JP3753703B2 - 防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 - Google Patents

防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、防振対象部材に装着されることにより能動的な防振効果を発揮し得る能動型防振装置に用いられる防振用アクチュエータと、それを用いた能動型防振装置に係り、特に自動車のエンジンマウントやボデーマウント,制振器などの防振装置において好適に採用される防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
例えば自動車のボデー等のように振動低減が重要視される防振対象部材において振動を低減するために、従来では、一般に、ショックアブソーバやゴム弾性体等の減衰効果を利用した振動減衰手段や、コイルスプリングやゴム弾性体等のばね効果を利用した振動絶縁手段の如き防振装置が採用されているが、これらの防振装置は何れも受動的な防振作用を発揮するものであるために、例えば防振すべき振動の周波数等の特性が変化する場合やより高度な防振効果が要求される場合等においては、充分な防振効果を得ることが難しいという問題があった。そこで、近年では、防振対象部材や防振装置に加振力を及ぼすことにより、防振すべき振動を積極的乃至は相殺的に低減せしめるようにした能動型防振装置が開発され、検討されている。例えば、特許文献1,2に記載のものが、それである。
【0003】
このような能動型防振装置では、加振力を発生するアクチュエータが必要であり、かかるアクチュエータにおいては、発生加振力に関して周波数や位相の高度の制御性が要求される。そこで、能動型防振装置に採用される防振用アクチュエータとしては、コイルを用いて、コイルへの通電を制御することにより生ぜしめられる電磁力や磁力を制御するようにしたものが好適に採用される。また、数十Hz以上の高周波数域で出力部材を加振駆動せしめるために、駆動方向に出力部材を案内するガイド機構が、好適に採用される。
【0004】
より具体的には、かかる防振用アクチュエータとしては、特許文献1,2にも示されているように、略カップ形状のハウジングにコイル部材を組み込むと共に、該コイル部材への通電によって駆動力が及ぼされるアーマチャを該ハウジングの軸方向に変位可能に配設する一方、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材を該ハウジングに対して支持ゴム弾性体で連結すると共に、該出力部材から該ハウジングの内方に延び出すインナロッドを設けて、該インナロッドを前記アーマチャに取り付けることにより、該コイル部材への通電によって該アーマチャから該出力部材に加振力を及ぼして、該出力部材を該ハウジングの軸方向に加振変位せしめるようにした構造のものが、好適に採用される。
【0005】
ところで、このような構造とされた防振用アクチュエータにおいては、コイル部材への通電によってアーマチャに対して加振力が効率的に及ぼされるように、アーマチャのコイル部材に対する相対位置を高精度に調節できるようにすることが望ましい。
【0006】
そこで、例えば、アーマチャに挿通孔を設けて該挿通孔にインナロッドを挿通せしめる一方、アーマチャと出力部材の対向面間にコイルスプリングを配設すると共に、アーマチャに挿通されたインナロッドの先端側に締付ナットを螺着してアーマチャを介してコイルスプリングを所定量だけ圧縮することにより、締付ナットの締付量に応じて、出力部材をアーマチャに対して軸方向(変位方向)で位置決め調節可能に連結せしめるようにすることが、考えられる。
【0007】
このような連結構造を採用すれば、締付ナットの締付量を変更するだけで、アーマチャのコイル部材に対する相対位置を調節し、コイル部材への通電によってアーマチャに磁力や電磁力を及ぼすエアギャップの大きさ等を適宜に調節設定することが出来るのであり、それ故、部品寸法誤差等に起因する出力特性の不安定化を軽減して、効率的で且つ安定した出力特性を得ることが可能となるのである。
【0008】
ところが、本発明者等が検討したところ、アーマチャと出力部材の対向面間にコイルスプリングを配設した上述の如き構造の防振用アクチュエータにおいては、使用条件等によっては出力特性が比較的早期に低下したりばらついたりしてしまうおそれがあり、作動特性に関して充分な耐久性を安定して得ることが難しいということが、明らかとなった。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−89040号公報
【特許文献2】
特開2001−1765号公報
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、前述の如く、コイルへの通電によって加振力が作用せしめられるアーマチャに対して、インナロッドを備えた出力部材をコイルスプリングを介して締付連結せしめた構造の防振用アクチュエータであって、その耐久性が向上され得て、効率的な出力特性が長期間に亘って一層安定して発揮され得るようにした、改良された構造の防振用アクチュエータを提供することにある。
【0011】
また、本発明は、そのような防振用アクチュエータを用いて構成された、新規な構造を有する能動型防振装置として、能動型防振用マウントおよび能動型防振用制振器を提供することも目的とする。
【0012】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0013】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様1)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様1の特徴とするところは、略カップ形状のハウジングにコイル部材を組み込むと共に、該コイル部材への通電によって駆動力が及ぼされるアーマチャを該ハウジングの軸方向に変位可能に配設する一方、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材を該ハウジングに対して支持ゴム弾性体で連結して弾性支持せしめると共に、該出力部材を前記アーマチャに取り付けることにより、該コイル部材への通電によって該アーマチャから該出力部材に加振力を及ぼして、該出力部材を該ハウジングの軸方向に加振変位せしめるようにした防振用アクチュエータにおいて、前記出力部材に対して前記アーマチャに向かって延びるインナロッドを設けると共に、前記アーマチャに挿通孔を設けて該挿通孔に該インナロッドを挿通せしめ、該アーマチャと前記出力部材の対向面間にコイルスプリングを該インナロッドに外挿して配設すると共に、該アーマチャに挿通された該インナロッドの先端側に締付ナットを螺着して該アーマチャを介して該コイルスプリングを所定量だけ圧縮することにより、該出力部材を該アーマチャに対して変位方向である該インナロッドの軸方向で位置決め連結する一方、該出力部材における該インナロッドの突設部分にスプリングシートを配設して、該コイルスプリングの軸方向端面と該出力部材の間および該コイルスプリングの軸方向端部内周面と該インナロッドの基端部外周面の間に該スプリングシートを介在せしめたことにある。
