JP2004292800A - 白色ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】感度、光沢を満足しながら、耐引き裂き性、耐折れしわ性に例示される加工適性に優れた白色ポリプロピレンフィルムを提供する。
【解決手段】比重が0.4〜0.8、光学濃度ODが0.4以上の気泡含有ポリプロピレンフィルムであって、フィルム中に少なくとも短繊維形状の非相溶性樹脂が存在し、かつ長手方向と幅方向の引き裂き伝搬抵抗の和が3.5N/mm以上であることを特徴とする白色ポリプロピレンフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、包装用途、工業用途など広範な用途に好適な白色ポリプロピレンフィルムに関するものである。詳しくは、一般包装体、ラベル、ポスター、ステッカーなどの表示物、および感熱転写記録体などの情報記録受容シートなどに用いられ、二次加工性、耐折れじわ性に優れ、感熱転写記録体の受容シートに用いた場合には上記特性に併せて感度に優れた白色ポリプロピレンフィルムに関するものである。
白色ポリプロピレンフィルムはパルプ紙と比較して耐水性、強度、平滑性などに優れた合成紙として、一般包装体、ラベル、ポスター、ステッカーなどの表示物、感熱転写記録受容シートなどに広く用いられている。ここで、感熱転写記録方式とは、色材含有層であるインキ層を有する転写シート(インキリボン)と受容シートを重ね合わせ、インキリボン側からのサーマルヘッドの加熱に応じて、溶融または昇華して移行する色材含有成分または色材を、受容シート上に微細な網点(ドット)状に転写して印字する方式である。
このような白色フィルムを得るための様々な技術がこれまで提案されてきた(例えば、特許文献1〜17参照。)。
従来、白色フィルムを得るために無機粒子を熱可塑性樹脂に添加し、一軸または二軸に延伸することは古くから公知である(例えば、特許文献1参照。)。また、例えば、結晶性ポリプロピレン65〜93重量%と、該結晶性ポリプロピレンに非相溶性で熱変形温度が120℃以上の熱可塑性樹脂5〜20重量%と、該結晶性ポリプロピレンに相溶性で融解温度が140℃以下の樹脂2〜15重量%とからなり、フィルム厚み30μmにおける光学濃度が0.35以上であることを特徴とする白色二軸延伸ポリオレフィンフィルム(特許文献2参照)、内部に層状の気孔層が存在する芯材層の表面に気泡を含まないスキン層を有したフィルム(特許文献3参照)、内部に層状の気泡層が存在する芯材層の表面に、マトリックス材とは非相溶性樹脂を核とした気泡を含むスキン層を有したフィルム(特許文献4参照)、などである。また、情報記録紙の耐折れじわ性を改善する目的に、ポリプロピレンに非相溶性樹脂を混合して二軸延伸したポリプロピレン系空洞含有フィルムの気泡形状を規定したもの(特許文献5参照)や、β晶核剤を含有した結晶性ポリプロピレンに非相溶性で、溶融結晶化温度が140℃以上の熱可塑性樹脂であるポリ−4−メチルペンテン−1及びポリブチレンテレフタレートを添加して二軸延伸した白色不透明ポリオレフィンフィルム(特許文献6参照)などが提案されている。さらには、上記の気泡含有白色フィルムを用いて、色素画像受容層を上方に保有する基材を含むサーマルダイトランスファーに用いる受容素子において、前記基材が支持体に積層された複合材料フィルムを含み、前記色素画像受容層が基材の複合材料フィルム側にあり、そして前記複合材料フィルムがミクロボイドを保有する熱可塑性コア層および少なくとも1層の実質的にボイドを含まない熱可塑性表面層を含み、かつ前記コア層および表面層の同時押出しとそれに続く二軸延伸によって製造されたものであることを特徴とするサーマルダイトランスファーに用いる受容素子(特許文献7参照)などが提案されている。
特公昭46−40794号公報 特許第2800926号公報 特公平3−24334号公報 特許第3108473号公報 特開平11−343357号公報 特許第2917331号公報 特許第2735989号公報 特開平3−101924号公報 特許第2964608号公報 特開平6−228351号公報 特開平7−309964号公報 特許2611392号公報 特許3139510号公報 特開平9−31227号公報 特開平11−293015号公報 特開平11−293016号公報 特開平11−343357号公報
近年、印刷時や加工時の熱負荷が大きくなり、装置の小型化、加工速度の高速化に伴い、加工条件が過酷になることなど、印刷基材の使用される環境がより厳しいものになりつつある。受容紙の基材に適用される白色フィルムには、感熱転写の際の感度、光沢(意匠性)を満足しながら、剛性、耐折れじわ性などに例示される優れた印刷特性、加工適性が強く求められている。しかしながら、特許文献1〜17のフィルムでは、感熱転写の際の感度、光沢と剛性、耐折れじわ性の相反する特性を両立するのは困難であった。例えば、特許文献2と5はフィルム厚み方向の気泡の均一性に劣り、感熱転写の際の感度にむらを生じ、高感度の感熱転写用記録紙が得られ難く、特許文献3と4ではフィルムの気泡の均一性と、耐折れじわ性に劣り、また、特許文献4では内層及びスキン層に気泡を有しているが、気泡の均一性に劣り、感熱転写記録用の受容シートとして感度のばらつきが大きく、また、スキン層に非相溶性樹脂を核とする気泡を有するために、製膜工程及び感熱転写用記録紙製造工程にて気泡の核が脱落して工程を汚す欠点があった。特許文献6では、β晶核剤を添加したポリプロピレンを用いているが、非相溶性樹脂のTgが100℃以下と低いために、二軸延伸工程で気泡が消失して気泡の均一性に劣り、クッション率が低いために感度が不十分となる問題があった。さらに、いずれも、ボイド核となる粒子ならびに非相溶性樹脂が球状または不定形であるために、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合に比較して耐引き裂き性に劣り、破れが多いという潜在的な問題もあった。
本発明の目的は、上記課題を解消すべくなされたものであり、気泡の均一性に優れるとともに、感度、光沢(意匠性)、耐引き裂き性、耐突き刺し性、耐折れじわ性などのいずれにも優れる白色ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた包装体、表示物、感熱転写記録用受容シートを提供することである。また、フィルム製造の際、破れなどの工程不良を減少し、蒸着、コーティングなどを施したフィルムとした場合も、二次加工後の特性低下を抑制できる白色ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた包装体、表示物、感熱転写記録用受容シートを提供することである。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭利研究を重ねた結果、ポリプロピレンに対して、少なくとも非相溶性樹脂が短繊維状に分散してなる気泡含有ポリプロピレンフィルムを用いることにより、かかる目的を達成することを見いだし、本発明に達した。すなわち、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、比重が0.4〜0.8、光学濃度ODが0.4以上の気泡含有ポリプロピレンフィルムであって、フィルム中に少なくとも短繊維形状の非相溶性樹脂が存在し、かつ長手方向と幅方向の引き裂き伝搬抵抗の和が3.5N/mm以上であることを特徴とするものである。
