JP2004292782A - 新規トリアリールアミンポリマー、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する分野】
本発明は新規なトリアリールアミンポリマーとその製造方法、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子の材料は、発光層を主体に、正孔又は電子を輸送するキャリア輸送層、陰極及び陽極の2つの電極、その他の材料に分けられる。
【0003】
有機EL素子の材料としては、前記発光層やキャリア輸送層に種々の低分子系材料や高分子系材料が用いられており、特に低分子系材料においては数多くの材料が提案されている。
【0004】
一方、高分子系材料においても、例えば、ポリ(p−フェニレンビニレン)や、ポリアルキルチオフェン等の導電性π共役ポリマーが知られており(例えば、特許文献1参照)、また近年、トリアリールアミンを含むポリマーが報告されている(例えば、特許文献2〜6参照)。
【0005】
そして本発明者らも、主鎖にトリアリールアミンを含む新規トリアリールアミンポリマーの効率的合成法を開発し、既に特許出願している(例えば、特許文献7〜11参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−273087号(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平08−054833号(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平08−259935号(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特開平11−035687号(特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開平11−292829号(特許請求の範囲)
【特許文献6】
特開平13−098023号(特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開平11−021349号(特許請求の範囲)
【特許文献8】
特開平11−080346号(特許請求の範囲)
【特許文献9】
特開平11−080347号(特許請求の範囲)
【特許文献10】
特開平11−080348号(特許請求の範囲)
【特許文献11】
特開平11−080349号(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ポリマーを有機EL材料として用いるためには、末端部位の熱的安定性が低く、寿命の問題などから必ずしも満足のいくものではなかった。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は溶解性及び成膜性に優れ、かつ耐熱安定性を向上させた新規トリアリールアミンポリマーとその簡便な製造方法、及びそれを用いた有機EL素子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明のトリアリールアミンポリマー、その製造方法及びその用途を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0011】
【化10】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6及びAr7は各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Ar1とAr2とは同一又は異なり、Ar3とAr4とは同一又は異なる。mは1以上の整数である。)で表わされる新規トリアリールアミンポリマー、その製造方法及びその用途である。
【0012】
上記一般式(1)においては、置換基Ar3とAr4が同一である事が好ましい。さらにAr1とAr2が同一の場合、下記一般式(2)
【0013】
【化11】
(式中、Ar1、Ar3、Ar5、Ar6及びAr7は各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表す。nは2以上の整数である。)で表す事が出来る。
【0014】
また、上記一般式(2)において、Ar5とAr7が同一であり、かつAr3とAr6が同一であることが好ましい。
【0015】
上記一般式(1)及び一般式(2)で示される化合物において、置換基Ar5、Ar6及びAr7は、無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表す。好ましくは炭素数6〜30の芳香族基である。芳香族基としては、例えば、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、ターフェニル基又はフルオレニル基等が挙げられるが、下記一般式(3)に示す構造が好ましい。
【0016】
【化12】
(式中、R1は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、R1は他の置換基と縮合環を形成しても良い。aは0〜5の整数である。)
上記一般式(3)において、置換基R1としては、上記の定義に該当すれば特に限定するものではないが、具体的には、水素原子の他、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、アルケニル基(エテニル基、2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基等)、アリール基(フェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル基、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基、4−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、9−アントラセニル基、9,9二置換−2−フルオレニル基等)、アリールアミノ基(ジフェニルアミノ基、ジ−p−トリルアミノ基、N−フェニル−1−ナフチルアミノ基、N−フェニル−2−ナフチルアミノ基等)及びヘテロアリール基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリジル基等)を挙げることができる。より好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリールアミノ基のいずれかである。
