JP2004293161A - 床の被覆工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂であり、且つ分子内に酸化重合基を有する熱硬化性樹脂:100重量部、(B)少なくとも光重合開始剤を含むラジカル重合開始剤及びコバルト塩:0.05〜10重量部、(C)無機質又は有機質の充填材:1000重量部以下からなる床面の被覆工法用樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた床面の被覆工法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋内や屋外の樹脂被覆の床面施工方法に関する。更に詳しくは、加熱することが困難または不可能である場合や密閉性の高い屋内の床面などに対し硬化速度が速く、モノマーの揮散が少なく、低臭気性であり、乾燥性に優れ、その硬化物は強度、耐久性、耐薬品性に優れるラジカル重合型樹脂組成物を使用した床面の被覆工法及び床面の被覆工法用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、屋内、屋外の床面用の被覆材として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂等が使用されて来た。これらの樹脂の中でも、低温でも短時間で硬化して表面が乾燥できるラジカル重合型の樹脂が使用されることが増えているが、最近では加熱が困難なあるいは密閉度の高い施工現場での臭気の問題から低臭気性の樹脂が好んで使用されるようになってきている。
低臭気性の樹脂とする一つの手段として、通常使用されている希釈モノマーの低沸点であるスチレンやメチルメタクリレートに代えて、高沸点の(メタ)アクリレートモノマー等を使用する提案が多数為されてきた。この結果ある程度の低臭気化には成功したが、高沸点、反応性の低い(メタ)アクリレートモノマーを使用するため、表面の乾燥時間が長くなってしまうという新たな問題が発生した。この問題は、施工時間が短時間に限られている場合、特に深刻な問題となっている。
【0003】
この問題点の解決のためには、硬化系、ワックス、ドライヤー等の工夫が考えられるが、限界があり、近年では特殊(メタ)アクリルモノマーを使用する試みが為され、たとえばヘテロ環含有(メタ)アクリレートを使用するアクリル系シラップ組成物が提案されている。(例えば特許文献1参照)
しかし、この様な特殊(メタ)アクリルモノマーを使用する系でも、ラジカル重合系の常温硬化では、乾燥時間の短縮には限界があり、大幅な乾燥性の改善はできなかった。
【0004】
【特許文献1】
公開2000−154297号公報
【特許文献2】
特公昭45―37377号公報
【特許文献3】
特開平3−111402号公報、
【特許文献4】
特開平3−179003号公報、
【特許文献5】
特開平4−146905号公報、
【特許文献6】
特開平4−261405号公報、
【特許文献7】
特開平4−261406号公報、
【特許文献8】
特開平5−194619号公報
【非特許文献1】
山岡等、「表面」、27(7)、548(1989)、
【非特許文献2】
佐藤等、「第3回ポリマー材料フォーラム要旨集」、IBP18(1994)
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした現状に鑑み、全体を加熱することが困難な広い面積の床面、あるいは密閉性があって臭気の逃散が困難な屋内の床面などにおいて、モノマーの揮散量を大きく低減し、加熱することなく樹脂組成物の重縮合速度を大きく加速することにより、短時間で表面の乾燥が可能となる床面の被覆方法及び床面の被覆工法用樹脂組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 床面に、
からなる樹脂組成物(下塗り材)を塗布し、光照射しながら硬化することを特徴とする床面の被覆工法、
[2] 床面に、
を配合した樹脂組成物(中間塗装材)を塗布し、光照射しながら硬化することを特徴とする床面の被覆工法、
【0007】
[3] 床面に、
からなる樹脂組成物(下塗り材)を塗布し、未硬化または光照射して硬化させた後、その上に
を含有する樹脂組成物を繊維強化材に含浸して得られるプリプレグシートを貼り付けて光照射して硬化することを特徴とする床面の被覆工法。
[4] 上記[1]または[2]により行われた床面の被覆工法において、中間塗装材を塗布し、未硬化または硬化した面にさらに
からなる樹脂組成物(仕上げ塗装材)を塗布、光照射しながら硬化させることを特徴とする床面の被覆工法、
【0008】
[5] (A)熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂である上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
[6] (A)熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂であり、且つ分子内に酸化重合基を有する樹脂である上記[1]ないし[5]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
[7] 酸化重合基がアリルエーテル基であることを特徴とする上記[6]に記載の床面の被覆工法、
【0009】
[8] (B)少なくとも光重合開始剤を含むラジカル重合開始剤が、光重合開始剤及びコバルト塩の組み合わせ、又は光重合開始剤及び常温ラジカル重合開始剤の組み合わせを含むラジカル開始剤であるである上記[1]〜[7]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
[9] (A)及び(B)からなる樹脂組成物(下塗り材)がプライマーである上記[1]〜[8]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
[10] (A)、(B)及び(C)を配合した樹脂組成物(中間塗装材)が、モルタル材、モルタル流し延べ材、ペースト流し延べ材、ニート材及び光硬化性プリプレグシートうちの少なくともいずれか一つである上記[2]〜[4]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
【0010】
[12] (A)及び(B)からなる樹脂組成物(仕上げ塗装材)が、ニート材及び/又はトップコートである上記[4]に記載の床面の被覆工法、
【0011】
[13] 上記[1]または[2]に記載の(A)および(B)からなる樹脂組成物(下塗り材)を塗布する前または上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の(A)および(B)からなる樹脂組成物(下塗り材)の塗布に代えて、エポキシプライマーまたはウレタンプライマーを下地に塗布して、硬化する上記[1]ないし[4]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
[14] 硬化に際し、塗布面に照射する光の波長が可視線〜近赤外線の領域である上記[1]〜[13]のいずれかに記載の床面の被覆工法、
[15] 上記[1]〜[14]のいずれかに記載の被覆工法で床に施工した被覆材、
【0012】
