JP3753702B2 - 防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、防振対象部材に装着されることにより能動的な防振効果を発揮し得る能動型防振装置に用いられる防振用アクチュエータと、それを用いた能動型防振装置に係り、特に自動車のエンジンマウントやボデーマウント,制振器などの防振装置において好適に採用される防振用アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
例えば自動車のボデー等のように振動低減が重要視される防振対象部材において振動を低減するために、従来では、一般に、ショックアブソーバやゴム弾性体等の減衰効果を利用した振動減衰手段や、コイルスプリングやゴム弾性体等のばね効果を利用した振動絶縁手段の如き防振装置が採用されているが、これらの防振装置は何れも受動的な防振作用を発揮するものであるために、例えば防振すべき振動の周波数等の特性が変化する場合やより高度な防振効果が要求される場合等においては、充分な防振効果を得ることが難しいという問題があった。そこで、近年では、防振対象部材や防振装置に加振力を及ぼすことにより、防振すべき振動を積極的乃至は相殺的に低減せしめるようにした能動型防振装置が開発され、検討されている。例えば、特許文献1,2に記載のものが、それである。
【0003】
このような能動型防振装置では、加振力を発生するアクチュエータが必要であり、かかるアクチュエータにおいては、発生加振力に関して周波数や位相の高度の制御性が要求される。そこで、能動型防振装置に採用される防振用アクチュエータとしては、コイルを用いて、コイルへの通電を制御することにより生ぜしめられる電磁力や磁力を制御するようにしたものが好適に採用される。また、数十Hz以上の高周波数域で出力部材を加振駆動せしめるために、駆動方向に出力部材を案内するガイド機構が、好適に採用される。
【0004】
より具体的には、かかる防振用アクチュエータとしては、特許文献1,2にも示されているように、一般に、カップ形状のハウジングにおいて中心軸上に延びる案内孔を設けると共に、ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて出力部材をハウジングに対して弾性連結ゴムで連結する一方、出力部材に設けたガイドロッドを案内孔に挿入せしめて、ハウジングと出力部材の一方にコイル部材を設けると共に、ハウジングと出力部材の他方に強磁性体及び/又は永久磁石からなるアーマチャを設けることにより、コイル部材への通電によってアーマチャから出力部材に加振力を及ぼして、ガイドロッドの案内孔による案内作用に基づいてハウジングの中心軸方向に出力部材を加振変位せしめるようにした構造の防振用アクチュエータが、好適に採用される。
【0005】
ところで、このような構造とされた防振用アクチュエータにおいて、ハウジングに形成されてガイドロッドを案内する案内孔は、アクチュエータの組立工程上の理由やアクチュエータの各種調節に際しての作業上の理由などから、ハウジングを貫通してハウジング底面に開口した構造をもって形成されることが多い。
【0006】
しかしながら、案内孔をハウジング底面に開口させた状態にしておくと、かかる開口部を通じて入り込んだ塵や埃、水等の異物が、ガイドロッドの案内孔による案内部位にまで侵入して、アーマチャひいては出力部材の変位が阻害されてしまい、出力部材において目的とする駆動力を安定して発揮することができなくなるという問題があった。
【0007】
なお、かかる問題に対処するために、例えば、特許文献3に示されているように、ハウジングにおける案内孔の開口部位にねじ溝を形成し、そこにねじ蓋を螺着して覆蓋することも考えられる。しかしながら、ねじ蓋で覆蓋するだけでは、もともと振動を発生するアクチュエータであるが故にその振動によってねじ蓋の締付力が緩んで外れてしまうおそれは否定できない。そればかりか、ねじ蓋の締付構造だけで、水等に対して充分なシール性を安定して確保することは、必ずしも容易ではないのである。
【0008】
加えて、ねじ蓋は、その装着に際してねじ込む作業が当然に必要となり、ねじ蓋をねじ込む作業には多くの時間と面倒な作業が必要となることから、製造が面倒であると共に、例えばメンテナンス等に際してねじ蓋を外す場合にも、作業が極めて面倒で時間がかかるという問題がある。なお、シール性を向上させるためにねじ蓋の螺着部位にOリングを装着することも考えられるが、Oリングの装着は、構造を更に複雑化すると共に、ねじ蓋の組み付け作業が一層面倒になってしまうことが避けられないことから、決して有効な方策ではない。
【0009】
また、特許文献4の図3に示されているように、ハウジングにおける案内孔の開口部位に対してプレートを複数本の固定ボルトで固着して案内孔を覆蓋することも考えられるが、複数本の固定ボルトを螺着するために一層の手間と時間が必要となり、必ずしも有効な方法ではない。或いはまた、ハウジングにおける案内孔の開口部位にプレートを溶着することも考えられるが、溶着してしまうと後からの取り外しが出来ないことから、案内孔を通じての調節やメンテナンス等の作業が出来なくなるという問題があることから、現実的ではない。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−89040号公報
【特許文献2】
特開平10−231886号公報
【特許文献3】
特開2001−1765号公報
【特許文献4】
特開平9−49541号公報(図3)