【0017】
上記一般式(1)及び(2)において、置換基Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表わす。好ましくは炭素数6〜30の芳香族基である。芳香族基としては、無置換の若しくは置換基を有するフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンスリル基、ビフェニル基、ターフェニル基又はフルオレニル基等が好ましい。
【0018】
上記一般式(1)及び(2)において、置換基Ar1及びAr2としては、例えば、下記一般式(4)〜(8)のいずれかに示すような構造を挙げることが出来る。
【0019】
【化13】
(式中、R2及びR3は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、R2は他の置換基と縮合環を形成しても良い。AはS,O,SO2,CO,CH2又はC(CH3)2のいずれかである。bは0〜4の整数、cおよびdは1〜4の整数である。)
上記一般式(4)においては下記一般式(4−1)及び(4−2)の構造が更に好ましい。
【0020】
【化14】
(式中iは2〜4の整数である。)
上記一般式(4)及び一般式(5)において、置換基R2及びR3としては、上記の定義に該当すれば特に限定するものではないが、具体的には、置換基R1として挙げた置換基等を挙げることができる。
【0021】
また上記一般式(1)及び一般式(2)において、置換基Ar3及びAr4としては、例えば、下記一般式(9)〜(13)に示すような構造を挙げることが出来る。
【0022】
【化15】
(式中、R4及びR5は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基であり、R4は他の置換基と縮合環を形成しても良い。eは0〜5の整数である。)
上記一般式(9)及び一般式(13)において、置換基R4及びR5としては、上記の定義に該当すれば特に限定するものではないが、具体的には、置換基R1として挙げた置換基等を挙げることができる。
【0023】
本発明のトリアリールアミンポリマーは、上記の定義に該当すれば特に限定するものではないが、下記一般式(14)〜一般式(18)が特に好ましい。
【0024】
【化16】
(式中、R6〜R30は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリールアミノ基又はヘテロアリール基である。f、g及びhは1〜4の整数であり、mは1以上の整数、nは2以上の整数を表す。)
上記一般式(14)〜一般式(18)において、R6〜R30としては、上記の定義に該当すれば特に限定するものではないが、具体的には置換基R1として挙げた置換基等を挙げることができる。好ましくは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基のいずれかである事が好ましい。
【0025】
本発明のトリアリールアミンポリマーの重量平均分子量は、トリアリールアミンポリマーと称されるものであれば特に限定されるものではないが、ポリスチレン換算で500〜500,000の範囲であり、より好ましくはポリスチレン換算で1,000〜100,000の範囲である。
【0026】
次に本発明のトリアリールアミンポリマーの製造方法について説明する。
【0027】
本発明の上記一般式(1)及び一般式(2)で示されるトリアリールアミンポリマーは、下記一般式(19)又は一般式(20)
【0028】
【化17】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表す。mは1以上の整数、nは2以上の整数である。)で表される繰り返し構造単位を有するトリアリールアミンポリマーに対し、トリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンとパラジウム化合物からなる触媒並びに塩基の存在下で、下記一般式(21)
【0029】
【化18】
(式中、Ar5及びAr6は各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表す。)で表されるアリールアミン及び/又は下記一般式(22)
【0030】
【化19】
(式中、Ar7は各々独立して無置換または置換基を有する炭素数6〜60の芳香族基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるアリールハライドを反応させることにより、簡便かつ効率的に製造することが出来る。
【0031】
本発明の方法で使用される上記一般式(19)及び一般式(20)で表されるトリアリールアミンポリマーの製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、前述特許文献7の方法、すなわち下記反応式で示されるように種々のアリーレンジハライドとアリールアミン又はアリーレンジアミンをトリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンとパラジウム化合物からなる触媒並びに塩基の存在下重合させる事によって合成できる。
【0032】
【化20】
(反応式中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4は各々独立して炭素数6〜60の芳香族基であり、X1及びX2はハロゲン原子である。ポリマー末端B及びCは水素原子又はハロゲン原子を表す。mは1以上の整数、nは2以上の整数である。)
上記反応式中で表されるアリールアミンとしては、特に限定するものではないが、具体的にはアニリン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、4−プロピルアニリン、4−n−ブチルアニリン、4−t−ブチルアニリン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、1−アミノナフタレン、2−アミノナフタレン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノフェナンスレン、2−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル等を例示することができる。
【0033】