[17] 酸化重合基がアリルエーテル基であることを特徴とする上記[16]に記載の床面の被覆工法用樹脂組成物、を開発することにより上記目的を解決した。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する(A)熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂(以下これらの樹脂を「樹脂等」と呼ぶこともある)である。
これら樹脂等は、不飽和ポリエステル、ビニルエステル(エポキシ(メタ)アクリレートまたはグリシジル(メタ)アクリレート)、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル等にラジカル重合性不飽和単量体を配合して樹脂組成物としたものである。
【0014】
不飽和ポリエステル樹脂の原料として用いられる不飽和ポリエステルとしては、公知の方法により製造されるものでよく、具体的には無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有していない飽和多塩基酸またはその無水物とフマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸等の活性不飽和結合を有している不飽和多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等の多価アルコ−ルをアルコ−ル成分として反応させて製造されるものである。
【0015】
またビニルエステル樹脂原料のビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるビニルエステルであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレト、あるいは飽和ジカルボン酸及び/または不飽和ジカルボン酸と多価アルコ−ルから得られる末端カルボキシル基の飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルにα、β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を成分として得られる飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルのポリエステル(メタ)アクリレ−トである。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル及びその高分子量同族体、ノボラック型ポリグリシジルエ−テル類等が挙げられる。
ビニルエステルの製造に用いるα、β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレ−トが代表例として挙げられる。
【0016】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート樹脂に使用されるウレタン(メタ)アクリレートは、特に限定されるものではなく例えばポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることが出来るラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーである。また、水酸基含有(メタ)アクリル化合物とポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、更にポリイソシアネートを反応させても良い。
【0017】
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料として用いられるポリイソシアネートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジシソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソイサネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バノックD−750、クリスボンNK(商品名;大日本インキ化学工業株式会社製)デスモジュールL(商品名;住友バイエル社製)、コロネートL(商品名;日本ポリウレタン社製)、タケネートD102(商品名;武田薬品社製)、イソネート143L(商品名;三菱化学社製)等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらポリイソシアネートは一種類のみを用いても良いし、適宜二種類以上を混合しても良い。
【0018】
本発明のポリエステル(メタ)アクリレート樹脂に使用されるポリエステル(メタ)アクリレートとは、(1)飽和多塩基酸及び/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸及び/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸及び/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートである。
ポリエステル(メタ)アクリレートの製造に用いるエポキシ基を有するα、β−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレ−トが代表例としてあげることができる。
【0019】
本発明において使用される樹脂等は、前記の不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーにスチレンモノマ−や(メタ)アクリル酸メチル等のラジカル重合性不飽和単量体を配合したものである。スチレンモノマー、(メタ)アクリル酸メチル以外の配合可能なラジカル重合性不飽和単量体の具体例としては、スチレンのα−,o−,m−p−アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−ter−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−i−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニルなどのビニル化合物、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド化合物、N−(メタ)アクリロイルフタルイミドなどが挙げられる。
【0020】
また本発明の樹脂等のラジカル重合性不飽和単量体としては、分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用してもよく、公知のものが使用できる。その具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど各種グリコール類の(メタ)アクリル酸エステルや一般式(1)で表されるものなどがある。
【0021】
一般式(1);
Ph:ベンゼン核 R=HorCH3 m+n=2〜30
【0022】