【0011】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、コイルへの通電によって加振駆動される出力部材に設けたガイドロッドを案内する案内孔のハウジング底面における開口部を、簡単な構造と容易な作業性をもって流体密に覆蓋することが出来るようにした、新規な構造の防振用アクチュエータを提供することにある。
【0012】
また、本発明は、そのような防振用アクチュエータを用いて構成された、新規な構造を有する能動型防振装置として、能動型防振用マウントおよび能動型防振用制振器を提供することも目的とする。
【0013】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0014】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様1)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様1の特徴とするところは、カップ形状のハウジングにおいて中心軸上に延びる案内孔を設けると共に、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材を該ハウジングに対して弾性連結部材で連結する一方、該出力部材に設けたガイドロッドを前記案内孔に挿入せしめて、該ハウジングと該出力部材の一方にコイル部材を設けると共に、該ハウジングと該出力部材の他方に強磁性体及び/又は永久磁石からなるアーマチャを設けることにより、該コイル部材への通電によって該アーマチャから該出力部材に駆動力を及ぼして、該ガイドロッドの前記案内孔による案内作用に基づいて該ハウジングの中心軸方向に該出力部材を駆動変位せしめるようにした防振用アクチュエータにおいて、前記案内孔を前記ハウジングの底面に開口せしめると共に、該案内孔の開口部の内方に環状段差部を形成し、該環状段差部によって該案内孔の内方への変位が阻止される大きさの蓋板金具を該開口部に嵌め込むと共に、該開口部の内周面に係止溝を設けてC形止め輪を該係止溝に組み付けることにより該蓋板金具の該開口部からの抜け出しを防止する一方、該蓋板金具の内面にシールゴム層を被着形成して、該C形止め輪で該蓋板金具を押圧して該シールゴム層を該環状段差部に押し付けることにより該案内孔の開口部をシールしたことにある。
【0015】
このような本態様に従う構造とされた防振用アクチュエータにおいては、蓋板金具の内面に対して一体加硫成形等で被着形成されたシールゴム層の弾性に抗して、蓋板金具がC形止め輪で内方に押さえられた状態でハウジングに組み付けられることにより、ハウジングにおける案内部の開口部に形成された環状段差部と蓋板金具の間でシールゴム層が挟圧状態に保持されて、案内孔の開口部が流体密に封止されることとなる。
【0016】
そこにおいて、蓋板金具によるシールゴム層の環状段差部への押し付け状態は、案内孔の開口部に係止装着せしめたC形止め輪で担持されるようになっていることから、シールゴム層の弾性がC形止め輪を離脱させる方向に作用せしめられることがなくシールゴム層の押し付け状態が安定して保持されることとなり、加振力等の駆動力が繰り返し及ぼされる状況下でもシール状態が長期間に亘って安定して保持され得る。
【0017】
また、C形止め輪は、公知の如く単に縮径させて開口部に嵌め込むだけで係止溝に係止させて装着することが可能であり、従来構造のねじ蓋のように面倒な螺着作業も不要となることから、簡単で且つ速やかな組み付け作業によって高度なシール性が実現され得るのである。
【0018】
更にまた、シールゴム層が蓋板金具の内面に直接に被着形成されていることから、別途にOリング等のシール材を組み込む必要がないことに加えて、シールゴム層がシール部位から外れてしまうようなこともないのであり、このようなシールゴム層を採用したことによって、目的とするシール性が一層安定して且つ容易に実現され得るのである。
【0019】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様2)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様2は、前記態様1に係る防振用アクチュエータにおいて、前記アーマチャを前記出力部材と別体構造として、該アーマチャを該出力部材に対して前記案内孔の軸方向で相対的に位置調節可能とすると共に、前記ハウジングの底面に開口せしめられた該案内孔の開口部を通じて該アーマチャの該出力部材に対する位置調節作業を行うことが出来るようにしたことを、特徴とする。本態様においては、案内孔の開口部を積極的に利用して、例えばアクチュエータの出力調節や組付け等の作業を行うことが出来るのであり、しかも、かかる作業用に用いる開口部を容易に且つ高度なシール性をもって覆蓋することが出来ることから、従来構造ではシール性等の問題から採用することに問題のあったケース等でも、案内孔を利用した作業用の開口部を問題なく採用することが可能となるのである。
【0020】
(防振用アクチュエータに関する本発明の態様3)
防振用アクチュエータに関する本発明の態様3は、前記態様1又は態様2に係る防振用アクチュエータにおいて、前記蓋板金具の内面の略全面に亘ってゴム層を被着形成して、該ゴム層の外周部分において前記シールゴム層を形成する一方、該ゴム層の中央部分において前記ガイドロッドの先端部分に対向位置する緩衝ゴム層を形成し、該ガイドロッドの先端部分を該緩衝ゴム層を介して前記蓋板金具に緩衝的に当接させることにより、前記出力部材の変位量を緩衝的に制限するストッパ機構を設けたことを、特徴とする。本態様においては、蓋板金具を巧く利用して、出力部材の過大な変位量を緩衝的に制限するストッパ機構を、簡単な構造と少ない部品点数で実現することが可能となる。しかも、緩衝用の弾性材としての緩衝ゴム層が、シールゴム層と一体成形されることから、かかるストッパ機構を実現するに際して、製造工程や組付工程が特別に増加することがなく、コスト的な増大も問題となることがない。