【0014】
先ず、〔背景技術〕の欄に記載した問題点に鑑み、本発明者が多くの実験と検討を行った結果、前述の如くインナロッドを備えた出力部材をコイルスプリングを介してアーマチャに締付連結せしめた構造の防振用アクチュエータにおいて作動特性の耐久性が安定して確保し難い技術的理由が、作動に際して発生する微細な粉塵等に起因するものであろうとの知見を得た。
【0015】
すなわち、コイルスプリングが当接せしめられる出力部材には支持ゴム弾性体が加硫接着されることとなるが、たとえコイルスプリングの当接面までは支持ゴム弾性体が被着されておらずにコイルスプリングが出力部材に対して直接に当接せしめられていたとしても、コイルスプリングの当接部位を含む出力部材の全面にはゴム弾性体の加硫成形用の接着剤が塗布されているのが一般的であり、また場合によっては、支持ゴム弾性体の成形に際して成形用金型と出力部材の密接部位にまでゴム材料が入り込んで極めて薄肉なゴム膜で出力部材の表面が覆われる場合があることから、出力部材におけるコイルスプリングの当接面には、数十μm程度ではあるが接着剤やゴム膜の層が存在していることが多いのが、事実なのである。そして、このように一般の機械装置では無視される程に微小な厚さの層が出力部材におけるコイルスプリングの当接面に介在することによって、コイル部材への通電によって出力部材が加振されてコイルスプリングの端部が繰り返し押し付けられることにより、微小な粉塵となって剥離してハウジング内に散ることとなる。特にコイルスプリングの端部には巻線のエンドエッジが存在しており、コイルスプリングが繰り返し圧縮変形するに際して該エンドエッジの位置も微小変位せしめられることによって、出力部材に存在する接着剤やゴム膜の層が積極的に削り取られるようにして剥離し易いという事実がある。
【0016】
一方、コイル部材への通電によって磁力や電磁力をアーマチャに及ぼすことで駆動力を発揮する構造のアクチュエータでは、アーマチャやインナロッドを含む可動部分のこじり変位を抑えて軸方向変位を安定して発現させるために、アーマチャ側の可動部分とコイル部材側の固定部分との間に軸直角方向で極めて微小なクリアランスをもった案内面が形成されることが多い。そのために、上述の如き一般の機械装置では問題とならない程に小さい数十μm程度の微粉であっても、それがハウジング内に発生して、アーマチャ側の可動部分とコイル部材側の固定部分との間に形成された微小なクリアランス等に入り込んでしまうと、可動部分の作動が著しく阻害されて出力特性が不安定となったり大幅に低下してしまう原因となるのである。
【0017】
そして、かくの如き新たに得た知見に基づいて更なる検討を行い、完成されるに至った本発明の態様1においては、コイルスプリングが出力部材に対して、出力部材から別体形成されたスプリングシートを介して、当接せしめられることから、たとえ出力部材に接着剤層やゴム膜層が被着していた場合でも、コイルスプリングのエンドエッジが擦れること等に起因してそれら接着剤層やゴム膜層が削れることが防止されうる。従って、出力部材の加振に伴う、ハウジング内での粉塵の発生が抑えられることとなり、かかる粉塵等に起因すると考えられる作動阻害が回避され得て、目的とする出力特性を優れた耐久性をもって安定して得ることの出来る防振用アクチュエータが、有利に実現され得るのである。
【0018】
なお、本態様において採用されるスプリングシートは、支持ゴム弾性体が加硫接着される出力部材と別体形成されて、支持ゴム弾性体の加硫成形後に出力部材に組み付けられることとなるが、必要に応じて、出力部材に対して接着剤等で後固着しても良い。また、スプリングシートの形成材料は、コイルスプリングの擦れに対して高度な強度と耐久性を有すると共に充分な耐荷重性を有するものであれば良いが、特にステンレス鋼等の金属材が好適に採用される。更にまた、本態様において採用されるコイルスプリングは、出力部材に対して及ぼされる弾性力の偏りを防止するために、軸方向端部が周方向の出来るだけ長い領域で安定して出力部材に重ね合わされて当接せしめられることが望ましく、その意味において、例えば端部構造がクローズドエンドタイプのコイルスプリングや、オープンエンドタイプでも研削やテーパで略一周弱の長さで出力部材に重ね合わされるようにした構造のコイルスプリングが好適に採用される。
【0019】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様2)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様2は、前記態様1に係る防振用アクチュエータにおいて、前記インナロッドの外径寸法を軸方向で異ならせてその基端部を大径とし、そこに前記スプリングシートを外嵌装着せしめたことを、特徴とする。本態様においては、出力部材に対するコイルスプリングの軸直角方向での変位を、スプリングシートをインナロッドの基端部に当接させることで抑えることが出来ると共に、基端部を除いてインナロッドの突出部分を小径とすることにより、コイルスプリングのインナロッドへの干渉を回避することが出来る。それ故、コイルスプリングの弾性力を出力部材に対して一層安定して及ぼすことが可能となり、出力部材の作動の更なる安定化が図られ得るのである。
【0020】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様3)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様3は、前記態様1又は態様2に係る防振用アクチュエータにおいて、前記コイルスプリングの軸方向端部内周面を前記スプリングシートに対して外嵌装着せしめたことを、特徴とする。本態様においては、スプリングシートに対するコイルスプリングの軸直角方向での位置決めが実現されることから、スプリングシートやコイルスプリングの出力部材に対する組付位置が安定して保持され得ることとなり、それによって、コイルスプリングの弾性力を出力部材に対して一層安定して及ぼすことが可能となる。なお、本態様は、特に前記態様2と組み合わせて採用することが望ましく、それによって、スプリングシートとコイルスプリングを共に出力部材に対して有利に位置決めすることが可能となる。なお、前記態様2におけるスプリングシートのインナロッドへの外嵌と、本態様におけるコイルスプリングのスプリングシートへの外嵌は、何れも、実質的にがたつきが発生しないように周方向の全周に亘って接触状態とすることが望ましい。
