JP2007252017A - ソレノイド型アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 - Google Patents

ソレノイド型アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コイルへの通電によって加振力を発生するソレノイド型アクチュエータであって、固定子の磁極部と可動子の磁極対向部の軸方向における離隔距離を簡単な構造で高精度に調節することの出来る、改良された構造のソレノイド型アクチュエータを提供すること。
【解決手段】可動子100の中心軸上にねじ孔156を形成する一方、内周面に雌ねじ溝を有すると共に雌ねじ溝と同じ溝回転方向で且つ溝ピッチの異なる雄ねじ溝を外周面に有する位置調節ナット160を用いて位置調節ナット160の雄ねじ溝を可動子100のねじ孔156に螺合させると共に、ボルト部176を備えた出力ロッド168を用いてボルト部176を位置調節ナット160の雌ねじ溝に螺合させることにより、出力ロッド168を位置調節ナット160を介して可動子100に組み付けて、出力ロッド168を可動子100の中心軸上で軸方向外方に突出せしめた。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイルへの通電によって生ぜしめられる磁界の作用で可動子を駆動せしめるソレノイド型アクチュエータと、それを用いた能動型防振装置に係り、特に自動車のエンジンマウントやボデーマウント,制振器などの防振装置において好適に採用されるソレノイド型アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振支持体や防振連結体、或いは防振すべき振動部材に対して装着される制振装置などの防振装置の一種として、防振対象部材や防振装置に加振力を及ぼすことにより、防振すべき振動を積極的乃至は相殺的に低減せしめるようにした能動型防振装置が知られている。例えば、特許文献1(特開平09−049541号公報)に記載のものが、それである。
このような能動型防振装置では、加振力を発生するアクチュエータが必要であり、かかるアクチュエータにおいては、発生加振力に関して周波数や位相の高度の制御性が要求される。
そこで、能動型防振装置に採用される防振用アクチュエータとしては、上述の特許文献1や、特許文献2(特開2004−153063号公報)にも記載されているように、一般に、コイルの周囲にヨーク部材を組み付けた固定子によって磁路を形成する一方、コイルへの通電によって生ぜしめられる磁界の作用で駆動力が及ぼされる可動子を設けることによって、コイルへの通電によって可動子を軸方向に駆動するソレノイドを用いた電磁式のソレノイド型アクチュエータが、好適に採用される。また、一般に、このようなソレノイド型アクチュエータでは、可動子に対して軸方向に延び出す出力ロッドが設けられており、この出力ロッドによって駆動力を外部に取り出すようになっている。
ところで、このようなソレノイド型アクチュエータは、例えば防振用アクチュエータとして防振装置に適用される際に可動子を1mm以下の振幅をもって数十Hz以上の高周波数域で加振駆動せしめるという、高精度な加振駆動が要求される。しかも、防振すべき振動の大きさに応じて、有効な防振効果を得るために、充分な加振力を安定して発揮することが要求される。
一方、ソレノイド型アクチュエータにおける出力特性は、コイルへの通電によって固定子に形成される磁極部と、この磁極部に対して対向位置せしめられた可動子の磁極対向部との軸方向における離隔距離の大きさによる影響が大きい。
それ故、ソレノイド型アクチュエータにおいて目的とする出力特性を得るためには、固定子における磁極部と可動子における磁極対向部との軸方向の離隔距離を高精度に設定して、管理することが重要となる。
しかしながら、ソレノイド型アクチュエータにおける固定子と可動子は、互いに別部品として製造されて組み付けられるものであることから、製造誤差や組付誤差等の重畳によって、或いはアクチュエータが装着される防振装置等の寸法誤差の影響によって、その磁極部と磁極対向部の離隔距離を1mm以下のオーダーで設定することが極めて困難であった。
かかる問題に鑑み、特許文献3(特開2004−293624号公報)には、出力ロッドを可動子に遊挿すると共に、出力ロッドを可動子に対して軸方向一方の側から付勢しつつ、他方の側からねじ固定した構造が提案されている。この提案構造によれば、駆動対象物に取り付けられた出力ロッドにおいて、それに螺着された調節ナットの締込量を調節することによって、可動子を固定子に対して軸方向で相対的に変位させることが出来、両部材間の磁極部と磁極対向部の離隔距離を調節することが可能となる。
ところが、本発明者が検討したところ、この特許文献3に記載の構造でも、未だ充分な調節効果が得られないことがわかった。即ち、ソレノイド型アクチュエータにおいて、例えば自動車用エンジンマウント等の防振装置に適用する場合には、数十〜数百ミクロンオーダーでの位置調節が要求されることがある。しかし、ねじ構造では、出力ロッドに設定される外径寸法を考慮すると、そこに形成されるねじ溝のピッチはそれ程までに小さくすることが、現実的に出来ないのである。それ故、ソレノイド型アクチュエータにおいて、固定子と可動子の磁極間におけるエアギャップの大きさを軸方向で、要求されるレベルで調節することの出来る、実用的な技術は、未だ、提供されていないのが実情であった。
特開平9−49541号公報 特開2004−153063号公報 特開2004−293624号公報
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、コイルへの通電によって加振力を発生するソレノイド型アクチュエータであって、固定子の磁極部と可動子の磁極対向部の軸方向における離隔距離を簡単な構造で高精度に調節することの出来る、改良された構造のソレノイド型アクチュエータを提供することにある。
また、本発明は、そのようなソレノイド型アクチュエータを用いて構成された、改良された構造を有する能動型防振装置を提供することも目的とする。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面の記載、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
すなわち、ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の特徴とするところは、コイル部材の周囲にヨーク部材が組み付けられて固定側磁路が形成されていると共に、該コイル部材の中心孔に可動子が配設されており、該コイル部材への通電によって生ぜしめられる磁界の作用で該可動子に対して軸方向の駆動力が及ぼされるソレノイド型アクチュエータにおいて、前記可動子の中心軸上にねじ孔を形成する一方、内周面に雌ねじ溝を有すると共に該雌ねじ溝と同じ溝回転方向で且つ溝ピッチの異なる雄ねじ溝を外周面に有する位置調節ナットを用いて該位置調節ナットの雄ねじ溝を該可動子のねじ孔に螺合させると共に、ボルト部を備えた出力ロッドを用いて該ボルト部を該位置調節ナットの雌ねじ溝に螺合させることにより、該出力ロッドを該位置調節ナットを介して該可動子に組み付けて、該出力ロッドを該可動子の中心軸上で軸方向外方に突出せしめたことにある。
このような本発明に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、出力ロッドおよび可動子に対して位置調節ナットをねじ軸回りで相対回転操作すると、位置調節ナットに対して出力ロッドが軸方向一方向に相対移動せしめられると同時に、位置調節ナットに対して可動子が軸方向他方向に相対移動せしめられることとなる。その際、位置調節ナットに対する出力ロッドの軸方向一方向への相対移動距離は、それらの螺合部におけるねじ溝のピッチ(リード)と相対回転量に応じて決定される。また、位置調節ナットに対する可動子の軸方向他方向への相対移動距離は、それらの螺合部におけるねじ溝のピッチ(リード)と相対回転量に応じて決定される。