【0021】
(能動型防振用マウントに関する本発明)
能動型防振用マウントに関する本発明の特徴とするところは、相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振用マウントにおいて、前記アクチュエータとして、上述の如き防振用アクチュエータに関する本発明の態様1〜3の何れかの態様に係る防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記出力部材によって前記加振部材を構成したことを特徴とする。このような本発明に従えば、例えば自動車用エンジンマウント等に好適に採用され得る能動型防振用マウントが有利に実現され得る。
【0022】
(能動型防振用制振器に関する本発明)
能動型防振用制振器に関する本発明の特徴とするところは、防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、前記防振用アクチュエータに関する本発明の態様1〜3の何れかの態様に係る防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングと前記出力部材の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設ける一方、それらハウジングと出力部材の他方にマス部を設けたことを、特徴とする。このような本発明に従えば、例えば自動車のボデー用制振器等に好適に採用され得る能動型防振用制振器が有利に実現され得る。
【0023】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1には、能動型防振用マウントに関する本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされており、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持するようになっている。また、そのような装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、パワーユニットの分担荷重と、防振すべき主たる振動が、何れも、エンジンマウント10の略軸方向(図1中、上下方向)に入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向を言うものとする。
【0025】
より詳細には、第一の取付金具12は、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20によって構成されていると共に、第二の取付金具14は、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24によって構成されている。そして、本体ゴム弾性体16に対して本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22が加硫接着されて第一の一体加硫成形品28とされている一方、ダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、可撓性膜としてのダイヤフラム30に対して加硫接着されて第二の一体加硫成形品32とされており、これら第一及び第二の一体加硫成形品28,32が相互に組み合わされている。
【0026】
ここにおいて、第一の一体加硫成形品28を構成する本体ゴムインナ金具18は、逆向きの略円錐台形状を有している。また、本体ゴムインナ金具18の上端面(大径側端面)には、嵌合凹部34が形成されていると共に、該嵌合凹部34の底面に開口するねじ穴38が設けられている。
【0027】
更にまた、本体ゴムアウタ筒金具22は、略大径円筒形状を有する筒壁部40を備えており、この筒壁部40の軸方向下端部には径方向外方に向かって広がるフランジ状部42が一体形成されている一方、筒壁部40の軸方向上端部分は、軸方向上方に行くに従って次第に拡開するテーパ筒状部44とされている。これによって、本体ゴムアウタ筒金具22の外周側には、外周面に開口して周方向に一周弱の長さで延びる周溝45が形成されている。そして、本体ゴムアウタ筒金具22の上方に離隔して、本体ゴムインナ金具18が略同一中心軸上で離隔配置されており、本体ゴムインナ金具18における逆テーパ形状の外周面と本体ゴムアウタ筒金具22におけるテーパ筒状部44の内周面が相互に離隔して対向位置せしめられており、これら本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22との対向面間が、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。
【0028】
かかる本体ゴム弾性体16は、全体として大径の円錐台形状を有しており、その中央部分には、本体ゴムインナ金具18が同軸的に配されて加硫接着されていると共に、その大径側端部外周面に対して本体ゴムアウタ筒金具22のテーパ筒状部44が重ね合わせられて加硫接着されている。これによって、本体ゴム弾性体16が、上述の如き本体ゴムインナ金具18および本体ゴムアウタ筒金具22を備えた第一の一体加硫成形品28として形成されている。
【0029】