上記反応式中で表されるアリーレンジアミンとしては、特に限定するものではないが、具体的には、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−メトキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3−メトキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−メチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−メチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3−ヒドロキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3−トリフルオロメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2,6−ジメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3,6−ジメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2,3−ジメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3,4−ジメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2,4−ジメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3,5−ジメチルフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3−トリフルオロメトキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−トリフルオロメトキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3−ビフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−ビフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−ナフチル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(3,4−メチレンジオキシフェニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−メチルナフチル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(4−メチルナフチル)フェニレンジアミン、N,N’−ジ(2−フルオレニル)フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ジ(2−メトキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3−メトキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2−メチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3−メチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−メチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2−ヒドロキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3−ヒドロキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3−トリフルオロメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2,6−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3,6−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2,3−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3,4−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2,4−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3,5−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3−トリフルオロメトキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−トリフルオロメトキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(3−ビフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−ビフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン、N,N’−ジ(2−ナフチル)ベンジジン、N,N’−ジ(3,4−メチレンジオキシフェニル)ベンジジン、N,N’−ジ(2−メチルナフチル)ベンジジン、N,N’−ジ(4−メチルナフチル)ベンジジン、N,N’−ジ(2−フルオレニル)ベンジジン、N,N’−ジフェニル−9,10−アントラセンジアミン等を例示することができる。
【0034】
上記反応式中のアリーレンジアミンにおいては、非対称構造のアリーレンジアミンを用いたアリーレンジハライドとの反応の場合、繰返し構造が規則正しく配列しない事があり得る。
【0035】