ここにおいて、位置調節ナットに対する出力ロッドの螺合部におけるねじ溝のピッチと、位置調節ナットに対する可動子の螺合部におけるねじ溝のピッチとは、互いに異なる値に設定されている。従って、それら両ピッチの差分だけ、ピッチの大きい軸方向に向かって、出力ロッドに対して可動子が軸方向で相対変位せしめられることとなる。換言すれば、各ねじ溝のピッチが調節精度に対して大きくても、差分を小さくすることで、一回転あたりの移動量を充分に小さくすることが出来る。
その結果、ねじ溝のピッチとして、例えばJIS規格に設定のある値を採用しても、充分に小さな(ミクロンオーダー)出力ロッドと可動子の位置調節が、実現可能となるのである。これにより、ソレノイド型アクチュエータにおける可動子と固定子の軸方向位置の調節が有利に実現可能となるのである。
また、好適には、前記位置調節ナットにおける内周面の雌ねじ溝と外周面の雄ねじ溝の溝ピッチの差が0.25mmとされる。これによれば、位置調節ナットに対する出力ロッドの螺合部におけるねじ溝と位置調節ナットに対する可動子の螺合部におけるねじ溝のピッチ差を利用して可動子と固定子の軸方向位置の調節を行うことにより、規格に設定されたねじ溝のピッチの値を採用して、従来構造の位置調節機構では実現することが困難な程に高精度な位置調節を実現することが出来る。
また、前記位置調節ナットの前記可動子に対する相対回転と、該位置調節ナットの前記出力ロッドに対する相対回転とを、阻止する解除可能なロック手段を設けることが望ましい。これによれば、可動子と固定子を適当な相対位置に位置調節した後で位置調節ナットが可動子や出力ロッドに対して相対回転することを防いで、可動子と固定子を、所期の軸方向位置に相対的に位置決めされた状態で保持することが出来る。それ故、目的とする加振力を安定して発揮させることが出来る。また、ロック手段を解除可能とすることにより、何らかの理由で可動子と固定子の軸方向での位置ずれが生じた場合などには、ロック手段を解除して、位置調節ナットを回転させることにより、可動子と固定子の軸方向での位置調節を行うことが可能となる。
一方、能動型防振装置に関する本発明の特徴とするところは、防振連結される一方の振動部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の振動部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振装置において、前記アクチュエータとして請求項1乃至3の何れか一項に記載のソレノイド型アクチュエータを用い、前記コイル部材を前記第二の取付部材に固定すると共に、前記出力ロッドの突出先端部を前記加振部材に連結することにより、該ソレノイド型アクチュエータで該加振部材を加振駆動せしめるようにしたことにある。
このような本発明に従う構造とされた能動型防振装置においては、アクチュエータにおける可動子を固定子に対して軸方向で精度良く位置調節することが可能となっていることから、所期の加振力を安定して加振部材に及ぼすことが出来る。それ故、受圧室の圧力を高精度に制御することが出来て、目的とする防振性能を安定して有利に発揮することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態として、能動型防振装置の一例である自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、軸方向で互いに離隔して対向配置されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造を有している。そして、エンジンマウント10は、第一の取付金具12が図示しないパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。また、そのような装着状態下において、エンジンマウント10には、図1中の上下方向となるマウント中心軸方向で第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にパワーユニットの分担荷重が及ぼされることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が相互に接近する方向に本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられるようになっている。更に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、両取付金具12,14が軸方向で接近又は離隔する方向に、防振すべき主たる振動が入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は逆向きの略円錐台形状を有している。また、第一の取付金具12の大径側端部には、外周面上に突出する円環板状の鍔部18が一体形成されている。更に、第一の取付金具12には、その大径側端面から軸方向上方に向かって突出する厚肉円筒形状の螺着部20が一体形成されている。更にまた、螺着部20の中央孔が略全長に亘って雌ねじが形成された固定用ねじ穴22とされており、かかる固定用ねじ穴22に螺着される図示しない固定ボルトによって、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニットに固定的に取り付けられるようになっている。
また、第一の取付金具12には、本体ゴム弾性体16が加硫接着されている。本体ゴム弾性体16は、下方に向かって次第に拡径する略円錐台形状とされており、その小径側端面から第一の取付金具12が軸方向下方に向かって挿し入れられた状態で同一中心軸上に配されて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端面には、軸方向下方に向かって開口する逆向き略すり鉢状の中央凹所24が形成されている。更に、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面には、大径円筒形状の金属スリーブ26が外挿されて固着されている。これにより、本体ゴム弾性体16は、第一の取付金具12と金属スリーブ26を有する一体加硫成形品として形成されている。また、第一の取付金具12の鍔部18の上面には、軸方向上方に向かって突出する緩衝ゴム28が本体ゴム弾性体16と一体形成されて固着されている。
一方、第二の取付金具14は、薄肉大径の略円筒形状を有しており、軸方向中間の一部に設けられた段差部30を挟んで軸方向上方が大径筒部32とされていると共に、段差部30を挟んで軸方向下方が小径筒部34とされている。また、第二の取付金具14の大径筒部32内周面には、略全面を覆う薄肉のシールゴム層36が設けられて加硫接着されていると共に、小径筒部34側の開口部には、変形容易な薄肉のゴム弾性体からなるダイヤフラム38が設けられている。ダイヤフラム38は、撓みを有する薄肉の略円板形状とされており、その外周縁部が第二の取付金具14における小径筒部34の内周面に固着されている。これにより、第二の取付金具14の下側(小径筒部34側)開口部がダイヤフラム38で流体密に閉塞されている。
そして、第二の取付金具14は、その大径筒部32が本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面に固着された金属スリーブ26に外挿されて、圧入や絞り加工等で嵌着固定されることにより、第一の取付金具12と金属スリーブ26を有する本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に固着されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、略同一中心軸上で防振すべき振動の主たる入力方向となる軸方向上下(図1中、上下)で離隔配置されており、本体ゴム弾性体16で弾性的に連結されている。また、第二の取付金具14の大径筒部32が本体ゴム弾性体16に固着されることにより、第二の取付金具14の上側(大径筒部32側)開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に閉塞されている。