また一方、第二の一体加硫成形品32を構成するダイヤフラムインナ金具20は、厚肉の円板形状を有している。また、ダイヤフラムインナ金具20の下面には、嵌合凸部46が形成されていると共に、該嵌合凸部46の形成部位を貫通して挿通孔52が形成されている。更にダイヤフラムインナ金具20には、上方に突出して取付板部58が一体形成されており、取付板部58の中央部分にはボルト挿通孔59が設けられている。
【0030】
また、ダイヤフラムアウタ筒金具24は、薄肉大径の円筒形状を有しており、その軸方向下側の開口部には、径方向外方に向かって広がる円環板形状のフランジ状部66が一体形成されており、更に、フランジ状部66の外周縁部には、軸方向下方に向かって突出する円環状のかしめ片68が一体形成されている。
【0031】
そして、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上方に離隔して、ダイヤフラムインナ金具20が、略同一中心軸上に配設されており、それらダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、ダイヤフラム30によって連結されている。
【0032】
ダイヤフラム30は、薄肉のゴム膜によって形成されており、容易に弾性変形が許容されるように大きな弛みを持った湾曲断面形状をもって周方向に延びる略円環形状を有している。そして、ダイヤフラム30の内周縁部が、ダイヤフラムインナ金具20の外周縁部に対して加硫接着されていると共に、ダイヤフラム30の外周縁部が、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上側の開口部に加硫接着されている。これにより、ダイヤフラム30は、ダイヤフラムインナ金具20およびダイヤフラムアウタ筒金具24を備えた第二の一体加硫成形品32として形成されている。
【0033】
而して、かかる第二の一体加硫成形品32が、前述の第一の一体加硫成形品28に対して上方から重ね合わせられて組み付けられており、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18に固着されていると共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24が本体ゴムアウタ筒金具22に固着されており、更にダイヤフラム30が、本体ゴム弾性体16の外方に離隔して、本体ゴム弾性体16の外周面を全体に亘って覆うようにして配設されている。
【0034】
すなわち、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18の上面に直接に重ね合わされて、ダイヤフラムインナ金具20の嵌合凸部46が本体ゴムインナ金具18の嵌合凹部34に嵌め込まれることによって、ダイヤフラムインナ金具20と本体ゴムインナ金具18が同一中心軸上に位置合わせされている。また、特に本実施形態では、嵌合凸部46と嵌合凹部34の各外周面に切欠状に形成された係合外周面50と係合内周面36の係合作用によって、ダイヤフラムインナ金具20と本体ゴムインナ金具18が周方向でも相互に位置決めされており、ダイヤフラムインナ金具20の挿通孔52と本体ゴムインナ金具18のねじ穴38が位置合わせされている。
【0035】
そして、図1に示されているように、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20を重ね合わせた状態下で、連結ボルト70が、ダイヤフラムインナ金具20の挿通孔52を通じて本体ゴムインナ金具18のねじ穴38に螺着されている。而して、これら本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20が連結ボルト70で連結固定されることにより、第一の取付金具12が構成されている。
【0036】
一方、ダイヤフラムアウタ筒金具24は本体ゴムアウタ筒金具22に対して軸方向上方から外挿されている。また、本体ゴムアウタ筒金具22は、その下端部において、フランジ状部42の外周縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24のフランジ状部66に対して軸方向に重ね合わされていると共に、その上端部において、テーパ筒状部44の開口端縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24の内周面に対して径方向で重ね合わされている。
【0037】
そして、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42の外周縁部に対して、ダイヤフラムアウタ筒金具24のかしめ片68がかしめ固定されることによって、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24が相互に固定されて組み付けられている。なお、これら本体ゴムアウタ筒金具22の上下両端部におけるダイヤフラムアウタ筒金具24との重ね合わせ部位には、それぞれ、本体ゴム弾性体16またはダイヤフラム30と一体成形されたシールゴムが介在されており、流体密にシールされている。これにより、本体ゴムアウタ筒金具22に形成された周溝45がダイヤフラムアウタ筒金具24で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴムアウタ筒金具22の筒壁部40とダイヤフラムアウタ筒金具24の径方向対向面間を周方向に所定長さで乃至は全周に亘って連続して延びる環状通路72が形成されている。
【0038】