上記一般式(1)に係るものとしては、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製:BPE−100)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製:BPE−200)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製:BPE−500)、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製:A−BPE−4)、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製:A−BPE−10)などが挙げられる。
【0023】
本発明に使用される(メタ)アクリル樹脂とは、MMA樹脂、アクリルシラップとも呼ばれる(メタ)アクリル酸エステル系の重合体を(メタ)アクリル酸エステルモノマーに溶解したものである。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステル類の1種または2種以上が用いられる。(メタ)アクリル酸エステル系の重合体は、(メタ)アクリル酸エステル類の1種または2種以上の重合体または共重合体である。(メタ)アクリル樹脂中のアクリル酸エステル系の重合体の比率は5〜50重量%である。
【0024】
アクリレートは通常空気により重合が阻害される傾向があることは良く知られている。このため本発明の(A)熱硬化性樹脂には空気(酸素)と反応して重合が促進され、樹脂表面の乾燥性が向上する酸化重合基を含有させることが好ましい。この場合に使用する酸化重合基としては、アリルエーテル基、ベンジルエーテル基など公知のものが挙げられ、樹脂構成分のいずれか、例えば不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のオリゴマーやラジカル重合性単量体の分子中に存在すればよい。
酸化重合基を有するオリゴマーは、合成時に酸化重合基を導入したもので、酸化重合基を有するモノマーの具体例としては、ビニルベンジルブチルエーテル、ビニルベンジルヘキシルエーテル、ビニルベンジルオクチルエーテル、ビニルベンジル−(2−エチルヘキシル)エーテル、ビニルベンジル(β−メトキシメチル)エーテル、ビニルベンジル(n−ブトキシプロピル)エーテル、ビニルベンジルシクロヘキシルエーテル、ビニルベンジル−(β−フェノキシエチル)エーテル、ビニルベンジルジシクロペンテニルエーテル、ビニルベンジルジシクロペンテニルオキシエチルエーテル、ビニルベンジルジシクロペンテニルメチルエーテル、ジビニルベンジルエーテルを挙げることができる。また上記以外にジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等を用いることで乾燥性を向上させることができる。
【0025】
本発明の樹脂等に配合されるラジカル重合性不飽和単量体は樹脂の粘度を下げ、硬度、強度、耐候性、耐水性、耐摩耗性等を向上させるために重要であり、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート100重量部に対して10〜250重量部、好ましくは20〜100重量部使用される。使用量が10重量部未満では、高粘度のため作業性、含浸性が悪化し、250重量部を超える量では、充分な塗膜硬度が得られず、諸物性が不足しコンクリート剥落防止用硬化性材料として好ましくない。
【0026】
本発明で使用する光重合開始剤は、紫外線ないし近赤外線領のいずれかに感光性を有するものが使用できる。
紫外線重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンジルケタール系、(ビス)アシルホスフィンオキサイド系をはじめとする公知の重合開始剤を使用することができるが、光透過性を高めるために比較的長波長、好ましくは300nm以上の波長域に感光性を有する(ビス)アシルホスフィンオキサイド系等の紫外線重合開始剤を使用することが好ましい。
【0027】
可視光領域に感光性を有する可視光重合開始剤としては、例えば非特許文献1および非特許文献2に記載の、カンファーキノン、ベンジルトリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチルチオキサントン、ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)等の単独の可視光重合開始剤の他、有機過酸化物/色素系、ジフェニルヨードニウム塩/色素、イミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカプトベンゾチアゾール/チオピリリウム塩、金属アレーン/シアニン色素など特許文献2に記載のヘキサアリールビイミダゾール/ラジカル発生剤等の公知の複合開始剤系などを挙げることができる。
また、紫外光から可視光領域まで感光性を有する開始剤として、アシルホスフィンオキサイド化合物が有効である。
【0028】
その具体例としては、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−ビフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−クロルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,2−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−ドデシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−ビフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシビフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−メトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジフェニルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−フェニル−6−メチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジブロムベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,8−ジメチルナフタリン−1−カルボニル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1,3−ジメトキシナフタリン−2−カルボニル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,6−ジメチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,6−ジクロルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル等を挙げることができる。
【0029】