さらに、第二の取付金具14には、軸方向上側から筒状のストッパ筒金具40が嵌め付けられている。ストッパ筒金具40は、軸方向中間の一部に位置決め段差部42を有する大径の段付き円筒形状であって、位置決め段差部42を挟んで軸方向上側が小径部44とされていると共に、位置決め段差部42を挟んで軸方向下側が大径部46とされている。また、ストッパ筒金具40の上端部には、内フランジ状の当接部48が一体形成されている。そして、第二の取付金具14の大径筒部32にストッパ筒金具40の大径部46が外嵌固定されると共に、位置決め段差部42が金属スリーブ26の上端面に重ね合わせられることにより、ストッパ筒金具40が本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対して軸方向で位置決めされて組み付けられている。かかる組付け状態下において、当接部48が緩衝ゴム28と軸方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられており、当接部48に対して第一の取付金具12の鍔部18が緩衝ゴム28を介して軸方向で緩衝的に当接せしめられることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸方向での相対変位を制限するリバウンドストッパ機構が構成されている。
また、ストッパ筒金具40の軸方向上方には、バウンドストッパゴム50が軸方向で所定距離だけ離隔して配置されている。バウンドストッパゴム50は、全体として逆向きの略有底円筒形状とされていると共に、上底壁部の径方向中央部分には、貫通孔52が形成されている。そして、貫通孔52に第一の取付金具12の螺着部20が挿入されて接着等されることにより、バウンドストッパゴム50が第一の取付金具12に固設されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14の軸方向接近方向での相対変位が、バウンドストッパゴム50の上底壁とストッパ筒金具40における当接部48の緩衝的な当接によって制限されており、本実施形態におけるバウンドストッパ機構が構成されている。なお、本実施形態において、バウンドストッパゴム50は、ストッパ筒金具40の小径部44の上部を覆うように被せられている。
更にまた、ストッパ筒金具40の下端部には、軸方向下方に延び出す複数の取付脚部54が外周面上に固着されており、これら取付脚部54に固定された取付ボルト56が図示しない自動車のボデー側の部材に螺着されることにより、第二の取付金具14がストッパ筒金具40を介して自動車のボデーに固定される。
また、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム38の軸方向対向面間において、外部空間に対して密閉された流体室58が形成されており、かかる流体室58には、非圧縮性流体が封入されている。なお、流体室58に封入される非圧縮性流体としては、例えば、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が何れも採用可能であり、特に、流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得るために、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
さらに、流体室58内において軸直角方向に広がるように仕切部材60が配設されており、第二の取付金具14に固定されている。仕切部材60は、所定厚さで略軸直角方向に広がる略円環板形状とされた支持ゴム弾性体62を有しており、この支持ゴム弾性体62の中央部分に加振部材としての加振金具64が加硫接着されている。加振金具64は略カップ形状とされており、その外周面が略全面に亘って支持ゴム弾性体62の内周縁部に加硫接着されている。また、加振金具64の開口周縁部には、軸直角方向外方に向かって屈曲せしめられたフランジ部としての補強フランジ66が一体形成されている。かかる補強フランジ66は、ロール状に曲げ加工されており、軸直角方向中間の一部で軸直角方向内方に向かって湾曲状に折り返されている。これにより、補強フランジ66の端縁部にバリが形成された場合にも、かかるバリによって支持ゴム弾性体62に亀裂が生じることを有利に防ぐことが出来る。また、補強フランジ66の上部には、支持ゴム弾性体62が回り込んで肉厚とされた緩衝部68が形成されている。
また、支持ゴム弾性体62の外周縁部には、全周に亘って延びる円環形状の外周金具70が加硫接着されている。この外周金具70は、上方に開口して全周に亘って延びる凹溝を形成する溝状部72と、この溝状部72の外周壁の上端縁部から軸直角方向外方に広がるフランジ状部74を備えている。支持ゴム弾性体62は、溝状部72の内周壁に加硫接着されており、凹溝の内部に回りこんで充填状態で加硫接着されている。また、溝状部72の凹溝に充填された支持ゴム弾性体62には、上方に開口して周方向に一周以下の所定長さで延びる周方向溝が形成されている。
これにより、仕切部材60は、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム38の軸方向対向面間の中間部分で軸直角方向に広がって配設されており、第二の取付金具14の内周側に形成される流体室58を軸方向両側に二分せしめている。以って、仕切部材60を挟んで軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づく圧力変動が生ぜしめられる受圧室76が形成されている。一方、仕切部材60を挟んで軸方向下側には、壁部の一部がダイヤフラム38で構成されて、容積変化が容易に許容される平衡室78が形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、受圧室76は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されていると共に、壁部の他の一部が加振金具64を有する仕切部材60で構成されている。また、加振金具64は、支持ゴム弾性体62を介して第二の取付金具14に対して軸方向で相対変位可能に取り付けられている。
さらに、支持ゴム弾性体62には、上方から仕切金具80が重ね合わされている。この仕切金具80は、略円板形状を有しており、その外周部分において、外周金具70のフランジ状部74に対して直接に重ね合わされている。そして、それら重ね合わされた仕切金具80とフランジ状部74の両外周縁部が、第二の取付金具14の段差部30に載置されており、第二の取付金具14に嵌着された金属スリーブ26と段差部30の間に挟み込まれることにより、第二の取付金具14に固定されている。
また、かかる組付状態下では、仕切金具80の外周部分が、外周金具70の溝状部72に充填された支持ゴム弾性体62の上面に密着状態で重ね合わされている。一方、仕切金具80の中央部分は、支持ゴム弾性体62における外周金具70の内周側の広い領域に対して、上方に離隔して位置せしめられている。
さらに、上記周方向溝の開口が流体密に覆蓋されていることにより、周方向に一周以下の所定長さで延びるトンネル状の通路が形成されている。そして、このトンネル状の通路の一方の端部が仕切金具80に貫通形成された図示しない連通孔を通じて受圧室76に連通されていると共に、他方の端部が溝状部72の底壁部に貫通形成された図示しない連通孔を通じて平衡室78に連通されている。これにより、受圧室76と平衡室78を相互に連通するオリフィス通路82が、上記トンネル状の通路を利用して形成されている。そして、所定の振動入力時には、受圧室76と平衡室78の圧力差に基づいてオリフィス通路82を流動せしめられる流体の共振作用等による防振効果が発揮されるようになっている。なお、本実施形態におけるオリフィス通路82は、通路長さや通路断面積を適当に調節することにより、例えば、10Hz前後のエンジンシェイク等の低周波数域にチューニングされている。