さらに、本体ゴムアウタ筒金具22の下側開口部には、仕切板金具74と蓋部材76が組み付けられている。蓋部材76は、弾性連結部材としての略円環板形状の支持ゴム板78に対して、その中央部分に出力部材としての加振板80が加硫接着されていると共に、その外周部分に環状保持金具82が加硫接着されており、それら加振板80と環状保持金具82が支持ゴム板78で弾性的に連結されている。
【0039】
加振板80は、円板形状を有しており、その外周縁部には上方に向かって突出する環状連結部84が一体形成されている。また、加振板80の中央部分には、下方に向かって延びる駆動軸86が一体形成されており、この駆動軸86の先端部分が雄ねじとされている。なお、加振板80は、環状連結部84や駆動軸86を含んで、金属や合成樹脂等の硬質材で一体成形されている。一方、環状保持金具82は、円筒形状を有する筒状部88の上下開口部に対してそれぞれフランジ状に広がる取付板部90と位置決め突部92が一体形成されており、取付板部90の外周縁部には、更に下方に突出する円環状の圧入部94が一体形成されている。
【0040】
そして、環状保持金具82の径方向内方に離隔して略同一中心軸上に加振板80が配設されており、これら環状保持金具82と加振板80の径方向対向面間に広がるようにして支持ゴム板78が配設されている。また、かかる支持ゴム板78は、その内外周縁部が加振板80の環状連結部84と環状保持金具82の筒状部88の対向面に対してそれぞれ加硫接着されており、加振板80と環状保持金具82の間が支持ゴム板78で流体密に閉塞されている。
【0041】
一方、仕切板金具74は、薄肉の円板形状を有しており、その外径寸法が、環状保持金具82における取付板部90の径方向中間部分まで至る大きさとされている。また、仕切板金具74の中央部分は、略台地状に上方に突出せしめられていると共に、その中心軸上にオリフィス通孔96が貫設されている。
【0042】
そして、仕切板金具74は、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部において、そこに組み付けられた本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42に対して外周縁部が重ね合わされて組み付けられている。更に、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部には、仕切板金具74の下方から蓋部材76が組み付けられており、蓋部材76における環状保持金具82の取付板部90が、本体ゴムアウタ筒金具22と仕切板金具74に重ね合わされて、それぞれの外周縁部がダイヤフラムアウタ筒金具24のかしめ片68によってかしめ固定されている。
【0043】
これにより、ダイヤフラムアウタ筒金具24の下側開口部が、蓋部材76で流体密に覆蓋されており、以て、本体ゴム弾性体16と蓋部材76の対向面間には、非圧縮性流体が封入された受圧室100が形成されている。この受圧室100は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて振動が入力されて圧力変動が惹起されるようになっている。
【0044】
また、受圧室100には、仕切板金具74が配設されており、受圧室100が、仕切板金具74を挟んで、本体ゴム弾性体16側の振動入力室102と、蓋部材76側の加振室104に二分されていると共に、これら振動入力室102と加振室104がオリフィス通孔96で連通せしめられている。
【0045】
更にまた、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30が、それぞれの内周縁部と外周縁部において第一の取付金具12と第二の取付金具14に固着されることにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム30の対向面間には、非圧縮性流体が封入された平衡室106が形成されている。即ち、この平衡室106は、壁部の一部が変形容易なダイヤフラム30で構成されており、該ダイヤフラム30の弾性変形に基づいて容易に容積変化が許容されるようになっているのである。なお、受圧室100や平衡室106に封入される非圧縮性流体としては、後述するオリフィス通路112を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を自動車用のエンジンマウント10に要求される振動周波数域で効率的に得るために、一般に、0.1Pa.s以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0046】
さらに、受圧室100と上側に形成された平衡室106には、第二の取付金具14内に形成された環状通路72が、その周方向両端部に形成された連通孔108,110を通じて接続されており、それによって、受圧室100と平衡室106を相互に連通せしめて両室100,106間での流体流動を許容するオリフィス通路112が所定長さで形成されている。なお、オリフィス通路112は、振動入力時に受圧室100と平衡室106の間に惹起される圧力差に基づいて内部を流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、例えばアイドリング振動等の特定の周波数域で有効に発揮されるように、その通路断面積や通路長さが適当に設定されてチューニングされている。
【0047】
また一方、蓋部材76を挟んで受圧室100と反対側には、アクチュエータとしての電磁加振器114が配設されている。この電磁加振器114は、略カップ形状のハウジング116にコイル118が収容状態で固定的に組み付けられていると共に、コイル118の周りには、それぞれ環状の強磁性材からなるヨーク120,122が固定的に組み付けられて磁路が形成されている。また、磁路を形成するヨーク120の筒状内周面には、ガイドスリーブ124が弾性的に位置決められて装着されており、アーマチャとしての強磁性材からなる滑動子126が、かかるガイドスリーブ124内を滑動可能に組み付けられている。
