すなわち、本発明は、下記一般式(5)で表される繰返し単位を含む多分岐アリールアミンポリマー、その製造方法、及び当該多分岐アリールアミンポリマーを用いた電子素子である。
(式中、部分構造Aは下記一般式(1)又は(2)を表す。部分構造Bは下記一般式(3)を表す。部分構造A及びBはそれぞれ、繰返し構造において、全て同じであってもよいし、異なっていてもよい。nは2以上の整数を表す。)
(式中、R1、R2、及びR3は各々独立して炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基を1〜5個有してもよいフェニル基、またはハロゲン原子を表す。a、b、及びcは各々独立して0〜4の整数を表す。)
(式中、R4、R5、及びR6は各々独立して炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基を1〜5個有してもよいフェニル基、またはハロゲン原子を表す。d、e、及びfは各々独立して0〜4の整数を表す。)
(式中、Ar1は、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24の芳香族基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族基を表す。Ar2は各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24のアリーレン基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリーレン基を表す。gは0〜2の整数を表す。)
一般式(1)及び(2)におけるR1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基を1〜5個有してもよいフェニル基、またはハロゲン原子を表す。
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6における炭素数1〜18のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。材料の塗布性を向上させる点で、長鎖アルキル基を導入すると好ましい傾向がある。
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6における炭素数1〜18のアルコキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、n−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。材料の塗布性を向上させる点で、長鎖アルコキシル基を導入すると好ましい傾向がある。
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6における炭素数1〜18の置換基を1〜5個有してもよいフェニル基において、炭素数1〜18の置換基としては、ハロゲン原子及び/又はヘテロ原子を含有していてもよく、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエニル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基、シアノ基、テトラヒドロフラニル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、トリメチルシリル基、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、アセチルフェニル基、シアノフェニル基、メチルチオフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェノキシ基、フリル基、ピリジル基、ジフェニルアミノ基等を挙げることができる。このうち、原料の入手しやすさの点で、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、ピリジル基が好ましい。炭素数1〜18の置換基は、本願発明の効果を損なわない範囲で、1個又は2〜5個結合していてもよい。炭素数1〜18の置換基が複数結合する場合、その各々は同一であっても異なっていてもよい。
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6におけるハロゲン原子としては、特に限定するものではないが、ヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子が挙げられる。
一般式(1)及び(2)におけるa、b、c、d、e、及びfは、各々独立して、0〜4の整数を表す。このうち、製造が容易である点で、a、b、c、d、e、及びfはいずれも0であることが好ましい。一方、材料の塗布性を向上させる点では、a、b、c、d、e、及びfは1〜4の整数であることが好ましい。
一般式(3)におけるAr1は、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24の芳香族基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族基を表す。
Ar1における炭素数1〜18の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)及び(2)におけるR1〜R6で示した炭素数1〜18の置換基と同じ基を示すことが出来る。炭素数1〜18の置換基は、本願発明の効果を損なわない範囲で、炭素数6〜24の芳香族基、又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基に複数結合していてもよい。炭素数1〜18の置換基が複数結合する場合、その各々は同一であっても異なっていてもよい。