市販品としては、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:Darocur1173、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)を75%/25%の割合で混合された商品名イルガキュア−1700(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルーケトン(商品名:イルガキュアー184、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)を75%/25%の割合で混合された商品名イルガキュアー1800(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)、50%/50%の割合で混合された商品名イルガキュアー1850(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名:イルガキュアー819、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名Lucirin TPO、BASF(株)製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:Darocur1173、チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)と2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名Lucirin TPO、BASF(株)製)を50%/50%の割合で混合された商品名Darocur4265などがある。可視光開始剤としては380nm〜780nmの波長域に感光性を有する光重合開始剤であればよく、それらを組み合わせて使用してもよい。
【0030】
また、500nm以上の波長の可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤としては、
一般式(2)
D+・A− ・・・・・・(2)
(式中、D+ は可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有するメチン、ポリメチン、シアニン、キサンテン、オキサジン、チアジン、アリールメタン、ピリリウム系色素陽イオンであり、A− は各種陰イオンを示す。)
で表される陽イオン染料と、一般式(3)
(式中、Z+は任意の陽イオンを示し、R1,R2,R3及びR4はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アシル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アシル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換シリル基または置換複素環基を示す。)
で表されるホウ素系化合物を組み合わせた光重合開始剤が好ましい。
【0031】
また一般式(3)における陽イオン「Z+」の例としては、可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有しない4級アンモニウム陽イオン、4級ピリジニウム陽イオン、4級キノリニウム陽イオン、ジアゾニウム陽イオン、テトラゾリウム陽イオン、スルホニウム陽イオン、オキソスルホニウム陽イオン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム等の金属陽イオン、フラビリウム、ピラニウム塩等の酸素原子上に陽イオン電荷を持つ(有機)化合物、トロピリウム、シクロプロピリウム等の炭素陽イオン、ヨードニウム等のハロゲニウム陽イオン、砒素、コバルト、パラジウム、クロム、チタン、スズ、アンチモン等の金属化合物の陽イオン等が挙げられる。
【0032】
この有機ホウ素化合物と可視光あるいは近赤外光領域に感光波長を有するカチオン色素とを組み合わせることで、感光領域の波長の光照射を受けた色素が励起され、有機ホウ素化合物と電子授受を行うことで色素が消色すると共にラジカルが発生し、共存する重合性不飽和化合物の重合反応が起こる。この重合反応では、従来の紫外線重合反応などと異なり、発生ラジカルをコントロールしやすく、樹脂中の不飽和基の一部をラジカル重合したところで容易に止めることが出来る。また、可視光あるいは近赤外光領域の長波長を使用するため、充填材や顔料など添加された系でも容易に反応を進めることができるという特徴を持っている。
【0033】
上記陽イオン染料とホウ素系化合物との組み合わせの例は特許文献3〜8などに詳細な記載がある。陽イオン染料の「D+」の具体例を表1及び表2に示す。これらの陽イオン染料の中でも好ましくはシアニン系、スチリル系陽イオン染料及びトリアリールメタン系染料が使用される。シアニン系、スチリル系陽イオン染料は、一般に有機ホウ素系化合物との電子授受が起こりやすいので本発明の反応を容易に起こしやすいなどの点で好ましい。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
一般式(2)で表される陽イオン染料のカウンターアニオンであるA− は、p−トルエンスルホネートイオン、有機カルボキシレートイオン、パークロレートイオン、ハライドイオン等の任意の陰イオンであるが、一般式(4):
(式中、R5 ,R6 ,R7 及びR8はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アシル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アシル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基または置換シリル基または置換複素環基を示す。)
で表される4配位ホウ素陰イオンが特に好ましい。
【0037】
本発明の有機ホウ素化合物と近赤外光あるいは可視光吸収性陽イオン染料化合物との組成比は、重量で1/5〜1/0.05、好ましくは1/1〜1/0.1である。色素の消色反応及びラジカル発生効率の観点から、一般には有機ホウ素化合物を陽イオン染料よりも多く用いることが好ましい。
【0038】
光重合開始剤の使用量は、樹脂等100重量部に対して0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。光重合開始剤の使用量が0.01重量部未満では重合が不十分になり易く、また15重量部を越える量では硬化物の強度が不足する。
【0039】
本発明で使用される光重合開始剤はコバルト塩と組み合わせて用いることが好ましい。コバルト塩としては公知のものが使用できる。具体的にはナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト石鹸類、水酸化コバルト等が挙げられる。
光重合開始剤とコバルト塩を併用する場合の使用量は、樹脂等100重量部に対して光重合開始剤とコバルト塩の合計量が0.02〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部である。
また、光重合開始剤とコバルト塩の比率は、重量比で5/0.1〜0.1/5、好ましくは1/0.1〜0.1/1である。
【0040】