【0048】
滑動子126は、磁路を形成するヨーク120,122間に形成された磁気ギャップの領域に配設されており、コイル118に通電することにより磁力が及ぼされて、ガイドスリーブ124で案内されつつ軸方向に駆動されるようになっている。また、滑動子126は、全体として略円筒形状を有しており、外周面においてガイドスリーブ124に摺動可能とされている一方、内周面には、環状の係合突部128が突出形成されている。
【0049】
そして、電磁加振器114は、ハウジング116の開口周縁部に形成されたフランジ部130が、蓋部材76における環状保持金具82の取付板部90に重ね合わされて、環状保持金具82等と共に、かしめ片68で第二の取付金具14にかしめ固定されている。これにより、電磁加振器114は、その滑動子126の滑動中心軸が、第一及び第二の取付金具12,14の中心軸に略一致するように組み付けられている。
【0050】
また、このように組み付けられた電磁加振器114には、その中心軸上で上方から加振板80の駆動軸86が差し入れられており、この駆動軸86が、滑動子126の係合突部128に挿通されている。更に、駆動軸86にはコイルスプリング132が外挿されて、加振板80と滑動子126の係合突部128の対向面間に跨がって配設されていると共に、駆動軸86の係合突部128に挿通された先端部分には位置決めナット134が螺着されている。そして、位置決めナット134を駆動軸86にねじ込み、滑動子126の係合突部128を介して、加振板80との間でコイルスプリング132を圧縮せしめることにより、駆動軸86に対して滑動子126が軸方向で位置決めされて、コイルスプリング132の付勢力で弾性的に連結せしめられている。これにより、コイル118への通電で滑動子126に作用せしめられる駆動力が駆動軸86に及ぼされるようになっている。また、このことから明らかなように、本実施形態では、滑動子126と駆動軸86を含んでガイドロッドが構成されている。
【0051】
要するに、位置決めナット134の駆動軸86へのねじ込み量を調節することにより、第二の取付金具14に対して支持ゴム板78で弾性的に位置決め支持された加振板80に対して滑動子126の取付位置を軸方向に変更設定することが出来るのであり、それによって、滑動子126のヨーク122に対する磁力作用対向面間の距離を微調節することが可能となっているのである。また、本実施形態では、位置決めナット134に対して軸方向下側からロックボルト136が締め込まれており、位置決めナット134のねじ穴内でロックボルト136が駆動軸86の先端に当接されていることによって、駆動軸86に対する位置決めナット134の締付位置がロックされるようになっている。
【0052】
さらに、電磁加振器114のハウジング116には、底壁部中央に透孔140が形成されており、滑動子126に対向位置せしめられて磁力を及ぼすヨーク122が外部に露呈されていると共に、ヨーク122の中心孔142を通じて、滑動子126が配設された電磁加振器114の内部空間が、直接に外部に開口せしめられるようになっている。そして、この開口部を通じてヨーク122の中心孔142の開口部に六角レンチ等の工具を差し入れることにより、上述のロックボルト136や位置決めナット134を操作して、滑動子126の位置を外部から調節することが出来るようにされている。
【0053】
また、図2にも示されているように、ヨーク122の中心孔142は、開口部近くが拡径されて大径部143とされており、開口部の軸方向内方に位置して環状段差部としての段差面144が形成されている。また、大径部143の内周面には、周方向に連続して延びる環状の係止溝146が形成されている。そして、図2に示されているように、かかる大径部143には、蓋板金具148が組み付けられている。
【0054】
この蓋板金具148は、円板形状を有しており、一方の面には略全面に亘ってゴム層150が形成されて加硫接着されている。このゴム層150は、中央部分の緩衝ゴム部152と、該緩衝ゴム部152よりも僅かに厚肉とされた外周部分の環状シールゴム部154から形成されている。そして、蓋板金具148がヨーク122の大径部143に嵌め込まれていると共に、蓋板金具148の外側からC形止め輪155が大径部143に嵌め込まれて係止溝146に係止装着されている。
【0055】
これにより、蓋板金具148の外面がC形止め輪155で押し付けられて、蓋板金具148の外周部分が、段差面144に対して、環状シールゴム部154を介して当接されており、以て、電磁加振器114のヨーク122に形成された中心孔142が、その開口部に形成された大径部143において流体密に覆蓋されている。また、蓋板金具148の中央部分は、加振板80の駆動軸86の先端に螺着された位置決めナット134の先端面に対して軸方向下方に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に大きな振動荷重が入力されて受圧室100に過大な圧力が惹起された場合等において、位置決めナット134が緩衝ゴム部152を介して蓋板金具148に当接することにより、加振板80の変位量が緩衝的に制限されるようになっている。
【0056】