【0021】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様4)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかの態様に係る防振用アクチュエータにおいて、前記スプリングシートの外周縁部を前記コイルスプリング側に向かって軸方向に立ち上げて、該スプリングシートを全体として環状の略凹溝形状としたことを、特徴とする。本態様においては、スプリングシートの外周縁部を立ち上げたことにより、スプリングシートの外周縁部がエッジ状となって出力部材に擦れることに起因する粉塵の発生までも、回避され得る。なお、スプリングシートにおける径方向内外の両周壁部の立ち上がり部分は、外周面が鋭角なエッジとなって出力部材に引っ掛かったり出力部材を削ったりしないように、湾曲面をもって形成することが望ましい。
【0022】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様5)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様5は、前記態様1乃至4の何れかの態様に係る防振用アクチュエータにおいて、前記アーマチャにおける前記コイルスプリングの当接部位にもスプリングシートを配設して、該コイルスプリングと該アーマチャの間に該スプリングシートを介在せしめたことを、特徴とする。本態様においては、アーマチャにおけるコイルスプリングの当接部位もスプリングシートによって保護されることから、アーマチャの材質如何に拘わらず、アーマチャ側でのコイルスプリングの擦れに起因する粉塵等の発生も防止され得る。
【0023】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様6)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様6は、前記態様1乃至5の何れかの態様に係る防振用アクチュエータにおいて、前記出力部材の外周部分に対して前記支持ゴム弾性体が加硫接着されており、前記スプリングシートを介して前記コイルスプリングが当接せしめられる該出力部材の内周部分には、該支持ゴム弾性体が実質的に被着されておらず、該スプリングシートを該出力部材の表面に対して直接的に重ね合わせて配設したことを、特徴とする。即ち、上述の態様1〜5においては、例えば、出力部材におけるコイルスプリングの当接面にゴム膜が被着形成されていても、スプリングシートが介在せしめられることによって粉塵等の発生が抑えられて大きな問題とならないが、特に本態様においては、スプリングシートが、出力部材に対して実質的に直接に重ね合わされて配設されることから、スプリングシートの出力部材に対する当接状態が安定化して、出力部材の作動特性の更なる安定化が図られ得ると共に、コイルスプリングの弾性の出力部材への伝達経路にゴム材が実質的に介在していないことから、ゴム材のヘタリ等が問題となることもない。
【0024】
(能動型防振用マウントに関する本発明)
能動型防振用マウントに関する本発明の特徴とするところは、相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振用マウントにおいて、前記アクチュエータとして、上述の如き防振用アクチュエータに関する本発明の態様1〜6の何れかの態様に係る防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記出力部材によって前記加振部材を構成したことを特徴とする。このような本発明に従えば、目的とする能動的防振性能を長期間に亘って安定して発揮せしめ得る流体封入式の防振用マウントが実現され得ることとなり、例えば自動車用エンジンマウント等に好適に採用され得る能動型防振用マウントが有利に実現され得る。
【0025】
(能動型防振用制振器に関する本発明)
能動型防振用制振器に関する本発明の特徴とするところは、防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、前記防振用アクチュエータに関する本発明の態様1〜6の何れかの態様に係る防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングと前記出力部材の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設けると共に、それらハウジングと出力部材の他方にマス部を設けたことを、特徴とする。このような本発明に従えば、目的とする能動的制振性能を長期間に亘って安定して発揮せしめ得る防振用制振器が実現され得ることとなり、例えば自動車のボデー用制振器等に好適に採用され得る能動型防振用制振器が有利に実現され得る。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、図1には、能動型防振用マウントに関する本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされており、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持するようになっている。また、そのような装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、パワーユニットの分担荷重と、防振すべき主たる振動が、何れも、エンジンマウント10の略軸方向(図1中、上下方向)に入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向を言うものとする。
【0028】