上記反応式中で表されるアリーレンジハライドとしては、特に限定するものではないが、具体的には無置換又は置換基を有するジブロモアリール類(1,4−ジブロモベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、2,5−ジブロモトルエン、3,5−ジブロモトルエン、1,4−ジブロモ−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ジブロモ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、4,4’−ジブロモビフェニル、9,10−ジブロモアントラセン、N−メチル−3,6−ジブロモカルバゾール、N−エチル−3,6−ジブロモカルバゾール、N−プロピル−3,6−ジブロモカルバゾール、N−ブチル−3,6−ジブロモカルバゾール、2,7−ジブロモフルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジメチル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジエチル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等);無置換又は置換基を有するジクロロアリール類(1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、3,5−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロ−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ジクロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、9,10−ジクロロアントラセン、N−メチル−3,6−ジクロロカルバゾール、N−エチル−3,6−ジクロロカルバゾール、N−プロピル−3,6−ジクロロカルバゾール、N−ブチル−3,6−ジクロロカルバゾール、2,7−ジクロロフルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジメチル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジエチル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等);無置換又は置換基を有するジヨードアリール類(1,4−ジヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、2,5−ジヨードトルエン、3,5−ジヨードトルエン、1,4−ジヨード−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ジヨード−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、4,4’−ジヨードビフェニル、9,10−ジヨードアントラセン、N−メチル−3,6−ジヨードカルバゾール、N−エチル−3,6−ジヨードカルバゾール、N−プロピル−3,6−ジヨードカルバゾール、N−ブチル−3,6−ジヨードカルバゾール、2,7−ジヨードフルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジメチル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジエチル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2,7−ジヨード−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)等を例示することができる。
【0036】
触媒成分として使用するパラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、4価のパラジウム化合物類(ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等)、2価パラジウム化合物類(塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等)、及び、0価パラジウム化合物類(トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等)を挙げることができる。
【0037】
パラジウム化合物の使用量は特に限定されるものではないが、例えば、原料のアリーレンジハライドのハロゲン原子1モルに対し、パラジウム換算で通常0.00001〜20モル%の範囲であり、高価なパラジウム化合物を使用することから、好ましくは原料のアリーレンジハライドのハロゲン原子1モルに対し、パラジウム換算で通常0.001〜5モル%の範囲である。
【0038】
本発明の方法において、触媒成分として使用するトリアルキルホスフィン類としては、特に限定するものではないが、例えば、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−sec−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等が挙げられる。これらのうち触媒として特に高い反応活性を有することから、トリターシャリーブチルホスフィンを使用することが好ましい。
【0039】
また本発明の方法において、触媒成分として使用するアリールホスフィン類としては、特に限定するものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、トリメシチルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノフェロセン等が挙げられる。
【0040】
トリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンの使用量は、特に限定するものではないが、パラジウム化合物に対して通常0.01〜10000倍モルの範囲で使用すればよく、高価なトリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンを使用することから、好ましくはパラジウム化合物に対して0.1〜10倍モルの範囲である。
【0041】
触媒の添加方法としては、特に限定するものではなく、反応系にそれぞれ触媒成分として単独に加えても良いし、予めこれら触媒成分よりなる錯体の形に調製して添加してもよい。
【0042】
塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、ナトリウム,カリウムの炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等の無機塩基又は3級アミン等の有機塩基が挙げられる。これらのうち、好ましくはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドであり、それらは反応系にそのまま加えても、また、アルカリ金属、水素化アルカリ金属又は水酸化アルカリ金属とアルコールとからその場で調製して反応系に供してもよい。より好ましくはリチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の3級アルコキシドを反応系にそのまま加える。