上述の如き構造とされたエンジンマウント10には、電磁加振器114に対して、更に筒形ブラケット156が外挿されている。筒形ブラケット156は、上端開口部にフランジ状部158を有しており、このフランジ状部158が、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部42や環状保持金具82の取付板部90,ハウジング116のフランジ部130と共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24に対してかしめ片68でかしめ固定されている。また、筒形ブラケット156の下端開口部には取付板部160が形成されており、この取付板部160に対して複数の取付用孔(図示せず)が形成されている。
【0057】
而して、エンジンマウント10は、図示されていないが、第一の取付金具12の取付板部58が、ボルト挿通孔59に挿通される固定ボルトでパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が、筒形ブラケット156を介して固定ボルトで自動車ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットとボデーの間に装着されることとなる。そして、かかる装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に振動が入力されると、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って受圧室100と平衡室106の間に惹起される圧力差に基づいてオリフィス通路112を通じて流体流動が生ぜしめられて、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づいて受動的な防振効果が発揮される。また、防振すべき振動に応じた周波数や位相でコイル118への通電を制御して電磁加振器114で加振板80を加振駆動せしめることにより、加振室104からオリフィス通孔96を通じて振動入力室102に圧力変動を及ぼし、振動入力室102の圧力変動を能動制御することにより入力振動に対して能動的な防振効果を得ることが出来るのである。
【0058】
特に、本実施形態のエンジンマウント10では、電磁加振器114において滑動子126が配設された内部空間がヨーク122の中心孔142を通じて外部に開口せしめられていることに加えて、かかる中心孔142の開口部が、そこに単に嵌め込んだ蓋板金具148をC形止め輪155で抜け出し阻止することによって閉塞せしめた構成が採用されていることから、以下のような格別の効果を発揮し得る。
▲1▼C形止め輪155をピン等で縮径させて係止溝146に対して係脱するだけで、蓋板金具148を容易に且つ速やかに着脱することが出来ることから、ヨーク122の中心孔142を、容易に且つ速やかに開閉することが出来る。
▲2▼C形止め輪155の係止溝146に対する係止方向は、入力振動や加振力の作用方向である軸方向に対して略直交していることから、入力振動や加振力が及ぼされる装着状態下でも、C形止め輪155が安定して係止状態に保持され得る。
▲3▼蓋板金具148には、ゴム層150が直接に加硫接着されており、このゴム層150で中心孔142が封止されることから、別途にOリング等を組み付ける必要がなく、部品点数の減少と組付作業の容易化が図られ得る。
▲4▼蓋板金具148とC形止め輪155で、ヨーク122の中心孔142を容易に且つ確実に封止することが出来ることから、粉塵等の侵入の問題を回避せしめつつ、ヨーク122の中心孔142を外部に開口させた構造を採用することが可能となり、それによって、外部から位置決めナット134を操作することで滑動子126の位置調節やメンテナンス等を行うことの出来る構造を採用することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0060】
例えば、前記実施形態では、アーマチャとしての滑動子126の位置調節を行うために設けられた中心孔142の開口部を覆蓋せしめるために本発明構造を適用せしめた場合の一つを例示したが、本発明は、その他、各種の電磁式乃至は磁力式のアクチュエータに対して適用可能である。具体的には、例えば、図4に示されているように、ハウジング116に固定されたコイル118に対して、出力部材である弁体166に固定されたアーマチャとしての筒状磁性体168を外挿配置する一方、コイル118に装着されたヨーク120,122に対して中心軸上に延びるガイド孔164を形成して、弁体166に突設されたガイドロッド170をガイド孔164に対して滑動可能に内挿せしめた構造の電磁式アクチュエータ172においても、ガイド孔164の開口部位の覆蓋のために、前記実施形態と同様な蓋板金具148やC形止め輪155等からなる構造が採用可能である。図4においては、その理解を容易とするために、前記第一の実施形態と略同様な構造とされた部材および部位に対して、図中に、それぞれ第一の実施形態と同一の符号を付しておく。
【0061】
なお、図4に示されたエンジンマウント173において、ガイド孔164には、自己潤滑性樹脂材等からなる摺動スリーブ174が組み付けられるている。また、図4に示されたエンジンマウント173では、コイル118への給電を連続した通電状態と遮断状態で選択的に切り換えることにより、オリフィス通孔96を弁体166で連通状態と遮断状態に切り換えて受動的な防振特性を選択的に切換制御するようにしたものであるが、前記実施形態と同様に、コイル118に対して防振すべき振動に対応した周波数の通電を行って能動的な防振効果を得ることも可能である。
【0062】