また、好ましい態様として、非相溶性樹脂の短繊維形状が、長径1〜100μm、断面積0.03〜5μm2であること、また、短繊維状の非相溶性樹脂の割合が非相溶性樹脂全体の50%以上であること、また非相溶性樹脂の溶解パラメーターが、ポリプロピレンの溶解パラメーターに対して±1.0[(MPa)1/2]以上の差を有すること、またβ晶比率が20%以上であること、少なくとも片面に、他のポリプロピレン層を積層してなる白色ポリプロピレンフィルムである。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、従来のポリプロピレンフィルムに比較して、気泡含有ポリプロピレンフィルム層に、ポリプロピレンに対して、非相溶性樹脂が少なくとも短繊維状に分散しているため、低比重で、光学濃度が高く隠蔽性に優れ、クッション率が高いとともに耐引き裂き性、耐突き刺し性や耐折れじわ性に優れる。また、二軸延伸工程中に破れなどの工程トラブルを未然に防ぐことができ、製膜が安定化する。また、少なくとも片面に他の層を設けることによって、本発明のフィルムを例えば感熱転写記録用の受容シートに用いた場合、感度が高く、耐折れじわ性に優れた受容シートとして極めて好適に使用できる。用いるポリプロピレンのβ晶比率を制御することで、上記特性をさらに高めることができる。これより、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、フィルムのハンドリング性に優れるだけでなく、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋などのフィルム加工時に、加工張力に対する優れた耐引き裂き性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れなどのトラブルを解消することができる。
さらに、従来の汎用の白色ポリプロピレンフィルムより薄くしても寸法安定性・防湿性に優れることから、従来より薄くしても熱寸法安定性・防湿性などのその他の特性を損なうことなく、加工特性を保持することができる。かつ、既存の縦−横逐次二軸延伸機を用いることから、大きな設備投資を必要とせず、上記特性を持ったフィルムを低コストで安定製造することができる。
また、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、他のフィルムと複合化して構成体に加工して用いるような場合でも、該構成体の二次加工性やガスバリア性能を向上させることができる。また、本発明のフィルム、もしくは本発明のフィルムと複合化する他のフィルムを適宜薄膜化できるため、廃棄物や資源を削減することができる。
以上のことから、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、包装用、工業用等に好ましく用いることができる。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、基本的に結晶性ポリプロピレンを主体として構成されている。
本発明にに用いる結晶性ポリプロピレンの極限粘度[η]は1.2〜3.5dl/g、好ましくは1.5〜2.5dl/gであることが二軸延伸性が良好となり好ましい。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのアイソタクチックインデックス(II)は、90〜99.8%の範囲にあることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、フィルムとしたときの腰が低下し、熱収縮率が大きくなったり、所望の耐折れじわ性、クッション率が得られなくなる場合がある。IIが上記範囲を超えると製膜性が悪化する場合がある。IIは、より好ましくは92〜99.5%である。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのメルトフローレイト(MFR)は1.0〜30g/10分(230℃、2.16kg)の範囲であることが好ましい。MFRが上記範囲未満であると、溶融押出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時間を要する、均一なボイドが形成されなくなる、などの問題点が生じる場合がある。MFRが上記範囲を超えると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくなったり、均一なボイドが形成されなくなる、などの問題点が生じる場合がある。MFRは、より好ましくは1〜20g/10分である。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、経済性等の観点から、本発明の特性を損なわない範囲で、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルム、その他の樹脂をブレンド使用しても構わない。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、プロピレンと他の不飽和炭化水素の単量体成分が共重合された重合体であってもよいし、プロピレンとプロピレン以外の単量体成分が共重合された重合体がブレンドされていてもよいし、プロピレン以外の不飽和炭化水素の単量体成分の(共)重合体がブレンドされてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテンー1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。特に、エチレンを共重合させるとA層のボイドの均一性が向上して好ましい場合がある。
また、公知の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑り剤、ブロッキング防止剤、充填剤、白色剤などを含有させてもよい。
次に、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、気泡を含有する。ここで、気泡とは、フィルムに内包される空気の占める空間をいい、フィルムをミクロトームで切断し、断面を形成させ、該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜10,000倍に拡大観察して断面写真を採取することにより、その存在が確認されるものをいう。気泡を含有することによりフィルムに高い隠蔽性を付与することができ、気泡の構造を例えば下記に示すような手法を用いて制御することで優れた特性を有する白色ポリプロピレンフィルムとすることができる。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムに含有される気泡は、微細な気泡であることが好ましい。フィルムの内部に微細な気泡を含有させることにより、例えば本発明のフィルムを感熱転写記録用の受容シートに用いた場合、感熱転写記録時にサーマルヘッドの加熱に対する断熱効果が得られ、印字部分に効率よく伝熱することが可能となる。具体的には、本発明における各々の気泡の断面積は、0.1〜60μm2であることが好ましく、より好ましくは0.3〜55μm2、さらに好ましくは0.5〜50μm2である。また、各々の気泡の断面積の平均値は、1〜10μm2であることが、上記断熱効果の観点から好ましく、各々が均一であることが好ましい。気泡の断面積の平均値は、好ましくは2〜8μm2である。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムが含有する気泡は、気泡開始剤を内包することが好ましい。すなわち、該気泡開始剤を溶融押出の際にポリプロピレン中に微分散させ、二軸延伸でポリプロピレンと該気泡開始剤間で界面剥離させて気泡を形成させることが好ましい。したがって、該気泡開始剤としてはポリプロピレンと親和性の低いものが好ましく、本発明ではポリプロピレンに対して非相溶性の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、フィルム中に少なくとも短繊維形状の非相溶性樹脂が存在することが必要である。好ましくは、短繊維形状の非相溶性樹脂と球状の非相溶性樹脂および/または球状の気泡形成体が混在することが好ましい。