一方、本発明で使用される常温ラジカル重合開始剤としては、公知であるケトンパーオキサイドと還元剤の組み合わせ、ハイドロパーオキサイドと還元剤の組み合わせ、ジアシルパーオキサイドと還元剤の組み合わせが挙げられ、還元剤としての具体例としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト塩、五酸化バナジウム等のバナジウム化合物、ジメチルアニリン等のアミン類等が挙げられる。中でもポットライフ等の点でパーオキシエステルとコバルト塩の組み合わせが特に有効である。その他、公知のラジカル重合開始剤を使用してもよい。その例としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものであり、またアゾ化合物も有効である。
【0041】
具体例としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミドなどの使用できる。
【0042】
光重合開始剤と常温ラジカル重合開始剤を併用する場合の使用量は、樹脂等100重量部に対して光重合開始剤と常温ラジカル重合開始剤の合計量が0.02〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部である。
また、光重合開始剤と常温ラジカル重合開始剤の比率は、重量比で5/0.1〜0.1/5、好ましくは1/0.1〜0.1/1である。
【0043】
本発明で使用する(C)無機質または有機質の充填材について説明する。
充填材としては骨材、フィラー等が挙げられる。骨材、無機質フィラーとしては、例えば珪砂、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ガラス粉、シリカ、硫酸バリウム、酸化チタン、セメントなどの公知のものが使用され、有機質フィラーとしては各種ポリマーが使用される。低収縮剤としても効果のある、例えば公知のポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンマイクロバルーン、ポリアクリロニトリルマイクロバルーン等や樹脂硬化物の粉砕物等が使用できる。むろん、これらの無機質フィラーを組み合わせて使用することもできる。
【0044】
(C)無機質または有機質の充填材の使用量は、樹脂等100重量部に対して1000重量部以下、好ましくは800重量部以下である。無機充填材が1000重量部より多い場合、粘度が高すぎて作業性が低下し、泡が残りやすく強度が低下する。また、低収縮剤として使用する場合のその使用量は樹脂100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは0〜50重量部である。
さらに本発明では、公知の方法で揺変性を付与してもよく、揺変剤としては、例えばシリカパウダー(エアロジルタイプ)、マイカパウダー、炭酸カウシウムパウダーなどを重合性不飽和化合物100重量部に対して0.1〜50重量部添加する方法などがある。
【0045】
本発明において顔料を使用することができる。その種類の制限は特になく、有機顔料及び無機顔料が使用可能である。その時の配合量としては、樹脂100重量部に対し、多くとも20重量部、好ましくは10重量部までの量を使用することである。
【0046】
次に上述のラジカル重合性樹脂組成物以外のプライマーについて説明する。
上述したラジカル重合型以外のプライマーとしては、常温硬化型エポキシプライマーや湿気硬化型ウレタンプライマーなどを挙げることができる。
常温硬化型エポキシプライマーに使用されるエポキシ化合物としては、公知の方法により製造されるものでよく、1成分中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する熱硬化性エポキシ樹脂とエポキシ用硬化剤との組み合わせを意味する。エポキシ樹脂としては、例えばエーテル型のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、エステル系の芳香族エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エーテル・エステル型エポキシ樹脂等の公知のものがあり、これらの物は単独使用でも2種以上の併用でも良い。エポキシ樹脂硬化剤として一般的にアミン系硬化剤が用いられ、例えば脂肪族アミン、芳香族アミン、ポリアミド、複素環状アミン等が挙げられ、またこれら変性アミンなど公知のものの組み合わせでも使用できる。
【0047】
湿気硬化型ウレタンプライマーに使用するウレタン樹脂は、ジイソシアネートと2個以上の活性水素原子を有する有機化合物(普通ジオール)とを反応させて得られるウレタン結合を主体とする重合体で、遊離イソシアネート基を含んでいるので、熱または触媒の作用を受けてイソシアネート基同士が反応するかまたはイソシアネート基と水、グリコールなどと反応して熱硬化樹脂となる「プラスチック工業辞典」(工業調査会、1985年発行)などに記載されている樹脂であり、公知のものが使用できる。
例えば、末端に2個以上の水酸基を有する化合物と水酸基のモル数よりも多いイソシアネート基を有する化合物とを反応させたものでよく、溶剤を含んでいてもよい。商品名を例示すれば、UM−50P(昭和高分子(株)製)等がある。
【0048】
本発明で使用するプリプレグシートについて説明する。
本発明に使用されるBステージ化した光硬化性プリプレグシートは、
を含有する樹脂組成物を繊維強化材に含浸して、500nm以上の波長の光を照射し、該組成物中のラジカル重合性不飽和基の一部を予備重合せしめると共に、少なくとも500nm未満の波長の光に感光性を有する光重合開始剤、及びラジカル重合性不飽和基の一部を残存させたものである。
【0049】
プリプレグシートに使用する樹脂、光重合開始剤、無機質または有機質の充填材は、前記と同様のものを使用する。繊維強化材としては、有機及び/または無機繊維、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、金属繊維、セラミック繊維などの短繊維、クロス、マット、不織布などの公知のものが使用される。むろんこれらの繊維を二種以上組み合わせて使用してもよい。無機質または有機質の充填材を添加する場合は、前記と同様のものが使用でき、硬化性プリプレグ組成物に難燃性を付与する場合は、水酸化アルミニウムが有効である。
【0050】
500nm以上波長の可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤と、500nm未満の可視光及び/または紫外光領域に感光性を有する光重合開始剤の組み合わせである少なくとも2種の重合開始の使用量は、樹脂等100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部である。光重合開始剤の使用量が0.01重量部未満ではBステージ化反応やBステージ化後の重合が不十分になり易く、また20重量部を越える量では硬化物の強度が不足する。
【0051】
Bステージ状態にするための予備重合反応用の500nm以上波長の可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤と予備重合反応物を本硬化させる500nm未満の可視光及び/または紫外光領域に感光性を有する光重合開始剤とを併用する場合、その組成比は、重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。予備重合用光重合開始剤と本硬化用光重合開始剤の比が0.1/5未満では、Bステージ状態にするための予備重合用光重合開始剤の感光波長(500〜1200nm)の光照射をしても予備重合反応が進まない場合があり、一方前記比が5/0.1を越える量では予備重合反応が進みすぎてしまう場合がある。