Ar1における炭素数6〜24の芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレニル基、フルオレニル基等を挙げることができる。このうち、合成が容易な点で、フェニル基、フルオレニル基が好ましい。
Ar1における炭素数4〜20のヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジル基、カルバゾリル基、チエニル基、ビチエニル基、フリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基等を例示することができる。
一般式(3)におけるAr2は、各々独立して、炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24のアリーレン基、又は炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリーレン基を表す。
Ar2における炭素数1〜18の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)及び(2)におけるR1〜R6で示した炭素数1〜18の置換基と同じ基を示すことが出来る。炭素数1〜18の置換基は、本願発明の効果を損なわない範囲で、炭素数6〜24のアリーレン基、又は炭素数4〜20のヘテロアリーレン基に複数結合していてもよい。炭素数1〜18の置換基が複数結合する場合、その各々は同一であっても異なっていてもよい。
Ar2における炭素数6〜24のアリーレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、フルオレンジイル基等を挙げることができる。このうち、合成が容易な点で、フェニレン基、フルオレンジイル基が好ましい。
Ar2における炭素数4〜20のヘテロアリーレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジンジイル基、カルバソールジイル基、チオフェンジイル基、ビスチオフェンジイル基、フランジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基等を例示することができる。
また、一般式(5)で表される繰返し構造を含んでなる多分岐アリールアミンポリマーは、発光特性、耐久性の点から、少なくとも1つのポリマー末端が下記一般式(4)
(式中、Ar3は炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24の芳香族基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族基を表す。)
で表される置換基であることが好ましい。
Ar3における炭素数1〜18の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)及び(2)におけるR1〜R6で示した炭素数1〜18の置換基と同じ基を示すことが出来る。炭素数1〜18の置換基は、本願発明の効果を損なわない範囲で、炭素数6〜24の芳香族基、又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基に複数結合していてもよい。炭素数1〜18の置換基が複数結合する場合、その各々は同一であっても異なっていてもよい。
Ar3については、本発明の多分岐アリールアミンポリマーを用いた有機電界発光素子の発光特性、耐久性の点から、ハロゲン原子、及びヘテロ原子を含まないものであることが好ましい。
Ar3における炭素数6〜24の芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(3)におけるAr1で示した炭素数6〜24の芳香族基と同じ基を示すことが出来る。
Ar3における炭素数4〜20のヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(3)におけるAr1で示した炭素数4〜20のヘテロ芳香族基と同じ基を示すことが出来る。
次に本発明の多分岐アリールアミンポリマーの製造方法について説明する。
本発明である多分岐アリールアミンポリマーは、パラジウム触媒および塩基の存在下、下記一般式(21)及び記一般式(22)
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜18の置換基を1〜5個有してよいフェニル基、またはハロゲン原子を表す。a、b、c、d、e、及びfは、各々独立して、0〜4の整数を表す。また、Xは、各々独立して、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。)
で表されるポリハロゲン化芳香族化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のポリハロゲン化芳香族化合物と下記一般式(23)
(式中、Ar1は炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24の芳香族基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロ芳香族基を表す。Ar2は炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数6〜24のアリーレン基、または炭素数1〜18の置換基を複数有してもよい炭素数4〜20のヘテロアリーレン基を表す。gは0〜2の整数を表す。)
