特性の安定化と良好なる作動安定性が実現され得るのである。
【0066】
また、このような本発明に係る防振用アクチュエータを用いて構成された能動型防振用マウントや能動型防振用制振器といった能動型防振装置においては、目的とする能動的な防振効果を一層効率的に且つ安定して得るとこが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントにおける電磁加振器の組付部位を示す要部拡大説明図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
30 ダイヤフラム
66 段差部
68 かしめ筒部
74 仕切板金具
76 蓋部材
78 支持ゴム板
80 加振板
86 駆動軸
92 位置決め突部
100 受圧室
106 平衡室
114 電磁加振器
116 ハウジング
118 コイル
124 ガイドスリーブ
126 滑動子
156 筒形ブラケット
164 圧縮ゴム

Claims (6)

  1. カップ形状のハウジングにおいて中心軸上に延びる案内孔を設けると共に、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材に突設したガイドロッドを該案内孔に差し入れるようにして組み付けて、該ハウジングと該出力部材の各一方にコイル部材とアーマチャを設けて該コイル部材への通電により該アーマチャに作用せしめられる駆動力を該出力部材に及ぼすようにする一方、該出力部材をその外周側に離隔配置せしめた環状の固定金具に対して支持ゴム弾性板で連結せしめて、該固定金具の外周縁部を前記ハウジングの開口周縁部に対してかしめ固定することにより、該出力部材を該ハウジングによって弾性変位可能に支持せしめた防振用アクチュエータにおいて、
    前記固定金具の内周縁部を前記ハウジングの内方に向かって軸方向に筒状に延び出させて、その延び出した先端部分を外周側に向かってフランジ状に突出させることにより、該ハウジングの開口部から内方に所定量だけ入り込んだ位置で該ハウジングの内周面に対して該固定金具を軸直角方向で相対的に位置決めする位置決め突部を形成したことを特徴とする防振用アクチュエータ。
  2. 前記固定金具において、前記ハウジングとの間で軸方向に挟圧される当接ゴムを被着形成した請求項1に記載の防振用アクチュエータ。
  3. 前記当接ゴムを、前記ハウジングの開口部から更に内方にまで入り込んだ位置において該ハウジングに対して軸直角方向で当接せしめることにより、前記固定金具と該ハウジングの間で、該当接ゴムに対して軸方向および軸直角方向の挟圧力が及ぼされるようにした請求項2に記載の防振用アクチュエータ。
  4. 前記ハウジングの開口周縁部にフランジ部を形成して、該フランジ部に前記固定金具の外周縁部を重ね合わせると共に、それらフランジ部と固定金具の重ね合わせ部分を、該フランジ部および該固定金具の何れとも別体のかしめ金具によってかしめ固定した請求項1乃至3の何れかに記載の防振用アクチュエータ。
  5. 相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振用マウントにおいて、
    前記アクチュエータとして請求項1乃至4の何れかに記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記出力部材によって前記加振部材を構成したことを特徴とする能動型防振用マウント。
  6. 防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、
    請求項1乃至4の何れかに記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングと前記出力部材の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設ける一方、それらハウジングと出力部材の他方にマス部を設けたことを特徴とする能動型防振用制振器。
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