より詳細には、第一の取付金具12は、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20によって構成されていると共に、第二の取付金具14は、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24によって構成されている。そして、本体ゴム弾性体16に対して本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22が加硫接着されて第一の一体加硫成形品28とされている一方、ダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、可撓性膜としてのダイヤフラム30に対して加硫接着されて第二の一体加硫成形品32とされており、これら第一及び第二の一体加硫成形品28,32が相互に組み合わされている。
【0029】
ここにおいて、第一の一体加硫成形品28を構成する本体ゴムインナ金具18は、逆向きの略円錐台形状を有している。また、本体ゴムインナ金具18の上端面(大径側端面)には、嵌合凹部34が形成されていると共に、該嵌合凹部34の底面に開口するねじ穴38が設けられている。
【0030】
更にまた、本体ゴムアウタ筒金具22は、略大径円筒形状を有する筒壁部40を備えており、この筒壁部40の軸方向下端部には径方向外方に向かって広がるフランジ状部42が一体形成されている一方、筒壁部40の軸方向上端部分は、軸方向上方に行くに従って次第に拡開するテーパ筒状部44とされている。これによって、本体ゴムアウタ筒金具22の外周側には、外周面に開口して周方向に一周弱の長さで延びる周溝45が形成されている。そして、本体ゴムアウタ筒金具22の上方に離隔して、本体ゴムインナ金具18が略同一中心軸上で離隔配置されており、本体ゴムインナ金具18における逆テーパ形状の外周面と本体ゴムアウタ筒金具22におけるテーパ筒状部44の内周面が相互に離隔して対向位置せしめられており、これら本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22の対向面間が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0031】
かかる本体ゴム弾性体16は、全体として大径の円錐台形状を有しており、その中央部分には、本体ゴムインナ金具18が同軸的に配されて加硫接着されていると共に、その大径側端部外周面に対して本体ゴムアウタ筒金具22のテーパ筒状部44が重ね合わせられて加硫接着されている。これによって、本体ゴム弾性体16が、上述の如き本体ゴムインナ金具18および本体ゴムアウタ筒金具22を備えた第一の一体加硫成形品28として形成されている。
【0032】
また一方、第二の一体加硫成形品32を構成するダイヤフラムインナ金具20は、厚肉の円板形状を有している。また、ダイヤフラムインナ金具20の下面には、嵌合凸部46が形成されていると共に、該嵌合凸部46の形成部位を貫通して挿通孔52が形成されている。更にダイヤフラムインナ金具20には、上方に突出して取付板部58が一体形成されており、取付板部58の中央部分にはボルト挿通孔59が設けられている。
【0033】
また、ダイヤフラムアウタ筒金具24は、薄肉大径の円筒形状を有しており、その軸方向下側の開口部には、径方向外方に向かって広がる円環板形状のフランジ状部66が一体形成されており、更に、フランジ状部66の外周縁部には、軸方向下方に向かって突出する円環状のかしめ片68が一体形成されている。
【0034】
そして、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上方に離隔して、ダイヤフラムインナ金具20が、略同一中心軸上に配設されており、それらダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、ダイヤフラム30によって連結されている。
【0035】
ダイヤフラム30は、薄肉のゴム膜によって形成されており、容易に弾性変形が許容されるように大きな弛みを持った湾曲断面形状をもって周方向に延びる略円環形状を有している。そして、ダイヤフラム30の内周縁部が、ダイヤフラムインナ金具20の外周縁部に対して加硫接着されていると共に、ダイヤフラム30の外周縁部が、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上側の開口部に加硫接着されている。これにより、ダイヤフラム30は、ダイヤフラムインナ金具20およびダイヤフラムアウタ筒金具24を備えた第二の一体加硫成形品32として形成されている。
【0036】
而して、かかる第二の一体加硫成形品32が、前述の第一の一体加硫成形品28に対して上方から重ね合わせられて組み付けられており、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18に固着されていると共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24が本体ゴムアウタ筒金具22に固着されており、更にダイヤフラム30が、本体ゴム弾性体16の外方に離隔して、本体ゴム弾性体16の外周面を全体に亘って覆うようにして配設されている。
【0037】
すなわち、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18の上面に直接に重ね合わされて、ダイヤフラムインナ金具20の嵌合凸部46が本体ゴムインナ金具18の嵌合凹部34に嵌め込まれることによって、ダイヤフラムインナ金具20と本体ゴムインナ金具18が同一中心軸上に位置合わせされている。また、特に本実施形態では、嵌合凸部46と嵌合凹部34の各外周面に切欠状に形成された係合外周面50と係合内周面36の係合作用によって、ダイヤフラムインナ金具20と本体ゴムインナ金具18が周方向でも相互に位置決めされており、ダイヤフラムインナ金具20の挿通孔52と本体ゴムインナ金具18のねじ穴38が位置合わせされている。
【0038】
そして、図1に示されているように、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20を重ね合わせた状態下で、連結ボルト70が、ダイヤフラムインナ金具20の挿通孔52を通じて本体ゴムインナ金具18のねじ穴38に螺着されている。而して、これら本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20が連結ボルト70で連結固定されることにより、第一の取付金具12が構成されている。
【0039】