また、受圧室76内において軸直角方向に広がるように仕切金具80が配設されることによって、受圧室76が仕切金具80を挟んだ軸方向両側に二分されている。即ち、仕切金具80を挟んで上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された作用流体室84が形成されていると共に、仕切金具80を挟んで下側には、壁部の一部が加振金具64で構成された加振室86が形成されている。そして、仕切金具80の軸直角方向中間部分において周上の複数箇所に形成される透孔88を通じて、作用流体室84と加振室86が相互に連通されている。
また、第二の取付金具14の軸方向下方、即ち、加振金具64を挟んで受圧室76と反対側には、ソレノイド型アクチュエータとしての電磁加振器90が配設されており、第二の取付金具14に固定的に支持されている。
電磁加振器90は、図1および図2に示すように、ソレノイド92とソレノイド92を収容状態で支持するハウジング94を含んで構成されている。より詳細にはソレノイド92は、コイル部材96を備える磁極形成部材98を含んで構成された固定子と、コイル部材96に対して軸方向で相対変位可能に配設された厚肉略円筒形状の可動子としてのアーマチャ100を含んで構成されている。なお、特に本実施形態においては、ハウジング94として特別に独立した部材を設けること無く、磁極形成部材98の一部を構成する下ヨーク104を利用してハウジング94が形成されており、固定子が、ハウジング94と、ハウジング94に固定的に配設されるコイル部材96と、を含んで構成されている。
磁極形成部材98は、コイル部材96とコイル部材96の周囲に組み付けられたヨーク部材としての上ヨーク102及び下ヨーク104を含んで構成されている。更に、コイル部材96は、ボビン106に巻回されたコイル108に対して、非磁性材料からなるカバー部材110がコイル108の外周を覆うようにして設けられている。また、カバー部材110には、下ヨーク104に貫設された開口部から外部に突出する給電口112が一体形成されており、かかる給電口112の内部に設けられた端子を通じてコイル108に対して電源が供給されるようになっている。なお、コイル108に対して供給される周波数成分を有する駆動電圧としては交流のみならず脈流等でも良いしアナログ的なもののみならずデジタル的に制御されたものでも良い。
一方、ハウジング94としての下ヨーク104は、その中央部分に調節孔としての下透孔114が貫設されると共に、コイル部材96の外周面と下端面を囲むようにしてL字状断面で略全周に亘って延びるように形成されている。更に、下透孔114の開口周縁部において下ヨーク104には、軸方向下方に向かって延び出す筒状の突出部が形成されている。また、コイル部材96の上端面には、上ヨーク102が設けられている。上ヨーク102は、下ヨーク104の下透孔114と略等しい径寸法を持って貫設された上透孔116を有する略円板形状をもって形成されており、その内周側端部が厚肉化されていると共に、その外周側端部が下ヨーク104の上端部と接触した状態でコイル部材96を覆うように配設されている。そして、これら上ヨーク102及び下ヨーク104がそれぞれ強磁性体で形成されたヨーク部材とされており、コイル108への通電によって生じる磁束が案内される固定側磁路とされて、上透孔116及び下透孔114の内周側端縁部がそれぞれコイル108への通電時に磁極が形成される磁極部としての上側磁極118及び下側磁極120とされている。
また、固定子を構成するコイル108の中心孔内には、上ヨーク102及び下ヨーク104によって形成される上下の内周端縁部の開口を覆蓋するようにして筒状の案内スリーブ122が組み付けられている。本実施形態では、この案内スリーブ122を含んで固定子が構成されている。また、案内スリーブ122の案内孔としての筒状案内面124は、上ヨーク102及び下ヨーク104の磁極内面よりも僅かに小径の円筒形状面とされて、それら上下ヨーク102,104の磁極内面よりも僅かに径方向内方に位置せしめられている。また、案内スリーブ122は、非磁性材料で形成されており、特に本実施形態ではステンレス鋼によって形成されている。なお、案内スリーブ122は、ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン等といった硬質の合成樹脂材料や、アルミニウム合金や高マンガン鋼等の非磁性材料で形成されていても良く、特に低摩擦性材料で形成されることが望ましい。また、案内スリーブ122は、上下ヨーク102,104に対して固定されていても良いし、弾性支持されていても良いし、或いは、多少の隙間を持って組み付けられていても良い。要するに、案内スリーブ122は、アーマチャ100を上下ヨーク102,104等に対する干渉を防止しつつ軸方向にスムーズに案内し得るようになっていれば良い。
一方、ハウジング94の上端部には、軸直角方向外方に向かって屈曲せしめられた屈曲部126が設けられている。そして、かかる屈曲部126に対して第二の取付金具14の下端縁部に形成された係止片128が嵌め付けられてかしめ固定されることにより電磁加振器90の磁極形成部材98が第二の取付金具14の下端開口部を覆蓋するようにして取り付けられている。このように、本実施形態において、電磁加振器90は、ブラケットなどの別体を介することなく第二の取付金具14に直接固定されていることから、加振金具64の中心軸とコイル108の中心軸との組み付け時の位置ずれが軽減されている。なお、電磁加振器90のハウジング94と第二の取付金具14との間に、ダイヤフラム38の外周縁部が下方に延び出して形成された挟圧ゴム130が挟み込まれていることによって、電磁加振器90のガタツキが防止されている。これにより、コイル108の中心軸がマウント中心軸と一致せしめられて、第二の取付金具14や加振金具64の中心軸と位置合わせされる。
また、ハウジング94の下方には、浅底の皿形状を呈する蓋部材132が固定されている。この蓋部材132は、その開口縁部が外フランジ状に外方に広がっており、そのフランジ状部分に周方向の複数箇所でボルト孔が形成されている。そして、そのボルト孔に挿通されるボルトによって、蓋部材132がハウジング94に固定されており、ハウジング94に形成される下透孔114の開口部を覆うように配設されている。
さらに、蓋部材132の上面には、一体成形ストッパとしての弾性ストッパ134が重ね合わされており、ハウジング94の下端内周縁部と蓋部材132の間で挟圧されて固定されている。この弾性ストッパ134は、ゴム弾性体で形成されており、全体として略円板形状を呈している。また、外周部分に環状シール部136を備えると共に、中央部分には第一ストッパ部としてのロッドストッパ部138を有している。また、それら環状シール部136とロッドストッパ部138が径方向に延びる複数本のスポーク部としての連結スポーク140によって相互に連結されている。更に、互いに隣り合う連結スポーク140の周方向間には、環状シール部136の内周面から延び出す第二ストッパ部としてのアーマチャストッパ部142が形成されている。
より詳細には、環状シール部136は、弾性ストッパ134の外周部分に形成されて、略一定の矩形断面をもって全周に亘って連続的に延びている。また、図中では必ずしも明らかではないが、環状シール部136の両面には、厚さ方向両側に向かってそれぞれ突出するシール突条が形成されている。そして、そのシール突条がハウジング94の下端面と蓋部材132の底壁面との軸方向対向面間で挟圧されることにより、蓋部材132とハウジング94の重ね合わせ面間が流体密にシールされており、ハウジング94に形成される下透孔114の開口が蓋部材132および弾性ストッパ134によって流体密に覆蓋されている。
また、環状シール部136の内周側には、ロッドストッパ部138が環状シール部136と径方向に所定の距離を隔てて形成されている。ロッドストッパ部138は、弾性ストッパ134の径方向略中央に位置せしめられており、環状シール部136に比して厚肉の円板形状とされている。また、ロッドストッパ部138の厚さ方向両面には、半球形状を呈する複数の緩衝突起が突出形成されている。そして、このロッドストッパ部138は、後述する駆動ロッド168の軸方向下方に配置されて、駆動ロッド168の軸方向での変位を当接によって弾性的に緩衝するようになっている。