で表される芳香族アミン化合物のうち1種又は2種以上とを反応させる(この反応を「重合反応」と称する)ことにより製造することができる。
上記のポリハロゲン化芳香族化合物、及び芳香族アミン化合物としては、特に限定するものではないが、市販されているもの、又は一般公知の方法に倣って合成したものを用いることができる。
上記一般式(21)及び(22)で表されるポリハロゲン化芳香族化合物におけるR1〜R6で表される置換基は、一般式(1)及び(2)におけるR1〜R6で示した置換基と同じ基を表す。
上記一般式(21)及び(22)で表されるポリハロゲン化芳香族化合物におけるa〜fは、一般式(1)及び(2)におけるa〜fと同じ整数を表す。
上記一般式(21)及び(22)で表されるポリハロゲン化芳香族化合物におけるXは、各々独立して、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。
上記一般式(23)で表される芳香族アミン化合物においけるAr1及びAr2で表される置換基は、一般式(3)におけるAr1及びAr2で示した置換基と同じ基を表す。
上記一般式(23)で表される芳香族アミン化合物におけるgは、一般式(3)におけるgと同じ整数を表す。
さらに上記の反応で得られた多分岐アリールアミンポリマーに対し、パラジウム触媒及び塩基の存在下で、下記一般式(24)
(式中、Ar5はAr3と同じ定義の置換基を表し、Xは、各々独立して、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。)
で表されるアリールハライド化合物のうち1種又は2種以上、及び/または一般式(25)
(式中、Ar6及びAr7は、各々独立して、Ar3と同じ定義の置換基を表す。)
で表されるジアリールアミン化合物のうち1種又は2種以上を反応(これらの反応を「保護化反応」と総称する)させることにより、ポリマー末端を保護した多分岐アリールアミンポリマーを製造することが出来る。
保護化反応において、アリールハライド化合物を用いる反応と、ジアリールアミン化合物を用いる反応は同時に行うことも可能であるが、多分岐アリールアミンポリマーの保護化反応の反応効率の点で、それぞれ別々に行うことが好ましい。また、別々に反応を行う場合、アリールハライド化合物を用いる反応とジアリールアミン化合物を用いる反応はどちらを先に行ってもよい。
上記のアリールハライド化合物、及びジアリールアミン化合物としては、特に限定するものではないが、市販されているもの、又は一般公知の方法に倣って合成したものを用いることができる。
上記一般式(24)で表されるアリールハライド化合物としては、特に限定するものではないが、具体的にはブロモベンゼン類(ブロモベンゼン、2−ブロモトルエン、3−ブロモトルエン、4−ブロモトルエン、2−ブロモ−m−キシレン、2−ブロモ−p−キシレン、3−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−o−キシレン、4−ブロモ−m−キシレン、5−ブロモ−m−キシレン、1−ブロモ−2−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−プロピルベンゼン、1−ブロモ−4−n−ブチルベンゼン、1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン、1−ブロモ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ブロモアニソール、3−ブロモアニソール、4−ブロモアニソール、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、2−ブロモビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、9−ブロモアントラセン、9−ブロモフェナンスレン、N−メチル−3−ブロモカルバゾール、N−エチル−3−ブロモカルバゾール、N−プロピル−3−ブロモカルバゾール、N−ブチル−3−ブロモカルバゾール、2−ブロモフルオレン、2−ブロモ−9,9−ジメチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジエチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−tert−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−ブロモ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)、クロロベンゼン類(クロロベンゼン、2−クロロトルエン、3−クロロトルエン、4−クロロトルエン、2−クロロ−m−キシレン、2−クロロ−p−キシレン、3−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−o−キシレン、4−クロロ−m−キシレン、5−クロロ−m−キシレン、1−クロロ−2−エチルベンゼン、1−クロロ−4−エチルベンゼン、1−クロロ−4−プロピルベンゼン、1−クロロ−4−n−ブチルベンゼン、1−クロロ−4−tert−ブチルベンゼン、1−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−クロロアニソール、3−クロロアニソール、4−クロロアニソール、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、2−クロロビフェニル、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