JP2005155855A - 能動型流体封入式防振装置 - Google Patents

能動型流体封入式防振装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 加振板に対するアクチュエータのアーマチャの相対位置にバラツキがあっても、それら加振板とアーマチャを連結する連結ロッドを容易に組み付けることが出来ると共に、アクチュエータによる加振駆動力を、アーマチャから加振板に対して、安定して且つ効率的に及ぼすことの出来る、新規な構造の能動型流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】 アーマチャ100に挿通孔104を設けて該挿通孔104に駆動ロッド78を遊挿状態で挿し入れ、該アーマチャ100に組み込まれた第一の付勢手段120及び第二の付勢手段122によって、該駆動ロッド78を該アーマチャ100に対して軸方向で反対向きにそれぞれ付勢することにより、該駆動ロッド78を該アーマチャ100に対して弾性的に連結した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車用のエンジンマウントやボデーマウント或いは制振装置等に採用されて、防振すべき振動に対して積極的乃至は相殺的な防振効果を発揮し得る能動型防振装置に係り、特に非圧縮性流体が封入された振動作用室の壁部の一部を加振板で構成し、該加振板をアクチュエータで加振駆動せしめて振動作用室の圧力を制御することによって能動的な防振効果を得るようにした能動型流体封入式防振装置に関するものである。
振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体等としての防振装置の一種として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される振動作用室を形成し、該振動作用室に非圧縮性流体を封入する一方、該振動作用室の壁部の別の一部を加振板で構成し、該加振板を加振駆動するアクチュエータを設けて、該加振板を加振することにより該振動作用室を圧力制御するようにした流体封入式の能動型防振装置が知られている。例えば、特許文献1や特許文献2などに記載の防振装置が、それである。このような能動型流体封入式防振装置は、例えば、防振連結される部材に対して、防振すべき振動に対応した加振力を及ぼすことにより振動を相殺的に抑制したり、マウントのばね特性を入力振動に応じて積極的に変更して低動ばね化等させることにより、振動に対して積極的な防振効果を得ることができるのであり、例えば自動車用エンジンマウント等への適用が考えられている。
ところで、このような能動型流体封入式防振装置では、防振すべき振動に対応した周波数や位相で加振板を高精度に加振制御する必要があることから、アクチュエータとしては、例えば、前記特許文献等に記載されているようにコイルへの通電によって生ぜしめられる磁力や電磁力を利用してアーマチャを駆動するようにした加振手段が好適に採用される。また、このようなアクチュエータは、一般に、防振装置の製造工程上等の理由から、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめて、該本体ゴム弾性体と加振板によって壁部の一部が構成された振動作用室を形成してなる防振装置本体とは別に形成されることとなり、別体形成したアクチュエータの本体を第二の取付部材に対して固定的に取り付ける一方、そのアーマチャを防振装置本体の加振板に対して、連結ロッドを介して、後から連結固定する構造とされている。
しかしながら、加振板は、その変位を許容するために、支持ゴム弾性体を介して第二の取付部材に弾性連結されていることから、支持ゴム弾性体の加硫成形時の収縮量のばらつきや、支持ゴム弾性体を第二の取付部材に対してかしめ固定等で固定する際の組付位置のばらつき等に起因して、第二の取付部材に対する加振板の位置を高精度に設定することが難しい。また、アクチュエータのコイルも、第二の取付部材に対して固定ボルト等で後固定されていることから、部品寸法誤差や固定する際の組付位置のバラツキ等に起因して、第二の取付部材に対する取付位置を高精度に設定することが難しい。特に、アクチュエータのコイルは、第二の取付部材を防振対象部材に取り付けるための別体ブラケットを介して第二の取付部材に固定されることが多く、そのような別体ブラケットが介在すると、別体ブラケットの部品寸法誤差や第二の取付部材に対する組付位置のバラツキも重畳することとなって、第二の取付部材に対するアクチュエータの取付位置の精度確保が一層難しくなる。
そのために、第二の取付部材に対する加振板の位置誤差と、第二の取付部材に対するアクチュエータのコイルの位置誤差とが、相加的に重なって、相互に連結されるべき加振板とアクチュエータのアーマチャとの相対位置に大きなバラツキが発生し易く、それら加振板とアーマチャを連結ロッドで連結することが難しくなるおそれがある。
なお、このような問題に対して、例えば特許文献3に示されるように、アーマチャに対して連結ロッドを首ふり可能に連結することにより、加振板とアーマチャの相対的な位置ずれに対応することも考えられる。ところが、加振板とアーマチャを相対的な位置ずれ状態下で連結した際には、アーマチャが傾斜したままの組み付け状態となり、この状態で加振力が及ぼされると、連結ロッドの軸方向に駆動力が及ぼされず、加振板への駆動力の伝達効率が悪いものになるのに加えて、モーメントが及ぼされて加振板に不規則な変形が発生するおそれがある。更には、連結ロッドをアーマチャに対して首ふり可能に連結すると、加振板を加振する際に繰り返し首ふりが発生することにより共振状態となって首ふり変位が大きくなるおそれがある。更に、首ふり変位が大きくなるに伴って、振動や異音の発生が問題となる場合があると共に、アーマチャがより大きく傾斜せしめられて、アーマチャの滑動部位へのこじり力等の荷重作用によって、アクチュエータの作動や耐久性を阻害するおそれがあった。また、金属バネの弾性変形に際して、金属バネの支持面にゴム層や樹脂保護層等が被着されている場合には、それらが削れ落ちて粉塵が発生し易く、発生した粉塵がアーマチャの滑動隙間に入り込んでアクチュエータの作動が阻害されるおそれもあったのである。