【0043】
塩基の使用量は、特に限定するものではないが、好ましくは反応系に添加するアリールハライドのハロゲン原子に対して0.5倍モル以上であり、反応終了後の後処理操作を考慮すれば、より好ましくはアリールハライドのハロゲン原子に対して1〜5倍モルの範囲である。
【0044】
このようにして得られたポリマーは、原料やその仕込み比等の条件により異なるものの、主に上記反応式に示す原料由来のハロゲン、二級アミン末端部位が存在する。このポリマーを例えば有機EL素子の正孔注入材料として用いる場合、熱的安定性や残存ハロゲンの問題があるため、寿命の観点から長期的な使用に対して利用できない。そこで、一般式(21)で表されるアリールアミン及び/又は一般式(22)で表されるアリールハライドを更に反応させる事により、安定性を向上させたポリマーの合成を行う。
【0045】
本発明の方法で使用される上記一般式(21)で表されるアリールアミンとしては、特に限定するものではないが、具体的には、ジフェニルアミン、ジ−p−トリルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン等を例示することができる。
【0046】
本発明の方法で使用される上記一般式(22)で表されるアリールハライドとしては、特に限定するものではないが、具体的には無置換又は置換基を有するブロモベンゼン類(ブロモベンゼン、2−ブロモトルエン、3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエン、2−ブロモ−m−キシレン、2−ブロモ−p−キシレン、3−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−m−キシレン、5−ブロモ−m−キシレン、1−ブロモ−2−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−プロピルベンゼン、1−ブロモ−4−n−ブチルベンゼン、1−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン、1−ブロモ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ブロモアニソール、3−ブロモアニソール、4−ブロモアニソール、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、2−ブロモビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、9−ブロモアントラセン、9−ブロモフェナンスレン、N−メチル−3−ブロモカルバゾール、N−エチル−3−ブロモカルバゾール、N−プロピル−3−ブロモカルバゾール、N−ブチル−3−ブロモカルバゾール、2−ブロモフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジメチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジエチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)、無置換又は置換基を有するクロロベンゼン類(クロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2−クロロ−m−キシレン、2−クロロ−p−キシレン、3−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−m−キシレン、5−クロロ−m−キシレン、1−クロロ−2−エチルベンゼン、1−クロロ−4−エチルベンゼン、1−クロロ−4−プロピルベンゼン、1−クロロ−4−n−ブチルベンゼン、1−クロロ−4−t−ブチルベンゼン、1−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−クロロアニソール、3−クロロアニソール、4−クロロアニソール、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、2−クロロビフェニル、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、9−クロロアントラセン、9−クロロフェナンスレン、N−メチル−3−クロロカルバゾール、N−エチル−3−クロロカルバゾール、N−プロピル−3−クロロカルバゾール、N−ブチル−3−クロロカルバゾール、2−クロロフルオレン、2−クロロ−9,9−ジメチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジエチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)、及び、無置換又は置換基を有するヨードベンゼン類(ヨードベンゼン、2−ヨードトルエン、3−ヨードトルエン、4−ヨードトルエン、2−ヨード−m−キシレン、2−ヨード−p−キシレン、3−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−m−キシレン、5−ヨード−m−キシレン、1−ヨード−2−エチルベンゼン、1−ヨード−4−エチルベンゼン、1−ヨード−4−プロピルベンゼン、1−ヨード−4−n−ブチルベンゼン、1−ヨード−4−t−ブチルベンゼン、1−ヨード−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ヨードアニソール、3−ヨードアニソール、4−ヨードアニソール、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、2−ヨードビフェニル、3−ヨードビフェニル、4−ヨードビフェニル、9−ヨードアントラセン、9−ヨードフェナンスレン、N−メチル−3−ヨードカルバゾール、N−エチル−3−ヨードカルバゾール、N−プロピル−3−ヨードカルバゾール、N−ブチル−3−ヨードカルバゾール、2−ヨードフルオレン、2−ヨード−9,9−ジメチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジエチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−t−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)を例示することができる。