さらに、これら環状シール部136とロッドストッパ部138は、複数の連結スポーク140で相互に連結されている。連結スポーク140は、環状シール部136の内周面とロッドストッパ部138の外周面の間で径方向に直線的に延びて形成されており、周方向に互いに所定距離だけ離隔して複数が設けられている。また、本実施形態において、連結スポーク140は、環状シール部136およびロッドストッパ部138の厚さ方向(軸方向)の略中央部分に形成されており、軸直角方向に延びている。なお、図中では必ずしも明らかではないが、それら複数の連結スポーク140の周方向間には、厚さ方向に貫通する肉抜部が形成されている。
更にまた、それら複数の連結スポーク140において、周方向で互いに隣り合う連結スポーク140の周方向間には、アーマチャストッパ部142が形成されている。アーマチャストッパ部142は、弾性当接部146と弾性支持部148を有しており、環状シール部136の内周面から径方向で延び出す板形状を呈する弾性支持部148の内周縁部に、略球形状の弾性当接部146が一体的に形成された構造とされている。これにより、弾性当接部146が環状シール部136とロッドストッパ部138の径方向間に複数配設されており、それら複数の弾性当接部146が周方向でそれぞれ独立して形成されている。そして、アーマチャストッパ部142は、その弾性当接部146がアーマチャ100の軸方向下方に所定距離だけ離隔して配置されており、弾性当接部146に対してアーマチャ100の下端面が当接せしめられることにより、アーマチャ100の軸方向下方への過大な変位が弾性的に阻止されるようになっている。なお、アーマチャストッパ部142の形成数や形成位置は、特に限定されるものではないが、例えば、周方向で等間隔に三つ以上形成されていることが、アーマチャ100との当接状態を安定して実現するためには望ましい。
また、コイル108が組み付けられたハウジング94の下透孔114内、換言すれば、コイル108の中央孔内には、アーマチャ100が組み付けられている。アーマチャ100は、全体として略円形ブロック形状の強磁性体によって形成されており、案内スリーブ122の内径寸法よりも僅かに小さい外径寸法とされて案内スリーブ122に嵌め込まれ、コイル108と略同一中心軸上で軸方向に相対変位可能に組み付けられている。更にアーマチャ100は、上下側磁極118,120に跨る軸方向長さ寸法を有していると共に、その上側磁極118の近くには、外周面上に開口する周溝150が形成されている。そして、アーマチャ100における軸方向上端部と下端部がそれぞれ全周に亘って延びる環状の磁力作用部としての上側磁力作用部位152と下側磁力作用部位154とされており、例えば、図示されている如き上側磁力作用部位152と上ヨーク102の上側磁極118との間、およびアーマチャ100の下側磁力作用部位154と下ヨーク104の下側磁極120の間にそれぞれ有効な磁気吸引力が作用せしめられる磁気ギャップが位置調節されて形成されるようになっている。また、本実施形態におけるアーマチャ100の外周面には、各種公知のコーティング剤による低摩擦処理や防錆処理が施されている。
ここにおいて、本実施形態では、アーマチャ100における周溝150の溝幅寸法が周方向において異ならされていることにより、上側磁力作用部位152の下端面の軸方向位置が周方向で変化せしめられている。更に、アーマチャ100の下端部に高さ寸法が周方向で異ならされた段差部が形成されていることにより、下側磁力作用部位154の下端面の軸方向位置が周方向で変化せしめられている。要するに、アーマチャ100における上側磁力作用部位152の下端面と下側磁力作用部位154の下端面が何れも軸直角方向に対して傾斜せしめられているのである。なお、これら上側磁力作用部位152の下端面と下側磁力作用部位154の下端面の傾斜は、周方向において重なり合う部位において略等しい大きさとされている。また、上述の説明からも明らかなように、上側磁力作用部位152の下端部(周溝150の開口縁部)及び下側磁力作用部位154の下端部がそれぞれ本実施形態における環状エッジ部とされている。
そして、これら傾斜した上側磁力作用部位152の下端面と下側磁力作用部位154の下端面によって上側磁極118及び下側磁極120と上側磁力作用部位152及び下側磁力作用部位154との離隔距離が周方向で異ならされている。特に本実施形態では、上下側磁極118,120とアーマチャ100が最も接近位置せしめられる部分であり、発生磁力に対して支配的となる、上下側磁極118,120の各上端内周縁角部とアーマチャ100の上下側磁力作用部位152,154の各下端外周縁角部との、軸方向での離隔距離が周方向で異ならされていることによって、それら両角部の離隔距離が周方向で変化せしめられている。なお、この両角部の離隔距離は周方向に360度の周期で変化せしめられており、両角部が最も近接する部分と両角部が最も離隔する部分が、軸直角方向一方向で対向位置せしめられている。
これにより、上側磁極118及び下側磁極120とアーマチャ100(上下側磁力作用部位152,154)の間で作用する軸直角方向での磁気吸引力が、周方向で不均一に作用せしめられる。それ故、図2に矢印で示すように、アーマチャ100に軸直角方向一方向で偏倚した力が作用せしめられて、アーマチャ100が案内スリーブ122に対して軸直角方向でδだけ相対変位せしめられている。なお、本実施形態では、アーマチャ100の案内スリーブ122に対する相対変位によってアーマチャ100の外周面が案内スリーブ122の筒状案内面124に対して軸直角方向一方向で押し付けられるようになっている。これにより、本実施形態における磁力偏倚手段(偏倚付勢手段)が構成されている。なお、磁気吸引力の合力が作用する軸直角方向一方向において、アーマチャ100は、案内スリーブ122の筒状案内面124に対して僅かに離隔せしめられて非接触とされていても良いし、軸方向略全長に亘って線当たりせしめられていても良い。特に本実施形態では、アーマチャ100は、軸直角方向一方向において、軸方向略全長に亘って筒状案内面124に当接せしめられている。
また、アーマチャ100には、中心軸上を貫通する挿通孔156が形成されている。この挿通孔156の軸方向中間部分には内方突出部158が形成されている。内方突出部158は、アーマチャ100の軸方向中間の一部において、軸直角方向内方に向かって全周に亘って突出形成されており、かかる内方突出部158の形成位置において、挿通孔156が小径とされている。更に、内方突出部158の内周面にはねじが刻設されており、内方突出部158の形成位置において、アーマチャ100が、その中心軸上にねじ孔が形成されたナット状とされている。
そして、内方突出部158が形成された部分において、アーマチャ100に対して位置調節ナットとしての調整ナット160が螺合されて固着されている。調整ナット160は、図3に示されているように、金属等の剛性材で形成されており、全体として略円筒形状を呈している。また、調整ナット160の外周面には、軸方向上端から軸方向で所定の領域に亘って雄ねじ溝が刻設されたアーマチャ螺合部162が形成されている。更に、調整ナット160の内周面において、軸方向中間の一部よりも上側の部分が雌ねじ溝を刻設されたロッド螺合部164とされていると共に、下側の部分には、後述する止めねじ178が螺着される止めねじ螺合部166が形成されている。
そして、アーマチャ100の挿通孔156に軸方向下方から調整ナット160が挿入されて、調整ナット160の外周面に形成されるアーマチャ螺合部162の雄ねじ溝がアーマチャ100の内方突出部158の形成位置における上記ねじ孔に螺合せしめられることにより、調整ナット160がアーマチャ100に対して軸方向下方から挿し込まれて螺着せしめられている。