加えて、特許文献3に開示されたアクチュエータにおいては、アーマチャに組み付けられた連結ロッドに対して付勢力を及ぼすコイルスプリングの付勢力が、連結ロッドを介して、常時、加振板に及ぼされている。そのために、支持ゴム弾性体に対して、常時、コイルスプリングの付勢力が及ぼされることから、コイルスプリングの付勢力を大きくすると支持ゴム弾性体のヘタリが問題となるおそれがある一方、連結ロッドをアーマチャに対して位置決めするコイルスプリングの付勢力が小さいと、連結ロッドの首ふりが容易に発生し易くなって、加振作動が不安定となるおそれがあった。また、コイルスプリングがハウジングによって支持されていることから、コイルスプリングの弾性変形に伴う振動が、そのままハウジングから第二の取付部材に伝達されて異音が発生する原因となる場合もあったのである。
特開平6−264955号公報 特開平11−351313号公報 特開2001−1765号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、防振装置本体に対して、別体形成されたアクチュエータを、良好なる作業性をもって組み付けることが可能であり、特に、加振板に対するアクチュエータのアーマチャの相対位置にバラツキがあっても、それら加振板とアーマチャを連結する連結ロッドを容易に組み付けることが出来ると共に、アクチュエータによる加振駆動力を、アーマチャから連結ロッドを介して加振板に対して、安定して且つ効率的に及ぼすことの出来る、新規な構造の能動型流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面の記載、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の態様1)
すなわち、本発明の第一の態様は、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結し、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入されることにより該第一の取付部材と該第二の取付部材の間への振動入力時に該本体ゴム弾性体の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる振動作用室を形成すると共に、該振動作用室の壁部の別の一部を加振板で構成して該加振板を該第二の取付部材に対して支持ゴム弾性体で変位可能に弾性支持せしめる一方、該加振板に駆動力を及ぼして該加振板を加振変位せしめることにより該振動作用室を圧力制御するアクチュエータを、該加振板を挟んで前記振動作用室と反対側に配設した能動型流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材に対してコイルを固定的に取り付けると共に、該コイルの中空孔にアーマチャを軸方向で変位可能に組み込んで、該コイルへの通電により該アーマチャが前記加振板の加振変位方向に駆動変位せしめられるようにすることによって前記アクチュエータを構成する一方、該加振板から該アーマチャに向かって駆動ロッドを突設すると共に、該アーマチャに対して軸方向に延びる挿通孔を設けて、該挿通孔に該駆動ロッドを遊挿状態で挿し入れ、該アーマチャに組み込まれた第一の付勢手段及び第二の付勢手段によって、該駆動ロッドを該アーマチャに対して軸方向で反対向きにそれぞれ付勢することにより、該駆動ロッドを該アーマチャに対して弾性的に連結したことを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、第一及び第二の付勢手段の弾性変形によって、駆動ロッドがアーマチャに対して軸直角方向(変位方向に直交する方向)での相対的な位置ずれが許容された状態で配設されており、各部材の寸法誤差や組付上の位置のバラツキ等の重畳によって加振板とアーマチャの間に相対的な位置ずれが比較的に大きく発生した場合でも、これらの相対的な位置ずれが第一及び第二の付勢手段の弾性変形によって吸収されることで、駆動ロッドとアーマチャの相対的な位置ずれを抑えつつ容易に組付けを行なうことが出来るのである。また、駆動ロッドとアーマチャの相対的な位置ずれを抑えて組付けることが出来ることによって、アーマチャの加振力を駆動ロッドに安定して効率的に及ぼすことが可能となり、以て加振板を安定して効率的に加振せしめることが可能となるのである。
また、第一及び第二の付勢手段がアーマチャに組み込まれていることによって、第一及び第二の付勢手段が駆動ロッドに及ぼしめる付勢力の反力が何れもアーマチャに作用せしめられており、支持ゴム弾性体に作用することが回避されている。これにより、第一及び第二の付勢手段の付勢力を充分に得ることが出来ると共に、付勢力が支持ゴム弾性体に作用していないことから、支持ゴム弾性体の耐久性が問題となる事もない。しかも、第一及び第二の付勢手段がアーマチャに組み込まれていることから、これらの付勢手段と駆動ロッドやアーマチャとの擦れによって生じる粉塵が、アーマチャの滑動隙間に入り込んで動作不良等を発生するおそれも可及的に回避されている。更に、第一及び第二の付勢手段が組み込まれたアーマチャは、コイルのハウジングや第二の取付部材に対して直接に固定されていないことから、これら第一及び第二の付勢手段の変形に伴う振動のコイルハウジングや第二の取付部材への伝達が抑えられて、異音発生等が問題となるようなこともないのである。
更にまた、アクチュエータと加振板が弾性的に連結されていることによって、アクチュエータと加振板の間には、一つの振動系が構成されることとなる。それ故、かかる振動系を積極的に利用することにより、即ち、かかる振動系の固有振動数を能動防振すべき振動周波数にチューニングすることによって、アクチュエータの発生加振力をより効率的に乃至は増大せしめて、加振板に伝達することも可能となるのである。
(本発明の態様2)
本発明の第2の態様は、前記態様1に係る能動型流体封入式防振装置において、前記第一及び第二の付勢手段の少なくとも一方における前記アーマチャに対する取付位置を軸方向で変更設定可能としたことを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、第一及び第二の付勢手段の少なくとも一方のアーマチャに対する取付位置を変更設定することによって、アーマチャと駆動ロッドとの相対位置を変更せしめて、以て加振板に対するアーマチャの軸方向相対位置を調節することが可能となる。これによって、例えば、アーマチャをコイルに対して軸方向で精度良く位置決めしたり、アーマチャに及ぼされる静的な力による支持ゴム弾性体の初期変形を回避したりすることも可能となって、能動型流体封入式防振装置の防振特性を精度良く調節設定することが可能となるのである。