一方、ダイヤフラムアウタ筒金具24は本体ゴムアウタ筒金具22に対して軸方向上方から外挿されている。また、本体ゴムアウタ筒金具22は、その下端部において、フランジ状部42の外周縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24のフランジ状部66に対して軸方向に重ね合わされていると共に、その上端部において、テーパ筒状部44の開口端縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24の内周面に対して径方向で重ね合わされている。
【0040】
そして、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42の外周縁部に対して、ダイヤフラムアウタ筒金具24のかしめ片68がかしめ固定されることによって、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24が相互に固定されて組み付けられている。なお、これら本体ゴムアウタ筒金具22の上下両端部におけるダイヤフラムアウタ筒金具24との重ね合わせ部位には、それぞれ、本体ゴム弾性体16またはダイヤフラム30と一体成形されたシールゴムが介在されており、流体密にシールされている。これにより、本体ゴムアウタ筒金具22に形成された周溝45がダイヤフラムアウタ筒金具24で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴムアウタ筒金具22の筒壁部40とダイヤフラムアウタ筒金具24の径方向対向面間を周方向に所定長さで乃至は全周に亘って連続して延びる環状通路72が形成されている。
【0041】
さらに、本体ゴムアウタ筒金具22の下側開口部には、仕切板金具74と蓋部材76が組み付けられている。蓋部材76は、支持ゴム弾性体としての略円環板形状の支持ゴム板78に対して、その中央部分に出力部材としての加振板80が加硫接着されていると共に、その外周部分に環状保持金具82が加硫接着されており、それら加振板80と環状保持金具82が支持ゴム板78で弾性的に連結されている。
【0042】
加振板80は、円板形状を有しており、その外周縁部には上方に向かって突出する環状連結部84が一体形成されている。また、加振板80の中央部分には、下方に向かって延びる駆動軸86が一体形成されている。この駆動軸86は、加振板80の中心軸上を円形断面で直接的に延びており、加振板80側の基端部分が、他の部分よりも外径寸法の大きい大径部88とされていると共に、駆動軸86の先端部分が雄ねじ部90とされている。なお、加振板80は、環状連結部84や駆動軸86を含んで、金属や合成樹脂等の硬質材で一体成形されている。一方、環状保持金具82は、円筒形状を有する筒状部92の上下開口部に対してそれぞれフランジ状に広がる取付板部94と位置決め突部96が一体形成されており、取付板部94の外周縁部には、更に下方に突出する円環状の圧入部98が一体形成されている。
【0043】
そして、環状保持金具82の径方向内方に離隔して略同一中心軸上に加振板80が配設されており、これら環状保持金具82と加振板80の径方向対向面間に広がるようにして支持ゴム板78が配設されている。また、かかる支持ゴム板78は、その内外周縁部が加振板80の環状連結部84と環状保持金具82の筒状部92の対向面に対してそれぞれ加硫接着されており、加振板80と環状保持金具82の間が支持ゴム板78で流体密に閉塞されている。要するに、支持ゴム板78は、その成形型のキャビティに対して、予め接着剤塗布等の接着処理を施した加振板80と環状保持金具82をセットせしめた状態下でゴム材料を充填して加硫成形することにより、それら加振板80と環状保持金具82が加硫接着された一体加硫成形品として形成されているのである。
【0044】
一方、仕切板金具74は、薄肉の円板形状を有しており、その外径寸法が、環状保持金具82における取付板部94の径方向中間部分まで至る大きさとされている。また、仕切板金具74の中央部分は、略台地状に上方に突出せしめられており、その中心軸上にオリフィス通孔99が貫設されている。
【0045】
そして、仕切板金具74は、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部において、そこに組み付けられた本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42に対して外周縁部が重ね合わされて組み付けられている。更に、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部には、仕切板金具74の下方から蓋部材76が組み付けられており、蓋部材76における環状保持金具82の取付板部94が、本体ゴムアウタ筒金具22と仕切板金具74に重ね合わされて、それぞれの外周縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24のかしめ片68によってかしめ固定されている。
【0046】
これにより、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部が、蓋部材76で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴム弾性体16と蓋部材76の対向面間には、非圧縮性流体が封入された受圧室100が形成されている。この受圧室100は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて振動が入力されて圧力変動が惹起されるようになっている。
【0047】
また、受圧室100は、仕切板金具74を挟んで、本体ゴム弾性体16側の振動入力室102と、蓋部材76側の加振室104に二分されていると共に、これら振動入力室102と加振室104がオリフィス通孔99で連通せしめられている。
【0048】
更にまた、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30が、それぞれの内周縁部と外周縁部において第一の取付金具12と第二の取付金具14に固着されることにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30の対向面間には、非圧縮性流体が封入された平衡室106が形成されている。即ち、この平衡室106は、壁部の一部が変形容易なダイヤフラム30で構成されており、該ダイヤフラム30の弾性変形に基づいて容易に容積変化が許容されるようになっているのである。なお、受圧室100や平衡室106に封入される非圧縮性流体としては、後述するオリフィス通路112を通じて流動せしめられる流体の共振作用等に基づく防振効果を自動車用のエンジンマウント10に要求される振動周波数域で効率的に得るために、一般に、0.1Pa.s以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0049】