さらに、アーマチャ100に対して固定された調整ナット160は、出力ロッドとしての駆動ロッド168に対して螺着されている。駆動ロッド168は、軸方向に延びる軸体形状とされており、上端縁部が加振金具64に固定されていると共に、軸方向中間の一部には、フランジ状の固着部170が一体形成されている。固着部170は、軸方向下方から加振金具64の底壁部に重ね合わされていると共に、その外周縁部がダイヤフラム38の軸直角方向中央部に固着されている。なお、駆動ロッド168は、その上端部に形成されたかしめ部172が、加振金具64の底壁部に設けられた取付孔174に挿入されてかしめ固定されることにより加振金具64に固定されている。
また、駆動ロッド168の軸方向下端部には、ボルト部176が一体形成されており、このボルト部176が、調整ナット160の内周面上部に形成されたロッド螺合部164に螺合されることにより、調整ナット160が駆動ロッド168に固着されている。これにより、アーマチャ100と駆動ロッド168が調整ナット160を介して固定的に組み付けられており、駆動ロッド168が、アーマチャ100から軸方向上方に突出してアーマチャ100の中心軸上を延びるように配設されている。
一方、調整ナット160の内周面下部に形成された止めねじ螺合部166には、調整ナット160が駆動ロッド168に対して軸方向で回転するのを防止するために、止めねじ178が螺着されている。更に、止めねじ螺合部166には、位置決め部材180が組み付けられている。この位置決め部材180は、全体として略有底円筒形状を呈すると共に、軸直角方向中央部分には、底壁部の上面から軸方向で突出する突出螺着部182が形成されており、かかる突出螺着部182の外周面に形成されたねじが調整ナット160の止めねじ螺合部166に螺合せしめられるようになっている。また、本実施形態において、位置決め部材180の軸直角方向中央には、略一定の多角形断面で軸方向に貫通形成された孔が設けられており、かかる孔と略一致する断面形状を有する棒状の工具(例えば、棒スパナ等)を挿入して、回転トルクを作用せしめることにより、位置決め部材180が調整ナット160に螺着されるようになっている。なお、止めねじ螺合部166に止めねじ178が螺着された後に、止めねじ178の下方から止めねじ螺合部166に嵌め付けられるようになっていることから、調整ナット160を固定するための特別な手段を設けることなく、位置決め部材180を調整ナット160に螺着せしめることが可能となる。そして、位置決め部材180の周壁部上端面がアーマチャ100の内周部分において内方突出部158よりも軸方向下方に形成される当接段差部184に当接せしめられることにより、駆動ロッド168のアーマチャ100からの抜け出しがより有利に防がれるようになっている。
このような本実施形態に従う構造とされたエンジンマウント10においては、駆動ロッド168とアーマチャ100が軸方向で位置決めされた状態で、コイル108に通電されることにより、磁界の作用によってアーマチャ100が軸方向で加振されて、所定の加振力が駆動ロッド168および加振金具64を介して作用流体室84に及ぼされるようになっている。なお、上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、図示はされていないが、コイル108への通電を制御することが可能であり、例えば、パワーユニットのエンジン点火信号を参照信号とすると共に、防振すべき部材の振動検出信号をエラー信号として、適応制御等のフィードバック制御を行うことによって、或いは、予め設定された制御データに基づくマップ制御を利用すること等によって通電制御することが出来る。これにより、アーマチャ100に磁力を作用せしめて軸方向下方に変位駆動せしめると共に、コイル108への通電を停止して支持ゴム弾性体62の復元力を作用せしめることで、加振金具64に対して防振すべき振動に対応した加振駆動力を作用せしめ、以って受圧室76の内圧制御による能動的な防振効果を得ることが可能とされている。
ところで、コイル108への通電によってアーマチャ100に作用せしめられる加振力は、アーマチャ100における上下側磁力作用部位152,154と固定子における上下側磁極118,120の離隔距離によって変化する。かかる発生力の変化は、磁力作用部位152,154と磁極118,120の離隔距離が僅かに変化することによっても比較的大きなものとなることから、アーマチャ100と固定子(上下ヨーク102,104)との高精度な位置合わせが必要となる。
ここにおいて、図4に概略的に示すように、調整ナット160の内周面に形成されるロッド螺合部164と、外周面に形成されるアーマチャ螺合部162には、それぞれ異なる溝ピッチを有するねじ溝が刻設されている。特に本実施形態では、アーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝のピッチ:P1 が、ロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝のピッチ:P2 に比して、軸方向に大きな寸法(P1 >P2 )とされている。本実施形態においては、例えば、アーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝のピッチ:P1 が0.75mmとされると共に、ロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝のピッチ:P2 が0.5mmとされて、それらのねじ溝のピッチ差が0.25mmとなっている。なお、図4は、あくまでも説明図であって、本発明の理解を容易とするために、各ねじ溝の間隔や寸法、更には、調整ナット160の形状や寸法などが、何れも、誇張されたり、変更されたりしていることが理解されるべきである。
そして、ロッド螺合部164に形成された雌ねじ溝とアーマチャ螺合部162に形成された雄ねじ溝が、互いに異なるピッチで形成されていることから、調整ナット160を回転させた場合において、調整ナット160と駆動ロッド168の軸方向での相対的な変位量と、調整ナット160とアーマチャ100の軸方向での相対的な変位量が異なることとなる。要するに、アーマチャ螺合部162に形成される雄ねじのリードと、ロッド螺合部164に形成される雌ねじのリードが、相互に異なっている。具体的には、例えば本実施形態においては、調整ナット160を一回転させた場合に、調整ナット160と駆動ロッド168の軸方向での相対変位量(リード)が0.5mmとなっている一方、調整ナット160とアーマチャ100の軸方向での相対変位量(リード)が0.75mmとなっている。
また、ロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝とアーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝は、互いに同じ溝回転方向で形成されている。これにより、調整ナット160がアーマチャ100の挿通孔156に螺着され、且つ、調整ナット160の中央孔に駆動ロッド168が螺着された状態で、調整ナット160を回転せしめることにより、駆動ロッド168とアーマチャ100が調整ナット160に対してそれぞれ軸方向で反対方向に相対変位せしめられるようになっている。具体的には、例えば調整ナット160を駆動ロッド168に対して締め込んで、調整ナット160が駆動ロッド168に対して軸方向上方に相対変位する場合には、調整ナット160に外嵌されたアーマチャ100が調整ナット160に対して軸方向下方に変位せしめられるようになっている。
これらの結果、調整ナット160の回転に伴う駆動ロッド168とアーマチャ100の相対的な変位量が、駆動ロッド168と調整ナット160の相対変位量と、アーマチャ100と調整ナット160の相対変位量との差によって設定されることとなる。即ち、本実施形態において調整ナット160を一回転させると、駆動ロッド168とアーマチャ100の軸方向での相対変位量が、雄ねじ溝の溝ピッチ:P1 と雌ねじ溝の溝ピッチ:P2 の差である、0.25mmとなるのである。