【0047】
本発明の方法において、上記一般式(21)で表されるアリールアミン及び/又は一般式(22)で表されるアリールハライドを、上記一般式(19)又は一般式(20)で表されるトリアリールアミンポリマーを製造してから加えて反応させても良いし、トリアリールアミンポリマーを製造する過程の途中で反応器内へ直接加えて反応させても良い。好ましくは、ポリマー製造時、一定時間後反応器内へ更に逐次添加する事により反応させる。
【0048】
本発明の方法において、上記一般式(21)で表されるアリールアミン及び/又は一般式(22)で表されるアリールハライドの添加量は、反応に用いるトリアリールアミンポリマーの分子量や重合反応条件により一定ではないため特に限定するものではないが、重合反応時に直接加える場合は原料のアリーレンジハライドに対して0.01〜0.8倍モルの割合で添加することが好ましく、更に好ましくは0.1〜0.5倍モルの割合で添加する。
【0049】
本発明の上記一般式(21)で表されるアリールアミン及び/又は一般式(22)で表されるアリールハライドと上記一般式(19)又は一般式(20)で表されるトリアリールアミンポリマーとの反応においては、上記一般式(19)又は一般式(20)で表されるトリアリールアミンポリマーの重合で用いたものと同様のトリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィンとパラジウム化合物からなる触媒並びに塩基の存在下で反応を進行させる。
【0050】
本発明の方法において、触媒として用いるパラジウム化合物、トリアルキルホスフィン及び/又はアリールホスフィン並びに塩基の使用量は反応に用いるトリアリールアミンポリマーの分子量により一定ではないため特に限定されるものではないが、例えば、重合反応時にアリールアミン及び/又はアリールハライドを直接加える場合においてはパラジウム化合物を添加する必要はなく簡略化が可能である。
【0051】
本発明のトリアリールアミンポリマーの製造は、通常は不活性溶媒存在下で実施することが好ましい。使用する溶媒としては、本反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げる事が出来る。これらのうち、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒である。
【0052】
本発明のトリアリールアミンポリマーの製造は、好ましくは常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施するが、たとえ加圧条件であっても実施することが可能である。
【0053】
本発明の方法において反応温度は、トリアリールアミンを製造することが可能な反応温度であれば特に限定するものではないが、通常20〜300℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃の範囲で実施する。
【0054】
本発明の方法において反応時間は、製造するトリアリールアミンポリマーにより一定ではないため特に限定するものではないが、多くの場合、数分〜72時間の範囲から選択すれば良い。好ましくは24時間未満である。
【0055】
本発明のトリアリールアミンポリマーは、電界効果トランジスタ、光機能素子、色素増感太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス素子等の電子素子における導電性高分子材料として使用される。特に、有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送材料、発光材料及びバッファー材料として極めて有用である。
【0056】
本発明の有機EL素子は、前記高分子材料を含有する有機層を備えていれば、素子構造は特に限定されない。本発明のトリアリールアミンポリマーは、溶解性に優れることから、例えば、これら材料の溶液、混合液又は溶融液を使用して、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法等の従来公知の塗布法によって、前記素子を簡便に作成できる。また、インクジェット法、ラングミュア−ブロジェット法等によっても容易に作成することができる。
【0057】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0058】
実施例1
冷却管、温度計を装着した100ml四つ口丸底フラスコに、室温下4,4’−ジヨードビフェニル4.06g(10mmol)、4−n−ブチルアニリン1.64g(11mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド2.31g(24mmol;臭素原子に対して1.2当量)及びo−キシレン40mlを仕込んだ。この混合液に予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体22.9mg(0.025mmol;臭素原子に対して0.25mol%)及びトリターシャリーブチルホスフィン0.22ml(パラジウム原子に対して原子4当量)のo−キシレン(5ml)溶液を添加した。その後窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら3Hr熟成した。3Hr後ブロモベンゼンを0.32g(2mmol)を添加し、更に3Hr反応を行った。反応終了後この反応混合物を約80℃まで冷却した後、90%アセトン水溶液(200ml)の攪拌溶液へゆっくり加えた。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥し淡黄色粉体を得た(96%)。得られた粉体を元素分析および赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(23)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。元素分析および赤外分光分析の測定結果をそれぞれ表1および図1に示す。また得られたポリマーをTHF系GPC(東ソー製:HLC−8220;カラム:G4000HXL−G3000HXL−G2000HXL−G2000HXL(いずれも東ソー製))にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量9,700及び数平均分子量5,800(分散度1.7)であった。ガラス転移温度は171℃を示した。
【0059】
【化21】