、9−クロロアントラセン、9−クロロフェナンスレン、N−メチル−3−クロロカルバゾール、N−エチル−3−クロロカルバゾール、N−プロピル−3−クロロカルバゾール、N−ブチル−3−クロロカルバゾール、2−クロロフルオレン、2−クロロ−9,9−ジメチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジエチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−tert−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−クロロ−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)、及び、ヨードベンゼン類(ヨードベンゼン、2−ヨードトルエン、3−ヨードトルエン、4−ヨードトルエン、2−ヨード−m−キシレン、2−ヨード−p−キシレン、3−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−o−キシレン、4−ヨード−m−キシレン、5−ヨード−m−キシレン、1−ヨード−2−エチルベンゼン、1−ヨード−4−エチルベンゼン、1−ヨード−4−プロピルベンゼン、1−ヨード−4−n−ブチルベンゼン、1−ヨード−4−tert−ブチルベンゼン、1−ヨード−5−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、2−ヨードアニソール、3−ヨードアニソール、4−ヨードアニソール、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、2−ヨードビフェニル、3−ヨードビフェニル、4−ヨードビフェニル、9−ヨードアントラセン、9−ヨードフェナンスレン、N−メチル−3−ヨードカルバゾール、N−エチル−3−ヨードカルバゾール、N−プロピル−3−ヨードカルバゾール、N−ブチル−3−ヨードカルバゾール、2−ヨードフルオレン、2−ヨード−9,9−ジメチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジエチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジイソプロピル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−tert−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−sec−ブチル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−ヘキシル−フルオレン、2−ヨード−9,9−ジ−n−オクチル−フルオレン等)を例示することができる。
上記一般式(25)で表されるジアリールアミン化合物としては、特に限定するものではないが、具体的には、ジフェニルアミン、ジ−p−トリルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、ジビフェニルアミン、ビス(ビフェニル−4−イル)アミン等を例示することができる。
重合反応及び保護化反応は、限定するものではないが、いずれも、パラジウム触媒及び塩基存在下、以下に示す条件で実施することができる。
パラジウム触媒は、特に限定するものではないが、通常パラジウム化合物と配位子を構成成分として含む。
パラジウム触媒の構成成分であるパラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、4価のパラジウム化合物類(例えば、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等)、2価のパラジウム化合物類(例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)トリフルオロアセテート等)、及び0価のパラジウム化合物類(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等)を挙げることができる。
パラジウム触媒の構成成分である配位子としては、特に限定するものではないが、パラジウムに配位可能なものであればよく、例えばトリアルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、カルベン系配位子等が挙げられる。
トリアルキルホスフィン類としては、特に限定するものではないが、例えば、トリエチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−sec−ブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン等が挙げられる。これらのうち触媒として特に高い反応活性を有することから、トリ−tert−ブチルホスフィンを使用することが好ましい。
アリールホスフィン類としては、特に限定するものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(m−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、トリメシチルホスフィン、ジフェニルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノフェロセン等が挙げられる。
また、カルベン系配位子としては、例えば、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン塩酸塩等が挙げられる。