予備重合したものを本硬化させるときの重合開始剤として、500nm未満の可視光及び/または紫外光領域に感光性を有する光重合開始剤に熱重合開始剤を併用してもよい。と熱重合開始剤を組み合わせて使用する場合、その組成比は、重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。
【0052】
本発明で使用する仕上げ塗装材としては、上述と同様の
からなる樹脂組成物を使用することができるが、耐候性が必要な場合はアクリル系、ウレタン系のトップコートを使用してもよい。
【0053】
本発明において、紫外光とは280〜380nm、可視光とは380〜780nm、近赤外光とは、780〜1200nmの波長領域の光線を指す。
本発明の床面の被覆工法に使用する光源としては、光重合開始剤の感光波長域に分光分布を有する光源であれば良く、例えば近赤外ランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、メタルハライドランプ、水銀灯、高圧水銀灯、太陽光などを使用することができるが、作業現場の安全性を考慮すると、可視線から近赤外線の光源を使用することが望ましい。屋外の施工においては太陽光を利用することが特に好ましい。
【0054】
本発明の床の被覆工法について説明する。
本発明で使用されるプライマー、ニート材、トップコートは(A)成分及び(B)成分からなる樹脂組成物であり、モルタル材、モルタル流し延べ材、ペースト流し延べ材とは、(A)成分、(B)成分及び(C)成分からなる樹脂組成物である。
【0055】
▲1▼ プライマーを下地に塗布後、光照射して光硬化または光硬化と常温硬化併用でプライマーを短時間で硬化させる被覆工法。
▲2▼ 硬化したプライマー上にモルタル材、モルタル流し延べ材、ペースト流し延べ材の1種以上を施工して、光照射して光硬化または光硬化と常温硬化併用で硬化させる被覆工法。
▲3▼ 硬化したプライマーまたは硬化前プライマーの上に、プリプレグシートを貼り付けて光照射して光硬化または光硬化と常温硬化併用でプライマー、プリプレグシートを短時間で硬化させるプリプレグシートを使用した工法。
▲4▼ ▲2▼または3に記載の被覆工法で施工した上に、更にトップコートを塗布して、光照射して光硬化または光硬化と常温硬化併用で硬化させる被覆工法。
以上のように本被覆工法では、光照射して光硬化または光硬化と常温硬化併用で、短時間硬化または短時間の表面乾燥で床を被覆することができる。
また、下地の状況に応じてエポキシプライマーまたはウレタンプライマーを下地に塗布してから▲1▼のプライマー工程を行ってもよいし、▲1▼で使用するプライマーに替えて、エポキシプライマーまたはウレタンプライマーを下地に塗布してもよい。
【0056】
[実施例]
以下、実施例、比較例により本発明の内容を詳細にするが、各例中の「部」は重量基準を示す。本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(材料調整例1)
<光硬化性プライマー>
可視光硬化性プライマー用ビニルエステル樹脂リポキシLC−720PT(昭和高分子(株)製用揺変性付与タイプ):70重量部にアリル基を含有するビニルエステル樹脂リポキシNSR−112(昭和高分子(株)製):30重量部を混合したものに、オクチル酸コバルト:0.5部を添加し、プライマー−1として使用した。
<光、常温硬化性プライマー>
可視光硬化性プライマー用ビニルエステル樹脂リポキシLC−720PT(昭和高分子(株)製用揺変性付与タイプ):100重量部に常温ラジカル硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイド(商品名、パーメックN:日本油脂(株)製):1.0部、ナフテン酸Co:0.5部を添加し、プライマー−2として使用した。
【0057】
<中塗り材:光、常温硬化性樹脂モルタル材料>
不飽和ポリエステル樹脂リゴラックFK−2000(昭和高分子(株)製):100重量部に常温ラジカル硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイド(商品名、パーメックN:日本油脂(株)製):1.5部、ナフテン酸Co:0.5部を添加し、さらに光重合開始剤であるイルガキュア1800(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製):1.0部を添加して中塗り用光、常温硬化性樹脂組成物−1を得た。
次に、中塗り用光、常温硬化性樹脂組成物−1:100重量部に対して、4号珪砂:360部、6号珪砂:120部、7号珪砂:60部、クリスタライト:60部を混合して、光、常温硬化性樹脂モルタル材料を得た。
【0058】
<中塗り材:光、常温硬化性モルタル流し延べ材料>
ウレタンメタクリレート樹脂リポキシFM−1600(昭和高分子(株)製):100重量部に常温ラジカル硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイド(商品名、パーメックN:日本油脂(株)製):1.5部、ナフテン酸Co:0.5部を添加し、さらに光重合開始剤であるイルガキュア1800(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製):1.0部を添加して中塗り用光、常温硬化性樹脂組成物−2を得た。
中塗り用光、常温硬化性樹脂組成物−2:100重量部に対して、4号珪砂:140部、6号珪砂:50部、7号珪砂:30部を混合して、光、常温硬化性モルタル流し延べ材料を得た。
【0059】
<中塗り材:光硬化性プリプレグシート>
ビニルエステル樹脂リポキシR−806(昭和高分子(株)製):100重量部にトリエチルアミン:1.0部、表3の番号3に示す1,1,5,5−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−2,4−ペンタジエニル・トリフェニル−n−ブチルボレート(昭和電工(株)製:以下IRBと略す。近赤外光吸収性陽イオン染料):0.03部とテトラ−n−ブチルアンモニウム・トリフェニル−n−ブチルボレート(昭和電工(株)製、以下P3Bと略す。ホウ素化合物):0.15部を組み合わせたBステージ化用近赤外光重合開始剤、Bステージ化物を本硬化のためのI−1800:1.0部を添加し硬化性樹脂組成物を得た。
【0060】
ポリエステル不織布(商品名:ソンタラ8005H、デュポン(株)製)1枚に繊維含有率が10Wt%となるように含浸させたものを透明PETフィルムで被覆して380〜1200nmの波長域を含む光源であるAL−スポットライト(ALF−10)1KWに500nm以下カットフィルターであるSC−50を併用して、20cmの距離で照射したところ2分でBステージ化し、その後1分光照射を続けてもBステージ状態は変わらなかった。そこで3分間光照射後のBステージ状態のものを光硬化性プリプレグシートとした。
【0061】
<上塗り材:光、常温硬化性ペースト流し延べ>