なお、本態様において、第一及び第二の付勢手段のアーマチャに対する取付位置を変更設定可能とするための具体的構造については、何等限定されない。例えば、アーマチャに対するねじ込み式の蓋部材によってこれらの付勢手段を支持せしめて、かかる蓋部材のねじ込み量を調節することで付勢手段のアーマチャに対する取付位置を変更可能としても良いし、或いはアーマチャ自体の付勢手段との当接部位を軸方向高さ調節可能とする等しても良い。
(本発明の態様3)
本発明の第3の態様は、前記態様1又は2に係る能動型流体封入式防振装置において、前記アーマチャにおいて前記挿通孔が軸方向に貫通しており、該挿通孔における前記加振板側の開口部の内径寸法が、該加振板と反対側の開口部の内径寸法よりも大径とされていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、アーマチャの加振板側の挿通孔が大きく開口せしめられていることによって、駆動ロッドをアーマチャに対して大きく傾斜させることが出来る。これにより、支持ゴム弾性体の不規則な弾性変形等によって一時的に加振板とアーマチャとの間に位置ずれが発生した場合等には、駆動ロッドがアーマチャに対して相対的に傾くこととなるが、このような場合においても、駆動ロッドのアーマチャに対する相対的な傾きが広く許容されていることによって、駆動ロッドの傾きがアーマチャに及ぼされることが軽減されているのであり、以てアーマチャの作動安定性と耐久性が有利に維持され得るのである。
(本発明の態様4)
本発明の第4の態様は、前記態様1乃至3の何れかに係る能動型流体封入式防振装置において、前記アーマチャの前記挿通孔に挿し入れられた前記駆動ロッドの先端付近において軸直角方向外方に広がる支持部を形成し、該支持部を挟んだ軸方向の両側に位置するように前記第一の付勢手段としての第一の圧縮コイルスプリングと前記第二の付勢手段としての第二の圧縮コイルスプリングを配設することにより、それら第一の付勢手段と第二の付勢手段による付勢力を該支持部に対して該駆動ロッドの軸方向で互いに反対向きに作用せしめて、該支持部を含む該駆動ロッドを該アーマチャの該挿通孔内で軸直角方向の変位が許容されるように該挿通孔の内周面から内方に離隔して弾性的に支持せしめたことを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、アーマチャに挿し入れた駆動ロッドを、アーマチャに対する軸直角方向での相対変位を許容せしめつつ、アーマチャに対して簡単な構造により安定して且つ効率的に弾性支持せしめることが可能となる。
(本発明の態様5)
本発明の第5の態様は、前記態様1乃至4の何れかに係る能動型流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材が大径の略円筒形状を有していると共に、その軸方向一方の開口部側に離隔して前記第一の取付部材が配設されており、それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する前記本体ゴム弾性体によって該第二の取付部材の軸方向一方の開口部が流体密に閉塞されていると共に、該第二の取付部材の他方の開口部が可撓性膜で流体密に閉塞されており、該第二の取付部材の軸方向中間部分で軸方向両側に仕切るようにして前記加振板を弾性支持する前記支持ゴム弾性体が配設されて、該支持ゴム弾性体を挟んで一方の側に前記振動作用室が形成されていると共に、他方の側に該可撓性膜で壁部の一部が構成された容積可変の平衡室を形成し、該可撓性膜の中央部分に固定金具が設けられて、該固定金具が該加振板に対して固着されており、該駆動ロッドが該固定金具から該アーマチャに向かって突設されていることを、特徴とする。
本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、略円筒形状の第二の取付部材を採用したことで、その内部に振動作用室と平衡室が軸方向に重ね合わされるようにして、前記態様1乃至4の何れかに係る能動型流体封入式防振装置が良好なスペース効率を持って形成されるのである。しかも、加振板が、その外周部分を支持ゴム弾性体を介して第二の取付部材で支持されており、安定した配設が可能とされていることに加えて、アクチュエータのコイルについても、振動作用室および平衡室に対して同軸的に配設されて、安定支持せしめられていることで、駆動力伝達効率および作動安定性が向上せしめられる。以上のように、本態様に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、各構成がうまく効率的に形成されて、スペース効率及び作動性の向上が図られ得るのである。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた能動型流体封入式防振装置においては、加振板から突設された駆動ロッドがアーマチャに対して弾性的に連結されていることから、加振板に対するアーマチャの相対位置にバラツキがあっても、組付けが容易に行えると共に、アクチュエータによる加振駆動力を加振板に対して安定して且つ効率的に及ぼすことが可能となるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、互いに離隔して対向配置されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されたマウント本体17がブラケット19に嵌め込まれて構成されている。そして、エンジンマウント10は、第一の取付金具12が図示しないパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。また、そのような装着状態下、かかるエンジンマウント10には、図1中の上下方向となるマウント中心軸方向で第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にパワーユニットの分担荷重が及ぼされることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が相互に接近する方向に本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられるようになっている。更に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、両取付金具12,14が相互に接近/離隔する方向に、防振すべき主たる振動が入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図1中の上下方向を言うものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は、逆向きの円錐台形状を有している。また、第一の取付金具12の大径側端部には、外周面上に突出する円環板状のストッパ部18が一体形成されている。更に、大径側端部から軸方向上方に向かって固定軸20が一体的に突設されており、この固定軸20には、上端面に開口する固定用ねじ穴22が形成されている。そして、この固定用ねじ穴22に螺着される図示しない固定ボルトによって、第一の取付金具12が、図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられるようになっている。
また一方、第二の取付金具14は、大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付金具14の軸方向中間部分には、段部24が形成されており、この段部24を挟んで軸方向上側が大径部26とされていると共に、軸方向下側が小径部28とされている。なお、大径部26の内周面には、薄肉のシールゴム層30が被着形成されている。更に、軸方向下側の開口部には、可撓性膜としての薄肉のゴム膜からなるダイヤフラム32が配設されており、かかるダイヤフラム32の外周縁部が第二の取付金具14の軸方向下側開口縁部に加硫接着されることで、第二の取付金具14の軸方向下側開口部が流体密に覆蓋されている。また、ダイヤフラム32の中央部分には、略逆カップ形状を有する固定金具としての連結金具34が加硫接着されている。
そして、第二の取付金具14の軸方向上方に離隔して、第一の取付金具12が位置せしめられており、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16で弾性的に連結されている。
本体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を有しており、大径側端面にはすり鉢状の凹状面36が形成されている。また、本体ゴム弾性体16の小径側端面には、第一の取付金具12が、軸方向に差し入れられた状態で加硫接着されている。なお、第一の取付金具12のストッパ部18は、本体ゴム弾性体16の小径側端面に重ね合わされて加硫接着されていると共に、ストッパ部18から上方に突出する当接ゴム38が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側外周面には、連結スリーブ40が加硫接着されている。
かかる本体ゴム弾性体16の大径側外周面に加硫接着された連結スリーブ40が、第二の取付金具14の大径部26に嵌め込まれて、大径部26が縮径加工されることにより、本体ゴム弾性体16が第二の取付金具14に対して流体密に嵌着固定される。これにより、第二の取付金具14の軸方向上側開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に覆蓋されることとなり、以て、第二の取付金具14の内部には、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32との対向面間において、外部空間から流体密に遮断された領域が形成されて、そこに非圧縮性流体が封入されている。
なお、封入される非圧縮性流体としては、例えば、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が何れも採用可能であり、特に、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために、粘度が0.1Pa.s以下の低粘性流体が好適に採用される。
さらに、第二の取付金具14には、仕切部材42とオリフィス部材44が組み込まれており、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32との対向面間に配設されている。
仕切部材42は、所定厚さをもって広がる支持ゴム弾性体46を有しており、この支持ゴム弾性体46の中央部分に加振板48が加硫接着されている。加振板48は、浅底の略逆カップ形状を有しており、その外周縁部が、支持ゴム弾性体46の内周縁部に加硫接着されている。また、支持ゴム弾性体46の外周縁部には、円環形状の外周金具50が加硫接着されている。なお、外周金具50には、周方向に連続して延びる周溝52が形成されている。
そして、この外周金具50の軸方向上側開口部が、径方向外方に広がるフランジ状部51とされて、フランジ状部51が第二の取付金具14の段部24に重ね合わされて、段部24と連結スリーブ40の間で挟圧固定されている。これにより、仕切部材42は、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32の対向面間の中間部分で軸直角方向に広がって配設されており、第二の取付金具14の内部を軸方向両側に二分せしめている。以て、仕切部材42を挟んで、上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づく圧力変動が生ぜしめられる振動作用室としての作用流体室54が形成されている。一方、仕切部材42の下側には、壁部の一部がダイヤフラム32で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室56が形成されている。
また、オリフィス部材44は、上下の薄肉プレートが互いに重ね合わされることによって構成されており、その外周縁部が、外周金具50のフランジ状部51に重ね合わされて、フランジ状部51と本体ゴム弾性体16の大径側端部内周縁部との間で挟持されることにより、外周金具50を介して第二の取付金具14によって固定的に支持されている。これにより、オリフィス部材44は、本体ゴム弾性体16と仕切部材42との対向面間の中間部分で軸直角方向に広がって配設されており、作用流体室54を軸方向両側に二分せしめている。以て、オリフィス部材44を挟んで、上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された受圧室58が形成されている。一方、オリフィス部材44の下側には、壁部の一部が加振板48で構成された加振室60が形成されている。