本発明でいう非相溶性樹脂とは、ポリプロピレンに対して相溶しない樹脂をいう。本発明でいう短繊維形状とは、短径方向断面の直径に対して長径方向の長さの比が2以上である形状をいう。
フィルム中に短繊維形状の非相溶性樹脂が存在しない場合、すなわち、気泡形成体として無機粒子や有機粒子を用いる場合、あるいは非相溶性樹脂が球状のみで存在する場合には、気泡の核の形状が立方体や球状であるために、印刷、ラミネート、切断等の二次加工を行う場合、気泡の核が脱落して工程を汚し、また、フィルムが脆く耐引き裂き性に劣るために、製膜工程及び感熱転写用記録紙製造工程にてフィルム破れが多発して生産性に劣り、また、耐折れじわ性に劣るために、印刷された感熱転写記録紙の片隅を持った時に折れじわが発生して商品価値が低下するとういう実用上の問題が生じる。フィルム中に少なくとも短繊維形状の非相溶性樹脂が存在することによって、これら問題が解消される。具体的には、本発明の短繊維形状の非相溶性樹脂の割合は、非相溶性樹脂全体に対して50%以上が好ましく、より好ましくは60%、更に好ましくは70%である。短繊維形状の非相溶性樹脂の割合が50%以下であると、十分な耐引き裂き性、耐折れじわ性が得られない。
本発明の非相溶性樹脂の短繊維形状は、長径1〜100μm、断面積0.03〜5μm2であることが好ましく、より好ましくは長径1〜80μm、断面積0.1〜60μm2、さらに好ましくは長径1〜50μm、断面積0.15〜50μm2である。長さと断面積がかかる好ましい範囲内にあれば、耐引き裂き性と耐折れじわ性に優れ、製膜安定性に優れ、均一な気泡が得られるので好ましい。
本発明の非相溶性樹脂は、ポリプロピレンの溶解パラメータ値に対して、±1.0[(MPa)1/2]以上の差があることが好ましい。ポリプロピレンに対して、非相溶性樹脂の溶解パラメータ差が±1.0[(MPa)1/2]以上であれば、非相溶性樹脂がポリプロピレン中に適度な粒径で分散し、また短繊維形状に成りやすく、さらに気泡が十分に発生するので好ましい。より好ましくは±2.0[(MPa)1/2]以上である。なお、溶解パラメータの求め方は、Smallのモル引力定数(P.Small,J.Appl.Chem.,3,71(1953))より算出した。溶解パラメータ差の上限は本発明の効果を奏する限りに於いて特に限定されないが、±10.0[(MPa)1/2]が実用範囲内である。
本発明において、ポリプロピレンに対して、溶解パラメータ値の差が±1.0以上である非相溶樹脂としては、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリスチレン、飽和ポリエステル、液晶樹脂(LCP)などを例示することができる。本発明の白色ポリプロピレンフィルムのA層に用いる気泡開始剤としてのポリプロピレンに対して非相溶性の樹脂としては、取り扱い性、製造コスト(原料価格)、ポリプロピレンへの分散性、気泡形成性などの観点からポリカーボネート、飽和ポリエステルを用いることが特に好ましい。
上記ポリカーボネートとは、芳香族ジヒドロキシ化合物、またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させることによって製造される重合体であって、芳香族ジヒドロキシ化合物、またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルでエステル交換反応しても製造することができる。さらに、必要により分岐剤として三官能化合物、分子量調節剤も反応に供することができる。このポリカーボネートは、直鎖状または分岐鎖状の熱可塑性芳香族ポリカーボネートである。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと略称することがある)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−イソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロへキサンなどを例示することができ、ビスフェノールAが特に好ましい。
また、分岐したポリカーボネートを得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどで例示されるポリヒドロキシ化合物および3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール[=イサチン(ビスフェノールA)]、5−クロロイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロモイサチンなどを前記ジヒドロキシ化合物の一部、例えば、0.1〜2モル%をポリヒドロキシ化合物で置換する。
さらに、分子量を調節するのに適した一価芳香族ヒドロキシ化合物は、m−およびp−メチルフェノール、m−およびp−プロピルフェノール、p−ブロモフェノール、p−第3級−ブチルフェノールおよびp−長鎖アルキル置換フェノールなどである。
本発明の非相溶性の樹脂として用いるポリカーボネートには、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物、特に好ましくはビスフェノールAを主原料に用いることが好ましい。また、2種以上のジヒドロキシ化合物を併用して得られるポリカーボネート共重合体、3価のフェノール系化合物を少量併用して得られる分岐ポリカーボネートも好ましい。他の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレンなどを共重合したものでもよい。
該ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、30000以下、好ましくは20000以下であることが好ましい。また、MFR(300℃、1.2kg)は好ましくは10g/10分以上、より好ましくは20g/10分以上である。上記範囲を満たすポリカーボネートを適宜選定することにより、溶融押出時のポリプロピレンへの均一分散性が良好となり、気泡も均一形成でき、さらに、短繊維状になるので好ましい。
また、該ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は、100℃以上であることが好ましい。Tgが上記範囲未満であると、二軸延伸で気泡を形成する際に該ポリカーボネートがつぶれてしまう場合がある。Tgは、より好ましくは120℃以上である。また、非相溶性樹脂として、他の非相溶性樹脂を用いる場合も同様に、該樹脂のTgは上記範囲を満たすことが好ましい。