さらに、受圧室100と上側に形成された平衡室106には、第二の取付金具14内に形成された環状通路72の各一方の端部が連通孔108,110を通じて接続されており、それによって、受圧室100と平衡室106を相互に連通せしめて両室100,106間での流体流動を許容するオリフィス通路112が所定長さで形成されている。なお、オリフィス通路112は、振動入力時に受圧室100と平衡室106の間に惹起される圧力差に基づいて内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、例えばアイドリング振動等の特定の周波数域で有効に発揮されるように、その通路断面積や通路長さが適当に設定されてチューニングされている。
【0050】
また一方、蓋部材76を挟んで受圧室100と反対側には、アクチュエータとしての電磁加振器114が配設されている。この電磁加振器114は、略カップ形状のハウジング116にコイル118が収容状態で固定的に組み付けられていると共に、コイル118の周りには、それぞれ環状の強磁性材からなるヨーク120,122が固定的に組み付けられて磁路が形成されている。また、磁路を形成するヨーク120の筒状内周面には、ガイドスリーブ124が嵌め込まれて装着されており、アーマチャとしての強磁性材からなる滑動子126が、かかるガイドスリーブ124内を滑動可能に組み付けられている。なお、ガイドスリーブ124は薄肉の円筒形状を呈しており、保持用コイルスプリング127を介して、ヨーク120に対して位置決め保持されることにより、ヨーク120等の寸法誤差の影響を可及的に回避せしめて、その内周面において滑動子126を良好な摺動性をもって円滑に案内し得るようにされている。
【0051】
また、滑動子126は、全体として厚肉の略円筒形状を有しており、外周面がガイドスリーブ124に摺接される円筒面とされている一方、内周面には、軸方向中間部分で内方に突出する環状の係合突部128が一体的に突出形成されている。そして、かかる滑動子126は、ガイドスリーブ124に内挿されて、その軸方向上側部分の外周面が一方のヨーク120に対して近接配置されていると共に、その軸方向下端面が他方のヨーク122に対して軸方向で対向位置せしめられており、それら二つのヨーク120,122間に形成された磁気ギャップの領域に配設されている。従って、コイル118に通電することにより、ヨーク120,122から滑動子126に磁力が及ぼされて、滑動子126がガイドスリーブ124で案内されつつ軸方向に駆動されるようになっている。
【0052】
そして、電磁加振器114は、ハウジング116の開口周縁部に形成されたフランジ部130が、蓋部材76における環状保持金具82の取付板部94に重ね合わされて、環状保持金具82等と共に、かしめ片68で第二の取付金具14にかしめ固定されている。これにより、電磁加振器114は、その滑動子126の滑動中心軸が、第一及び第二の取付金具12,14の中心軸に略一致するように組み付けられている。
【0053】
また、このように組み付けられた電磁加振器114には、その中心軸上で上方から加振板80の駆動軸86が差し入れられており、この駆動軸86が、滑動子126の係合突部128に挿通されている。更に、図2にも示されているように、駆動軸86にはコイルスプリング132が外挿されて、加振板80と滑動子126の係合突部128の対向面間に跨がって配設されていると共に、駆動軸86の係合突部128に挿通された先端部分には位置決めナット134が螺着されている。そして、位置決めナット134を駆動軸86にねじ込み、滑動子126の係合突部128を介して、加振板80との間でコイルスプリング132を圧縮せしめることにより、駆動軸86に対して滑動子126が軸方向で位置決めされて、駆動軸86と滑動子126がコイルスプリング132の付勢力で弾性的に連結せしめられている。これにより、コイル118への通電で滑動子126に作用せしめられる駆動力が駆動軸86に及ぼされて加振板80が駆動されるようになっている。
【0054】
要するに、位置決めナット134の駆動軸86へのねじ込み量を調節することにより、第二の取付金具14に対して支持ゴム板78で弾性的に位置決め支持された加振板80に対して滑動子126の取付位置を軸方向に変更設定することが出来るのであり、それによって、滑動子126のヨーク122に対する磁力作用対向面間の距離を微調節することが可能となっているのである。
【0055】
また、本実施形態では、位置決めナット134に対して軸方向下側からロックボルト136が締め込まれており、位置決めナット134のねじ穴内でロックボルト136が駆動軸86の先端に当接されていることによって、駆動軸86に対する位置決めナット134の締付位置がロックされるようになっている。更に、駆動軸86が差し入れされた滑動子126の内孔は、下方のヨーク122とハウジング116を貫通して外部に開口せしめられており、この外部への開口部140を通じて、外部から位置決めナット134の微調節を容易に行うことが出来るようになっている。なお、かかる開口部140は、着脱可能に装着された蓋部材142によって覆蓋されている。
【0056】
更にまた、駆動軸86に外挿されたコイルスプリング132の軸方向両端部には、それぞれ、スプリングシート144が装着されており、コイルスプリング132の上下各端部が、スプリングシート144を介して、加振板80と滑動子126の係合突部128との対向面に対して付勢力をもって押し付けられている。かかるスプリングシート144は、図3に示されているように、円環状の底壁146の内外周縁部に対して内側筒壁148と外側筒壁150を一体的に立設することにより、軸方向一方の側に開口する環状凹溝152を有する円環溝形状とされている。そして、スプリングシート144,144は、コイルスプリング132の軸方向両端部にそれぞれ被せられて、その底壁146が加振板80と係合突部128の対向面にそれぞれ載置されることによって装着されている。
【0057】
ここにおいて、スプリングシート144は、コイルスプリング132の接触に対して充分な強度を発揮し得るように磨耗強度や被削強度に優れた材料によって形成されており、特に好適にはステンレス鋼などの金属材料で形成される。また、スプリングシート144の外周面にもエッジが形成されないように、底壁146に対する内外壁部148,150の接続部位には適当なアール状の面取りを施すことが望ましい。更に、コイルスプリング132も、スプリングシート144に接触する端部におけるエッジが出来るだけ無いように処理されたものが望ましく、それ故、オープンエンドよりもクローズドエンドの端部構造が望ましく、また無研削よりも研削やテーパの端部処理が施されたものが好適に採用される。