攪拌機、環流冷却器、ガス導入管、温度計を付した反応装置にジエチレングリコール30モル、ジプロピレングリコール70モル、無水フタル酸50モル、無水マレイン酸50モルを仕込み、定法に従い210℃で酸価が40mgKOH/gとなるまで反応させた。反応後ハイドロキノンを、得られた不飽和ポリエステル100部に対して0.015部を添加して100℃に冷却後、スチレンモノマーを不飽和ポリエステル100部に対して54部混合して50mPa.sの不飽和ポリエステル樹脂(UP−1)を得た。
【0062】
次にUP−1:1000gに対して、グリシジルメタクリレート0.463モル(65.7g)、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ハイドロキノンをUP−1とグリシジルメタクリレートの合計量100部に対してそれぞれ0.2部、0.015部仕込み、空気を吹き込みながら90℃で6時間反応させ酸価が13mgKOH/gになった時点で反応を終了し、ポリエステルメタクリレート樹脂(UPM−1)を得た。
ポリエステルメタクリレート樹脂(UPM−1):100重量部に常温ラジカル硬化剤であるメチルエチルケトンパーオキサイド(商品名、パーメックN:日本油脂(株)製):1.0部、ナフテン酸Co:0.5部を添加し、さらに光重合開始剤であるイルガキュア1800(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製):1.0部を添加して上塗り用光、常温硬化性樹脂組成物を得た。
次に上塗り用光、常温硬化性樹脂組成物:100重量部に対して、タルクLMR:40部、クリスタライト:40部を混合して光、常温硬化性ペースト流し延べ材料を得た。
【0063】
<上塗り材:光、常温硬化性ニート及びトップコート>
(メタ)アクリル樹脂アクリシラップXD−9625(三菱レイヨン(株)製):100重量部に常温ラジカル硬化剤であるベンゾイルパーオキサイド(商品名、ナイパーNS:日本油脂(株)製):2.0部、ナフテン酸Co:0.5部、ジメチルアニリン:0.3部、イルガキュア1800(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製):1.0部を添加して光、常温硬化性ニート材料またはトップコートとした。
【0064】
(実施例1:樹脂モルタル工法)
15℃雰囲気下で、表面をサンディングしたコンクリート歩道板上にプライマー−1を250g/m2となるように塗布し、400Wメタルハライドランプを1mの距離から照度:1mW/cm2となるように照射したところ10分間で硬化し表面が乾燥した。
次に光、常温硬化性樹脂モルタル材料を3mm厚となるように金ゴテで全面に平滑になるように仕上げ、400Wメタルハライドランプを1mの距離から照度:1mW/cm2となるように照射したところ5分間で表面が乾燥した。
モルタル施工表面が乾燥後直ちに光、常温硬化性ペースト流し延べ材料を2mmの厚さになるように金ゴテで平滑になるように仕上げ、400Wメタルハライドランプを1mの距離から照度:1mW/cm2となるように照射したところ5分間で表面が乾燥し内部は30分で硬化した。トータルの施工時間は55分で、臭気も少なく施工終了時にはほとんど感じなくなった。光硬化の併用で発生する臭気を少なくでき、格段に短時間で施工することが出来た。
施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示した。結果は表3に示した。
【0065】
(比較例1:樹脂モルタル工法)
15℃雰囲気下で、表面をサンディングしたコンクリート歩道板上にプライマー−2を250g/m2となるように塗布し、暗所に放置したところ30分で硬化し、2時間で表面が乾燥した。
次に光、常温硬化性樹脂モルタル材料を3mm厚となるように金ゴテで全面に平滑になるように仕上げ、暗所に放置したところ内部は30分で硬化し、2時間で表面が乾燥した。
モルタル施工表面が乾燥後直ちに光、常温硬化性ペースト流し延べ材料を2mmの厚さになるように金ゴテで平滑になるように仕上げ、暗所に放置したところ内部は30分で硬化し、2時間で表面が乾燥し、トータルの施工時間は6時間15分で、臭気も実施例1に比べ強く長時間続いた。
施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示したが、施工時間が実施例1に比べて6倍近く長くかかってしまい、且つ臭気も強く長時間続いた。
【0066】
(実施例2:樹脂モルタル工法)
実施例1で使用した光、常温硬化性樹脂モルタル材料が5℃雰囲気下で30分で硬化するようにMEKPOとナフテン酸Co量を増量し、実施例1と同様の実験を5℃雰囲気下で行ったところ、全ての工程が実施例1と全く同じ時間で施工することができた。
また、施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示した。結果は表3に示した。
【0067】
(比較例2:樹脂モルタル工法)
比較例1で使用したプライマー2と光、常温硬化性樹脂モルタル材料が5℃雰囲気下で30分で硬化するようにMEKPOとナフテン酸Co量を増量し、実施例1と同様の実験を5℃雰囲気下で行ったところ、プライマーの乾燥に4時間かかり、光、常温硬化性樹脂モルタル材料の表面が乾燥に4時間かかった。
光、常温硬化性ペースト流し延べ材料の表面乾燥にも4時間を要し、トータルの施工時間は12時間15分にも及んだ。臭気も実施例2に比べ強く長時間続いた。
施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示したが、施工時間が実施例2に比べて12倍近く長くかかってしまい、且つ臭気も強く長時間続いた。温度が下がったことで光硬化併用の実施例2に比べた施工時間がさらに長くなってしまった。
【0068】
(実施例3:流し延べ工法、ニート工法)
15℃雰囲気下で、蛍光灯を多数付けた部屋(照度:300μW/cm2)の中で、表面をサンディングしたコンクリート歩道板上にプライマー−2を250g/m2となるように塗布し、放置したところ20分で硬化し、40分で表面が乾燥した。
次に蛍光灯を多数付けた部屋(照度:300μW/cm2)の中で、光、常温硬化性モルタル流し延べ材料を3mm厚となるように金ゴテで全面に平滑になるように仕上げ、放置したところ40分で表面が乾燥した。
モルタル施工表面が乾燥後直ちに、蛍光灯を多数付けた部屋(照度:300μW/cm2)の中で、光、常温硬化性ニート材料を700g/m2となるように塗布し、5号珪砂を1Kg/m2となるように散布し、常温硬化(30分)後に余剰の5号珪砂を取り除き、さらに光、常温硬化性ニート材料を500g/m2となるように塗布して放置したところ40分で表面が乾燥し、トータルの施工時間は2時間45分で、臭気も少なく施工終了時にはほとんど感じなくなった。光硬化の併用で発生する臭気を少なくでき、格段に短時間で施工することが出来た。
施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示した。結果は表3に示した。
【0069】
(比較例3:流し延べ工法、ニート工法)
15℃雰囲気下で、表面をサンディングしたコンクリート歩道板上にプライマー−2を250g/m2となるように塗布し、暗所に放置したところ30分で硬化し、2時間で表面が乾燥した。
次に光、常温硬化性モルタル流し延べ材料を3mm厚となるように金ゴテで全面に平滑になるように仕上げ、暗所に放置したところ2時間で表面が乾燥した。