また、本発明の非相溶性樹脂として好ましく用いられる飽和ポリエステルは、エステル結合を有する重合体であって、例えばジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる縮合重合体またはビスフェノールAとテレ/イソ混合フタル酸クロリドとからなる重合体である。ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロへキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを例示することができる。一方、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、などの脂肪族グリコール、シクロへキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール、ジエチレングリコールなどを例示することができる。また、ジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上併用してもよい。また、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸を一部に用いることができる。特に、好ましい飽和ポリエステルとしては、テレフタル酸とブタンジオールとからなるポリエステル、テレフタル酸、イソフタル酸とブタンジオール、ビスフェノールAよりなるポリエステルを例示できるが、もちろんこれに限定されるものではない。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムの非相溶性樹脂含有量は、5〜30重量%であることが好ましい。含有量が5重量%以上であれば、気泡形成が十分となり、比重が低くなり、クッション率が高くなり、光学濃度も適度となるので好ましい。30重量%以下であれば、押出性が安定し、また、フィルム中に過ボイドが生成することなく製膜安定性が良好となるので好ましい。より好ましくは8〜28重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムにおいて、フィルム中に少なくとも短繊維形状の非相溶性樹脂を存在させるための方法の一例としては、押出温度240℃〜300℃の範囲(非相溶性樹脂の完全融解温度+30℃以内の範囲)において、非相溶性樹脂とポリプロピレンとの粘度差を1000Poise以上(非相溶性樹脂がポリプロピレンよりも粘度が低い)とし、口金から溶融押出しする際に、短管・口金の温度を押出機のシリンダー温度よりも−10℃以上低くして、ずり速度10sec-1以上、好ましくは50sec-1以上で押出し、ドラフト比(口金スリット厚み/キャストフィルム厚み)が1.2以上でキャストすることが挙げられる。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、結晶形態がβ晶であるポリプロピレンを含むことが好ましく、β晶比率が20%以上であることがより好ましい。β晶比率が上記範囲であると、白色ポリプロピレンフィルム中の気泡形成が十分となり、フィルムの厚み方向に均一な気泡が得られ易くなり好ましい。β晶比率は、より好ましくは25%以上である。なお、本発明ではβ晶比率は後記するように示差走査熱量計(DSC)により、製膜前の樹脂チップもしくは製膜後のフィルムいずれかについて測定すればよい。なお、製膜後のフィルムについて白色フィルムのβ晶比率を測定する場合、まずフィルム全体のβ晶比率(rtotalと記す)を測定し、他の層が積層されている場合は、次いで該フィルムから他の層を剥離して(削り取って)他の層のβ晶比率(rBと記す)を測定し、別途SEMによる断面観察から得た白色ポリプロピレンフィルム、他の層の厚み(それぞれ、tA、tBと記す)とから、下記式にしたがって白色ポリプロピレンフィルムのβ晶比率(rA)を逆算すればよい。
A=(1/tA){(tA+tB)rtotal−tBB}。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムのβ晶比率を上記範囲内にする方法としては、用いるポリプロピレンにβ晶核剤を添加するのが好ましく、添加量はβ晶核剤の効果により適宜調整すればよいが、0.001重量%以上であることが好ましい。β晶核剤の添加量が上記未満であると、β晶比率を20%以上とすることが難しい場合がある。β晶核剤の添加量には、本発明の効果を奏する限り特に上限を設けないが、例えば、β晶生成の効果が平衡となる傾向にあるので、2重量%以下が好ましい。β晶核剤の添加量は、より好ましくは0.005重量%以上である。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムに好ましく用いられるβ晶核剤としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系、2塩基酸脂肪族系、元素周期表第2族アルカリ土類金属の酸化物、アニリン系誘導体、アミド系化合物などが挙げられ、これらの少なくとも1種以上の混合物であることがより好ましい。
アミド系化合物としては、具体的には、下記式で示される一般式の化合物が使用できる。
R1−NHCO−R2−CONH−R3 (1)。
但し、式中のR1は、炭素数1〜28の飽和あるいは不飽和の脂肪族、脂環式または芳香族のジカルボン酸残基、又はアミノ酸残基を表し、R2、R3は同一または異なる炭素数3〜18のシクロアルキル基、シクロアルケニル基で示される。
上記一般式(1)のアミド系化合物の具体例としては、アジピン酸ジアニリド、スペリン酸ジアニリド、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−−4,4’−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N’−ビス(p−エチルフェニル)ヘキサンジアミド、N,N’−ビス(4−シクロヘキシルフェニル)ヘキサンジアミド、p−(N−シクロヘキサンカルボニルアミノ)安息香酸シクロヘキシルアミド、δ−(N−ベンゾイルアミノ)−N−吉草酸アニリド等が挙げられる。
また、β晶核剤添加ポリプロピレンとして、SUNOCO社製“Bepol”が挙げられる。
次に本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、少なくとも片面に、他のポリプロピレン層を積層することが製膜安定性や表面平滑性の観点から好ましい。
該他の層は、ポリプロピレンを主成分とすることが好ましく、その極限粘度[η]は好ましくは1.2〜3.5dl/g、より好ましくは1.5〜2.5dl/gである。また、アイソタクチックインデックス(II)は90%以上、好ましくは95%以上であることが表面光沢度が高くなるので好ましい。メルトフローレート(MFR)は1.0〜20g/10分(230℃、2.16kg)の範囲であることが、A層との共押出成形性の点で好ましい。
本発明の他の層には、ポリプロピレン以外の第2成分、例えばエチレン、ブテン、ヘキセンなどを少量ランダムまたはブロックにプロピレンに共重合させてもよい。
本発明の他の層には、公知の添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑り剤、ブロッキング防止剤、充填剤、白色剤などを含有させてもよい。
また、本発明の他の層に気泡を含有させてもよい。気泡形成材として、β晶核剤と併用して上記したポリプロピレンに対して非相溶性の熱可塑性樹脂、無機粒子、有機粒子の少なくとも1種以上を用いることができる。ただし、この時の添加量は15重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以下である。添加量が15重量%を越えると、製膜工程、感熱転写用記録紙製造工程等で、樹脂や粒子の脱落が起こり、工程を汚す場合がある。
本発明の他の層の片面の積層厚みは、積層フィルム全体の厚みの1/3以下であることが好ましい。他の層の厚みが上記範囲であれば、感熱転写用記録紙等として用いる場合に感度、光沢度が良好となり好ましい。また、他の層の総積層厚みは1μm以上であることが耐折れじわ性の観点から好ましい。さらに、他の層は白色ポリプロピレンフィルムの両面に積層されていることがより好ましい。他の層が両面に積層されていると、フィルムの滑り性が良好となるので好ましい。また、さらに他の層の反対の面に第3の層を積層することもできる。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、フィルムの比重が0.5〜0.85の範囲であることが必要であり、好ましくは0.6〜0.8の範囲である。比重が0.5より小さい場合、加工性の低下、耐折れじわ性の悪化を引き起こすことがある。また、比重が0.85越えると断熱性が低下して感度が低下するので好ましくない。