【表1】
比較例1
冷却管、温度計を装着した100ml四つ口丸底フラスコに、室温下4,4’−ジヨードビフェニル4.06g(10mmol)、4−n−ブチルアニリン1.64g(11mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド2.31g(24mmol;臭素原子に対して1.2当量)及びo−キシレン40mlを仕込んだ。この混合液に予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体22.9mg(0.025mmol;臭素原子に対して0.25mol%)及びトリターシャリーブチルホスフィン0.22ml(パラジウム原子に対して4当量)のo−キシレン(5ml)溶液を添加した。その後窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら3Hr反応を行った。反応終了後この反応混合物を約80℃まで冷却し、90%アセトン水溶液(200ml)の攪拌溶液へゆっくり加えた。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥し淡黄色粉体を得た(96%)。得られた粉体を元素分析および赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(24)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。元素分析および赤外分光分析の測定結果をそれぞれ表2および図2に示す。また得られたポリマーをTHF系GPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量9,800及び数平均分子量5,800(分散度1.7)であった。ガラス転移温度は166℃を示した。
【0060】
【化22】
【表2】
実施例2
実施例1において、4,4’−ジヨードビフェニル 4.06g(10mmol)の代わりに2,7−ジブロモ−9,9’−ジメチルフルオレン3.52g(10mmol)にする以外は、実施例1に記載した方法に従い実施し、黄色粉体を得た。得られた粉体を赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(25)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。赤外分光分析の測定結果を図3に示す。また得られたポリマーをTHF系GPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量9,800及び数平均分子量6,000(分散度1.6)であった。ガラス転移温度は188℃を示した。
【0061】
【化23】
比較例2
比較例1において、4,4’−ジヨードビフェニル 4.06g(10mmol)の代わりに2,7−ジブロモ−9,9’−ジメチルフルオレン3.52g(10mmol)にする以外は、比較例1に記載した方法に従い実施し、黄色粉体を得た。得られた粉体を元素分析および赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(26)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。赤外分光分析の測定結果を図4に示す。また得られたポリマーをTHF系GPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量10,200及び数平均分子量6,200(分散度1.6)であった。ガラス転移温度は179℃を示した。
【0062】
【化24】
実施例3
比較例1において、4−n−ブチルアニリンの仕込み量を1.64g(11mmol)から1.49g(10mmol)にする以外は、比較例1に記載した処方に従い、120℃で加熱攪拌しながら3Hr反応を行った。3Hr後ブロモベンゼンを47mg(0.3mmol)を添加し、更に2Hr攪拌を行った後、ジフェニルアミン85mg(0.5mmol)を添加し更に2Hr攪拌を行った。反応終了後この反応混合物を約80℃まで冷却した後、90%アセトン水溶液(200ml)の攪拌溶液へゆっくり加えた。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥し淡黄色粉体を得た(96%)。得られた粉体の赤外分光分析は、実施例1で得られた結果と同じであった。また得られたポリマーをTHF系GPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量65,100及び数平均分子量20,200(分散度3.2)であった。
【0063】
実施例4
実施例1において、4,4’−ジヨードビフェニル 4.06g(10mmol)の代わりに2,7−ジブロモ−9,9’−ジオクチルフルオレン5.5g(10mmol)にし、4−n−ブチルアニリン1.64g(11mmol)の代わりにアニリン1.02g(11mmol)にする以外は、実施例1に記載した方法に従い実施し、黄色粉体を得た。得られた粉体を赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(27)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。また得られたポリマーをTHF系GPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量9,800及び数平均分子量6,000(分散度1.6)であった。
【0064】
【化25】
実施例5
実施例4において、アニリン1.02g(11mmol)の代わりにN,N’−ジフェニルフェニレンジアミン2.66g(10mmol)にする以外は、実施例3に記載した方法に従い実施し、黄色粉体を得た。得られた粉体を赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(28)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。また得られた粉体をGPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量19,000及び数平均分子量9,200(分散度2.1)であった。
【0065】
【化26】
実施例6