また、オリフィス部材44の外周縁部には、上下の薄肉プレートの重ね合わせ面間を周方向に連続して延びる周方向通路45が形成されている。この周方向通路45の一方の端部が受圧室58に接続されていると共に、他方の端部が加振室60に接続されている。これにより、受圧室58と加振室60を相互に連通せしめる第一のオリフィス通路62が形成されている。なお、第一のオリフィス通路62は、例えば、30〜40Hz程度のアイドリング振動等の中周波数域にチューニングされる。
更にまた、オリフィス部材44の外周縁部は、仕切部材42の外周縁部に重ね合わせられており、外周金具50の外周縁部に形成された周溝52が覆蓋されることによって第二のオリフィス通路65が形成されている。この第二のオリフィス通路65は、一方の端部が加振室60と第一のオリフィス通路62を通じて受圧室58に接続されていると共に、他方の端部が平衡室56に接続されている。これにより、受圧室58と平衡室56を相互に連通せしめる第二のオリフィス通路65が形成されている。なお、第二のオリフィス通路65は、例えば10Hz前後のエンジンシェイク等の低周波数域にチューニングされる。
なお、オリフィス通路の具体的形態やチューニングは何等限定されるものでなく、上述のような態様の他、例えば、オリフィス部材44の中央部分を貫通して受圧室58と加振室60を直接に連通せしめる透孔形態の第一のオリフィス通路を形成して、該第一のオリフィス通路を50〜150Hz程度のこもり音等の高周波数域にチューニングする一方、オリフィス部材44の周方向通路45と外周金具50の周溝52を直接に直列的に接続することによって第二のオリフィス通路を形成するようにしても良い。
さらに、上述の如き構造とされたマウント本体17は、第二の取付金具14がブラケット19に嵌め込まれており、このブラケット19を介して、図示しない自動車のボデーに取り付けられるようになっている。
ブラケット19は、厚肉の円筒形状で、軸方向中央部分の内周面には段差部64が形成されて、段差部64の上部が大径とされている。そして、ブラケット19の上端面にはストッパ金具66がボルト固定されると共に、下端面には止め金具68がボルト固定されている。ストッパ金具66は大径円筒形状とされて、その下端開口部には外方に広がるフランジ部70を有しており、かかるフランジ部70がブラケット19の上端面に重ね合わされて、ボルト固定されている。一方、上端開口部には内方に延び出す当接部72が形成されており、かかる当接部72に第一の取付金具12のストッパ部18が当接ゴム38を介して当接することで、リバウンド方向のストッパ機能が発揮される。なお、第一の取付金具12のボルト固定部には、ストッパ金具の上端開口部を覆うように広がる傘状の庇部材74が装着せしめられている。一方、止め金具68は円環板形状とされて、ブラケット19の下端開口部において僅かに径方向内方に突出する内径寸法を有しており、ブラケット19にボルト固定されている。
ブラケット19に嵌め込まれた第二の取付金具14は、ストッパ金具66のフランジ部70と止め金具68によって軸方向に挟持固定されて、抜け出し不能に固定されている。また、ブラケット19には、外周面上に突出して下方に延び出す複数の脚部76が一体形成されており、これら脚部76が図示しない自動車のボデーに載置され、固定ボルトで固定されることによってエンジンマウント10が自動車のボデーに装着される。
また、マウント本体17においては、仕切部材42に設けられた加振板48がダイヤフラム32に設けられた連結金具34に対して密着状態で重ね合わされて固定されている。そして、これら加振板48と連結金具34に対して駆動ロッドとしての連結ロッド78が固着されて、かかる連結ロッド78が加振板48および連結金具34から軸方向下方に突出せしめられている。
なお、連結金具34には、ダイヤフラム32と一体形成された挟圧ゴム層80が、略全周に亘って被着せしめられており、これによって、加振板48との重ね合わせ面間が流体密にシールされている。また、加振板48と連結金具34は、それぞれ中央の各上底部において重ね合わせられており、それら中央部分において、連結ロッド78の上端部に一体形成されたかしめ部82が挿通されている。かかるかしめ部82によって、加振板48と連結金具34は密着状態でかしめ固定されて一体とされていると共に、連結ロッド78が、加振板48から連結金具34を貫通して外方に向かって軸方向下方に突出せしめられている。
さらに、連結ロッド78が突出せしめられた第二の取付金具14の軸方向下方、即ち、加振板48と連結金具34を挟んで作用流体室54と反対側には、アクチュエータとしての電磁駆動手段84が配設されており、ブラケット19に取り付けられている。
かかる電磁駆動手段84は、コイル86と、コイル86の周りを取り囲むようにしてコイル86に対して固定的に組み付けられたハウジング88から構成されている。ハウジング88は、その中央部分に透孔96が貫設されると共に、コイル86の外周面と上下両端面を囲むようにしてコ字状断面で全周に亘って延びるヨーク部90が形成されている。ヨーク部90は、強磁性材で形成されており、その上下の内周端縁部において、コイル通電時に磁極が形成されるようになっている。なお、コイル86の内周面には、ヨーク部90の上下の内周端縁部の開口を覆蓋するようにして、円筒形状の摺動スリーブ92が組み付けられている。摺動スリーブ92は、ヨーク部90の磁極内面より僅かに突出する内径寸法の滑らかな内周面を有しており、例えばポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン等の低摩擦性材料で形成されている。
一方、ハウジング88には、ヨーク部90の上端部分から外周に広がる環状固定部94が形成されており、かかる環状固定部94がブラケット19の下面に重ね合わされて、固定ボルトで固定されている。これにより、コイル86の中心軸が、マウント本体17の中心軸と略一致せしめられて、第二の取付金具14や加振板48の中心軸と位置合わせされる。また、ハウジング88の下方には、蓋部材98が装着されており、ハウジング88の透孔96に粉塵等が侵入するのを防止している。