また、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、フィルムの光学濃度ODが0.4以上であることが必要であり、好ましくは0.45以上である。光学濃度ODが0.4未満では印字画像が暗い印象となるので好ましくない。
さらに、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、長手方向と幅方向の引き裂き伝搬抵抗の和が3.5N/mm以上であることが必要であり、好ましくは3.8N/mm以上である。引き裂き伝搬抵抗が3.5N/mm未満では製膜工程及び感熱転写用記録紙製造工程にてフィルム破れが多発して生産性に劣るので好ましくない。引き裂き伝搬抵抗を上記範囲内にするには、フィルム中に短繊維形状の非相溶性樹脂が存在することが必要であり、フィルム中に存在する短繊維形状の長径粒子が支えとなり、無機粒子や球状のみの非相溶性樹脂を含有する白色フィルムよりも耐引き裂き性が良好となる。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、クッション率が10%以上であることが好ましく、12%以上がより好ましい。クッション率が10%未満ではサーマルヘッドとの密着性が低下して熱の放熱が起こり、転写シートからの転写性が低下(感度低下)するので好ましくない。
本発明のフィルムを感熱転写記録用の受容シート基材として用いる際には、単独で用いても、他の素材と貼合わせて用いてもよい。該素材としては、例えば普通紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、ラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、グラシン紙、ラミネート紙などの紙、合成紙、不織布、あるいは他種フィルム等を用いることができる。ただし、本発明のフィルムを他の素材と貼合わせる場合、受容層を設ける面と反対側の面に貼合わせることが好ましい。
本発明のフィルムの他の層が受容層塗布面となるように上記他の素材と貼合わせ、受容層塗布後のB層の表面光沢度は、60%以上であることが、転写された印字や画像が鮮明となり好ましく、80%以上がより好ましい。表面光沢度が60%未満では転写された印字や画像が鮮明性に劣るので好ましくない。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムの厚みは、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜80μmの範囲にあることが、感度と耐折れしわ性の両立の点から好ましい。また、本発明のフィルムを他の素材と貼合わせる場合には、取扱性の点からその厚みの上限は80μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下である。
次に、本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、微細で均一な気泡形成により高い光学濃度、クッション率、耐折れじわ性、低比重を付与し、かつ長手方向の剛性を高めるために二軸延伸される。本発明のフィルムが二軸延伸されないと、長手方向の剛性が不十分で二次加工における抗張力性に劣り、また均一で微細な気泡が十分に得られず、高い光学濃度、クッション率、耐折れじわ性、低比重に劣る場合がある。また、二軸延伸は逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。本発明のフィルムの製造には、汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いることが、設備費削減などの観点から好ましい。
以下に本発明の白色ポリプロピレンフィルムの製造方法の一例を例示するが、本発明がこの方法に限定されるものではない。
押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、気泡含有層(A)を形成するため、β晶比率が20%以上の結晶性ポリプロピレン70〜95重量%に、二軸延伸で気泡を形成させるために気泡開始剤として、ポリプロピレンに対して非相溶性の熱可塑性樹脂を5〜30重量%添加混合し(予めポリプロピレンのマスターバッチとしたものを使用してもよい)、これを260〜300℃に加熱された押出機(A)に供給し、溶融してTダイ複合口金内に導入する。また、他の層(B)を積層するため、結晶性ポリプロピレンを供給する。次に、原料を260〜300℃に加熱された押出機(B)に供給し、同様に溶融してTダイ複合口金内に導入し、押出機(B)のポリマーが押出機(A)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)にくるように積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
この溶融積層シートを、表面温度30〜90℃に冷却されたドラム上で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを120〜180℃に加熱したロール群またはオーブンに導き、フィルム温度を120℃〜160℃にして、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3〜7倍延伸し、30℃〜100℃のロール群で冷却する。
続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、150〜190℃に加熱した雰囲気中(フィルム温度:150℃〜165℃)で長手方向に垂直な方向(横方向)に5〜12倍に延伸する。その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は15倍〜84倍、製膜安定性から30倍〜50倍であることが好ましい。面積倍率が15倍未満であると得られるフィルムの気泡形成が不十分となり、逆に面積倍率が84倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
このようにして得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜170℃で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取ることにより、本発明の白色ポリプロピレンフィルムを得ることができる。なお、上記熱処理工程中では、必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
このようにして得られた本発明の白色ポリプロピレンフィルムの表面には、蒸着膜易接着、易印刷性付与、受容層塗布または他基材ラミネートのために、空気中または窒素ガス、炭酸ガスの1種以上の雰囲気中でコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を35mN/m以上にして巻き取ることもできる。
本発明の白色ポリプロピレンフィルムは、低比重で、光学濃度が高く、さらに表面平滑性、高光沢度のフィルムであり、このようなフィルムとするためには二軸延伸中に生成した気泡が安定に存在すること、すなわち二軸延伸中に各延伸条件での気泡開始剤の熱変形が小さく、生成した気泡がつぶれないことが重要である。また、ポリプロピレンに対して、非相溶性樹脂が短繊維状に分散していることから、引き裂け、突き刺しに強く、延伸性に優れている。