さらに、アーマチャ100が駆動ロッド168によって吊下げ状にコイル108の中央孔内に位置せしめられている一方、駆動ロッド168は加振金具64を介して支持ゴム弾性体62で弾性支持されていることから、調整ナット160を回転させると、駆動ロッド168が上下方向で位置決め固定された状態に保持されると共に、アーマチャ100が軸方向上下に変位せしめられるようになっている。従って、調整ナット160を回転させることにより、アーマチャ100が固定子に対して軸方向上下に相対変位せしめられるようになっている。
これによれば、例えば、アーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝やロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝として、JIS規格などによって設定されたピッチのねじ溝を用いつつ、かかる規格の最小ピッチよりも小さなピッチでアーマチャ100を固定子に対して軸方向に相対変位させることが可能となる。それ故、所期の出力特性を安定して実現するためにミクロンオーダーでの調節が必要とされる、アーマチャ100の上下側磁力作用部位152,154と固定子の上下側磁極118,120との軸方向での相対距離を、調整ナット160を回転させるという非常に簡単な調節方法によって高精度に設定することが可能となる。
また、本実施形態によれば、手作業に比して回転量の細やかな調整が困難となり易い機械による調整ナット160の締付けによっても、アーマチャ100と固定子の軸方向での位置決めを極めて高精度に実現することが可能となる。それ故、手作業によってアーマチャ100と固定子の軸方向位置の微調整を行う場合に比して、遜色のない精度をもって、容易に且つ迅速にそれらアーマチャ100と固定子の位置調整を実現することが可能となるのである。従って、安定して所期の防振性能を発揮するエンジンマウント10を、優れた生産性で低コストに実現することが可能となり得る。
なお、このようなアーマチャ100と固定子との軸方向での位置合わせにおいて、その調節方法の手順は、何等限定されるものではない。一例としては、例えば、ハウジング94の底壁部に開口形成される下透孔114が蓋部材132で覆われていない開口状態とされた固定子を、第二の取付金具14の下端にかしめ固定すると共に、アーマチャ100に対して調整ナット160を任意の量だけ締め込んで螺着せしめた状態で、それらアーマチャ100と調整ナット160をハウジング94の底面開口部(下透孔114)から挿し入れて、調整ナット160を下透孔114の上方に配置されている駆動ロッド168の下端部に螺着せしめる。そして、下透孔114から挿し入れられるジグによって、アーマチャ100の回転が阻止された状態で、調整ナット160に回転力を作用せしめることにより、アーマチャ100と固定子の軸方向での相対位置を微調整することが可能となる。
次に、図5には、本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウント186が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
すなわち、本実施形態に係るエンジンマウント186におけるアーマチャ188は、全体として略円筒形状とされており、その中央孔が軸方向に貫通する挿通孔190とされている。また、アーマチャ188の内周面には、軸方向の中間部分に内周段差部192が形成されており、この内周段差部192によって、挿通孔190の内周段差部192を挟んで軸方向上側部分が、下側部分に比して小径とされている。また、内周段差部192よりも軸方向上側には、所定の領域に亘って雌ねじが刻設されたナット螺合部194が形成されている。更に、アーマチャ188には、略円形の断面を有する挿通孔190が形成されていると共に、アーマチャ188の上端部には、全周に亘って軸直角方向内方に向かって突出せしめられたストッパ係合部196が形成されており、挿通孔190の直径がアーマチャ188の上端部において僅かに小さくされている。
また、図5,図6に示すように、アーマチャ188の上端部において、アーマチャ188の内周面の一部にストッパ挿通溝198が形成されている。本実施形態においては、ストッパ挿通溝198は、ストッパ係合部196の内周面において径方向一方向の両側に位置するように一組が形成されており、ストッパ係合部196の軸方向全長に亘って延びている。これにより、アーマチャ188の上端部においては、ストッパ挿通溝198を含んで挿通孔190が構成されている。なお、本実施形態では、ストッパ挿通溝198の形成された径方向一方向においても、アーマチャ188の上端部における挿通孔190の径方向寸法が、他の部分における挿通孔190の径方向寸法に比して小さくされている。
また、本実施形態における駆動ロッド168は、軸方向中間の一部から軸方向上法に向かって延びる回転ストッパ200を備えている。回転ストッパ200は、図5に示すように、略円形の断面を有する駆動ロッド168の軸体部分において、軸直角方向で突出するように一体形成されており、本実施形態では、径方向一方向で対向する両側に突出して、軸方向に所定の長さで延びている。
そして、駆動ロッド168は、アーマチャ188の挿通孔190に対して、回転ストッパ200がストッパ挿通溝198と周方向で位置合わせされた状態で、挿し入れられる。このことからも明らかなように、アーマチャ188に形成されるストッパ挿通溝198の軸直角方向での深さ寸法は、駆動ロッド168に形成される回転ストッパ200の突出高さ寸法に比して大きくされている。
このように駆動ロッド168とアーマチャ188が周方向で位置合わせされた状態で、アーマチャ188の挿通孔190に対して軸方向下方から調整ナット160が挿入されて、調整ナット160の外周面に形成されたアーマチャ螺合部162がアーマチャ188のナット螺合部194に螺着されると共に、調整ナット160の内周面に形成されたロッド螺合部164が駆動ロッド168の下端部に形成されたボルト部176に螺着されている。これにより、調整ナット160を介してアーマチャ188と駆動ロッド168が位置決め固定されている。更に、調整ナット160を必要に応じて回転せしめることにより、前記第一の実施形態と同様に、アーマチャ188と固定子の軸方向での高精度な位置合わせを、容易に実現することが出来るのである。なお、本実施形態においては、調整ナット160の下端部に止めねじ178が挿入されて螺着されており、駆動ロッド168に対する調整ナット160の回転が阻止されるようになっている。
ここにおいて、前記第一の実施形態では、調整ナット160を回転せしめてアーマチャ188と固定子の軸方向での相対位置を調節する際に、アーマチャ188の回転を阻止することの出来るジグを利用することを例示したが、本実施形態係るエンジンマウント186においては、駆動ロッド168とアーマチャ188の係合によって実現される回転阻止機構によって、アーマチャ188の回転が阻止されるようになっている。即ち、アーマチャ188の挿通孔190が軸直角方向一方向において拡径されるようにストッパ挿通溝198を形成し、駆動ロッド168に突出形成されて、ストッパ挿通溝198と位置合わせされることによってのみ挿通孔190に挿通可能となる回転ストッパ200を、ストッパ挿通溝198に対して周方向で位置合わせして挿し入れることにより、ストッパ挿通溝198の側壁面による回転ストッパ200の係止によってアーマチャ188の回転が阻止されている。なお、駆動ロッド168は、軸方向上端部が加振金具64を介して支持ゴム弾性体62に連結されていることにより、回転することを防がれている。
これによれば、アーマチャ188と固定子の軸方向での位置合せに、アーマチャ188の回転を阻止する機構を有する特別なジグを用意することなく、ソレノイド型アクチュエータに予め備えられた回転阻止機構を用いて、より容易にアーマチャ188と固定子の軸方向位置の調整を実現することが出来る。