また、本発明は、例示の如きエンジンマウントの他、能動的な制振器に対して適用することも可能である。具体的には、かかる制振器は、例えば、第一の実施形態に示された電磁加振器114を、第一及び第二の一体加硫成形品28,32から独立して単体で用いて、そのハウジング116の開口部に蓋部材76を組み付け、環状保持金具82における取付板部90をハウジング116のフランジ部130にかしめ固定することによって構成される。即ち、このようにして構成された制振器にあっては、加振板80を制振すべき振動部材に対して固定的に取り付けて、コイル118を含むハウジング116を、振動部材に対して支持ゴム板78を介して弾性的に連結支持せしめることにより、コイル118を含むハウジング116を、コイル118への通電によって振動部材に対して能動加振されるマスとして作用せしめることが出来るのである。
【0063】
加えて、本発明は、自動車用のボデーマウントやメンバマウント等、或いは自動車以外の各種装置におけるマウントや制振器などの防振装置や、そのような防振装置に用いられる防振用アクチュエータに対して、同様に適用可能である。
【0064】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた防振用アクチュエータにおいては、ガイドロッドを案内する案内孔の開口部を、簡単な構造で容易に開閉可能に且つ高度なシール性をもって閉塞せしめることが可能となることから、異物の進入等の問題を回避しつつ、案内孔を外部に開口状態で形成することが可能となる。それ故、例えば案内孔を通じての調節やメンテナンスを行うこと等も可能となって、アクチュエータの防振装置への適合性が大幅に向上され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントにおける電磁加振器の案内孔の封止構造を説明する分解説明図である。
【図3】図1に示されたエンジンマウントにおける要部拡大説明図である。
【図4】本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
30 ダイヤフラム
74 仕切板金具
76 蓋部材
78 支持ゴム板
80 加振板
86 駆動軸
100 受圧室
106 平衡室
112 オリフィス通路
114 電磁加振器
116 ハウジング
118 コイル
124 ガイドスリーブ
126 滑動子
128 係合突部
132 コイルスプリング
134 位置決めナット
142 中心孔
143 大径部
144 段差面
146 係止溝
148 蓋板金具
150 ゴム層
155 C形止め輪
Claims (5)
- カップ形状のハウジングにおいて中心軸上に延びる案内孔を設けると共に、該ハウジングの開口部側に出力部材を離隔配置せしめて該出力部材を該ハウジングに対して弾性連結部材で連結する一方、該出力部材に設けたガイドロッドを前記案内孔に挿入せしめて、該ハウジングと該出力部材の一方にコイル部材を設けると共に、該ハウジングと該出力部材の他方に強磁性体及び/又は永久磁石からなるアーマチャを設けることにより、該コイル部材への通電によって該アーマチャから該出力部材に駆動力を及ぼして、該ガイドロッドの前記案内孔による案内作用に基づいて該ハウジングの中心軸方向に該出力部材を駆動変位せしめるようにした防振用アクチュエータにおいて、
前記案内孔を前記ハウジングの底面に開口せしめると共に、該案内孔の開口部の内方に環状段差部を形成し、該環状段差部によって該案内孔の内方への変位が阻止される大きさの蓋板金具を該開口部に嵌め込むと共に、該開口部の内周面に係止溝を設けてC形止め輪を該係止溝に組み付けることにより該蓋板金具の該開口部からの抜け出しを防止する一方、該蓋板金具の内面にシールゴム層を被着形成して、該C形止め輪で該蓋板金具を押圧して該シールゴム層を該環状段差部に押し付けることにより該案内孔の開口部をシールしたことを特徴とする防振用アクチュエータ。 - 前記アーマチャを前記出力部材と別体構造として、該アーマチャを該出力部材に対して前記案内孔の軸方向で相対的に位置調節可能とすると共に、前記ハウジングの底面に開口せしめられた該案内孔の開口部を通じて該アーマチャの該出力部材に対する位置調節作業を行うことが出来るようにした請求項1に記載の防振用アクチュエータ。
- 前記蓋板金具の内面の略全面に亘ってゴム層を被着形成して、該ゴム層の外周部分において前記シールゴム層を形成する一方、該ゴム層の中央部分において前記ガイドロッドの先端部分に対向位置する緩衝ゴム層を形成し、該ガイドロッドの先端部分を該緩衝ゴム層を介して前記蓋板金具に緩衝的に当接させることにより、前記出力部材の変位量を緩衝的に制限するストッパ機構を設けた請求項1又は2に記載の防振用アクチュエータ。
- 相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振用マウントにおいて、
前記アクチュエータとして請求項1乃至3の何れかに記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記出力部材によって前記加振部材を構成したことを特徴とする能動型防振用マウント。 - 防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、
請求項1乃至3に記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記ハウジングと前記出力部材の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設ける一方、それらハウジングと出力部材の他方にマス部を設けたことを特徴とする能動型防振用制振器。
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