そして、コイル86が組み付けられたハウジング88の透孔96内には、アーマチャ100が組み付けられている。アーマチャ100は全体として円形ブロック形状の強磁性体によって形成されており、摺動スリーブ92の内径寸法よりも僅かに小さい外径寸法とされて、摺動スリーブ92に嵌め込まれて、コイル86と略同一中心軸上で軸方向に相対変位可能に組み付けられている。更にアーマチャ100は、ヨーク部90の上下の磁極に跨る軸方向長さ寸法を有していると共に、その上側磁極部の近くには、外周面上に開口する周溝が形成されており、かかる周溝に合成樹脂材等の非磁性材102が充填されて、上側磁極部との間に有効な磁気吸引力が作用せしめられる磁気ギャップが位置調節されて形成されるようになっている。例えば、図示されている如き、ヨーク部90に対するアーマチャ100の軸方向下端縁部とヨーク部90の下側磁極の間、およびアーマチャ100の周溝の上側端縁部とヨーク部90の上側磁極との間に、それぞれ有効な磁気吸引力が作用せしめられるようになっている。
かかるアーマチャ100には、中心軸上を貫通する挿通孔104が形成されている。この挿通孔104は、軸方向の中間部分が段差面106とされて、段差面106を挟んで軸方向上側が大径部108とされると共に、軸方向下側が小径部110とされており、加振板48側の開口寸法の方が、加振板48と反対側の開口寸法よりも大きくされている。なお、特に本実施形態においては、大径部108における加振板48側の開口部は、更に内径寸法が拡径された上側開口部112とされている。
そして、アーマチャ100の挿通孔104には、連結ロッド78が遊挿状態で挿し入れられており、先端部に形成された支持部118がアーマチャ100の大径部108の軸方向中央部に至る程度にまで挿し入れられている。かかる支持部118は、軸直角方向に広がる略薄板形状とされており、大径部108の内径寸法よりやや小さい外径寸法をもって連結ロッド78の先端部に形成されている。
ここにおいて、連結ロッド78の支持部118は、支持部118の上方に配設された、第一の付勢手段としての第一コイルスプリング120と、支持部118の下方に配設された、第二の付勢手段としての第二コイルスプリング122によって、それぞれ軸方向で反対向き、即ち第一コイルスプリング120によって軸方向下方に、第二コイルスプリング122によって軸方向上方に向かう付勢力が及ぼされている。そして、連結ロッド78は、これら第一及び第二コイルスプリング120、122によって相互に軸方向で反対向きに及ぼされる付勢力の釣合いにより、アーマチャ100に対して所定の間隙を有する状態で弾性的に連結されている。第一コイルスプリング120及び第二コイルスプリング122は、当接する部材との擦れによる粉塵の発生を軽減するように処理されたものが望ましく、それ故、オープンエンドよりもクローズドエンドの端部構造が望ましく、また無研削よりも研削やテーパの端部処理が施されたものが好適に採用される。
なお、支持部118の外周縁部には、上下方向に延びる周壁部124が形成されており、支持部118の上下面に重ね合わされた第一及び第二コイルスプリング120、122が周壁部124で位置決めされることによって、支持部118とからの脱落が防止されるようになっている。また、支持部118の周壁部124は、アーマチャ100の挿通孔104の内周面に対して、全周に亘って径方向で所定距離を隔てて配設されており、連結ロッド78のアーマチャ100に対する軸直角方向での相対変位が許容されていると共に、支持部118がアーマチャ100の挿通孔104の内周面に当接することによって、連結ロッド78のアーマチャ100に対する軸直角方向での過大な変位が制限されるようになっている。
また、本実施形態においては、第一コイルスプリング120は、その下端部が連結ロッド78の支持部118の上面に係止されている一方、その上端部がアーマチャ100の上端面に組付けられた係止金具126によって係止されており、軸方向に所定量だけ圧縮された状態で組み付けられている。係止金具126は、アーマチャ100の上側開口部112の内径寸法より僅かに小さい内径寸法を持った薄板円環板形状を持って、アーマチャ100の上端面にボルト固定されている。なお、アーマチャ100の挿通孔104の上側開口部を実質的に構成する係止金具126の内径寸法は、挿通孔104における軸方向下側の小径部110の内径寸法よりも大きくされている。
一方、第二コイルスプリング122は、その上端部が連結ロッド78の支持部118の下面に係止されている一方、その下端部がアーマチャ100に螺着された支持ナット128によって支持されており、軸方向に所定量だけ圧縮された状態で組み付けられている。ここにおいて、アーマチャ100の小径部110にはねじ穴130が形成されていると共に、ねじ穴130に対して支持ナット128が螺着されており、かかる支持ナット128によって第二コイルスプリング122が支持されている。支持ナット128の螺着位置はアーマチャ100に対するねじ込み量によって微調節が可能であり、支持ナット128の下側からねじ止めされた回り止めナット132によって、支持ナット128が回り止めされて、支持ナット128の螺着位置を固定設定することが出来るようになっている。而して、かかる支持ナット128及び回り止めナット132によって、第二コイルスプリング122のアーマチャ100に対する取付位置が軸方向で変更設定可能とされており、以て連結ロッド78のアーマチャ100に対する軸方向の相対位置が変更設定可能とされている。
このような組付状態下において、アーマチャ100は、第一及び第二のコイルスプリング120,122と連結ロッド78を介して連結されたマウント本体17における支持ゴム弾性体46のバネ特性によって弾性的に位置決め保持されている。かかる状態下、連結ロッド78とアーマチャ100との相対位置は、第一コイルスプリング120と第二コイルスプリング122それぞれが連結ロッド78に対して軸方向に反対向きに及ぼす付勢力の釣合いによって位置決めされている。アーマチャ100には、かかる釣合いの反力が及ぼされているが、これら第一及び第二コイルスプリング120,122は共にアーマチャ100の内部に組み込まれており、第一及び第二コイルスプリング120,122の支持反力が互いに反対向きの力として何れもアーマチャ100の軸方向に及ぼされるようになっている。従って、静的状態下では、支持ゴム弾性体46に対して、第一及び第二のコイルスプリング120,122の付勢力が及ぼされることが回避されており、支持ゴム弾性体46における予荷重に起因したヘタリ等の耐久性の問題が回避されるようになっている。