モルタル施工表面が乾燥後直ちに光、常温硬化性ニート材料を700g/m2となるように塗布し、5号珪砂を1Kg/m2となるように散布し、常温硬化(30分)後に余剰の5号珪砂を取り除き、さらに光、常温硬化性ニート材料を500g/m2となるように塗布して暗所に放置したところ2時間で表面が乾燥し、トータルの施工時間は6時間45分で、臭気も実施例1に比べ強く長時間続いた。
施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示したが、施工時間が実施例3に比べて3倍近く長くかかってしまい、且つ臭気も強く長時間続いた。
【0070】
(実施例4:プリプレグシート工法)
5℃雰囲気下の蛍光灯を多数付けた部屋(照度:600μW/cm2)の中で、表面をサンディングしたコンクリート歩道板上にプライマー−2を250g/m2となるように塗布し、続いて光硬化性プリプレグシートを裏側のPETフィルムを剥がして貼り付けて放置したところ40分で全てが硬化した。
続いて表面のPETフィルムを剥がしてトップコートを150g/m2となるように塗布して放置したところ40分で乾燥し施工終了とした。トップコート塗布工程を含めてもトータルの施工時間は1時間30分で、光硬化の併用で、臭気も少なく、格段に短時間で施工することが出来た。
施工終了2時間後に建研式コンクリート付着強度試験を行った結果、良好な強度を示した。結果は表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】
本発明の床面の被覆工法用樹脂組成物は、加熱することが困難または不可能である場合や密閉性の高い屋内の床面などに対し、硬化速度が速く、モノマーの揮散が少なく、低臭気性であり、乾燥性に優れ、その硬化物は強度、耐久性、耐薬品性に優れる樹脂組成物であり、該樹脂組成物を使用して床面を被覆するときは、硬化する際に全体を加熱することが困難な広い面積の床面、あるいは密閉性があって臭気の逃散が困難な屋内の床面などにおいて、モノマーの揮散量を大きく低減し、加熱することなく樹脂組成物の重縮合速度を大きく加速することにより、短時間で表面の乾燥が可能となる床面の被覆方法を提供するものである。
Claims (17)
- (A)熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。
- (A)熱硬化性樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂であり、且つ分子内に酸化重合基を有する樹脂である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。
- 酸化重合基がアリルエーテル基であることを特徴とする請求項6に記載の床面の被覆工法。
- (B)少なくとも光重合開始剤を含むラジカル重合開始剤が、光重合開始剤及びコバルト塩の組み合わせ、又は光重合開始剤及び常温ラジカル重合開始剤の組み合わせを含むラジカル開始剤であるである請求項1〜7のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。削除
- (A)及び(B)からなる樹脂組成物(下塗り材)がプライマーである請求項1〜8のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。
- (A)、(B)及び(C)を配合した樹脂組成物(中間塗装材)が、モルタル材、モルタル流し延べ材、ペースト流し延べ材、ニート材及び光硬化性プリプレグシートうちの少なくともいずれか一つである請求項2〜4のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。
- 光硬化性プリプレグシートが、(A)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂から選ばれる1種以上の樹脂: 100重量部
(B)500nm以上波長の可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤と、500nm未満の可視光及び/または紫外光領域に感光性を有する光重合開始剤の組み合わせである少なくとも2種の光重合開始剤:0.01〜10重量部及び
(C)無機質または有機質の充填材: 1000重量部未満
を含有する樹脂組成物に繊維強化材を含浸して得た樹脂含浸繊維強化材に、500nm以上の波長の光を照射し、該組成物中のラジカル重合性不飽和基の一部を予備重合せしめると共に、少なくとも500nm未満の波長の光に感光性を有する光重合開始剤、及びラジカル重合性不飽和基の一部を残存させてなる請求項10に記載の床面の被覆工法。 - (A)及び(B)からなる樹脂組成物(仕上げ塗装材)が、ニート材及び/又はトップコートである請求項4に記載の床面の被覆工法。
- 請求項1または2に記載の(A)および(B)からなる樹脂組成物(下塗り材)を塗布する前または請求項1ないし3のいずれか1項に記載の(A)および(B)からなる樹脂組成物(下塗り材)の塗布に代えて、エポキシプライマーまたはウレタンプライマーを下地に塗布して、硬化する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。
- 硬化に際し、塗布面に照射する光の波長が可視線〜近赤外線の領域である請求項1〜13のいずれか1項に記載の床面の被覆工法。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の被覆工法で床に施工した被覆材。
- (A)不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂より選ばれる一種以上の樹脂であり、且つ分子内に酸化重合基を有する熱硬化性樹脂: 100重量部、
(B)少なくとも光重合開始剤を含むラジカル重合開始剤及びコバルト塩:0.05〜10重量部
(C)無機質又は有機質の充填材: 1000重量部以下
からなる床面の被覆工法用樹脂組成物。 - 酸化重合基がアリルエーテル基であることを特徴とする請求項16に記載の床面の被覆工法用樹脂組成物。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007106927A (ja) * | 2005-10-14 | 2007-04-26 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 床用塗料組成物及びこの塗料にて被覆された床材 |
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KR101807104B1 (ko) | 2017-07-04 | 2017-12-08 | 주식회사 세진에스엠씨 | 다기능 친환경 표면 마감 코팅제 조성물 및 이를 이용한 콘크리트 구조물 표면 마감 코팅 방법 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003087181A patent/JP2004293161A/ja active Pending
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