パラジウム触媒における配位子の量は、特に限定するものではないが、パラジウム化合物1モルに対して通常0.01〜10000倍モルの範囲で使用すればよく、高価なトリアルキルホスフィン類、アリールホスフィン類、カルベン系配位子を使用することから、好ましくは、パラジウム化合物1モルに対して0.1〜10倍モルの範囲である。
重合反応におけるパラジウム触媒の使用量は特に限定されるものではないが、原料であるポリハロゲン芳香族化合物のハロゲン原子1モルに対し、パラジウム原子換算で通常0.00001〜20モル%の範囲となるようにすることが好ましい。このうち、触媒活性の点、及び高価なパラジウム化合物を使用する点から、通常0.001〜5モル%の範囲であることがより好ましい。
重合反応の後、保護化反応を同一反応容器内で連続して行う場合は、重合化反応の反応液に反応基質であるアリールハライド化合物、ジアリールアミン化合物、及び/または塩基を添加して行うことができる。このとき、パラジウム触媒は交換せずに、重合反応で用いたものをそのまま用いることができるし、触媒を交換したり、追加したりすることもできる。
また、保護化反応は、重合反応の生成物を単離し、全く別の反応容器内で行うこともできる。この場合、パラジウム触媒の使用量は特に限定されるものではないが、原料であるジアリールアミン化合物1モル、またはアリールハライド化合物1モルに対し、パラジウム原子換算で通常0.00001〜20モル%の範囲となるようにすることが好ましい。このうち、触媒活性の点、及び高価なパラジウム化合物を使用する点から、通常0.001〜5モル%の範囲であることがより好ましい。
パラジウム触媒の添加方法としては、特に限定するものではなく、それぞれの反応系にパラジウム触媒を構成する成分をそれぞれ単独に加えても良いし、予めこれら触媒構成成分を混合してパラジウム錯体の形に調製したものを添加してもよい。
重合反応又は保護化反応に用いる塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、ナトリウム,カリウムの炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド等の無機塩基、または3級アミン等の有機塩基が挙げられる。これらのうち、好ましくはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドであり、それらは反応系にそのまま加えても、また、アルカリ金属、水素化アルカリ金属または水酸化アルカリ金属とアルコールとからその場で調製して反応系に供してもよい。より好ましくは、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の3級アルコキシドを反応系にそのまま加える方法である。
塩基の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、重合反応においては、ポリハロゲン化芳香族化合物のハロゲン原子1モルに対して、また、保護化反応においては、ジアリールアミン化合物1モル又はアリールハライド化合物1モルに対して、0.5倍モル以上が好ましく、反応終了後の後処理操作を考慮すれば、1〜50倍モルの範囲がより好ましい。
重合反応及び保護化反応はいずれも、通常は不活性溶媒存在下で実施することが好ましい。使用する溶媒としては、当該反応を著しく阻害しない溶媒であればよく、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げることができる。これらのうち、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒である。
重合反応及び保護化反応はいずれも、好ましくは常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施するが、例え加圧条件であってもよい。
重合反応及び保護化反応における反応温度は、いずれも経済的に許容できる速度で反応が進行する反応温度であれば特に限定するものではないが、通常20〜300℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは100〜150℃の範囲である。
重合反応及び保護化反応における反応時間はいずれも、製造する多分岐アリールアミンポリマー、触媒及び/または反応温度等により一定ではないため特に限定するものではないが、多くの場合、数分〜72時間の範囲から選択すればよい。好ましくは、24時間未満である。
保護化反応は、重合反応の後、同一反応容器内で、原料を追加して連続して行なってもよいし、重合反応で得られた多分岐アリールアミンポリマーを回収後、別の反応容器に新たに仕込み直して行ってもよい。
重合反応、又は重合反応及び保護化反応によって製造された本発明の多分岐アリールアミンポリマーは、再沈殿等により精製することができる。また、パラジウム触媒等の不純物の除去のためにシリカゲルや活性アルミナ等による吸着処理を行うことも可能である。
本発明の多分岐アリールアミンポリマーの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、ポリスチレン換算で1,000〜1,000,000の範囲であり、より好ましくは5,000〜800,000の範囲である。
本発明の多分岐アリールアミンポリマーは、電界効果トランジスタ、光機能素子、色素増感太陽電池、有機電界発光素子等の電子素子における導電性高分子材料として使用される。特に、有機電界発光素子の正孔輸送材料、正孔注入材料、発光材料およびバッファー材料等として極めて有用である。