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法は、延伸倍率を上記の範囲に設定した場合でも、従来一般的に行われる汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いて安定な製造が可能であるので、既存の縦−横逐次二軸延伸製膜機を用いることができ、大きな設備投資を必要としない利点がある。
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準により求められる。
(1)極限粘度[η](dl/g)
試料0.1gを135℃のテトラリン100mlに完全に溶解させ、この溶液を135℃の恒温槽中で粘度計で測定して、比粘度Sにより次式に従って極限粘度を求める。単位はdl/gとする。
[η]=S/0.1×(1+0.22×S)
(2)アイソタクチックインデックス[II]沸騰n−ヘプタン抽出残分
アイソタクチックインデックス[II]は、沸騰n−ヘプタン抽出残分から求める。試料を沸騰n−ヘプタンで一定時間抽出を行い、抽出されない部分の重量(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。
詳しくは円筒濾紙を110±5℃で2時間乾燥し、恒温恒湿の室内で2時間以上放置してから、円筒濾紙中に試料(粉体またはフレーク状)8〜10gを入れ、秤量カップ、ピンセットを用いて精秤する。
これをヘプタン約80ccの入った抽出器の上部にセットし、抽出器と冷却器を組み立てる。これをオイルバスまたは電機ヒーターで加熱し、12時間抽出する。加熱は冷却器からの滴下数が1分間130滴以上であるように調節する。抽出残分の入った円筒濾紙を取り出し、真空乾燥器にいれて80℃、100mmHg以下の真空度で5時間乾燥する。乾燥後恒温恒湿中に2時間放置した後精秤し、下記式で算出する。
・アイソタクチックインデックス[II](%)=(P/Po)×100
但し、Poは抽出前の試料重量(g),Pは抽出後の試料重量(g)である。
(3)メルトフローレート[MFR]
結晶性ポリプロピレンの流れ特性の尺度として、JIS K−7210の条件14に従って測定する(230℃、2.16kg)。また、ポリカーボネートの流れ特性の尺度として、JIS K−7210の条件99に従って測定する(300℃、1.2kg)。また、ポリメチルペンテンは、ASTM D−1238
に従って測定する(260℃、5.0kg)。
(4)ガラス転移点[Tg](℃)
示差走査型熱量計(DSC)を用いて、JIS K−7122に従って測定した。Seiko Instruments社製熱分析装置RDC220型に、サンプルを重量5mgとしてアルミニウムパンに封入して装填し、窒素雰囲気下で20℃/分の速度で昇温し、得られた熱量曲線から同社製熱分析システムSSC5200の内蔵プログラムを用い、ガラス転移の開始点をガラス転移温度(Tg)とした。また、気泡開始剤としてポリプロピレンに対して非相溶性の非晶性熱可塑性樹脂を用いた場合、フィルム中の該非晶性樹脂のTgを測定するには、主原料のPPのTgが少なくとも0℃以下であることから、0℃を越えたガラス転移の開始点をTgとした。この際、シグナルが微弱な場合にはサンプル量を適宜増やせばよい。
(5)溶解パラメータ(SP値)
Smallのモル引力定数より算出した。
(6)β晶比率(%)
主原料の結晶性PPチップ及び本発明のフィルムを示差走査熱量計(DSC)を用いて、JIS K−7122に準拠して窒素雰囲気下で5mgの試料を20℃/分の速度で250℃まで昇温させ、その後5分間保持した後に20℃/分の冷却速度で20℃まで冷却する。ついで、再度20℃/分の速度で昇温していった際に、145℃〜157℃間にピークを有するポリプロピレンのβ晶由来の融解吸熱ピークの熱量(ΔH1)と、160℃以上にピークを有するβ晶以外のポリプロピレン由来の融解吸熱ピークの熱量(ΔH2)から次式で求めた。
・β晶比率(%)= {ΔH1/(ΔH1+ΔH2)}×100
なお、製膜後のフィルムについてA層とB層のβ晶比率を区別してみるときは、SEMによる断面観察を行い、厚み構成を確認した後に、B層を剥離して測定する。
(7)フィルム厚み(μm)
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B−7509、測定子5mmφ平型)を用いて測定した。
(8)フィルムを構成する各層の厚み(μm)
二軸延伸フィルムをミクロトームを用いて短手方向(横方向)に切断し、断面を形成させ、該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜10,000倍に拡大観察して断面写真を採取する。該断面写真において、各層の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚みを求めた。ただし、各層の厚みは、断面採取位置を変えて計5回測定を行い、各々について厚みの平均値として算出した。
(9)フィルム内部の気泡の有無、および気泡内の非相溶性樹脂の有無
二軸延伸フィルムをミクロトームを用いて短手方向(横方向)に切断し、断面を形成させ、該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜10,000倍に拡大観察して断面写真を採取し、気泡の有無を調べた。また、採取した断面写真において、気泡の内側における非相溶性樹脂の有無を観察することにより、気泡内の非相溶性樹脂の有無を調べた。
(10)気泡の断面積(μm2
二軸延伸フィルムをミクロトームを用いて短手方向(横方向)に切断し、断面を形成させ、該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜10,000倍に拡大観察して断面写真を採取する。該断面写真において、気泡の断面を形成する境界線を全てマーキングし、該マーキング部分をハイビジョン画像解析装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理することにより、各々の気泡の断面積を算出した。ただし、気泡の断面積の平均値は、断面採取位置を変えて計5回測定を行い、得られた各々の気泡の断面積を平均して算出した。
(11)非相溶性樹脂の長径長さ(μm)および断面積(μm2
二軸延伸フィルムをミクロトームを用いて短手方向(横方向)に切断し、断面を形成させた。二軸延伸フィルムの該内部平面および該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて500〜10,000倍に拡大観察してそれぞれ平面写真および断面写真を採取する。該内部平面写真において、観察される非相溶性樹脂の長径長さを計測した。また、該断面写真において、観察される非相溶性樹脂の断面を全てマーキングし、該マーキング部分をハイビジョン画像解析装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理することにより、各々の非相溶性樹脂の断面積を算出した。ただし、非相溶性樹脂の長径長さおよび断面積の平均値は、内部平面および断面採取位置を変えて計5回測定を行い、得られた各々の非相溶性樹脂の長径長さおよび断面積を平均して算出した。
尚、積層フィルムの場合は、二軸延伸フィルムの両面に、端部が少しはみ出るようにテープをはり、テープごとそれらを引き剥がすことでフィルムの内部平面を形成させ、はく離フィルムの厚さから白色ポリプロピレンフィルムの内部平面であることを確認した。
(12)濡れ張力(mN/m)
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液を用いて、JIS K6768に規定された測定方法に基づいて測定した。