実施例4において、アニリン1.02g(11mmol)の代わりにN,N’−ジフェニルベンジジン3.7g(11mmol)にする以外は、実施例1に記載した方法に従い実施し、黄色粉体を得た。得られた粉体を赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(29)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。また得られた粉体をGPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量16,000及び数平均分子量7,600(分散度2.1)であった。
【0066】
【化27】
実施例7
実施例4において、アニリン1.02g(11mmol)の代わりにN,N’−ジフェニル−9,10−アントラセンジアミン3.6g(10mmol)にする以外は、実施例1に記載した方法に従い実施し、橙色粉体を得た。得られた粉体を赤外分光分析により測定したところ、下記一般式(30)で表されるトリアリールアミンポリマーである事が確認された。また得られた粉体をGPC(東ソー製:HLC−8220)にて分析した結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量8,300及び数平均分子量4,300(分散度1.9)であった。
【0067】
【化28】
実施例8(耐熱性の比較)
実施例1及び比較例1で合成したトリアリールアミンポリマー(23)及び(24)を電気炉内で窒素気流中230℃で加熱した。加熱後のポリマーの外観はポリマー(24)の方が変色が大きかった。これを0.1%溶液として色差計(日本電色製ZE2000)によりAPHAを加熱前と加熱後で比較した結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
実施例9(素子の作製と評価)
まずITOガラス基板上へ実施例1で合成したポリマー(23)のトルエン溶液を用いてスピンコート法により350オングストロームの厚みで成膜した。減圧下60℃、1Hr乾燥した後、続けてその上に4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPB、500オングストローム)、アルミニウムの8−キノリノール錯体(Alq3、500オングストローム)、フッ化リチウム(5オングストローム)、アルミニウム(1,000オングストローム)の順に蒸着した。以上の様にして作成したEL素子に電圧を印加した時の発光特性を表4に示す。
【0069】
比較例3(素子の作製と評価)
実施例9においてポリマー(23)の代わりに比較例1で合成したポリマー(24)を用いた他は、実施例9と同様に素子を作製した。発光特性を表4に示す。
【0070】
比較例4(素子の作製と評価)
実施例9においてポリマー(23)をITOガラス基板上へ成膜しない他は、実施例9と同じ条件で素子を作製した。発光特性を表4に示す。
【0071】
【表4】
以上の結果から、末端をキャップ処理したポリマーを用いたEL素子はより低電圧駆動が可能であり、かつ耐熱性が向上している事から、長期的に使用する場合においては更に大きな優位差が出る事が容易に類推される。
【0072】
【発明の効果】
本発明は、3級アリールアミノ基が末端まで連続した繰り返し構造単位を有する新規トリアリールアミンポリマー、その効率的な製造方法及びその用途を提供するものである。
【0073】
本発明の新規トリアリールアミンポリマーは、溶解性に優れる他、変退色が小さく保存安定性及び耐熱性に優れることから極めて良好な成膜性と安定性を有し、用途としても有機EL素子の正孔輸送材料、発光材料、バッファー材料ばかりでなく、電界効果トランジスタ、光機能素子、色素増感太陽電池等の電子素子に使用される導電性高分子として極めて有用であり、本発明は工業的に極めて有意義である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般式(23)で表されるトリアリールアミンポリマーの赤外分光分析の測定結果を示す。
【図2】一般式(24)で表されるトリアリールアミンポリマーの赤外分光分析の測定結果を示す。
【図3】一般式(25)で表されるトリアリールアミンポリマーの赤外分光分析の測定結果を示す。
【図4】一般式(26)で表されるトリアリールアミンポリマーの赤外分光分析の測定結果を示す。
Claims (18)
- 一般式(1)において、Ar3とAr4が同一であることを特徴とする請求項1に記載のトリアリールアミンポリマー。
- 一般式(2)において、Ar5とAr7が同一であり、かつAr3とAr6が同一であることを特徴とする請求項3に記載のトリアリールアミンポリマー。
- 一般式(3)中のR1が水素原子で表されるフェニル基であることを特徴とする請求項5に記載のトリアリールアミンポリマー。
- 一般式(14)〜一般式(18)において、R6〜R30が各々独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基のいずれかである事を特徴とする請求項9に記載のトリアリールアミンポリマー。
- 重量平均分子量が、ポリスチレン換算で500〜500,000の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかの請求項に記載のトリアリールアミンポリマー。
- 重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜100,000の範囲であることを特徴とする請求項11に記載のトリアリールアミンポリマー。
- 下記一般式(19)又は一般式(20)
- 一般式(19)及び一般式(20)において、ポリマー末端が水素原子及び/またはハロゲン原子であることを特徴とする請求項13に記載のトリアリールアミンポリマーの製造方法。
- トリアルキルホスフィンがトリ−tert−ブチルホスフィンであることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のトリアリールアミンポリマーの製造方法。
- アリールアミンがジフェニルアミンであり、アリールハライドがハロベンゼンである事を特徴とする請求項13乃至15のいずれかの請求項に記載のトリアリールアミンポリマーの製造方法。
- 請求項1乃至請求項12のいずれかの請求項に記載のトリアリールアミンポリマーを用いることを特徴とする電子素子。
- 電子素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項17に記載の電子素子。
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