本発明の有機EL素子は、前記多分岐アリールアミンポリマーを含有する有機層を備えていれば、素子構造は特に限定されない。このうち、本発明の多分岐アリールアミンポリマーを備える有機層は、正孔輸送層、正孔注入層、発光層であることが好ましい。
本発明の多分岐アリールアミンポリマーは、溶解性に優れることから、例えば、これら材料の溶液、混合液、または溶融液を使用して、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法等の従来公知の塗布法によって、前記素子を簡便に作製することができる。また、インクジェット法、ラングミュア−ブロジェット法等によっても容易に作製することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ポリマー分子量:THF系GPC(HLC−8220(東ソー社製)、カラムはTSKgel−SuperH3000、TSKgel−SuperH2000、TSKgel−SuperH1000(いずれも東ソー社製)を連結した。)にて、合成したポリマーの分子量測定を行った。分子量は標準ポリスチレン換算で示した。
ガラス転位温度:DSC200F3(ネッチ社製)を用いて測定した。
HOMO準位:大気中光電子分光装置測定装置AC−3(理研計器株式会社製)を用いて測定した。
LUMO準位:UV−vis吸収スペクトルの吸収端からエネルギーギャップ(Eg)を算出し、HOMOから差し引くことで求めた。
元素分析:全自動元素分析装置2400II(パーキンエルマー製)を用いて分析した。
燐光スペクトル測定:蛍光光度計F−2500(日立社製)を用いて測定した。
実施例1 多分岐アリールアミンポリマー(25)の合成
冷却管、温度計を装着した100ml四つ口丸底フラスコに、室温下、1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼン 1.00g(1.84mmol)、4−n−ブチルアニリン 0.43g(2.90mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 2.12g(22.1mmol)及びo−キシレン 20gを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム 27.5mg(0.030mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 48.6mg(0.24mmol)のo−キシレン(0.194g)溶液を添加した。その後、窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら3時間熟成した。
その後、反応液にブロモベンゼン 87.9mg(0.56mmol)添加し、さらに3時間反応を行った。その後、反応液にジフェニルアミン 1.03g(6.08mmol)を添加し、さらに3時間反応を行なった。
反応終了後、この反応混合物を約80℃まで冷却した後、90%アセトン水溶液(500ml)の攪拌溶液へゆっくり加えた。黄色固体が析出した。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥して黄色固体(多分岐アリールアミンポリマー(25))を得た(収率28%)。
多分岐アリールアミンポリマー(25)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量557,000および数平均分子量30,200(分散度25.3)であった。
多分岐アリールアミンポリマー(25)のガラス転移温度は171℃であった。
多分岐アリールアミンポリマー(25)のHOMO準位は5.58eV、LUMO準位は2.40eVであった。
多分岐アリールアミンポリマー(25)元素分析の測定結果を表1に示す。
実施例2 多分岐アリールアミンポリマー(26)の合成
冷却管、温度計を装着した300ml四つ口丸底フラスコに、室温下、1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼン 4.00g(7.37mmol)、4−n−ブチルアニリン 2.14g(14.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 8.50g(88.4mmol)及びo−キシレン 80gを仕込んだ。この混合液に、予め窒素雰囲気下で調製したトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム 100.7mg(0.11mmol)及びトリ−tert−ブチルホスフィン 178mg(0.88mmol)のo−キシレン(0.71g)溶液を添加した。その後、窒素雰囲気下、温度を120℃まで昇温し、120℃で加熱攪拌しながら3時間熟成した。
その後、反応液にブロモベンゼン 1.56mg(9.95mmol)添加し、さらに3時間反応を行った。その後、反応液にジフェニルアミン 5.42g(32.1mmol)を添加し、さらに3時間反応を行なった。
反応終了後、この反応混合物を約80℃まで冷却した後、90%アセトン水溶液(1000ml)の攪拌溶液へゆっくり加えた。黄色固体が析出した。ろ過により固体をろ別回収し、アセトン、水、アセトンの順番で洗浄した後、減圧乾燥して黄色固体(多分岐アリールアミンポリマー(26))を得た(収率73%)。
多分岐アリールアミンポリマー(26)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量42,700および数平均分子量14,800(分散度2.9)であった。