【0058】
特に本実施形態では、スプリングシート144の内側筒壁148の内径寸法が、駆動軸86における大径部88の外径寸法と同じ程度に設定されており、装着状態下において、スプリングシート144の内側筒壁148の内周面が、周方向の略全周に亘って、駆動軸86の大径部88の外周面に対して接触状態で重ね合わされている。更に、スプリングシート144の内側筒壁148の外径寸法は、コイルスプリング132のコイル内径寸法と同じ程度に設定されており、装着状態下において、コイルスプリング132のコイル内周面が、周方向の略全周に亘って、スプリングシート144の内側筒壁148の外周面に対して接触状態で重ね合わされている。これにより、コイルスプリング132の上端部が、スプリングシート144を介して駆動軸86の大径部88に対して実質的にがたつきなく軸直角方向で位置決めされた状態で、スプリングシート144を介して加振板80の下面に重ね合わされているのである。
【0059】
また、本実施形態では、加振板80の外周部分だけに支持ゴム板78が加硫接着されており、スプリングシート144が重ね合わされた加振板80の下面内周部分は、実質的に支持ゴム板78が被着されないで加振板80が直接に露呈されている。
【0060】
上述の如き構造とされたエンジンマウント10には、電磁加振器114に対して、更に筒形ブラケット156が外挿されている。筒形ブラケット156は、上端開口部にフランジ状部158を有しており、このフランジ状部158が、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42や環状保持金具82の取付板部94,ハウジング116のフランジ部130と共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24に対してかしめ片68でかしめ固定されている。また、筒形ブラケット156の下端開口部には取付板部160が形成されており、この取付板部160に対して複数の取付用孔(図示せず)が形成されている。
【0061】
而して、エンジンマウント10は、図示されていないが、第一の取付金具12の取付板部58が、ボルト挿通孔59に挿通される固定ボルトでパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が、筒形ブラケット156を介して固定ボルトで自動車ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に装着されることとなる。そして、かかる装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って受圧室100と平衡室106の間に惹起される圧力差に基づいてオリフィス通路112を通じて流体流動が生ぜしめられて、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づいて受動的な防振効果が発揮される。また、防振すべき振動に応じた周波数や位相でコイル118への通電を制御して電磁加振器114で加振板80を加振駆動せしめることにより、加振室104からオリフィス通孔99を通じて振動入力室102に圧力変動を及ぼし、振動入力室102の圧力変動を能動制御することにより入力振動に対して能動的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0062】
そこにおいて、本実施形態のエンジンマウント10では、電磁加振器114の滑動子126に対して加振板80とその駆動軸86がコイルスプリング132の付勢力を利用して弾性的に連結されていることから、支持ゴム板78の加硫成形等によって高度な部材寸法精度の確保が困難である加振板80を、安定した作動のために高度な寸法精度が要求される電磁加振器114の滑動子126に対して、有利に連結せしめて、電磁加振器114の滑動子126に生ぜしめられる駆動力を加振板80に対して効率的に且つ安定して及ぼすことが可能となる。
【0063】
しかも、加振板80を滑動子126に対して弾性的に連結するコイルスプリング132は、加振板80に対してスプリングシート144を介して当接されており、コイルスプリング132の加振板80に対する直接の当接が回避されている。それ故、加振板80の下面に対して、支持ゴム板78を加硫接着するための接着剤が塗布されていたり、支持ゴム板78が薄肉のバリ状に被着されていた場合等においても、コイルスプリング132が加振板80に直接に接触することがないことから、コイルスプリング132のエッジ部の干渉や加振に対してのコイルスプリング132の回転変位等に起因して加振板80の下面の接着剤塗膜やゴムバリ等が削れて粉塵が発生する問題が防止され得るのであり、そのような粉塵が電磁加振器114の可動部等に入り込むことに起因する作動不良や耐久性の低下が効果的に回避され得る。
【0064】
また、本実施形態では、コイルスプリング132がスプリングシート144を介して駆動軸86に位置決めされていることから、コイルスプリング132とスプリングシート144の摺接やスプリングシート144と加振板80の相対変位も防止され得るのであり、それ故、コイルスプリング132の付勢力が加振板80と滑動子126の間に安定して及ぼされて、作動の安定化の更なる向上が図られ得ると共に、コイルスプリング132とスプリングシート144および加振板80の相互間での摺接に起因する磨耗や粉塵発生の問題も、可及的に回避され得るのである。
【0065】
さらに、本実施形態では、滑動子126に対するコイルスプリング132の重ね合わせ部位にもスプリングシート144が介装されて、コイルスプリング132の直接的な接触が防止されていることから、滑動子126の材質選定に際してコイルスプリング132の接触に対する耐磨耗性等を考慮する必要がなくなり、滑動子126の材料選択自由度の向上とそれに伴う電磁加振器114の特性向上も図られ得るのである。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0067】
例えば、前記実施形態では、滑動子126を軸方向に案内するガイドスリーブ124がヨーク120,122に対して弾性的に組み付けられていたが、ヨーク120,122に対して固定されたガイドスリーブを採用したり、ヨーク120,122によって滑動子126のガイド面を形成すること等も可能である。