また、本実施形態においては、アーマチャ188と駆動ロッド168の相対回転がストッパ挿通溝198と回転ストッパ200の係合によって止められていると共に、駆動ロッド168に対する調整ナット160の相対回転が止めねじ178によって阻止されている。換言すれば、調整ナット160の止めねじ螺合部166に締め込まれる止めねじ178によって、アーマチャ188に対する調整ナット160の相対回転と、駆動ロッド168に対する調整ナット160の相対回転が、何れも阻止されており、本実施形態におけるロック手段が構成されている。これによれば、アーマチャ188と固定子との軸方向での位置調節を施した後に止めねじ178を螺着させることにより、調整ナット160が緩むなどして、アーマチャ188と固定子の軸方向での相対位置がずれることを防ぐことが出来る。従って、より安定して所期の加振性能を発揮することが可能となる。なお、止めねじ178を緩める乃至は取外すことにより、ロック手段を容易に解除することが可能であることから、例えば、支持ゴム弾性体62のへたり等、何らかの理由によってアーマチャ188と固定子の軸方向での位置がずれた場合、或いは、組み付け時の誤差等によって位置のずれが生じた場合等には、ロック手段を解除して、調整ナット160を回転させることにより、アーマチャ188と固定子の軸方向での位置調節を改めて行うことも可能とされている。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一,第二の実施形態では、本発明を能動型防振装置の一種である能動型流体封入式防振装置に採用した例を示したが、本発明は、前記実施形態で示されたような能動型の流体封入式防振装置に適用する以外にも、例えば、アクチュエータの加振力を制振対象部材に直接的に伝達することによって相殺的な制振効果を発揮させる能動型制振装置などにも本発明は好適に採用される。更に、前記第一又は第二の実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車のボデーマウント等に対しても、有利に適用され得る。
また、本発明は、自動車等の防振装置用ソレノイド型アクチュエータに、好適に適用されるが、本発明の適用範囲は防振装置用ソレノイド型アクチュエータに限定されるものではなく、その他の各種装置に用いられるソレノイド型アクチュエータに対して、何れも、有利に適用され得る。
また、調整ナット160のアーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝と、ロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝は、互いに異なる任意の溝ピッチで形成されていれば良く、それらねじ溝の溝ピッチの差が、要求されるアーマチャ100と固定子の軸方向位置の調節精度を実現できる程度に小さくされていれば良い。例えば、アーマチャ螺合部162の雄ねじ溝が1.25mmの溝ピッチで形成されると共に、ロッド螺合部164の雌ねじ溝が1.0mmの溝ピッチで形成されていても良く、この場合には、前記第一の実施形態よりも大きなピッチのねじ溝を用いて、前記第一の実施形態と略同等の調節精度(調整ナット160一回転につき0.25mmの相対変位量)を実現することが出来る。勿論、例えば、アーマチャ螺合部162の雄ねじ溝が0.5mmの溝ピッチで形成されると共に、ロッド螺合部164の雌ねじ溝が0.75mmの溝ピッチで形成されるといったように、アーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝の溝ピッチがロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝の溝ピッチよりも小さくされていても良い。
更にまた、アーマチャ螺合部162に形成される雄ねじ溝と、ロッド螺合部164に形成される雌ねじ溝の溝ピッチの差は、可能な限り小さく設定されていることが望ましい。しかも、それらのねじ溝のピッチの値としてJIS規格などで設定された値を採用することが望ましく、例えば、0.25mmに設定することが可能である。しかしながら、それら雄ねじ溝と雌ねじ溝の溝ピッチの差は、必ずしも0.25mmでなくても良いことは言うまでもなく、要求される調節精度等に応じて適宜に設定されて良い。
さらに、アーマチャ100の上端面と駆動ロッド168の固着部170との軸方向間には、コイルスプリングや皿ばね等が挟装されていても良く、これによれば、アーマチャ100と駆動ロッド168の軸方向での位置決め固定をより有利に実現することが出来る。
また、アーマチャ100(188)および駆動ロッド168と調整ナット160との相対回転を阻止するロック手段としては、前記第二の実施形態に示すような止めねじ178や回転阻止機構を利用したものに限定されるものではない。例えば、アーマチャ100(188)と調整ナット160との相対回転を阻止するために、アーマチャ100(188)に小径の穴を形成して、かかる穴にピン状の部材を相通すると共に、そのピン部材を調整ナット160に対して固定することによっても実現出来得る。
また、アーマチャ100,188及び駆動ロッド168と、調整ナット160に形成されるねじ溝は、必ずしも一条ねじではなくて良く、二条ねじや三条ねじ等の多条ねじを採用することも可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図であって、図2におけるI−I線断面図。 同エンジンマウントにおけるソレノイド型アクチュエータを示す横断面図であって、図1におけるII−II線断面図 同エンジンマウントにおける調整ナットを示す縦断面拡大図。 同調整ナットの要部を示す拡大説明図。 本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントを示す縦断面図であって、図6におけるV−V線断面図。 同エンジンマウントにおけるソレノイド型アクチュエータを示す横断面図であって、図5におけるVI−VI線断面図。
符号の説明
10 エンジンマウント、12 第一の取付金具、14 第二の取付金具、16
本体ゴム弾性体、64 加振金具、76 受圧室、90 電磁加振器、96 コイル部材、102 上ヨーク、104 下ヨーク、100 アーマチャ、160 調整ナット、168 駆動ロッド、176 ボルト部、178 止めねじ

Claims (4)

  1. コイル部材の周囲にヨーク部材が組み付けられて固定側磁路が形成されていると共に、該コイル部材の中心孔に可動子が配設されており、該コイル部材への通電によって生ぜしめられる磁界の作用で該可動子に対して軸方向の駆動力が及ぼされるソレノイド型アクチュエータにおいて、
    前記可動子の中心軸上にねじ孔を形成する一方、内周面に雌ねじ溝を有すると共に該雌ねじ溝と同じ溝回転方向で且つ溝ピッチの異なる雄ねじ溝を外周面に有する位置調節ナットを用いて該位置調節ナットの雄ねじ溝を該可動子のねじ孔に螺合させると共に、ボルト部を備えた出力ロッドを用いて該ボルト部を該位置調節ナットの雌ねじ溝に螺合させることにより、該出力ロッドを該位置調節ナットを介して該可動子に組み付けて、該出力ロッドを該可動子の中心軸上で軸方向外方に突出せしめたことを特徴とするソレノイド型アクチュエータ。
  2. 前記位置調節ナットにおける内周面の雌ねじ溝と外周面の雄ねじ溝の溝ピッチの差が0.25mmである請求項1に記載のソレノイド型アクチュエータ。
  3. 前記位置調節ナットの前記可動子に対する相対回転と、該位置調節ナットの前記出力ロッドに対する相対回転とを、阻止する解除可能なロック手段を設けた請求項1又は2に記載のソレノイド型アクチュエータ。
  4. 防振連結される一方の振動部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の振動部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振装置において、
    前記アクチュエータとして請求項1乃至3の何れか一項に記載のソレノイド型アクチュエータを用い、前記コイル部材を前記第二の取付部材に固定すると共に、前記出力ロッドの突出先端部を前記加振部材に連結することにより、該ソレノイド型アクチュエータで該加振部材を加振駆動せしめるようにしたことを特徴とする能動型防振装置。
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