実施例3 多分岐アリールアミンポリマー(27)の合成
実施例1において4−n−ブチルアニリンの代わりにp−アニシジン 0.44g(3.59mmol)を使用した以外は同様の操作を行ない、多分岐アリールアミンポリマー(27)の黄色固体を得た(収率77%)。
多分岐アリールアミンポリマー(27)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量39,000および数平均分子量13,200(分散度3.0)であった。
多分岐アリールアミンポリマー(27)のガラス転移温度は185℃であった。
多分岐アリールアミンポリマー(27)のHOMO準位は5.48eV、LUMO準位は2.30eVであった。
多分岐アリールアミンポリマー(27)の元素分析の測定結果を表2に示す。
実施例4 多分岐アリールアミンポリマー(28)の合成
実施例1において4−n−ブチルアニリンの代わりにp−トルイジン 0.38g(3.59mmol)を使用した以外は同様の操作を行ない、多分岐アリールアミンポリマー(28)の黄色固体を得た(収率80%)。
多分岐アリールアミンポリマー(28)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量27,100および数平均分子量10,500(分散度2.6)であった。
多分岐アリールアミンポリマー(28)のガラス転移温度は191℃であった。
多分岐アリールアミンポリマー(28)のHOMO準位は5.59eV、LUMO準位は2.42eVであった。
多分岐アリールアミンポリマー(28)の元素分析の測定結果を表3に示す。
実施例5 多分岐アリールアミンポリマー(29)の合成
実施例1において4−n−ブチルアニリンの代わりに4−オクチルアニリン 0.74g(3.59mmol)を使用した以外は同様の操作を行ない、アリールアミンポリマー(29)の黄色固体を得た(収率81%)。
多分岐アリールアミンポリマー(29)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量38,800および数平均分子量12,200(分散度3.2)であった。
多分岐アリールアミンポリマー(29)のガラス転移温度は139℃であった。
多分岐アリールアミンポリマー(29)のHOMO準位は5.57eV、LUMO準位は2.38eVであった。
多分岐アリールアミンポリマー(29)の元素分析の測定結果を表4に示す。
合成例1 多分岐アリールアミンポリマー(30)の合成中間体[3−アミノ−4’−n−ブチルビフェニル]の合成
冷却管、温度計を装着した100ml四つ口丸底フラスコに、室温下、3−アミノフェニルボロン酸・ヘミ硫酸塩 1.00g(5.38mmol)、1−ブロモ−4−ブチルベンゼン 0.95g(4.48mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 104mg(0.090mmol)、炭酸ナトリウム 2.37g(22.4mmol)、蒸留水 10g(1.71mmol)及びテトラヒドロフラン 20gを加えた。混合物を還流下、12時間攪拌を行なった。反応終了後、室温まで放冷し、トルエン 50mLで抽出した。有機層を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。3−アミノ−4’−メチル−1,1’−ビフェニルを得た(収率55%、1−ブロモ−4−n−ブチルベンゼン基準)。
実施例6 多分岐アリールアミンポリマー(30)の合成
実施例1において4−n−ブチルアニリンの代わりに合成例1で合成した3−アミノ−4’−n−ブチル−1,1’−ビフェニル 0.81g(3.59mmol)を使用した以外は同様の操作を行ない、多分岐アリールアミンポリマー(30)の黄色固体を得た(収率59%)。
多分岐アリールアミンポリマー(30)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量19,900および数平均分子量7,700(分散度2.6)であった。
多分岐アリールアミンポリマー(30)のガラス転移温度は165℃であった。
多分岐アリールアミンポリマー(30)のHOMO準位は5.49eV、LUMO準位は2.33eVであった。
多分岐アリールアミンポリマー(30)の元素分析の測定結果を表5に示す。
実施例7 多分岐アリールアミンポリマー(31)の合成
実施例1において1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼンの代わりにトリス(4−ブロモフェニル)アミン 0.72g(1.49mmol)を使用した以外は同様の操作を行ない、多分岐アリールアミンポリマー(31)の黄色固体を得た(収率79%)。
多分岐アリールアミンポリマー(31)の分子量は、ポリスチレン換算で重量平均分子量52,000および数平均分子量21,200(分散度2.5)であった。
多分岐アリールアミンポリマー(31)のガラス転移温度は155℃であった。
多分岐アリールアミンポリマー(31)のHOMO準位は5.48eV、LUMO準位は2.30eVであった。
多分岐アリールアミンポリマー(31)の元素分析の測定結果を表6に示す。
実施例8 多分岐アリールアミンポリマー(26)の三重項準位の測定
多分岐アリールアミンポリマー(26) 1mgと2−メチルテトラヒドロフラン 1mLとをサンプルチューブ内でよく混合し、均一な溶液を調製した。この溶液を窒素ガスで10分間バブリングすることによって脱気した後、このサンプルチューブを密栓し、燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトルから算出された多分岐アリールアミンポリマー(26)の三重項準位は2.51eVであった。