なお、エンジンマウント10の車両への装着状態下で、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力されるパワーユニットの分担支持荷重によって本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられる際に、作用流体室54に生ぜしめられる容積変化は平衡室56で吸収されるので、加振板48の位置ひいてはアーマチャ100の位置には殆ど影響はないが、ダイヤフラム32の特性等に起因してアーマチャ100の位置が多少変化する場合には、その変化を考慮して、装着状態下で、前述した支持ナット128のねじ込み量を調節することによって、アーマチャ100に対して有効な駆動力が及ぼされるように位置調節することも可能である。
上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、図示はされていないが、コイル86への通電を制御することが可能であり、例えば、パワーユニットのエンジン点火信号を参照信号とすると共に、防振すべき部材の振動検出信号をエラー信号として、適応制御等のフィードバック制御を行なうことによって、或いは予め設定された制御データに基づくマップ制御を利用すること等によって通電制御することが出来る。これにより、アーマチャ100に磁力を作用せしめて軸方向に加振駆動せしめることで、加振板48に対して、防振すべき振動に対応した駆動力を作用せしめ、以て作用流体室54の内圧制御による能動的防振効果を得ることが出来るのである。
そこにおいて、本実施形態のエンジンマウント10では、連結ロッド78がアーマチャ100に対して固定的に接続されておらず、それら両部材78,100間での軸直角方向の相対変位が、第一コイルスプリング120及び第二コイルスプリング122の弾性変形によって許容されるようになっている。それ故、エンジンマウント10の製造工程で各部品を組み付ける際の寸法誤差による相対的な位置ずれや、アクチュエータ作動時における一時的な位置ずれが、有利に吸収されるのである。
すなわち、電磁駆動手段84の駆動時において、連結ロッド78の運動方向は上下方向で交互に変化することから、第一及び第二のコイルスプリング120,122によって比較的に大きな付勢力が連結ロッド78とアーマチャ100の間に及ぼされていても、運動方向が反転する時点では、慣性力の作用で瞬間的に付勢力が低下する。その瞬間に支持ゴム弾性体46の軸直角方向の弾性力を利用して、連結ロッド78が軸直角方向に変位せしめられて、アーマチャ100の位置合わせが自動的に行われ得るのである。
また、支持ゴム弾性体46の不規則な弾性変形等によって一時的に位置ずれが発生した場合や、連結ロッド78の変位によって位置ずれが解消されるまでの間は、アーマチャ100と連結ロッド78との間隙と第一及び第二コイルスプリング120,122の弾性変形によって、連結ロッド78の傾きが許容されており、これによって、アーマチャ100と摺動スリーブ92との間でのこじり荷重の作用を軽減乃至は回避することが出来、アーマチャ100の作動の安定性と耐久性が有利に維持され得るのである。特に本実施形態においては、アーマチャ100の加振板48側の開口部である上側開口部112が拡径されていることによって、連結ロッド78がより傾き易くされている。更に、連結ロッド78の支持部118が、アーマチャ100の内部で支持されていることから、軸方向のコンパクト化が図られているのに加えて、連結ロッド78のアーマチャ100に対する傾き変位の中心軸がアーマチャ100の略中央に位置されていることによって、中心軸が連結ロッド78の上部や下部に位置される場合に比して、連結ロッド78の傾きによってアーマチャ100に及ぼされるモーメントが軽減されて、アーマチャ100の傾きを可及的に回避しているのである。
更にまた、第一及び第二コイルスプリング120,122は、何れもアーマチャ100の内部に組込まれているので、これら第一及び第二コイルスプリング120,122の弾性変形に伴う振動が、ハウジング88や第二の取付金具14に及ぼされることも無く、異音の発生が回避乃至は軽減されているのである。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
例えば、第一及び第二の付勢手段の具体的構造や材質は特に限定されるものではなく、図2に示す第二の実施形態としてのエンジンマウント200のように、前記第一の実施形態における第一コイルスプリング120の代わりに、板ばね134を用いることも可能である。或いはこれら金属ばねに限らず、各種の天然ゴムや人工ゴム、合成樹脂材料からなるエラストマ材等のゴム状付勢体等を採用することも可能であるし、また、エンジンマウント200に示したように、これら第一及び第二の付勢手段を互いに異なる種類の構造乃至は材質をもって構成することも勿論可能である。更に、これらの実施形態においては、第一及び第二の付勢手段を構成する第一及び第二コイルスプリング120,122や、板ばね134は支持部118に対してそれぞれ押出方向の付勢力を及ぼしているが、それぞれ引張方向の付勢力を及ぼす付勢手段によって構成することも可能である。なお、本実施形態において、前述の第一の実施形態と同様の構造及び部材については、図中、第一の実施形態と同一の符号を付することによって、それらの詳細な説明を省略する。
また、本実施形態においては、アーマチャ100の下側開口部に支持ナット128を螺着することによって、第二コイルスプリング122のアーマチャ100に対する軸方向位置を変更設定可能とされていたが、アーマチャ100の上側開口部において、係止金具126を螺着構造とすること等によって、第一コイルスプリング120をアーマチャ100に対する軸方向位置変更設定可能とすることも出来る。
また、上述の実施形態では何れもダイヤフラム32は本体ゴム弾性体16の下方に配設されて、平衡室56は本体ゴム弾性体16の軸方向下側開口部とダイヤフラム32との間に形成されていたが、ダイヤフラム32が本体ゴム弾性体16の上方において覆うように配設されて、本体ゴム弾性体16を挟んで、作用流体室54と反対側に平衡室56が形成されている構造の防振装置や、或いは特開2001−12539号公報に開示されるような、本体ゴム弾性体16の上方に平衡室56が形成されるような構造の防振装置に本発明を適用することも可能である。これらの構造によれば、加振板48は連結金具34を介さずに、直接に露出せしめられるので、加振板48に対して直接に連結ロッド78を固定すれば良い。