(13)比重
フィルムを50mm×60mmの大きさにカットして得た試料サンプルを、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用い、JIS K−7112のA法(水中置換法)に準じて測定した。なお、測定は温度23℃、相対湿度65%の条件下にて行なった。
(14)引き裂き伝搬抵抗
JIS P−8116に準拠して、東洋精機製作所製エレメンドルフ引き裂き伝搬抵抗試験機を用いて測定した。固定式つかみと扇型の振り子と共に動く可動式つかみに試料(長さ70mm、巾63mm)を取り付け、備え付けの刃で幅中央に20mmの切り込みを入れ、瞬間的に振り子を放し、引き裂き時に可動式つかみが有する位置エネルギーの損失から求めた。
(15)光学濃度(OD)
Macbeth社製光学濃度計TD−504を用いて測定した。
(16)クッション率(%)
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B−7509、測定子5mmφ平型)に標準測定子(No.900030)を取り付け、ダイヤルゲージスタンド(No.7001DGS−M)に設置する。無荷重でのフィルム厚みをd0とし、ダイヤルゲージ押さえ部分に500gの荷重をかけた時の厚みをd500として下記式で求める。
・クッション率(%)={(d0−d500)/d0}×100。
(17)表面光沢度(%)
JIS Z−8741に基づいて、スガ試験機(株)製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用い、入出角度45°での光沢度として求めた。また、紙とフィルムをラミネートして受容層を塗布した受容シートの光沢度は、受容層を塗布した面について測定し、表面光沢度とした。
(18)耐折れじわ性
白色フィルムの表面(受容層形成面と反対面)に厚さ65μmの粘着剤付き上質紙(コクヨ(株)ワープロ用ラベルシート、タイ−2110−W)に均一に貼り合わせ、折れじわ評価用のシートを作製した。該シートを長さ200mm、幅15mmに切り出し、一端を固定し、200gの重りをワイヤーにて両サイドに繋げた直径5mmの鉄の円芯を軸にフィルム面を内側にして180度折り返しながら残る一端を200mm/秒で引張し、フィルム面上のしわの発生状態を実体顕微鏡で観察し、以下のように判定した。
A級:しわの発生が0〜2個/cm
B級:しわの発生が3〜5個/cm
C級:しわの発生が6〜8個/cm
D級:しわの発生が9個以上/cm
とした。A級、B級が実用に供するものである。
(19)感度
本発明の白色フィルムを厚さ150μmの紙に貼合せた後、フィルム表面に以下の受容層形成塗液をマイクログラビアコーターにて塗工量が乾燥時で3g/m2となるように塗布し、感熱転写記録用の受容シートを得た。
[受容層形成塗液]
ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロン200) 20部
シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、X−22−3000T) 2部
トルエン 39部
メチルエチルケトン 39部。
次にカラープリンターとして「Professional Color Point 1835」(セイコー電子工業(株)製)を用い、専用のインキリボンを用いて、該受容シートの受容層形成面にテスト印字を行った。次に、印字したテストパターン10回実施し、下記により判定し、画像再現性について評価した。
・A級:全て濃度が高く、きれいであり極めて良好。
・B級:1〜2回、若干濃度が低いか、僅かに「欠け」が見られるものがあるがそれ以外は濃度が高く、きれいであり良好。
・C級:3〜5回濃度が低いか、「欠け」や「つぶれ」が見られるものがある。
・D級:6回以上濃度が低いか、「欠け」や「つぶれ」が見られるものがある。
とした。A級、B級が実用に供するものである。
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、気泡含有ポリプロピレンフィルム層(A)の樹脂組成として、ポリプロピレン樹脂(極限粘度[η]:2.3dl/g、MFR:3.0g/10分、II:96%)99.9重量%と、β晶核剤として、2塩基酸脂肪族系のアゼライン酸と、周期律表第2属アルカリ土類金属の酸化物として酸化マグネシウムを1:1の混合比で0.1重量%を添加混合し、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。該β晶核剤入りポリプロピレンチップのβ晶比率は85%であった。次に、上記ポリプロピレン樹脂65重量%と、該β晶核剤入りポリプロピレン樹脂20重量%、ポリプロプレンに対して非相溶性の熱可塑性樹脂として、ガラス転移点(Tg)150℃以上の非晶性樹脂ポリカーボネート(分子量Mw:15000、MFR:65g/10分、以下PCと略称する)15重量%を添加混合して、これを280℃に加熱された押出機(A)に供給して溶融し、その後260℃に加熱されたTダイ複合口金内に導入した。
一方、層(B)の樹脂組成として、ポリプロピレン樹脂(極限粘度[η]:2.2dl/g、MFR:4.0g/10分、II:96%)100重量%を260℃に加熱された押出機(B)に供給し、同様に溶融してTダイ複合口金内に導入した。
次いで、口金内で押出機(B)の溶融ポリマーを押出機(A)の溶融ポリマーの両表層に積層して、シート状に共押出成形し、ドラフト比1.5で該シートを表面温度40℃に冷却された金属ドラム上に巻きつけて密着冷却固化し、未延伸積層シートを作製した。該未延伸積層シートを130℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、長手方向(縦方向)に5倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続き、この縦延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導入して、150℃に加熱された雰囲気下で幅方向に9倍延伸し、次いで二軸延伸ポリプロピレンフィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために幅方向に8%の弛緩を与えつつ160℃で熱固定をした後、均一に徐冷後室温まで冷却した。
さらに、該白色ポリプロピレンフィルムを受容シートとする場合には、受像層塗布面を窒素ガス85%、炭酸ガス15%の混合ガスの雰囲気中でコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を45mN/mにし、もう一方の面(他基材との貼合わせ面)を空気中でコロナ放電処理を行い表面の濡れ張力を37mN/mにして巻き取った。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた断面観察より、得られた白色ポリプロピレンフィルムの厚み構成はB層/A層/B層=3/29/3μmであった。また、該フィルムはA層に微細な気泡を有していることを確認した。A層の微細な気泡は、主にマトリックスであるポリプロピレン中に分散せしめられたPCを核としてその周囲に形成されており、長径が延伸方向、短径がフィルム厚み方向で、細長い形状であった。また、PCはマトリックスであるポリプロピレン中に短繊維状に分散していることを確認し、平均長径は15μm、平均断面積が1.7μm2であった。
次に、上記白色ポリプロピレンフィルムを感熱転写記録用の受容シートに二次加工する。