【0068】
また、本発明は、例示の如きエンジンマウントの他、能動的な制振器に対して適用することも可能である。具体的には、かかる制振器は、例えば、第一の実施形態に示された電磁加振器114を、第一及び第二の一体加硫成形品28,32から独立して単体で用いて、そのハウジング116の開口部に蓋部材76を組み付け、環状保持金具82における取付板部94をハウジング116のフランジ部130にかしめ固定することによって構成される。即ち、このようにして構成された制振器にあっては、例えば、加振板80を制振すべき振動部材に対して固定的に取り付けて、コイル118を含むハウジング116を、振動部材に対して支持ゴム板78を介して弾性的に連結支持せしめることにより、コイル118を含むハウジング116を、コイル118への通電によって振動部材に対して能動加振されるマスとして作用せしめることが出来るのである。
【0069】
加えて、本発明は、自動車用のボデーマウントやメンバマウント等、或いは自動車以外の各種装置におけるマウントや制振器などの防振装置や、そのような防振装置に用いられる防振用アクチュエータに対して、同様に適用可能である。
【0070】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた防振用アクチュエータにおいては、出力部材に対するアーマチャの取り付けがコイルスプリングの付勢力を利用して弾性的に行われることにより、出力部材からアーマチャへの偏心方向やこじり方向の荷重伝達が効果的に軽減乃至は回避され得て、出力特性の安定化が有利に図られ得るのであり、しかも、そこにおいて、加振板をアーマチャに弾性的に連結するコイルスプリングの干渉等に起因する粉塵の発生がスプリングシートによって防止され得ることから、長期間に亘って安定した作動特性が実現され得て、優れた耐久性が発揮されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントにおける加振板への滑動子の取付構造を説明するための分割説明図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントにおける要部拡大説明図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
30 ダイヤフラム
74 仕切板金具
76 蓋部材
78 支持ゴム板
80 加振板
86 駆動軸
100 受圧室
106 平衡室
112 オリフィス通路
114 電磁加振器
118 コイル
124 ガイドスリーブ
126 滑動子
128 係合突部
132 コイルスプリング
134 位置決めナット
144 スプリングシート

Claims (8)

  1. 略カップ形状のハウジングにコイル部材を組み込むと共に、該コイル部材への通電によって駆動力が及ぼされるアーマチャを該ハウジングの軸方向に変位可能に配設する一方、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材を該ハウジングに対して支持ゴム弾性体で連結して弾性支持せしめると共に、該出力部材を前記アーマチャに取り付けることにより、該コイル部材への通電によって該アーマチャから該出力部材に加振力を及ぼして、該出力部材を該ハウジングの軸方向に加振変位せしめるようにした防振用アクチュエータにおいて、
    前記出力部材に対して前記アーマチャに向かって延びるインナロッドを設けると共に、前記アーマチャに挿通孔を設けて該挿通孔に該インナロッドを挿通せしめ、該アーマチャと前記出力部材の対向面間にコイルスプリングを該インナロッドに外挿して配設すると共に、該アーマチャに挿通された該インナロッドの先端側に締付ナットを螺着して該アーマチャを介して該コイルスプリングを所定量だけ圧縮することにより、該出力部材を該アーマチャに対して変位方向である該インナロッドの軸方向で位置決め連結する一方、該出力部材における該インナロッドの突設部分にスプリングシートを配設して、該コイルスプリングの軸方向端面と該出力部材の間および該コイルスプリングの軸方向端部内周面と該インナロッドの基端部外周面の間に該スプリングシートを介在せしめたことを特徴とする防振用アクチュエータ。
  2. 前記インナロッドの外径寸法を軸方向で異ならせてその基端部を大径とし、そこに前記スプリングシートを外嵌装着せしめた請求項1に記載の防振用アクチュエータ。
  3. 前記コイルスプリングの軸方向端部内周面を前記スプリングシートに対して外嵌装着せしめた請求項1又は2に記載の防振用アクチュエータ。
  4. 前記スプリングシートの外周縁部を前記コイルスプリング側に向かって軸方向に立ち上げて、該スプリングシートを全体として環状の略凹溝形状とした請求項1乃至3の何れかに記載の防振用アクチュエータ。
  5. 前記アーマチャにおける前記コイルスプリングの当接部位にもスプリングシートを配設して、該コイルスプリングと該アーマチャの間に該スプリングシートを介在せしめた請求項1乃至4の何れかに記載の防振用アクチュエータ。
  6. 前記出力部材の外周部分に対して前記支持ゴム弾性体が加硫接着されており、前記スプリングシートを介して前記コイルスプリングが当接せしめられる該出力部材の内周部分には、該支持ゴム弾性体が実質的に被着されておらず、該スプリングシートを該出力部材の表面に対して直接的に重ね合わせて配設した請求項1乃至5の何れかに記載の防振用アクチュエータ。
  7. 相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振用マウントにおいて、
    前記アクチュエータとして請求項1乃至6の何れかに記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記出力部材によって前記加振部材を構成したことを特徴とする能動型防振用マウント。
  8. 防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、
    請求項1乃至6の何れかに記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングと前記出力部材の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設けると共に、それらハウジングと出力部材の他方にマス部を設けたことを特徴とする能動型防振用制振器。
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