実施例9 多分岐アリールアミンポリマー(27)の三重項準位の測定
実施例8において多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに多分岐アリールアミンポリマー(27)を用いた以外は実施例8と同様の操作を行なって燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトルから算出された多分岐アリールアミンポリマー(27)の三重項準位は2.51eVであった。
実施例10 多分岐アリールアミンポリマー(28)の三重項準位の測定
実施例8において多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに多分岐アリールアミンポリマー(28)を用いた以外は実施例8と同様の操作を行なって燐光スペクトルを測定したところ、得られた燐光スペクトルから算出された多分岐アリールアミンポリマー(28)の三重項準位は2.51eVであった。
実施例11 多分岐アリールアミンポリマー(29)の三重項準位の測定
実施例8において多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに多分岐アリールアミンポリマー(29)を用いた以外は実施例8と同様の操作を行なって燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトルから算出された多分岐アリールアミンポリマー(29)の三重項準位は2.51eVであった。
実施例12 多分岐アリールアミンポリマー(30)の三重項準位の測定
実施例8において多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに多分岐アリールアミンポリマー(30)を用いた以外は実施例8と同様の操作を行なって燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトルから算出された多分岐アリールアミンポリマー(30)の三重項準位は2.50eVであった。
実施例13(素子の作製と評価)
厚さ200nmのITO透明電極を有するガラス基板をアセトン、イソプロピルアルコールで順次超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコールで煮沸洗浄した後、乾燥した。更に、UV/オゾン処理したものを透明導電性支持基板として使用した。
この基板上に、ポリ−N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(ADS254BE:アメリカン・ダイ・ソース社製) 0.5wt%クロロベンゼン溶液を用いてスピンコート法により30nmの厚みで成膜し、160℃で3時間乾燥した。続けてその上に、実施例2で合成した多分岐アリールアミンポリマー(26)の0.5wt%トルエン溶液を用いてスピンコート法により50nmの厚みで成膜し、160℃で3時間乾燥した。さらにアルミニウムの8−キノリノール錯体(Alq3、50nm)を蒸着した。なお、上記蒸着条件は、真空度1.0×10−4Pa、成膜速度0.3nm/秒の同一条件で成膜した。
次に、フッ化リチウム(0.8nm)、アルミニウム(150nm)の順に蒸着し、金属電極を形成した。
更に、窒素雰囲気下、保護用ガラス基板を重ね、有機EL用シール剤を用いて接着(3時間、80℃で加熱硬化)して封止した。
以上の様にして作製したEL素子に、ITO電極を正極、LiF−Al電極を負極にして、20mA/cm2の電流を印加して発光特性(駆動電圧、発光効率、電流効率)を測定した。結果を表7に示す。
実施例14(素子の作製と評価)
実施例13において、多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに実施例3で合成したアリールアミンポリマー(27)を用いた他は、実施例13と同様に素子を作製して発光特性を測定した。結果を表7に示す。
実施例15(素子の作製と評価)
実施例13において、多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに実施例4で合成したアリールアミンポリマー(28)を用いた他は、実施例13と同様に素子を作製して発光特性を測定した。結果を表7に示す。
実施例16(素子の作製と評価)
実施例13において、多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに実施例5で合成したアリールアミンポリマー(29)を用いた他は、実施例13と同様に素子を作製して発光特性を測定した。結果を表7に示す。
実施例17(素子の作製と評価)
実施例13において、多分岐アリールアミンポリマー(26)の代わりに実施例6で合成したアリールアミンポリマー(30)を用いた他は、実施例13と同様に素子を作製して発光特性を測定した。結果を表7に示す。
比較例1
実施例13において、多分岐アリールアミンポリマー(26)をスピンコート法で成膜する代わりに、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を蒸着して成膜した以外は、実施例13と同様に素子を作製して発光特性を測定した。結果を表7に示す。なお、α−NPDは真空度1.0×10−4Pa、成膜速度0.3nm/秒の条件で成膜した。
以上の結果から、本発明の多分岐アリールアミンポリマーを用いた電界発光素子は、従来公知のα−NPDを用いた電界発光素子に比べて、低電圧駆動が可能で、発光効率が向上し、消費電力も少なくて済むものであった。