受容シートとする場合には、上記白色ポリプロピレンフィルムを厚さ150μmの紙に貼り合わせた後、マイクログラビアコーターを用いてフィルム表面に上記した受容層形成塗布液を塗工量が乾燥時で3g/m2となるように塗布し、感熱転写記録用の受容シートを得た。
樹脂組成を表1に、特性を表2示した。得られたフィルムは、優れた隠蔽性とクッション率、ならびに耐折れじわ性を併せ持ち、また、耐引き裂き性に優れていることから、破れることなく安定に製膜できた。また、受容シートとしても感度が良好であった。
(実施例2)
実施例1において、ポリプロピレン樹脂を55重量%、β晶比率85%のSUNOCO社製“Bepol”タイプBI−4020−SPを20重量%、PCを25重量%の組成とした以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表1に、特性を表2示した。本発明のフィルムは感熱転写記録用の受容シート基材として優れていることが分かる。
(実施例3)
実施例1において、A層樹脂のポリプロピレンに対して非相溶性の熱可塑性樹脂として、ポリカーボネートの代わりにポリブチレンテレフタレート(融点:227℃、軟化温度:150℃)を用いた以外は同様の条件で作製した厚み構成3/30/3μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム、およびそれを用いた感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表1に、特性を表2に示した。得られたフィルムは優れた隠蔽性とクッション率、ならびに耐折れじわ性を併せ持ち、かつ安定に製膜できた。また、引き裂き伝搬抵抗の和は、3.9N/mmであり、製膜時に破れることなく安定に製膜でした。また、二次加工性に優れるとともに、二次加工後の受容シートとしても感度が良好であった。
(実施例4)
実施例1において、PCの代わりにTgが140℃の非晶性樹脂の環状ポリオレフィンの“アペル”APL6015(三井化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表1に、特性を表2示した。本発明のフィルムは、感熱転写記録用の受容シート基材として優れていることが分かる。
(実施例5)
実施例1において、A層組成として、β晶比率85%のβ晶核剤入りポリプロピレン樹脂93重量%、PC7重量%とし、層(B)の樹脂組成として、ポリプロピレン樹脂96.9重量%と、実施例1のA層と同様のβ晶核剤0.1重量%添加混合し、さらに、ポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製“TPX”RT18、MFR:22g/10分)3重量%を添加混合して、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを用いた以外は、同様の条件で作製した厚み構成4/28/4μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム、およびそれを用いた感熱転写記録用受容シートを得た。
SEMによる断面観察より、該フィルムはA層およびB層に微細な気泡を有していることを確認した。A層の微細な気泡は主にマトリックスであるポリプロピレン中に分散せしめられたPCを核としてその周囲に形成されており、長径が延伸方向、短径が幅方向の長い形状であった。また、B層には核のない気泡が全ての気泡の50%以上存在することを併せて確認した。樹脂組成を表1に、特性を表2示した。本発明のフィルムは、感熱転写記録用の受容シート基材として優れていることが分かる。
(比較例1)
実施例1において、A層のPCの代わりに、無機粒子として平均粒径1.5μmの炭酸カルシウムを用いた以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表1に、特性を表2示した。本フィルムは特性は表2のとおりであって、粒子の形状が球状に近いため、引き裂き伝搬抵抗が低く、耐引き裂き性に劣り、また、粒子の欠落により、工程上の汚れなどの問題があった。また、感熱転写記録用の受容シートの製膜性に破れるなどの問題があった。
(比較例2)
実施例1において、A層組成をβ晶比率85%のβ晶核剤入りポリプロピレン樹脂を加えずに、ポリプロピレン樹脂85重量%、PC15重量%とした以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表3に、特性を表4示した。本発明のフィルムは、β晶比率20%以上のβ晶核剤入りポリプロピレン樹脂を含有しないために、A層内の気泡にむらが大きく、かつ製膜が不安定で破れが頻発した。また、比重が高く、光学濃度ODとクッション率が低いために、感熱転写記録用の受容シート基材として感度に劣っていた。
(比較例3)
実施例1において、A層組成をPCを加えずにポリプロピレン樹脂80重量%、β晶比率85%のβ晶核剤入りポリプロピレン樹脂20%とした以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表3に、特性を表4示した。本発明のフィルムは、気泡開始剤である非相溶性樹脂を含有しないために、A層内の気泡が出来ずに、光学濃度が低かった。また、比重が高く、光学濃度ODとクッション率が低いために、感熱転写記録用の受容シート基材として感度に劣っていた。
(比較例4)
実施例1において、A層のPCの代わりに、Tgが40℃のポリメチルペンテン樹脂(以下PMPと略称する)を用いた以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表3に、特性を表4示した。本フィルムは特性は表4のとおりであって、PMPが球状分散しており、比重が高く、光学濃度ODとクッション率が低いために、感熱転写記録用の受容シート基材として感度に劣っていることが分かる。
(比較例5)
実施例1において、ポリプロピレン樹脂15重量%、β晶比率85%のβ晶核剤入りポリプロピレン樹脂50重量%、PCを35重量%とした以外は、実施例1と同様に二軸延伸ポリプロピレンフィルム及び感熱転写記録用受容シートを得た。樹脂組成を表3に、特性を表4示した。本フィルムは特性は表4のとおりであって、比重が低くなりすぎて、折れじわが発生し、感熱転写記録用の受容シート基材として劣っており、また、製膜性が不安定で生産性に劣るものであった。
Figure 2004292800
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Claims (6)

  1. 比重が0.4〜0.8、光学濃度ODが0.4以上の気泡含有ポリプロピレンフィルムであって、フィルム中に少なくとも短繊維形状の非相溶性樹脂が存在し、かつ長手方向と幅方向の引き裂き伝搬抵抗の和が3.5N/mm以上であることを特徴とする白色ポリプロピレンフィルム。
  2. 非相溶性樹脂の短繊維形状が、長径1〜100μm、断面積0.03〜5μm2である請求項1に記載の白色ポリプロピレンフィルム。
  3. フィルム中に存在する短繊維形状の非相溶性樹脂の割合が、非相溶性樹脂全体の50%以上である請求項1または2に記載の白色ポリプロピレンフィルム。
  4. 非相溶性樹脂の溶解パラメーターが、ポリプロピレンの溶解パラメーターに対して±1.0[(MPa)1/2]以上の差を有する請求項1〜3に記載の白色ポリプロピレンフィルム。
  5. β晶比率が20%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の白色ポリプロピレンフィルム。
  6. 少なくとも片面に、他の層を積層してなる請求項1〜5のいずれかに記載の白色ポリプロピレンフィルム。
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