なお、第一及び第二のオリフィス通路の具体的構造は、要求される防振特性や防振装置の基本的構造等によって当業者の判断において適宜に変更されるものであって、何等限定されるものではない。
また、電磁駆動手段84におけるコイル86は、本実施形態においてはハウジング88によって固定されていたが、例えばハウジング88を介することなく、直接に第二の取付金具14に固定しても良い。
更にまた、電磁駆動手段84におけるアーマチャ100やヨーク部材の具体的形状についても限定されるものではなく、例えば、コイル86の上部を覆うヨーク部材90の代わりに、コイル86の内周を覆う摺動スリーブ92をヨーク部材90として構成して、ヨーク部90の上端縁部において磁極を形成すると共に、アーマチャ100の上端部をヨーク部90を覆うように径方向外方に延び出させて、ヨーク部90の上端縁部との間で磁気ギャップを形成しても良いし、或いは、ヨーク部90の下端部内周面をより径方向内方に突出させて、そこに磁極が形成されるように磁路を構成し、かかる磁極とアーマチャ100の下端面との間に磁気ギャップを形成する等しても良い。
加えて、本発明は、自動車用のボデーマウントやメンバマウント等、或いは自動車以外の各種装置におけるマウントや制振器などの防振装置や、そのような防振装置に用いられる防振用アクチュエータに対して、同様に適用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。 本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。
符号の説明
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
32 ダイヤフラム
34 連結金具
42 仕切部材
44 オリフィス部材
46 支持ゴム弾性体
48 加振板
54 作用流体室
56 平衡室
58 受圧室
60 加振室
62 第一のオリフィス通路
65 第二のオリフィス通路
78 連結ロッド
84 電磁加振手段
86 コイル
100 アーマチャ
104 挿通孔
120 第一コイルスプリング
122 第二コイルスプリング
128 支持ナット
130 ねじ穴
132 回り止めナット
134 板ばね





Claims (5)

  1. 第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結し、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入されることにより該第一の取付部材と該第二の取付部材の間への振動入力時に該本体ゴム弾性体の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる振動作用室を形成すると共に、該振動作用室の壁部の別の一部を加振板で構成して該加振板を該第二の取付部材に対して支持ゴム弾性体で変位可能に弾性支持せしめる一方、該加振板に駆動力を及ぼして該加振板を加振変位せしめることにより該振動作用室を圧力制御するアクチュエータを、該加振板を挟んで前記振動作用室と反対側に配設した能動型流体封入式防振装置において、
    前記第二の取付部材に対してコイルを固定的に取り付けると共に、該コイルの中空孔にアーマチャを軸方向で変位可能に組み込んで、該コイルへの通電により該アーマチャが前記加振板の加振変位方向に駆動変位せしめられるようにすることによって前記アクチュエータを構成する一方、該加振板から該アーマチャに向かって駆動ロッドを突設すると共に、該アーマチャに対して軸方向に延びる挿通孔を設けて、該挿通孔に該駆動ロッドを遊挿状態で挿し入れ、該アーマチャに組み込んだ第一の付勢手段及び第二の付勢手段によって、該駆動ロッドを該アーマチャに対して軸方向で反対向きにそれぞれ付勢することにより、該駆動ロッドを該アーマチャに対して弾性的に連結したことを特徴とする能動型流体封入式防振装置。
  2. 前記第一及び第二の付勢手段の少なくとも一方における前記アーマチャに対する取付位置を軸方向で変更設定可能とした請求項1に記載の能動型流体封入式防振装置。
  3. 前記アーマチャにおいて前記挿通孔を軸方向に貫通せしめて、該挿通孔における前記加振板側の開口部の内径寸法を、該加振板と反対側の開口部の内径寸法より大径とした請求項1又は2に記載の能動型流体封入式防振装置。
  4. 前記アーマチャの前記挿通孔に挿し入れられた前記駆動ロッドの先端付近において軸直角方向外方に広がる支持部を形成し、該支持部を挟んだ軸方向の両側に位置するように前記第一の付勢手段としての第一の圧縮コイルスプリングと前記第二の付勢手段としての第二の圧縮コイルスプリングを配設することにより、それら第一の付勢手段と第二の付勢手段による付勢力を該支持部に対して該駆動ロッドの軸方向で互いに反対向きに作用せしめて、該支持部を含む該駆動ロッドを該アーマチャの該挿通孔内で軸直角方向の変位が許容されるように該挿通孔の内周面から内方に離隔して弾性的に支持せしめた請求項1乃至3の何れかに記載の能動型流体封入式防振装置。
  5. 前記第二の取付部材が大径の略円筒形状を有していると共に、その軸方向一方の開口部側に離隔して前記第一の取付部材が配設されており、それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性連結する前記本体ゴム弾性体によって該第二の取付部材の軸方向一方の開口部が流体密に閉塞されていると共に、該第二の取付部材の他方の開口部が可撓性膜で流体密に閉塞されており、該第二の取付部材の軸方向中間部分で軸方向両側に仕切るようにして前記加振板を弾性支持する前記支持ゴム弾性体が配設されて、該支持ゴム弾性体を挟んで一方の側に前記振動作用室が形成されていると共に、他方の側に該可撓性膜で壁部の一部が構成された容積可変の平衡室を形成し、該可撓性膜の中央部分に固定金具が設けられて、該固定金具が該加振板に対して固着されており、前記駆動ロッドが該固定金具から該アーマチャに向かって突設されている請求項1乃至4の何れかに記載の能動型流体封入式防振装置。

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